JP2004168955A - 難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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重信 河合
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Abstract

【課題】難燃剤を多量に用いる難燃性ポリプロピレン樹脂組成物における難燃剤の偏積を改良し、難燃性能を向上させると共にベタツキ等のない外観に優れた難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法の提供。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、難燃剤9〜22重量部、アンチモン化合物5〜15重量部、動粘度30〜450mm/S(40℃)のパラフィン系オイル0.3〜1.3重量部を含有するポリプロピレン樹脂組成物の製造方法であって、ポリプロピレン樹脂ペレットとパラフイン系オイルを先に混合し、次いで難燃剤、アンチモン化合物を配合し混合し、溶融混練することを特徴とする難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法に関し、特に難燃剤の偏積を改良し、難燃性能の効果を向上させた難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン樹脂(主にペレット状のポリプロピレン樹脂)に難燃剤及びアンチモン化合物を配合して混合した難燃性ポリプロピレン樹脂組成物は広く知られている。
しかし、これらの難燃性ポリプロピレン樹脂組成物は、難燃剤及びアンチモン化合物の配合量が多いため、ポリプロピレン樹脂と難燃剤及びアンチモン化合物とが偏積を起こし樹脂組成物として性状にむらが発生し、難燃性能が不足する問題があった。
このような問題を解決する方法として、ポリオレフィン樹脂99〜60重量%、不飽和カルボン酸で変性されたオレフィン重合体1〜40重量%からなる樹脂成分100重量部と難燃剤5〜200重量部、鉱油、ワックス又はパラフィン類0.05〜200重量部とからなる難燃性オレフィン重合体樹脂組成物が耐傷付き白化防止性能を改良するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような技術においても、樹脂組成物の製造時における難燃剤等の偏積に伴う難燃性能の低下に関する課題は認識されておらず、また解決されていない状況であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−55751号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、難燃剤を多量に用いる難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造時における難燃剤の偏積を改良し、難燃性能を向上させると共にベタツキ等のない外観に優れた難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン樹脂ペレットに、特定の動粘度を有するパラフィン系オイルを特定量添加して、混合した後に、難燃剤、アンチモン化合物を特定量添加し、混合することで偏積がなく溶融混練することが可能となり、ポリプロピレン樹脂組成物の難燃性能を向上させると共にベタツキ等のない外観に優れた効果を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、難燃剤9〜22重量部、アンチモン化合物5〜15重量部、動粘度30〜450mm/S(40℃)のパラフィン系オイル0.3〜1.3重量部を含有するポリプロピレン樹脂組成物の製造方法であって、ポリプロピレン樹脂ペレットとパラフイン系オイルを先に混合し、次いで難燃剤、アンチモン化合物を配合し混合し、溶融混練することを特徴とする難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、難燃剤が、有機ハロゲン化芳香族化合物系難燃剤であることを特徴とする難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、有機ハロゲン化芳香族化合物系難燃剤がエーテル化テトラブロモビスフエノールS又はエーテル化テトラブロモビスフエノールAであることを特徴とする難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.ポリプロピレン樹脂組成物の構成成分
(1)ポリプロピレン樹脂
本発明の難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法に用いるポリプロピレン樹脂は、プロピレン単独重合体、又はプロピレンと炭素数2〜10のプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、例えば、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体などから選ばれる樹脂である。共重合体に用いるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどから選ばれ、なかでも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0010】
ポリプロピレン樹脂がプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体である場合、共重合体中のα−オレフィン含量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜12重量%、さらに好ましくは1〜8重量%である。α−オレフィン含量が20重量%を超えると、UL94燃焼テスト時の滴下の影響で綿着火し易くなり難燃性レベルが低下するので好ましくない。
ポリプロピレン樹脂がプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体である場合、プロピレン・α−オレフィン共重合部分のα−オレフィン含有量は、70重量%以下が好ましく、更に好ましくは30〜60重量%である。α−オレフィン含有量が70重量%以上となると、UL94燃焼テスト時の滴下の影響で綿着火し易くなり難燃性レベルが低下するので好ましくない。
【0011】
ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは5〜100g/10分、より好ましくは10〜80g/10分、さらに好ましくは20〜60g/10分である。MFRが5g/10分未満となるとUL94燃焼テスト時の滴下の影響で綿着火し易くなり、難燃性レベルが低下する傾向があり好ましくない。一方、MFRが100g/10分を超えると成形加工性が悪くなり、好ましくない。
ここで、MFRは、JIS K7210(230℃、21.18N荷重)に準拠して求める値である。
【0012】
(2)パラフィン系オイル
本発明で用いるパラフィン系オイルは、炭化水素系オイルであって、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50重量%以上を占めるものをいい、重量平均分子量が300〜2000のものが好ましい。
また、パラフィン系オイルの動粘度は、30〜450mm/S(40℃)、好ましくは30〜150mm/S(40℃)である。動粘度が30mm/S(40℃)未満であると、ポリプロピレン樹脂と難燃剤混合物中の難燃剤の偏積が大きくなるので好ましくなく、一方、450mm/S(40℃)を超えても偏積が大きくなるので好ましくない。
ここで、パラフィン系オイルの動粘度は、JIS−Z−8803に従って40℃の温度で測定される値である。
上記のような物性を有するパラフィン系オイルとしては、具体的には、出光興産社製「ダイアナプロセスオイル」、エッソ社製「ピュアレックス」等の市販品を例示することができる。
【0013】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物における、パラフィン系オイルの配合量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、0.3〜1.3重量部、好ましくは0.3〜1重量部、より好ましくは0.4〜0.6重量部である。パラフィン系オイルの配合量が0.3重量部未満であると、偏積が大きく難燃性にバラツキを生じ充分効果が発現出来ないので好ましくなく、1.3重量部を超えると難燃性が低下してくるので好ましくない。
【0014】
(3)難燃剤
本発明で用いる難燃剤としては、有機ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤などの有機系難燃剤あるいは無機系難燃剤が用いられる。
上記有機ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ハロゲン化ジフェニル化合物、ハロゲン化ビスフェノール系化合物、ハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物、ハロゲン化フタルイミド系化合物などの有機ハロゲン化芳香族化合物系難燃剤が好ましく、とりわけハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物が好ましい。
【0015】
上記ハロゲン化ジフェニル化合物としては、例えば、ハロゲン化ジフェニルエーテル系化合物、ハロゲン化ジフェニルケトン系化合物、ハロゲン化ジフェニルアルカン系化合物等が挙げられ、なかでもデカブロモジフェニルエーテル等のハロゲン化ジフェニルエーテル化合物が好ましい。
【0016】
上記ハロゲン化ビスフェノール系化合物としては、例えば、ハロゲン化ビスフェニルアルカン類、ハロゲン化ビスフェニルエーテル類、ハロゲン化ビスフェニルチオエーテル類、ハロゲン化ビスフェニルスルフォン類等が挙げられ、なかでもビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン等のハロゲン化ビスフェニルチオエーテル類が好ましい。
【0017】
ハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物としては、例えば、(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−3−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−3−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3、5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、2−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−ブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−クロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォンが挙げられ、なかでも臭素化ビスフエノールA(臭素化脂肪族エーテル)、臭素化ビスフエノールS(臭素化脂肪族エーテル)、塩素化ビスフエノールA(塩素化脂肪族エーテル)、塩素化ビスフエノールS(塩素化脂肪族エーテル)、とりわけエーテル化テトラブロモビスフェノールA、エーテル化テトラブロモビスフェノールSが好ましい。
エーテル化テトラブロモビスフェノールAとして、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパンが例示される。
エーテル化テトラブロモビスフェノールSとして、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォンが例示される。
【0018】
上記リン系難燃剤としては、例えば、トリクレジルホスフエート、トリ(β−クロロエチル)ホスフエート、トリ(ジブロモプロピル)ホスフエート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフエート等のリン酸エステルもしくはハロゲン化リン酸エステル、ホスホン酸化合物、ホスフイン酸誘導体等が主に挙げられる。
【0019】
その他の有機系難燃剤としては、窒化グアニジンなどのグアニジン化合物等が挙げられる。
【0020】
上記有機系難燃剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。また、これら有機系難燃剤、特にハロゲン系難燃剤は、アンチモン化合物と併用することにより、相乗効果を発現せしめることができる。
【0021】
上記無機系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズの水和物、硼砂等の無機金属化合物の水和物、硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、赤リン等が挙げられる。これらは1種または2種以上併用してもよい。これらの中でも特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、及びハイドロタルサイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物の水和物、とりわけ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが難燃効果がよく、経済的にも有利である。
【0022】
本発明における難燃剤の配合量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、9〜22重量部、好ましくは10〜18重量部、より好ましくは12〜15重量部である。難燃剤の配合量が9重量部未満であると、難燃性としてV0の達成が出来なく、22重量部を超えると経済性に不利で有るため好ましくない。
【0023】
(4)アンチモン化合物
本発明で用いるアンチモン化合物は、難燃剤と共にポリプロピレン樹脂に配合されることにより難燃効果を増すために用いられる。具体的なアンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモンなどのハロゲン化アンチモン、三硫化アンチモン、五硫化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、酒石酸アンチモン、金属アンチモン等が代表的に挙げられる。
【0024】
本発明におけるアンチモン化合物の配合量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、5〜15重量部、好ましくは5〜11重量部、より好ましくは5〜9重量部である。アンチモン化合物の配合量が5重量部未満であると、難燃性とてV0達成が出来なく、15重量部を超えると経済性に不利で有るため好ましくない。
【0025】
2.難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法
本発明の難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法は、ポリプロピレン樹脂ペレットとパラフイン系オイルを先に混合し、次いで難燃剤、アンチモン化合物を配合し混合し、溶融混練する方法である。すなわち、混合工程−溶融混練工程を経る方法において、混合工程の第1工程で、ポリプロピレン樹脂のペレットとパラフイン系オイルを先ず混合し、次いで混合工程の第2工程で難燃剤とアンチモン化合物を配合し、全体を混合することにより偏積の少ない混合物を得るところに特徴がある。混合工程の第2工程で得られた混合物は、難燃剤の偏積が少なく、溶融混練工程では偏積がなく溶融混練することが可能となり、得られる難燃性ポリプロピレン樹脂組成物は、難燃性効果が向上する。
ポリプロピレン樹脂組成物の構成成分を一括して混合した場合、難燃剤の偏積が著しく、安定した難燃性能が得られない。また難燃剤及びアンチモン化合物を、パラフイン系オイルと先に混合した後に、ポリプロピレン樹脂ペレットと混合しても、ポリプロピレン樹脂ペレットと難燃剤の偏積は解消されない。
【0026】
混合工程において、ポリプロピレン樹脂ペレット、パラフイン系オイル、難燃剤、及びアンチモン化合物を混合する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、スーパーフローターなどの各種混合機を使用することができる。
【0027】
溶融混練工程において、混合物を溶融混練する方法は、公知の方法を用いることができ、単軸押出機、二軸押出機、連続式混練機、ブラベンダー、ニーダーなどの各種溶融混練機を使用することができる。
ここで、本発明において偏積とは、ポリプロピレン樹脂組成物を得る混合工程で得られた混合物中のプロピレン樹脂と難燃剤及びアンチモン化合物の分散状態を表す指標として用いている。具体的には、混合された試料をホッパーに投入し、ホッパーから9つのサンプルを順に抜き出し、各サンプル中に含有される難燃剤及びアンチモン化合物の難燃剤比率を求め、難燃剤比率の平均値(AVG)及び標準偏差(σ)から次式によりバラツキ(CV)を求める。このCV値が25以上の場合を偏積がありとし、難燃性能を十分に発揮することができない。
CV(%)=(σ/AVG)×100
【0028】
3.難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の用途
本発明の製造方法により得られる難燃性ポリプロピレン樹脂組成物は、偏積のない混合物を溶融混練して得られたものであるため、難燃性能に優れ、しかも安定した品質を発現することができる。このため、テレビバックカバー、コンデンサーケース、スピーカーボックス、冷蔵庫蒸発皿、スイッチ部品、照明用具部品、温風ヒーターカバー等の家電用部品類、暖房便座、温水シャワー便座コントロールカバー、エアコン室外機等の住宅設備部品類、自動車用のヒューズボックス、等に好適に使用することができる。
【0029】
【実施例】
本発明を以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、評価方法および使用材料は、以下の通りである。
【0030】
1.評価方法
(1)偏積の評価:
(i)ポリプロピレン樹脂とパラフィン系オイルの所定量を、川田製20Lミキサーに入れ1分間混合したのち、難燃剤、及びアンチモンを所定量添加し、その後1分間混合した。
(ii)混合した試料を袋に取り出し、次に30mmDの2軸押出機(池貝鉄工社製)のホッパーへ投入した。その後、ホッパー下から混合した試料を各約400gずつ抜き出しその試料(2次試料)をX1からX9までとした。
(iii)2次試料を4メッシュの篩いを用いてポリプロピレン樹脂ペレットと難燃剤及びアンチモンとを分離した。
X1からX9の各試料の篩い上残量、及び篩い下通過量の比率を求め、難燃剤及びアンチモンの比率とした。X1からX9の難燃剤比率の平均値(AVG)、標準偏差(σ)を求め下記式で偏積によるバラツキ(CV)を求めた。
CV=(σ/AVG)×100
(2)難燃性:UL94難燃性試験法(アンダーライター・ラボラトリーズコーポレイテッド)の「機器の部品プレスチック材料の燃焼試験」に規定された試験片の作成とそれを用いた試験を行い評価した。
(3)シートのベタツキ性:アンダーライター・ラボラトリーズコーポレイテッドの「機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験」に準じて作成したUL94難燃性試験用シートを温度23℃、湿度50%の雰囲気状況で72時間状態調整し、この試験シートのベタツキ状況を手の手触り感で評価した。
【0031】
2.使用材料
(1)ポリプロピレン樹脂(PP−1):ノバテックPP BC03B(日本ポリケム社製);プロピレン・α−オレフィンブロック重合体、α−オレフィン含量8重量%、MFR30g/10分
(2)難燃剤−1:ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン
(3)難燃剤−2:2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン
(4)アンチモン化合物:三酸化アンチモン
(5)パラフィン系オイル:表1のパラフィン系オイルを用いた。
【0032】
【表1】
Figure 2004168955
【0033】
実施例1
(1)混合工程
ポリプロピレン樹脂ペレットとして(PP−1)を100重量部、パラフィン系オイルとして(Oil−1)を0.5重量部を20Lのミキサーに入れ、750回転で1分間混合した(第1混合工程)。その後、難燃剤として難燃剤−1を12重量部、三酸化アンチモンを6重量部を、追加添加してミキサーを1分間混合した(第2混合工程)。得られた混合物を2次試料として、袋に取り出した。
(2)溶融混練工程
難燃剤を混合した2次試料を、池貝鉄工社製30mmDの2軸押出混練機を用い温度200℃、スクリュー回転200rpm、吐出量約10〜13kg/hで溶融混練しペレット化した。
(3)評価
上記溶融混練する前の2次試料からバラツキ(CV)を求め、溶融混練してペレット化した試料から100Tの射出成形機で200℃の条件下でUL94試験用試験片を作成し、UL94難燃性試験とベタツキ状況を評価した。偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性の評価結果を表2に示す。
【0034】
実施例2
実施例1の(Oil−1)の添加量を1重量部にかえた以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表2に示す。偏積状態、シートベタツキ状態が良好であり、難燃性はV0であった。
【0035】
実施例3
実施例1のパラフィン系オイルを(Oil−2)にかえた以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表2に示す。偏積状態、シートベタツキ状態が良好であり、難燃性はV0であった。
【0036】
実施例4
実施例2の難燃剤−1を22重量部に、三酸化アンチモンを11重量部とした以外は、実施例2と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表2に示す。偏積状態、シートベタツキ状態が良好であり、難燃性はV0であった。
【0037】
実施例5
実施例1の難燃剤を難燃剤−2にかえた以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表2に示す。偏積状態、シートベタツキ状態が良好であり、難燃性はV0であった。
【0038】
比較例1
実施例1の(Oil−1)を添加しない以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。シートベタツキ状態は良好であったが、偏積状態が悪く、難燃性はV2であった。
【0039】
比較例2
実施例1の(Oil−1)の添加量を0.1重量部にした以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。シートベタツキ状態は良好であったが、偏積状態が悪く、難燃性はV2であった。
【0040】
比較例3
実施例1の(Oil−1)の添加量を1.5重量部にした以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状態は良く、難燃性はV0であったが、シートベタツキが認められた。
【0041】
比較例4
実施例1のパラフィン系オイルを(Oil−3)にかえた以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。シートベタツキ状態は良好であったが、偏積状態が悪く、難燃性はV2であった。
【0042】
比較例5
実施例1のパラフィン系オイルを(Oil−4)にかえた以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。シートベタツキ状態は良好であったが、偏積状態が悪く、難燃性はV2であった。
【0043】
比較例6
実施例4の(Oil−1)の添加量を2.0重量部にかえた以外は、実施例4と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状態は良く、難燃性はV0であったが、シートベタツキが認められた。
【0044】
比較例7
実施例1の難燃剤−1を9.0重量部に、三酸化アンチモンを4.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状態、シートベタツキ状態は良好であったが、難燃性はV2であった。
【0045】
比較例8
実施例1の難燃剤−1を8.0重量部に、三酸化アンチモンを7.0重量部とした以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状態、シートベタツキ状態は良好であったが、難燃性はV2であった。
【0046】
比較例9
実施例2の難燃剤−1を26.0重量部に、三酸化アンチモンを9.5重量部とした以外は、実施例2と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状態は良く、難燃性はV0であったが、シートベタツキが認められた。
【0047】
比較例10
実施例2の難燃剤−1を26.0重量部に、三酸化アンチモンを12.5重量部とした以外は、実施例2と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状態は良く、難燃性はV0であったが、シートベタツキが認められた。
【0048】
比較例11
実施例1の原料及びパラフィン系オイルの混合を一括にした以外は、実施例1と同様にして偏積状況、難燃性、シートのベタツキ性を評価した。その結果を表3に示す。偏積状況は悪く、難燃性はV2が認められた。
【0049】
【表2】
Figure 2004168955
【0050】
【表3】
Figure 2004168955
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られる難燃性ポリプロピレン樹脂組成物は、偏積のない混合物を溶融混練して得られたものであるため、難燃性能に優れ、しかも安定した品質を発現することができる。したがって、家電用部品類、住宅設備部品、自動車用部品類等に好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、難燃剤9〜22重量部、アンチモン化合物5〜15重量部、及び動粘度30〜450mm/S(40℃)のパラフィン系オイル0.3〜1.3重量部を含有するポリプロピレン樹脂組成物の製造方法であって、ポリプロピレン樹脂ペレットとパラフイン系オイルを先に混合し、次いで難燃剤、アンチモン化合物を配合し混合し、溶融混練することを特徴とする難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  2. 難燃剤が、有機ハロゲン化芳香族化合物系難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  3. 有機ハロゲン化芳香族化合物系難燃剤がエーテル化テトラブロモビスフエノールS又はエーテル化テトラブロモビスフエノールAであることを特徴とする請求項2に記載の難燃性ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
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