JP2004162600A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の排気浄化装置において、排気ガス温度の上昇による触媒の劣化を防止して排気ガス浄化性能の向上を図る。
【解決手段】排気通路11に分岐通路12,13を介して再生式フィルタ14,15を並設し、分岐通路12,13に切換弁19,20を装着する一方、合流通路16,17を介して選択還元式触媒18を連結し、選択還元式触媒18に尿素またはアンモニアを供給する噴射ノズル27を設け、制御手段35は再生式フィルタ14,15を交互運転して微粒子の捕集量に応じて切換弁19,20を切換制御すると共に、切り換えられた再生式フィルタの再生機能を実行する。
【選択図】 図1
【解決手段】排気通路11に分岐通路12,13を介して再生式フィルタ14,15を並設し、分岐通路12,13に切換弁19,20を装着する一方、合流通路16,17を介して選択還元式触媒18を連結し、選択還元式触媒18に尿素またはアンモニアを供給する噴射ノズル27を設け、制御手段35は再生式フィルタ14,15を交互運転して微粒子の捕集量に応じて切換弁19,20を切換制御すると共に、切り換えられた再生式フィルタの再生機能を実行する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排気ガス中の有害物質や微粒子などを浄化する内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車に搭載されるディーゼルエンジンにおいて、その排気通路を介して大気に放出される排気ガス中の微粒子(PM:Particulate matter)やNOx(窒素酸化物)を低減する技術が開発されている。このような技術として、下記の特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−008833(第4頁、図3)
【0004】
図4に従来の内燃機関の排気浄化装置の概略、図5に触媒再生時のタイムチャートを示す。
【0005】
特許文献1に記載された従来の従来の内燃機関の排気浄化装置は、図4に示すように、ディーゼルエンジンの排気ガス通路101に連続再生式フィルタ(CR−DPF:continuously regenerating−diesel particulate filter )102と選択還元式触媒(NOx触媒装置)103とが直列に配設されて構成されている。連続再生式フィルタ102は、酸化触媒104と黒煙などの微粒子を捕集するフィルタ105とが設けられると共に、その上流側に温度センサ106が設けられている。選択還元式触媒103は、その上流側に温度センサ107が設けられると共に、尿素を添加する噴射ノズル108が設けられている。
【0006】
従って、連続再生式フィルタ102に流入した排気ガスは、酸化触媒104によりHC、CO成分がCO2 、H2Oに酸化されると共に、NOxが酸化されてNO2 となり、フィルタ105に捕集された黒煙などの微粒子が酸化燃焼される。また、選択還元式触媒にて、噴射ノズル108から噴射された尿素が熱分解してアンモニアとなり、排気ガス中のNO2 がN2 やH2Oに還元されて浄化される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の排気ガス処理装置にあっては、排気ガスは、黒煙などの微粒子がフィルタ105に捕集されて浄化されるため、このフィルタ105が捕集した微粒子を定期的に再燃焼して再生する必要がある。ところが、排気ガスの温度が触媒の活性化温度以上にならないと捕集した黒煙を燃焼することができないため、従来は、膨張行程に追加燃料噴射を行うなどして排気ガスを昇温することで、フィルタ105を加熱している。しかし、このように排気ガス温度を上げてフィルタ105を強制的に再生した場合、図5に示すように、フィルタ105の出口での排気ガス温度が700℃〜1000℃まで到達してしまう場合があり、この場合には、アンモニアを還元剤とする選択還元式触媒103に一般的に担持されるバナジウムが昇華して飛散し、大気中に放出されてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであって、排気ガス温度の上昇による触媒の劣化を防止して排気ガス浄化性能の向上を図った内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路に排気ガス中の微粒子を捕集する複数の再生式フィルタを並設し、各再生式フィルタへの排気導入を選択的に切り換える通路切換手段を設け、各再生式フィルタの下流側に選択還元式触媒を設けると共に、この選択還元式触媒に尿素またはアンモニアを供給する還元剤供給手段を設け、制御手段が各再生式フィルタの捕集量あるいは捕集量に起因するパラメータに応じて通路切換手段を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行するようにしている。
【0010】
従って、排気ガスが排気通路から通路切換手段により切り換えられた再生式フィルタに導入すると、排気ガス中の微粒子がここで捕集され、選択還元式触媒にて、還元剤供給手段により供給された尿素またはアンモニアにより排気ガス中の有害物質が還元処理されて浄化される。そして、一方の再生式フィルタに所定量の微粒子が捕集されると、制御装置は通路切換手段により使用する再生式フィルタを切り換えると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行することで、付着した微粒子を燃焼して除去する。このとき、選択還元式触媒には微粒子が燃焼した高温の排気ガスと微粒子が捕集された低温の排気ガスとが混合して流入することとなり、高温の排気ガスによるバナジウムの飛散等の選択還元式触媒の劣化を防止すると共に、再生式フィルタにより微粒子を常時捕集することで、連続して安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0011】
請求項2の発明の内燃機関の排気浄化装置では、再生式フィルタに酸化触媒を担持している。従って、再生式フィルタにて、微粒子の燃焼時に生成されたNOが酸化されてNO2 となり、選択還元式触媒に導入されること似寄り効率良くNOxを浄化することができる。
【0012】
請求項3の発明の内燃機関の排気浄化装置では、各再生式フィルタが再生用加熱手段を有し、この再生式フィルタの再生時に所定量の排気ガスを再生加熱手段に導入する排気ガス導入手段を設けている。従って、再生式フィルタの再生時に排ガス温度が低いときは、制御手段が再生用加熱手段を作動すると共に、排気ガス導入手段によりこの再生加熱手段に排気ガスを導入することで、排気ガスが昇温されて高温の排気ガスにより付着した微粒子が燃焼して除去されることとなり、少量の排気ガスにより再生式フィルタを確実に再生することができる。
【0013】
請求項4の発明の内燃機関の排気浄化装置では、排気ガス導入手段は、再生式フィルタ上流側の排気通路と再生加熱手段とを連通する連通路と、この連通路を流れる排気ガス流量を調整する流量制御弁とを有している。従って、簡単な構成で再生式フィルタを適正に再生することができる。
【0014】
請求項5の発明の内燃機関の排気浄化装置では、選択還元式触媒の上流側に排気ガス温度を計測する温度センサを設け、制御手段は温度センサが計測した排気ガス温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御している。従って、選択還元式触媒に導入される排気ガスの温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御するため、選択還元式触媒への高温の排気ガスの流入を防止して選択還元式触媒の劣化を確実に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1に本発明の第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成、図2にフィルタ再生時のタイムチャートを示す。
【0017】
本実施形態の排気浄化装置において、図1に示すように、図示しないエンジンの排気通路11は、2つの分岐した一対の分岐通路12,13に連結され、各分岐通路12,13には第1及び第2再生式フィルタ(DPF:diesel particulate filter )14,15が装着されている。そして、この第1及び第2再生式フィルタ14,15の下流側には一対の合流通路16,17を介して選択還元式触媒(SCR:selective catalytic reduction)18が連結されている。
【0018】
各分岐通路12,13には通路切換手段を構成する切換弁19,20が装着されており、この切換弁19,20の開閉操作により排気ガスを排気通路11から分岐通路12を介して第1再生式フィルタ14に導入するか、分岐通路13を介して第2再生式フィルタ15に導入するか選択切換できるようになっている。
【0019】
第1及び第2再生式フィルタ14,15は、セラミックスの多孔質壁をハニカム形状にして多数の排気流路を形成したフィルタに酸化触媒が担持されて構成されている。従って、この各再生式フィルタ14,15では、排気ガス中のHC、CO成分を酸化してCO2 、H2Oに変換すると共に、NOを酸化してNO2 に変換することができる。また、再生式フィルタ14,15では、排気ガスが多孔質壁を通過することでこの排気ガス中の微粒子(PM:パティキュレート)、特に黒煙を捕集することができる。なお、酸化機能を有する触媒と微粒子を捕集するフィルタを一体に設けて再生式フィルタ14,15を構成したが、上流側に酸化触媒を、下流側にフィルタを、更に下流側に酸化触媒を別々に直列に配設してもよい。
【0020】
また、第1及び第2再生式フィルタ14,15の各上流部には再生用加熱手段としての電気ヒータ21,22が設けられ、電源部23,24に接続されている。更に、各再生式フィルタ14,15の上流側は、再生時に所定量の排気ガスを導入する排気ガス導入手段としての連通路25により連通されていると共に、この連通路25に流動する排気ガス流量を調整する流量制御弁26が設けられている。
【0021】
従って、例えば、第1再生式フィルタ14の微粒子の捕集量が所定量となった場合に、切換弁19を閉止して切換弁20を開放し、排気ガスが排気通路11から分岐通路13を通って第2再生式フィルタ15に導入させるとき、連通路25を介して排気ガスの一部を第1再生式フィルタ14に流入させることで、流入排気ガス中の酸素により第1再生式フィルタ14に付着した微粒子を燃焼することができる。このとき、流量制御弁26により第1再生式フィルタ14に導入される排気ガスの流量を調整することで、微粒子を燃焼するための排気ガスの温度を調節することができる。また、排気ガス温度が低いとき、電源部22を用いて電気ヒータ21を作動して連通路25から導入された排気ガスを加熱することで、排気ガスを第1再生式フィルタ14を再生可能な温度とすることができる。
【0022】
選択還元式触媒18はNOx触媒であって少なくともバナジウムが担持されており、上流側に尿素(またはアンモニア)を供給する還元剤供給手段としての噴射ノズル27及び噴射ポンプ28が設けられている。酸化触媒を担持した再生式フィルタ14,15により微粒子が除去された際に発生したNOが高活性のNO2 に変換された排気ガスが、この選択還元式触媒18に導入されることにより、排気ガスがアンモニアにより効率良く還元されて浄化される。
【0023】
また、排気通路11の下流側には分岐通路12,13に流入する排気ガスの温度を計測する温度センサ31が装着される一方、第1及び第2再生式フィルタ14,15の下流側には合流通路16,17に流入する排気ガスの温度を計測する温度センサ32,33が装着されている。更に、選択還元式触媒18の上流側にはこの選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度を計測する温度センサ34が装着されている。
【0024】
そして、前述した切換弁19,20、電源部23,24、流量制御弁26、温度センサ31〜34に制御装置35に接続されている。従って、この制御装置35は、一方の再生式フィルタ14,15の捕集量、あるいはこの捕集量に起因するパラメータ(圧力損失、エンジン駆動時間、走行距離など)に応じて切換弁19,20を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタ14,15の再生機能を実行、つまり、電気ヒータ21,22により排気ガスを加熱することで、高温の排気ガスにより再生式フィルタ14,15に付着した微粒子を燃焼することができる。
【0025】
このように構成された本実施形態の排気浄化装置にて、制御装置35は、切換弁19を閉止する一方で切換弁20を開放し、排気ガスを排気通路11から分岐通路13を通して第2再生式フィルタ15に導入する。すると、排気ガスは、まず、第2再生式フィルタ15により排気ガス中の有害物質(HC、CO)が酸化処理されると共に、排気ガス中のNOが酸化されてNO2 となり、また、排気ガス中の微粒子(PM)が捕集されて浄化される。次に、排気ガスに対して噴射ノズル27から尿素を噴射すると、尿素が排気ガスの熱により熱分解してアンモニア(NH3 )が生成され、選択還元式触媒18上で排気ガス中のNOやNO2 このNH3 と反応してN2 やH2Oに還元され、排気ガスが浄化されて大気に排出される。
【0026】
このとき、エンジンが比較的高負荷で連続的に運転される場合は、排気ガスの温度が第2再生式フィルタ15の活性化温度以上になるため、この第2再生式フィルタ15が昇温されて捕集した微粒子を燃焼し、第2再生式フィルタ15を良好に再生することができる。
【0027】
一方、エンジンの低負荷運転が連続して行われる場合は、排気ガスの温度が第2再生式フィルタ15の活性化温度以上になる機会が少なく、この第2再生式フィルタ15を所定の温度以上に昇温することができず、第2再生式フィルタ15が捕集した微粒子を効率よく燃焼して再生することができない。すると、第2再生式フィルタ15にて、微粒子の捕集量が増加して圧力損失が大きくなり、制御装置35は第2再生式フィルタ15の圧力損失をエンジン駆動時間や走行距離に置き換えて検出する。そして、制御装置35は、使用する浄化装置を第2再生式フィルタ15から第1再生式フィルタ14に切り換え、第2再生式フィルタ15に捕集された微粒子を燃焼除去して再生する。
【0028】
即ち、制御装置35は、切換弁19を開放する一方で切換弁20を閉止し、排気ガスを排気通路11から分岐通路12を通して第1再生式フィルタ14に導入する。すると、排気ガスは、前述と同様に、第1再生式フィルタ14によりHCやCOが酸化処理されると共にNOxがNOやNO2 となり、また、微粒子が捕集される。そして、選択還元式触媒18にて、噴射ノズル27から噴射されて熱分解したアンモニア(NH3 )がNOやNO2 と反応してN2 やH2Oに還元して浄化する。
【0029】
一方、大量の微粒子を捕集して圧力損失が大きくなった第2再生式フィルタ15に対して、制御装置35は流量制御弁26により連通路25を開放し、第1再生式フィルタ14に流入する排気ガスの一部を第2再生式フィルタ15に導入し、導入された排気ガス中の酸素ガスにより第2再生式フィルタ15に付着した微粒子を燃焼することで除去する。このとき、排気ガスの温度が低い場合、制御装置35は電気ヒータ22を作動して排気ガスを加熱することで、高温の排気ガスにより第2再生式フィルタ15を再生可能な温度とすることができる。
【0030】
そして、この状態で、再びエンジンの低負荷運転が連続して行われと、第1再生式フィルタ14における微粒子の捕集量が増加して圧力損失が大きくなるため、制御装置35はこれを検出し、前述と同様に、使用する浄化装置を第1再生式フィルタ14から再生が完了した第2再生式フィルタ15に切り換え、第1再生式フィルタ14を再生する。
【0031】
このような微粒子の捕集量に応じて第1、第2再生式フィルタ14,15を切り換えて使用することで、排気ガス中の有害物質の酸化処理と微粒子の捕集を連続して行うことができ、安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0032】
このような第1実施形態の内燃機関の排気浄化装置にあっては、排気通路11に分岐通路12,13を介して再生式フィルタ14,15をそれぞれ並設し、分岐通路12,13に切換弁19,20を装着する一方、合流通路16,17を介して選択還元式触媒18を連結し、選択還元式触媒18に尿素またはアンモニアを供給する噴射ノズル27を設け、制御手段35は再生式フィルタ14,15を交互運転して微粒子の捕集量に応じて切換弁19,20を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行するようにしている。
【0033】
従って、排気ガスが排気通路11から分岐通路12,13を介して再生式フィルタ14,15の一方に導入すると、まず、排気ガス中の微粒子がここで捕集され、次に選択還元式触媒18でアンモニアにより排気ガス中の有害物質が還元処理されて浄化されることとなり、再生式フィルタ14,15に所定量の微粒子が捕集されると、制御装置35は切換弁19,20により排気ガスを再生式フィルタ14,15の他方に導入して浄化処理する一方、微粒子を捕集した再生式フィルタ14,15の再生機能を実行することで、排気ガス中の浄化処理を連続して行うことができ、また、選択還元式触媒18には微粒子を燃焼した高温の排気ガスと微粒子が捕集された低温の排気ガスとが混合して流入することとなり、高温の排気ガスによる選択還元式触媒18のバナジウムの飛散等の熱劣化を防止して安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0034】
例えば、図2に示すように、第1再生式フィルタ14に捕集された微粒子を燃焼して再生するため、制御装置35が電気ヒータ21により排気ガスを加熱して強制再生制御を実行(ON)すると、再生式フィルタ14から排出される排気ガス温度(温度センサ32)は700℃を越えて高温となるものの、微粒子を捕集している第2再生式フィルタ15から排出される排気ガス温度(温度センサ33)は300℃程度であり、両者が混合されて選択還元式触媒18に流入する排気ガス温度(温度センサ34)は400℃程度となり、選択還元式触媒18が熱劣化することはなく、この選択還元式触媒18に担持されたバナジウムが昇華して飛散せずに、選択還元式触媒18は安定した排気ガス浄化性能を維持できる。
【0035】
図3に本発明の第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置におけるフィルタ再生時のタイムチャートを示す。
【0036】
第2実施形態の内燃機関の排気浄化装置は、全体の構成は前述した第1実施形態と同様であるため、図1を用いて第1実施形態で説明したものと同様の機能については重複する説明は省略する。
【0037】
第2実施形態の内燃機関の排気浄化装置では、図1に示すように、選択還元式触媒18の上流側に設けられた温度センサ34の出力に基づいて第1、第2再生式フィルタ14,15の再生動作を制御するようにしている。例えば、図1及び図3に示すように、制御装置35が電気ヒータ21の電力を最大(FULL)にして排気ガスを加熱すると共に、流量制御弁26の開度を最大(FULL)にして連通路25を開放し、第1再生式フィルタ14に流入する排気ガスを加熱して再生制御を実行すると、第1再生式フィルタ14から排出される排気ガス温度が上昇するため、第2再生式フィルタ15からの排気ガス温度と混合して選択還元式触媒18に流入する排気ガス温度も上昇する。
【0038】
このとき、制御装置35は、温度センサ34により選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度を監視し、選択還元式触媒18の浄化性能が維持できる第1排気ガス温度(担持したバナジウムが昇華しない温度、例えば、650℃±α)を越えると、制御装置35は電気ヒータ21を停止(OFF)すると共に、流量制御弁26により連通路25を閉止(OFF)し、第1再生式フィルタ14の強制再生制御を停止する。従って、一時的に選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が上昇するが、所定時間を経過すると低下し、第1排気ガス温度より低くなる。従って、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が、選択還元式触媒18が熱劣化する第2排気ガス温度(担持したバナジウムが昇華する温度、例えば、700℃±α)を越えることはなく、選択還元式触媒18は安定した排気ガス浄化性能を維持できる。
【0039】
そして、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が、第1排気ガス温度より低くなったとき、第1再生式フィルタ14の再生処理が完了していなければ、再び、制御装置35は電気ヒータ21により排気ガスを加熱すると共に、流量制御弁26により連通路25を開放し、第1再生式フィルタ14に流入する排気ガスを加熱して再生制御を実行する。
【0040】
なお、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が第1排気ガス温度を越えたとき、制御装置35は電気ヒータ21を停止するだけ、あるいは流量制御弁26により連通路25を閉止するだけとしてもよい。また、このとき、制御装置35は電気ヒータ21を停止せずに、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が第2排気ガス温度を越えないように電力を低下させたり、流量制御弁26により連通路25を閉止せずに、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が第2排気ガス温度を越えないように流量を低下させるようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、内燃機関の排気通路に排気ガス中の微粒子を捕集する複数の再生式フィルタを並設し、各再生式フィルタへの排気導入を選択的に切り換える通路切換手段を設け、各再生式フィルタの下流側に選択還元式触媒を設けると共に、この選択還元式触媒に尿素またはアンモニアを供給する還元剤供給手段を設け、制御手段が各再生式フィルタの捕集量あるいは捕集量に起因するパラメータに応じて通路切換手段を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行するので、一方の再生式フィルタに所定量の微粒子が捕集されると、制御装置は通路切換手段により使用する再生式フィルタを切り換えると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行することで、付着した微粒子を燃焼して除去こととなり、選択還元式触媒には微粒子が燃焼した高温の排気ガスと微粒子が捕集された低温の排気ガスとが混合して流動することとなり、高温の排気ガスによる選択還元式触媒の熱劣化を防止すると共に、再生式フィルタにより微粒子を常時捕集することで、連続して安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0042】
請求項2の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、再生式フィルタに酸化機能を担持すると共に、選択還元式触媒にバナジウムを担持したので、再生式フィルタにてNOが酸化されてNO2 となり、選択還元式触媒にて排気ガス中のNOxを効率良く浄化処理することができる。
【0043】
請求項3の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、各再生式フィルタが再生用加熱手段を有し、この再生式フィルタの再生時に所定量の排気ガスを再生加熱手段に導入する排気ガス導入手段を設けてたので、再生式フィルタの再生時に排ガス温度が低いときは、制御手段が再生用加熱手段を作動すると共に、排気ガス導入手段によりこの再生加熱手段に排気ガスを導入することで、微粒子を燃焼させるための酸素が供給されると共に、排気ガスが昇温されて捕集した微粒子が燃焼して除去されることとなり、少量の排気ガスにより再生式フィルタを確実に再生することができる。
【0044】
請求項4の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気ガス導入手段は、再生式フィルタの上流側の排気通路と再生加熱手段とを連通する連通路と、この連通路を流れる排気ガス流量を調整する流量制御弁とを有するので、簡単な構成で再生式フィルタを適正に再生することができる。
【0045】
請求項5の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、選択還元式触媒の上流側に排気ガス温度を計測する温度センサを設け、制御手段は温度センサが計測した排気ガス温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御するので、選択還元式触媒に導入される排気ガスの温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御するため、選択還元式触媒への高温の排気ガスの流入を防止して選択還元式触媒の劣化を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成図である。
【図2】フィルタ再生時のタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置におけるフィルタ再生時のタイムチャートである。
【図4】従来の内燃機関の排気浄化装置の概略図である。
【図5】触媒再生時のタイムチャートである。
【符号の説明】
11 排気通路
12,13 分岐通路
14,15 再生式フィルタ
16,17 合流通路
18 選択還元式触媒
19,20 切換弁(通路切換手段)
21,22 電気ヒータ(再生用加熱手段)
25 連通路(排気ガス導入手段)
26 流量制御弁(排気ガス導入手段)
27 噴射ノズル(還元剤供給手段)
31〜34 温度センサ
35 制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排気ガス中の有害物質や微粒子などを浄化する内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車に搭載されるディーゼルエンジンにおいて、その排気通路を介して大気に放出される排気ガス中の微粒子(PM:Particulate matter)やNOx(窒素酸化物)を低減する技術が開発されている。このような技術として、下記の特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−008833(第4頁、図3)
【0004】
図4に従来の内燃機関の排気浄化装置の概略、図5に触媒再生時のタイムチャートを示す。
【0005】
特許文献1に記載された従来の従来の内燃機関の排気浄化装置は、図4に示すように、ディーゼルエンジンの排気ガス通路101に連続再生式フィルタ(CR−DPF:continuously regenerating−diesel particulate filter )102と選択還元式触媒(NOx触媒装置)103とが直列に配設されて構成されている。連続再生式フィルタ102は、酸化触媒104と黒煙などの微粒子を捕集するフィルタ105とが設けられると共に、その上流側に温度センサ106が設けられている。選択還元式触媒103は、その上流側に温度センサ107が設けられると共に、尿素を添加する噴射ノズル108が設けられている。
【0006】
従って、連続再生式フィルタ102に流入した排気ガスは、酸化触媒104によりHC、CO成分がCO2 、H2Oに酸化されると共に、NOxが酸化されてNO2 となり、フィルタ105に捕集された黒煙などの微粒子が酸化燃焼される。また、選択還元式触媒にて、噴射ノズル108から噴射された尿素が熱分解してアンモニアとなり、排気ガス中のNO2 がN2 やH2Oに還元されて浄化される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の排気ガス処理装置にあっては、排気ガスは、黒煙などの微粒子がフィルタ105に捕集されて浄化されるため、このフィルタ105が捕集した微粒子を定期的に再燃焼して再生する必要がある。ところが、排気ガスの温度が触媒の活性化温度以上にならないと捕集した黒煙を燃焼することができないため、従来は、膨張行程に追加燃料噴射を行うなどして排気ガスを昇温することで、フィルタ105を加熱している。しかし、このように排気ガス温度を上げてフィルタ105を強制的に再生した場合、図5に示すように、フィルタ105の出口での排気ガス温度が700℃〜1000℃まで到達してしまう場合があり、この場合には、アンモニアを還元剤とする選択還元式触媒103に一般的に担持されるバナジウムが昇華して飛散し、大気中に放出されてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであって、排気ガス温度の上昇による触媒の劣化を防止して排気ガス浄化性能の向上を図った内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路に排気ガス中の微粒子を捕集する複数の再生式フィルタを並設し、各再生式フィルタへの排気導入を選択的に切り換える通路切換手段を設け、各再生式フィルタの下流側に選択還元式触媒を設けると共に、この選択還元式触媒に尿素またはアンモニアを供給する還元剤供給手段を設け、制御手段が各再生式フィルタの捕集量あるいは捕集量に起因するパラメータに応じて通路切換手段を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行するようにしている。
【0010】
従って、排気ガスが排気通路から通路切換手段により切り換えられた再生式フィルタに導入すると、排気ガス中の微粒子がここで捕集され、選択還元式触媒にて、還元剤供給手段により供給された尿素またはアンモニアにより排気ガス中の有害物質が還元処理されて浄化される。そして、一方の再生式フィルタに所定量の微粒子が捕集されると、制御装置は通路切換手段により使用する再生式フィルタを切り換えると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行することで、付着した微粒子を燃焼して除去する。このとき、選択還元式触媒には微粒子が燃焼した高温の排気ガスと微粒子が捕集された低温の排気ガスとが混合して流入することとなり、高温の排気ガスによるバナジウムの飛散等の選択還元式触媒の劣化を防止すると共に、再生式フィルタにより微粒子を常時捕集することで、連続して安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0011】
請求項2の発明の内燃機関の排気浄化装置では、再生式フィルタに酸化触媒を担持している。従って、再生式フィルタにて、微粒子の燃焼時に生成されたNOが酸化されてNO2 となり、選択還元式触媒に導入されること似寄り効率良くNOxを浄化することができる。
【0012】
請求項3の発明の内燃機関の排気浄化装置では、各再生式フィルタが再生用加熱手段を有し、この再生式フィルタの再生時に所定量の排気ガスを再生加熱手段に導入する排気ガス導入手段を設けている。従って、再生式フィルタの再生時に排ガス温度が低いときは、制御手段が再生用加熱手段を作動すると共に、排気ガス導入手段によりこの再生加熱手段に排気ガスを導入することで、排気ガスが昇温されて高温の排気ガスにより付着した微粒子が燃焼して除去されることとなり、少量の排気ガスにより再生式フィルタを確実に再生することができる。
【0013】
請求項4の発明の内燃機関の排気浄化装置では、排気ガス導入手段は、再生式フィルタ上流側の排気通路と再生加熱手段とを連通する連通路と、この連通路を流れる排気ガス流量を調整する流量制御弁とを有している。従って、簡単な構成で再生式フィルタを適正に再生することができる。
【0014】
請求項5の発明の内燃機関の排気浄化装置では、選択還元式触媒の上流側に排気ガス温度を計測する温度センサを設け、制御手段は温度センサが計測した排気ガス温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御している。従って、選択還元式触媒に導入される排気ガスの温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御するため、選択還元式触媒への高温の排気ガスの流入を防止して選択還元式触媒の劣化を確実に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1に本発明の第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成、図2にフィルタ再生時のタイムチャートを示す。
【0017】
本実施形態の排気浄化装置において、図1に示すように、図示しないエンジンの排気通路11は、2つの分岐した一対の分岐通路12,13に連結され、各分岐通路12,13には第1及び第2再生式フィルタ(DPF:diesel particulate filter )14,15が装着されている。そして、この第1及び第2再生式フィルタ14,15の下流側には一対の合流通路16,17を介して選択還元式触媒(SCR:selective catalytic reduction)18が連結されている。
【0018】
各分岐通路12,13には通路切換手段を構成する切換弁19,20が装着されており、この切換弁19,20の開閉操作により排気ガスを排気通路11から分岐通路12を介して第1再生式フィルタ14に導入するか、分岐通路13を介して第2再生式フィルタ15に導入するか選択切換できるようになっている。
【0019】
第1及び第2再生式フィルタ14,15は、セラミックスの多孔質壁をハニカム形状にして多数の排気流路を形成したフィルタに酸化触媒が担持されて構成されている。従って、この各再生式フィルタ14,15では、排気ガス中のHC、CO成分を酸化してCO2 、H2Oに変換すると共に、NOを酸化してNO2 に変換することができる。また、再生式フィルタ14,15では、排気ガスが多孔質壁を通過することでこの排気ガス中の微粒子(PM:パティキュレート)、特に黒煙を捕集することができる。なお、酸化機能を有する触媒と微粒子を捕集するフィルタを一体に設けて再生式フィルタ14,15を構成したが、上流側に酸化触媒を、下流側にフィルタを、更に下流側に酸化触媒を別々に直列に配設してもよい。
【0020】
また、第1及び第2再生式フィルタ14,15の各上流部には再生用加熱手段としての電気ヒータ21,22が設けられ、電源部23,24に接続されている。更に、各再生式フィルタ14,15の上流側は、再生時に所定量の排気ガスを導入する排気ガス導入手段としての連通路25により連通されていると共に、この連通路25に流動する排気ガス流量を調整する流量制御弁26が設けられている。
【0021】
従って、例えば、第1再生式フィルタ14の微粒子の捕集量が所定量となった場合に、切換弁19を閉止して切換弁20を開放し、排気ガスが排気通路11から分岐通路13を通って第2再生式フィルタ15に導入させるとき、連通路25を介して排気ガスの一部を第1再生式フィルタ14に流入させることで、流入排気ガス中の酸素により第1再生式フィルタ14に付着した微粒子を燃焼することができる。このとき、流量制御弁26により第1再生式フィルタ14に導入される排気ガスの流量を調整することで、微粒子を燃焼するための排気ガスの温度を調節することができる。また、排気ガス温度が低いとき、電源部22を用いて電気ヒータ21を作動して連通路25から導入された排気ガスを加熱することで、排気ガスを第1再生式フィルタ14を再生可能な温度とすることができる。
【0022】
選択還元式触媒18はNOx触媒であって少なくともバナジウムが担持されており、上流側に尿素(またはアンモニア)を供給する還元剤供給手段としての噴射ノズル27及び噴射ポンプ28が設けられている。酸化触媒を担持した再生式フィルタ14,15により微粒子が除去された際に発生したNOが高活性のNO2 に変換された排気ガスが、この選択還元式触媒18に導入されることにより、排気ガスがアンモニアにより効率良く還元されて浄化される。
【0023】
また、排気通路11の下流側には分岐通路12,13に流入する排気ガスの温度を計測する温度センサ31が装着される一方、第1及び第2再生式フィルタ14,15の下流側には合流通路16,17に流入する排気ガスの温度を計測する温度センサ32,33が装着されている。更に、選択還元式触媒18の上流側にはこの選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度を計測する温度センサ34が装着されている。
【0024】
そして、前述した切換弁19,20、電源部23,24、流量制御弁26、温度センサ31〜34に制御装置35に接続されている。従って、この制御装置35は、一方の再生式フィルタ14,15の捕集量、あるいはこの捕集量に起因するパラメータ(圧力損失、エンジン駆動時間、走行距離など)に応じて切換弁19,20を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタ14,15の再生機能を実行、つまり、電気ヒータ21,22により排気ガスを加熱することで、高温の排気ガスにより再生式フィルタ14,15に付着した微粒子を燃焼することができる。
【0025】
このように構成された本実施形態の排気浄化装置にて、制御装置35は、切換弁19を閉止する一方で切換弁20を開放し、排気ガスを排気通路11から分岐通路13を通して第2再生式フィルタ15に導入する。すると、排気ガスは、まず、第2再生式フィルタ15により排気ガス中の有害物質(HC、CO)が酸化処理されると共に、排気ガス中のNOが酸化されてNO2 となり、また、排気ガス中の微粒子(PM)が捕集されて浄化される。次に、排気ガスに対して噴射ノズル27から尿素を噴射すると、尿素が排気ガスの熱により熱分解してアンモニア(NH3 )が生成され、選択還元式触媒18上で排気ガス中のNOやNO2 このNH3 と反応してN2 やH2Oに還元され、排気ガスが浄化されて大気に排出される。
【0026】
このとき、エンジンが比較的高負荷で連続的に運転される場合は、排気ガスの温度が第2再生式フィルタ15の活性化温度以上になるため、この第2再生式フィルタ15が昇温されて捕集した微粒子を燃焼し、第2再生式フィルタ15を良好に再生することができる。
【0027】
一方、エンジンの低負荷運転が連続して行われる場合は、排気ガスの温度が第2再生式フィルタ15の活性化温度以上になる機会が少なく、この第2再生式フィルタ15を所定の温度以上に昇温することができず、第2再生式フィルタ15が捕集した微粒子を効率よく燃焼して再生することができない。すると、第2再生式フィルタ15にて、微粒子の捕集量が増加して圧力損失が大きくなり、制御装置35は第2再生式フィルタ15の圧力損失をエンジン駆動時間や走行距離に置き換えて検出する。そして、制御装置35は、使用する浄化装置を第2再生式フィルタ15から第1再生式フィルタ14に切り換え、第2再生式フィルタ15に捕集された微粒子を燃焼除去して再生する。
【0028】
即ち、制御装置35は、切換弁19を開放する一方で切換弁20を閉止し、排気ガスを排気通路11から分岐通路12を通して第1再生式フィルタ14に導入する。すると、排気ガスは、前述と同様に、第1再生式フィルタ14によりHCやCOが酸化処理されると共にNOxがNOやNO2 となり、また、微粒子が捕集される。そして、選択還元式触媒18にて、噴射ノズル27から噴射されて熱分解したアンモニア(NH3 )がNOやNO2 と反応してN2 やH2Oに還元して浄化する。
【0029】
一方、大量の微粒子を捕集して圧力損失が大きくなった第2再生式フィルタ15に対して、制御装置35は流量制御弁26により連通路25を開放し、第1再生式フィルタ14に流入する排気ガスの一部を第2再生式フィルタ15に導入し、導入された排気ガス中の酸素ガスにより第2再生式フィルタ15に付着した微粒子を燃焼することで除去する。このとき、排気ガスの温度が低い場合、制御装置35は電気ヒータ22を作動して排気ガスを加熱することで、高温の排気ガスにより第2再生式フィルタ15を再生可能な温度とすることができる。
【0030】
そして、この状態で、再びエンジンの低負荷運転が連続して行われと、第1再生式フィルタ14における微粒子の捕集量が増加して圧力損失が大きくなるため、制御装置35はこれを検出し、前述と同様に、使用する浄化装置を第1再生式フィルタ14から再生が完了した第2再生式フィルタ15に切り換え、第1再生式フィルタ14を再生する。
【0031】
このような微粒子の捕集量に応じて第1、第2再生式フィルタ14,15を切り換えて使用することで、排気ガス中の有害物質の酸化処理と微粒子の捕集を連続して行うことができ、安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0032】
このような第1実施形態の内燃機関の排気浄化装置にあっては、排気通路11に分岐通路12,13を介して再生式フィルタ14,15をそれぞれ並設し、分岐通路12,13に切換弁19,20を装着する一方、合流通路16,17を介して選択還元式触媒18を連結し、選択還元式触媒18に尿素またはアンモニアを供給する噴射ノズル27を設け、制御手段35は再生式フィルタ14,15を交互運転して微粒子の捕集量に応じて切換弁19,20を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行するようにしている。
【0033】
従って、排気ガスが排気通路11から分岐通路12,13を介して再生式フィルタ14,15の一方に導入すると、まず、排気ガス中の微粒子がここで捕集され、次に選択還元式触媒18でアンモニアにより排気ガス中の有害物質が還元処理されて浄化されることとなり、再生式フィルタ14,15に所定量の微粒子が捕集されると、制御装置35は切換弁19,20により排気ガスを再生式フィルタ14,15の他方に導入して浄化処理する一方、微粒子を捕集した再生式フィルタ14,15の再生機能を実行することで、排気ガス中の浄化処理を連続して行うことができ、また、選択還元式触媒18には微粒子を燃焼した高温の排気ガスと微粒子が捕集された低温の排気ガスとが混合して流入することとなり、高温の排気ガスによる選択還元式触媒18のバナジウムの飛散等の熱劣化を防止して安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0034】
例えば、図2に示すように、第1再生式フィルタ14に捕集された微粒子を燃焼して再生するため、制御装置35が電気ヒータ21により排気ガスを加熱して強制再生制御を実行(ON)すると、再生式フィルタ14から排出される排気ガス温度(温度センサ32)は700℃を越えて高温となるものの、微粒子を捕集している第2再生式フィルタ15から排出される排気ガス温度(温度センサ33)は300℃程度であり、両者が混合されて選択還元式触媒18に流入する排気ガス温度(温度センサ34)は400℃程度となり、選択還元式触媒18が熱劣化することはなく、この選択還元式触媒18に担持されたバナジウムが昇華して飛散せずに、選択還元式触媒18は安定した排気ガス浄化性能を維持できる。
【0035】
図3に本発明の第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置におけるフィルタ再生時のタイムチャートを示す。
【0036】
第2実施形態の内燃機関の排気浄化装置は、全体の構成は前述した第1実施形態と同様であるため、図1を用いて第1実施形態で説明したものと同様の機能については重複する説明は省略する。
【0037】
第2実施形態の内燃機関の排気浄化装置では、図1に示すように、選択還元式触媒18の上流側に設けられた温度センサ34の出力に基づいて第1、第2再生式フィルタ14,15の再生動作を制御するようにしている。例えば、図1及び図3に示すように、制御装置35が電気ヒータ21の電力を最大(FULL)にして排気ガスを加熱すると共に、流量制御弁26の開度を最大(FULL)にして連通路25を開放し、第1再生式フィルタ14に流入する排気ガスを加熱して再生制御を実行すると、第1再生式フィルタ14から排出される排気ガス温度が上昇するため、第2再生式フィルタ15からの排気ガス温度と混合して選択還元式触媒18に流入する排気ガス温度も上昇する。
【0038】
このとき、制御装置35は、温度センサ34により選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度を監視し、選択還元式触媒18の浄化性能が維持できる第1排気ガス温度(担持したバナジウムが昇華しない温度、例えば、650℃±α)を越えると、制御装置35は電気ヒータ21を停止(OFF)すると共に、流量制御弁26により連通路25を閉止(OFF)し、第1再生式フィルタ14の強制再生制御を停止する。従って、一時的に選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が上昇するが、所定時間を経過すると低下し、第1排気ガス温度より低くなる。従って、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が、選択還元式触媒18が熱劣化する第2排気ガス温度(担持したバナジウムが昇華する温度、例えば、700℃±α)を越えることはなく、選択還元式触媒18は安定した排気ガス浄化性能を維持できる。
【0039】
そして、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が、第1排気ガス温度より低くなったとき、第1再生式フィルタ14の再生処理が完了していなければ、再び、制御装置35は電気ヒータ21により排気ガスを加熱すると共に、流量制御弁26により連通路25を開放し、第1再生式フィルタ14に流入する排気ガスを加熱して再生制御を実行する。
【0040】
なお、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が第1排気ガス温度を越えたとき、制御装置35は電気ヒータ21を停止するだけ、あるいは流量制御弁26により連通路25を閉止するだけとしてもよい。また、このとき、制御装置35は電気ヒータ21を停止せずに、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が第2排気ガス温度を越えないように電力を低下させたり、流量制御弁26により連通路25を閉止せずに、選択還元式触媒18に流入する排気ガスの温度が第2排気ガス温度を越えないように流量を低下させるようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、内燃機関の排気通路に排気ガス中の微粒子を捕集する複数の再生式フィルタを並設し、各再生式フィルタへの排気導入を選択的に切り換える通路切換手段を設け、各再生式フィルタの下流側に選択還元式触媒を設けると共に、この選択還元式触媒に尿素またはアンモニアを供給する還元剤供給手段を設け、制御手段が各再生式フィルタの捕集量あるいは捕集量に起因するパラメータに応じて通路切換手段を切換制御すると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行するので、一方の再生式フィルタに所定量の微粒子が捕集されると、制御装置は通路切換手段により使用する再生式フィルタを切り換えると共に、切り換えられた側の再生式フィルタの再生機能を実行することで、付着した微粒子を燃焼して除去こととなり、選択還元式触媒には微粒子が燃焼した高温の排気ガスと微粒子が捕集された低温の排気ガスとが混合して流動することとなり、高温の排気ガスによる選択還元式触媒の熱劣化を防止すると共に、再生式フィルタにより微粒子を常時捕集することで、連続して安定した排気ガス浄化性能を維持することができる。
【0042】
請求項2の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、再生式フィルタに酸化機能を担持すると共に、選択還元式触媒にバナジウムを担持したので、再生式フィルタにてNOが酸化されてNO2 となり、選択還元式触媒にて排気ガス中のNOxを効率良く浄化処理することができる。
【0043】
請求項3の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、各再生式フィルタが再生用加熱手段を有し、この再生式フィルタの再生時に所定量の排気ガスを再生加熱手段に導入する排気ガス導入手段を設けてたので、再生式フィルタの再生時に排ガス温度が低いときは、制御手段が再生用加熱手段を作動すると共に、排気ガス導入手段によりこの再生加熱手段に排気ガスを導入することで、微粒子を燃焼させるための酸素が供給されると共に、排気ガスが昇温されて捕集した微粒子が燃焼して除去されることとなり、少量の排気ガスにより再生式フィルタを確実に再生することができる。
【0044】
請求項4の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気ガス導入手段は、再生式フィルタの上流側の排気通路と再生加熱手段とを連通する連通路と、この連通路を流れる排気ガス流量を調整する流量制御弁とを有するので、簡単な構成で再生式フィルタを適正に再生することができる。
【0045】
請求項5の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、選択還元式触媒の上流側に排気ガス温度を計測する温度センサを設け、制御手段は温度センサが計測した排気ガス温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御するので、選択還元式触媒に導入される排気ガスの温度に応じて再生式フィルタの再生動作を制御するため、選択還元式触媒への高温の排気ガスの流入を防止して選択還元式触媒の劣化を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成図である。
【図2】フィルタ再生時のタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置におけるフィルタ再生時のタイムチャートである。
【図4】従来の内燃機関の排気浄化装置の概略図である。
【図5】触媒再生時のタイムチャートである。
【符号の説明】
11 排気通路
12,13 分岐通路
14,15 再生式フィルタ
16,17 合流通路
18 選択還元式触媒
19,20 切換弁(通路切換手段)
21,22 電気ヒータ(再生用加熱手段)
25 連通路(排気ガス導入手段)
26 流量制御弁(排気ガス導入手段)
27 噴射ノズル(還元剤供給手段)
31〜34 温度センサ
35 制御装置
Claims (5)
- 内燃機関の排気通路に並設されて排気ガス中の微粒子を捕集する複数の再生式フィルタと、該各再生式フィルタへの排気導入を選択的に切り換える通路切換手段と、前記各再生式フィルタの下流側に設けられた選択還元式触媒と、該選択還元式触媒に尿素またはアンモニアを供給する還元剤供給手段と、前記再生式フィルタの捕集量あるいは該捕集量に起因するパラメータに応じて前記通路切換手段を切換制御すると共に切り換えられた側の前記再生式フィルタの再生機能を実行する制御手段とを具えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記再生式フィルタに酸化触媒を担持することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記各再生式フィルタは再生用加熱手段を有し、該再生式フィルタの再生時に所定量の排気ガスを該再生加熱手段に導入する排気ガス導入手段を設けたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 請求項3記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記排気ガス導入手段は、前記再生式フィルタ上流側の前記排気通路と前記再生加熱手段とを連通する連通路と、該連通路を流れる排気ガス流量を調整する流量制御弁とを有することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記選択還元式触媒の上流側に排気ガス温度を計測する温度センサが設けられ、前記制御手段は該温度センサが計測した排気ガス温度に応じて前記再生式フィルタの再生動作を制御することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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