JP2004164797A - 突起検出ヘッド及びそれを用いた突起検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスク面上の高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起を信頼性良く検出可能な技術を提供する。
【解決手段】ディスク1面上の突起を検出する突起検出ヘッド4aを、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子4a1、または、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子4a1を、スライダ4a2上のディスク1対向面側に搭載し、ディスク1回転時に検出素子4a1が突起と接触したとき、接触による発熱で検出素子4a1を温度上昇させ検出素子4a1の抵抗値を増大させ電圧変化分を突起検出信号として取り出す。
【選択図】 図1
【解決手段】ディスク1面上の突起を検出する突起検出ヘッド4aを、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子4a1、または、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子4a1を、スライダ4a2上のディスク1対向面側に搭載し、ディスク1回転時に検出素子4a1が突起と接触したとき、接触による発熱で検出素子4a1を温度上昇させ検出素子4a1の抵抗値を増大させ電圧変化分を突起検出信号として取り出す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスクなどディスクの面上の突起を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置では、高密度記録化が主流のために、記録・再生用の磁気ヘッドと磁気ディスクの記録膜との距離(スペーシング)が短縮化され、これに伴って、磁気ディスクの表面の平坦化が必要条件となっている。また、再生時の感度向上に対応した磁気ディスクの低ノイズ化も要求されている。スペーシングは現在、15×10−9m以下のものまでが製品化されている。
【0003】
従来、磁気ディスクは、磁気ディスクドライブへの組立てに先立ち、磁気ディスク単体の状態で、グライドテストやサーティファイテストの単板試験を行う。グライドテストは、ディスク表面に存在する異常突起(許容範囲外の突起部)を検出しディスクを選別する試験で、グライドテスト専用のヘッドとして、スライダ部に、圧電素子を用いた衝撃センサを設け、磁気ディスク表面から一定距離浮上させた状態で該ディスク表面をシークし、突起物に衝突した時の信号を検知して異常突起を検出する。グライドテスト用のヘッドとしては、圧電素子に替え、磁気抵抗素子(以下、MR素子という)を用いる場合もある。該MR素子を用いる方式では、ディスク表面の突起がMR素子に衝突する際に該MR素子に発生するサーマルアスピリティ出力を検知することで、ディスク上の突起物を検出する。また、サーティファイテストは、上記グライドテストに合格したディスクに対し、所定の記録信号が基準レベル以上で再生可能か否かを判断したり、再生信号の変化の大きい箇所を磁気的な欠陥箇所として検出したりして、ディスク選別を行う試験である。該サーティファイテストは、一般には、欠陥検査装置(サーティファイヤー)を用いて、検査対象の1トラックに規定周波数で記録を行い、その位置でトラック平均再生信号レベルを測定し、その値に対する規定のスライスレベルから外れる信号をパルス信号化することでそのトラック上の欠陥を判定する。他のトラックについても同様に行う。
【0004】
また、磁気ディスク面の突起を検出する技術が記載された公報としては、特開平10−64057号公報(特許文献1)、特開平10−198956号公報(特許文献2)及び特開平8−167121号公報(特許文献3)がある。特開平10−64057号公報には、磁気ディスク上の突起を精度良く検出するために、磁気ディスク上を浮上するスライダの磁気ディスク対向面に、突起検出センサとして、熱伝導率が60W/mK〜80W/mK、抵抗値が27Ωのパーマロイや比熱が0.139J/gK、密度が16.6g/cm3、温度感度が0.1%/゜Cのタンタル等の抵抗体を設け、該抵抗体が突起に衝突したときに熱に変換されるエネルギーで該抵抗体の温度を上昇させ、抵抗体の抵抗値を増大させて突起検出を行うようにした構成が記載され、特開平10−198956号公報には、磁気ディスクのグライド検査を確実かつ容易に行えるようにするために、温度によって電気抵抗が変化するMR素子と、該MR素子に密着し空気支持面上に設けられた熱伝導膜とをスライダ構造体上に設け、ディスク表面の突起とスライダとによる摩擦熱が熱伝導膜を介してMR素子に伝わることで、該MR素子により突起検出を行う構成が記載されている。また、特開平8−167121号公報には、磁気ヘッドと同じ感度で、磁気ディスク上の異常突起を検出するために、接触熱で抵抗変化を生じるMR素子などの検出素子を磁気ヘッド上に設け、該検出素子の抵抗変化分を検出することにより、異常突起を検出する構成が記載されている。なお、一般に、該MR素子の抵抗温度係数は、約1200〜2400ppm/゜Cである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−64057号公報(段落番号0021、図2)
【特許文献2】
特開平10−198956号公報(段落番号0015、図1)
【特許文献3】
特開平8−167121号公報(段落番号0015、0018、図1、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近の高密度記録用ディスクでは、ディスク面の突起としては、高さ10×10−9m以下、平均直径(周上で平均化した直径)0.1×10−6m以下のものまでを検出して、ディスク選別されることが望まれる。圧電素子や、MR素子や、タンタル等を用いた抵抗体などによる上記従来技術では、検出感度が低いために、上記寸法の突起を精度良く検出することは難しい。また検出感度のばらつきも大きく、信頼性上も問題となるおそれがある。AE(Acoustic Emission(音響発散))センサの場合もほぼ同様である。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、記録媒体としてのディスクの面上の突起を検出する技術として、(1)高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起も検出できるようにすること、(2)ノイズレベルに対し信号レベルを少なくとも2倍以上にできること、(3)検出感度のばらつきが小さく、高信頼性を確保できること、等である。
本発明の目的は、かかる課題点を解決できる技術の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題点を解決するために、本発明では、基本的に、磁気ディスクなどのディスクのディスク面上の突起を検出する突起検出ヘッドを、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子、または、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子を、スライダ上のディスク対向面側に搭載した構成とし、ディスク回転時に該検出素子が突起と接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を突起の検出信号として取り出す。具体的には、(1)突起検出ヘッド(該当実施例:符号4a)として、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子(該当実施例:符号4a1)と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダ(該当実施例:符号4a2)とを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を上記突起の検出信号として出力する構成とする。(2)突起検出ヘッドとして、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子(該当実施例:符号4a1)と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダ(該当実施例:符号4a2)とを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を上記突起の検出信号として出力する構成とする。(3)ディスク面上の突起を検査する突起検査装置として、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子(該当実施例:符号4a1)をスライダ(該当実施例:符号4a2)のディスク対向面側に備え、上記ディスク(該当実施例:符号1)の回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による該検出素子の温度変化に基づく抵抗値変化を、該突起に対応した電圧信号に変え検出信号として出力する突起検出ヘッド(該当実施例:符号4a)と、該突起検出ヘッドからの検出信号を処理する信号処理回路(該当実施例:符号5、6)と、該信号処理結果を記憶するメモリ(該当実施例:符号7)と、該信号処理結果に基づく表示を行う表示部(該当実施例:符号11)と、上記ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段(該当実施例:符号2、3、8、9)とを備え、上記ディスクを所定速度で回転させ、上記検出素子をディスク面から所定距離浮上させた状態で、該ディスクの面上の突起を検査する構成とする。(4)突起検査装置として、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子(該当実施例:符号4a1)と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダ(該当実施例:符号4a2)とを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による該検出素子の温度変化に基づく抵抗値変化を、該突起に対応した電圧信号に変え検出信号として出力する突起検出ヘッド(該当実施例:符号4a)と、該突起検出ヘッドからの検出信号を処理する信号処理回路(該当実施例:符号5、6)と、該信号処理結果を記憶するメモリ(該当実施例:符号7)と、該信号処理結果に基づく表示を行う表示部(該当実施例:符号11)と、上記ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段(該当実施例:符号2、3、8、9)と、装置全体を制御する制御手段(該当実施例:符号10)とを備え、上記ディスクを所定速度で回転させた状態で、該ディスクの面上の突起を検査する構成とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明の実施例の説明図である。図1は本発明の突起検出ヘッドの構成例図、図2は、図1の突起検出ヘッドを用いて磁気ディスクの突起検出を行う突起検査装置の構成例図、図3は、図1の突起検出ヘッドにおける検出素子の熱抵抗変化率と出力電圧との関係を示す図、図4は、図1の突起検出ヘッドで検出可能な磁気ディスクの突起寸法範囲を示す図である。図3、図4の特性ではいずれも、従来の突起検出ヘッドの特性も比較のために示す。
図1(a)は、磁気ディスク面上に突起検出ヘッドを配したときの状態を示す図、また、図1(b)は、突起検出ヘッドに組み込まれる突起検出素子を拡大して示す図、図1(c)は、突起検出4aのディスク対向面すなわちスライダ面の構成例図である。図1において、1は磁気ディスク、2は、磁気ディスク1を回転させるスピンドル、4はヘッドアセンブリ、4aは、スライダの磁気ディスク面に対向する面(ディスク対向面=スライダ面)に突起検出素子が組込まれて成る突起検出ヘッド、4bは、突起検出ヘッド4aを支持するヘッド支持部材、4cは、ヘッドアセンブリ全体を保持するベースプレート、4a1は、スライダのスライダ面(ディスク対向面)に組み込まれスライダとともに突起検出ヘッド4aを構成する突起検出素子、4a11は突起検出素子4a内における素子本体部、4a12及び4a13は、同じく突起検出素子4a内における素子電極部、iは、素子電極部4a12、4a13間に外部回路から通電される電流、4a2はスライダ、4a21は、スライダ4a2の前方側の第1の凸状面部、4a22は、スライダ4a2の後方側の第2の凸状面部、4a23は、第1の凸状面部4a21と第2の凸状面部4a22との間の平面部、A1は突起検出素子4a1が設けられる部分である。突起検出素子4a1において、素子本体部4a11及び素子電極部4a12、4a13は、白金、白金合金、タングステン、またはタングステン合金などの薄膜でスパッタ法やリフトオフ工程法等により形成される。素子の両端にはメッキ通電膜を形成し、リード線を接続する。また、スライダ4a2の上記第1、第2の凸状面部はエッチング等により形成される。突起検出時、磁気ディスク1は、スピンドル2によって、例えば4500〜15000rpmの範囲の所定回転数で回転される。該スピンドル2はさらに、モータ(図示なし)によって回転駆動される。突起検出ヘッド4aは、磁気ディスク1の面から、例えば5×10−9m程度浮上させた状態で支持される。突起検出ヘッド4aの浮上は、スライダ4a2のディスク対向面(スライダ面)の上記第1の凸状面部4a21、第2の凸状面部4a22及び平面部4a22等により発生する空気圧によって確保される。スライダ4a2の前方側の第1の凸状面部4a21側では浮上量が大きく、スライダ4a2の後方側の第2の凸状面部4a22側よりも大きく、ディスク面に対しスライダ面は傾斜した状態となる。該傾斜状態で突起検出ヘッド4aは、上記A1部分の浮上量が5×10−9m程度となるようにされる。また、突起検出ヘッド4aの素子本体部4a11には、外部回路(図示なし)から、素子電極部4a12、4a13に接続されたリード線と該素子電極部4a12、4a13を介して所定の略一定の電流iが供給される。磁気ディスク1の面上に、例えば5×10−9mよりも高い突起がある場合、該突起はスライダ4a2のA1部分に接触し、該A1部分に熱を発生させる。該熱は突起検出素子4a1に伝わり、少なくとも素子本体部4a11の温度を上昇させて突起検出素子4a1の抵抗値を増大させる。該抵抗値の増大により、通電電流iに基づく素子電極部4a12、4a13間の電圧が増大する。該電圧の増大分は、突起検出信号としてリード線を介して外部回路側に取り出される。一般に、突起の高さが高い場合ほど、また、突起の平均直径が大きい場合ほど、突起検出ヘッドのA1部分への接触力が大きく、A1部分での発生熱量も大きい。この結果、突起検出素子4a1の素子本体部4a11の温度上昇も大きく、素子電極部4a12、4a13間の電圧増大分も大きい。また、温度上昇による抵抗値の変化量は、抵抗温度係数が大きい場合ほど大きい。白金合金の抵抗温度係数は約3600ppm/゜C、タングステン合金の抵抗温度係数は約3800ppm/゜Cである。従って、白金、白金合金、タングステン、タングステン合金の4種類の材料のうちではタングステン合金が最も大きな抵抗変化量が得られ、検出信号としての電圧増大分も大きくなる。検出信号のS/N比も高くすることが可能となる。現状では、抵抗温度係数の最大限界は、寿命などの点から約7000ppm/゜C程度までが可能と考えられる。なお、MR素子の抵抗温度係数は、約1200〜2400ppm/゜Cである。
【0009】
図2は、図1の突起検出ヘッドを用いた突起検査装置の構成例図である。
図2において、1は磁気ディスク、2は磁気ディスク1を回転させるスピンドル、3はスピンドル2を回転駆動するためのモータ、4はヘッドアセンブリ、4aは突起検出ヘッド、4bはヘッド支持部材、4cはベースプレート、5は、突起検出ヘッド4からの検出信号電圧を増幅するための増幅部、6はアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部、7はデジタル信号を記憶するメモリ、8はモータ3を駆動する駆動回路、9は、該駆動回路を制御する制御部、10は、検査装置全体の制御を行うマイクロプロセッサ、11は装置操作用のパーソナルコンピュータである。かかる構成において、駆動回路8は、制御回路9によって制御された状態でモータ3を所定の回転数で回転駆動する。モータ3は直結されたスピンドル2を回転させる。スピンドル2は磁気ディスク1を回転させる。磁気ディスク面の突起による熱発生に基づく突起検出信号(電圧信号)が突起検出ヘッド4aから出力されたとき、該検出信号は増幅部5で増幅され、A/D変換部6でデジタル信号に変換される。該デジタル信号は、マイクロプロセッサ10による制御に基づきメモリ7に記憶される。該マイクロプロセッサ10は、上記制御回路9の制御も行う。パーソナルコンピュータ11は、マイクロプロセッサ10の条件設定を変える等の操作を行うとともに、メモリ7に記憶されたデータの表示等も行う。
【0010】
図3は、図1の突起検出ヘッドにおけるの突起検出素子の熱抵抗変化率(抵抗温度係数)と出力電圧との関係の予測特性を示す図である。条件としては、磁気ディスクの回転数7200rpm、突起検出素子は、幅1.0×10−6m、高さ0.5×10−6m、厚み20×10−9m、抵抗温度係数が約3600ppm/゜Cの白金合金の薄膜、突起検出ヘッドの浮上量約10×10−9m、通電電流約20×10−3A、磁気ディスク面の突起の平均直径約0.1×10−6m、高さ約11×10−9mとしている。この結果、出力電圧は150×10−3Vで、ノイズレベル約50×10−3Vの約3倍の値である。これは検出信号として十分である。これに対し、従来のMR素子では出力電圧が50×10−3Vで、ノイズレベルと同レベルとなる。突起寸法が大きい場合は、突起検出素子の抵抗温度係数に比例した出力電圧が得られるが、突起寸法が上記実測条件のように小さい場合は、突起検出素子の抵抗温度係数値が約3000ppm/゜C以上ないと、出力電圧がノイズにかくれてしまい、検出信号として識別不可能となる。本結果によると、突起検出素子の抵抗温度係数値が約3000ppm/゜C以上であれば、平均直径0.1×10−6m以下、高さ10×10−9m以下の突起を検出可能である。出力電圧レベルもノイズレベルの約2倍にできる見通しもある。突起検出素子の抵抗温度係数値としては、7000ppm/゜C程度までが可能と予想され、かかる特性の突起検出素子の場合は、さらに出力を増大できると考えられる。突起検出素子の検出感度を上げる手段としては、突起検出素子の抵抗温度係数値を上げることの他、素子の体積を小さくして、突起との衝突によるエネルギーを伝達し易くするとともに、温度上昇をし易くすることも有効である。温度上昇分が増大することで抵抗変化量が増大し、電圧変化が増大する。この結果、検出可能な突起寸法の下限値をさらに小さくし、検出可能範囲を広げることが可能となる。
【0011】
図4は、図1の突起検出ヘッドによって検出可能な磁気ディスクの突起寸法範囲の実測結果及び予測結果をプロットした特性例を示す図である。条件としては、上記図3の場合と同様、磁気ディスクの回転数7200rpm、突起検出素子は、幅1.0×10−6m、高さ0.5×10−6m、厚み20×10−9m、抵抗温度係数が約3600ppm/゜Cの白金合金薄膜、突起検出ヘッドの浮上量約10×10−9m、通電電流約20×10−3Aとしている。この結果、突起寸法として、平均直径0.1×10−6m〜0.5×10−6mの突起を検出再現率90%以上で検出可能であり、平均直径0.05×10−6m〜1.0×10−6mの突起も検出再現率約80%で検出できる。ヘッド浮上量を10×10−9m以下にすれば高さ10×10−9m以下の突起も検出可能なことも別途行った実験で確かめられている。この結果、図1の突起検出ヘッドによって検出可能な磁気ディスクの突起寸法範囲としては、下限値が突起高さ10×10−9m以下、平均直径約0.05×10−6mで少なくとも平均直径約0.1×10−6m以下である。突起検出素子として、さらに抵抗温度係数の高いものを用いた場合には、検出可能な突起高さの下限値をさらに小さい値にすることができ、例えば予想される最大限界値の7000ppm/゜C程度にまでした場合には、検出可能な突起高さの下限値を最小限界値にできると考えられる。これに対し、従来の圧電素子では、検出可能な突起寸法範囲は、下限値が突起高さ10×10−9m以上、平均直径約0.5×10−6mである。該圧電素子の場合、平均直径約0.5×10−6m〜2.0×10−6mの突起に対しては検出再現率が50%以下となってしまい、検出の信頼性が低い。検出再現率を90%以上にできるのは、平均直径約1.0×10−6m〜2.0×10−6mの突起の場合である。これは突起との接触による圧電素子の圧電効果が小さくなり、電圧値がノイズレベル近傍になってしまうことが原因である。また、従来のGMR(Giant MagnetoResistive)素子(MR素子)の場合は、平均直径約0.5×10−6m〜2.0×10−6mの突起の場合でも検出再現率を90%以上にできる。しかし、平均直径が約0.5×10−6m以下となると急激に検出感度が低下してしまい、平均直径約0.1×10−6mでは、検出再現率が30%程度にまで下がる。
【0012】
以上説明したように、上記実施例構成によれば、磁気ディスク面上の突起として、高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起までを検出することができる。信号レベルをノイズレベルの少なくとも2倍以上にした状態で検出することができる。検出感度のばらつきも小さく、検出の高信頼性を確保できる。これによって、高密度磁気記録用の磁気ディスクの突起検出と、それに基づくディスク選別の信頼性を向上させることができる。
なお、上記実施例では、磁気ディスクの場合の例であるが、本発明はこれに限定されることなく、検出する突起は磁気ディスク以外の記録媒体のディスクの突起であってもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起までを検出することができる。これによって、高密度記録用のディスクの選別における信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の突起検出ヘッドの構成例を示す図である。
【図2】図1の突起検出ヘッドを用いた突起検査装置の構成例を示す図である。
【図3】図1の突起検出ヘッドの出力電圧特性例を示す図である。
【図4】図1の突起検出ヘッドで検出可能な突起寸法範囲を示す図である。
【符号の説明】
1…磁気ディスク、 2…スピンドル、 3…モータ、 4…ヘッドアセンブリ、 4a…突起検出ヘッド、 4b…ヘッド支持部材、 4c…ベースプレート、 4a1…突起検出素子、 4a11…素子本体部、 4a12、4a13…素子電極部、 i…電流、 4a2…スライダ、 4a21…第1の凸状面部、 4a22…第2の凸状面部、 4a23…平面部、 A1…突起検出素子設置部分、 5…増幅部、 6…A/D変換部、 7…メモリ、 8…駆動回路、 9…制御部、10…マイクロプロセッサ、 11…パーソナルコンピュータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスクなどディスクの面上の突起を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置では、高密度記録化が主流のために、記録・再生用の磁気ヘッドと磁気ディスクの記録膜との距離(スペーシング)が短縮化され、これに伴って、磁気ディスクの表面の平坦化が必要条件となっている。また、再生時の感度向上に対応した磁気ディスクの低ノイズ化も要求されている。スペーシングは現在、15×10−9m以下のものまでが製品化されている。
【0003】
従来、磁気ディスクは、磁気ディスクドライブへの組立てに先立ち、磁気ディスク単体の状態で、グライドテストやサーティファイテストの単板試験を行う。グライドテストは、ディスク表面に存在する異常突起(許容範囲外の突起部)を検出しディスクを選別する試験で、グライドテスト専用のヘッドとして、スライダ部に、圧電素子を用いた衝撃センサを設け、磁気ディスク表面から一定距離浮上させた状態で該ディスク表面をシークし、突起物に衝突した時の信号を検知して異常突起を検出する。グライドテスト用のヘッドとしては、圧電素子に替え、磁気抵抗素子(以下、MR素子という)を用いる場合もある。該MR素子を用いる方式では、ディスク表面の突起がMR素子に衝突する際に該MR素子に発生するサーマルアスピリティ出力を検知することで、ディスク上の突起物を検出する。また、サーティファイテストは、上記グライドテストに合格したディスクに対し、所定の記録信号が基準レベル以上で再生可能か否かを判断したり、再生信号の変化の大きい箇所を磁気的な欠陥箇所として検出したりして、ディスク選別を行う試験である。該サーティファイテストは、一般には、欠陥検査装置(サーティファイヤー)を用いて、検査対象の1トラックに規定周波数で記録を行い、その位置でトラック平均再生信号レベルを測定し、その値に対する規定のスライスレベルから外れる信号をパルス信号化することでそのトラック上の欠陥を判定する。他のトラックについても同様に行う。
【0004】
また、磁気ディスク面の突起を検出する技術が記載された公報としては、特開平10−64057号公報(特許文献1)、特開平10−198956号公報(特許文献2)及び特開平8−167121号公報(特許文献3)がある。特開平10−64057号公報には、磁気ディスク上の突起を精度良く検出するために、磁気ディスク上を浮上するスライダの磁気ディスク対向面に、突起検出センサとして、熱伝導率が60W/mK〜80W/mK、抵抗値が27Ωのパーマロイや比熱が0.139J/gK、密度が16.6g/cm3、温度感度が0.1%/゜Cのタンタル等の抵抗体を設け、該抵抗体が突起に衝突したときに熱に変換されるエネルギーで該抵抗体の温度を上昇させ、抵抗体の抵抗値を増大させて突起検出を行うようにした構成が記載され、特開平10−198956号公報には、磁気ディスクのグライド検査を確実かつ容易に行えるようにするために、温度によって電気抵抗が変化するMR素子と、該MR素子に密着し空気支持面上に設けられた熱伝導膜とをスライダ構造体上に設け、ディスク表面の突起とスライダとによる摩擦熱が熱伝導膜を介してMR素子に伝わることで、該MR素子により突起検出を行う構成が記載されている。また、特開平8−167121号公報には、磁気ヘッドと同じ感度で、磁気ディスク上の異常突起を検出するために、接触熱で抵抗変化を生じるMR素子などの検出素子を磁気ヘッド上に設け、該検出素子の抵抗変化分を検出することにより、異常突起を検出する構成が記載されている。なお、一般に、該MR素子の抵抗温度係数は、約1200〜2400ppm/゜Cである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−64057号公報(段落番号0021、図2)
【特許文献2】
特開平10−198956号公報(段落番号0015、図1)
【特許文献3】
特開平8−167121号公報(段落番号0015、0018、図1、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近の高密度記録用ディスクでは、ディスク面の突起としては、高さ10×10−9m以下、平均直径(周上で平均化した直径)0.1×10−6m以下のものまでを検出して、ディスク選別されることが望まれる。圧電素子や、MR素子や、タンタル等を用いた抵抗体などによる上記従来技術では、検出感度が低いために、上記寸法の突起を精度良く検出することは難しい。また検出感度のばらつきも大きく、信頼性上も問題となるおそれがある。AE(Acoustic Emission(音響発散))センサの場合もほぼ同様である。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、記録媒体としてのディスクの面上の突起を検出する技術として、(1)高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起も検出できるようにすること、(2)ノイズレベルに対し信号レベルを少なくとも2倍以上にできること、(3)検出感度のばらつきが小さく、高信頼性を確保できること、等である。
本発明の目的は、かかる課題点を解決できる技術の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題点を解決するために、本発明では、基本的に、磁気ディスクなどのディスクのディスク面上の突起を検出する突起検出ヘッドを、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子、または、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子を、スライダ上のディスク対向面側に搭載した構成とし、ディスク回転時に該検出素子が突起と接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を突起の検出信号として取り出す。具体的には、(1)突起検出ヘッド(該当実施例:符号4a)として、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子(該当実施例:符号4a1)と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダ(該当実施例:符号4a2)とを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を上記突起の検出信号として出力する構成とする。(2)突起検出ヘッドとして、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子(該当実施例:符号4a1)と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダ(該当実施例:符号4a2)とを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を上記突起の検出信号として出力する構成とする。(3)ディスク面上の突起を検査する突起検査装置として、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子(該当実施例:符号4a1)をスライダ(該当実施例:符号4a2)のディスク対向面側に備え、上記ディスク(該当実施例:符号1)の回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による該検出素子の温度変化に基づく抵抗値変化を、該突起に対応した電圧信号に変え検出信号として出力する突起検出ヘッド(該当実施例:符号4a)と、該突起検出ヘッドからの検出信号を処理する信号処理回路(該当実施例:符号5、6)と、該信号処理結果を記憶するメモリ(該当実施例:符号7)と、該信号処理結果に基づく表示を行う表示部(該当実施例:符号11)と、上記ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段(該当実施例:符号2、3、8、9)とを備え、上記ディスクを所定速度で回転させ、上記検出素子をディスク面から所定距離浮上させた状態で、該ディスクの面上の突起を検査する構成とする。(4)突起検査装置として、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子(該当実施例:符号4a1)と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダ(該当実施例:符号4a2)とを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による該検出素子の温度変化に基づく抵抗値変化を、該突起に対応した電圧信号に変え検出信号として出力する突起検出ヘッド(該当実施例:符号4a)と、該突起検出ヘッドからの検出信号を処理する信号処理回路(該当実施例:符号5、6)と、該信号処理結果を記憶するメモリ(該当実施例:符号7)と、該信号処理結果に基づく表示を行う表示部(該当実施例:符号11)と、上記ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段(該当実施例:符号2、3、8、9)と、装置全体を制御する制御手段(該当実施例:符号10)とを備え、上記ディスクを所定速度で回転させた状態で、該ディスクの面上の突起を検査する構成とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明の実施例の説明図である。図1は本発明の突起検出ヘッドの構成例図、図2は、図1の突起検出ヘッドを用いて磁気ディスクの突起検出を行う突起検査装置の構成例図、図3は、図1の突起検出ヘッドにおける検出素子の熱抵抗変化率と出力電圧との関係を示す図、図4は、図1の突起検出ヘッドで検出可能な磁気ディスクの突起寸法範囲を示す図である。図3、図4の特性ではいずれも、従来の突起検出ヘッドの特性も比較のために示す。
図1(a)は、磁気ディスク面上に突起検出ヘッドを配したときの状態を示す図、また、図1(b)は、突起検出ヘッドに組み込まれる突起検出素子を拡大して示す図、図1(c)は、突起検出4aのディスク対向面すなわちスライダ面の構成例図である。図1において、1は磁気ディスク、2は、磁気ディスク1を回転させるスピンドル、4はヘッドアセンブリ、4aは、スライダの磁気ディスク面に対向する面(ディスク対向面=スライダ面)に突起検出素子が組込まれて成る突起検出ヘッド、4bは、突起検出ヘッド4aを支持するヘッド支持部材、4cは、ヘッドアセンブリ全体を保持するベースプレート、4a1は、スライダのスライダ面(ディスク対向面)に組み込まれスライダとともに突起検出ヘッド4aを構成する突起検出素子、4a11は突起検出素子4a内における素子本体部、4a12及び4a13は、同じく突起検出素子4a内における素子電極部、iは、素子電極部4a12、4a13間に外部回路から通電される電流、4a2はスライダ、4a21は、スライダ4a2の前方側の第1の凸状面部、4a22は、スライダ4a2の後方側の第2の凸状面部、4a23は、第1の凸状面部4a21と第2の凸状面部4a22との間の平面部、A1は突起検出素子4a1が設けられる部分である。突起検出素子4a1において、素子本体部4a11及び素子電極部4a12、4a13は、白金、白金合金、タングステン、またはタングステン合金などの薄膜でスパッタ法やリフトオフ工程法等により形成される。素子の両端にはメッキ通電膜を形成し、リード線を接続する。また、スライダ4a2の上記第1、第2の凸状面部はエッチング等により形成される。突起検出時、磁気ディスク1は、スピンドル2によって、例えば4500〜15000rpmの範囲の所定回転数で回転される。該スピンドル2はさらに、モータ(図示なし)によって回転駆動される。突起検出ヘッド4aは、磁気ディスク1の面から、例えば5×10−9m程度浮上させた状態で支持される。突起検出ヘッド4aの浮上は、スライダ4a2のディスク対向面(スライダ面)の上記第1の凸状面部4a21、第2の凸状面部4a22及び平面部4a22等により発生する空気圧によって確保される。スライダ4a2の前方側の第1の凸状面部4a21側では浮上量が大きく、スライダ4a2の後方側の第2の凸状面部4a22側よりも大きく、ディスク面に対しスライダ面は傾斜した状態となる。該傾斜状態で突起検出ヘッド4aは、上記A1部分の浮上量が5×10−9m程度となるようにされる。また、突起検出ヘッド4aの素子本体部4a11には、外部回路(図示なし)から、素子電極部4a12、4a13に接続されたリード線と該素子電極部4a12、4a13を介して所定の略一定の電流iが供給される。磁気ディスク1の面上に、例えば5×10−9mよりも高い突起がある場合、該突起はスライダ4a2のA1部分に接触し、該A1部分に熱を発生させる。該熱は突起検出素子4a1に伝わり、少なくとも素子本体部4a11の温度を上昇させて突起検出素子4a1の抵抗値を増大させる。該抵抗値の増大により、通電電流iに基づく素子電極部4a12、4a13間の電圧が増大する。該電圧の増大分は、突起検出信号としてリード線を介して外部回路側に取り出される。一般に、突起の高さが高い場合ほど、また、突起の平均直径が大きい場合ほど、突起検出ヘッドのA1部分への接触力が大きく、A1部分での発生熱量も大きい。この結果、突起検出素子4a1の素子本体部4a11の温度上昇も大きく、素子電極部4a12、4a13間の電圧増大分も大きい。また、温度上昇による抵抗値の変化量は、抵抗温度係数が大きい場合ほど大きい。白金合金の抵抗温度係数は約3600ppm/゜C、タングステン合金の抵抗温度係数は約3800ppm/゜Cである。従って、白金、白金合金、タングステン、タングステン合金の4種類の材料のうちではタングステン合金が最も大きな抵抗変化量が得られ、検出信号としての電圧増大分も大きくなる。検出信号のS/N比も高くすることが可能となる。現状では、抵抗温度係数の最大限界は、寿命などの点から約7000ppm/゜C程度までが可能と考えられる。なお、MR素子の抵抗温度係数は、約1200〜2400ppm/゜Cである。
【0009】
図2は、図1の突起検出ヘッドを用いた突起検査装置の構成例図である。
図2において、1は磁気ディスク、2は磁気ディスク1を回転させるスピンドル、3はスピンドル2を回転駆動するためのモータ、4はヘッドアセンブリ、4aは突起検出ヘッド、4bはヘッド支持部材、4cはベースプレート、5は、突起検出ヘッド4からの検出信号電圧を増幅するための増幅部、6はアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部、7はデジタル信号を記憶するメモリ、8はモータ3を駆動する駆動回路、9は、該駆動回路を制御する制御部、10は、検査装置全体の制御を行うマイクロプロセッサ、11は装置操作用のパーソナルコンピュータである。かかる構成において、駆動回路8は、制御回路9によって制御された状態でモータ3を所定の回転数で回転駆動する。モータ3は直結されたスピンドル2を回転させる。スピンドル2は磁気ディスク1を回転させる。磁気ディスク面の突起による熱発生に基づく突起検出信号(電圧信号)が突起検出ヘッド4aから出力されたとき、該検出信号は増幅部5で増幅され、A/D変換部6でデジタル信号に変換される。該デジタル信号は、マイクロプロセッサ10による制御に基づきメモリ7に記憶される。該マイクロプロセッサ10は、上記制御回路9の制御も行う。パーソナルコンピュータ11は、マイクロプロセッサ10の条件設定を変える等の操作を行うとともに、メモリ7に記憶されたデータの表示等も行う。
【0010】
図3は、図1の突起検出ヘッドにおけるの突起検出素子の熱抵抗変化率(抵抗温度係数)と出力電圧との関係の予測特性を示す図である。条件としては、磁気ディスクの回転数7200rpm、突起検出素子は、幅1.0×10−6m、高さ0.5×10−6m、厚み20×10−9m、抵抗温度係数が約3600ppm/゜Cの白金合金の薄膜、突起検出ヘッドの浮上量約10×10−9m、通電電流約20×10−3A、磁気ディスク面の突起の平均直径約0.1×10−6m、高さ約11×10−9mとしている。この結果、出力電圧は150×10−3Vで、ノイズレベル約50×10−3Vの約3倍の値である。これは検出信号として十分である。これに対し、従来のMR素子では出力電圧が50×10−3Vで、ノイズレベルと同レベルとなる。突起寸法が大きい場合は、突起検出素子の抵抗温度係数に比例した出力電圧が得られるが、突起寸法が上記実測条件のように小さい場合は、突起検出素子の抵抗温度係数値が約3000ppm/゜C以上ないと、出力電圧がノイズにかくれてしまい、検出信号として識別不可能となる。本結果によると、突起検出素子の抵抗温度係数値が約3000ppm/゜C以上であれば、平均直径0.1×10−6m以下、高さ10×10−9m以下の突起を検出可能である。出力電圧レベルもノイズレベルの約2倍にできる見通しもある。突起検出素子の抵抗温度係数値としては、7000ppm/゜C程度までが可能と予想され、かかる特性の突起検出素子の場合は、さらに出力を増大できると考えられる。突起検出素子の検出感度を上げる手段としては、突起検出素子の抵抗温度係数値を上げることの他、素子の体積を小さくして、突起との衝突によるエネルギーを伝達し易くするとともに、温度上昇をし易くすることも有効である。温度上昇分が増大することで抵抗変化量が増大し、電圧変化が増大する。この結果、検出可能な突起寸法の下限値をさらに小さくし、検出可能範囲を広げることが可能となる。
【0011】
図4は、図1の突起検出ヘッドによって検出可能な磁気ディスクの突起寸法範囲の実測結果及び予測結果をプロットした特性例を示す図である。条件としては、上記図3の場合と同様、磁気ディスクの回転数7200rpm、突起検出素子は、幅1.0×10−6m、高さ0.5×10−6m、厚み20×10−9m、抵抗温度係数が約3600ppm/゜Cの白金合金薄膜、突起検出ヘッドの浮上量約10×10−9m、通電電流約20×10−3Aとしている。この結果、突起寸法として、平均直径0.1×10−6m〜0.5×10−6mの突起を検出再現率90%以上で検出可能であり、平均直径0.05×10−6m〜1.0×10−6mの突起も検出再現率約80%で検出できる。ヘッド浮上量を10×10−9m以下にすれば高さ10×10−9m以下の突起も検出可能なことも別途行った実験で確かめられている。この結果、図1の突起検出ヘッドによって検出可能な磁気ディスクの突起寸法範囲としては、下限値が突起高さ10×10−9m以下、平均直径約0.05×10−6mで少なくとも平均直径約0.1×10−6m以下である。突起検出素子として、さらに抵抗温度係数の高いものを用いた場合には、検出可能な突起高さの下限値をさらに小さい値にすることができ、例えば予想される最大限界値の7000ppm/゜C程度にまでした場合には、検出可能な突起高さの下限値を最小限界値にできると考えられる。これに対し、従来の圧電素子では、検出可能な突起寸法範囲は、下限値が突起高さ10×10−9m以上、平均直径約0.5×10−6mである。該圧電素子の場合、平均直径約0.5×10−6m〜2.0×10−6mの突起に対しては検出再現率が50%以下となってしまい、検出の信頼性が低い。検出再現率を90%以上にできるのは、平均直径約1.0×10−6m〜2.0×10−6mの突起の場合である。これは突起との接触による圧電素子の圧電効果が小さくなり、電圧値がノイズレベル近傍になってしまうことが原因である。また、従来のGMR(Giant MagnetoResistive)素子(MR素子)の場合は、平均直径約0.5×10−6m〜2.0×10−6mの突起の場合でも検出再現率を90%以上にできる。しかし、平均直径が約0.5×10−6m以下となると急激に検出感度が低下してしまい、平均直径約0.1×10−6mでは、検出再現率が30%程度にまで下がる。
【0012】
以上説明したように、上記実施例構成によれば、磁気ディスク面上の突起として、高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起までを検出することができる。信号レベルをノイズレベルの少なくとも2倍以上にした状態で検出することができる。検出感度のばらつきも小さく、検出の高信頼性を確保できる。これによって、高密度磁気記録用の磁気ディスクの突起検出と、それに基づくディスク選別の信頼性を向上させることができる。
なお、上記実施例では、磁気ディスクの場合の例であるが、本発明はこれに限定されることなく、検出する突起は磁気ディスク以外の記録媒体のディスクの突起であってもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、高さ10×10−9m以下、平均直径0.1×10−6m以下の突起までを検出することができる。これによって、高密度記録用のディスクの選別における信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の突起検出ヘッドの構成例を示す図である。
【図2】図1の突起検出ヘッドを用いた突起検査装置の構成例を示す図である。
【図3】図1の突起検出ヘッドの出力電圧特性例を示す図である。
【図4】図1の突起検出ヘッドで検出可能な突起寸法範囲を示す図である。
【符号の説明】
1…磁気ディスク、 2…スピンドル、 3…モータ、 4…ヘッドアセンブリ、 4a…突起検出ヘッド、 4b…ヘッド支持部材、 4c…ベースプレート、 4a1…突起検出素子、 4a11…素子本体部、 4a12、4a13…素子電極部、 i…電流、 4a2…スライダ、 4a21…第1の凸状面部、 4a22…第2の凸状面部、 4a23…平面部、 A1…突起検出素子設置部分、 5…増幅部、 6…A/D変換部、 7…メモリ、 8…駆動回路、 9…制御部、10…マイクロプロセッサ、 11…パーソナルコンピュータ。
Claims (4)
- 記録媒体としてのディスクの面上の突起を検出する突起検出ヘッドであって、抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子と、
該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダと、
を備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を上記突起の検出信号として出力する構成としたことを特徴とする突起検出ヘッド。 - 記録媒体としてのディスクの面上の突起を検出する突起検出ヘッドであって、白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダと、
を備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による発熱で該検出素子を温度上昇させ該検出素子の抵抗値を増大させ、これに基づく電圧変化分を上記突起の検出信号として出力する構成としたことを特徴とする突起検出ヘッド。 - 記録媒体としてのディスクの面上の突起を検査する突起検査装置であって、
抵抗温度係数が約3000ppm/゜Cから約7000ppm/゜Cの範囲にある検出素子をディスク対向面側に備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による該検出素子の温度変化に基づく抵抗値変化を、該突起に対応した電圧信号に変え検出信号として出力する突起検出ヘッドと、
該突起検出ヘッドからの検出信号を処理する信号処理回路と、
該信号処理結果を記憶するメモリと、
該信号処理結果に基づく表示を行う表示部と、
上記ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段と、
を備え、上記ディスクを所定速度で回転させ、上記検出素子をディスク面から所定距離浮上させた状態で、該ディスクの面上の突起を検査可能にした構成を特徴とする突起検査装置。 - 記録媒体としてのディスクの面上の突起を検査する突起検査装置であって、
白金、白金合金、タングステンまたはタングステン合金から成る検出素子と、該検出素子をディスク対向面側に保持し該検出素子をディスク面上に所定距離浮上させるスライダとを備え、上記ディスクの回転時に、該ディスクの面上の突起が上記検出素子に接触したとき、該接触による該検出素子の温度変化に基づく抵抗値変化を、該突起に対応した電圧信号に変え検出信号として出力する突起検出ヘッドと、
該突起検出ヘッドからの検出信号を処理する信号処理回路と、
該信号処理結果を記憶するメモリと、
該信号処理結果に基づく表示を行う表示部と、
上記ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段と、
装置全体を制御する制御手段と、
を備え、上記ディスクを所定速度で回転させた状態で、該ディスクの面上の突起を検査可能にした構成を特徴とする突起検査装置。
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