JP2004184661A - 現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】濃度低下、画像濃度ムラ、スリーブゴースト及びカブリを発生せず、高画像濃度で高精細な画像を安定して提供しうる現像剤担持体を提供する。
【解決手段】金属基体の表面に樹脂被覆層を有し、該樹脂被覆層が正帯電性樹脂及びメソカーボンマイクロビーズ粒子またはバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子を少なくとも含有してなる現像剤担持体を構成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法或いはトナージェット記録法等を利用した記録方法において、静電潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化するための現像装置に用いられる現像剤担持体、及び該現像剤担持体を用いた現像装置、及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子写真法としては特許文献1、2(3)、4(5)等に、種々の方法が記載されているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光体)上に静電潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤(トナー)を用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力或いは溶剤蒸気等により定着し、複写物を得るものである。
【0003】
近年、電子写真法を用いた機器は、従来の複写機以外にプリンターやファクシミリ等多数になってきている。現像方式にはキヤリア粒子を用いる二成分現像方式とキヤリア粒子を用いない一成分現像方式に大別される。一成分現像方式には、磁性粒子をトナーに内包させて磁力の作用により現像剤の担持搬送を行う一成分磁性現像方式と、磁性粒子を用いずに現像剤の摩擦電荷の作用などで現像剤を現像剤担持体へ担持させる一成分非磁性現像方式がある。一成分磁性現像方式においては、カーボンブラックなどの着色剤は用いず、磁性粒子を着色剤として兼用させることもできる。
【0004】
二成分現像方式は、ガラスビーズや鉄粉等のキヤリア粒子が必要なため、或いは現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要があるため、トナー濃度を検知して必要量のトナーを補給する装置が必要となり、現像装置が大きくて重く、且つ複雑な構成となる。また二成分現像方式ではトナー成分のキヤリアへの付着(スペント)が起こりやすいため、キヤリアの交換頻度が高くなる。この点一成分現像方式では、このようなキヤリアや上述の複雑な構成は不必要となり、現像装置自体の小型化・軽量化が可能であり、さらにはキヤリアの交換が必要ないため長期にわたりメンテナンスの必要がなくなる。その一方で、一成分磁性現像方式は、暗黒色の磁性粒子をトナーに使用するためカラー化が困難であり、二成分現像方式は濃度検知装置などにより細かい現像状態の調整が可能であるため、カラー現像用に好ましく用いられる。近年では、電子写真装置の軽量・小型化等を目的として複写装置部分を小さくする必要性が求められており、そのため一成分現像方式を用いた現像装置が使用されることが多くなってきている。
【0005】
しかし、この様な一成分現像方式を用いる場合にはトナー帯電量の調整が難しく、トナーによる工夫が種々行われているものの、トナー帯電の不均一性や帯電の耐久安定性に関わる問題は、完全には解決されていない。
【0006】
特に、現像剤担持体(現像スリーブ)が繰り返し回転を行っているうちに、現像スリーブ上にコーティングされたトナーの帯電量が現像スリーブとの接触により高くなりすぎ、トナーが現像スリーブ表面との鏡映力により引き合って現像スリーブ表面上で不動状態となり、現像スリーブから潜像担持体(感光ドラム)上の潜像に移動しなくなるという、所謂チャージアップ現象が特に低湿環境下にて発生しやすくなる。この様なチャージアップ現象が発生すると、上層のトナーは帯電しにくくなり、トナーの現像量が低下するため、ライン画像の細りやベタ画像の画像濃度薄の如き問題点を生じる。さらに、チャージアップにより適正に帯電されないトナーが規制不良となって現像スリーブ上に流出し、斑点状、波上のムラとなる、所謂ブロッチ現象も発生する。さらに、画像部(トナー消費部)と非画像部(トナー非消費部)とのトナー層の形成状態が変わり、帯電状態が異なってしまうため、例えば、一度画像濃度の高いベタ画像を現像した位置が、現像スリーブの次の回転時に現像位置に来てハーフトーン画像を現像すると、画像上にベタ画像の跡が現れてしまうという、所謂スリーブゴースト現象も生じやすくなる。
【0007】
最近では、プリンター装置はLED(発光ダイオード)プリンターやLBP(レーザービームプリンター)が市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来300dpi、400dpiであったものが600dpi、800dpi、1200dpiとなってきている。従って現像方式もこれに伴って、更なる高精細化が要求されてきている。また、複写機もデジタル化が主流となってきており、ファクシミリやプリンターとしても同時に使える所謂マルチファンクション化を目指した設計が主となりつつある。このため、複写機とプリンターの違いは徐々になくなってきており、ここでも高解像・高精細の現像方式が要求されている。例えば、特許文献6及び7などでは粒径の小さいトナーが提案されており、高解像度が要求されるにつれトナーの粒径は、5μm〜9μm程度の中心粒径を有するものが主流となっている。
【0008】
また、エコロジーの観点から、及び装置の更なる軽量・小型化等を目的として、廃トナーを軽減させるために、トナーの転写効率の向上が図られている。例えば、平均粒子径が0.1μm〜3μmの転写効率向上剤とBET比表面積50m/g〜300m/gの疎水性シリカ微粉末を含有させることで、トナーの体積抵抗を低減させ、感光ドラム上に転写効率向上剤の薄膜層を形成することにより転写効率を向上させるとともに、さらにはトナー自身を機械的衝撃力により球形化処理し、転写効率を向上させる方法等が知られている。また、ファーストコピー時間の短縮化や省電力化の目的で、定着器の設定温度を下げる傾向にある。この様な状況下、特に低温低湿下におけるトナーは、単位質量当たりの電荷量が増えるためさらに現像スリーブ上へ静電的に付着しやすくなり、高温高湿下におけるトナーは、外部からの物理的な力や流動化しやすい材料を用いているため変質しやすくなり、トナーによるスリーブ汚染やスリーブ融着が起こりやすくなっている。
【0009】
上記方式の現像に用いられる現像剤担持体(現像スリーブ)としては、例えば金属、その合金またはその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗度になるように処理したものが従来から用いられてきた。しかしこの場合、規制部材によって現像剤担持体表面に形成される現像剤層中の現像剤担持体表面近傍に存在する現像剤は非常に高い電荷を有することとなり、現像剤担持体表面で鏡映力によって強く引きつけられてしまい、これによりトナーと現像剤担持体との摩擦機会が持てなくなるため、現像剤は好適な電荷が保持できなくなる。このような状況下では、十分な現像及び転写は行われず、得られた画像は濃度ムラや文字飛び散りの多いものになってしまう。
【0010】
このような過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤の強固な付着を防止するため、樹脂中にカーボン或いは結晶性グラファイトの如き導電性物質やグラファイトの如き固体潤滑材を分散させた樹脂被覆層を上記現像剤担持体上に形成する方法が、特許文献8〜12等に提案されている。
【0011】
このような結晶性グラファイトを分散させた樹脂被覆層を用いた場合は、樹脂被覆層表面が結晶性グラファイトの燐片状の構造から起因して潤滑性を有するようになるのでチャージアップやスリーブゴーストに対しては十分な効果を発揮するが、形状が燐片状であるがために樹脂被覆層表面形状が不均一となり、さらに結晶性グラファイトの硬度が低いため、樹脂被覆層表面で結晶性グラファイト自体の摩耗や脱離が発生しやすく、耐久を進めていった場合に樹脂被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0012】
一方、添加量が少量の場合には、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末の効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストに対して不十分であるという問題が残る。
【0013】
また、特許文献13においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末、さらに球状粒子を分散させた導電性樹脂被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブでは、樹脂被覆層の耐摩耗性がある程度向上するとともに、樹脂被覆層表面の形状も均一化し、耐久による表面粗さの変化も比較的少なくなることから、スリーブ上のトナーコーティングが安定化してトナーの帯電を均一化することができ、スリーブゴースト、画像濃度、画像濃度ムラ等に問題が無い画質が安定化する傾向にある。しかしながら、この現像スリーブにおいても耐摩耗性、トナーへの均一帯電及びトナーへの帯電付与能力の安定化には不十分であり、更なる長期間の耐久においては、樹脂被覆層に分散された球状粒子や結晶性グラファイトが摩耗或いは脱落することで生じる樹脂被覆層表面の粗さの変化や粗さの不均一化、それに伴う樹脂被覆層のトナー汚染及びトナー融着等が生じ、このような場合にはトナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。
【0014】
或いは特許文献14においては、導電性樹脂被覆層中に分散された球状粒子が低比重且つ導電性の球状粒子であり、これにより導電性樹脂被覆層中に均一に導電性球状粒子が分散されることで樹脂被覆層の耐摩耗性及び被覆層表面の形状が均一化してトナーへの均一な帯電性が向上し、且つ樹脂被覆層が多少摩耗した際にもトナー汚染及びトナー融着が抑制されうる現像スリーブが提案されている。しかしながら、この現像スリーブにおいても、耐摩耗性、トナーへの均一帯電及びトナーへの帯電付与能力の点では完全ではなく、更なる長期間の耐久においては、樹脂被覆層表面の導電性球状粒子が存在しない部分から、結晶性グラファイト等の導電性粒子が摩耗或いは脱落しやすく、この摩耗及び脱落した部分から樹脂被覆層の摩耗が促進されてトナー汚染及びトナー融着が生じ、トナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。さらにこの現像スリーブを用いた場合、トナーへの高い帯電付与能力と言う点でも不十分で、現像スリーブ上で摩擦帯電を繰り返して劣化したトナー等に対しては高い画像濃度を得るための十分な帯電量を付与することができない場合がある。
【0015】
一方、樹脂被覆層を構成する樹脂からのアプローチもされている。例えば、特許文献15では、導電性弾性層の表面に、該導電性弾性層とは異なる樹脂成分を被覆することにより、現像スリーブ表面を低摩擦化する方法が提示されている。しかし、この方法によると、トナーに対する摩擦帯電付与能が低下しやすくなり、その結果トナーの帯電量が低くなり、画像面で濃度低下やカブリ悪化等の弊害が発生しやすくなる。
【0016】
また、樹脂被覆層自体を硬くすることによって、耐摩耗性を向上させようという試みもなされている。例えば、特許文献16においては、現像スリーブ表面にメラミン変性フェノール樹脂と結晶性グラファイトを含有した被膜を形成したものが提示されている。特許文献17では、現像スリーブ表面にメラミン樹脂及び/または尿素樹脂にグラファイト及び/またはカーボンブラックを含有した被膜を形成したものが、さらに特許文献18では、分子量500以下の成分が3.5%以下であるアクリル樹脂にメラミン樹脂またはグアナミン樹脂を添加した樹脂層中に、二硫化モリブデンを分散させた現像スリーブが開示されている。メラミン樹脂やグアナミン樹脂は、熱硬化性樹脂の架橋剤として使用されてきており、樹脂被覆層の強度アップに有効であり、さらにアミノ基を含有していることから、特にネガ帯電性トナーへの帯電付与にも効果的に働くことが期待される。しかし、帯電性を安定化させることは困難であり、特に環境依存性が顕著に見られ、低湿度環境下でのトナーのチャージアップや高湿度環境下での帯電量低下等の弊害を招きやすい。さらに強度の面でも、例えば現像スリーブ上のトナー層厚を規制する部材として、弾性ブレードのような現像スリーブに対して大きな負荷を与えるような系を採用した現像装置においては、高耐久/長寿命といった点では未だ不十分である。
【0017】
【特許文献1】
米国特許第2297691号明細書
【特許文献2】
特公昭42−23910号公報
【特許文献3】
米国特許第3666363号明細書
【特許文献4】
特公昭43−24748号公報
【特許文献5】
米国特許第4071361号明細書
【特許文献6】
特開平01−112253号公報
【特許文献7】
特開平02−284158号公報
【特許文献8】
特開平01−277265号公報
【特許文献9】
特開平03−036570号公報
【特許文献10】
特開平02−105181号公報
【特許文献11】
特開平05−006089号公報
【特許文献12】
特開平05−066680号公報
【特許文献13】
特開平03−200986号公報
【特許文献14】
特開平08−240981号公報
【特許文献15】
特開平10−115979号公報
【特許文献16】
特開平6−194940号公報
【特許文献17】
特開平9−146362号公報
【特許文献18】
特開平9−230690号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、いかなる環境下においても、濃度低下、画像濃度ムラ、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、均一で濃度ムラが無く、画像濃度が高い高精細な画像を安定して得ることのできる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0019】
さらに本発明の目的は、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いた場合等に見られる、現像剤担持体表面へのトナー付着を軽減させることにより、トナーの不均一な帯電を制御すると共にトナーに十分な帯電を与えることのできる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0020】
また本発明の目的は、長期にわたる耐久による現像剤担持体表面の樹脂被覆層の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、終始安定した画質が得られる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0021】
さらに本発明の他の目的は、長期間にわたる連続複写においても現像剤担持体上の現像剤に高くて均一な帯電を付与するとともに、チャージアップ現象の発生もなく安定した電荷を常時付与することで、耐久中の画像濃度低下や均一で濃度ムラやカブリのない高品位の画像を得ることのできる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の構成によって達成することができる。即ち、
(1)潜像担持体上に形成された潜像を、現像剤担持体表面に搬送担持された現像剤により現像し可視化するための現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
円筒状もしくは円柱状の金属基体表面に樹脂被覆層を有し、該樹脂被覆層が、正帯電性樹脂及びメソカーボンマイクロビーズ粒子またはバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子を少なくとも含有している現像剤担持体によって達成することができる。
【0023】
(2)また上記目的は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置において、前記現像剤担持体が、上記(1)の現像剤担持体である現像装置によって達成される。
【0024】
(3)また上記目的は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするための、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、該記潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像手段とを少なくとも有し、該現像手段は、現像剤を収容する現像剤容器、及び該現像剤容器内に収容されている現像剤を担持し、且つ該現像剤を現像領域へ搬送するための現像剤担持体を有し、前記潜像担持体及び現像手段が一体化され、該現像剤担持体が、請求項1に記載の現像剤担持体であることを特徴とするプロセスカートリッジによって達成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記の課題について鋭意検討を行った結果、現像剤担持体表面の樹脂被覆層を上記のように、特定の樹脂を含有し、且つ特定の材料を焼成することによって得られる黒鉛化粒子を樹脂中に分散させた構成にすることにより、トナーに対する帯電付与能及び機械的強度に優れ、且つ均一な表面形状を有する樹脂被覆層が形成されると共に、樹脂被覆層の表面から黒鉛化粒子が摩耗や脱離を起こしにくくなり、また樹脂被覆層が摩耗したとしても樹脂被覆層中から再び黒鉛化粒子が露出することで、現像剤担持体の表面被覆層の粗さや均一な表面形状及び表面の材料組成が多数枚の画出しにおいても変化しずらくなる効果を見出した。さらに該樹脂成分及び該黒鉛化粒子を含有させた樹脂被覆層は、トナー汚染やトナーのチャージアップを発生させること無くトナーへ均一で高い帯電を付与する効果があることを見出した。
【0026】
次に本発明の現像剤担持体、該現像剤担持体を用いた現像装置及び該現像剤担持体を用いたプロセスカートリッジについて、さらに詳細に説明する。
【0027】
先ず、本発明の現像剤担持体における樹脂被覆層の構成について説明する。図1〜図4は本発明の現像剤担持体の実施形態の部分断面図であり、樹脂被覆層1が金属円筒管からなる基体2上に形成されている様子を示す模式図である。図中、3はマグネットローラである。
【0028】
図1の現像剤担持体においては、黒鉛化粒子11が正帯電性樹脂を有する結着樹脂12中に分散され、樹脂被覆層1の表面への凹凸形成や導電性付与、トナーに対する離型性及びトナーへの帯電付与性等に寄与している。
【0029】
図2の現像剤担持体においては、黒鉛化粒子11が樹脂被覆層1の表面に凹凸を形成するとともに、さらに正帯電性樹脂を有する結着樹脂12中に黒鉛化粒子11に加えて導電剤13を添加することで導電性を高めた構成であり、導電剤13自体は実質的な凹凸形成にはあまり寄与していない。しかしながら、導電剤13に限らず、添加される別の固体粒子により微小な凹凸が形成される形態も含まれる。
【0030】
図3の現像剤担持体においては、黒鉛化粒子11が樹脂被覆層1の表面に凹凸を形成するとともに、さらに正帯電性樹脂を有する結着樹脂12中に黒鉛化粒子11に加えて固体潤滑剤14を添加することで潤滑性を高めた構成であり、トナーに対する離型性をさらに向上させている。
【0031】
図4の現像剤担持体においては、樹脂被覆層1の表面に凹凸を形成し表面粗さを制御するため、正帯電性樹脂を有する結着樹脂12中に、黒鉛化粒子11に加えてさらに球状粒子15が添加されたモデル図を示し、球状粒子15の粒径及び添加量等で樹脂被覆層1の表面の凹凸をさらに制御しやすいようにした構成である。このような構成は、現像剤層厚規制部材として弾性ブレードを使用した場合、即ち現像剤担持体に対して(トナーを介して)弾性的に圧接されるタイプの現像装置に用いる場合に効果的である。即ち、球状粒子15の粒径が黒鉛化粒子11の粒径よりも大きい場合、この樹脂被覆層1の表面の球状粒子15により弾性規制部材の圧接力を規制し、且つ黒鉛化粒子11は小さな凹凸を形成して、トナーと樹脂被覆層の結着樹脂12及び黒鉛化粒子11との接触帯電機会やトナーとの離型性を調整する役割も果たす。また、黒鉛化粒子11と球状粒子15の双方が樹脂被覆層1の表面の凹凸形成に寄与している場合は、球状粒子15に表面への凹凸付与以外に導電性や帯電付与性及び耐摩耗性等の別の機能をもたせることで、さらにトナーへの摩擦帯電特性が向上する。また図示はしなかったが、樹脂被覆層1を、黒鉛化粒子11、導電剤13、固体潤滑剤14及び球状粒子15の2種以上、好ましくは全てが正帯電性樹脂を有する結着樹脂12中に分散された構成とすると、それぞれの添加効果が相乗的に発揮されるので特に好ましい。
【0032】
次に、本発明の現像剤担持体において、樹脂被覆層に含有されている正帯電性樹脂について説明する。
【0033】
本発明に用いられる正帯電性樹脂としては、例えばアミノ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ポリビニルピリジン等の含窒素ポリマーやメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−メチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレートアミド等のメタクリレート樹脂、或いはポリスチレン/n−ブチルメタクリレート/シランターポリマー等のメタクリレートのターポリマー、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられるが、中でもアミノ樹脂が好ましい。これらの樹脂は、有機溶剤に対して比較的溶解性が高く、黒鉛化粒子等の他の成分の分散性にも優れており、さらに薄層化も容易にでき、基体との密着性や耐摩耗性にも優れているばかりでなく、特に現像剤が負帯電性の場合、現像剤に対して適度な帯電を付与することができたり、或いは他の樹脂やプレポリマー、或いは重合体等と架橋反応させて変性することによって、耐摩耗性の更なる向上を図ることができたり、耐溶剤性や柔軟性を改良することが可能である。
【0034】
アミノ樹脂は、アミノ基を含有する化合物とアルデヒドの縮合反応によって得られる樹脂であって、中でも本発明においては、特にメラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂または尿素樹脂が好ましく使用することができる。
【0035】
メラミン系樹脂は、一般に下記式(1)にて示されるメラミンまたはその誘導体にホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応させてメチロール化し、さらに脱水縮合して分子間にできるメチレン結合またはメチレンエーテル結合の生成による架橋によって得られるものであり、例えばメチルエーテル化メラミン樹脂、(n−またはi−)ブチルエーテル化メラミン樹脂、(n−またはi−)ブチルエーテル化トリメチロールメラミン樹脂、(n−またはi−)ブチルエーテル化ヘキサメチロールメラミン樹脂等がある。
【0036】
【化1】
Figure 2004184661
【0037】
〔上記式(1)において、R、R、R、R、R、Rは水素原子、またはメチル基等のアルキル基或いはフェニル残基等の脂肪族または芳香族炭化水素残基、メチロール基、ブチロール基等の低級アルカノール残基、またはメトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシアルキル残基であり、夫々同一であっても異なってもかまわない。〕
【0038】
グアナミン系樹脂は、一般に下記式(2)にて示されるグアナミンまたはその誘導体にホルムアルデヒドとの付加重合反応(脱水、脱アルコール反応)により縮合した樹脂であり、必要に応じてメタノールやブタノール等で変性してもかまわない。例として、ベンゾグアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フタログアナミン樹脂等が挙げられる。
【0039】
【化2】
Figure 2004184661
【0040】
〔上記式(2)式において、Xは水素原子またはメチル基等のアルキル基或いはフェニル残基等の脂肪族または芳香族炭化水素残基であり、X、X、X、Xは水素原子またはメチロール基、ブチロール基等の低級アルカノール残基、またはメトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシアルキル残基であり、夫々同一であっても異なってもかまわない。〕
【0041】
アニリン系樹脂は、アニリンとアルデヒドとの縮合反応により得られる樹脂であり、特に本発明においては、アニリンとホルムアルデヒドとを塩酸触媒下において反応させ、酸を中和することによって得られるアニリンホルムアルデヒド樹脂を好ましく使用することができる。
【0042】
尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドを加熱させ、付加反応によりメチロール尿素、ジメチロール尿素を生成し、脱水縮合反応させることによって得られる樹脂である。本発明においては、ジメチロール尿素、ジアルコキシメチル尿素環状トリマー、アルコキシルメチル尿素環状トリマー等を特に好ましく使用することができる。
【0043】
上記の正帯電性樹脂は、重量平均分子量(Mw)としては500〜3,000が好ましい。重量平均分子量(Mw)が500より少ないと、硬化後の樹脂被覆層の機械的強度が得られず、満足した耐摩耗性が得られない場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が3,000を超えると、黒鉛化粒子或いはその他の成分を分散させたとき、塗料粘度が増大し、現像スリーブ上に好適な樹脂被覆層を形成することができなくなることがある。
【0044】
上記に挙げたような正帯電性樹脂は、樹脂被覆層を構成するために必要に応じて他の樹脂と混合させて用いても良い。この樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能であるが、特に主鎖もしくは側鎖末端にヒドロキシル基(水酸基)を含有する樹脂を用いた場合、上記正帯電性樹脂と架橋反応し、耐摩耗性の向上(強度アップ)や感光体汚染の防止、基体との密着性、表面層膜のひび割れ防止に有効であり、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。機械的強度を考慮すると硬化性の樹脂がより好ましいが、十分な機械的強度を有するものであれば、熱可塑性樹脂も適用可能である。本発明において、上記した形成材料によって現像剤担持体上に形成される樹脂被覆層は、チャージアップによる現像剤の現像剤担持体上への固着や、現像剤のチャージアップに伴って生じる現像剤担持体の表面から現像剤への帯電付与不良を防ぐためには、導電性であることが望ましい。また、樹脂被覆層の体積抵抗値としては、好ましくは10Ω・cm以下、より好ましくは10Ω・cm以下である。現像剤担持体表面の樹脂被覆層の体積抵抗値が10Ω・cmを超えると、現像剤への帯電付与不良が発生し易く、その結果、現像剤担持体上で、所謂ブロッチの発生に伴う斑点画像や波模様画像が発生し易くなる。
【0045】
次に、本発明の現像剤担持体において、樹脂被覆層に含有されている黒鉛化粒子について説明する。
【0046】
本発明の現像剤担持体は、金属基体表面に有する樹脂被覆層中に、メソカーボンマイクロビーズ粒子またはバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子を含有していることを特徴とする。
【0047】
該黒鉛化粒子は、従来、現像剤担持体表面の樹脂被覆層中に用いられていた、コークスなどの骨剤をタールピッチ等により固めて成形後1000℃〜1300℃程度で焼成してから2500℃〜3000℃程度で黒鉛化して得た人造黒鉛、或いは天然黒鉛からなる結晶性のグラファイトとは、該黒鉛化粒子の原材料及び製造工程が異なる。そのため、該黒鉛化粒子は従来用いていた結晶性グラファイトより黒鉛化度は若干低いものの、従来に用いられていた結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有しており、さらに粒子の形状が従来に用いられていた結晶性グラファイトの燐片状或いは針状とは異なりほぼ球状であり、しかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、本発明で用いられる黒鉛化粒子は樹脂被覆層中で均一に分散しやすくなるため、均一な表面粗度と耐摩耗性を樹脂被覆層表面に与え、且つ粒子自身の形状が変化しがたいために樹脂被覆層の削れ、或いはその影響による粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂被覆層中から粒子が再度突出或いは露出してくることもあり、表面形状の変化を小さく抑えることができる上に、現像剤担持体表面の樹脂被覆層中に該黒鉛化粒子を用いると、トナーのチャージアップを発生させることなく、従来の結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの摩擦帯電付与能を向上することが可能となる。
【0048】
通常、沸点が500℃以上の有機化合物は、常圧下、不活性気相中で加熱すれば固相または液相を経由して炭素化されるが、200℃付近までの温度で分解を始め、残留物中では環化が起こり、次いで400℃までの間に芳香族化する。この温度を超えると、芳香族同士の重縮合が進む。中でも縮合多環芳香族やそれらの混合物であるピッチ類等のように、この温度で液状を示すものは、400℃以上で縮合多環芳香族の平面分子からなる液晶状態をつくる。この液晶のことをメソフェーズと呼ぶ。メソフェーズは500℃までの間でさらに高分子化が進んで層状構造を作ったまま固化する。該層状構造は、選択的な配向性の高いものであり、高温処理で黒鉛化になりやすい性質を有している。
【0049】
本発明で用いられる黒鉛化粒子は、上記メソフェーズの状態の粒子である、メソカーボンマイクロビーズ粒子或いはバルクメソフェーズピッチ粒子を用いる。これら粒子は光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子であるため、該粒子を黒鉛化してなる黒鉛化粒子においては、黒鉛化度を高め且つ球状の形状を保持させることができる。メソカーボンマイクロビーズ粒子及びバルクメソフェーズピッチ粒子の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、高度の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子が得られる。
【0050】
本発明に用いられる黒鉛化粒子を得る原材料としてメソカーボンマイクロビーズ粒子を用いる場合、該メソカーボンマイクロビーズ粒子得る方法として代表的なものは、例えば、石炭系重質油または石油系重質油を300℃〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズ粒子を生成し、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離などの処理に供することによりメソカーボンマイクロビーズ粒子を分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、さらに乾燥することによって得る方法が挙げられる。
【0051】
また、該メソカーボンマイクロビーズ粒子を用いて黒鉛化する方法としては、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズ粒子を、破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズ粒子は、不活性雰囲気下において200℃〜1500℃の温度で一次加熱処理され、炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0052】
二次分散処理を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2000℃〜3500℃で二次加熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0053】
次に、本発明に用いられる黒鉛化粒子を得る原材料として、バルクメソフェーズピッチ粒子を用いる場合について説明する。
【0054】
バルクメソフェーズピッチ粒子を得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによってメソフェーズピッチ粒子を得る方法、さらに、前記重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼンまたはトルエン等により溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチ粒子を得る方法が挙げられる。本発明で用いられるバルクメソフェーズピッチ粒子はキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。95質量%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られないことがある。
【0055】
メソフェーズピッチ粒子を用いて黒鉛化する方法としては、先ず、前記のバルクメソフェーズピッチ粒子を2μm〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200℃〜350℃で熱処理することにより、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチ粒子は表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化熱処理時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチ粒子は酸素含有量が5質量%〜15質量%であることが好ましい。5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が促進されることがあり、また15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化してしまい、球状のものが得られにくい場合がある。
【0056】
次に上記の酸化処理したバルクメソフェーズピッチ粒子を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、約2000℃〜3500℃で熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0057】
上記いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、黒鉛化粒子の焼成温度は2000℃〜3500℃が好ましく、2300℃〜3200℃がより好ましい。焼成温度が2000℃未満の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度が不十分であり、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなり、さらに弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。焼成温度が3500℃を超える場合は黒鉛化粒子の黒鉛化度が高すぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐摩耗性の悪化により樹脂被覆層表面の耐摩耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下することがある。
【0058】
さらに、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、黒鉛化度p(002)が、0.20≦p(002)≦0.95であることが好ましい。
【0059】
上記の黒鉛化度p(002)とは、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−p)で求められる。このp値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、p値が小さいほど黒鉛化度は大きい。
【0060】
p(002)が0.95を超える場合は、耐摩耗性には優れているが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなり、さらに弾性ブレードを使用した場合にはブレード傷が発生したり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。p(002)が0.20未満の場合は、黒鉛化粒子の耐摩耗性の悪化により樹脂被覆層表面の耐摩耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下してしまう場合がある。
【0061】
また、前記のいずれの原材料から得られた黒鉛化粒子は、いずれの製法にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
【0062】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、個数平均粒径が0.5μm〜25μmであることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましい。
【0063】
黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と帯電性能を高める効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不十分となると共に、樹脂被覆層の摩耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなる。個数平均粒径が25μmを超える場合には、樹脂被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、樹脂被覆層の機械的強度が低下してしまうことがある。
【0064】
本発明においては、樹脂被覆層の体積抵抗値を調整する目的で、樹脂被覆層中に前記の黒鉛化粒子と併用して、導電剤を分散含有させても良い。本発明に用いられる導電剤としては、例えば個数平均粒径が1μm以下、好ましくは0.01〜0.8μmの導電性微粒子が挙げられる。該導電性微粒子の個数平均粒径が1μmを超える場合には、樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、トナーのチャージアップによるトナー汚染が発生しやすくなる。
【0065】
また、導電剤としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属粉体の微粉末、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム等の金属酸化物、各種カーボンファイバー、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、グラファイト等の炭化物、さらには金属繊維等が挙げられる。
【0066】
本発明においては、これらのうち、カーボンブラック、とりわけ導電性のアモルファスカーボンが、特に電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、その添加量をコントロールするだけで、ある程度任意の導電性を得ることができるため好適に用いられる。塗料にした場合の分散安定性も良好となりうる。また、本発明において好適なこれらの導電性物質の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部〜100質量部の範囲とすることが好ましい。1質量部未満では樹脂被覆層の抵抗値を所望のレベルに下げることは、通常困難であり、また、現像剤担持体表面の樹脂被覆層に用いられる結着樹脂に対するトナー付着が発生する可能性がある。100質量部を超える場合は、特にサブミクロンオーダーの粒度を有する微粉体を用いた場合、樹脂被覆層の強度(耐摩耗性)が低下することがある。
【0067】
本発明に使用することのできる樹脂被覆層中には、樹脂被覆層表面に凹凸を形成するための固体粒子を含有させることが可能である。このような固体粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のビニル系重合体や共重合体、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂粒子、アルミナ、酸化亜鉛、シリコーン、酸化チタン、酸化錫等の酸化物粒子、炭素化粒子、導電処理を施した樹脂粒子等の導電性粒子、その他、例えばイミダゾール化合物のような有機化合物を粒子状にして用いることも可能である。この場合にイミダゾール化合物は、トナーに摩擦帯電電荷を付与する役割も果たす。
【0068】
特に、上記固体粒子としては球状粒子が好ましく用いられ、球状の樹脂粒子としては、例えば、懸濁重合法、分散重合法等によって製造された樹脂粒子などが用いられる。球状の樹脂粒子はより少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、さらに均一な表面形状が得られやすい。このような球状の樹脂粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子等が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的に或いは物理的な球形化処理を行ってから用いても良い。
【0069】
その他、例えば球状の樹脂粒子の表面に無機微粉末を付着させる、或いは固着させて用いてもよい。このような無機微粉末としては、SiO、SrTiO、CeO、CrO、Al、ZnO、MgO、TiOの如き酸化物、Siの如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO、BaSO、CaCOの如き硫酸塩・炭酸塩等が挙げられる。このような無機微粉末は、カップリング剤により処理して用いても良い。特に結着樹脂との密着性を向上させる目的、或いは粒子に疎水性を与える等の目的では好ましく用いることが可能である。
【0070】
このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えばシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のケイ素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0071】
このように球状樹脂粒子表面に対して無機微粉末で処理することにより、塗料中への分散性、塗工表面の均一性、樹脂被覆層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性、樹脂被覆層の耐摩耗性等を向上させることができる。
【0072】
球状粒子に耐汚染性、耐摩耗性などを持たせるために導電性の球状粒子を用いることもよい。導電性の球状粒子としては、例えば、導電処理された球状粒子として、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化鉛等の金属酸化物や硫酸バリウム等の顔料の表面に、酸化スズ等の良導電性物質をコートしたもの;或いは酸化亜鉛、酸化銅、酸化イリジウム等の絶縁性金属酸化物中に、酸化数の異なる金属をドーピングして導電性を持たせたものがある。
【0073】
導電性球状粒子の体積抵抗は10Ω・cm以下であることが好ましい。10Ω・cmを超えるとトナーのチャージアップ等の弊害をもたらす場合がある。
【0074】
添加される球状粒子の真密度は、3g/cm以下のものが好ましい。真密度が3g/cmを超えると、樹脂被覆層中で球状粒子の分散性が不十分になることがあるため、樹脂被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、トナーへの均一な帯電付与や樹脂被覆層の強度が不十分となり、さらにこれらの粒子の利点である耐汚染性や耐摩耗性が発揮できなくなる可能性がある。このような条件を満たす導電性球状粒子の種類としては、球状炭素粒子、導電性物質で表面処理された球状樹脂粒子、導電性微粒子が分散された球状樹脂粒子などが挙げられる。
【0075】
これらの粒子の中では特に導電性の粒子を用いることが好ましい。このような粒子としては、本発明者らが先に提案した導電性球状粒子がある。即ち、粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくく、トナー付着の軽減やトナーの帯電付与性を向上させることができるからである。本発明において、粒子の導電性としては、体積抵抗値が10Ω・cm以下、より好ましくは10−3〜10Ω・cmの粒子であることが好ましい。このような粒子の体積抵抗が10Ω・cmを超えると、摩耗によって樹脂被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着を発生しやすくなるとともに、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなる。さらには粒子の真密度としては3g/cm程度以下であることがより好ましい。導電性であっても、粒子の真密度が高すぎる場合、同じ粗さを形成するために添加量を増やさなければならず、また、樹脂または樹脂組成物と真密度差が大きくなるため、製造時の粒子の分散状態が非均一となりやすく、従って形成された樹脂被覆層においても分散状態が不均一になることがある。また粒子が球状であると、圧接される現像剤層厚規制部材等との接触面積が低減されるので、摩擦力によるスリーブ回転トルクの増加や、トナーの付着などを軽減することができるのでより好ましい。特に下記に示すような導電性の球状粒子を用いた場合には、より良い効果が得られる。
【0076】
このような球状粒子の粒径は、個数平均粒径で0.3μm〜30μmが好ましい。0.3μm未満では均一に樹脂被覆層表面に凹凸を形成することが難しく、表面粗さを大きくしようとした場合添加量が過大になり、樹脂被覆層が脆くなり耐摩耗性が極端に低下することがある。逆に30μmより大きくなると、粒子が現像剤担持体表面から突出しすぎるため、現像剤層の厚みが大きくなり過ぎて現像剤の帯電が低下したり、不均一になりやすく、バイアスをかけた際に静電潜像担持体(感光ドラム)へリークするポイントになる場合がある。
【0077】
さらに本発明の樹脂被覆層中には、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤としては、後述のトナー粒子形成に用いるものと同様なものが使用可能である。
【0078】
本発明で好適に使用される上記のような構成を有する現像剤担持体表面の樹脂被覆層の表面粗さは、一般的には、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.3μm〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。ただし、その現像方式によって好ましい表面粗さは異なる。例えば、図5に示されるような、磁性トナーを用い、現像剤層厚規制部材として現像剤担持体と間隙をもって配置された磁性ブレードを有するような現像装置では、Raが0.3μm〜2.5μm程度にあることが好ましい。Raが0.3μm未満の場合には、現像剤の十分な搬送性が得られず、トナー不足による画像濃度薄や、トナーの過剰な帯電による飛び散りやブロッチなどが発生しやすい。また、2.5μmより大きい場合には、トナーの摩擦帯電が不均一となり、スジむらや、反転カブリ、帯電不足による画像濃度薄などが発生しやすい。また例えば、図6に示されるような、弾性部材が現像剤担持体に圧接して用いられる現像装置の場合には、Raが0.5μm〜3.5μm程度にあることが好ましい。Raが0.5μmより小さい場合には、現像剤の十分な搬送性が得られず、トナー不足による画像濃度薄や、トナーの過剰な帯電による飛び散りやブロッチなどが発生することがあり、また、現像剤担持体へのトナー融着も発生しやすい。また、3.5μmより大きい場合には、トナーの摩擦帯電が不均一となり、スジむらや、反転カブリ、帯電不足による画像濃度薄などを発生しやすい。
【0079】
さらに、本発明においては、現像剤担持体表面への現像剤の付着をより軽減化するため、樹脂被覆層中に固体潤滑剤を混合させることもできる。この際に使用し得る固体潤滑剤としては、例えば、二硫化モリブデン、窒化硼素、グラファイト、フッ化グラファイト、銀−セレンニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石等が挙げられる。また、本発明で使用することのできるこれらの固体潤滑剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部〜100質量部の範囲とすることが好ましい。1質量部未満では樹脂被覆層の結着樹脂表面に対する現像剤の付着性の改善効果は少なく、100質量部を超えると、特にサブミクロンオーダーの粒度を有する微粉体が多く含まれる材料を用いた場合、樹脂被覆層の強度(摩耗性)が低下しうる。これらの固体潤滑剤は、個数平均粒径が好ましくは0.2μm〜20μm程度、より好ましくは1μm〜15μmのものを使用するのが良い。固体潤滑剤の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難くなり、個数平均粒径が20μmを超える場合には、樹脂被覆層表面の形状への影響が大きく表面性が不均一となりやすく、トナーの均一な帯電化、及び樹脂被覆層の強度の点で不十分になることがある。
【0080】
本発明の現像剤担持体の樹脂被覆層を得る方法としては、例えば、各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、前記基体上に塗工することにより得る方法が挙げられる。塗料の各成分の分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。また塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等公知の方法が適用可能である。
【0081】
次に本発明の現像装置について説明する。
【0082】
本発明の現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置であって、該現像剤担持体として、上記した本発明の現像剤担持体を用いることを特徴とする。
【0083】
図5は、本発明の現像装置の一実施形態の模式図である。
【0084】
図5において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば、感光ドラム51は、矢印B方向に回転する。現像剤担持体としての現像スリーブ58は、現像容器53に供給された磁性トナーを有する一成分系現像剤を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像剤担持体たる現像スリーブ58と感光ドラム51とが対向している現像領域Dに現像剤を搬送する。図5に示すように、現像ローラー60においては、現像スリーブ58内に、現像剤を現像スリーブ58上に磁気的に吸引且つ保持するために、磁石(マグネットローラー)59が配置されている。
【0085】
本発明の現像装置で用いられる現像スリーブ58は、基体としての金属円筒管56上に被覆された樹脂被覆層57を有する。現像容器53中には、ここには図示されていない現像剤補給容器から現像剤供給部材(スクリューなど)62を経由して現像剤が送り込まれてくる。現像容器は、第一室64、第二室65に分割されており、第一室64に送り込まれた現像剤は攪拌搬送部材55により現像容器53及び仕切り部材54により形成される隙間を通過して第二室65に送られる。現像剤はマグネットローラー59による磁力の作用により現像スリーブ58上に担持される。第二室65中には現像剤が滞留するのを防止するための攪拌部材61が設けられている。
【0086】
現像剤は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ58上の樹脂被覆層57との摩擦により、感光ドラム51上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図5の例では、現像領域Dに搬送される現像剤の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード(ドクターブレード)52が、現像スリーブ58の表面から約50μm〜500μmの間隙を有して現像スリーブ58に対向するように現像容器53に装着されている。マグネットローラー59の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード52に集中することにより、現像スリーブ58上に現像剤の薄層が形成される。本発明においては、この磁性規制ブレード52にかえて非磁性の規制ブレードを使用することもできる。
【0087】
この様にして、現像スリーブ58上に形成される現像剤の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ58と感光ドラム51との間の最小間隙よりもさらに薄いものであることが好ましい。
【0088】
本発明の現像剤担持体は、以上の様な現像剤の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち非接触型現像装置に組み込むのが特に有効であるが、現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ58と感光ドラム51との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、所謂接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。尚、説明の煩雑を避けるため、以下の説明では先に説明した非接触型現像装置を例にとって行なう。
【0089】
上記現像スリーブ58に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤を飛翔させるため、上記現像スリーブ58にはバイアス手段としての現像バイアス電源63により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ58に印加するのが好ましい。
【0090】
現像された画像の濃度を高め、且つ階調性を向上させるためには、現像スリーブ58に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ58に印加するのが好ましい。
【0091】
この時、高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用し、高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。この場合、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤(トナー)は少なくとも現像スリーブ58表面(樹脂被覆層57)との摩擦により帯電する。
【0092】
図5においては、現像スリーブ58上の現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、現像スリーブから離間されて配置された磁性ブレードの例を示したが、図6に示される如く、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板からなる弾性規制ブレードを使用し、この弾性規制ブレード67を現像スリーブに対して、トナーを介して接触或いは圧接させて用いても良く、本発明においては特にこの形態を有する系において、従来技術と比較して、耐摩耗性及び帯電付与能の面で格段の効果を得ることができる。これは、規制ブレードを接触または圧接させるタイプの現像装置では、トナー層はさらに強い規制を受けながら現像スリーブ58上に現像剤の薄層を形成することから、現像スリーブ58上に、上記した図5の引用例の場合よりもさらに薄い現像剤層を形成することができるため、現像スリーブ58表面の樹脂被覆層への負荷が大きくなり、樹脂被覆層が摩耗し易くなる。本発明では、このような系においても樹脂被覆層の摩耗を軽減することができるため、高耐久化を達成することができる。尚、現像スリーブ58に対する弾性規制ブレード67の当接圧力は、線圧5g/cm〜50g/cmであることが、トナーの規制を安定化させ、トナー層厚を好適にさせることができる点で好ましい。弾性規制ブレード67の当接圧力が線圧5g/cm未満の場合には、トナーの規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧50g/cmを超える場合には、トナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0093】
図5及び図6はあくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、前記した層厚規制部材以外にも、現像容器53(ホッパー)の形状、攪拌翼55、61の有無、磁極の配置、供給部材62の形状、補給容器の有無、などに様々な形態があることは言うまでもない。
【0094】
図7に、本発明のプロセスカートリッジの一実施形態を示す。本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも現像手段と静電潜像保持体とが一体的にカートリッジ化されたものであり、画像形成装置本体(例えば、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置)に着脱可能に構成されている。
【0095】
図7に示した実施形態では、現像手段71、ドラム状の静電潜像担持体(感光ドラム)51、クリーニングブレード72aを有するクリーニング手段72、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段73を一体としたプロセスカートリッジ70が例示される。本実施形態では、現像手段71は、現像スリーブ58と、弾性規制ブレード67と現像容器53内に磁性トナーを有する一成分系現像剤(トナー)Tとを有し、該トナーTを用い、現像時にはバイアス印加手段からの現像バイアス電圧により感光ドラム51と現像スリーブ58との間に所定の電界が形成されて現像工程が実施される。この現像工程を好適に実施するためには、感光ドラム51と現像スリーブ58との間の距離が非常に大切である。
【0096】
上記では、現像手段71、静電潜像担持体51、クリーニング手段72及び一次帯電手段73の4つの構成要素を一体的にカートリッジ化した実施形態について説明したが、本発明においては、現像手段と静電潜像担持体との少なくも2つの構成要素が一体的にカートリッジ化されたものであればよく、現像手段、静電潜像担持体及びクリーニング手段の3つの構成要素、現像手段、静電潜像担持体及び一次帯電手段の3つの構成要素、或いは、その他の構成要素を加えて一体的にカートリッジ化することも可能である。
【0097】
次に、本発明の現像装置で用いられる現像剤について説明する。
【0098】
本発明にて使用できる現像剤は、少なくとも結着樹脂と着色剤、必要に応じて各種添加剤を含有するトナー粒子に、さらに必要に応じて、各種添加剤を外添したトナーからなる。尚、一成分系現像剤においては、実質的にトナーが現像剤を意味する。該トナーの重量平均粒径は4μm〜11μmであることが好ましい。このようなものを使用すれば、トナーの帯電量或いは画質及び画像濃度等がバランスのとれたものとなる。
【0099】
トナーの結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能であり、例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、この中でも特にビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0100】
ビニル系樹脂において用いることのできるカルボン酸含有モノマーとしては、特にジカルボン酸の半エステルモノマーが好ましく、例えばマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸の半エステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタン酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸の半エステル類;フタル酸モノメチルエステル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノブチルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸の半エステル類;などが挙げられる。
【0101】
さらに本発明に用いることのできるビニル系樹脂を得るためのカルボン酸含有モノマー以外のコモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0102】
例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;のビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用いられる。
【0103】
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0104】
また架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。
【0105】
本発明に用いることのできるビニル系重合体は、以下に例示する様な架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。
【0106】
芳香族ジビニル化合物、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;さらには、ポリエステル型ジアクリレート化合物類、例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
【0107】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部(好ましくは0.03質量部〜3質量部)用いることが好ましい。
【0108】
これらの中でも特に、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好ましく用いることができる。
【0109】
また、現像剤が負帯電性である場合、ポリエステル樹脂を使用することは好例の一つであり、該ポリエステル樹脂としては、多塩基酸成分及び多価アルコール成分の縮重合体よりなるポリエステル樹脂が好ましい。
【0110】
本発明に用いることのできるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0111】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また下記式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0112】
【化3】
Figure 2004184661
【0113】
(上記式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0114】
また、下記式(B)で示されるジオール類;
【0115】
【化4】
Figure 2004184661
等のジオール類、が挙げられる。
【0116】
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルケニルコハク酸もしくはアルキルコハク酸、またはその酸の無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物、低級アルキルエステル等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0117】
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することができる。
【0118】
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、等の3価以上の多価アルコール類が挙げられる。
【0119】
また3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル、下記式(C)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0120】
【化5】
Figure 2004184661
【0121】
(上記式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)
【0122】
本発明に用いられるアルコール成分としては40モル%〜60モル%、好ましくは45モル%〜55モル%、酸成分としては60モル%〜40モル%、好ましくは55モル%〜45モル%であることが好ましい。
【0123】
また3価以上の多価の成分は、全成分中の5モル%〜60モル%であることが好ましい。
【0124】
本発明において好ましいポリエステル樹脂のアルコール成分としては、前記式(A)で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物;こはく酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物のトリカルボン酸類が挙げられる。
【0125】
これらの酸、アルコールで得られたポリエステル樹脂を有する負帯電性現像剤は、帯電特性に優れており、本発明において好ましく用いられる。
【0126】
このようにして得られた結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45℃〜75℃好ましくは50℃〜70℃、さらに数平均分子量(Mn)1,500〜30,000好ましくは2,000〜15,000、重量平均分子量(Mw)6,000〜800,000好ましくは10,000〜500,000であることが、本発明の現像装置に用いられる現像剤に好適である。
【0127】
本発明の現像装置に用いられる現像剤においては、帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤をトナー粒子に配合(内添)、またはトナー粒子と混合(外添)して用いることができる。これは、荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となるためである。
【0128】
例えば、正の荷電制御剤としては、ニグロシン、トリアミノトリフェニルメタン系染料及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレード、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレートを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系化合物、トリアミノトリフェニルメタン系染料、有機四級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
【0129】
また負の荷電制御剤としては、例えば有機金属化合物、キレート化合物が有効である。その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸或いはサリチル酸系の金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体、モノアゾ金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
【0130】
上述した荷電制御剤は、微粒子状として用いることが好ましい。この場合、この荷電制御剤の個数平均粒径は、具体的には4μm以下、さらには3μm以下が好ましい。
【0131】
上記荷電制御剤をトナー粒子に内添する際には、トナー粒子を構成する結着樹脂100質量部に対して0.1質量部〜20質量部用いることが好ましく、より好ましくは0.2質量部〜10質量部用いる。
【0132】
また、本発明に用いることのできる現像剤が磁性現像剤である場合、トナー粒子に配合される磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0133】
磁性材料としては、従来、四三酸化鉄(Fe)、三二酸化鉄(γ−Fe)、酸化鉄亜鉛(ZnFe)、酸化鉄イットリウム(YFe12)、酸化鉄カドミウム(CdFe)、酸化鉄ガドリニウム(GdFe−O12)、酸化鉄銅(CuFe)、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe)、酸化鉄ネオジム(NdFe)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe)、酸化鉄マンガン(MnFe)、酸化鉄ランタン(LaFeO)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知られているが、本発明の現像装置に使用可能な現像剤には、上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せで選択使用する。上記に挙げた中でも、特に好適な磁性材料は四三酸化鉄またはγ−三二酸化鉄の微粉末である。これらの強磁性体は、平均粒径が0.1μm〜2μm程度で、7958kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が、保磁力(H)1.6kA/m〜16kA/m、飽和磁化(σ)50Am/kg〜200Am/kg、残留磁化(σ)2Am/kg〜20Am/kgのものが好ましい。
【0134】
結着樹脂100質量部に対して、磁性体10質量部〜200質量部、好ましくは20質量部〜150質量部使用するのが良い。
【0135】
尚、上記磁性体に、着色剤としての役目を兼用させて使用してもかまわない。
【0136】
本発明に用いることのできる現像剤において、トナー粒子に含有させうる着色剤としては、任意の適当な顔料または染料が挙げられる。
【0137】
例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーが挙げられる。これら顔料は、結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部、好ましくは1質量部〜10質量部で使用することが好ましい。同様の目的で、さらに染料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部、好ましくは0.3質量部〜10質量部で使用することが好ましい。
【0138】
また、本発明に用いられる現像剤には、必要に応じて一種または二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させてもかまわない。
【0139】
離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの、飽和直鎖脂肪酸類、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類、ソルビトールなどの多価アルコール類、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0140】
上記離型剤は、結着樹脂100質量部あたり0.1質量部〜20質量部、好ましくは0.5質量部〜10質量部用いることが好ましい。
【0141】
また、これらの離型剤は、通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させられる。
【0142】
本発明に使用できる現像剤には、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添、即ちトナー粒子表面近傍に存在させていることが好ましい。特にこの中でも、シリカ微粉体が好ましい。
【0143】
例えば、かかるシリカ微粉体はケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン、等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0144】
本発明で用いることのできる無機微粉体としては、有機処理された無機微粉体を用いることもできる。このような有機処理方法としては、前記無機微粉体と反応或いは物理吸着するシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物で処理する方法がある。このような処理を施すことにより、無機微粉体の疎水化が促進でき、特に高湿度下での環境安定性により優れたトナーを得ることができるため、好ましく用いることができる。有機処理に使用されるシランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のケイ素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0145】
また、窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン等のシランカップリング剤も単独或いは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0146】
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、スプレー法、有機溶媒法、水溶液法等があるが、特に限定されるものではない。
【0147】
他の有機処理として、シリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、250℃における粘度が0.5mm/s〜10000mm/s、好ましくは1mm/s〜1000mm/sのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0148】
本発明に用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上、特に50m/g〜400m/gの範囲のものが良好な結果を与え、また本発明に用いられる無機微粉体はトナー粒子100質量部に対して0.01質量部〜8質量部使用されるのが良く、好ましくは0.1質量部〜5質量部、特に好ましくは0.2質量部〜3質量部が良い。0.01質量部未満では、現像剤の凝集を改善する効果が乏しくなり、また8質量部を超える場合では、上記無機微粉体がトナー粒子表面に付着せずに、遊離した状態で存在するものが生じやすくなり、現像剤が均一で且つ適切な帯電量を維持することが困難になり、現像特性の低下等の弊害をもたらす場合がある。
【0149】
本発明に用いることのできる現像剤には、上記無機微粉体以外の外添剤をさらに加えて用いても良い。例えば、テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。或いは酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。その他ケーキング防止剤、或いは、例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、または逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0150】
これらの外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部(好ましくは0.1質量部〜7質量部)使用するのが良い。
【0151】
現像剤を作成するには、結着樹脂、着色剤としての顔料または染料、磁性体、離型剤、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミキサー等の混合機により充分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのごとき熱混練機を用いて溶融して樹脂類を互いに相溶せしめた中に離型剤、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行なってトナー粒子を得ることができる。さらに、必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分に混合し、トナー(現像剤)を得ることができる。
【0152】
このようなトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、攪拌羽根またはブレードなど、及びライナーまたはケーシングなどを有する装置で、例えば、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。また、球状のトナーを直接作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離形剤、その他の添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒径に分散し、さらに重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得る方法である。
【0153】
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
【0154】
(1)樹脂被覆層の形成に使用される結着樹脂の帯電極性の測定
サンプル板の作製方法:帯電極性を測定する樹脂被覆層(導電性物質を除いたもの)の形成に使用する樹脂を有機溶剤に溶解或いは分散させた溶液をSUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを乾燥・加熱等によって成膜させ(乾燥・加熱温度及び時間は、熱可塑性樹脂の場合は溶液が完全に蒸発するまで、熱硬化性樹脂の場合は樹脂の架橋が完全に行われるまで)、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃、60%RH環境下にて一晩以上放置する。
【0155】
粒子の調整方法:鉄粉(粒径約100μm)を接地した状態で、23℃、60%RH環境下にて一晩以上放置する。
【0156】
測定方法:測定は23℃、60%RH環境下で行う。先ず、上記で作製したサンプル板を図8に示す表面帯電量測定装置TS−100AS(東芝ケミカル(株)製)にセットし、電位計85を接地して値を0にする。上記で調湿した鉄粉81を滴下器82に入れ、STARTスイッチを押して20秒間鉄粉81をサンプル板83上に滴下し、予め接地を施した受容器84で受ける。この時の電位計85の示す極性を読み取って、鉄粉に対する結着樹脂の帯電極性とした。尚、86はコンデンサーである。
【0157】
(2)樹脂被覆層の形成に使用される結着樹脂の重量平均分子量
測定は、THFを展開溶媒としたGPCにて以下の条件で測定した。
Figure 2004184661
【0158】
(3)黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)
黒鉛化度p(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置「MXP18」システムにより、黒鉛のX線回折スペクトルから得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−p)で求めた。
【0159】
尚、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出した。主な測定条件は以下のとおりである。
X線発生装置:18kW
ゴニオメータ:横型ゴニオメータ
モノクロメータ:使用
管電圧:30.0kV
管電流:10.0mA
測定法:連続法
スキャン軸:2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度:6.000deg/min
発散スリット:0.50deg
散乱スリット:0.50deg
受光スリット:0.30mm
【0160】
(4)トナー及び樹脂粒子の粒径測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II型、或いはコールターマルチサイザーIIまたはコールターマルチサイザーIII(いずれもべックマン・コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(べックマン・コールター社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100ml〜150ml中に分散剤として、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.1ml〜5ml加え、さらに測定試料を2mg〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャー或いは30μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。この結果より、体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)及び個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)(共に各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0161】
(5)1μm以上の導電性粒子の粒径測定
黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径はレーザー回折型粒度分布計のコールターLS−130型或いはLS−230型粒度分布計(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10mg〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。
【0162】
次に純水10ml中に界面活性剤3滴〜4滴を加え、さらに測定試料を5mg〜25mg加えた。試料を懸濁した水溶液は超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行なって試料液とし、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径を求めた。
【0163】
(6)1μm未満の導電性微粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性微粒子の粒径を測定した。撮影倍率は6万倍にしたが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントした。写真上で1次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とした。
【0164】
(7)現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601(2001)の表面粗さに基づき、小坂研究所製表面粗度計SE−3400にて、軸方向3点×周方向3点=9点について各々測定し、その平均値をとった。測定条件としては、カットオフ0.8mm、測定距離8.0mm、送り速度0.1mm/secにて行なった。
【0165】
(8)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に7μm〜20μmの厚さの樹脂被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20℃〜25℃、50%RH〜60%RHとした。
【0166】
(9)粒子の体積抵抗の測定
粒状試料を40mmφのアルミリングに入れ、2500Nで加圧成型し、抵抗率計ロレスタAP、またはハイレスタIP(共に、三菱油化製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定した。尚、測定環境は、20℃〜25℃、50%RH〜60%RHとした。
【0167】
(10)球状粒子の真密度の測定
本発明で使用する球状粒子の真密度は、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した。
【0168】
(11)樹脂被覆層の膜厚(削れ量)の測定
被覆層の削れ量(膜削れ)の測定としてはKEYENCE社製レーザー寸法測定器を用いた。コントローラLS−5500及びセンサーヘッドLS−540Tを用い、スリーブ固定治具及びスリーブ送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、スリーブの外径寸法の平均値から測定を行った。測定はスリーブ長手方向に対し30分割して30箇所測定し、さらにスリーブを周方向に90°回転させた後さらに30箇所、計60箇所の測定を行い、その平均値をとった。表面被覆層形成前のスリーブの外径を予め測定しておき、表面被覆層形成後の外径、さらに耐久使用後の外径を測定し、その差分をコート膜厚及び削れ量とした。
【0169】
以下に本発明の実施態様を示す。
【0170】
〔実施態様1〕
潜像担持体上に形成された潜像を、現像剤担持体表面に搬送担持された現像剤により現像し可視化するための現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
円筒状もしくは円柱状の金属基体表面に樹脂被覆層を有し、該樹脂被覆層が、正帯電性樹脂及びメソカーボンマイクロビーズ粒子またはバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子を少なくとも含有していることを特徴とする現像剤担持体。
【0171】
〔実施態様2〕
現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置であって、上記現像剤担持体が、実施態様1の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。
【0172】
〔実施態様3〕
潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするための、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、該記潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像手段とを少なくとも有し、該現像手段は、現像剤を収容する現像剤容器、及び該現像剤容器内に収容されている現像剤を担持し、且つ該現像剤を現像領域へ搬送するための現像剤担持体を有し、前記潜像担持体及び現像手段が一体化され、該現像剤担持体が、実施態様1の現像剤担持体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0173】
〔実施態様4〕
実施態様1〜3のいずれかにおいて、正帯電性樹脂がアミノ樹脂である。
【0174】
〔実施態様5〕
実施態様4において、アミノ樹脂がメラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂または尿素樹脂である。
【0175】
〔実施態様6〕
実施態様1〜5のいずれかにおいて、黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)が、0.20≦p(002)≦0.95である。
【0176】
〔実施態様7〕
実施態様1〜6のいずれかにおいて、黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm〜25μmである。
【0177】
【実施例】
次に、具体的実施例をもって、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。尚、以下の配合における「部」及び「%」は、特にことわらない限りすべて「質量部」及び「質量%」である。
【0178】
〔現像剤担持体の製造例1〕
樹脂被覆層を形成するための樹脂として、表1に挙げたメチルエーテル化メラミン樹脂(A−1)とビスフェノール型ポリエステル樹脂(A−8)を選択した。先ず、A−1:30部とA−8:70部、及びメタノール220部(樹脂溶液中のメタノール込み)をφ2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行ない、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製した。このサンプル板を接地した状態で、23℃、60%RH環境下にて一晩放置させた。これを前述した方法によって鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。なお、表1に挙げた各々の樹脂(単独)の帯電極性も、上記と同様の方法によって測定した結果を記載した。
【0179】
次に、黒鉛化粒子として、メソカーボンマイクロビーズ粒子を酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に2800℃で焼成することにより黒鉛化して得た個数平均径5.5μmの黒鉛化粒子B−1を用いた。黒鉛化粒子B−1の物性は表2に示した。さらに、表3には樹脂被覆層に凹凸を付与するための粒子の物性を記載した。
【0180】
樹脂A−1(メタノール50%含有溶液) 60部
樹脂A−8(メタノール50%含有溶液) 140部
黒鉛化粒子B−1 36部
導電性カーボンブラック 4部
凹凸形成粒子C−1 12部
メタノール 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて2時間分散し、フルイを用いてビーズを分離し、メタノールで固形分を35%に調整し塗工液を得た。この塗工液を用い、外径20mmφ、中心線平均粗さRa=0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を垂直に立て、一定速度で回転させるとともに、上下端部にマスキングを施し、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布することによって樹脂被覆層を形成させた。続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体(現像スリーブ)S−1を作成した。表4に該現像剤担持体S−1の樹脂被覆層の処方と物性を挙げた。
【0181】
〔現像剤担持体の製造例2〜10及び比較製造例1〜7〕
表4に記載した処方により、現像剤担持体の製造例1と同様にしてメタノールにて固形分を35%に調整した塗工液を作成した後、表面に樹脂被覆層を有する現像剤担持体S−2〜S−17を製造した。尚、樹脂層の帯電極性に関しても現像剤担持体の製造例1と同様に、樹脂以外の成分を除いた溶液を作成し、SUS板上にバーコーターした後に鉄粉との摩擦帯電極性を測定した。
【0182】
【表1】
Figure 2004184661
【0183】
【表2】
Figure 2004184661
【0184】
【表3】
Figure 2004184661
【0185】
【表4】
Figure 2004184661
【0186】
〔現像剤の製造例1〕
スチレン 68.5部
アクリル酸2−エチルヘキシル 20部
マレイン酸モノブチル 10部
ジビニルベンゼン 1.5部
ベンゾイルパーオキサイド 1部
ジ−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.5部
上記混合物にポリビニルアルコール部分ケン化物0.8部を溶解した水200部を加え、激しく攪拌させて懸濁分散液とした。さらに、水50部を加え、窒素置換した反応器に上記懸濁分散液を添加し、反応温度80℃にて9時間懸濁重合反応させた。反応終了後、水洗し、脱水、乾燥工程を経て、ビニル系樹脂(1)を得た。
【0187】
上記ビニル系樹脂(1) 100部
マグネタイト 90部
アゾ系鉄錯体化合物(負帯電性荷電制御剤) 2部
低分子量エチレン−プロピレン共重合体 3部
上記混合物を130℃に加熱した2軸混練押し出し機にて混練した。得られた混練物を冷却した後、ハンマーミルで粗粉砕し、該粗粉砕物をジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で、超微粉及び粗粉を同時に分級除去して、重量平均粒径(D4)が7.3μmのトナー粒子を得た。
【0188】
このトナー粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザン及びジメチルシリコーンオイル処理を施した負帯電性疎水性シリカ微粉末(BET比表面積:300m/g)を1.5部、チタン酸ストロンチウム4.5部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、本発明に使用する一成分系負帯電性磁性現像剤(トナー1)を得た。
【0189】
〔実施例1〕
前述の現像剤担持体S−1にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けた。この現像剤担持体S−1を、静電潜像担持体としてOPCドラムを使用したキヤノン製デジタル複写機IR2000(230V機仕様)の現像器に組み込み、上記トナー1を用いて1枚/10秒の間欠モードで5万枚画出しを行った。画像評価は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)、低温低湿度環境(15℃、10%RH;L/L)及び高温高湿度環境(32℃、85%RH;H/H)において実施した。尚、現像装置の概略は、図6に挙げたようなものであり、現像剤層厚規制部材としては、ウレタンゴムからなる弾性ブレードを使用した。画像評価の結果は表5に挙げたように、いずれの環境下においても終始良好な現像性を得ることができた。評価方法及び評価基準は以下の通りである。
【0190】
(1)画像濃度
画像比率5.5%であるテストチャート上の5mmφ丸部のコピー画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス製)により反射濃度測定を行い、10点の平均値をとって画像濃度とした。
【0191】
(2)カブリ
適正画像におけるベタ白画像の反射率を測定し、さらに未使用の転写紙の反射率を測定し、(ベタ白画像の反射率の最悪値−未使用転写紙の反射率の平均値)をカブリ濃度とし、評価結果を下記の指標にて示した。(但し、反射率の測定はランダムに10点の測定を行なった。)反射率はTC−6DS(東京電色製)によって測定を行なった。
A:1.0%以下(目視ではカブリは認められない)
B:1.0〜2.0%(注視しなければカブリは認められない)
C:2.0〜3.0%(カブリはあるものの実用上問題なし)
D:3.0%以上(カブリが目立ちNGレベル)
【0192】
(3)スリーブゴースト
ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像スリーブの位置が、現像スリーブの次の回転時には現像位置に来て、ハーフトーン画像を現像するようにして、ハーフトーン画像上に現れる濃淡差を目視で下記の基準に基づいて評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:実用上問題となる濃淡差がスリーブ1周分以上出る。
【0193】
(4)ブロッチ(画像不良)
ベタ黒、ハーフトーン、ライン画像等の各種画像及び、その際、現像スリーブ上の波状ムラ、及びブロッチ(斑点状ムラ)等、スリーブ上でのトナーコート不良の目視による観察を参考にして、評価結果を下記の基準に基づいて評価した。
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:スリーブ上でわずかに確認できるが、画像ではほとんど確認できない。
C:ハーフトーン画像またはベタ黒画像で確認できるが実用可。
D:ベタ黒画像全体で実用上問題となる画像不良が確認できる。
E:ベタ白画像上にも実用上問題となる画像不良が確認できる。
【0194】
(5)ハーフトーン均一性(白スジ、白帯)
特にハーフトーンに発生する、画像進行方向に走る、線状、帯状のスジについて、下記基準にて評価した。
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:ハーフトーンでは確認できるが、ベタ黒では問題ないレベル。
C:ベタ黒画像でも濃淡差が確認できるが、実用可
D:ベタ黒画像全体で実用上問題となる濃淡差が目立つ。
E:濃度が低く、スジの非常に多い画像。
【0195】
(6)画質
A:倍率が10倍のルーペで見ても飛び散りのない鮮明な画像である。
B:目視で見る限り鮮明な画像である。
C:若干飛び散りが見られるものの実用上問題ない。
D:飛び散り以外に文字のカスレが目立つ。
【0196】
(7)樹脂被覆層の耐摩耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0197】
(8)樹脂被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をKEYENCE社製の超深度形状測定顕微鏡を用いて、約200倍で観察し、トナー汚染の程度を下記の基準に基づいて評価した。
A:軽微な汚染しか観察されない。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0198】
〔実施例2〜10及び比較例1〜7〕
現像剤担持体S−1〜S−17を用い、実施例1と同様の評価方法にて、画像評価を行なった。結果は表5、表6に挙げた。
【0199】
【表5】
Figure 2004184661
【0200】
【表6】
Figure 2004184661
【0201】
〔現像剤担持体の製造例11〜15及び比較製造例8〜10〕
表7に記載した処方により、現像剤担持体の製造例1と同様にしてメタノールにて固形分を35%に調整した塗工液を作成した後、表面に樹脂被覆層を有する現像剤担持体S−18〜S−25を製造した。但し、スリーブ素管としては、外径24.5mmφ、中心線平均粗さRa=0.3μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を用いた。尚、樹脂層の帯電極性に関しても現像剤担持体(現像スリーブ)の製造例1と同様に、樹脂以外の成分を除いた溶液を作成し、SUS板上にバーコーターした後に鉄粉との摩擦帯電極性を測定した。
【0202】
〔現像剤の製造例2〕
エチレンオキサイド付加ビスフェノールA 33モル%
プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA 24モル%
テレフタル酸 26モル%
n−ドデセニルコハク酸 12モル%
トリメリット酸 5モル%
上記原料を5リットル4口フラスコに仕込み、還流冷却器、水分離装置、Nガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、フラスコ内にNガスを導入しながら180℃で縮合重合反応を行い、反応終了後、水洗し、脱水、乾燥工程を経て、ポリエステル樹脂(2)を得た。
【0203】
上記ポリエステル系樹脂(2) 100部
マグネタイト 90部
アゾ系鉄錯体化合物(負帯電性荷電制御剤) 2部
フィッシャートロプシュワックス 5部
上記材料を用い、現像剤の製造例1と同様の方法にて重量平均粒径(D4)が6.3μmのトナー粒子を得た。
【0204】
このトナー粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで処理を施した負帯電性疎水性シリカ微粉末(BET比表面積:300m/g)を1.2部、チタン酸ストロンチウム4.0部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、本発明に使用する一成分系負帯電性磁性現像剤(トナー2)を得た。
【0205】
〔実施例11〜15及び比較例8〜10〕
前述の現像剤担持体S−18〜S−25にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けた。この現像剤担持体を、静電潜像担持体としてアモルファスシリコンドラムを使用したキヤノン製デジタル複写機IR6000の現像器に組み込み、上記トナー2を用いて連続モードで10万枚画出しを行った。画像評価は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)、低温低湿度環境(15℃、10%RH;L/L)及び高温高湿度環境(32℃、85%RH;H/H)において実施した。尚、現像装置の概略は、図5に挙げたようなものであり、現像剤層厚規制部材としては、磁性ブレードを使用した。画像評価の結果は表8に挙げた。
【0206】
〔現像剤担持体の製造例16〜20及び比較製造例11〜13〕
表7に記載した処方により、現像剤担持体の製造例1と同様にしてメタノールにて固形分を35%に調整した塗工液を作成した後、表面に樹脂被覆層を有する現像剤担持体S−26〜S−33を製造した。但し、スリーブ素管としては、外径16mmφ、中心線平均粗さRa=0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を用いた。尚、樹脂層の帯電極性に関しても現像剤担持体(現像スリーブ)の製造例1と同様に、樹脂以外の成分を除いた溶液を作成し、SUS板上にバーコーターした後に鉄粉との摩擦帯電極性を測定した。
【0207】
〔現像剤の製造例3〕
高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中に、イオン交換水880部と0.1モル/リットル−NaPO水溶液450部を添加し、回転数を12000rpmに調整し、58℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−CaCl水溶液68部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散剤Ca(POを含む分散媒系を調製した。
【0208】
一方、分散質系は、
スチレンモノマー 170部
n−ブチルアクリレートモノマー 40部
C.I.ピグメンブルー15:3 14部
飽和ポリエステル樹脂 16部
(テレフタル酸とエチレンオキサイド付加ビスフェノールAをモル比で550で混合し、縮重合して得られたもの)
ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム化合物(負帯電性荷電制御剤) 2部
エステル系ワックス 20部
上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を添加し分散物を得た。これを上記分散媒中に投入し回転数を維持しつつ12分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、内温を80℃に昇温させ50rpmで重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。さらに洗浄及び乾燥してシアントナー粒子を得た。該シアントナーの重量平均粒径(D4)は7.3μmであった。このトナー粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザン処理を施した負帯電性疎水性シリカ微粉末(BET比表面積:300m/g)を1.3部、チタン酸ストロンチウム0.5部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合した。該現像剤をトナー3とする。
【0209】
〔実施例16〜20及び比較例11〜13〕
現像剤担持体S−26〜S−33を、静電潜像担持体としてOPCドラムを使用したキヤノン製カラーレーザービームプリンターLBP2030改造機のシアントナー用現像器に組み込み、上記トナー3を用いて連続モードで3万枚画出しを行った。画像評価は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)、低温低湿度環境(15℃、10%RH;L/L)及び高温高湿度環境(32℃、85%RH;H/H)において実施した。尚、現像装置の概略は、図6に挙げたようなものを非磁性現像剤用に改造したものであり、現像剤層厚規制部材としては、リン青銅薄板上にショアーD硬度40度のポリアミドポリエーテルエラストマーを射出成形にて設けて改造した弾性規制部材を用いた。画像評価の結果は表9に挙げた。
【0210】
【表7】
Figure 2004184661
【0211】
【表8】
Figure 2004184661
【0212】
【表9】
Figure 2004184661
【0213】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、いかなる環境下においても、濃度低下、画像濃度ムラ、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、均一で濃度ムラが無く、画像濃度が高い高精細な画像を安定して得ることのできる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0214】
また本発明によって、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いた場合等に見られる、現像剤担持体表面へのトナー付着を軽減させることにとり、トナーの不均一な帯電を制御すると共にトナーに十分な帯電を与えることのできる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0215】
さらに本発明によって、長期にわたる耐久による現像剤担持体表面の樹脂被覆層の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、終始安定した画質が得られる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0216】
またさらに、本発明によって、長期間にわたる連続複写においても現像剤担持体上の現像剤に高くて均一な帯電を付与するとともに、チャージアップ現象の発生もなく安定した電荷を常時付与することで、耐久中の画像濃度低下や均一で濃度ムラやカブリのない高品位の画像を得ることのできる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤担持体の一実施形態の部分断面を示す模式図である。
【図2】本発明の現像剤担持体の一実施形態の部分断面を示す模式図である。
【図3】本発明の現像剤担持体の一実施形態の部分断面を示す模式図である。
【図4】本発明の現像剤担持体の一実施形態の部分断面を示す模式図である。
【図5】本発明の現像装置の一実施形態の概略的説明図である。
【図6】本発明の現像装置の一実施形態の概略的説明図である。
【図7】本発明のプロセスカートリッジの一実施形態の概略説明図である。
【図8】本発明の現像剤担持体の樹脂被覆層を形成する結着樹脂の帯電極性を測定するための表面帯電量測定装置の概略的説明図である。
【符号の説明】
1 樹脂被覆層
2 基体
3 マグネットローラ
11 黒鉛化粒子
12 結着樹脂
13 導電剤
14 固体潤滑剤
15 球状粒子
51 感光ドラム
52 磁性規制ブレード
53 現像容器
54 仕切部材
55 攪拌搬送部材
56 金属円筒管
57 樹脂被覆層
58 現像スリーブ(現像剤担持体)
59 磁石
60 現像ローラー
61 攪拌部
62 現像剤供給部材
63 現像バイアス電源
64 第一室
65 第二室
67 弾性規制ブレード
70 プロセスカートリッジ
71 現像手段
72 クリーニング手段
72a クリーニングブレード
73 接触帯電手段
81 鉄粉
82 滴下器
83 サンプル
84 受容器
85 電位計
86 コンデンサー

Claims (3)

  1. 潜像担持体上に形成された潜像を、現像剤担持体表面に搬送担持された現像剤により現像し可視化するための現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
    円筒状もしくは円柱状の金属基体表面に樹脂被覆層を有し、該樹脂被覆層が、正帯電性樹脂及びメソカーボンマイクロビーズ粒子またはバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子を少なくとも含有していることを特徴とする現像剤担持体。
  2. 現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置であって、上記現像剤担持体が、請求項1に記載の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。
  3. 潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするための、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
    静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、該記潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像手段とを少なくとも有し、該現像手段は、現像剤を収容する現像剤容器、及び該現像剤容器内に収容されている現像剤を担持し、且つ該現像剤を現像領域へ搬送するための現像剤担持体を有し、前記潜像担持体及び現像手段が一体化され、該現像剤担持体が、請求項1に記載の現像剤担持体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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