JP2004166326A - リニアモータ搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送路に設定された停止領域において搬送台車を高精度で位置決め停止可能としたリニアモータ搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送路10がリニア誘導モータの二次導体で構成され、該搬送路をリニア誘導モータの一次コイル及びその励磁制御回路を搭載した搬送台車20が走行し、搬送路には搬送台車の停止領域であるステーション30が設定されているリニアモータ搬送装置において、ステーションに位置検出用のリニアスケール40が設置される一方、搬送台車には位置検出器が設置される。励磁制御回路は、位置検出器からの検出信号を受け、ステーションでは前記検出信号に基づく位置決め停止制御を行う一方、ステーション以外の搬送路では上位制御器からの動作速度指令に基づく速度制御等による非位置決め制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】搬送路10がリニア誘導モータの二次導体で構成され、該搬送路をリニア誘導モータの一次コイル及びその励磁制御回路を搭載した搬送台車20が走行し、搬送路には搬送台車の停止領域であるステーション30が設定されているリニアモータ搬送装置において、ステーションに位置検出用のリニアスケール40が設置される一方、搬送台車には位置検出器が設置される。励磁制御回路は、位置検出器からの検出信号を受け、ステーションでは前記検出信号に基づく位置決め停止制御を行う一方、ステーション以外の搬送路では上位制御器からの動作速度指令に基づく速度制御等による非位置決め制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリニア誘導モータを利用してあらかじめ定められた搬送路上で物品等の搬送を行うためのリニアモータ搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のリニアモータ搬送装置の関連技術として、以下の2つの搬送装置が提案されている。
【0003】
第1の搬送装置においては、搬送路の移載ステーション付近の所定区間にリニアリラクタンスモータ用の二次側固定子が敷設され、所定区間以外の区間にはリニア誘導モータ用の二次側固定子が敷設される。一方、搬送台車にはコイルを有する一次側コアと汎用インバータが搭載される。そして、上記所定区間ではリニアリラクタンスモータとして作用し、所定区間以外の区間ではリニア誘導モータとして作用するように汎用インバータへの指令値が切り替えられる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
第2の搬送装置においては、リニア誘導モータとリニアステップモータとを併用し、ステーション以外の搬送路においてはリニア誘導モータとして動作させ、ステーション部分ではリニアステップモータとして動作させることにより、高精度の停止位置決定機能と高速搬送機能とを具備するようにしている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−112119号公報(要約、図1)
【0006】
【特許文献2】
特開昭59−31216号公報(第3頁左欄上段及び右欄上段、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の搬送装置は2種類の二次側固定子を設置する必要があり、設備が複雑になる。また、リニア誘導モータの二次側固定子に比べ、同期型、リラクタンスモータの二次側固定子は、コスト高となる。更に、既設のリニア誘導モータを有する搬送路への移載ステーションの追加には適さない。
【0008】
加えて、移載ステーションでの推力向上により停止位置決め精度は向上すると思われるが、汎用インバータを使用するため、高精度位置決めはできない。
【0009】
一方、第2の搬送装置でも、ステーション部に特殊なプレートを設置する必要があるので、第1の搬送装置と同様に設備が複雑になる。また、2種類の励磁回路が必要となる。
【0010】
そこで、本発明の課題は、搬送路に設定された停止領域において搬送台車を高精度で位置決め停止可能としたリニアモータ搬送装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の課題は、搬送路の敷設及び制御装置の構成が簡単で済むリニアモータ搬送装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、搬送路の少なくとも一部がリニア誘導モータの二次導体で構成され、該搬送路を前記リニア誘導モータの一次コイル及びその励磁制御回路を搭載した搬送台車が走行し、前記搬送路には前記搬送台車の停止領域が設定されているリニアモータ搬送装置において、前記停止領域に位置検出用の被計測手段が設置される一方、前記搬送台車には位置検出器が設置され、前記励磁制御回路は、前記位置検出器からの検出信号を受け、前記停止領域では位置決め停止制御を行う一方、前記停止領域以外の搬送路では非位置決め制御を行うことを特徴とするリニアモータ搬送装置が提供される。
【0013】
本リニアモータ搬送装置においては、前記励磁制御回路は、前記位置検出器からの検出信号に基づいて前記位置決め停止制御を行うと共に、該搬送台車の動作指令を出力する上位制御器に接続されており、しかも前記位置検出器からの検出信号により、前記上位制御器からの動作指令による前記非位置決め制御と、前記位置決め停止制御とを切り替える第1の切替え手段を有する。
【0014】
本リニアモータ搬送装置においてはまた、前記励磁制御回路は、前記動作指令として前記非位置決め制御における動作指令速度と前記停止領域での前記位置決め停止制御における搬送台車の停止位置指令値とを受け、前記非位置決め制御においては前記動作指令速度に基づく速度制御を行い、前記位置決め停止制御においては前記停止位置指令値に基づく停止位置に搬送台車を停止させる制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本リニアモータ搬送装置においては更に、前記励磁制御回路は、前記一次コイルを励磁するための励磁回路を有すると共に、前記非位置決め制御のための速度制御ループを有し、該速度制御ループは、前記励磁回路で励磁された電流あるいは電圧を検出するための電流・電圧検出器と、検出された電流あるいは電圧から搬送台車の速度を推定するための速度推定器と、該速度推定器による推定速度と前記上位制御器からの前記動作指令速度とに基づいて前記励磁回路を制御することで速度制御を行う速度制御器とを含む。
【0016】
本リニアモータ搬送装置においては、前記励磁制御回路は更に、前記位置決め停止制御のための位置決め停止制御ループを有し、該位置決め停止制御ループは、前記位置検出器からの検出信号により搬送台車の位置を演算するための位置演算器と、演算された位置と前記停止位置指令値とに基づいて位置制御を行うための位置制御器とを含むと共に、該位置制御器の出力が前記速度制御器に入力されるように構成されてループを形成しており、前記上位制御器から前記速度制御器への前記動作指令速度の入力ラインと前記位置制御器から前記速度制御器への入力ラインとが前記第1の切替え手段で切り替えられるように構成されていても良い。
【0017】
本リニアモータ搬送装置においては、前記励磁制御回路は更に、前記位置検出器からの位置検出信号により速度演算を行うための速度演算器を有し、該速度演算器で演算された速度と前記速度推定器による推定速度とが前記第1の切替え手段と同じタイミングで切替えを行う第2の切替え手段を介して前記速度制御器に与えられるように構成され、該第2の切替え手段は、前記非位置決め制御においては前記速度推定器の出力を、前記位置決め停止制御においては前記速度演算器の出力をそれぞれ選択するように切替えを行うようにしても良い。
【0018】
本リニアモータ搬送装置においては更に、前記非位置決め制御と前記位置決め停止制御との間の切替え時に、前記速度推定器の出力値と前記速度演算器の出力値との差を徐々に小さくするスムージング処理を行うためのスムージング処理手段を前記第2の切替え手段と前記速度制御器との間に接続することが好ましい。
【0019】
本リニアモータ搬送装置においては、前記位置検出用の被計測手段としてリニアスケールを用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図6を参照して、本発明によるリニアモータ搬送装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明によるリニアモータ搬送装置が適用される搬送システムを示す。本搬送システムは、搬送路10、この搬送路10を走行する搬送台車20を有し、搬送路10には搬送台車20の停止領域としてステーション30が設定される。ステーション30には、搬送台車20の位置検出のために、被計測手段としてここではリニアスケール40が設置されている。つまり、ステーション30は、搬送台車20の位置決めを必要とする領域であり、ここには搬送台車20に取り付けられた位置検出器(後述する)にて位置を検出可能とするためにリニアスケール40が設置されている。
【0022】
図2を参照して、搬送台車20は、複数(ここでは4つ)の車輪21を持つ台車に、リニア誘導モータを構成するための一次コイル22、サーボドライバ23(励磁制御回路)、前述したリニアスケール40との間で搬送台車20の位置を検出する位置検出器24が搭載されて構成されている。位置検出器24は、周知の磁気式、光学式のいずれでも良く、検出信号をサーボドライバ23に入力する。なお、一次コイル22は、例えば三相交流で駆動するリニア誘導モータの巻き方を有するコイルである。
【0023】
一方、搬送路10は、少なくともその一部、本形態では全域がリニア誘導モータの二次導体(固定子)で構成される。搬送路10に敷設されるリニア誘導モータの二次導体(固定子)の例を図3に示す。
【0024】
図3に示すように、固定子11は、磁性体であるバックヨーク11−1と非磁性体である二次導体11−2とで構成され、それぞれの板材を重ね合わせた構造を持つ。バックヨーク11−1の材料には鉄等の磁性金属や磁性材もしくは合金等が用いられ、二次導体11−2の材料にはアルミ、銅等の非磁性金属や合金等が用いられるがこれらに限定されるものではない。つまり、本発明が適用されるリニア誘導モータの固定子はどのような構造あるいは材料であっても良い。なお、二次導体(固定子)が搬送路10の全域に構成されなくても良いというのは、ステーション30以外の搬送路10の一部に二次導体(固定子)の無い領域があってもその領域では慣性による走行が可能であるからである。
【0025】
次に、図4を参照して、サーボドライバ23について説明する。サーボドライバ23は、位置検出器24からの検出信号を受け、ステーション30の領域では位置決め停止制御を行う一方、ステーション30以外の搬送路10では速度制御等による非位置決め制御を行うものである。特に、サーボドライバ23は、位置検出器24からの検出信号に基づいて位置決め停止制御を行うと共に、搬送台車20の動作指令を出力する上位制御器100に接続されている。しかも、サーボドライバ23は、位置検出器24からの検出信号により、上位制御器100からの動作指令による非位置決め制御と、位置決め停止制御とを切り替える第1の切替え部23−1を有する。
【0026】
本形態によるサーボドライバ23は、前記動作指令として非位置決め制御における動作指令速度とステーション30の領域での位置決め停止制御における搬送台車20の停止位置指令値とを受け、非位置決め制御においては動作指令速度に基づく速度制御を行い、位置決め停止制御においては停止位置指令値に基づく停止位置に搬送台車を停止させるための制御を行う。
【0027】
詳しく説明すると、サーボドライバ23は、一次コイル22を励磁するための励磁回路23−2を有すると共に、非位置決め制御のための速度制御ループL1を有する。速度制御ループL1は、励磁回路23−2で励磁された電流あるいは電圧を検出するための電流・電圧検出器23−3と、検出された電流あるいは電圧から搬送台車20の速度を推定するための速度推定器23−4と、速度推定器23−4による推定速度と上位制御器100からの動作指令速度とに基づいて励磁演算器23−6を介して励磁回路23−2を制御することで速度制御を行う速度制御器23−5とを含む。励磁演算器23−6は増幅器と同様の機能を持つ。
【0028】
サーボドライバ23は更に、位置決め停止制御のための位置決め停止制御ループL2を有する。位置決め停止制御ループL2は、位置検出器24からの検出信号により搬送台車20の位置を演算するための位置演算器23−7と、演算された位置と停止位置指令値とに基づいて位置制御を行うための位置制御器23−8とを含み、位置制御器23−8の出力が速度制御器23−5に入力されるように構成されてループを形成している。そして、上位制御器100から速度制御器23−5への動作指令速度の入力ラインと位置制御器23−8から速度制御器23−5への入力ラインとが第1の切替え部23−1で切り替えられるように構成されている。第1の切替え部23−1は、位置検出器24からの検出信号がある時には位置制御器23−8から速度制御器23−5への入力ラインを接続し、位置検出器24からの検出信号が無い時には上位制御器100から速度制御器23−5への動作指令速度の入力ラインを接続する。
【0029】
サーボドライバ23は更に、位置検出器24からの位置検出信号により速度演算を行うための速度演算器23−9を有し、速度演算器23−9で演算された速度と速度推定器23−4による推定速度のいずれか一方が第2の切替え部23−10を介して速度制御器23−5に与えられるように構成されている。特に、第2の切替え部23−10は、第1の切替え部23−1と同じタイミングで切り替えられ、非位置決め制御においては速度推定器23−4の出力を、位置決め停止制御においては速度演算器23−9の出力をそれぞれ選択するように切替えを行う。
【0030】
以上のような速度推定器23−4、速度演算器23−9を備えた励磁制御回路はベクトルインバータ制御を実現することができる。
【0031】
サーボドライバ23においては更に、非位置決め制御から位置決め停止制御への切替え時あるいはその逆であって速度演算器23−9の出力値と速度推定器23−4の出力値との差が大きい場合に、この差を徐々に小さくしてゆくスムージング処理を行うためのスムージング処理部23−11が第2の切替え部23−10と速度制御器23−5との間に接続されている。
【0032】
以上のような構成によるサーボドライバ23は、以下のように動作する。
【0033】
ア)サーボドライバ23は、上位制御器100から搬送路10での動作指令速度及びステーション30での停止位置を指示される。
【0034】
イ)サーボドライバ23は、位置検出器24から位置検出信号を受けている時には、位置検出器24からの位置情報を元に位置演算器23−7で位置演算を行い、指示された停止位置との距離を考慮しながら位置制御器23−8にて位置制御を行うべく速度制御器23−5に対して制御信号を出力する。
【0035】
ウ)速度制御器23−5は、位置演算が行われている場合には位置制御器23−8からの制御信号、位置演算が行われていない場合には上位制御器100からの動作指令速度を指令速度とし、スムージング処理部23−11からの現在速度と比較演算する。
【0036】
エ)速度制御器23−5の比較演算結果により励磁演算器23−6、励磁回路23−2を経由して搬送台車20に取り付けられた一次コイル22を励磁する。
【0037】
オ)搬送台車20がステーション30に無い場合(位置検出器24からの検出信号が無い場合)には、励磁回路23−2により励磁された電流あるいは電圧を電流・電圧検出器23−3により検出する。
【0038】
カ)電流・電圧検出器23−3により検出された電流あるいは電圧から速度推定器23−4により搬送台車20の速度を推定する。
【0039】
キ)搬送台車20がステーション30に在る場合(位置検出器24からの検出信号が在る場合)には、位置検出器24からの情報を元に速度演算器23−9で速度演算を行う。
【0040】
ク)スムージング処理部23−11では、搬送台車20がステーション30に在る場合には速度演算器23−9の演算結果、その他の場合には、速度推定器23−4の推定結果を基に以下に述べるスムージング処理を行う。
【0041】
スムージング処理は、第2の切替え部23−10による、演算結果と推定結果の切替え時の不連続を回避するための処理であり、一次コイル22への励磁が急激に変化しないようにするための処理である。
【0042】
図5を参照して、位置検出器24からの検出信号が無い状態で非位置決め制御による速度制御(センサレス制御)を行う場合、上位制御器100から動作指令速度を受け、電流あるいは電圧から速度推定を行って速度制御を行うが、必ずしも速度推定値と搬送台車20の速度とが一致しているとは限らない(図5a参照)。
【0043】
ここで、位置検出器24からのフィードバックによる制御(センサ付き制御)に切り替えると、速度演算器23−9の出力値と速度推定器23−4の出力値との差が大きい場合には制御切替え点で制御速度が不連続となり搬送台車20に急激な加速度が発生する(図5b参照)。
【0044】
そこで、スムージング処理部23−11は、制御切替え直前の速度推定器23−4の出力値から速度演算器23−9の出力値に徐々に近付けることにより、図5(c)に示すように、搬送台車へ急激な加速度が発生することを防止する。このため、スムージング処理部23−11では、直前の速度制御器23−5への出力値を保持している。
【0045】
なお、図5では、スムージング処理による速度変化は加速度一定(速度変化率一定)としているが、スムージング処理部23−11ではソフトウェアにより処理を行うので、速度の変化率を曲線で与えることも可能である。勿論、速度変化率は差が正であれば正の速度変化率で与えられ、差が負であれば負の速度変化率が与えられる。また、スムージング処理部23−11に、第2の切替え部23−10の切替え機能を持たせるようにしても良い。つまり、スムージング処理部23−11に速度演算器23−9の出力と速度推定器23−4の出力とを入力するようにし、スムージング処理部23−11は位置検出器24からの位置検出信号の有無に応じて速度演算器23−9の出力、速度推定器23−4の出力の一方をスムージング処理したうえで出力する。
【0046】
以上のような構成、作用により、搬送台車20に荷物を載せて運搬し、ステーション30の決められた位置に停止して荷物の移載を行う場合、ステーション30以外の領域では速度制御などの運転形態で搬送台車20をセンサレス制御し、搬送台車20がステーション30の領域に進入すると、制御はセンサ付き制御による位置決め停止制御に切り替わり、搬送台車20は目標位置に停止される。その後、ステーション30をスタートした搬送台車20は、位置検出器24からの位置検出信号が無くなると再びセンサレス制御に切り替えられる。そして、この切替え時点で速度演算器23−9の出力値と速度推定器23−4の出力値との差が大きい場合にも上述したスムージング処理が行われる。
【0047】
位置決め停止制御は、リニアスケール40と位置検出器24によるセンサ付き制御であるので、図6に示すように、高精度での位置決めが行われる。つまり、本発明における位置決め停止制御では、ステーション30の領域に進入すると位置検出器24からの検出信号に基づく連続的な減速制御を行い、停止位置については位置検出器24により搬送台車20の位置を正確に検出して位置制御を行うので、スムーズな減速と正確な停止位置を実現することが可能となる。
【0048】
リニア誘導モータは、装置が簡単で固定子の設置も容易であるので、低コストであることが特徴であり、ステーション30にリニアスケール40を設置すると共に搬送台車20には位置検出器24を設置し、位置検出信号の有無に応じて非位置決め制御と位置決め停止制御とを切り替えるだけで、全体として低コストで高性能なリニアモータ搬送装置が構成できる。しかも、既設のリニア誘導モータを備えた搬送路にステーション30を新設することができる。
【0049】
なお、本発明は、リニア誘導モータを使用し位置決めを必要とするすべてのリニアモータ搬送装置に適用可能である。また、搬送台車20に設置される位置検出器24とステーション30に設置されるリニアスケール40との組み合わせは一例であり、要求される検出精度を満足する他の周知の位置検出手段で実現されても良い。更に、ステーション30以外の搬送路では速度制御に代えて他の制御が行われても良い。この場合、上位制御器100からはその制御形態に応じた指令値が与えられ、速度制御器23−5もその制御形態に応じた制御器に代えられる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0051】
(1)従来装置、例えば前述した第1の搬送装置であると、二次側固定子として、2種類のものを敷設せねばならない。これに対し、本発明では、固定子はリニア誘導モータの二次導体のみであり、構造が非常に簡単であり、メンテナンスフリーである。
【0052】
(2)既設のリニア誘導モータで構成される、搬送路にステーション部分を追加する場合、搬送台車に位置検出器を設置すると共に、ステーション部にリニアスケール等の被計測手段を設置し、制御装置、つまり励磁制御回路を本発明によるものに交換するだけで良い。
【0053】
(3)本発明による励磁制御回路を用いることにより、ステーション部分でスムーズな加減速制御による高精度での停止位置決めを行うことが可能となる。
【0054】
(4)従来のステーンョン部とそれ以外の搬送路部分では制御方式もしくは制御装置を変える必要があったが、本発明では、励磁制御回路は勿論、制御方式もステーンョン部とそれ以外の搬送路部分で共用される。
【0055】
(5)ステーション部とそれ以外の搬送路で励磁制御回路を共用することにより、ステーション部への進入・脱出時の搬送台車への制御をスムーズに切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリニアモータ搬送装置が適用される搬送システムを示した図である。
【図2】本発明による搬送台車の構成を概略的に示した図である。
【図3】本発明に使用されるリニア誘導モータの固定子構造の例について示した図である。
【図4】本発明による励磁制御回路の構成を示したブロック図である。
【図5】図4に示したスムージング処理部の作用を説明するための速度特性図である。
【図6】本発明によりステーション部で実行される位置決め停止制御を説明するための速度−位置特性図である。
【符号の説明】
10 搬送路
11 固定子
20 搬送台車
21 車輪
22 一次コイル
23 サーボドライバ(励磁制御回路)
24 位置検出器
30 ステーション
40 リニアスケール
100 上位制御器
【発明の属する技術分野】
本発明はリニア誘導モータを利用してあらかじめ定められた搬送路上で物品等の搬送を行うためのリニアモータ搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のリニアモータ搬送装置の関連技術として、以下の2つの搬送装置が提案されている。
【0003】
第1の搬送装置においては、搬送路の移載ステーション付近の所定区間にリニアリラクタンスモータ用の二次側固定子が敷設され、所定区間以外の区間にはリニア誘導モータ用の二次側固定子が敷設される。一方、搬送台車にはコイルを有する一次側コアと汎用インバータが搭載される。そして、上記所定区間ではリニアリラクタンスモータとして作用し、所定区間以外の区間ではリニア誘導モータとして作用するように汎用インバータへの指令値が切り替えられる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
第2の搬送装置においては、リニア誘導モータとリニアステップモータとを併用し、ステーション以外の搬送路においてはリニア誘導モータとして動作させ、ステーション部分ではリニアステップモータとして動作させることにより、高精度の停止位置決定機能と高速搬送機能とを具備するようにしている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−112119号公報(要約、図1)
【0006】
【特許文献2】
特開昭59−31216号公報(第3頁左欄上段及び右欄上段、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の搬送装置は2種類の二次側固定子を設置する必要があり、設備が複雑になる。また、リニア誘導モータの二次側固定子に比べ、同期型、リラクタンスモータの二次側固定子は、コスト高となる。更に、既設のリニア誘導モータを有する搬送路への移載ステーションの追加には適さない。
【0008】
加えて、移載ステーションでの推力向上により停止位置決め精度は向上すると思われるが、汎用インバータを使用するため、高精度位置決めはできない。
【0009】
一方、第2の搬送装置でも、ステーション部に特殊なプレートを設置する必要があるので、第1の搬送装置と同様に設備が複雑になる。また、2種類の励磁回路が必要となる。
【0010】
そこで、本発明の課題は、搬送路に設定された停止領域において搬送台車を高精度で位置決め停止可能としたリニアモータ搬送装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の課題は、搬送路の敷設及び制御装置の構成が簡単で済むリニアモータ搬送装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、搬送路の少なくとも一部がリニア誘導モータの二次導体で構成され、該搬送路を前記リニア誘導モータの一次コイル及びその励磁制御回路を搭載した搬送台車が走行し、前記搬送路には前記搬送台車の停止領域が設定されているリニアモータ搬送装置において、前記停止領域に位置検出用の被計測手段が設置される一方、前記搬送台車には位置検出器が設置され、前記励磁制御回路は、前記位置検出器からの検出信号を受け、前記停止領域では位置決め停止制御を行う一方、前記停止領域以外の搬送路では非位置決め制御を行うことを特徴とするリニアモータ搬送装置が提供される。
【0013】
本リニアモータ搬送装置においては、前記励磁制御回路は、前記位置検出器からの検出信号に基づいて前記位置決め停止制御を行うと共に、該搬送台車の動作指令を出力する上位制御器に接続されており、しかも前記位置検出器からの検出信号により、前記上位制御器からの動作指令による前記非位置決め制御と、前記位置決め停止制御とを切り替える第1の切替え手段を有する。
【0014】
本リニアモータ搬送装置においてはまた、前記励磁制御回路は、前記動作指令として前記非位置決め制御における動作指令速度と前記停止領域での前記位置決め停止制御における搬送台車の停止位置指令値とを受け、前記非位置決め制御においては前記動作指令速度に基づく速度制御を行い、前記位置決め停止制御においては前記停止位置指令値に基づく停止位置に搬送台車を停止させる制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本リニアモータ搬送装置においては更に、前記励磁制御回路は、前記一次コイルを励磁するための励磁回路を有すると共に、前記非位置決め制御のための速度制御ループを有し、該速度制御ループは、前記励磁回路で励磁された電流あるいは電圧を検出するための電流・電圧検出器と、検出された電流あるいは電圧から搬送台車の速度を推定するための速度推定器と、該速度推定器による推定速度と前記上位制御器からの前記動作指令速度とに基づいて前記励磁回路を制御することで速度制御を行う速度制御器とを含む。
【0016】
本リニアモータ搬送装置においては、前記励磁制御回路は更に、前記位置決め停止制御のための位置決め停止制御ループを有し、該位置決め停止制御ループは、前記位置検出器からの検出信号により搬送台車の位置を演算するための位置演算器と、演算された位置と前記停止位置指令値とに基づいて位置制御を行うための位置制御器とを含むと共に、該位置制御器の出力が前記速度制御器に入力されるように構成されてループを形成しており、前記上位制御器から前記速度制御器への前記動作指令速度の入力ラインと前記位置制御器から前記速度制御器への入力ラインとが前記第1の切替え手段で切り替えられるように構成されていても良い。
【0017】
本リニアモータ搬送装置においては、前記励磁制御回路は更に、前記位置検出器からの位置検出信号により速度演算を行うための速度演算器を有し、該速度演算器で演算された速度と前記速度推定器による推定速度とが前記第1の切替え手段と同じタイミングで切替えを行う第2の切替え手段を介して前記速度制御器に与えられるように構成され、該第2の切替え手段は、前記非位置決め制御においては前記速度推定器の出力を、前記位置決め停止制御においては前記速度演算器の出力をそれぞれ選択するように切替えを行うようにしても良い。
【0018】
本リニアモータ搬送装置においては更に、前記非位置決め制御と前記位置決め停止制御との間の切替え時に、前記速度推定器の出力値と前記速度演算器の出力値との差を徐々に小さくするスムージング処理を行うためのスムージング処理手段を前記第2の切替え手段と前記速度制御器との間に接続することが好ましい。
【0019】
本リニアモータ搬送装置においては、前記位置検出用の被計測手段としてリニアスケールを用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図6を参照して、本発明によるリニアモータ搬送装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明によるリニアモータ搬送装置が適用される搬送システムを示す。本搬送システムは、搬送路10、この搬送路10を走行する搬送台車20を有し、搬送路10には搬送台車20の停止領域としてステーション30が設定される。ステーション30には、搬送台車20の位置検出のために、被計測手段としてここではリニアスケール40が設置されている。つまり、ステーション30は、搬送台車20の位置決めを必要とする領域であり、ここには搬送台車20に取り付けられた位置検出器(後述する)にて位置を検出可能とするためにリニアスケール40が設置されている。
【0022】
図2を参照して、搬送台車20は、複数(ここでは4つ)の車輪21を持つ台車に、リニア誘導モータを構成するための一次コイル22、サーボドライバ23(励磁制御回路)、前述したリニアスケール40との間で搬送台車20の位置を検出する位置検出器24が搭載されて構成されている。位置検出器24は、周知の磁気式、光学式のいずれでも良く、検出信号をサーボドライバ23に入力する。なお、一次コイル22は、例えば三相交流で駆動するリニア誘導モータの巻き方を有するコイルである。
【0023】
一方、搬送路10は、少なくともその一部、本形態では全域がリニア誘導モータの二次導体(固定子)で構成される。搬送路10に敷設されるリニア誘導モータの二次導体(固定子)の例を図3に示す。
【0024】
図3に示すように、固定子11は、磁性体であるバックヨーク11−1と非磁性体である二次導体11−2とで構成され、それぞれの板材を重ね合わせた構造を持つ。バックヨーク11−1の材料には鉄等の磁性金属や磁性材もしくは合金等が用いられ、二次導体11−2の材料にはアルミ、銅等の非磁性金属や合金等が用いられるがこれらに限定されるものではない。つまり、本発明が適用されるリニア誘導モータの固定子はどのような構造あるいは材料であっても良い。なお、二次導体(固定子)が搬送路10の全域に構成されなくても良いというのは、ステーション30以外の搬送路10の一部に二次導体(固定子)の無い領域があってもその領域では慣性による走行が可能であるからである。
【0025】
次に、図4を参照して、サーボドライバ23について説明する。サーボドライバ23は、位置検出器24からの検出信号を受け、ステーション30の領域では位置決め停止制御を行う一方、ステーション30以外の搬送路10では速度制御等による非位置決め制御を行うものである。特に、サーボドライバ23は、位置検出器24からの検出信号に基づいて位置決め停止制御を行うと共に、搬送台車20の動作指令を出力する上位制御器100に接続されている。しかも、サーボドライバ23は、位置検出器24からの検出信号により、上位制御器100からの動作指令による非位置決め制御と、位置決め停止制御とを切り替える第1の切替え部23−1を有する。
【0026】
本形態によるサーボドライバ23は、前記動作指令として非位置決め制御における動作指令速度とステーション30の領域での位置決め停止制御における搬送台車20の停止位置指令値とを受け、非位置決め制御においては動作指令速度に基づく速度制御を行い、位置決め停止制御においては停止位置指令値に基づく停止位置に搬送台車を停止させるための制御を行う。
【0027】
詳しく説明すると、サーボドライバ23は、一次コイル22を励磁するための励磁回路23−2を有すると共に、非位置決め制御のための速度制御ループL1を有する。速度制御ループL1は、励磁回路23−2で励磁された電流あるいは電圧を検出するための電流・電圧検出器23−3と、検出された電流あるいは電圧から搬送台車20の速度を推定するための速度推定器23−4と、速度推定器23−4による推定速度と上位制御器100からの動作指令速度とに基づいて励磁演算器23−6を介して励磁回路23−2を制御することで速度制御を行う速度制御器23−5とを含む。励磁演算器23−6は増幅器と同様の機能を持つ。
【0028】
サーボドライバ23は更に、位置決め停止制御のための位置決め停止制御ループL2を有する。位置決め停止制御ループL2は、位置検出器24からの検出信号により搬送台車20の位置を演算するための位置演算器23−7と、演算された位置と停止位置指令値とに基づいて位置制御を行うための位置制御器23−8とを含み、位置制御器23−8の出力が速度制御器23−5に入力されるように構成されてループを形成している。そして、上位制御器100から速度制御器23−5への動作指令速度の入力ラインと位置制御器23−8から速度制御器23−5への入力ラインとが第1の切替え部23−1で切り替えられるように構成されている。第1の切替え部23−1は、位置検出器24からの検出信号がある時には位置制御器23−8から速度制御器23−5への入力ラインを接続し、位置検出器24からの検出信号が無い時には上位制御器100から速度制御器23−5への動作指令速度の入力ラインを接続する。
【0029】
サーボドライバ23は更に、位置検出器24からの位置検出信号により速度演算を行うための速度演算器23−9を有し、速度演算器23−9で演算された速度と速度推定器23−4による推定速度のいずれか一方が第2の切替え部23−10を介して速度制御器23−5に与えられるように構成されている。特に、第2の切替え部23−10は、第1の切替え部23−1と同じタイミングで切り替えられ、非位置決め制御においては速度推定器23−4の出力を、位置決め停止制御においては速度演算器23−9の出力をそれぞれ選択するように切替えを行う。
【0030】
以上のような速度推定器23−4、速度演算器23−9を備えた励磁制御回路はベクトルインバータ制御を実現することができる。
【0031】
サーボドライバ23においては更に、非位置決め制御から位置決め停止制御への切替え時あるいはその逆であって速度演算器23−9の出力値と速度推定器23−4の出力値との差が大きい場合に、この差を徐々に小さくしてゆくスムージング処理を行うためのスムージング処理部23−11が第2の切替え部23−10と速度制御器23−5との間に接続されている。
【0032】
以上のような構成によるサーボドライバ23は、以下のように動作する。
【0033】
ア)サーボドライバ23は、上位制御器100から搬送路10での動作指令速度及びステーション30での停止位置を指示される。
【0034】
イ)サーボドライバ23は、位置検出器24から位置検出信号を受けている時には、位置検出器24からの位置情報を元に位置演算器23−7で位置演算を行い、指示された停止位置との距離を考慮しながら位置制御器23−8にて位置制御を行うべく速度制御器23−5に対して制御信号を出力する。
【0035】
ウ)速度制御器23−5は、位置演算が行われている場合には位置制御器23−8からの制御信号、位置演算が行われていない場合には上位制御器100からの動作指令速度を指令速度とし、スムージング処理部23−11からの現在速度と比較演算する。
【0036】
エ)速度制御器23−5の比較演算結果により励磁演算器23−6、励磁回路23−2を経由して搬送台車20に取り付けられた一次コイル22を励磁する。
【0037】
オ)搬送台車20がステーション30に無い場合(位置検出器24からの検出信号が無い場合)には、励磁回路23−2により励磁された電流あるいは電圧を電流・電圧検出器23−3により検出する。
【0038】
カ)電流・電圧検出器23−3により検出された電流あるいは電圧から速度推定器23−4により搬送台車20の速度を推定する。
【0039】
キ)搬送台車20がステーション30に在る場合(位置検出器24からの検出信号が在る場合)には、位置検出器24からの情報を元に速度演算器23−9で速度演算を行う。
【0040】
ク)スムージング処理部23−11では、搬送台車20がステーション30に在る場合には速度演算器23−9の演算結果、その他の場合には、速度推定器23−4の推定結果を基に以下に述べるスムージング処理を行う。
【0041】
スムージング処理は、第2の切替え部23−10による、演算結果と推定結果の切替え時の不連続を回避するための処理であり、一次コイル22への励磁が急激に変化しないようにするための処理である。
【0042】
図5を参照して、位置検出器24からの検出信号が無い状態で非位置決め制御による速度制御(センサレス制御)を行う場合、上位制御器100から動作指令速度を受け、電流あるいは電圧から速度推定を行って速度制御を行うが、必ずしも速度推定値と搬送台車20の速度とが一致しているとは限らない(図5a参照)。
【0043】
ここで、位置検出器24からのフィードバックによる制御(センサ付き制御)に切り替えると、速度演算器23−9の出力値と速度推定器23−4の出力値との差が大きい場合には制御切替え点で制御速度が不連続となり搬送台車20に急激な加速度が発生する(図5b参照)。
【0044】
そこで、スムージング処理部23−11は、制御切替え直前の速度推定器23−4の出力値から速度演算器23−9の出力値に徐々に近付けることにより、図5(c)に示すように、搬送台車へ急激な加速度が発生することを防止する。このため、スムージング処理部23−11では、直前の速度制御器23−5への出力値を保持している。
【0045】
なお、図5では、スムージング処理による速度変化は加速度一定(速度変化率一定)としているが、スムージング処理部23−11ではソフトウェアにより処理を行うので、速度の変化率を曲線で与えることも可能である。勿論、速度変化率は差が正であれば正の速度変化率で与えられ、差が負であれば負の速度変化率が与えられる。また、スムージング処理部23−11に、第2の切替え部23−10の切替え機能を持たせるようにしても良い。つまり、スムージング処理部23−11に速度演算器23−9の出力と速度推定器23−4の出力とを入力するようにし、スムージング処理部23−11は位置検出器24からの位置検出信号の有無に応じて速度演算器23−9の出力、速度推定器23−4の出力の一方をスムージング処理したうえで出力する。
【0046】
以上のような構成、作用により、搬送台車20に荷物を載せて運搬し、ステーション30の決められた位置に停止して荷物の移載を行う場合、ステーション30以外の領域では速度制御などの運転形態で搬送台車20をセンサレス制御し、搬送台車20がステーション30の領域に進入すると、制御はセンサ付き制御による位置決め停止制御に切り替わり、搬送台車20は目標位置に停止される。その後、ステーション30をスタートした搬送台車20は、位置検出器24からの位置検出信号が無くなると再びセンサレス制御に切り替えられる。そして、この切替え時点で速度演算器23−9の出力値と速度推定器23−4の出力値との差が大きい場合にも上述したスムージング処理が行われる。
【0047】
位置決め停止制御は、リニアスケール40と位置検出器24によるセンサ付き制御であるので、図6に示すように、高精度での位置決めが行われる。つまり、本発明における位置決め停止制御では、ステーション30の領域に進入すると位置検出器24からの検出信号に基づく連続的な減速制御を行い、停止位置については位置検出器24により搬送台車20の位置を正確に検出して位置制御を行うので、スムーズな減速と正確な停止位置を実現することが可能となる。
【0048】
リニア誘導モータは、装置が簡単で固定子の設置も容易であるので、低コストであることが特徴であり、ステーション30にリニアスケール40を設置すると共に搬送台車20には位置検出器24を設置し、位置検出信号の有無に応じて非位置決め制御と位置決め停止制御とを切り替えるだけで、全体として低コストで高性能なリニアモータ搬送装置が構成できる。しかも、既設のリニア誘導モータを備えた搬送路にステーション30を新設することができる。
【0049】
なお、本発明は、リニア誘導モータを使用し位置決めを必要とするすべてのリニアモータ搬送装置に適用可能である。また、搬送台車20に設置される位置検出器24とステーション30に設置されるリニアスケール40との組み合わせは一例であり、要求される検出精度を満足する他の周知の位置検出手段で実現されても良い。更に、ステーション30以外の搬送路では速度制御に代えて他の制御が行われても良い。この場合、上位制御器100からはその制御形態に応じた指令値が与えられ、速度制御器23−5もその制御形態に応じた制御器に代えられる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0051】
(1)従来装置、例えば前述した第1の搬送装置であると、二次側固定子として、2種類のものを敷設せねばならない。これに対し、本発明では、固定子はリニア誘導モータの二次導体のみであり、構造が非常に簡単であり、メンテナンスフリーである。
【0052】
(2)既設のリニア誘導モータで構成される、搬送路にステーション部分を追加する場合、搬送台車に位置検出器を設置すると共に、ステーション部にリニアスケール等の被計測手段を設置し、制御装置、つまり励磁制御回路を本発明によるものに交換するだけで良い。
【0053】
(3)本発明による励磁制御回路を用いることにより、ステーション部分でスムーズな加減速制御による高精度での停止位置決めを行うことが可能となる。
【0054】
(4)従来のステーンョン部とそれ以外の搬送路部分では制御方式もしくは制御装置を変える必要があったが、本発明では、励磁制御回路は勿論、制御方式もステーンョン部とそれ以外の搬送路部分で共用される。
【0055】
(5)ステーション部とそれ以外の搬送路で励磁制御回路を共用することにより、ステーション部への進入・脱出時の搬送台車への制御をスムーズに切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリニアモータ搬送装置が適用される搬送システムを示した図である。
【図2】本発明による搬送台車の構成を概略的に示した図である。
【図3】本発明に使用されるリニア誘導モータの固定子構造の例について示した図である。
【図4】本発明による励磁制御回路の構成を示したブロック図である。
【図5】図4に示したスムージング処理部の作用を説明するための速度特性図である。
【図6】本発明によりステーション部で実行される位置決め停止制御を説明するための速度−位置特性図である。
【符号の説明】
10 搬送路
11 固定子
20 搬送台車
21 車輪
22 一次コイル
23 サーボドライバ(励磁制御回路)
24 位置検出器
30 ステーション
40 リニアスケール
100 上位制御器
Claims (8)
- 搬送路の少なくとも一部がリニア誘導モータの二次導体で構成され、該搬送路を前記リニア誘導モータの一次コイル及びその励磁制御回路を搭載した搬送台車が走行し、前記搬送路には前記搬送台車の停止領域が設定されているリニアモータ搬送装置において、
前記停止領域に位置検出用の被計測手段が設置される一方、前記搬送台車には位置検出器が設置され、
前記励磁制御回路は、前記位置検出器からの検出信号を受け、前記停止領域では位置決め停止制御を行う一方、前記停止領域以外の搬送路では非位置決め制御を行うことを特徴とするリニアモータ搬送装置。 - 請求項1に記載のリニアモータ搬送装置において、前記励磁制御回路は、前記位置検出器からの検出信号に基づいて前記位置決め停止制御を行うと共に、該搬送台車の動作指令を出力する上位制御器に接続されており、しかも前記位置検出器からの検出信号により、前記上位制御器からの動作指令による前記非位置決め制御と、前記位置決め停止制御とを切り替える第1の切替え手段を有することを特徴とするリニアモータ搬送装置。
- 請求項2に記載のリニアモータ搬送装置において、前記励磁制御回路は、前記動作指令として前記非位置決め制御における動作指令速度と前記停止領域での前記位置決め停止制御における搬送台車の停止位置指令値とを受け、前記非位置決め制御においては前記動作指令速度に基づく速度制御を行い、前記位置決め停止制御においては前記停止位置指令値に基づく停止位置に搬送台車を停止させる制御を行うことを特徴とするリニアモータ搬送装置。
- 請求項3に記載のリニアモータ搬送装置において、前記励磁制御回路は、前記一次コイルを励磁するための励磁回路を有すると共に、前記非位置決め制御のための速度制御ループを有し、該速度制御ループは、前記励磁回路で励磁された電流あるいは電圧を検出するための電流・電圧検出器と、検出された電流あるいは電圧から搬送台車の速度を推定するための速度推定器と、該速度推定器による推定速度と前記上位制御器からの前記動作指令速度とに基づいて前記励磁回路を制御することで速度制御を行う速度制御器とを含むことを特徴とするリニアモータ搬送装置。
- 請求項4に記載のリニアモータ搬送装置において、前記励磁制御回路は更に、前記位置決め停止制御のための位置決め停止制御ループを有し、該位置決め停止制御ループは、前記位置検出器からの検出信号により搬送台車の位置を演算するための位置演算器と、演算された位置と前記停止位置指令値とに基づいて位置制御を行うための位置制御器とを含むと共に、該位置制御器の出力が前記速度制御器に入力されるように構成されてループを形成しており、前記上位制御器から前記速度制御器への前記動作指令速度の入力ラインと前記位置制御器から前記速度制御器への入力ラインとが前記第1の切替え手段で切り替えられるように構成されていることを特徴とするリニアモータ搬送装置。
- 請求項5に記載のリニアモータ搬送装置において、前記励磁制御回路は更に、前記位置検出器からの位置検出信号により速度演算を行うための速度演算器を有し、該速度演算器で演算された速度と前記速度推定器による推定速度とが前記第1の切替え手段と同じタイミングで切替えを行う第2の切替え手段を介して前記速度制御器に与えられるように構成され、該第2の切替え手段は、前記非位置決め制御においては前記速度推定器の出力を、前記位置決め停止制御においては前記速度演算器の出力をそれぞれ選択するように切替えを行うことを特徴とするリニアモータ搬送装置。
- 請求項6に記載のリニアモータ搬送装置において、前記非位置決め制御と前記位置決め停止制御との間の切替え時に、前記速度推定器の出力値と前記速度演算器の出力値との差を徐々に小さくするスムージング処理を行うためのスムージング処理手段を前記第2の切替え手段と前記速度制御器との間に接続したことを特徴とするリニアモータ搬送装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のリニアモータ搬送装置において、前記位置検出用の被計測手段としてリニアスケールを用いることを特徴とするリニアモータ搬送装置。
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Cited By (2)
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WO2012043448A1 (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-05 | Thk株式会社 | リニアモータの制御装置及びリニアモータ装置 |
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-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326374A patent/JP2004166326A/ja not_active Withdrawn
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