JP2004156804A - 温度成層型蓄熱槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる温度成層型蓄熱槽を提供する。
【解決手段】冷水または温水を蓄える水槽10の内壁面10a近傍の上部と下部に、水平方向に延びるヘッダー配管11、12をそれぞれ配置して、上側のヘッダー配管11の周囲に、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管11の下方を通るように延出し先端部が水面近傍にまで至る上部ディフューザ13を設けるとともに、下側のヘッダー配管12の周囲に、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管12の上方を通るように延出し先端部が水槽の底面10b近傍にまで至る下部ディフューザ14を設け、これらディフューザ13、14の各先端部に、水面または上記底面10bに沿って、整流板として機能する鍔部13a、14aをそれぞれ設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】冷水または温水を蓄える水槽10の内壁面10a近傍の上部と下部に、水平方向に延びるヘッダー配管11、12をそれぞれ配置して、上側のヘッダー配管11の周囲に、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管11の下方を通るように延出し先端部が水面近傍にまで至る上部ディフューザ13を設けるとともに、下側のヘッダー配管12の周囲に、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管12の上方を通るように延出し先端部が水槽の底面10b近傍にまで至る下部ディフューザ14を設け、これらディフューザ13、14の各先端部に、水面または上記底面10bに沿って、整流板として機能する鍔部13a、14aをそれぞれ設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、空調システム等で用いられる温度成層型蓄熱槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空調システム等に供給する冷水や温水を蓄える蓄熱槽として、温度成層型蓄熱槽が知られている。この温度成層型蓄熱槽は、温度の違いにより異なる水の密度差を利用して、一つの水槽内で高温部と低温部とが混合しないように冷水または温水を蓄えることにより、高い効率で蓄熱を行うようにした蓄熱槽である。図5は、温度成層型蓄熱槽に蓄えられた水の温度分布の一例を示すグラフである。このグラフに示すように、温度成層型蓄熱槽に蓄えられた水には上部と下部とで温度差があり、その境界面が蓄熱時や放熱時に上下に移動するようになっている。
【0003】
従来の温度成層型蓄熱槽としては、図6〜図8に示すように、上下に円盤状の吸込口21aおよび吐出口22aを有するディフューザ21、22を備える蓄熱槽が一般的である(特許文献1参照。)。図6〜図8には、水槽20に冷水を供給する場合の水流が矢印で示されており、この場合においては、下部の二枚の円盤21b、21c間に放射状に形成された複数の吐出口22aから水平方向に冷水が緩やかに吐き出されると同時に、上部の二枚の円盤22b、22c間に形成された複数の吸込口21aから比較的暖かい水が緩やかに吸い込まれ、これにより、水槽20内の水が殆ど撹拌されずに、また、温度による密度差により高温部と低温部とが混じり合うことなく、水槽20内に温度成層が形成・維持されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−243375号公報(段落0005、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の温度成層型蓄熱槽にあっては、冷水または温水を蓄える水槽の平面形状が正方形に近い場合には有効であるが、細長く幅の狭い水槽の場合には、十分な蓄熱性能を発揮することができなかった。すなわち、細長く幅の狭い水槽の場合には、吐出口や吸込口と水槽の内壁面との間に十分なスペースを確保することができず、その結果、水槽内に上記内壁面に沿う鉛直方向の水流が生じ、当該水流により温度成層が崩れて蓄熱効率が低下するという問題点があった。
したがって、上記従来の温度成層型蓄熱槽においては、水槽の平面形状を正方形に近い形状にする必要があり、そのため水槽の設置スペースを確保するのが容易ではなかった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる温度成層型蓄熱槽を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る温度成層型蓄熱槽は、冷水または温水を蓄える水槽の内壁面近傍の上部と下部に、水平方向に延びるヘッダー配管をそれぞれ配置して、上側のヘッダー配管の周囲に、上記水槽の内壁面から当該上側のヘッダー配管の下方を通るように延出し先端部が水面近傍にまで至る上部ディフューザを設けるとともに、下側のヘッダー配管の周囲に、上記水槽の内壁面から当該下側のヘッダー配管の上方を通るように延出し先端部が上記水槽の底面近傍にまで至る下部ディフューザを設け、これら上部ディフューザおよび下部ディフューザの各先端部に、水面または上記水槽の底面に沿って、整流板として機能する鍔部をそれぞれ設けたことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、ヘッダー配管とは、冷水または温水を水槽に供給または水槽から排出するための配管であり、上下のヘッダー配管の一方が給水用のヘッダー配管、他方が排水用のヘッダー配管となる。例えば、上記水槽が冷水を蓄える水槽である場合には、下側のヘッダー配管が冷水を供給するヘッダー配管となり、下部ディフューザの先端部と水槽の底面との間隙(開口)が冷水の吐出口、上部ディフューザの先端部と水面との間隙(開口)が吸込口となる。一方、上記水槽が温水を蓄える水槽である場合には、上側のヘッダー配管が温水を供給するヘッダー配管となり、上部ディフューザの先端部と水面との間隙が温水の吐出口、下部ディフューザの先端部と水槽の底面との間隙が吸込口となる。
【0009】
請求項1に記載の本発明に係る温度成層型蓄熱槽によれば、水槽の内壁面近傍に配置した上下のヘッダー配管の一方から吐出された冷水または温水が整流用の鍔部によって整流されつつ緩やかに槽内(温度成層が形成される空間内)に流入するとともに、槽内の水が整流用の鍔部を通って緩やかにヘッダー配管の他方に吸い込まれることとなるので、細長く幅の狭い水槽であっても、槽内に鉛直方向の水流が生じ難くなり、温度成層が崩れ難くなる。したがって、細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる。よって、建物内の狭小なスペースを水槽の設置スペースとして利用することが可能となり、水槽の設置スペースを確保するのが容易となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の温度成層型蓄熱槽において、上記上側のヘッダー配管の下部と上記下側のヘッダー配管の上部には、それぞれ軸線方向に沿って複数の通水穴が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
この請求項2に記載の発明によれば、ヘッダー配管の通水穴から放出された水が一旦ディフューザの壁面にあたって、軸線方向に均等にならされた後に、ディフューザの吐出口に案内されることとなる。したがって、高温部と低温部との混合がより一層起こり難くなり、温度成層を安定した状態で維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明に係る温度成層型蓄熱槽の一実施形態を示すものである。この実施形態では、冷水または温水を蓄える水槽として、細長く幅の狭い水槽10が用いられ、その長手方向に沿った内壁面10a近傍の上部と下部に、水平方向に延びる円筒状のヘッダー配管11、12がそれぞれ配置されている。上側のヘッダー配管11の下部と、下側のヘッダー配管12の上部には、図1〜図3に示すように、それぞれ複数の通水穴11a、12aが軸線方向(長さ方向)に沿ってほぼ等間隔に設けられている。
【0013】
なお、上記ヘッダー配管11、12としては、長さ方向での圧力分布を小さくするために、なるべく大口径のものを用いることが望ましく、また、ヘッダー配管11、12内の流速は、最大でも0.4m/s以下となるように設定することが好ましい。さらに、ヘッダー配管11、12の通水穴11a、12aは、各々の吐出水量が上記軸線方向に沿ってほぼ均一になるよう十分に小さくし、その吐出水速が2m/s以下となるように設定することが好ましい。
【0014】
上側のヘッダー配管11の周囲には、図1〜図3に示すように、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管11の下方および側方を通るように延出して先端部が水面近傍にまで至る断面略L字状の上部ディフューザ13が設けられる一方、下側のヘッダー配管12の周囲には、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管12の上方および側方を通るように延出して先端部が水槽10の底面10b近傍にまで至る断面略L字状の下部ディフューザ14が設けられている。すなわち、上部ディフューザ13と水槽10の内壁面10aとで囲まれる細長い空間S1内に上側のヘッダー配管11が配置され、下部ディフューザ14と水槽10の内壁面10aとで囲まれる細長い空間S2内に下側のヘッダー配管12が配置されている。
【0015】
そして、下部ディフューザ14の起立面14bの先端部(下端部)と水槽10の底面10bとの間には、図1〜図3に示すように、スリット状の開口16がヘッダー配管12の長さ方向に形成され、当該開口16の縁部には、水槽10の底面10bに沿って、整流板として機能する鍔部14aが設けられている。また、上部ディフューザ13の起立面13bの先端部(上端部)と水面との間には、ヘッダー配管11の長さ方向に沿って開口15が形成され、起立面13bの先端部には、水面に沿って整流用の鍔部13aが設けられている。なお、上記開口15、16を通過する際の水速(ディフューザ13、14の吐出水速)は、5cm/s以下となるように設定することが好ましい。
【0016】
次に、上記水槽10に冷水を供給する場合を例にとって、本実施形態の温度成層型蓄熱槽の作用を説明する。この場合には、下側のヘッダー配管12によって水槽10への給水が行われ、上側のヘッダー配管11によって水槽10からの排水が行われる。
すなわち、下側のヘッダー配管12の通水穴12aから上方向に放出された冷水は、図1および図3に示すように、一旦下部ディフューザ14の水平面14cにあたって、軸線方向に均等にならされた後、下部ディフューザ14の起立面14bまたは水槽10の内壁面10aに沿うように流下して、下部ディフューザ14と水槽10の底面10bとの間の開口16に案内され、その後、整流用の鍔部14aによって整流されつつ緩やかに上記開口16から吐出されることとなる。
【0017】
一方、水槽10の水面付近の水は、図1〜図3に示すように、上部ディフューザ13の鍔部13aを通って、上部ディフューザ13の起立面13bの先端部と水面との間の開口(間隙)15から、上部ディフューザ13と水槽10の内壁面10aとで囲まれる細長い空間S1内に緩やかに流入し、その後、上部ディフューザ13の起立面13bまたは水槽10の内壁面10aに沿うように流下して、上側のヘッダー配管11の通水穴11aから吸い込まれる。
その結果、水槽10内の水が殆ど撹拌されずに、また、温度による密度差により高温部と低温部とが混じり合うことなく、水槽20内に温度成層が形成・維持される。また、冷水の供給量が増加するに連れて、高温部と低温部の境界面が徐々に上昇して行く。
【0018】
なお、これとは反対に、水槽10内に温水を供給する場合には、上側のヘッダー配管11が給水用のヘッダー配管となり、下側のヘッダー配管12が排水用のヘッダー配管となる。そして、この場合には、水槽10内の各部位における水流の向きが、水槽10内に冷水を供給する場合と反対の向きになる。
【0019】
このように、本実施形態の温度成層型蓄熱槽によれば、水槽10の内壁面10a近傍に配置した上下のヘッダー配管11、12の一方から吐出された冷水または温水が整流用の鍔部によって整流されつつ緩やかに槽内(温度成層が形成される空間内)に流入するとともに、槽内の水が鍔部を通って緩やかにヘッダー配管11、12の他方に吸い込まれることとなるので、細長く幅の狭い水槽10であっても、槽内に鉛直方向の水流が生じ難い。
【0020】
しかも、ヘッダー配管12(11)の通水穴12a(11a)から放出された水が一旦ディフューザ14(13)の水平面14c(13c)にあたって、軸線方向に均等にならされてからディフューザ14(13)の開口16(15)に案内されることとなるので、開口16(15)の近傍においても水流の乱れが生じ難い。
したがって、細長く幅の狭い水槽10であっても、温度成層を安定した状態で形成・維持することができ、十分な蓄熱性能を発揮することができる。そのため、建物内の狭小なスペースを水槽10の設置スペースとして利用することが可能となり、水槽10の設置スペースを確保するのが容易となる。
【0021】
なお、この実施形態では、給水用と排水用のヘッダー配管として、一組のヘッダー配管11、12を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、水槽10の大きさや平面形状等に応じて、複数組のヘッダー配管を設けるようにしてもよい。例えば、上記水槽10内に二組のヘッダー配管を設ける場合には、互いに対向する内壁面10a、10cの近傍にそれぞれ一組ずつヘッダー配管を設けるようにすればよい。
また、この実施形態では、上部ディフューザおよび下部ディフューザとして、断面略L字状のディフューザ13、14を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、上部ディフューザの下半部や下部ディフューザの上半部を、ヘッダー配管11、12の外周面に沿う曲面形状とすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る温度成層型蓄熱槽によれば、細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる。したがって、建物内の狭小なスペースを水槽の設置スペースとして利用することが可能となり、水槽の設置スペースを確保するのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温度成層型蓄熱槽の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の温度成層型蓄熱槽の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】温度成層型蓄熱槽に蓄えられた水の温度分布の一例を示すグラフである。
【図6】従来の温度成層型蓄熱槽の一例を示す平面図である。
【図7】図6の温度成層型蓄熱槽のC−C線に沿った断面図である。
【図8】図6の温度成層型蓄熱槽のディフューザを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 水槽
11、12 ヘッダー配管
11a、12a 通水穴
13 上部ディフューザ
14 下部ディフューザ
13a、14a 鍔部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、空調システム等で用いられる温度成層型蓄熱槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空調システム等に供給する冷水や温水を蓄える蓄熱槽として、温度成層型蓄熱槽が知られている。この温度成層型蓄熱槽は、温度の違いにより異なる水の密度差を利用して、一つの水槽内で高温部と低温部とが混合しないように冷水または温水を蓄えることにより、高い効率で蓄熱を行うようにした蓄熱槽である。図5は、温度成層型蓄熱槽に蓄えられた水の温度分布の一例を示すグラフである。このグラフに示すように、温度成層型蓄熱槽に蓄えられた水には上部と下部とで温度差があり、その境界面が蓄熱時や放熱時に上下に移動するようになっている。
【0003】
従来の温度成層型蓄熱槽としては、図6〜図8に示すように、上下に円盤状の吸込口21aおよび吐出口22aを有するディフューザ21、22を備える蓄熱槽が一般的である(特許文献1参照。)。図6〜図8には、水槽20に冷水を供給する場合の水流が矢印で示されており、この場合においては、下部の二枚の円盤21b、21c間に放射状に形成された複数の吐出口22aから水平方向に冷水が緩やかに吐き出されると同時に、上部の二枚の円盤22b、22c間に形成された複数の吸込口21aから比較的暖かい水が緩やかに吸い込まれ、これにより、水槽20内の水が殆ど撹拌されずに、また、温度による密度差により高温部と低温部とが混じり合うことなく、水槽20内に温度成層が形成・維持されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−243375号公報(段落0005、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の温度成層型蓄熱槽にあっては、冷水または温水を蓄える水槽の平面形状が正方形に近い場合には有効であるが、細長く幅の狭い水槽の場合には、十分な蓄熱性能を発揮することができなかった。すなわち、細長く幅の狭い水槽の場合には、吐出口や吸込口と水槽の内壁面との間に十分なスペースを確保することができず、その結果、水槽内に上記内壁面に沿う鉛直方向の水流が生じ、当該水流により温度成層が崩れて蓄熱効率が低下するという問題点があった。
したがって、上記従来の温度成層型蓄熱槽においては、水槽の平面形状を正方形に近い形状にする必要があり、そのため水槽の設置スペースを確保するのが容易ではなかった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる温度成層型蓄熱槽を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る温度成層型蓄熱槽は、冷水または温水を蓄える水槽の内壁面近傍の上部と下部に、水平方向に延びるヘッダー配管をそれぞれ配置して、上側のヘッダー配管の周囲に、上記水槽の内壁面から当該上側のヘッダー配管の下方を通るように延出し先端部が水面近傍にまで至る上部ディフューザを設けるとともに、下側のヘッダー配管の周囲に、上記水槽の内壁面から当該下側のヘッダー配管の上方を通るように延出し先端部が上記水槽の底面近傍にまで至る下部ディフューザを設け、これら上部ディフューザおよび下部ディフューザの各先端部に、水面または上記水槽の底面に沿って、整流板として機能する鍔部をそれぞれ設けたことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、ヘッダー配管とは、冷水または温水を水槽に供給または水槽から排出するための配管であり、上下のヘッダー配管の一方が給水用のヘッダー配管、他方が排水用のヘッダー配管となる。例えば、上記水槽が冷水を蓄える水槽である場合には、下側のヘッダー配管が冷水を供給するヘッダー配管となり、下部ディフューザの先端部と水槽の底面との間隙(開口)が冷水の吐出口、上部ディフューザの先端部と水面との間隙(開口)が吸込口となる。一方、上記水槽が温水を蓄える水槽である場合には、上側のヘッダー配管が温水を供給するヘッダー配管となり、上部ディフューザの先端部と水面との間隙が温水の吐出口、下部ディフューザの先端部と水槽の底面との間隙が吸込口となる。
【0009】
請求項1に記載の本発明に係る温度成層型蓄熱槽によれば、水槽の内壁面近傍に配置した上下のヘッダー配管の一方から吐出された冷水または温水が整流用の鍔部によって整流されつつ緩やかに槽内(温度成層が形成される空間内)に流入するとともに、槽内の水が整流用の鍔部を通って緩やかにヘッダー配管の他方に吸い込まれることとなるので、細長く幅の狭い水槽であっても、槽内に鉛直方向の水流が生じ難くなり、温度成層が崩れ難くなる。したがって、細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる。よって、建物内の狭小なスペースを水槽の設置スペースとして利用することが可能となり、水槽の設置スペースを確保するのが容易となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の温度成層型蓄熱槽において、上記上側のヘッダー配管の下部と上記下側のヘッダー配管の上部には、それぞれ軸線方向に沿って複数の通水穴が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
この請求項2に記載の発明によれば、ヘッダー配管の通水穴から放出された水が一旦ディフューザの壁面にあたって、軸線方向に均等にならされた後に、ディフューザの吐出口に案内されることとなる。したがって、高温部と低温部との混合がより一層起こり難くなり、温度成層を安定した状態で維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明に係る温度成層型蓄熱槽の一実施形態を示すものである。この実施形態では、冷水または温水を蓄える水槽として、細長く幅の狭い水槽10が用いられ、その長手方向に沿った内壁面10a近傍の上部と下部に、水平方向に延びる円筒状のヘッダー配管11、12がそれぞれ配置されている。上側のヘッダー配管11の下部と、下側のヘッダー配管12の上部には、図1〜図3に示すように、それぞれ複数の通水穴11a、12aが軸線方向(長さ方向)に沿ってほぼ等間隔に設けられている。
【0013】
なお、上記ヘッダー配管11、12としては、長さ方向での圧力分布を小さくするために、なるべく大口径のものを用いることが望ましく、また、ヘッダー配管11、12内の流速は、最大でも0.4m/s以下となるように設定することが好ましい。さらに、ヘッダー配管11、12の通水穴11a、12aは、各々の吐出水量が上記軸線方向に沿ってほぼ均一になるよう十分に小さくし、その吐出水速が2m/s以下となるように設定することが好ましい。
【0014】
上側のヘッダー配管11の周囲には、図1〜図3に示すように、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管11の下方および側方を通るように延出して先端部が水面近傍にまで至る断面略L字状の上部ディフューザ13が設けられる一方、下側のヘッダー配管12の周囲には、上記内壁面10aから当該ヘッダー配管12の上方および側方を通るように延出して先端部が水槽10の底面10b近傍にまで至る断面略L字状の下部ディフューザ14が設けられている。すなわち、上部ディフューザ13と水槽10の内壁面10aとで囲まれる細長い空間S1内に上側のヘッダー配管11が配置され、下部ディフューザ14と水槽10の内壁面10aとで囲まれる細長い空間S2内に下側のヘッダー配管12が配置されている。
【0015】
そして、下部ディフューザ14の起立面14bの先端部(下端部)と水槽10の底面10bとの間には、図1〜図3に示すように、スリット状の開口16がヘッダー配管12の長さ方向に形成され、当該開口16の縁部には、水槽10の底面10bに沿って、整流板として機能する鍔部14aが設けられている。また、上部ディフューザ13の起立面13bの先端部(上端部)と水面との間には、ヘッダー配管11の長さ方向に沿って開口15が形成され、起立面13bの先端部には、水面に沿って整流用の鍔部13aが設けられている。なお、上記開口15、16を通過する際の水速(ディフューザ13、14の吐出水速)は、5cm/s以下となるように設定することが好ましい。
【0016】
次に、上記水槽10に冷水を供給する場合を例にとって、本実施形態の温度成層型蓄熱槽の作用を説明する。この場合には、下側のヘッダー配管12によって水槽10への給水が行われ、上側のヘッダー配管11によって水槽10からの排水が行われる。
すなわち、下側のヘッダー配管12の通水穴12aから上方向に放出された冷水は、図1および図3に示すように、一旦下部ディフューザ14の水平面14cにあたって、軸線方向に均等にならされた後、下部ディフューザ14の起立面14bまたは水槽10の内壁面10aに沿うように流下して、下部ディフューザ14と水槽10の底面10bとの間の開口16に案内され、その後、整流用の鍔部14aによって整流されつつ緩やかに上記開口16から吐出されることとなる。
【0017】
一方、水槽10の水面付近の水は、図1〜図3に示すように、上部ディフューザ13の鍔部13aを通って、上部ディフューザ13の起立面13bの先端部と水面との間の開口(間隙)15から、上部ディフューザ13と水槽10の内壁面10aとで囲まれる細長い空間S1内に緩やかに流入し、その後、上部ディフューザ13の起立面13bまたは水槽10の内壁面10aに沿うように流下して、上側のヘッダー配管11の通水穴11aから吸い込まれる。
その結果、水槽10内の水が殆ど撹拌されずに、また、温度による密度差により高温部と低温部とが混じり合うことなく、水槽20内に温度成層が形成・維持される。また、冷水の供給量が増加するに連れて、高温部と低温部の境界面が徐々に上昇して行く。
【0018】
なお、これとは反対に、水槽10内に温水を供給する場合には、上側のヘッダー配管11が給水用のヘッダー配管となり、下側のヘッダー配管12が排水用のヘッダー配管となる。そして、この場合には、水槽10内の各部位における水流の向きが、水槽10内に冷水を供給する場合と反対の向きになる。
【0019】
このように、本実施形態の温度成層型蓄熱槽によれば、水槽10の内壁面10a近傍に配置した上下のヘッダー配管11、12の一方から吐出された冷水または温水が整流用の鍔部によって整流されつつ緩やかに槽内(温度成層が形成される空間内)に流入するとともに、槽内の水が鍔部を通って緩やかにヘッダー配管11、12の他方に吸い込まれることとなるので、細長く幅の狭い水槽10であっても、槽内に鉛直方向の水流が生じ難い。
【0020】
しかも、ヘッダー配管12(11)の通水穴12a(11a)から放出された水が一旦ディフューザ14(13)の水平面14c(13c)にあたって、軸線方向に均等にならされてからディフューザ14(13)の開口16(15)に案内されることとなるので、開口16(15)の近傍においても水流の乱れが生じ難い。
したがって、細長く幅の狭い水槽10であっても、温度成層を安定した状態で形成・維持することができ、十分な蓄熱性能を発揮することができる。そのため、建物内の狭小なスペースを水槽10の設置スペースとして利用することが可能となり、水槽10の設置スペースを確保するのが容易となる。
【0021】
なお、この実施形態では、給水用と排水用のヘッダー配管として、一組のヘッダー配管11、12を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、水槽10の大きさや平面形状等に応じて、複数組のヘッダー配管を設けるようにしてもよい。例えば、上記水槽10内に二組のヘッダー配管を設ける場合には、互いに対向する内壁面10a、10cの近傍にそれぞれ一組ずつヘッダー配管を設けるようにすればよい。
また、この実施形態では、上部ディフューザおよび下部ディフューザとして、断面略L字状のディフューザ13、14を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、上部ディフューザの下半部や下部ディフューザの上半部を、ヘッダー配管11、12の外周面に沿う曲面形状とすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る温度成層型蓄熱槽によれば、細長く幅の狭い水槽であっても、十分な蓄熱性能を発揮することができる。したがって、建物内の狭小なスペースを水槽の設置スペースとして利用することが可能となり、水槽の設置スペースを確保するのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温度成層型蓄熱槽の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の温度成層型蓄熱槽の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】温度成層型蓄熱槽に蓄えられた水の温度分布の一例を示すグラフである。
【図6】従来の温度成層型蓄熱槽の一例を示す平面図である。
【図7】図6の温度成層型蓄熱槽のC−C線に沿った断面図である。
【図8】図6の温度成層型蓄熱槽のディフューザを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 水槽
11、12 ヘッダー配管
11a、12a 通水穴
13 上部ディフューザ
14 下部ディフューザ
13a、14a 鍔部
Claims (2)
- 冷水または温水を蓄える水槽の内壁面近傍の上部と下部に、水平方向に延びるヘッダー配管をそれぞれ配置して、上側のヘッダー配管の周囲に、上記水槽の内壁面から当該上側のヘッダー配管の下方を通るように延出し先端部が水面近傍にまで至る上部ディフューザを設けるとともに、下側のヘッダー配管の周囲に、上記水槽の内壁面から当該下側のヘッダー配管の上方を通るように延出し先端部が上記水槽の底面近傍にまで至る下部ディフューザを設け、これら上部ディフューザおよび下部ディフューザの各先端部に、水面または上記水槽の底面に沿って、整流板として機能する鍔部をそれぞれ設けたことを特徴とする温度成層型蓄熱槽。
- 上記上側のヘッダー配管の下部と上記下側のヘッダー配管の上部には、それぞれ軸線方向に沿って複数の通水穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の温度成層型蓄熱槽。
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-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002321020A patent/JP2004156804A/ja active Pending
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