JP2004173599A - Dna損傷修復剤とスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒトの色素性乾皮症(XP)に関連する遺伝子に由来する特定のポリペプチドのアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチド、またはこのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが細胞内に導入可能な形態を有する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、DNA損傷修復剤とスクリーニング方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、チミンDNAグリコシラーゼ(TDG)が関与する塩基除去修復反応を促進することによってDNA損傷を修復する薬剤と、そのような薬剤の新規成分を特定するためのスクリーニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生物には様々なDNA損傷を除去する複数のDNA修復経路があり、これによってゲノムの安定性と細胞機能が維持されている(非特許文献1、2)。このようなDNA修復経路の一つである塩基除去修復(BER)は、自然発生的、または環境誘導性の様々な塩基損傷を修正する(非特許文献3、4、5)。BERの開始はDNAグリコシラーゼという酵素により行われるが、この酵素はN−グリコシド結合を加水分解することにより、DNAのリン酸−糖骨格から異常塩基、または不適切な塩基を切り離す。脊椎動物では、結果的に生じた脱プリン/脱ピリミジン部位(AP部位)が次にAPエンドヌクレアーゼ(APE、あるいはHAP1、APEX、Ref−1とも呼ばれる)により切断され、5’−デオキシリボース−5−リン酸と3’−ヒドロキシル末端が残される(非特許文献6)。さらに、一部のDNAグリコシラーゼは内因性のAPリアーゼ活性を持っており、この場合にはAP部位の3’側が切断される(非特許文献7)。APEはAP部位の5’側を切断する活性に加えて、DNA 3’−ホスホジエステラーゼや3’−ホスファターゼなどの酵素活性を併せ持っており、後者のAPリアーゼ活性が働いた結果残された中間体の処理にも関係している。すなわちAPEの後者の活性は、APリアーゼにより残された3’−末端をヒドロキシル基に変換し、それに続くDNA修復合成においてDNAポリメラーゼがプライマーとして利用できるようにするのに寄与している(非特許文献6)。BER反応の最終段階であるDNA修復合成とDNA鎖再結合には、DNAポリメラーゼβが関与するショートパッチ修復経路と、PCNA依存性のロングパッチ修復経路の少なくとも2種類のメカニズムが存在することが示されている(非特許文献8)。
【0003】
加水分解による脱アミノ化は、DNA塩基に対して最も頻繁に生じる自然発生的な損傷の一つである。脊椎動物のゲノムでは、CpGジヌクレオチド部位のシトシンがC5部位でメチル化されることが多く、その結果生じた5−メチルシトシンの脱アミノ化の結果、チミンがグアニンに対して誤った塩基対を形成することになる(非特許文献1)。このようなG/Tミスマッチが修正される前にDNAが複製されてしまうと、本来のG:C塩基対がA:Tに変化することになる。このためCpG部位は変異に対して非常に感受性が高い。これらの変異は、チミンDNAグリコシラーゼ(TDG;概説は非特許文献9を参照)によって開始されるBER経路を介したG/Tミスマッチ修正により抑制される。
【0004】
DNA修復のもう一つの重要な経路はヌクレオチド除去修復(NER)である。NERによって除去可能なDNA損傷は、二重らせん構造に歪みを与えるような各種の塩基損傷(例えば、紫外線(UV)によって誘導されたシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)や(6−4)光産物など、あるいは種々の化学物質により誘導されたDNA鎖内架橋、およびかさの大きな塩基付加物など)である(非特許文献10)。NER活性の欠損は、色素性乾皮症(XP)を含む幾つかのヒト遺伝性疾患に関係している。XPの臨床症状はUV曝露に対する皮膚の様々な過敏症状、および皮膚癌発症率の亢進により特徴づけられる。NERに欠損を示すXPの遺伝的相補性群が現在まで7種類同定されており(XP−A群からG群)、それぞれの群の原因となる遺伝子がクローニングされている。XP−C群の患者はそれ以外の大多数のXP群とは異なり、2種類のNER副経路のうちゲノム全体で働くグローバルゲノムNERだけに欠損が見られる。もう一方の経路である転写と共役したNER(活性遺伝子の転写鎖上にある損傷を特異的に除去する)はXP−C群患者では正常に機能している。XP−C群の責任遺伝子産物であるXPCタンパク質は、細胞内においてセントリン2、および出芽酵母Rad23pに相同な2種類の哺乳類ホモローグのうちの一つであるHR23Bと結合し、ヘテロ3量体として存在している(非特許文献11、12、13)。複合体中でのセントリン2の役割は未解決であるが、XPC−HR23B複合体の形成が無細胞NER反応の再構成に必要であることが示されている(非特許文献14、15、16、17)。生化学的な研究から、XPC−HR23Bがある種のDNA損傷に特異的に結合し、NER反応を開始させることが明らかになっている(非特許文献15、18、19)。このため、XPC−HR23Bはゲノム全体で働くNER機構において損傷認識因子として機能していると考えられている。そしてこの出願の発明者らは、XPC−HR23Bが、損傷そのものの構造特性を認識するのではなく、むしろ損傷により二重鎖DNAに誘起された構造異常を認識すること、さらには二重鎖および一本鎖DNAの境界を含む特異的なDNA構造が選択的に認識される可能性がある点を示している(非特許文献20、21)。
【0005】
ただし、このXPCタンパク質が、NER経路ではなく、BER経路(特にTDGが関与するG/Tミスマッチの修復経路)に関与することは、従来、全く知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、ゲノムDNAにおけるG/Tミスマッチは生理的条件下で高頻度に発生するものであり、このDNA損傷によって誘起される突然変異は細胞の機能低下やがん化、老化、遺伝病等の様々なヒト疾患に関係していると考えられる。そこで、このG/Tミスマッチを認識して解消するためのDNA修復反応を開始する酵素TDGを人為的に賦活化することができれば、G/Tミスマッチに起因する様々なヒト疾患を予防もしくは改善することが可能になるものと期待される。
【0007】
TDG活性を促進する因子の候補としてはAPEを挙げることができる。APEがTDGの酵素学的な代謝回転を促進することが知られているからである(非特許文献22)。しかしながら、APEがDNA上でTDGと相互作用してTDGの活性そのものを促進しているという証拠は存在しない。また、APEはそれ自身が塩基除去修復に必須な因子であることに加え、もともと細胞内での発現レベルが高いため、外来性APEの細胞内導入や外来性APE遺伝子の細胞内発現による顕著な効果は期待できない。さらに、APEは動物個体の生存に必須であり、塩基除去修復以外にも転写因子の活性調節等にも関与することが知られているので、外来性APEの人為的導入や外来性APE遺伝子の強制発現は動物個体や細胞の正常な遺伝子発現調節に影響を及ぼすなどの弊害をもたらす危険性が高い。
【0008】
この出願の発明者らは、TDG活性を促進する因子を探索した結果、従来はヌクレオチド除去修復機構(NER)に関与する因子として知られていたXPCタンパク質が、TDGと相互作用してその活性を促進させ、G/Tミスマッチを極めて効果的に修復することを見出した。
【0009】
この出願の発明は、発明者らによるこの新規な知見に基づき、G/TミスマッチによるDNA損傷を効果的に修復する新しい薬剤を提供することを課題としている。
【0010】
またこの出願の発明は、TDGとXPCタンパク質との相互作用を指標として、TDG酵素の活性をXPCタンパク質と同等またはそれ以上に促進する新規物質、またはTDG酵素とXPCタンパク質との相互作用をさらに増強することのできる新規物質をスクリーニングする方法を提供することを課題としている。
【0011】
【非特許文献1】
Friedberg, E. C. et al. (1995) DNA Repair and Mutagenesis, ASM perss, Washington. D. C.
【非特許文献2】
Hoeijmakers, J. H. J. (2001) Nature, 411, 366−374.
【非特許文献3】
Krokan, H. E. et al. (2000) FEBS Lett., 476, 73−77.
【非特許文献4】
McCullough, A. K. et al. (1999) Annu. Rev. Biochem., 68, 255−285.
【非特許文献5】
Nilsen, H. and Krokan, H. E. (2001) Carcinogenesis, 22, 987−998.
【非特許文献6】
Wilson III, D. M. and Barsky, D. (2001) Mutat. Res., 485, 283−307.
【非特許文献7】
McCullough, A. K. et al. (1999) Annu. Rev. Biochem., 68, 255−285.
【非特許文献8】
Nilsen, H. and Krokan, H. E. (2001) Carcinogenesis, 22, 987−998.
【非特許文献9】
Hardeland, U. et al. (2002) EMBO J., 21, 1456−1464.
【非特許文献10】
de Laat. et al. (1999) Genes Dev., 13, 768−785.
【非特許文献11】
Araki, M. et al. (2001) J. Biol. Chem., 276, 18665−18672.
【非特許文献12】
Masutani, C. et al. (1994) EMBO J., 13, 1831−1843.
【非特許文献13】
Shivji, M. K. K. et al. (1994) J. Biol. Chem., 269, 22749−22757.
【非特許文献14】
Araujo, S. J. et al. (2000) Genes Dev., 14. 349−359.
【非特許文献15】
Batty, D. et al. (2000) J. Mol. Biol., 300, 275−290.
【非特許文献16】
Mu, D. et al. (1995) J. Biol. Chem., 270, 2415−2418.
【非特許文献17】
Sugasawa, K. et al. (1997) Mol. Cell. Biol., 17, 6924−6931.
【非特許文献18】
Kusumoto, R. et al. (2001) Mutat. Res., 485, 219−227.
【非特許文献19】
Sugasawa, K. et al. (1998) Mol. Cell, 2, 223−232.
【非特許文献20】
Sugasawa, K. et al. (2001) Genes Dev., 15, 507−521.
【非特許文献21】
Sugasawa, K. et al. (2002) DNA Repair, 1, 95−107.
【非特許文献22】
Waters, T. R. et al. (1999) J. Biol. Chem., 274, 67−74.
【0012】
【課題を解決するための手段】
この出願は、前記の課題を解決するための第1の発明として、配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCをコードするポリヌクレオチドが細胞内に導入可能な形態を有するDNA損傷修復剤を提供する。
【0013】
この出願はまた、第2の発明として、配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCが細胞内に導入可能な形態を有するDNA損傷修復剤を提供する。
【0014】
さらにこの出願は、第3の発明として、配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCと同等またはそれ以上のDNA損傷修復活性を有する物質を特定する方法であって、
(1)G/Tミスマッチ塩基対を含む2本鎖オリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼおよびポリペプチドXPCを反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量;および
(2)前記(1)と同一のオリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼおよび候補物質を反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量、
をそれぞれ測定し、(1)量と(2)量が等量、または(1)量より(2)量が多くなる候補物質を目的物質とすることを特徴とするスクリーニング方法を提供する。
【0015】
またさらにこの出願は、第4の発明として、配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCのDNA損傷修復活性を増強する物質を特定する方法であって、
(1)G/Tミスマッチ塩基対を含む2本鎖オリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼおよびポリペプチドXPCを反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量;および
(2)前記(1)と同一のオリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼ、ポリペプチドXPCおよび候補物質を反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量、
をそれぞれ測定し、(1)量より(2)量が多くなる候補物質を目的物質とすることを特徴とするスクリーニング方法を提供する。
【0016】
この出願の前記発明において、「DNA損傷修復」とは、ゲノムDNA中の5−メチルシトシンの脱アミノ化によって生じるG/Tミスマッチの修復を意味する。さらに詳しくは、チミンDNAグリコシダーゼ(TDG)が関与するミスマッチ塩基除去修復を意味する。
【0017】
「ポリペプチド」とは、アミド結合(ペプチド結合)によって直線的配列で互いに結合した21個以上のアミノ酸残基の直線的配列から構成された分子を意味する。
【0018】
「ポリヌクレオチド」とは、プリンまたはピリミジンが糖にβ−N−グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステル(ATP、GTP、CTP、UTP;またはdATP、dGTP、dCTP、dTTP)が101個以上結合した分子を言い、「オリゴヌクレオチド」とは2−99個連結した分子を言う。
【0019】
この発明における「ポリペプチドXPC」とは、公知のヒトXPCタンパク質(Masutani C. et al., EMBO J. 13(8): 1831−1843, 1994; GenBank Accession No. NM_004628)と同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドであある。また、このポリペプチドXPCの「変異体」とは、ポリペプチドXPCをコードするポリヌクレオチドにおける一塩基多型(SNPs)の結果として生じたアミノ酸置換を含むタンパク質である。ポリペプチドXPCの配列情報(GenBank Accession No. NM_004628)には複数のSNPsが開示されており、これらのうち、表1に示すタンパク質変異が公知である(例えば、表1の第1段は、配列番号1の第61番目cがgに置換した結果、配列番号2に示したアミノ酸配列における第16番目Leu残基がVal残基に置換することを示す。また塩基置換によってもアミノ酸置換を伴わないもの[サイレント変異]は括弧内に示した)。また「変異体をコードするポリヌクレオチド」とは、表1に示したSNPsを含むポリヌクレオチドを意味する。
【0020】
【表1】
【0021】
第3発明および第4発明において、「同等」および「等量」とは、比較測定された数値が±5%以内であることを意味し、「同等以上」および「多い」とは比較測定された数値が6%以上であることを意味する。
【0022】
この発明におけるその他の用語については、発明の実施形態および実施例において適宜に説明する。
【0023】
なお、この発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、薬剤の調製はRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990、遺伝子工学および分子生物学的技術はSambrook and Maniatis, in Molecular Cloning−A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995)等に記載されている。
【0024】
以下、各発明の実施形態を詳しく説明する。
【0025】
【発明の実施の形態】
第1発明のDNA損傷修復剤は、ゲノムDNA上で塩基除去修復酵素TDGと相互作用することによってTDG活性を促進させ、G/Tミスマッチを効率よく修復することのできるポリペプチドXPCをコードするポリヌクレオチドを含有する薬剤である。具体的には、この薬剤は、配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが細胞内に導入可能な形態を有することを特徴としている。
【0026】
このポリヌクレオチドは、好ましくはXPCタンパク質をコードするcDNAであり、その配列は配列番号1のとおりである。cDNAは例えば、配列番号1の塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドプローブを用いて既存のヒトcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。またオリゴヌクレオチドプライマーとヒト細胞から抽出したRNA分子を用いたRT−PCR法によっても目的とするcDNA断片を得ることができる。
【0027】
ポリヌクレオチドは、発現ベクターに組み込むようにすることができる。発現ベクターは、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する公知の真核細胞用発現ベクターを使用することができ、この発現ベクターのクローニングサイトに、ポリペプチドXPCをコードするポリヌクレオチドを挿入することによってポリペプチドXPC発現ベクターを構築することができる。またcDNAを使用する場合、配列番号1のタンパク質コード領域を構成する塩基配列(16−2838番塩基)からなるDNA断片を使用することもできる。
【0028】
薬剤形態としては、ポリペプチド発現ベクターを、例えば生体認識分子を提示した中空ナノ粒子、または公知のウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス等)に組み込むようにすればよい。このような薬剤を遺伝子治療の手法により生体内に導入することによって、細胞内でポリペプチドXPCを発現させることができる。発現したXPCは細胞内でHR23Bタンパク質と複合体を形成し、TDGによるG/Tミスマッチ修復活性を促進する。なお、ポリペプチドXPCは核移行シグナル(核局在性ドメイン)を有するため、細胞内で発現したXPCは核内に移行し、ゲノムDNA上で酵素TDGと相互作用する。
【0029】
第2発明のDNA損傷修復剤は、ポリペプチドXPCそれ自体が細胞内に導入可能な形態を有することを特徴とする。例えば、このポリペプチドの構造や機能を変更することなく、かつ薬理学的に許容される担体溶液にこのポリペプチドを混合して製剤化することができる。そしてこのような薬剤は、例えばマイクロインジェクション法により細胞内に導入することができる。あるいは脂質による細胞内導入法(BioPORTER(Gene Therapy Systems社、米国)、Chariot(Active Motif社、米国)等)を採用することもできる。
【0030】
ポリペプチドXPCは、配列番号2のアミノ酸配列に基づいてペプチドを化学合成する方法や、前記の発現ベクターからのインビトロ転写翻訳系や、発現ベクターによる形質転換細胞の発現産物としてポリペプチドを単離精製する方法等によって取得することができる。例えば、ポリペプチドXPCをインビトロ翻訳で発現させる場合には、RNAポリメラーゼプロモーターを有する発現ベクターを、プロモーターに対応するRNAポリメラーゼを含むウサギ網状赤血球溶解物や小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に添加すれば、ポリペプチドをインビトロで生産することができる。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、T3、SP6などが例示できる。これらのRNAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKA1、pCDM8、pT3/T7 18、pT7/3 19、pBluescript IIなどが例示できる。また、ポリペプチドXPCを、大腸菌などの微生物で発現させる場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部位、ターミネーター等を有する発現ベクターに前記のDNA断片を組込んで発現ベクターを作成する。この発現ベクターで宿主細胞を形質転換すれば、ポリペプチドXPCを発現する形質転換体細胞を得ることができ、この形質転換体を培養すれば、その培養物から目的のポリペプチドXPCを大量生産することができる。大腸菌用発現ベクターとしては、pET発現システム、pGEX発現システムなどが例示できる。さらに、ポリペプチドXPCを真核細胞で発現させる場合には、前記のDNA断片を、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに挿入して組換えベクターを作製する。このベクターを真核細胞内に導入すれば、目的のポリペプチドXPCを発現する形質転換真核細胞を得ることができる。発現ベクターとしては、pKA1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK−CMV、pBK−RSV、EBVベクター、pRS、pYES2などが例示できる。真核細胞としては、ヒト胎児腎臓細胞HEK293、サル腎臓細胞COS7、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOなどの哺乳動物培養細胞、あるいはヒト臓器から単離した初代培養細胞などが使用できる。出芽酵母、***酵母、カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞なども使用できる。発現ベクターを細胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法を用いることができる。形質転換細胞で発現させたポリペプチドを単離精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0031】
第2発明の薬剤の別の態様として、ポリペプチドXPCのN末端側に細胞膜通過ペプチドを連結させた融合ポリペプチドを使用することもできる。この細胞膜通過ペプチドを備えることによって、生体内に注入されたポリペプチドXPCは細胞膜を通過して細胞内に取り込まれ、核内に移行し、酵素TDGと相互作用してG/Tミスマッチを効率的に修復する。細胞膜通過ペプチドとしては、HIV−1・TATのPTD(protein transduction domain)(Science, 285:1569−1572, 1999; GenBank Accession NO. U39362 M96155)、またはショウジョウバエのホメオボックスタンパク質アンテナペディアのPTD(例えば、GenBank Accession No. AE001573)を採用することができる。融合ポリペプチドは、PTDをコードするDNA断片とポリペプチドXPC cDNAを連結して融合DNA断片を作成し、この融合DNA断片を大腸菌等の宿主細胞で発現させることによって作成することができる。また、2価の架橋剤(例えば、EDCやβ−アラニン等)を介して、ポリペプチドXPCとPTDペプチドを結合させる方法によって細胞膜通過ペプチドを連結した融合ポリペプチドを作成することもできる。
【0032】
第3発明は、ポリペプチドXPCと同等またはそれ以上のDNA損傷修復活性を有する物質を特定するスクリーニング方法である。この方法では、
(1)G/Tミスマッチ塩基対を含む2本鎖オリゴヌクレオチド集団に、TDGおよびポリペプチドXPCを反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量;および
(2)前記(1)と同一のオリゴヌクレオチド集団に、TDGおよび候補物質を反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量、
をそれぞれ測定し、(1)量と(2)量が等量、または(1)量より(2)量が多くなる候補物質を目的のDNA損傷修復物質として特定する。
【0033】
「G/Tミスマッチ塩基対を含む2本鎖オリゴヌクレオチド」は、2−99塩基からなる相補的な合成オリゴヌクレオチドがアニールしており、その配列中の中央付近に1箇所のG/Tミスマッチ塩基対を有する分子(以下「DNA基質」と記載することがある)であり、例えば図2(b)に示した60塩基対の2本鎖オリゴヌクレオチドを例示することができる(図2(b)の上段は配列番号3、下段は配列番号4に示す)。この図2(b)の2本鎖オリゴヌクレオチドは、上段5’側から27番目のGに対して下段3’側から27番目がTである(G/Tミスマッチ)。
【0034】
このようなG/Tミスマッチを含むDNA基質は、TDGによってミスマッチT塩基が除去されて「T塩基除去オリゴヌクレオチド」となるが、後記の実施例に示したように、TDGとXPCとが作用することによって、T塩基除去オリゴヌクレオチドの量は増加する。従って、[TDG+XPC]によって得られるT塩基除去オリゴヌクレオチドの量(1)と、[TDG+候補物質]の作用によって得られるT塩基除去オリゴヌクレオチドの量(2)を比較し、(1)量と(2)量が等量、または(1)量より(2)量が多くなる候補物質は、XPCと同等またはそれ以上のDNA損傷修復活性を有する物質と判定することができる。
【0035】
また第4の発明では、[TDG+XPC]によって得られるT塩基除去オリゴヌクレオチドの量(1)と、[TDG+XPC+候補物質]の作用によって得られるT塩基除去オリゴヌクレオチドの量(2)を比較し、(1)量より(2)量が多くなる候補物質は、XPCの活性を増強する物質であると判定することができる。
【0036】
第3発明および第4発明の方法において使用する「候補物質」は、例えば有機または無機の化合物(特に低分子量の化合物)、タンパク質、ペプチド等が含まれる。またポリペプチドXPCの一部連続配列からなるオリゴペプチドも第3発明の候補物質に含まれる。
【0037】
なお、この第3発明および第4発明で使用するポリペプチドXPCは、HR23Bタンパク質との複合体として使用することが好ましい。細胞内において、XPCはHR23Bタンパク質との複合体として機能するからである。XPC−HR23B複合体は、それぞれのタンパク質をコードするDNA断片からなる融合DNAを用いた遺伝子工学的方法によって取得することができる。
【0038】
また、T塩基除去オリゴヌクレオチド量は、例えば後記の実施例と同様にして測定することができる(ニッキングアッセイ)。すなわち、DNA基質のうち、ミスマッチT塩基を含むオリゴヌクレオチドの一端を放射標識した状態で[TDG+XPC]および[TDG+候補物質]または[TDG+XPC+候補物質]を作用させる。次いでミスマッチT塩基が除去されたオリゴヌクレオチドを熱アルカリ処理により切断し、電気泳動によって切断されたDNA基質を確認する。
【0039】
以下、実施例として、ポリペプチドXPCの機能を確認するために行った実験例を示すが、この発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
1.方法
1−1.酵母2−ハイブリッドスクリーニング
XPCと相互作用するタンパク質の同定のため、Matchmaker LexA two−hybrid system(Clontech)を用いて酵母2−ハイブリッドスクリーニングを行った。ヒトXPCの全長をコードするcDNAを、バイトベクターpLexA中のGAL4 DNA結合ドメインにインフレームで融合させた。その結果得られたプラスミドpLexA−XPCおよびレポータープラスミドp8op−lacZを用いて酵母株EGY48を同時形質転換し、ヒスチジンおよびウラシルを欠いたSD培地上で形質転換体を選別した。
【0041】
次にマウス胚線維芽細胞LexAマッチメーカーライブラリ(Clontech)を用いて形質転換したEGY48酵母をさらに形質転換することによりスクリーニングを行った。このライブラリ中でのGAL4活性化ドメインに融合されたcDNAの発現はGAL1プロモーターにより調節されている。ガラクトースおよびラフィノースを含み、ヒスチジン、ロイシン、トリプトファン、およびウラシルを欠いた培地上で、およそ7×106個の形質転換体が選別された。2週間にわたる30℃でのインキュベーション後に現れたコロニーを、β−ガラクトシダーゼ活性の有無でさらに選別した。ポジティブクローンをトリプトファンを欠いたSD培地中で生育させ、prey plasmidを回収し、大腸菌KC8株にエレクトロポーレションし、回収したDNAの配列分析を行い、XPCと相互作用するタンパク質の候補を同定した。
1−2.組換えタンパク質の精製
組換えヒトXPCおよびHisタグを融合したHR23B(HR23B−His)タンパク質の精製は文献(Masutani, C. et al. (1997) Mol. Cell. Biol., 17, 6915−6923; Sugasawa, K. et al. (1996) Mol. Cell. Biol., 16, 4852−4861)の記載に従って行った。すなわち、XPC−HR23B−Hisヘテロダイマーを試験管内で再構成し、文献(Sugasawa, K. et al. (2001) Genes Dev., 15, 507−521)の記載に従って精製した。His−TDGは、大腸菌BL21(DE3)株中でpET28aベクター(Novagen)を用いて発現させ、これを文献(Hardeland, U. et al. (2000) J. Biol. Chem. 275, 33449−33456)の記載に従って精製した。但しニッケル−NTAアガロースの代わりにTalon樹脂(Clontech)を使用した。GST−TDGおよびGSTは、大腸菌JM109(DE3)株中でpGEX4T−3ベクター(Amersham Biosciences)を用いて発現させた。発現誘導は、GST−TDGに対しては16℃で19時間にわたり0.2mM isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside(IPTG)を用いて、またGSTに対しては37℃で3時間にわたり1mM IPTGを用いて行った。バクテリア細胞の沈殿は緩衝液A[25mM Tris−HCl (pH7.5), 1mM EDTA, 25mM NaCl, 0.01% Nonidet P−40, 1mM dithiothreitol (DTT), 0.25mMphenylmethylsulfonyl fluoride (PMSF), およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(1xComplete; Roche Diagnostics)]中で超音波処理し、30分間にわたり100,000xgで遠心分離した。この上清を、0.1M NaClを含む緩衝液B[25mM Tris−HCl (pH7.5), 1mM EDTA, 0.01% Triton X−100, 10%グリセロール, 1mM DTT, 0.25mM PMSF]で平衡化したGSTrapカラム(Amersham Biosciences)に供した。続いてカラムを0.5および1M NaClを含む緩衝液Bで洗浄した後、結合したタンパク質の溶出を0.1M NaClと10mMグルタチオンを含む緩衝液Bを用いて行った。さらにGST−TDGを含む分画を、0.1M NaClを含む緩衝液C[25mM リン酸ナトリウム(pH7.0), 1mM EDTA, 0.01% Triton X−100, 10%グリセロール, 1mM DTT, 0.25mM PMSF]で平衡化したMono S PC 1.6/5カラム(Amersham Biosciences)に供し、結合タンパク質の溶出を緩衝液C中の0.1−0.8M NaClの線形勾配を用いて行った。GST−TDGは0.4M NaCl周辺の溶出分画に現れた。最後にGST−TDGとGSTの両方を、0.2M NaClを含む緩衝液Bで平衡化したSuperdex 75 PC 3.2/30カラム(Amersham Biosciences)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーに供した。His−APEは、pET28aベクターを用いて大腸菌BL21(DE3)株中で行い、バクテリア細胞の溶解物を文献(Chou, K. M. and Cheng, Y. C. (2002) Nature, 415, 655−659)の記載にに従って調製した。試料を0.1M NaClを含む緩衝液D[20mM リン酸ナトリウム(pH7.8), 10%グリセロール, 0.01% Triton X−100, および0.25mM PMSF]で平衡化したホスホセルロース(Whatman P11)カラムに供し、結合タンパク質の溶出を0.2、0.6および1M NaClを含む緩衝液Dを用いて段階的に行った。1M NaClを用いて溶出したタンパク質を、0.1M NaClと5mM イミダゾールを含む緩衝液Dを用いて平衡化してあるTalon樹脂(Clontech)を詰めたカラム上に供した。同じ緩衝液で十分に洗浄を行った後、イミダゾール濃度を20、100、および250mMに増加させることにより結合タンパク質の溶出を行った。次にHis−APEを含む100mMイミダゾール溶出画分を、0.1M NaClを含む緩衝液E[50mM Hepes−NaOH (pH7.6), 1mM EDTA, 0.01% Triton X−100, 10%グリセロール, 1mM DTT, 0.25mM PMSF]で平衡化したMono S PC 1.6/5カラム上に供した。このカラムの展開を緩衝液E中の0.1〜0.7M NaClの線形勾配を用いて行い、His−APEは0.25M NaCl周辺で溶出された。
1−3.GSTプルダウンアッセイ
Glutathione−Sepharose 4 fast flow(Amersham Biosciences: 20μl)を、0.1M NaClを含む緩衝液F[20mMリン酸ナトリウム(pH7.5), 10%グリセロール, 0.1%Triton X−100, 1mM DTT]中の組換えXPC−HR23B(1pmol)、およびGSTまたはGST−TDGのいずれか(それぞれ1pmol)と混合した。指定箇所では、His−TDGも競合剤として含めた。時々撹拌しつつ氷上で1時間インキュベーションした後、ビーズの洗浄を0.3M NaClを含む緩衝液F 500μlを用いて7回行い、ビーズ上に保持されたタンパク質の溶出を0.3M NaClと10mMグルタチオンを含む緩衝液F 20μlを用いて行った。精製XPCはSDS存在下で煮沸すると凝集する傾向があるため、それぞれの溶出物を変性させる前に、内因性XPCを発現していないXP4PASV細胞の全細胞抽出物(0.4μgタンパク質)と混合した。この処理によって、XPCの凝集が妨げられ、タンパク質のより定量的な評価が可能になる。それぞれの溶出物をXP4PASV細胞の抽出物と混合したものを8% SDS−PAGEに供し、ポリクローナル抗XPC抗体を用いた免疫ブロッティングにより分析した。
1−4.ゲルシフトアッセイ
図2Aに示した共有結合閉環状DNAと、32P標識された平滑末端DNA断片は、文献(Sugasawa, K. et al. (2001) Genes Dev., 15, 507−521)の記載に正確に従って調製した。ゲルシフトアッセイは基本的に文献(Sugasawa, K. et al. (2001)Genes Dev., 15, 507−521)に従って行ったが、結合反応からMgCl2を除外し、また非特異的な結合を吸収するために添加する二本鎖閉環状DNAの量を8ngに増やした。スーパーシフトアッセイは、標準的な結合反応を行った後で、アフィニティー精製したポリクローナル抗体を添加し、氷上で15分間インキュベートしてからグルタルアルデヒド固定を行った。
1−5.ニッキングアッセイ
組換えHis−TDGとHis−APEタンパク質の酵素活性のモニタリングは、「ニッキングアッセイ」を用いて、文献(Neddermann, P. and Jiricny, J. (1993) J. Biol. Chem., 268, 21218−21224)記載の方法にいくつかの修正を加えて行った。
【0042】
単一のG/Tミスマッチを含むDNA基質は、T4ポリヌクレオチドキナーゼと[γ−32P]ATP処理により、T鎖オリゴヌクレオチド(図2Bの下段配列)の5’−末端を標識した。65℃で1時間にわたり酵素を熱で不活性化した後、等モル量のG鎖オリゴヌクレオチドを添加し、65℃で1時間加熱した後、徐々に室温まで冷やすことによってアニーリングした。アニーリングした60bpの2本鎖DNAは未変性PAGEにより精製した。ニッキング反応は、25mM Hepes−KOH(pH7.8)、0.5mM EDTA、50mM NaCl、2mM MgCl2、0.5mM DTT、ウシ血清アルブミン(9μg)および基質DNA(40fmol)を含む混合液(25μl)中で行った。30℃で1時間にわたりインキュベートした後、精製His−TDGを添加し、30℃でさらにインキュベートした。またXPC−HR23B−HisおよびHis−APEを個別、あるいは同時に様々な時点で添加した。反応の停止は等量の停止緩衝液[50mM Tris−HCl (pH7.5), 25mM EDTA, 0.3mg/ml酵母tRNA、2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.8mg/mlプロテインキナーゼK]を添加して行い、さらに30℃で1時間以上にわたりインキュベートした。結果として生じたAP部位を単鎖切断に変換するため、NaOHを添加して最終濃度90mMとし、10分間にわたり100℃で加熱した。DNAの精製はフェノール/クロロフォルム抽出とエタノール沈殿により行い、16%変性PAGEに供した後、オートラジオグラフィーを行った。またAPEによる切断も同様の方法で測定したが、反応停止は1μlの0.5M EDTAの添加により行った。次に90%ホルムアミド、0.04%ブロモフェノールブルー、および0.04%キシレンシアノールFFを含む等量の溶液を反応液に混合し、65℃で3分間加熱し、16%変性PAGEによる分析後、オートラジオグラフィーにより分析した。どちらの分析でも、切断および非切断オリゴヌクレオチドの放射活性の定量は、BAS2500 bioimaging analyzer(Fujifilm)を用いて行った。
1−6.抗体
XPCに対するポリクローナル抗体は、文献(Sugasawa, K. et al. (1996) Mol.Cell. Biol., 16, 4852−4861)の記載のとおり作製した。抗TDG抗体は、アミノ末端にFLAG−タグを融合させた組換えTDG(FLAG−TDG)を大腸菌中で発現させ、これを免疫化したウサギより得た抗血清を硫酸アンモニウム沈殿(50%飽和)に供し、続いてNHS−活性化Sepharose 4 fast flow(Amersham Biosciences)に対して共有結合によりカップリングしたGST−TDGを用いて、アフィニティ精製を行った。
2.結果
2−1.TDGとXPCとの相互作用
XPCと相互作用する因子を検索するため、全長ヒトXPCをバイト(bait)として、マウス胚線維芽細胞cDNAライブラリーに対する酵母2−ハイブリッドスクリーニングを行った。7×106個の形質転換体から単離したポジティブクローンの一つがマウスTDGをコードしていることが判明した。また、ヒトTDG cDNAを用いた酵母2−ハイブリッドアッセイを行い、ヒトTDGもヒトXPCと相互作用しうることを確認した。
【0043】
XPCとTDGが物理的に相互作用していることを確認するため、GSTタグを融合させた組換えヒトTDGタンパク質(GST−TDG)を大腸菌内で発現させて、XPC−HR23B複合体を用いたプルダウンアッセイに供するため精製した。XPC−HR23B、およびGSTまたはGST−TDGのいずれかを含むアッセイにグルタチオン−セファロースビーズを添加した後、ビーズを遠心分離して十分に洗浄した。次に結合したタンパク質を10mMグルタチオンを含む緩衝液を用いて溶出し、SDS−PAGEに供してから、抗−XPC抗体を用いたイムノブロッティングを行った(図1)。対照のGSTへの結合はほとんど検出されなかったが(レーン3)、GST−TDGを用いた場合には有意な量のXPC−HR23Bが同時に沈殿した(レーン4)。アミノ末端にヒスチジンタグを融合したTDG(His−TDG)を過剰量添加すると、容量依存的に結合が失われた(レーン5および6)。これらの条件下でXPC−HR23Bの代わりに組換えXPCタンパク質を用いた場合にも同様な結果が得られたことから、XPCとTDGの間の直接的な相互作用が確認された。
2−2.XPC−HR23BとTDGのDNA上での複合体形成
TDGがG/Tミスマッチを修正するBER反応の開始に関与していることから、XPC−HR23BがNER以外に、TDGに依存したBERに関与しているかどうかを確認するため、部位特異的G/Tミスマッチを含む、32P標識された二本鎖DNA断片を用いてゲルシフトアッセイを行った(図2A)。XPC−HR23Bは二重鎖DNA中の様々な構造異常を認識するが(Sugasawa, K. et al. (2001) Genes Dev., 15, 507−521;Sugasawa, K. et al. (2002) DNA Repair, 1, 95−107)、ここで用いた条件下ではG/Tミスマッチ基質への特異的に結合はほとんど検出できなかった(図3A、レーン1−8)。対照的に、TDGはG/TミスマッチDNAと共にインキュベートした場合にバンドシフトを示す一方、対応する位置に正常なG/Cペアを含む対照DNAを用いた場合には有意な結合性を示さなかった(図3A、レーン9−16;Neddermann, P. and Jiricny, J. (1993) J. Biol. Chem., 268, 21218−21224も参照)。特記すべき点として、TDGがグリコシラーゼ活性を発揮しうるような条件下でこの結合反応が行われている事実を挙げることができる。このため、観察されたTDG/DNA複合体の少なくとも一部はG/Tミスマッチではなく、グアニンを反対側に持つAP部位を含んでいる可能性が高い。
【0044】
前述のようにXPC−HR23B複合体そのものはG/TミスマッチDNAに結合できないが、XPC−HR23BはTDGが結合したDNAに結合する。TDGをG/TミスマッチDNAと共にインキュベートした後でXPC−HR23Bを添加した場合、TDG/DNA複合体の総量が用量依存的に減少し、代わってTDG/DNA複合体より移動度が低い新しいシフトバンドが現れた(図3Bの星印により示す)。この新しいバンドのタンパク質成分を決定するため、XPCとTDGに対して作成したポリクローナル抗体を用いてスーパーシフトアッセイを行った(図3C)。予想通り、抗XPC抗体はTDG/DNA複合体をスーパーシフトさせず、抗TDG抗体によりXPC−HR23B/DNA複合体はスーパーシフトしなかった。しかしながら抗TDG抗体を添加すると、TDG/DNA複合体と新しいバンドの両方がスーパーシフトした(レーン1−4)。さらに、この新規バンドは抗XPC抗体によってもスーパーシフトした(レーン5−8)。このため、in vitroで基質DNAに結合したTDGは、XPC−HR23Bとの三成分複合体を形成していることが判明した。
2−3.TDG活性に対するXPCの作用
XPC−HR23BがTDG活性に影響を及ぼすかどうかを調べるため、単一のG/Tミスマッチを含み、T鎖の5’−末端を32P標識した60塩基対DNA断片を用いて「ニッキングアッセイ」を行った(図2B)。このアッセイでは、TDG処理したDNAを熱アルカリ処理し、次に変性PAGEを用いて切断T鎖と非切断T鎖を分離することによりTDGによって生成されたAP部位数の測定を行った。
【0045】
このアッセイにおいて、精製XPC−HR23Bそれ自体は、G/Tミスマッチに対する検出可能なDNAグリコシラーゼ活性を示さなかった。一方、TDGを同じDNA基質と共にインキュベートすると、反応開始後15分間である程度のミスマッチT残基が切除されたが、その後反応は著しく減速した(図4AおよびB)。これはおそらく、TDGがいったんG/Tミスマッチに結合してT残基を切除した後、結果的に生じたAP部位に結合し続けるため(Waters, T. R. et al. (1999) J. Biol. Chem., 274, 67−74:Waters, T. R. and Swann, P. F. (1998) J. Biol. Chem., 273, 20007−20014)、最終的に1サイクルのTDG酵素反応の終了後には、ほとんどのTDG分子がAP部位によってトラップされるためと思われる。しかしながら、XPC−HR23BをTDGと同時にDNAに添加した場合には、TDG活性はXPC−HR23Bの用量に依存して増加した。107fmolのXPC−HR23Bと共にインキュベートした結果、120分のインキュベーション後に3倍のTDG活性が得られた(図4AおよびB)。XPCかHR23Bのいずれのサブユニットがこの促進の原因になっているのか調べるため、反応混合液中へサブユニットを個別に添加した。図4Cに示すように、XPC単独(レーン3−6)の場合には、XPC−HR23B複合体(レーン2)と同レベルの促進が得られたが、HR23B単独(レーン7−10)の場合は同様な条件下でもTDG活性に対する影響は全く見られなかった。
【0046】
XPCがTDG活性を促進する際のメカニズムについて調べるため、さまざまな時点でXPC−HR23BをG/TミスマッチDNAに添加した。TDG添加前にG/TミスマッチDNAをXPC−HR23Bと共にインキュベートしても、全ての成分を同時に混合した場合と比較して、TDG反応のタイムコースは変化しなかった。XPC−HR23B自体はG/Tミスマッチに結合できないため、これは予想通りの結果である(図3B)。DNA基質への添加前に、TDGとXPC−HR23Bをインキュベートした場合にも、初期反応速度の増加は生じなかったが、これはTDG/XPC複合体を予め構築してもG/Tミスマッチの認識が促進されないことを示唆している。しかしながら、TDGをG/TミスマッチDNAと予めインキュベートして反応が頭打ちになった後でXPC−HR23Bを添加したところ、その時点から反応産物の劇的な再増加が見られた(図5)。TDGがミスマッチT塩基を除去した後に結果的に生じたAP部位に結合し続けることを考えると、これらの観察結果から、XPC−HR23BがAP部位からのTDGの解離を促進し、これによって自由になったTDGの新たなG/Tミスマッチ基質との反応を可能にしていることが強く示唆される。
2−4. APE存在下でのTDG活性に対するXPC−HR23Bの作用
APEはBER経路中でDNAグリコシラーゼの直後に働くと考えられるが、一方でTDGをAP部位から排除することによりTDGの酵素学的な代謝回転を促進する作用を示すことが報告されている(Waters, T. R. et al. (1999) J. Biol. Chem., 274,67−74)。このため、APEとXPC−HR23BがTDGの代謝回転の促進に関して機能的に相互作用する可能性について調べた。様々な量のXPC−HR23Bの存在下、あるいは非存在下で、TDGを含むニッキングアッセイ反応にAPE(53fmol)を添加した。文献(Waters, T. R. et al. (1999) J. Biol. Chem., 274, 67−74)の記述どおりAPEの添加によってTDG活性の有意な促進が生じ、APE存在下で120分インキュベートした後には2倍以上の数のAP部位が生じた(図4A、レーン2−5を図6A、レーン2−5と比較せよ)。次にXPC−HR23Bを添加するとTDG活性がさらに促進されたが、これはXPC−HR23B用量に依存的であった(図6AおよびB)。このため、53fmolのAPEと107fmolのXPC−HR23Bを同時に添加した結果、120分後に生成したAP部位の総量が6倍増加することになり、この事実から2種類の因子がTDG活性に対して相加的な促進効果を有することが示される。しかしながら添加したXPC−HR23Bが、例えばTDGによる処理後に生成したAP部位に結合することによって、後に続くAPEの酵素反応に影響を与える可能性は除外できない。実際に、特定の部位に3−hydroxy−2−(hydroxymethyl)tetrahydrofuran(合成AP部位アナログ;Fujiwara, Y. et al. (1999) J. Biol. Chem., 274, 20027−20033)を含むDNA基質を用いたゲルシフトアッセイにより、XPC−HR23BがAP部位に結合しうることが判明した。図7Aに示すように、結合親和性はAP部位の反対にある塩基によって変化し、その順はAP/C>AP/T>AP/G>AP/Aである。グアニンがAP部位の反対にある場合にはこの結合は比較的弱いものの、これらの知見からXPC−HR23BがAP部位からTDGを押し出し、酵素学的な代謝回転を促進している可能性が示唆される。XPC−HR23Bの存在がAPEのエンドヌクレアーゼ活性に影響するかどうかを調べるため、ニッキングアッセイを図6で行ったものと同様に行った。ただしここではAPEにより切断された標識化オリゴヌクレオチド量を測定するため、変性PAGEの前のアルカリ処理を除外することにより行った。APEによる切断はXPC−HR23Bの添加により増加したが、APEにより処理されたのは、TDGにより生成したAP部位のごく一部(50%未満)のみであった(図6Bと図7Cを比較せよ)。さらに、反応からAPEを除外した場合には、切断したオリゴヌクレオチドはほとんど検出されず、このことから検出された切断の大部分がAP部位の自発的なβ脱離ではなくAPE活性に起因することが示された。特記すべきなのは、XPC−HR23Bの有無に関わらず、TDGによって生成したAP部位の一部しかAPEで処理されない点である。この事実から、ここで用いた条件下においてはXPC−HR23BがAPE活性を促進も阻害もしていないことが示唆される。
【0047】
以上の結果から、XPC−HR23BはTDGの活性を促進することにより、APEに影響を及ぼさずにTDG依存性BER反応を促進することが確認された。
【0048】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、ゲノムDNAのG/Tミスマッチに起因する様々なヒト疾患を予防もしくは改善するための新規薬剤が提供される。また、この発明によって、さらに新しいDNA損傷修復剤を開発するための有効物質スクリーニング方法が提供される。
【0049】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】XPC−HR23BとTDGの物理的相互作用を調べた結果である。グルタチオン−セファロースビーズを1pmolのGST(レーン3)またはGST−TDG(レーン4から6)のいずれかと共に、XPC−HR23B(1pmol)の存在下でインキュベートした。またレーン5と6では、表示された量のHis−TDGを競合剤として含めた。十分に洗浄を行った後、結合タンパク質を10mMグルタチオンを含む緩衝液で溶出した。それぞれの溶出液の1/4量を、XPCを発現していないXP4PASV細胞の全細胞抽出物と共に混合し、8%のSDS−PAGEに供した後、抗XPC抗体を用いたイムノブロッティングを行った。レーン1:入力XPCの0.4%、レーン2:XP4PASV細胞の細胞抽出物のみ。
【図2】
ゲルシフトアッセイ(A)およびニッキングアッセイ(B)に使用したDNA基質を示す。XはA、C、G、またはT。
【図3】XPC−HR23BがTDG結合DNAと相互作用し、三成分複合体を形成することを確認した結果である。(A)表示された量のXPC−HR23BまたはTDGを、単一のG/Tミスマッチを含む32P標識された3.5fmolのDNA断片、あるいは対照として完全に対になった二重鎖DNA(G/C)と混合し、30°Cで30分間にわたりインキュベーションした。結果として得られたDNA−タンパク質複合体はグルタルアルデヒドを用いて固定し、未変性PAGEにより分離した。(B)単一のG/Tミスマッチ(3.5fmol)を含むDNA基質のインキュベーションを、30℃で15分間にわたり、His−TDG(164fmol)の存在下または非存在下で行った。続いて表示された量のXPC−HR23Bを添加し、さらに30℃で15分間インキュベートし、グルタルアルデヒド固定後に未変性PAGEに供した。星印(*)が示すのは、TDGとXPC−HR23Bの両方が存在する場合に新しく現れたバンドである。(C)TDG、XPC−HR23BおよびDNAを含む三成分複合体を同定するためのスーパーシフトアッセイ。164fmolのTDG、67fmolのXPC−HR23B、および単一のG/Tミスマッチを含む3.5fmolのDNA基質を使用して(B)と同様に結合反応を行った後、様々な量の抗TDGまたは抗XPC抗体を添加して、さらに氷上で15分間インキュベートし、DNA−タンパク質複合体をグルタルアルデヒドで架橋させた。
【図4】XPC−HR23BがTDG活性を促進することを確認した結果である。(A)XPC−HR23Bの存在下におけるTDG活性を測定するためのニッキングアッセイ。単一のG/Tミスマッチを含む60塩基対のDNA基質でT鎖の5’−末端が標識されたものを、10fmolのHis−TDGと共に、様々な量のXPC−HR23Bの存在下または非存在下で、指定時間にわたり30℃でインキュベートした。このDNA試料を精製し、アルカリ処理によってAP部位を化学的に切断した後、変性PAGEに供した。(B)32P標識されたDNA基質中の切断されたオリゴヌクレオチドの比率を(A)の各レーン毎に計算し、グラフにプロットした。平均値と標準誤差の計算は、少なくとも2回の独立した実験を基におこなった。(C)表示した様々な量のXPC−HR23B(レーン2)、XPC単独(レーン3と6)、あるいはHR23B単独(レーン7から10)の存在下において、10fmolのHis−TDGを用いて行ったニッキングアッセイ。全ての反応は30℃で120分間にわたりインキュベートし、精製したDNA試料はアルカリ処理および変性PAGEに供した。
【図5】XPC−HR23BがTDGの酵素学的な代謝回転を促進することを確認した結果である。(A)単一のG/Tミスマッチを含む32P標識されたDNA基質を、30℃で10fmolのHis−TDGと共に、表示にある様々な時間にわたりインキュベートした(レーン1−5)。120分後に表示量のXPC−HR23Bを添加し、さらに30℃で15、30、または60分間にわたりインキュベートした(総インキュベーション時間を各レーン上に表示した)。精製DNA試料は、アルカリ処理と変性PAGEに供した。(B)32P標識されたDNA基質中の切断されたオリゴヌクレオチドの比率を、(A)の各レーン毎に計算した。平均値と標準誤差の計算は、少なくとも2回の独立した実験を基におこなった。
【図6】XPC−HR23BがAPEの存在下でTDGの活性を促進することを確認した結果である。(A)単一のG/Tミスマッチを含む32P標識されたDNA基質を、10fmolのHis−TDG、53fmolのHis−APE、および表示量のXPC−HR23Bの存在下、30℃で指定時間にわたりインキュベートした。精製DNA試料は、アルカリ処理と変性PAGEに供した。APEの3’(5’エクソヌクレアーゼ活性のため、開裂したオリゴヌクレオチドのバンドは梯子状に現れる。(B)32P標識されたDNA基質中の切断されたオリゴヌクレオチドの比率を、(A)の各レーン毎に計算した。平均値と標準誤差の計算は、少なくとも2回の独立した実験を基におこなった。
【図7】XPC−HR23BはAPEの酵素反応を阻害しないことを確認した結果である。(A)4種類の異なる塩基を反対に持つ、あるいは対応位置に正常なG/Cペアを持つ合成AP部位アナログを含む32P標識されたDNA基質(それぞれ3.5fmol)を、表示量のXPC−HR23Bの存在下、30℃で30分間インキュベートした。結果として得られたDNA−タンパク質複合体はグルタルアルデヒドで固定し、未変性PAGEで分離した。(B)単一のG/Tミスマッチを含む32P標識されたDNA基質を、10fmolのHis−TDG、53fmolのHis−APE、および表示量のXPC−HR23Bの存在下、30℃で指定時間にわたりインキュベートした。反応停止はEDTA添加により行い、アルカリ処理を行わずに変性PAGEに供した。(C)32P標識されたDNA基質中の切断されたオリゴヌクレオチドの比率を、(B)の各レーン毎に計算した。平均値と標準誤差の計算は、少なくとも2回の独立した実験を基におこなった。
Claims (4)
- 配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCをコードするポリヌクレオチドが細胞内に導入可能な形態を有するDNA損傷修復剤。
- 配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCが細胞内に導入可能な形態を有するDNA損傷修復剤。
- 配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCと同等またはそれ以上のDNA損傷修復活性を有する物質を特定する方法であって、
(1)G/Tミスマッチ塩基対を含む2本鎖オリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼおよびポリペプチドXPCを反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量;および
(2)前記(1)と同一のオリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼおよび候補物質を反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量、
をそれぞれ測定し、(1)量と(2)量が等量、または(1)量より(2)量が多くなる候補物質を目的物質とすることを特徴とするスクリーニング方法。 - 配列番号2のアミノ酸配列またはその変異配列からなるポリペプチドXPCのDNA損傷修復活性を増強する物質を特定する方法であって、
(1)G/Tミスマッチ塩基対を含む2本鎖オリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼおよびポリペプチドXPCを反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量;および
(2)前記(1)と同一のオリゴヌクレオチド集団に、チミンDNAグリコシラーゼ、ポリペプチドXPCおよび候補物質を反応させた場合のミスマッチT塩基除去オリゴヌクレオチド量、
をそれぞれ測定し、(1)量より(2)量が多くなる候補物質を目的物質とすることを特徴とするスクリーニング方法。
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