JP2004175880A - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Abstract
【課題】染料並の発色性が得られ、かつ耐光性においても十分な品質を長期にわたって保持できる水性顔料インクを提供する。
【解決手段】インク中に分散する顔料粒子の粒度分布が
(1)粒径0〜300nmの粒子が80体積%以上、
(2)粒径50nm以下の粒子が10〜60体積%含まれ
(3)粒径50nm以下の粒子と100〜300nmの粒子の割合が体積比で5:1〜1:3の範囲にある。
【選択図】 なし
【解決手段】インク中に分散する顔料粒子の粒度分布が
(1)粒径0〜300nmの粒子が80体積%以上、
(2)粒径50nm以下の粒子が10〜60体積%含まれ
(3)粒径50nm以下の粒子と100〜300nmの粒子の割合が体積比で5:1〜1:3の範囲にある。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料インクを用いたインクジェット記録用インクで、カラー顔料の画像の発色性と耐光性を両立させるインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット用インクの色材としては、主として染料が使われてきたが、染料インクで形成される画像は耐水性、耐光性に劣るため、近年、顔料を色材とするインクの検討が精力的に行われるようになってきた。特にポスター、パネル、サイン、ポップ広告等の産業用途を目的とするワイドフォーマットプリンタ用のインクとして、カラー顔料インクの搭載は必須の条件となってきている。そして、この分野への参入を狙った顔料インクの開発が牽引となって、インクジェット適性を有する様々な顔料の分散方法、製造方法等が提案されるようになった。
【0003】
その結果、インクジェット用顔料インクの当面の課題であったヘッド部分のノズル目詰まり、及び長期間にわたる保存安定性の問題は、当初に比べるとかなり改善されてきている。
【0004】
また、画像の発色性に関しては、カラー顔料インクの発色性向上を目的に、最適化されたインク受容層の開発も並行して進められた結果、専用記録メディアとのセットではあるが着実に改良されつつある。
【0005】
しかしながら、フォト画像を再現する染料の発色性にはいまだ至っていないというのが実状で、そのために顔料の持つ光学的な粒子性をなくすべく顔料の更なる微粒子化が検討されるようになってきた。その具体例として、特開平8−333531号公報、特開平9−40898号公報、特開平9−176543号公報、特開平11−181342号公報などには、ほとんどの顔料粒子を粒子径100nm以下の状態でインク中に分散させる技術が紹介されている。つまり、従来顔料インクの平均粒径が数百nmに対して、数十nmの領域まで微粒子化され、その特性がインクジェットの分野でも明らかにされつつある。
【0006】
そうしたなかで、従来より一般的に言われている微粒子化に伴う耐光性の劣化の問題については、その改善をはかる技術的な手段等の開示はなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みて到達したものである。すなわち本発明は、染料並の発色性が得られ、かつ耐光性においても十分な品質を保持できる水性顔料インクを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成することのできるインクジェット記録用の水性顔料インクは、少なくとも水を主成分とする液媒体と、この液媒体中に均一に分散保持される顔料を含有してなるインクジェット記録用インクにおいて、該インク中に分散している
(1)粒径0〜300nmの粒子が80体積%以上、
(2)粒径50nm以下の粒子が10〜60体積%含まれ、かつ
(3)粒径50nm以下の粒子と100〜300nmの粒子の割合が体積比で5:1〜1:3の範囲にある
ことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、発色性を向上させる手段とは粒子径が50nm以下に微粒子化され、安定に分散された顔料を用いることである。このような顔料を用いて印字した画像の表面を顕微鏡で観察すると、非常に微細な粒子が密に詰まっているため、顔料層表面の凹凸が少ないことがわかる。すなわち、表面が平滑化されることにより、顔料粒子と空気が接触する面積が小さくなるので、顔料粒子と空気の界面で発生する反射、屈折による光の散乱が少なくなり、その結果として画像の発色性が良くなると推測される。
【0010】
しかしながら、50nm以下の微粒子の耐光性を照射する光源別に検討した結果、顔料種により多少差はあるものの、一般的に太陽光に対しては明らかに悪くなる傾向が認められた。つまり、屋外用途、あるいは屋内でも日当たりの良い場所では、画質の劣化が起こることになり、印字直後に得られた鮮やかな画像も色あせてしまうことになる。特にインクジェット記録方法では、吐出性に影響を及ぼすインク粘度の制限からバインダーとなる樹脂の添加量が十分ではないため、画像の表面部分の顔料が樹脂によって十分に被膜、保護されてない。そのために顔料層表面に露出している顔料粒子が多く、これらの顔料粒子は光を直接的に浴びるという状況下に置かれるため、通常の印刷、塗料の場合と比較しても耐光性が劣る傾向にある。
【0011】
そこで、顔料の粒子径と太陽光に対する耐光性との関係を詳細に検討した結果、顔料が本来持っている耐光性の実力が発現される粒子径は、顔料の種類によっても多少異なるが、おおよそ100nm以上であることがわかった。そこで本発明者等は粒径50nm以下と100nm以上の粒子を混ぜることにより画像の発色性と耐光性を両立できるのではないかという思想のもとに鋭意検討を行った結果以下のような知見を得るにいたった。
【0012】
すなわち、粒径100〜300nmの粒子が本発明で規定する範囲の割合で含まれていれば、粒径100〜300nmの粒子が顔料層の中で形成する隙間を粒径50nm以下の粒子が埋めることが可能であることがわかった。つまり、画像表面の平滑性を維持することができるため、良好な発色性が得られるということである。
【0013】
しかし、粒径300nm以上の粒子が全体の20体積%以上含まれると、先に述べたように顔料層の表面の凹凸が大きくなるために、粒径50nm以下の粒子で埋めつくせない部分が発生することがわかった。そのため平滑性が失われ、発色性が悪くなるという不具合が生じることになる。
【0014】
本発明において、インク中に含まれる粒径50nm以下の粒子が10体積%以下になると、顔料層の表面を平滑にするには量的に不足するために良好な発色性が得られなくなり、60体積%以上含まれると耐光性が悪くなるという結果得られた。
【0015】
また、粒径50nm以下の粒子と粒径100〜300nmの粒子の混合比が体積で5:1〜1:3の範囲の時に、顔料種による差も含めて概ね発色性と耐光性が両立できることが確認できた。この混合比から外れた範囲における画像の発色性及び耐光性については、先に述べたような理由により両性能のバランスが取れないという問題が起きることになる。
【0016】
次に本発明で使用される顔料について説明する。一般的な無機顔料、有機顔料であればほとんど使用可能であり、例えば無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、チャネル法、ファーネス法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。さらに上記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものなど、水相に分散可能なものであれば特に限定されるものではない。
【0017】
これらの顔料種のなかでも本発明を実施するうえで特に好ましいカラー顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー74、93、109、128、138、147、151、155、173、180等の黄色顔料、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレッット19等の赤色顔料、C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4等の青色顔料を挙げることができる。
【0018】
次に、これらの顔料を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。水溶性樹脂の具体例としては、アルカリ可溶性のスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。
【0019】
また、本発明で分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0020】
本発明の顔料インクは、上記した顔料及び分散剤と、これらを分散させるための水系媒体とを少なくとも有するが、この際に使用する好適な水性媒体としては、水又は、水と水性有機溶剤の混合溶媒を使用することが好ましい。本発明において使用するインクの、インク中における水の含有量は、通常20〜90重量%、好ましくは、30〜70重量%の範囲である。
【0021】
又、本発明において水と混合して使用し得る水溶性有機溶剤としては、下記のごとき3群に分けることができる。即ち、保湿性が高く、蒸発しにくく、親水性に優れる第1群の溶剤、有機性があり疎水性の表面への濡れ性がよく、蒸発乾燥性もある第2群の溶剤、適度の濡れ性を有し低粘度の第3群の溶剤である。本発明においてはこれらの溶剤の中から
目的に応じて適宜に選択して使用すればよい。
【0022】
第1群に属する溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、ダイアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、N―メチルー2―ピロリドン、2―ピロリドン、γ―ブチロラクトン、1,3−ジメチルー2―イミダゾリジノン、スルホラン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイシプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0023】
第2群に属する溶媒としては、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0024】
第3群に属する溶媒としては、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
以上のごとき水溶性有機溶媒の総量は、概ねインク全体に対して5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0025】
本発明の顔料インクには、以上の成分の他、必要に応じて界面活性剤、pH調製剤、防腐剤等を添加することが可能である。
【0026】
本発明の顔料インクは、上記した材料を分散機によって分散して作製されるが、この際の分散機としては、一般に使用される分散機なら如何なるものも使用し得る。具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル等の分散機が挙げられるが、これらの中でも高速度のサンドミルが好ましく、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)等を好ましく使用できる。
【0027】
また、所望の粒径分布を有する顔料の分散液あるいはインクを得る方法としては、下記の方法を用いることができる。例えば、分散機に用いる粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、あるいは、粉砕処理時間を長くする、粉砕速度を遅くする等の方法や粉砕後、フィルターや遠心分離機等で分級する等の手法を用いることができる。もちろん、これらの手法を適宜組合わせてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施例等を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
<実施例1>
スチレン−アクリル酸共重合体(Joncryl 678、ジョンソンポリマー社)とこれを中和するに必要な所定量の水酸化カリウム、及び水を混合して、約60℃に保温した状態でこれらを攪拌混合し、10%のスチレン−アクリル酸共重合体の水溶液を作製した。
【0030】
このようにして作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなシアン顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントブルー 15:3 6部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 14部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、500μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで4時間、分散処理を行った。このシアン顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例1のシアンインクを得た。
【0031】
<実施例2>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなマゼンタ顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントレッド 122 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、300μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度7000rpmで5時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例2のマゼンタインクを得た。
【0032】
<実施例3>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなイエロー顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントイエロー 128 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、300μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで5時間、分散処理を行った。このイエロー顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて5時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例3のイエローインクを得た。
【0033】
<実施例4>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなイエロー顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントバイオレット 19 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
まず、第1のインクとして、これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで3時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。その後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過した。次に第2のインクとして同一の上記材料を、バッチ式縦型サンドミルに仕込み、200μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで6時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(12000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて9時間分散処理を行った後、遠心分離処理(12000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過した。このようにして得られた第1と第2のインクを混合したものを、実施例4のマゼンタインクとした。
【0034】
<実施例5>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなイエロー顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントイエロー 138 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、200μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで5時間、分散処理を行った。このイエロー顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて5時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例5のイエローインクを得た。
【0035】
<比較例1>
実施例1と同一の材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、500μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで4時間、分散処理を行った。このシアン顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、20分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。そして所定の組成になるようにインクを調製した後、このインクを1μmのメンブランフィルターでろ過して、比較例1のシアンインクを得た。
【0036】
<比較例2>
実施例3と同一の材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、500μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで5時間、分散処理を行った。このイエロー顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過し、比較例2のイエローインクを得た。
【0037】
<比較例3>
実施例2と同一の材料を、バッチ式縦型サンドミルに仕込み、200μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで6時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて6時間分散処理を行った後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過し、比較例3のマゼンタインクを得た。
【0038】
(評価方法及び結果)
上記実施例及び比較例のインクについて、粒度分布の測定は日機装(株)社製のマイクロトラックUPA150を用いて行った。その結果を表1に示す。
【0039】
またBJF870プリンタ(キヤノン社製)専用のインクカートリッジに、これらのインクを充填して、キヤノン社製のプロフェッショナルフォトペーパーに印字したフルベタ画像について下記の評価を行った。
【0040】
(1)画像濃度
マクベス社製のマクベス反射濃度計RD−918により、フルベタ画像部分の画像濃度を測定した。その結果を表2に示す。測定値が2以下になると色の鮮やかさが失われてくるので、見劣りのする画像となる。
【0041】
(2)耐光性
アトラス社製の試験装置Ci35A(光源:キセノンアークランプ)に、フルベタ画像が印字されたそれぞれのサンプルを投入し、300時間におよぶ耐光加速試験を行った。そして100時間ごとに耐光試験前後の画像部分のL*、a*、b*座標を分光光度計CMS−500(村上色彩技術研究所)で測定した。これらの測定値から耐光試験前後の色差異の二乗の合計の平方根を計算することにより、色相変化のパラメターとして色差ΔEを求めた。その結果を表2に示す。このΔEの数値が大きい程色相の変化が大きいことを示す。ΔE≦10であれば、実際に目視で観察してもほとんど色の変化が気にならないレベルである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
本発明は、インクジェット記録物の従来からの課題であった高発色性と高堅牢性の両立を可能とするものである。すなわち、改良されたフルカラー顔料を用いて染料並に改善された高発色性の画像を提供できると同時に、本来顔料の持つ高い堅牢性を保持させることにより、得られた画像の高品質を長期間にわたって保証することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料インクを用いたインクジェット記録用インクで、カラー顔料の画像の発色性と耐光性を両立させるインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット用インクの色材としては、主として染料が使われてきたが、染料インクで形成される画像は耐水性、耐光性に劣るため、近年、顔料を色材とするインクの検討が精力的に行われるようになってきた。特にポスター、パネル、サイン、ポップ広告等の産業用途を目的とするワイドフォーマットプリンタ用のインクとして、カラー顔料インクの搭載は必須の条件となってきている。そして、この分野への参入を狙った顔料インクの開発が牽引となって、インクジェット適性を有する様々な顔料の分散方法、製造方法等が提案されるようになった。
【0003】
その結果、インクジェット用顔料インクの当面の課題であったヘッド部分のノズル目詰まり、及び長期間にわたる保存安定性の問題は、当初に比べるとかなり改善されてきている。
【0004】
また、画像の発色性に関しては、カラー顔料インクの発色性向上を目的に、最適化されたインク受容層の開発も並行して進められた結果、専用記録メディアとのセットではあるが着実に改良されつつある。
【0005】
しかしながら、フォト画像を再現する染料の発色性にはいまだ至っていないというのが実状で、そのために顔料の持つ光学的な粒子性をなくすべく顔料の更なる微粒子化が検討されるようになってきた。その具体例として、特開平8−333531号公報、特開平9−40898号公報、特開平9−176543号公報、特開平11−181342号公報などには、ほとんどの顔料粒子を粒子径100nm以下の状態でインク中に分散させる技術が紹介されている。つまり、従来顔料インクの平均粒径が数百nmに対して、数十nmの領域まで微粒子化され、その特性がインクジェットの分野でも明らかにされつつある。
【0006】
そうしたなかで、従来より一般的に言われている微粒子化に伴う耐光性の劣化の問題については、その改善をはかる技術的な手段等の開示はなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みて到達したものである。すなわち本発明は、染料並の発色性が得られ、かつ耐光性においても十分な品質を保持できる水性顔料インクを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成することのできるインクジェット記録用の水性顔料インクは、少なくとも水を主成分とする液媒体と、この液媒体中に均一に分散保持される顔料を含有してなるインクジェット記録用インクにおいて、該インク中に分散している
(1)粒径0〜300nmの粒子が80体積%以上、
(2)粒径50nm以下の粒子が10〜60体積%含まれ、かつ
(3)粒径50nm以下の粒子と100〜300nmの粒子の割合が体積比で5:1〜1:3の範囲にある
ことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、発色性を向上させる手段とは粒子径が50nm以下に微粒子化され、安定に分散された顔料を用いることである。このような顔料を用いて印字した画像の表面を顕微鏡で観察すると、非常に微細な粒子が密に詰まっているため、顔料層表面の凹凸が少ないことがわかる。すなわち、表面が平滑化されることにより、顔料粒子と空気が接触する面積が小さくなるので、顔料粒子と空気の界面で発生する反射、屈折による光の散乱が少なくなり、その結果として画像の発色性が良くなると推測される。
【0010】
しかしながら、50nm以下の微粒子の耐光性を照射する光源別に検討した結果、顔料種により多少差はあるものの、一般的に太陽光に対しては明らかに悪くなる傾向が認められた。つまり、屋外用途、あるいは屋内でも日当たりの良い場所では、画質の劣化が起こることになり、印字直後に得られた鮮やかな画像も色あせてしまうことになる。特にインクジェット記録方法では、吐出性に影響を及ぼすインク粘度の制限からバインダーとなる樹脂の添加量が十分ではないため、画像の表面部分の顔料が樹脂によって十分に被膜、保護されてない。そのために顔料層表面に露出している顔料粒子が多く、これらの顔料粒子は光を直接的に浴びるという状況下に置かれるため、通常の印刷、塗料の場合と比較しても耐光性が劣る傾向にある。
【0011】
そこで、顔料の粒子径と太陽光に対する耐光性との関係を詳細に検討した結果、顔料が本来持っている耐光性の実力が発現される粒子径は、顔料の種類によっても多少異なるが、おおよそ100nm以上であることがわかった。そこで本発明者等は粒径50nm以下と100nm以上の粒子を混ぜることにより画像の発色性と耐光性を両立できるのではないかという思想のもとに鋭意検討を行った結果以下のような知見を得るにいたった。
【0012】
すなわち、粒径100〜300nmの粒子が本発明で規定する範囲の割合で含まれていれば、粒径100〜300nmの粒子が顔料層の中で形成する隙間を粒径50nm以下の粒子が埋めることが可能であることがわかった。つまり、画像表面の平滑性を維持することができるため、良好な発色性が得られるということである。
【0013】
しかし、粒径300nm以上の粒子が全体の20体積%以上含まれると、先に述べたように顔料層の表面の凹凸が大きくなるために、粒径50nm以下の粒子で埋めつくせない部分が発生することがわかった。そのため平滑性が失われ、発色性が悪くなるという不具合が生じることになる。
【0014】
本発明において、インク中に含まれる粒径50nm以下の粒子が10体積%以下になると、顔料層の表面を平滑にするには量的に不足するために良好な発色性が得られなくなり、60体積%以上含まれると耐光性が悪くなるという結果得られた。
【0015】
また、粒径50nm以下の粒子と粒径100〜300nmの粒子の混合比が体積で5:1〜1:3の範囲の時に、顔料種による差も含めて概ね発色性と耐光性が両立できることが確認できた。この混合比から外れた範囲における画像の発色性及び耐光性については、先に述べたような理由により両性能のバランスが取れないという問題が起きることになる。
【0016】
次に本発明で使用される顔料について説明する。一般的な無機顔料、有機顔料であればほとんど使用可能であり、例えば無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、チャネル法、ファーネス法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。さらに上記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものなど、水相に分散可能なものであれば特に限定されるものではない。
【0017】
これらの顔料種のなかでも本発明を実施するうえで特に好ましいカラー顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー74、93、109、128、138、147、151、155、173、180等の黄色顔料、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレッット19等の赤色顔料、C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4等の青色顔料を挙げることができる。
【0018】
次に、これらの顔料を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。水溶性樹脂の具体例としては、アルカリ可溶性のスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。
【0019】
また、本発明で分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0020】
本発明の顔料インクは、上記した顔料及び分散剤と、これらを分散させるための水系媒体とを少なくとも有するが、この際に使用する好適な水性媒体としては、水又は、水と水性有機溶剤の混合溶媒を使用することが好ましい。本発明において使用するインクの、インク中における水の含有量は、通常20〜90重量%、好ましくは、30〜70重量%の範囲である。
【0021】
又、本発明において水と混合して使用し得る水溶性有機溶剤としては、下記のごとき3群に分けることができる。即ち、保湿性が高く、蒸発しにくく、親水性に優れる第1群の溶剤、有機性があり疎水性の表面への濡れ性がよく、蒸発乾燥性もある第2群の溶剤、適度の濡れ性を有し低粘度の第3群の溶剤である。本発明においてはこれらの溶剤の中から
目的に応じて適宜に選択して使用すればよい。
【0022】
第1群に属する溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、ダイアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、N―メチルー2―ピロリドン、2―ピロリドン、γ―ブチロラクトン、1,3−ジメチルー2―イミダゾリジノン、スルホラン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイシプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0023】
第2群に属する溶媒としては、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0024】
第3群に属する溶媒としては、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
以上のごとき水溶性有機溶媒の総量は、概ねインク全体に対して5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0025】
本発明の顔料インクには、以上の成分の他、必要に応じて界面活性剤、pH調製剤、防腐剤等を添加することが可能である。
【0026】
本発明の顔料インクは、上記した材料を分散機によって分散して作製されるが、この際の分散機としては、一般に使用される分散機なら如何なるものも使用し得る。具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル等の分散機が挙げられるが、これらの中でも高速度のサンドミルが好ましく、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)等を好ましく使用できる。
【0027】
また、所望の粒径分布を有する顔料の分散液あるいはインクを得る方法としては、下記の方法を用いることができる。例えば、分散機に用いる粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、あるいは、粉砕処理時間を長くする、粉砕速度を遅くする等の方法や粉砕後、フィルターや遠心分離機等で分級する等の手法を用いることができる。もちろん、これらの手法を適宜組合わせてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施例等を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
<実施例1>
スチレン−アクリル酸共重合体(Joncryl 678、ジョンソンポリマー社)とこれを中和するに必要な所定量の水酸化カリウム、及び水を混合して、約60℃に保温した状態でこれらを攪拌混合し、10%のスチレン−アクリル酸共重合体の水溶液を作製した。
【0030】
このようにして作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなシアン顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントブルー 15:3 6部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 14部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、500μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで4時間、分散処理を行った。このシアン顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例1のシアンインクを得た。
【0031】
<実施例2>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなマゼンタ顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントレッド 122 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、300μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度7000rpmで5時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例2のマゼンタインクを得た。
【0032】
<実施例3>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなイエロー顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントイエロー 128 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、300μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで5時間、分散処理を行った。このイエロー顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて5時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例3のイエローインクを得た。
【0033】
<実施例4>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなイエロー顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントバイオレット 19 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
まず、第1のインクとして、これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで3時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。その後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過した。次に第2のインクとして同一の上記材料を、バッチ式縦型サンドミルに仕込み、200μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで6時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(12000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて9時間分散処理を行った後、遠心分離処理(12000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過した。このようにして得られた第1と第2のインクを混合したものを、実施例4のマゼンタインクとした。
【0034】
<実施例5>
実施例1で作製したスチレン−アクリル酸共重合体を分散剤として用い、以下のようなイエロー顔料分散体を作製した。
・10%スチレン−アクリル酸共重合体水溶液 30部
・ピグメントイエロー 138 8部
・グリセリン 20部
・ジエチレングリコール 20部
・トリエチレングリコール 10部
・水 12部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、200μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで5時間、分散処理を行った。このイエロー顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて5時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過することによって、実施例5のイエローインクを得た。
【0035】
<比較例1>
実施例1と同一の材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、500μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで4時間、分散処理を行った。このシアン顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、20分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。そして所定の組成になるようにインクを調製した後、このインクを1μmのメンブランフィルターでろ過して、比較例1のシアンインクを得た。
【0036】
<比較例2>
実施例3と同一の材料をバッチ式縦型サンドミルに仕込み、500μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度5000rpmで5時間、分散処理を行った。このイエロー顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過し、比較例2のイエローインクを得た。
【0037】
<比較例3>
実施例2と同一の材料を、バッチ式縦型サンドミルに仕込み、200μm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ粉砕媒体速度9000rpmで6時間、分散処理を行った。このマゼンタ顔料分散体を遠心分離処理(10000rpm、30分間)した後、水にて全体を2倍に希釈してインク化した。更にこのインクを上記高速ミルにて6時間分散処理を行った後、遠心分離処理(10000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去した後、所定の組成になるようにインクを調製した。そして、最後にこのインクを1μmのメンブランフィルターでろ過し、比較例3のマゼンタインクを得た。
【0038】
(評価方法及び結果)
上記実施例及び比較例のインクについて、粒度分布の測定は日機装(株)社製のマイクロトラックUPA150を用いて行った。その結果を表1に示す。
【0039】
またBJF870プリンタ(キヤノン社製)専用のインクカートリッジに、これらのインクを充填して、キヤノン社製のプロフェッショナルフォトペーパーに印字したフルベタ画像について下記の評価を行った。
【0040】
(1)画像濃度
マクベス社製のマクベス反射濃度計RD−918により、フルベタ画像部分の画像濃度を測定した。その結果を表2に示す。測定値が2以下になると色の鮮やかさが失われてくるので、見劣りのする画像となる。
【0041】
(2)耐光性
アトラス社製の試験装置Ci35A(光源:キセノンアークランプ)に、フルベタ画像が印字されたそれぞれのサンプルを投入し、300時間におよぶ耐光加速試験を行った。そして100時間ごとに耐光試験前後の画像部分のL*、a*、b*座標を分光光度計CMS−500(村上色彩技術研究所)で測定した。これらの測定値から耐光試験前後の色差異の二乗の合計の平方根を計算することにより、色相変化のパラメターとして色差ΔEを求めた。その結果を表2に示す。このΔEの数値が大きい程色相の変化が大きいことを示す。ΔE≦10であれば、実際に目視で観察してもほとんど色の変化が気にならないレベルである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
本発明は、インクジェット記録物の従来からの課題であった高発色性と高堅牢性の両立を可能とするものである。すなわち、改良されたフルカラー顔料を用いて染料並に改善された高発色性の画像を提供できると同時に、本来顔料の持つ高い堅牢性を保持させることにより、得られた画像の高品質を長期間にわたって保証することが可能となった。
Claims (2)
- 少なくとも水を主成分とする液媒体と、この液媒体中に均一に分散保持される顔料を含有してなるインクジェット記録用インクにおいて、該インク中に分散している顔料粒子が以下の条件を満足することを特徴とするインクジェット記録用インク。
(1)粒径0〜300nmの粒子が80体積%以上含まれる。
(2)粒径50nm以下の粒子が10〜60体積%含まれる。
(3)粒径50nm以下の粒子と100〜300nmの粒子の割合が体積比で5:1〜1:3の範囲にある。 - 前記顔料が、フタロシアニン、キナクリドン、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、キノフタロン、モノアゾ、縮合アゾ顔料の中から選択される請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |