JP2004183845A - 回動軸トルク付加機構及びパイル型ヒンジ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構及びヒンジを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回動軸トルク付加機構及びパイル型ヒンジに関し、詳細にはノートパソコンや携帯電話機等のディスプレイなどを開閉する際に用いられるチルトヒンジの回動軸シャフトに加わる回動トルクを簡単な構造で付加及び調整でき、かつ汎用性に富むパイル型ヒンジの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−65543号公報
従来のチルトヒンジを用いたノートパソコンや携帯電話機等のディスプレイなど(以下蓋体と称す)を開閉する場合、90度〜170度開いて使用するのが一般的である。この蓋体を約130度以上開いて使用すると、比較的重量のある蓋体は使用中に倒れ易くなるものがある。そのため、防止方法として開閉トルクを高く設定したものが多くあった。また、従来の1軸のシャフトから成るチルトヒンジにおいては、高い開閉トルクを得ることは困難であり、高い開閉トルクを得ようとすると大型にならざるを得なかったのが現状である。
【0003】
一方、開閉トルクを高くできたとしても、蓋体を開く際、重く感じ、スムーズな開閉操作ができないと共に、蓋体に追従して装置本体が持ち上がり易くなり、片手で装置本体側を押えながら、他方の手で蓋体を開かなければならなくなる。このため、蓋体を開く際に、軽く開くことができ、かつ中間位置でも任意に停止保持することができるような構造の技術が従来からいくつか提案されている。その一つとして、上記特許文献1には、従来例のチルトヒンジの構成を示す分解斜視図である図7に示すように、シャフト1と、このシャフト1に装着すると共に一端に折曲された突起21を有する3本以上のコイルスプリング2と、シャフト1の一端が軸支される穴を有すると共に中央側に突起21が嵌入されるスリット32及びスリット32から開口側端部に渡って他の突起21が所定角度回転するための切欠33を有する軸受筒3とから少なくとも構成する、開閉トルクが変動可能なチルトヒンジが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1によれば、複数のコイルスプリングの組合せによって開閉トルクを変動可能にしたものであり、経時や回動回数に伴い当初のトルクを維持可能な期間が非常に短く、耐久性に問題があった。また、トルクは主にコイルスプリングの弾性力のみによって設定されているため、所望のトルクを得るためにはコイルスプリングの材質から限界がある。更に、取り付けアームで被取付対象物に取り付けるため、取り付け箇所を確保しなければならず汎用性に乏しい。
【0005】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構及びパイル型ヒンジを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構を提供することができる。
【0007】
また、筐体の軸方向に対して垂直な断面外形は、機構本体を取り付ける取付対象物側の取付孔の内形状に応じた形状を成す。更に、筐体の軸方向に対して垂直な断面内形は、固定軸受部材の外形の形状に応じた形状を成す。また、固定軸受部材及び回動軸受部材の表面には摩擦を生じる加工が施される。更に、固定軸受部材に隣接する部材は、少なくとも回動軸受部材である。
【0008】
更に、別の発明としての、一方の被取付対象物と他方の被取付対象物とを連結し双方の被取付対象物の成す折畳角度を調整し、かつ所望の角度において当該角度を保持可能なヒンジは、一方の被取付対象物に取り付けられる筐体と、他方の被取付対象物に取り付けられ、所望の角度に回動する回動軸と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、筐体内に当接し合うように挿入して重ね合う固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができるヒンジを提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材とを有する。そして、更には、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有する。
【0010】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係る回動軸トルク付加機構の全体構成を示す断面図である。図2は図1の左側面図であり、図3は図1の右側面図である。なお、同図に示す本実施例の回動軸トルク付加機構は、ヒンジを例にして説明するものとする。図1〜図3において、ヒンジ10は、回転軸11、筐体12、固定軸受角スペーサ13、回動軸受丸スペーサ14、コイルスプリング15、取付部材16及び係止部材17を含んで構成されている。また、筐体12は一方の開口部12−1と他方の開口部12−2を有する筒状を成している。そして、少なくとも内形断面形状は四角形を成しているが三角形等の多角形を成しても良く、外形は被取付対象物の取付孔の内形状に応じた形状を成し、被取付対象物に固定される。また、一方の開口部12−1は後述する固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を挿入できる開口径を有し、更に他方の開口部12−2は挿入された固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を当接して係止するために少なくとも各スペーサの径より小さい開口径を有している。更に、固定軸受角スペーサの構成を示す図4の(a),(b)のように、固定軸受角スペーサ13の外形は筐体12の少なくとも内形状に応じた形状であり、かつ内形である開口部は図示のように円形状を成して回転軸11の外形に対して挿通可能となっている。本実施例では四角形を成していると共に所望の回動トルクに係る摩擦係数を有する材料で形成されている。また、固定軸受角スペーサ13の片面又は両面は摩擦を生じる加工を施してもよい。次に、回動軸受丸スペーサの構成を示す図5の(a),(b)のように、回動軸受丸スペーサ14は、回転軸11の断面形状である多角形、本実施例では後述する図6の(a)のA−A’線断面図である図6の(d)に示すように四角形の外形に嵌着されるような四角形を成していると共に所望の回動トルクに係る摩擦係数を有する材料、例えば可塑性樹脂、金属、セラミックなどで形成されている。筐体12の内部に回動軸11を挿通して更に固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を回動軸11に挿通係合させて後、コイルスプリング15を回動軸11に挿通する。そして、コイルスプリング15を押圧しながら取付部材16を筐体12の一方の開口部12−1に取り付け、更に係止部材17を回動軸11の端部に設けられた、後述する切欠き部に噛ませて取付部材16を架締めて固定させる。よって、押圧されたままのコイルスプリング15によって生じる弾性力が固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14に付加されることになる。
【0011】
次に、本実施例の回動トルク付加機構の一例であるヒンジを組み立てる工程について説明する。
先ず、筐体12の他方の開口部12−2から回動軸11が挿通された後、筐体12の一方の開口部12−1から挿入して回動軸11に軸通して固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を交互に、または多種の順に挿通していく。ここで、固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14の枚数においても所望の回動トルクに応じて変え、その枚数も隣接するスペースが固定軸受角スペース13又は回動軸受丸スペース14によっても異なるが、予め多種の順番組合せを行った際の回動トルク値を測定しておき、その測定結果に基づいて所望の回動トルクにおけるスペーサの順番組合せに対する各スペーサの統計表を予め作成しておく。その統計表の順番組合せと枚数に従って各スペーサを挿入する。スペーサの挿入が終了した後、コイルスプリング15を挿入し、筐体の一方の開口部12−1の端部に設けられた切欠き部に取付部材16を嵌着させる。そして、回動軸11の端部に設けられた切欠き部に係止部材17を嵌入させて取付部材16を架締めて固定させると共に、回動軸11は回動可能な程度に締め付けられる。
【0012】
このような構造を有する本実施例の回動軸トルク付加機構の一例であるヒンジを被取付対象物、例えば折り畳み式携帯電話の本体側又はモニタ側に取り付けてヒンジの回動軸を動かした際の動作について図1〜図6を用いて以下に説明する。
【0013】
先ず、一方の被取付対象物、例えば携帯電話の本体側の設けられた取付孔に装填されて取り付けられるヒンジ本体の回動軸11に図示していない回動腕が他方の被取付対象物、例えば携帯電話のモニタ側に取り付けられる。そのモニタ側を開き、回動軸11を回動させると、筐体12内に挿入され、コイルスプリング15によって押圧された回動軸受丸スペーサ14が固定軸受角スペーサ13に当接し合いながら摩擦回動する。よって、固定軸受角スペーサ13と連結する回動軸11に所望の回動トルクが付加される。ここで、固定軸受角スペーサ13が有する摩擦係数と、回動軸受丸スペーサ14が有する摩擦係数とを組合せることにより、所望の回動トルクを得ることができる。この組合せのパラメータとしては、各スペースの枚数、挿通順位、当接面積などがある。所望の回動トルクを得るためには、このような組合せのパラメータによって、上述したように予め多種の順番組合せを行った際の回動トルク値を測定した測定結果に基づいて所望の回動トルクにおけるスペーサの順番組合せに対して予め作成した各スペーサの統計表の順番組合せと枚数に従うことで達成できる。なお、回動軸11の任意の回動角度を得るために、スプリングコイル15と取付部材16との間に、任意の回動角度毎に溝や突起部などのストッパを有する角度設定部材を設けてもよい。また、当該角度設定部材におけるストッパ部分に導電性部材または非導電性部材を形成して所定の角度において電気的なオン/オフを行うこともできる。
【0014】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構を提供することができる。
【0016】
また、筐体の軸方向に対して垂直な断面外形は、機構本体を取り付ける取付対象物側の取付孔の内形状に応じた形状を成し、更に筐体の軸方向に対して垂直な断面内形は、固定軸受部材の外形の形状に応じた形状を成すことが好ましい。また、固定軸受部材及び回動軸受部材の表面には摩擦を生じる加工が施されることにより耐久性を向上させることができる。更に、固定軸受部材に隣接する部材は、少なくとも回動軸受部材であることが好ましい。
【0017】
更に、別の発明としての、一方の被取付対象物と他方の被取付対象物とを連結し双方の被取付対象物の成す折畳角度を調整し、かつ所望の角度において当該角度を保持可能なヒンジは、一方の被取付対象物に取り付けられる筐体と、他方の被取付対象物に取り付けられ、所望の角度に回動する回動軸と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、筐体内に当接し合うように挿入して重ね合う固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができるヒンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る回動軸トルク付加機構の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】図1の固定軸受角スペーサの構成を示す図である。
【図5】図1の回動軸受丸スペーサの構成を示す図である。
【図6】図1の回動軸の構成を示す図である。
【図7】従来例のチルトヒンジの構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10;ヒンジ10、11;回転軸、12;筐体、
12−1;一方の開口部、12−2;他方の開口部、
13;固定軸受角スペーサ、14;回動軸受丸スペーサ、
15;コイルスプリング、16;取付部材、17;係止部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は回動軸トルク付加機構及びパイル型ヒンジに関し、詳細にはノートパソコンや携帯電話機等のディスプレイなどを開閉する際に用いられるチルトヒンジの回動軸シャフトに加わる回動トルクを簡単な構造で付加及び調整でき、かつ汎用性に富むパイル型ヒンジの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−65543号公報
従来のチルトヒンジを用いたノートパソコンや携帯電話機等のディスプレイなど(以下蓋体と称す)を開閉する場合、90度〜170度開いて使用するのが一般的である。この蓋体を約130度以上開いて使用すると、比較的重量のある蓋体は使用中に倒れ易くなるものがある。そのため、防止方法として開閉トルクを高く設定したものが多くあった。また、従来の1軸のシャフトから成るチルトヒンジにおいては、高い開閉トルクを得ることは困難であり、高い開閉トルクを得ようとすると大型にならざるを得なかったのが現状である。
【0003】
一方、開閉トルクを高くできたとしても、蓋体を開く際、重く感じ、スムーズな開閉操作ができないと共に、蓋体に追従して装置本体が持ち上がり易くなり、片手で装置本体側を押えながら、他方の手で蓋体を開かなければならなくなる。このため、蓋体を開く際に、軽く開くことができ、かつ中間位置でも任意に停止保持することができるような構造の技術が従来からいくつか提案されている。その一つとして、上記特許文献1には、従来例のチルトヒンジの構成を示す分解斜視図である図7に示すように、シャフト1と、このシャフト1に装着すると共に一端に折曲された突起21を有する3本以上のコイルスプリング2と、シャフト1の一端が軸支される穴を有すると共に中央側に突起21が嵌入されるスリット32及びスリット32から開口側端部に渡って他の突起21が所定角度回転するための切欠33を有する軸受筒3とから少なくとも構成する、開閉トルクが変動可能なチルトヒンジが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1によれば、複数のコイルスプリングの組合せによって開閉トルクを変動可能にしたものであり、経時や回動回数に伴い当初のトルクを維持可能な期間が非常に短く、耐久性に問題があった。また、トルクは主にコイルスプリングの弾性力のみによって設定されているため、所望のトルクを得るためにはコイルスプリングの材質から限界がある。更に、取り付けアームで被取付対象物に取り付けるため、取り付け箇所を確保しなければならず汎用性に乏しい。
【0005】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構及びパイル型ヒンジを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構を提供することができる。
【0007】
また、筐体の軸方向に対して垂直な断面外形は、機構本体を取り付ける取付対象物側の取付孔の内形状に応じた形状を成す。更に、筐体の軸方向に対して垂直な断面内形は、固定軸受部材の外形の形状に応じた形状を成す。また、固定軸受部材及び回動軸受部材の表面には摩擦を生じる加工が施される。更に、固定軸受部材に隣接する部材は、少なくとも回動軸受部材である。
【0008】
更に、別の発明としての、一方の被取付対象物と他方の被取付対象物とを連結し双方の被取付対象物の成す折畳角度を調整し、かつ所望の角度において当該角度を保持可能なヒンジは、一方の被取付対象物に取り付けられる筐体と、他方の被取付対象物に取り付けられ、所望の角度に回動する回動軸と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、筐体内に当接し合うように挿入して重ね合う固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができるヒンジを提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材とを有する。そして、更には、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有する。
【0010】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係る回動軸トルク付加機構の全体構成を示す断面図である。図2は図1の左側面図であり、図3は図1の右側面図である。なお、同図に示す本実施例の回動軸トルク付加機構は、ヒンジを例にして説明するものとする。図1〜図3において、ヒンジ10は、回転軸11、筐体12、固定軸受角スペーサ13、回動軸受丸スペーサ14、コイルスプリング15、取付部材16及び係止部材17を含んで構成されている。また、筐体12は一方の開口部12−1と他方の開口部12−2を有する筒状を成している。そして、少なくとも内形断面形状は四角形を成しているが三角形等の多角形を成しても良く、外形は被取付対象物の取付孔の内形状に応じた形状を成し、被取付対象物に固定される。また、一方の開口部12−1は後述する固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を挿入できる開口径を有し、更に他方の開口部12−2は挿入された固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を当接して係止するために少なくとも各スペーサの径より小さい開口径を有している。更に、固定軸受角スペーサの構成を示す図4の(a),(b)のように、固定軸受角スペーサ13の外形は筐体12の少なくとも内形状に応じた形状であり、かつ内形である開口部は図示のように円形状を成して回転軸11の外形に対して挿通可能となっている。本実施例では四角形を成していると共に所望の回動トルクに係る摩擦係数を有する材料で形成されている。また、固定軸受角スペーサ13の片面又は両面は摩擦を生じる加工を施してもよい。次に、回動軸受丸スペーサの構成を示す図5の(a),(b)のように、回動軸受丸スペーサ14は、回転軸11の断面形状である多角形、本実施例では後述する図6の(a)のA−A’線断面図である図6の(d)に示すように四角形の外形に嵌着されるような四角形を成していると共に所望の回動トルクに係る摩擦係数を有する材料、例えば可塑性樹脂、金属、セラミックなどで形成されている。筐体12の内部に回動軸11を挿通して更に固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を回動軸11に挿通係合させて後、コイルスプリング15を回動軸11に挿通する。そして、コイルスプリング15を押圧しながら取付部材16を筐体12の一方の開口部12−1に取り付け、更に係止部材17を回動軸11の端部に設けられた、後述する切欠き部に噛ませて取付部材16を架締めて固定させる。よって、押圧されたままのコイルスプリング15によって生じる弾性力が固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14に付加されることになる。
【0011】
次に、本実施例の回動トルク付加機構の一例であるヒンジを組み立てる工程について説明する。
先ず、筐体12の他方の開口部12−2から回動軸11が挿通された後、筐体12の一方の開口部12−1から挿入して回動軸11に軸通して固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14を交互に、または多種の順に挿通していく。ここで、固定軸受角スペース13及び回動軸受丸スペース14の枚数においても所望の回動トルクに応じて変え、その枚数も隣接するスペースが固定軸受角スペース13又は回動軸受丸スペース14によっても異なるが、予め多種の順番組合せを行った際の回動トルク値を測定しておき、その測定結果に基づいて所望の回動トルクにおけるスペーサの順番組合せに対する各スペーサの統計表を予め作成しておく。その統計表の順番組合せと枚数に従って各スペーサを挿入する。スペーサの挿入が終了した後、コイルスプリング15を挿入し、筐体の一方の開口部12−1の端部に設けられた切欠き部に取付部材16を嵌着させる。そして、回動軸11の端部に設けられた切欠き部に係止部材17を嵌入させて取付部材16を架締めて固定させると共に、回動軸11は回動可能な程度に締め付けられる。
【0012】
このような構造を有する本実施例の回動軸トルク付加機構の一例であるヒンジを被取付対象物、例えば折り畳み式携帯電話の本体側又はモニタ側に取り付けてヒンジの回動軸を動かした際の動作について図1〜図6を用いて以下に説明する。
【0013】
先ず、一方の被取付対象物、例えば携帯電話の本体側の設けられた取付孔に装填されて取り付けられるヒンジ本体の回動軸11に図示していない回動腕が他方の被取付対象物、例えば携帯電話のモニタ側に取り付けられる。そのモニタ側を開き、回動軸11を回動させると、筐体12内に挿入され、コイルスプリング15によって押圧された回動軸受丸スペーサ14が固定軸受角スペーサ13に当接し合いながら摩擦回動する。よって、固定軸受角スペーサ13と連結する回動軸11に所望の回動トルクが付加される。ここで、固定軸受角スペーサ13が有する摩擦係数と、回動軸受丸スペーサ14が有する摩擦係数とを組合せることにより、所望の回動トルクを得ることができる。この組合せのパラメータとしては、各スペースの枚数、挿通順位、当接面積などがある。所望の回動トルクを得るためには、このような組合せのパラメータによって、上述したように予め多種の順番組合せを行った際の回動トルク値を測定した測定結果に基づいて所望の回動トルクにおけるスペーサの順番組合せに対して予め作成した各スペーサの統計表の順番組合せと枚数に従うことで達成できる。なお、回動軸11の任意の回動角度を得るために、スプリングコイル15と取付部材16との間に、任意の回動角度毎に溝や突起部などのストッパを有する角度設定部材を設けてもよい。また、当該角度設定部材におけるストッパ部分に導電性部材または非導電性部材を形成して所定の角度において電気的なオン/オフを行うこともできる。
【0014】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回動軸トルク付加機構は、筐体と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができる回動軸トルク付加機構を提供することができる。
【0016】
また、筐体の軸方向に対して垂直な断面外形は、機構本体を取り付ける取付対象物側の取付孔の内形状に応じた形状を成し、更に筐体の軸方向に対して垂直な断面内形は、固定軸受部材の外形の形状に応じた形状を成すことが好ましい。また、固定軸受部材及び回動軸受部材の表面には摩擦を生じる加工が施されることにより耐久性を向上させることができる。更に、固定軸受部材に隣接する部材は、少なくとも回動軸受部材であることが好ましい。
【0017】
更に、別の発明としての、一方の被取付対象物と他方の被取付対象物とを連結し双方の被取付対象物の成す折畳角度を調整し、かつ所望の角度において当該角度を保持可能なヒンジは、一方の被取付対象物に取り付けられる筐体と、他方の被取付対象物に取り付けられ、所望の角度に回動する回動軸と、筐体の内に嵌入され、回動軸に対して固定される固定軸受部材と、筐体の内に挿入され、回動軸に係止される共に回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、筐体内に当接し合うように挿入して重ね合う固定軸受部材及び回動軸受部材に対して押圧して当接する固定軸受部材と回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、弾性部材を取り付ける取付部材と、取付部材と回動軸を係止する係止部材とを有することに特徴がある。よって、被取付対象物の形状等を選ばず、耐久性及び汎用性に富み、かつ所望の回動軸トルクを簡単な構造で得ることができるヒンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る回動軸トルク付加機構の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】図1の固定軸受角スペーサの構成を示す図である。
【図5】図1の回動軸受丸スペーサの構成を示す図である。
【図6】図1の回動軸の構成を示す図である。
【図7】従来例のチルトヒンジの構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10;ヒンジ10、11;回転軸、12;筐体、
12−1;一方の開口部、12−2;他方の開口部、
13;固定軸受角スペーサ、14;回動軸受丸スペーサ、
15;コイルスプリング、16;取付部材、17;係止部材。
Claims (6)
- 回動軸に所望の回動トルクを付加する回動軸トルク付加機構について、
筐体と、
該筐体の内に嵌入され、前記回動軸に対して固定される固定軸受部材と、
前記筐体の内に挿入され、前記回動軸に係止される共に前記回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、
前記固定軸受部材及び前記回動軸受部材に対して押圧して当接する前記固定軸受部材と前記回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、
該弾性部材を取り付ける取付部材と、
該取付部材と前記回動軸を係止する係止部材と
を有することを特徴とする回動軸トルク付加機構。 - 前記筐体の軸方向に対して垂直な断面外形は、機構本体を取り付ける取付対象物側の取付孔の内形状に応じた形状を成す請求項1記載の回動軸トルク付加機構。
- 前記筐体の軸方向に対して垂直な断面内形は、前記固定軸受部材の外形の形状に応じた形状を成す請求項1記載の回動軸トルク付加機構。
- 前記固定軸受部材及び前記回動軸受部材の表面には摩擦を生じる加工が施される請求項1記載の回動トルク付加機構。
- 前記固定軸受部材に隣接する部材は、少なくとも前記回動軸受部材である請求項1、3又は4のいずれかに記載の回動軸トルク付加機構。
- 一方の被取付対象物と他方の被取付対象物とを連結し双方の被取付対象物の成す折畳角度を調整し、かつ所望の角度において当該角度を保持可能なパイル型ヒンジについて、
一方の被取付対象物に取り付けられる筐体と、
他方の被取付対象物に取り付けられ、所望の角度に回動する回動軸と、
該筐体の内に嵌入され、前記回動軸に対して固定される固定軸受部材と、
前記筐体の内に挿入され、前記回動軸に係止される共に前記回動軸と連動して回動する回動軸受部材と、
前記筐体内に当接し合うように挿入して重ね合う前記固定軸受部材及び前記回動軸受部材に対して押圧して当接する前記固定軸受部材と前記回動軸受部材との間に生じる摩擦による回動トルクを発生させる弾性部材と、
該弾性部材を取り付ける取付部材と、
該取付部材と前記回動軸を係止する係止部材と
を有することを特徴とするパイル型ヒンジ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-12-05 JP JP2002354245A patent/JP2004183845A/ja active Pending
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