JP2004162537A - 内燃機関の排気微粒子フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】排気微粒子がハニカム型モノリスフィルタ1の中心部に多く堆積し、再生時に温度勾配が大となって損傷する問題を回避する。
【解決手段】多孔質セラミックスを用いたハニカム型モノリスフィルタ1として構成されており、上流端が目詰め部4で閉塞された閉塞セル2Aと下流端が目詰め部5で閉塞された開口セル2Bとが交互にかつ隣接して配置されている。開口セル2Bの下流側の目詰め部5の長さLは、フィルタ中心で最も長く、フィルタ最外周部で最も短く、かつ両者間で徐々に変化する。これに応じて、開口セル2Bの実質的な通路長が定まる。これにより、フィルタ中心部の通気抵抗が大となり、外周部を流れる排気が多くなるので、微粒子堆積量の分布がより均一となり、再生時の温度勾配が小さくなる。
【選択図】 図2
【解決手段】多孔質セラミックスを用いたハニカム型モノリスフィルタ1として構成されており、上流端が目詰め部4で閉塞された閉塞セル2Aと下流端が目詰め部5で閉塞された開口セル2Bとが交互にかつ隣接して配置されている。開口セル2Bの下流側の目詰め部5の長さLは、フィルタ中心で最も長く、フィルタ最外周部で最も短く、かつ両者間で徐々に変化する。これに応じて、開口セル2Bの実質的な通路長が定まる。これにより、フィルタ中心部の通気抵抗が大となり、外周部を流れる排気が多くなるので、微粒子堆積量の分布がより均一となり、再生時の温度勾配が小さくなる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の排気ガス中に含まれる排気微粒子を捕集する排気微粒子フィルタ、特に多数のセルを備えたハニカム型モノリスフィルタからなる排気微粒子フィルタの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関、特にディーゼル機関の排気ガス中に比較的多く含まれているスス(Soot)などの排気微粒子を除去するために、従来から、特許文献1に見られるように、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)などと呼ばれる排気微粒子フィルタを排気系に介装し、排気微粒子を捕集することが行われている。そして、この種のフィルタは、排気微粒子の捕集に伴って経時的に目詰まりを生じるので、一般に、何らかの手段でもって捕集した排気微粒子を燃焼させ、フィルタから除去するようにしている。なお、捕集した排気微粒子の酸化発熱反応の促進あるいは排気中のCOやHCの除去などのために、触媒金属を担持させた所謂触媒付きの排気微粒子フィルタも多く用いられている。
【0003】
上記排気微粒子フィルタとしては、特許文献1に記載されているようなセラミックス等の多孔質材料を用いたハニカム型モノリス構造のものが知られている。
【0004】
これは、例えば多孔質セラミックスにて円柱状に形成され、その内部に、軸方向に沿って多数の微細な通路つまり多数のセルを有し、各セルが、薄い壁で仕切られている。そして、多数のセルの中の一部のものは、フィルタの上流端で閉塞(いわゆる目詰め、目封じ)され、残りのものは、フィルタの下流端で閉塞されている。典型的には、上流端が閉塞されたセル(これを閉塞セルと呼ぶ)と下流端が閉塞されたセル(これを開口セルと呼ぶ)とが、互いに隣接して交互に配置されている。従って、上流側から開口セルに流入した排気ガスは、多孔質の壁を通って隣接する閉塞セルに流入し、この閉塞セルの開口した下流端から流出することになる。排気ガスに含まれていた排気微粒子は、主に、排気ガスが多孔質の壁を通過する際に、ここで捕集除去される。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−222913号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような排気微粒子フィルタにおいては、排気ガスの流速分布として、中心部ほど流速が高い特性となるため、中心部により多くの排気微粒子が堆積する傾向がある。図8は、このようなハニカム型モノリスフィルタにおける排気微粒子の堆積状態の説明図であって、この例では、開口セル21と閉塞セル22とが交互に隣接して配置されており、排気ガスから除去された排気微粒子が、符号23として示すように、開口セル21の下流側の端部に溜まっていくのであるが、図示するように、フィルタ外周部に溜まる排気微粒子は少なく、フィルタ中心部ほど多量の排気微粒子が堆積する。
【0007】
従って、このように不均一に排気微粒子が堆積した状態で、排気微粒子フィルタの再生つまり排気微粒子の燃焼除去が行われると、排気微粒子が多く堆積している中心部の発熱量が大となり、図9に一例を示すように、フィルタ下流側部分における中心部と外周部との間の温度勾配が非常に大きくなる。この結果、セラミックス等からなるフィルタ内部の応力が大となり、クラックが発生するなど損傷に至る虞がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上流端が閉塞された多数の閉塞セルと下流端が閉塞された多数の開口セルとを有する多孔質材料を用いたハニカム型モノリスフィルタからなり、内燃機関の排気系に介装されて排気ガス中の排気微粒子を捕集する内燃機関の排気微粒子フィルタにおいて、上記開口セルの通路長(フィルタ軸方向の通路長)を、フィルタ中心部では短く、かつフィルタ外周部では長く構成した。このように開口セルの通路長を異ならせるためには、例えば、開口セルの下流端を閉塞している目詰め部の長さがフィルタ中心部とフィルタ外周部とで異なるようにすればよい。この場合、ハニカム型モノリスフィルタの外形の長さはフィルタ中心部とフィルタ外周部とで等しいものとすることができる。また、ハニカム型モノリスフィルタの外形の長さそのものを、フィルタ中心部とフィルタ外周部とで異ならせてもよい。
【0009】
排気ガスは、上流側から開口セル内に入り、かつセル間を仕切る多孔質の壁を通して閉塞セルへと流れるので、開口セルの通路長を短くすると、排気ガスが流れにくくなる。従って、フィルタ全体の流速分布として、フィルタ中心部の流速が抑制される。その結果、フィルタ中心部とフィルタ外周部とにおける排気微粒子の堆積状態の差が小さくなり、堆積した排気微粒子の燃焼つまりフィルタ再生時の温度勾配が小さくなる。
【0010】
【発明の効果】
この発明によれば、開口セルの通路長を異ならせることによって、フィルタ中心部とフィルタ外周部との排気微粒子の堆積状態の差を小さくすることができ、フィルタ再生時の内部の温度勾配が小さくなることから、内部応力によるフィルタの破損を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1,2は、ディーゼル機関の排気微粒子の捕集に用いられる排気微粒子フィルタつまりディーゼルパティキュレートフィルタとして構成した本発明の第1実施例を示しており、この実施例では、多孔質セラミックスを用いたハニカム型モノリス構造のフィルタ1として構成されている。全体として円柱状をなす一体構造のセラミックス製フィルタ1は、その軸方向に沿って、多数の微細な通路つまり多数のセル2を有し、各セル2が、薄い壁3で仕切られている。そして、多数のセル2の中の一部のものは、フィルタ1の上流端で目詰め部4により二次的に閉塞された閉塞セル2Aとして構成され、残りのものは、逆にフィルタ1の下流端で目詰め部5により二次的に閉塞された開口セル2Bとして構成されている。図示例では、断面略正方形をなすセル2が碁盤の目状に配置され、上流端が閉じた閉塞セル2Aと上流端が開いた開口セル2Bとが、互いに隣接して交互に配置されている。従って、上流側から開口セル2Bに流入した排気ガスは、多孔質の壁3を通って隣接する閉塞セル2Aに流入し、この閉塞セル2Aの開口した下流端から流出する。そして、排気ガスに含まれていた排気微粒子は、主に、排気ガスが多孔質の壁3を通過する際に、ここで捕集除去される。なお、図示例では、図1に示すように、縦4個×横4個の計16個のセル2が1つのセグメント6を構成しており、各セグメント6の間の壁3’は、他のセル2間の壁3よりも厚く構成されている。
【0013】
ここで、本発明においては、開口セル2Bの下流端を閉塞する目詰め部5の長さLつまりフィルタ1下流側端面7からの目詰め長さLが、フィルタ中心部に位置する開口セル2Bでは相対的に長く、フィルタ外周部に位置する開口セル2Bでは相対的に短くなっている。特に、目詰め部5の長さLは、フィルタ中心に位置する開口セル2Bで最も長く、かつフィルタ最外周部の開口セル2Bで最も短く、両者間では、フィルタ中心部へ近付くほど徐々に短くなるように、長さLが連続的に変化している。それぞれの開口セル2Bの実質的な通路長は、フィルタ1の上流側の端面8から目詰め部5に至るまでの長さであるから、上記のように各目詰め部5の長さLを設定することで、開口セル2Bの実質的な通路長は、フィルタ最外周部で最も長く、ここからフィルタ中心へ向かうに従って、徐々に短くなり、フィルタ中心の位置で最も短いものとなる。なお、図1および図2においては、理解を容易にするために各セル2を非常に太く描いてあるが、実際には、各セル2は微細なものであり、より多数のセル2が形成されている。
【0014】
上記のようにフィルタ中心部における開口セル2Bの通路長を短くすることにより、フィルタ中心部での通気抵抗が相対的に大きくなり、前述したフィルタ1の流速分布が相殺される。つまり、フィルタ中心部で高くなる傾向にある流速分布が、より平均化する。そのため、各開口セル2B内に堆積する排気微粒子の量が、フィルタ中心部とフィルタ外周部とで、より均一なものとなる。従って、堆積した排気微粒子が燃焼するフィルタ再生時に、例えば図3に温度分布の例を示すように、極端な温度差が生じず、フィルタ1内部の温度勾配が緩やかとなる。なお、図3は図2の縦断面図に対応し、左側が上流端、右側が下流端である。
【0015】
この再生時の温度勾配について、さらに具体例を説明する。図4に示すように、開口セル2Bの目詰め部5の長さLを、フィルタ最外周部で5mmとし、フィルタ中心で50mmとし、かつこれらの間で一定割合ずつ目詰め部5の長さLが変化していくフィルタ1を試作した。なお、フィルタ1全体の外形寸法としては、直径143.7mm、全長152.4mmである。この試作したフィルタ1に排気微粒子としてススを堆積させ、その堆積量を変えながら、再生時のフィルタ1内部の最大温度勾配を計測した。また、従来品として、目詰め部5の長さLを各部で均一(5mm)としたフィルタ1を試作し、同様に再生時の最大温度勾配を計測した。図5は、その結果をまとめたものである。図5に示すように、本実施例によれば、従来のものに比べて再生時の温度勾配が明らかに緩和され、特に、従来のものよりも多量のススが堆積している状態でも、温度勾配を小さくすることができる。
【0016】
なお、前述した特開平5−222913号公報のものでは、開口セル2Bと閉塞セル2Aとの配置パターンをフィルタ中心部とフィルタ外周部とで異ならせることで、フィルタ中心部の通気抵抗を相対的に高めるようにしているが、本発明によれば、図1に示したように、開口セル2Bと閉塞セル2Aとの配置パターンは、各部で一様とすることができる。そのため、上記公報で課題として挙げられているような開口セル2Bのみが多数集まることによる局部的な温度上昇の問題を招来することがない。
【0017】
次に、図6は、この発明の第2実施例を示している。このフィルタ1は、前述した第1実施例のフィルタ1と同様の基本的構成を有するものであり、開口セル2Bの実質的な通路長を変化させるために、目詰め部5の長さLを変えたものであるが、特に、この実施例では、セル単位ではなく、セグメント6を単位として、目詰め部5の長さLが異なっている。つまり、フィルタ最外周部のセグメント6に属する開口セル2Bの目詰め部5の長さLは最も短く、フィルタ中心のセグメント6に属する開口セル2Bの目詰め部5の長さLは最も長く、かつ両者間で、目詰め部5の長さが徐々に変化している。そして、同じセグメント6に属する開口セル2Bにおいては、同じ長さLの目詰め部5を有している。
【0018】
次に、図7は、この発明の第3実施例を示している。この実施例のフィルタ1は、前述した各実施例と同様に、多孔質セラミックスを用いた円柱状のハニカム型モノリスフィルタとして構成されているが、各セル2の通路長がフィルタ中心部ほど短くなるように、下流端の形状が異形をなしている。すなわち、フィルタ1の上流側の端面8が1つの平坦面をなしているのに対し、下流端では、フィルタ中心部ほど上流側に位置するように端面7が階段状をなしている。つまり、全体として、中心部が上流側となるように凹んだ形状をなしている。より具体的には、図示の実施例では、符号7a,7b,7cとして例示するように、セグメント6を単位として端面7の位置がフィルタ軸方向にずれている。そして、目詰め部5の長さは、いずれも等しい。この実施例の構成においても、フィルタ中心部の通気抵抗が相対的に大きくなり、前述した各実施例と同様に、再生時の温度勾配を小さくすることができる。
【0019】
なお、セル単位でフィルタ1下流端の位置を徐々にずらすように構成することも可能である。
【0020】
以上、ハニカム型モノリスフィルタとして多孔質セラミックスを用いた実施例について説明したが、このほか、金属製フォームからなるハニカム型モノリスフィルタにも本発明を適用することが可能である。
【0021】
また、捕集した排気微粒子の酸化発熱反応の促進あるいは排気中のCOやHCの除去などのために、セラミックス等からなるフィルタに触媒金属を担持させた所謂触媒付きの排気微粒子フィルタにおいても、同様に、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る排気微粒子フィルタの第1実施例を示す正面図。
【図2】この排気微粒子フィルタの縦断面図。
【図3】その再生時の温度分布を示す説明図。
【図4】試作したフィルタの目詰め長さLを示す説明図。
【図5】再生時の最大温度勾配を示す特性図。
【図6】この発明に係る排気微粒子フィルタの第2実施例を示す要部の縦断面図。
【図7】第3実施例を示す縦断面図。
【図8】従来の排気微粒子フィルタとその微粒子堆積状態を示す断面図。
【図9】従来の排気微粒子フィルタにおける再生時の温度分布を示す説明図。
【符号の説明】
1…フィルタ
2…セル
2A…閉塞セル
2B…開口セル
4,5…目詰め部
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の排気ガス中に含まれる排気微粒子を捕集する排気微粒子フィルタ、特に多数のセルを備えたハニカム型モノリスフィルタからなる排気微粒子フィルタの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関、特にディーゼル機関の排気ガス中に比較的多く含まれているスス(Soot)などの排気微粒子を除去するために、従来から、特許文献1に見られるように、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)などと呼ばれる排気微粒子フィルタを排気系に介装し、排気微粒子を捕集することが行われている。そして、この種のフィルタは、排気微粒子の捕集に伴って経時的に目詰まりを生じるので、一般に、何らかの手段でもって捕集した排気微粒子を燃焼させ、フィルタから除去するようにしている。なお、捕集した排気微粒子の酸化発熱反応の促進あるいは排気中のCOやHCの除去などのために、触媒金属を担持させた所謂触媒付きの排気微粒子フィルタも多く用いられている。
【0003】
上記排気微粒子フィルタとしては、特許文献1に記載されているようなセラミックス等の多孔質材料を用いたハニカム型モノリス構造のものが知られている。
【0004】
これは、例えば多孔質セラミックスにて円柱状に形成され、その内部に、軸方向に沿って多数の微細な通路つまり多数のセルを有し、各セルが、薄い壁で仕切られている。そして、多数のセルの中の一部のものは、フィルタの上流端で閉塞(いわゆる目詰め、目封じ)され、残りのものは、フィルタの下流端で閉塞されている。典型的には、上流端が閉塞されたセル(これを閉塞セルと呼ぶ)と下流端が閉塞されたセル(これを開口セルと呼ぶ)とが、互いに隣接して交互に配置されている。従って、上流側から開口セルに流入した排気ガスは、多孔質の壁を通って隣接する閉塞セルに流入し、この閉塞セルの開口した下流端から流出することになる。排気ガスに含まれていた排気微粒子は、主に、排気ガスが多孔質の壁を通過する際に、ここで捕集除去される。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−222913号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような排気微粒子フィルタにおいては、排気ガスの流速分布として、中心部ほど流速が高い特性となるため、中心部により多くの排気微粒子が堆積する傾向がある。図8は、このようなハニカム型モノリスフィルタにおける排気微粒子の堆積状態の説明図であって、この例では、開口セル21と閉塞セル22とが交互に隣接して配置されており、排気ガスから除去された排気微粒子が、符号23として示すように、開口セル21の下流側の端部に溜まっていくのであるが、図示するように、フィルタ外周部に溜まる排気微粒子は少なく、フィルタ中心部ほど多量の排気微粒子が堆積する。
【0007】
従って、このように不均一に排気微粒子が堆積した状態で、排気微粒子フィルタの再生つまり排気微粒子の燃焼除去が行われると、排気微粒子が多く堆積している中心部の発熱量が大となり、図9に一例を示すように、フィルタ下流側部分における中心部と外周部との間の温度勾配が非常に大きくなる。この結果、セラミックス等からなるフィルタ内部の応力が大となり、クラックが発生するなど損傷に至る虞がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上流端が閉塞された多数の閉塞セルと下流端が閉塞された多数の開口セルとを有する多孔質材料を用いたハニカム型モノリスフィルタからなり、内燃機関の排気系に介装されて排気ガス中の排気微粒子を捕集する内燃機関の排気微粒子フィルタにおいて、上記開口セルの通路長(フィルタ軸方向の通路長)を、フィルタ中心部では短く、かつフィルタ外周部では長く構成した。このように開口セルの通路長を異ならせるためには、例えば、開口セルの下流端を閉塞している目詰め部の長さがフィルタ中心部とフィルタ外周部とで異なるようにすればよい。この場合、ハニカム型モノリスフィルタの外形の長さはフィルタ中心部とフィルタ外周部とで等しいものとすることができる。また、ハニカム型モノリスフィルタの外形の長さそのものを、フィルタ中心部とフィルタ外周部とで異ならせてもよい。
【0009】
排気ガスは、上流側から開口セル内に入り、かつセル間を仕切る多孔質の壁を通して閉塞セルへと流れるので、開口セルの通路長を短くすると、排気ガスが流れにくくなる。従って、フィルタ全体の流速分布として、フィルタ中心部の流速が抑制される。その結果、フィルタ中心部とフィルタ外周部とにおける排気微粒子の堆積状態の差が小さくなり、堆積した排気微粒子の燃焼つまりフィルタ再生時の温度勾配が小さくなる。
【0010】
【発明の効果】
この発明によれば、開口セルの通路長を異ならせることによって、フィルタ中心部とフィルタ外周部との排気微粒子の堆積状態の差を小さくすることができ、フィルタ再生時の内部の温度勾配が小さくなることから、内部応力によるフィルタの破損を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1,2は、ディーゼル機関の排気微粒子の捕集に用いられる排気微粒子フィルタつまりディーゼルパティキュレートフィルタとして構成した本発明の第1実施例を示しており、この実施例では、多孔質セラミックスを用いたハニカム型モノリス構造のフィルタ1として構成されている。全体として円柱状をなす一体構造のセラミックス製フィルタ1は、その軸方向に沿って、多数の微細な通路つまり多数のセル2を有し、各セル2が、薄い壁3で仕切られている。そして、多数のセル2の中の一部のものは、フィルタ1の上流端で目詰め部4により二次的に閉塞された閉塞セル2Aとして構成され、残りのものは、逆にフィルタ1の下流端で目詰め部5により二次的に閉塞された開口セル2Bとして構成されている。図示例では、断面略正方形をなすセル2が碁盤の目状に配置され、上流端が閉じた閉塞セル2Aと上流端が開いた開口セル2Bとが、互いに隣接して交互に配置されている。従って、上流側から開口セル2Bに流入した排気ガスは、多孔質の壁3を通って隣接する閉塞セル2Aに流入し、この閉塞セル2Aの開口した下流端から流出する。そして、排気ガスに含まれていた排気微粒子は、主に、排気ガスが多孔質の壁3を通過する際に、ここで捕集除去される。なお、図示例では、図1に示すように、縦4個×横4個の計16個のセル2が1つのセグメント6を構成しており、各セグメント6の間の壁3’は、他のセル2間の壁3よりも厚く構成されている。
【0013】
ここで、本発明においては、開口セル2Bの下流端を閉塞する目詰め部5の長さLつまりフィルタ1下流側端面7からの目詰め長さLが、フィルタ中心部に位置する開口セル2Bでは相対的に長く、フィルタ外周部に位置する開口セル2Bでは相対的に短くなっている。特に、目詰め部5の長さLは、フィルタ中心に位置する開口セル2Bで最も長く、かつフィルタ最外周部の開口セル2Bで最も短く、両者間では、フィルタ中心部へ近付くほど徐々に短くなるように、長さLが連続的に変化している。それぞれの開口セル2Bの実質的な通路長は、フィルタ1の上流側の端面8から目詰め部5に至るまでの長さであるから、上記のように各目詰め部5の長さLを設定することで、開口セル2Bの実質的な通路長は、フィルタ最外周部で最も長く、ここからフィルタ中心へ向かうに従って、徐々に短くなり、フィルタ中心の位置で最も短いものとなる。なお、図1および図2においては、理解を容易にするために各セル2を非常に太く描いてあるが、実際には、各セル2は微細なものであり、より多数のセル2が形成されている。
【0014】
上記のようにフィルタ中心部における開口セル2Bの通路長を短くすることにより、フィルタ中心部での通気抵抗が相対的に大きくなり、前述したフィルタ1の流速分布が相殺される。つまり、フィルタ中心部で高くなる傾向にある流速分布が、より平均化する。そのため、各開口セル2B内に堆積する排気微粒子の量が、フィルタ中心部とフィルタ外周部とで、より均一なものとなる。従って、堆積した排気微粒子が燃焼するフィルタ再生時に、例えば図3に温度分布の例を示すように、極端な温度差が生じず、フィルタ1内部の温度勾配が緩やかとなる。なお、図3は図2の縦断面図に対応し、左側が上流端、右側が下流端である。
【0015】
この再生時の温度勾配について、さらに具体例を説明する。図4に示すように、開口セル2Bの目詰め部5の長さLを、フィルタ最外周部で5mmとし、フィルタ中心で50mmとし、かつこれらの間で一定割合ずつ目詰め部5の長さLが変化していくフィルタ1を試作した。なお、フィルタ1全体の外形寸法としては、直径143.7mm、全長152.4mmである。この試作したフィルタ1に排気微粒子としてススを堆積させ、その堆積量を変えながら、再生時のフィルタ1内部の最大温度勾配を計測した。また、従来品として、目詰め部5の長さLを各部で均一(5mm)としたフィルタ1を試作し、同様に再生時の最大温度勾配を計測した。図5は、その結果をまとめたものである。図5に示すように、本実施例によれば、従来のものに比べて再生時の温度勾配が明らかに緩和され、特に、従来のものよりも多量のススが堆積している状態でも、温度勾配を小さくすることができる。
【0016】
なお、前述した特開平5−222913号公報のものでは、開口セル2Bと閉塞セル2Aとの配置パターンをフィルタ中心部とフィルタ外周部とで異ならせることで、フィルタ中心部の通気抵抗を相対的に高めるようにしているが、本発明によれば、図1に示したように、開口セル2Bと閉塞セル2Aとの配置パターンは、各部で一様とすることができる。そのため、上記公報で課題として挙げられているような開口セル2Bのみが多数集まることによる局部的な温度上昇の問題を招来することがない。
【0017】
次に、図6は、この発明の第2実施例を示している。このフィルタ1は、前述した第1実施例のフィルタ1と同様の基本的構成を有するものであり、開口セル2Bの実質的な通路長を変化させるために、目詰め部5の長さLを変えたものであるが、特に、この実施例では、セル単位ではなく、セグメント6を単位として、目詰め部5の長さLが異なっている。つまり、フィルタ最外周部のセグメント6に属する開口セル2Bの目詰め部5の長さLは最も短く、フィルタ中心のセグメント6に属する開口セル2Bの目詰め部5の長さLは最も長く、かつ両者間で、目詰め部5の長さが徐々に変化している。そして、同じセグメント6に属する開口セル2Bにおいては、同じ長さLの目詰め部5を有している。
【0018】
次に、図7は、この発明の第3実施例を示している。この実施例のフィルタ1は、前述した各実施例と同様に、多孔質セラミックスを用いた円柱状のハニカム型モノリスフィルタとして構成されているが、各セル2の通路長がフィルタ中心部ほど短くなるように、下流端の形状が異形をなしている。すなわち、フィルタ1の上流側の端面8が1つの平坦面をなしているのに対し、下流端では、フィルタ中心部ほど上流側に位置するように端面7が階段状をなしている。つまり、全体として、中心部が上流側となるように凹んだ形状をなしている。より具体的には、図示の実施例では、符号7a,7b,7cとして例示するように、セグメント6を単位として端面7の位置がフィルタ軸方向にずれている。そして、目詰め部5の長さは、いずれも等しい。この実施例の構成においても、フィルタ中心部の通気抵抗が相対的に大きくなり、前述した各実施例と同様に、再生時の温度勾配を小さくすることができる。
【0019】
なお、セル単位でフィルタ1下流端の位置を徐々にずらすように構成することも可能である。
【0020】
以上、ハニカム型モノリスフィルタとして多孔質セラミックスを用いた実施例について説明したが、このほか、金属製フォームからなるハニカム型モノリスフィルタにも本発明を適用することが可能である。
【0021】
また、捕集した排気微粒子の酸化発熱反応の促進あるいは排気中のCOやHCの除去などのために、セラミックス等からなるフィルタに触媒金属を担持させた所謂触媒付きの排気微粒子フィルタにおいても、同様に、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る排気微粒子フィルタの第1実施例を示す正面図。
【図2】この排気微粒子フィルタの縦断面図。
【図3】その再生時の温度分布を示す説明図。
【図4】試作したフィルタの目詰め長さLを示す説明図。
【図5】再生時の最大温度勾配を示す特性図。
【図6】この発明に係る排気微粒子フィルタの第2実施例を示す要部の縦断面図。
【図7】第3実施例を示す縦断面図。
【図8】従来の排気微粒子フィルタとその微粒子堆積状態を示す断面図。
【図9】従来の排気微粒子フィルタにおける再生時の温度分布を示す説明図。
【符号の説明】
1…フィルタ
2…セル
2A…閉塞セル
2B…開口セル
4,5…目詰め部
Claims (6)
- 上流端が閉塞された多数の閉塞セルと下流端が閉塞された多数の開口セルとを有する多孔質材料を用いたハニカム型モノリスフィルタからなり、内燃機関の排気系に介装されて排気ガス中の排気微粒子を捕集する内燃機関の排気微粒子フィルタにおいて、上記開口セルの通路長が、フィルタ中心部では短く、かつフィルタ外周部では長く構成されていることを特徴とする内燃機関の排気微粒子フィルタ。
- 上記開口セルの通路長が、フィルタ中心部で最も短くなるように、フィルタ外周部から中心部に向かって、徐々に短くなっていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気微粒子フィルタ。
- ハニカム型モノリスフィルタの外形の長さはフィルタ中心部とフィルタ外周部とで等しく、開口セルの下流端を閉塞している目詰め部の長さがフィルタ中心部とフィルタ外周部とで異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気微粒子フィルタ。
- ハニカム型モノリスフィルタの外形の長さが、フィルタ中心部とフィルタ外周部とで異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気微粒子フィルタ。
- ハニカム型モノリスフィルタの下流側の端面が、フィルタ中心部で相対的に上流側に位置するように凹んでいることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気微粒子フィルタ。
- 開口セルと閉塞セルとの配置パターンが、フィルタ中心部とフィルタ外周部とで同一であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の排気微粒子フィルタ。
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