JP2004155836A - アニオン型電着塗料及び塗替え方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アニオン電着塗膜の塗替えに適したアニオン型電着塗料を提供する。
【解決手段】重量平均分子量約3万、酸価53KOHmg/g、水酸基価72KOHmg/gのアクリル樹脂にメラミン樹脂硬化剤、ジノニルナフタレンスルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸系化合物を配合してなる上塗り付着性に優れたアニオン型電着塗料組成物、並びにスルホン酸系化合物を含有してなるメラミン硬化アクリル樹脂系アニオン電着塗膜にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装することを特徴とする電着塗膜の塗替え方法。
【選択図】なし
【解決手段】重量平均分子量約3万、酸価53KOHmg/g、水酸基価72KOHmg/gのアクリル樹脂にメラミン樹脂硬化剤、ジノニルナフタレンスルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸系化合物を配合してなる上塗り付着性に優れたアニオン型電着塗料組成物、並びにスルホン酸系化合物を含有してなるメラミン硬化アクリル樹脂系アニオン電着塗膜にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装することを特徴とする電着塗膜の塗替え方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウムサッシなどのアルミニウム建材の表面に塗装された電着塗膜の塗替え方法及びその塗替えに適した電着塗料に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、アルミニウム建材には美化、意匠性、性能などの機能を付与させる目的として透明もしくは着色された電着塗膜が被覆されている。
【0003】
被覆された塗膜は、長期間経過と共に塗膜が劣化して、外観や性能が損なわれてくるために、塗膜が劣化する前に予防保全塗装や、塗膜の劣化後に補修塗装などの塗替え塗装による維持保全処理が、通常、行われている。
【0004】
この様な塗替え塗装として、アルミニウムサッシなどのアルミ建材の表面に塗装された電着塗膜に発生したキズなどを補修する方法が公知である(特許文献1参照)。
【0005】
この従来の方法は、アルミサッシの電着塗膜のスリキズ部分にアクリル樹脂系常温乾燥性補修用塗料を塗装して乾燥させる方法である。
【0006】
しかしながら該方法による補修用塗料は、スリキズ部の電着塗膜との相間付着性は、投描効果により優れるが、その他の平滑な電着塗膜に対する付着性は悪く、そのために補修用塗料を塗装する前に電着塗膜の研磨が行われているのが実情である。
【0007】
また、電着塗膜として、アルコキシシリル基を有するメラミン硬化アクリル樹脂系艶消しアニオン電着塗膜を使用した場合には、更に塗膜表面のシロキサン結合により補修塗膜の付着性が劣る。
【0008】
【特許文献1】
特開平13−149861号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来のアニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合した電着塗料と塗替え塗料塗料としてイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を採用することにより、付着性に優れた塗替え塗膜が形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、メラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合してなることを特徴とする上塗り付着性に優れたアニオン電着塗料並びにスルホン酸系化合物を含有してなるメラミン硬化アクリル樹脂系アニオン電着塗膜にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装することを特徴とする電着塗膜の塗替え方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のアニオン電着塗料は、メラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合してなる電着塗料である。
【0012】
本発明で使用するメラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料としては、例えば、陽極酸化処理が施されたアルミニウム建材にメラミン硬化アクリル樹脂系電着塗膜が形成される従来から公知の塗料が使用できる。
【0013】
使用できるアニオン電着塗料としては、具体的には、例えば、酸価15〜80KOHmg/g及び水酸基価30〜200KOHmg/gでアルコキシシリル基を側鎖に有する水分散性樹脂を塩基性化合物で中和してなるものが挙げられる。
【0014】
水分散性樹脂は、水酸基含有不飽和モノマ−、カルボキシル基含有不飽和モノマ−を必須モノマ−成分とし必要に応じてその他の不飽和モノマ−(艶消し塗膜を形成する場合にはアルコキシシリル基含有不飽和モノマ−を使用すれば良い。)と共重合したものが好適に使用される。
【0015】
これらのモノマ−成分としては、下記のものを挙げることができる。
【0016】
(1)水酸基含有不飽和モノマ−:例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、及びこれ以外にプラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)などの水酸基含有不飽和モノマ−類等
(2)カルボキシル基含有不飽和モノマ−:例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等
(3)その他の不飽和モノマ−:例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC1〜18のアルキル又はシクロアルキルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマ−類、(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、(メタ)アクリロニトリル化合物類等、
(4)アルコキシシリル基含有不飽和モノマ−:例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等
これらのモノマ−の配合割合は、総合計量換算で水酸基含有不飽和モノマ−が3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、カルボキシル基含有不飽和モノマ−が2〜30重量%、好ましくは4〜10重量%、及び必要に応じてその他の不飽和モノマ−0〜94.9重量%、好ましくは50〜90.5重量%、艶消しの場合にはアルコキシシリル基含有不飽和モノマ−が0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0017】
メラミン樹脂は水分散性樹脂の水酸基と反応して硬化塗膜を形成するものである。
【0018】
メラミン樹脂としては、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、オクチルアルコ−ル、2−エチルヘキシルアルコ−ル等の1種もしくは2種以上のアルコ−ルで変性されたものを使用することができる。また、水分散性樹脂と相溶性の異なるメラミン樹脂を使用することによって艶消し塗膜が形成される従来からのメラミン樹脂も使用することができる。
【0019】
水分散性樹脂とメラミン樹脂の配合割合は2者の総合計量換算で、次の通りである。
【0020】
水分散性樹脂が30〜90重量%、そしてメラミン樹脂が70〜10重量%、好ましくは水分散性樹脂が35〜80重量%、そしてメラミン樹脂が65〜20重量%である。水分散性樹脂が30重量%未満、そしてメラミン樹脂が70重量%を超えると、塗膜加工性、耐候性等が劣る。また、水分散性樹脂が90重量%を超え、そしてメラミン樹脂が10重量%未満になると、塗膜加工性、耐候性等が劣る。
【0021】
上記した水分散性樹脂及びメラミン樹脂は、両者の成分を混合した後、水分散性樹脂のカルボキシル基に対して0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜1.2当量の塩基性化合物で中和した後、混合分散し、次いでこのものに、脱イオン水を固形分60〜10重量%、好ましくは40〜10重量%になるように徐々に滴下し、次いでPHを7.0になるように中和剤で調整して従来から公知の電着塗料を得ることができる。
【0022】
上記中和剤としては、例えば、アンモニア;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン等が好適なものとして挙げることができる。
【0023】
本発明のアニオン電着塗料において、上記した従来から公知のメラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料に配合されるスルホン酸系化合物としては、下記のものが挙げられる。
一般式1
【0024】
【化1】
【0025】
(上記した式において、R1はC5〜C18のアルキル基を示す。)
一般式2
【0026】
【化2】
【0027】
(上記した式において、R2、R3は同一もしくは異なってC3〜C12のアルキル基を示す。)
一般式3
【0028】
【化3】
【0029】
(上記した式において、R1はC5〜C18のアルキル基を示す。)
一般式4
【0030】
【化4】
【0031】
(上記した式において、R2、R3は同一もしくは異なってC3〜C12のアルキル基を示す。)
一般式5
【0032】
【化5】
【0033】
(上記した式において、R2、R3は同一もしくは異なってC3〜C12のアルキル基を示す。)
上記したスルホン酸系化合物の具体例としては、例えば、n−ブチルベンゼンスルホン酸、n−アミルベンゼンスルホン酸、n−オクチルベンゼンスルホン酸、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、n−オクタデシルベンゼンスルホン酸、n−ジブチルベンゼンスルホン酸、iso−プロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。
【0034】
上記した中でも特に上塗り付着性に優れた効果を発揮するジノニルナフタレンスルホン酸を使用することが好ましい。
【0035】
スルホン酸系化合物の配合割合は、上記したメラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料の固形分100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.05〜1重量部の範囲である。配合割合が、0.01重量部未満になると上塗り塗料との付着性が低下し、一方、5重量部を超えると塗膜の耐候性の低下や塗膜が黄変したりするので好ましくない。
【0036】
スルホン酸系化合物の配合方法は、メラミン樹脂、アクリル樹脂を水分散する前もしくは分散後に配合することができる。また、配合するスルホン酸系化合物は未中和物もしくは上記中和剤で中和した中和物として配合することができる。
【0037】
本発明の電着塗料は、上記した以外にも必要に応じて着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、硬化触媒、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0038】
本発明の電着塗料を使用して硬化塗膜を形成する方法としては、例えば、 アルミニウム建材に被塗物を本発明のアニオン電着塗料を用いて既知の方法で膜厚が通常5〜30μmになるように電着塗装を行い、次いで、余分に付着した浴塗料を水洗して除去し、次いで140〜180℃程度の温度で約20〜40分間加熱する方法が一般的である。
【0039】
上記電着塗装されるアルミニウム建材としては、アルミニウム材を成型加工してなるものであり、例えば、サッシ、建具、ベランダ用基材、屋根材、雨戸、ドア、障子、戸袋、サンルーム用基材などが挙げられる。そして、これらのアルミニウム建材は、必要に応じて陽極酸化処理や着色処理を施したものを使用することができる。
【0040】
本発明の塗替え方法は、上記した本発明のアニオン電着塗料で形成された硬化塗膜表面にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装してなる。
【0041】
上記した硬化塗膜表面に塗替え塗装されるイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料としては、水酸基含有フッ素樹脂を基体樹脂とし、このものにポリイソシアネート化合物を硬化剤として配合した2液型常温硬化型有機溶剤塗料である。
【0042】
水酸基含有フッ素樹脂としては、例えば、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a)、フルオロオレフィン(b)及び必要に応じて他のラジカル重合性不飽和単量体(c)とを共重合反応させて得られるものが包含される。
上記水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a)としては、フルオロオレフィンとラジカル共重合可能なラジカル重合性不飽和二重結合及び水酸基を有するものであり、具体的には、例えばヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテルなどのヒドロキシアリルエーテルが好適に使用できる。
前記フルオロオレフィン(b)としては下記
一般式6
【0043】
【化6】
【0044】
(式中、R4は同一もしくは異なってH、F及びC1を示す。)
で表わされるものが使用できる。
【0045】
具体的には、例えばフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化塩化エチレン及び四フッ化エチレン等が挙げられる。中でも好ましくは耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜が得られることから四フッ化エチレン及び三フッ化塩化エチレンである。
他のラジカル重合性不飽和単量体(c)としては、前記フルオロオレフィンとラジカル共重合可能な不飽和二重結合を有するものであり、要求される塗膜性能に応じて、従来から公知の単量体から選択して使用できる。
【0046】
具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチレン−1等の如きα−オレフィン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の如きビニルエーテル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ピバリック酸ビニル、カプリル酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類;酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニルなどの脂肪酸イソプロペニルエステル類などが挙げられる。
【0047】
また、上記した以外にも水酸基含有フッ素樹脂として、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を一端に有し、他端にエチレン性二重結合を有する単量体(d)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(e)及びその他のラジカル重合性不飽和単量体(f)を共重合反応させて得られる重合体が使用できる。
【0048】
パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を一端に有し、他端にエチレン性二重結合を有する単量体(d)としては、好ましくはパーフルオロブチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロイソノニルエチルメタクリレート、パーフルオロデシルエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0049】
水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(e)としては、好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0050】
その他のラジカル重合性不飽和単量体(f)としては、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリルなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキル(C1〜18)エステル;アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族モノマー;アクリル酸又はメタクリル酸のアミド化合物及びその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0051】
上記水酸基フッ素樹脂は、数平均分子量約2,000〜100,000、好ましくは約5,000〜80,000の範囲を有することができる。分子量が約2,000を下回ると塗膜の耐久性、耐汚染性の保持性が低下し、一方、100,000を上回ると硬化剤との相溶性が低下し塗料貯蔵安定性が低下するので好ましくない。
【0052】
また、水酸基含有フッ素樹脂は、水酸基価約20〜200、好ましくは約50〜150の範囲を有することができる。水酸基価が約20を下回ると塗膜の耐久性、耐汚染性の保持性が低下し、一方、200を上回ると塗膜の耐久性、耐水性、耐汚染性が低下するので好ましくない。
【0053】
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、例えばヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族系等のものが挙げられる。
【0054】
また、水酸基含有フッ素樹脂とイソシアネート化合物の混合割合は、水酸基含有フッ素樹脂の水酸基に対しイソシアネート化合物のイソシアネート基を約0.6〜1.5当量、好ましくは約0.8〜1.2当量の範囲が良い。配合割合が約0.6当量を下回ると塗膜の耐候性、耐汚染性、耐候性、耐水性などが低下し、一方、約1.5当量を上回ると塗膜の耐汚染性、耐候性などが低下するので好ましくない。
【0055】
有機溶剤としては、例えば、上記硬化性樹脂組成物に対して実質的に不活性であり、かつ該硬化性樹脂組成物を溶解もしくは分散が可能なものを従来公知のものから適宜選択して使用できる。
【0056】
具体的には例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、ブタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素等が挙げられる。
【0057】
該有機溶剤の配合割合は硬化性樹脂組成物との総合計量換算で、約10〜95重量%、好ましくは約20〜90重量%の範囲が良い。
【0058】
本発明上塗り塗料において、上記した成分以外にオルガノシリケート成分を配合することが好ましい。
【0059】
該オルガノシリケートは、
下記一般式7
【0060】
【化7】
【0061】
(式中、Rは同一もしくは異なって水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
で表わされるもの及びその縮合物である。
【0062】
Rの炭素数が10を越えたオルガノシリケートを用いると、加水分解速度が遅くなり塗膜の耐汚染性、耐久性などが劣る。
該一般式において炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えばアルキル基、アリール基などが例示される。
【0063】
上記「アルキル基」は、直鎖状又は分枝状のいずれのタイプであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、n−オクチル基などが挙げられるが、中でも炭素数1〜3の低級アルキル基が好適である。また、「アリール基」は、単環及び多環のいずれのタイプのものであってもよく、例えばフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル基などが挙げられるが、中でもフェニル基が好適である。
【0064】
本発明で用いるオルガノシリケートの好ましい具体例としては、例えばテトラヒドロキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシランなどが挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組合わせたものも使用できる。
【0065】
また、オルガノシリケートの縮合物としては、前記一般式で表わされるオルガノシリケート同士の分枝状もしくは直鎖状の縮合物であって、縮合度が2〜100のものが好ましく、具体的には式:(式中、Rは前記と同様の意味を示し、nは2〜100の整数を示す。)で表わされる縮合物が好ましい。
【0066】
上記一般式において、nが100を越えると耐汚染性の効果が小さくなるので好ましくない。
【0067】
本発明で用いるオルガノシリケートとしては、好ましくは一般式のRが炭素数1〜3の低級アルキル基のもの及びその縮合物としてはRが炭素数1〜3の低級アルキル基であって縮合度が2〜10のものが特に好ましい。
【0068】
オルガノシリケート及びその縮合物の配合割合は、前記塗料組成物の樹脂固形分100重量部当たり、約0.1〜50重量部、好ましくは約0.1〜40重量部の範囲が良い。オルガノシリケート及びその縮合物の配合割合が約1重量部を下回ると塗膜の耐汚染性が劣り、一方、約50重量部を上回ると塗膜が堅くなりワレ、光沢低下などの欠陥を生じる恐れがあるので好ましくない。
【0069】
本発明上塗り塗料は、上記した以外にも必要に応じて着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、硬化触媒、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0070】
本発明の上塗り塗料は、艶有り、5分艶、3分艶、艶消しなど光沢度を艶有りから艶消しまで必要に応じて変化させたものを適宜使用することができる。
【0071】
本発明塗り塗料の塗装は、上記上塗り塗料を電着塗装されたアルミニウム建材表面に塗布し、次いで室温により硬化塗膜を形成することができる。上記したオルガノシリケートを配合してなる上塗り塗膜は屋外などに晒された際に酸性雨などの酸成分によって塗膜表面は水に対する接触角が徐々に低下することによって塗膜表面の汚れを防止することができるといった優れた効果を発揮する。
【0072】
上塗り塗料の塗装方法は、例えば刷毛塗り、吹付け塗り、ローラー塗り、浸漬塗り、静電粉体塗装などの手段で基材表面に塗布することができる。塗布量は塗料種、塗装手段などによって異なるが、一般には約1〜500μm、好ましくは約10〜100μmの範囲で十分と考える。塗膜の乾燥は上塗り塗料組成物のタイプに応じて条件を選択することができる。例えば水酸基含有樹脂を基体樹脂としポリイソシアネート化合物を架橋剤として含有する上塗り塗料組成物は室温で8時間程度で十分と考える。
【0073】
【発明の効果】
本発明は上記した構成を有することから次のような効果を発揮するものと推察される。
【0074】
従来からのメラミン硬化型アクリル樹脂電着塗料は、その塗装膜を焼付けtが場合に、また塗膜が屋外暴露に晒された場合にメラミン樹脂のアミノ基とアクリル樹脂の水酸基との反応が、塗膜内部よりも塗膜表面の方がより早く硬化が進行するため、塗膜表面硬度が過剰に高くなり、その結果として上塗り塗膜との付着性が悪くなると考えられる。
【0075】
従来のメラミン硬化型アクリル樹脂電着塗料にスルホン酸系化合物を配合した塗膜では、スルホン酸系化合物がアミノ基と水酸基との反応を更に促進するために更に上塗り付着性が低下すると思われるが、逆に付着性が向上するといった予想外の効果を発揮するものであった。
【0076】
その効果を発揮する理由について、明白ではないが、
▲1▼ スルホン酸系化合物がアミノ基と水酸基との反応や、アルコキシシラン基同士や水酸基との反応を促進するために塗膜表面と内部との硬化性(架橋密度)が均一になったこと(塗膜表面の過剰な硬化反応が進行しないので、暴露中での塗膜表面の硬度が異常に高くならない)、
▲2▼ 上塗り塗料で使用するイソシアネート基は極性が高いこと、電着塗膜表面に残存する活性水素(水酸基、カルボキシル基など)との間で化学的2次結合を生じること、
▲3▼ 電着塗膜表面に存在するスルホン酸系化合物は、上塗り塗料で使用するイソシアネート基の反応性(硬化速度、硬化性など)に影響しないので、電着塗膜と上塗り塗膜の界面との付着性に悪影響しないこと、
▲4▼ 上塗り塗膜はイソシアネート基及び水酸基との反応によりウレタン結合が形成され、柔軟で強靭な塗膜が形成されるので、外的な力に対する抵抗力が高いこと
などによるものと推察される。
【0077】
【実施例】
以下に本発明に関する実施例及び比較例について説明をする。
【0078】
実施例1
ブラウン系着色艶消しアニオン電着塗料の製造例
反応容器中にイソプロピルアルコ−ルを275gを仕込み80℃に保持した中へスチレン75g、メチルメタクリレ−ト155g、n−ブチルアクリレ−ト95g、エチルアクリレ−ト50g、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト75g、アクリル酸35g、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン15g及びアゾビスジメチルバレロニトリル1gの混合物を3時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル3gを添加し、80℃で3時間保持して反応を行って、固形分65重量%の水分散性樹脂ワニスを製造した。該樹脂は、重量平均分子量約3万、酸価53KOHmg/g、水酸基価72KOHmg/gであった。
【0079】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算で10g)にルチル型二酸化チタン1g、弁柄顔料0.5g、オキサイドエロー顔料1g、カーボンブラック顔料1gを配合してペブルミル分散機で分散して着色ペーストを製造した。
【0080】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算90g)、着色ペースト(固形分換算13.5g)の混合物に、該水分散性樹脂ワニスの樹脂のカルボキシル基に対して0.4当量のトリエチルアミンを配合した後、混合分散し、次いでこのものに、ニカラックMX−430(三和ケミカル株式会社製、商品名、メラミン樹脂)30g(固形分量)を配合し、混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を樹脂固形分10重量%になるように徐々に滴下し、次いでPHを7.0になるようにトリエチルアミンで調整してブラウン系着色艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0081】
得られたブラウン系着色艶消しアニオン電着塗料(固形分100g)に対してジノニルナフタレンスルホン酸0.10gを配合して実施例1の艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0082】
実施例2〜6
表1に示す配合割合で実施例2〜6の艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0083】
比較例1
表1に示す配合割合で比較例1の艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0084】
実施例7
ブラウン系着色艶有りアニオン電着塗料の製造例
反応容器中にイソプロピルアルコ−ルを275gを仕込み80℃に保持した中へスチレン75g、メチルメタクリレ−ト170g、n−ブチルアクリレ−ト95g、エチルアクリレ−ト50g、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト75g、アクリル酸35g及びアゾビスジメチルバレロニトリル1gの混合物を3時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル3gを添加し、80℃で3時間保持して反応を行って、固形分65重量%の水分散性樹脂ワニスを製造した。該樹脂は、重量平均分子量約3万、酸価53KOHmg/g、水酸基価72KOHmg/gであった。
【0085】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算で10g)にルチル型二酸化チタン1g、弁柄顔料0.5g、オキサイドエロー顔料1g、カーボンブラック顔料1gを配合してペブルミル分散機で分散して着色ペーストを製造した。
【0086】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算90g)、着色ペースト(固形分換算13.5g)の混合物に、該水分散性樹脂ワニスの樹脂のカルボキシル基に対して0.4当量のトリエチルアミンを配合した後、混合分散し、次いでこのものに、ニカラックMX−430(三和ケミカル株式会社製、商品名、メラミン樹脂)30g(固形分量)を配合し、混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を樹脂固形分10重量%になるように徐々に滴下し、次いでPHを7.0になるようにトリエチルアミンで調整してブラウン系着色艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0087】
得られたブラウン系着色有りアニオン電着塗料(固形分100g)に対してジノニルナフタレンスルホン酸0.10gを配合して実施例7の艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0088】
実施例8〜12
表1に示す配合割合で実施例8〜12の艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0089】
比較例2
表1に示す配合割合で比較例2の艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0090】
上記した夫々の実施例及び比較例で得られた艶消し又は艶有りのアニオン電着塗料を用いて、アルミニウム材(膜厚約10ミクロンの陽極酸化アルミニウム材にブラウン系に交流着色したもの)に膜厚約10ミクロンになるように電着塗装を行い、水洗後、170℃で30分間焼付けて夫々の実施例及び比較例の電着塗装アルミニウム材を得た。
【0091】
次いで、得られた夫々の実施例及び比較例の電着塗装アルミニウム材の表面にアレスセラフッソ オータムブラウン(ポリイソシアネート硬化型水酸基含有フッ素樹脂塗料にオルガノシリケート成分を配合してなるもの)を膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し、20℃で7日間乾燥硬化させた。
【0092】
得られた夫々の塗膜について、表1に記載の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
表1における塗膜試験方法及びその評価は次の通りである。
【0094】
塗膜平滑性:塗膜表面(ユズ肌、凹凸等)を目視で評価した。○は良好、△はやや不良、×は不良を示す。
【0095】
初期付着性:素地に達するように鋭利な刃物で塗膜に大きさ1×1mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、それを急激に剥離した後のゴバン目塗面を評価した。○は塗膜の剥離が全く認められないもの、△は塗膜の層間で剥離が少し認められたもの、×は層間剥離が多く認められたものをそれぞれ示す。
【0096】
耐酸性試験後の後外観及び付着性:20℃、5%硫酸水溶液に160時間浸積したのち塗面外観の異常の有無を調べた。◎は異常のないもの、○は若干フクレはみとめられるが実用上問題のないもの、△はフクレが認められ劣るもの、×はフクレが多く認められ著しく劣るもの。また、前記試験後の付着性を、初期付着性と同じ試験方法で試験し上記と同じ評価方法で評価した。
【0097】
耐アルカリ性試験後の外観及び付着性:20℃、1重量%水酸化ナトリウム水溶液に160時間浸漬したのち塗膜外観の異常の有無を調べた。◎は異常のないもの、○は若干フクレはみとめられるが実用上問題のないもの、△はフクレが認められ劣るもの、×はフクレが多く認められ著しく劣るもの。また、前記試験後の付着性を、初期付着性と同じ試験方法で試験し上記と同じ評価方法で評価した。
表1
【0098】
【表1】
【0099】
表1において、スルホン酸系化合物は下記の通りである。
スルホン酸系化合物a:ジノニルナフタレンスルホン酸、
スルホン酸系化合物b:イソプロピルナフタレンスルホン酸、
スルホン酸系化合物c:ドデシルベンゼンスルホン酸、
スルホン酸系化合物d:ジブチルベンゼンスルホン酸、
である。
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウムサッシなどのアルミニウム建材の表面に塗装された電着塗膜の塗替え方法及びその塗替えに適した電着塗料に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、アルミニウム建材には美化、意匠性、性能などの機能を付与させる目的として透明もしくは着色された電着塗膜が被覆されている。
【0003】
被覆された塗膜は、長期間経過と共に塗膜が劣化して、外観や性能が損なわれてくるために、塗膜が劣化する前に予防保全塗装や、塗膜の劣化後に補修塗装などの塗替え塗装による維持保全処理が、通常、行われている。
【0004】
この様な塗替え塗装として、アルミニウムサッシなどのアルミ建材の表面に塗装された電着塗膜に発生したキズなどを補修する方法が公知である(特許文献1参照)。
【0005】
この従来の方法は、アルミサッシの電着塗膜のスリキズ部分にアクリル樹脂系常温乾燥性補修用塗料を塗装して乾燥させる方法である。
【0006】
しかしながら該方法による補修用塗料は、スリキズ部の電着塗膜との相間付着性は、投描効果により優れるが、その他の平滑な電着塗膜に対する付着性は悪く、そのために補修用塗料を塗装する前に電着塗膜の研磨が行われているのが実情である。
【0007】
また、電着塗膜として、アルコキシシリル基を有するメラミン硬化アクリル樹脂系艶消しアニオン電着塗膜を使用した場合には、更に塗膜表面のシロキサン結合により補修塗膜の付着性が劣る。
【0008】
【特許文献1】
特開平13−149861号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来のアニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合した電着塗料と塗替え塗料塗料としてイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を採用することにより、付着性に優れた塗替え塗膜が形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、メラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合してなることを特徴とする上塗り付着性に優れたアニオン電着塗料並びにスルホン酸系化合物を含有してなるメラミン硬化アクリル樹脂系アニオン電着塗膜にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装することを特徴とする電着塗膜の塗替え方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のアニオン電着塗料は、メラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合してなる電着塗料である。
【0012】
本発明で使用するメラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料としては、例えば、陽極酸化処理が施されたアルミニウム建材にメラミン硬化アクリル樹脂系電着塗膜が形成される従来から公知の塗料が使用できる。
【0013】
使用できるアニオン電着塗料としては、具体的には、例えば、酸価15〜80KOHmg/g及び水酸基価30〜200KOHmg/gでアルコキシシリル基を側鎖に有する水分散性樹脂を塩基性化合物で中和してなるものが挙げられる。
【0014】
水分散性樹脂は、水酸基含有不飽和モノマ−、カルボキシル基含有不飽和モノマ−を必須モノマ−成分とし必要に応じてその他の不飽和モノマ−(艶消し塗膜を形成する場合にはアルコキシシリル基含有不飽和モノマ−を使用すれば良い。)と共重合したものが好適に使用される。
【0015】
これらのモノマ−成分としては、下記のものを挙げることができる。
【0016】
(1)水酸基含有不飽和モノマ−:例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、及びこれ以外にプラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)などの水酸基含有不飽和モノマ−類等
(2)カルボキシル基含有不飽和モノマ−:例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等
(3)その他の不飽和モノマ−:例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC1〜18のアルキル又はシクロアルキルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマ−類、(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、(メタ)アクリロニトリル化合物類等、
(4)アルコキシシリル基含有不飽和モノマ−:例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等
これらのモノマ−の配合割合は、総合計量換算で水酸基含有不飽和モノマ−が3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、カルボキシル基含有不飽和モノマ−が2〜30重量%、好ましくは4〜10重量%、及び必要に応じてその他の不飽和モノマ−0〜94.9重量%、好ましくは50〜90.5重量%、艶消しの場合にはアルコキシシリル基含有不飽和モノマ−が0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0017】
メラミン樹脂は水分散性樹脂の水酸基と反応して硬化塗膜を形成するものである。
【0018】
メラミン樹脂としては、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、オクチルアルコ−ル、2−エチルヘキシルアルコ−ル等の1種もしくは2種以上のアルコ−ルで変性されたものを使用することができる。また、水分散性樹脂と相溶性の異なるメラミン樹脂を使用することによって艶消し塗膜が形成される従来からのメラミン樹脂も使用することができる。
【0019】
水分散性樹脂とメラミン樹脂の配合割合は2者の総合計量換算で、次の通りである。
【0020】
水分散性樹脂が30〜90重量%、そしてメラミン樹脂が70〜10重量%、好ましくは水分散性樹脂が35〜80重量%、そしてメラミン樹脂が65〜20重量%である。水分散性樹脂が30重量%未満、そしてメラミン樹脂が70重量%を超えると、塗膜加工性、耐候性等が劣る。また、水分散性樹脂が90重量%を超え、そしてメラミン樹脂が10重量%未満になると、塗膜加工性、耐候性等が劣る。
【0021】
上記した水分散性樹脂及びメラミン樹脂は、両者の成分を混合した後、水分散性樹脂のカルボキシル基に対して0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜1.2当量の塩基性化合物で中和した後、混合分散し、次いでこのものに、脱イオン水を固形分60〜10重量%、好ましくは40〜10重量%になるように徐々に滴下し、次いでPHを7.0になるように中和剤で調整して従来から公知の電着塗料を得ることができる。
【0022】
上記中和剤としては、例えば、アンモニア;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン等が好適なものとして挙げることができる。
【0023】
本発明のアニオン電着塗料において、上記した従来から公知のメラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料に配合されるスルホン酸系化合物としては、下記のものが挙げられる。
一般式1
【0024】
【化1】
【0025】
(上記した式において、R1はC5〜C18のアルキル基を示す。)
一般式2
【0026】
【化2】
【0027】
(上記した式において、R2、R3は同一もしくは異なってC3〜C12のアルキル基を示す。)
一般式3
【0028】
【化3】
【0029】
(上記した式において、R1はC5〜C18のアルキル基を示す。)
一般式4
【0030】
【化4】
【0031】
(上記した式において、R2、R3は同一もしくは異なってC3〜C12のアルキル基を示す。)
一般式5
【0032】
【化5】
【0033】
(上記した式において、R2、R3は同一もしくは異なってC3〜C12のアルキル基を示す。)
上記したスルホン酸系化合物の具体例としては、例えば、n−ブチルベンゼンスルホン酸、n−アミルベンゼンスルホン酸、n−オクチルベンゼンスルホン酸、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、n−オクタデシルベンゼンスルホン酸、n−ジブチルベンゼンスルホン酸、iso−プロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。
【0034】
上記した中でも特に上塗り付着性に優れた効果を発揮するジノニルナフタレンスルホン酸を使用することが好ましい。
【0035】
スルホン酸系化合物の配合割合は、上記したメラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料の固形分100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.05〜1重量部の範囲である。配合割合が、0.01重量部未満になると上塗り塗料との付着性が低下し、一方、5重量部を超えると塗膜の耐候性の低下や塗膜が黄変したりするので好ましくない。
【0036】
スルホン酸系化合物の配合方法は、メラミン樹脂、アクリル樹脂を水分散する前もしくは分散後に配合することができる。また、配合するスルホン酸系化合物は未中和物もしくは上記中和剤で中和した中和物として配合することができる。
【0037】
本発明の電着塗料は、上記した以外にも必要に応じて着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、硬化触媒、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0038】
本発明の電着塗料を使用して硬化塗膜を形成する方法としては、例えば、 アルミニウム建材に被塗物を本発明のアニオン電着塗料を用いて既知の方法で膜厚が通常5〜30μmになるように電着塗装を行い、次いで、余分に付着した浴塗料を水洗して除去し、次いで140〜180℃程度の温度で約20〜40分間加熱する方法が一般的である。
【0039】
上記電着塗装されるアルミニウム建材としては、アルミニウム材を成型加工してなるものであり、例えば、サッシ、建具、ベランダ用基材、屋根材、雨戸、ドア、障子、戸袋、サンルーム用基材などが挙げられる。そして、これらのアルミニウム建材は、必要に応じて陽極酸化処理や着色処理を施したものを使用することができる。
【0040】
本発明の塗替え方法は、上記した本発明のアニオン電着塗料で形成された硬化塗膜表面にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装してなる。
【0041】
上記した硬化塗膜表面に塗替え塗装されるイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料としては、水酸基含有フッ素樹脂を基体樹脂とし、このものにポリイソシアネート化合物を硬化剤として配合した2液型常温硬化型有機溶剤塗料である。
【0042】
水酸基含有フッ素樹脂としては、例えば、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a)、フルオロオレフィン(b)及び必要に応じて他のラジカル重合性不飽和単量体(c)とを共重合反応させて得られるものが包含される。
上記水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a)としては、フルオロオレフィンとラジカル共重合可能なラジカル重合性不飽和二重結合及び水酸基を有するものであり、具体的には、例えばヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテルなどのヒドロキシアリルエーテルが好適に使用できる。
前記フルオロオレフィン(b)としては下記
一般式6
【0043】
【化6】
【0044】
(式中、R4は同一もしくは異なってH、F及びC1を示す。)
で表わされるものが使用できる。
【0045】
具体的には、例えばフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化塩化エチレン及び四フッ化エチレン等が挙げられる。中でも好ましくは耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜が得られることから四フッ化エチレン及び三フッ化塩化エチレンである。
他のラジカル重合性不飽和単量体(c)としては、前記フルオロオレフィンとラジカル共重合可能な不飽和二重結合を有するものであり、要求される塗膜性能に応じて、従来から公知の単量体から選択して使用できる。
【0046】
具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチレン−1等の如きα−オレフィン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の如きビニルエーテル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ピバリック酸ビニル、カプリル酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類;酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニルなどの脂肪酸イソプロペニルエステル類などが挙げられる。
【0047】
また、上記した以外にも水酸基含有フッ素樹脂として、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を一端に有し、他端にエチレン性二重結合を有する単量体(d)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(e)及びその他のラジカル重合性不飽和単量体(f)を共重合反応させて得られる重合体が使用できる。
【0048】
パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を一端に有し、他端にエチレン性二重結合を有する単量体(d)としては、好ましくはパーフルオロブチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロイソノニルエチルメタクリレート、パーフルオロデシルエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0049】
水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(e)としては、好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0050】
その他のラジカル重合性不飽和単量体(f)としては、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリルなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキル(C1〜18)エステル;アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族モノマー;アクリル酸又はメタクリル酸のアミド化合物及びその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0051】
上記水酸基フッ素樹脂は、数平均分子量約2,000〜100,000、好ましくは約5,000〜80,000の範囲を有することができる。分子量が約2,000を下回ると塗膜の耐久性、耐汚染性の保持性が低下し、一方、100,000を上回ると硬化剤との相溶性が低下し塗料貯蔵安定性が低下するので好ましくない。
【0052】
また、水酸基含有フッ素樹脂は、水酸基価約20〜200、好ましくは約50〜150の範囲を有することができる。水酸基価が約20を下回ると塗膜の耐久性、耐汚染性の保持性が低下し、一方、200を上回ると塗膜の耐久性、耐水性、耐汚染性が低下するので好ましくない。
【0053】
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、例えばヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族系等のものが挙げられる。
【0054】
また、水酸基含有フッ素樹脂とイソシアネート化合物の混合割合は、水酸基含有フッ素樹脂の水酸基に対しイソシアネート化合物のイソシアネート基を約0.6〜1.5当量、好ましくは約0.8〜1.2当量の範囲が良い。配合割合が約0.6当量を下回ると塗膜の耐候性、耐汚染性、耐候性、耐水性などが低下し、一方、約1.5当量を上回ると塗膜の耐汚染性、耐候性などが低下するので好ましくない。
【0055】
有機溶剤としては、例えば、上記硬化性樹脂組成物に対して実質的に不活性であり、かつ該硬化性樹脂組成物を溶解もしくは分散が可能なものを従来公知のものから適宜選択して使用できる。
【0056】
具体的には例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、ブタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素等が挙げられる。
【0057】
該有機溶剤の配合割合は硬化性樹脂組成物との総合計量換算で、約10〜95重量%、好ましくは約20〜90重量%の範囲が良い。
【0058】
本発明上塗り塗料において、上記した成分以外にオルガノシリケート成分を配合することが好ましい。
【0059】
該オルガノシリケートは、
下記一般式7
【0060】
【化7】
【0061】
(式中、Rは同一もしくは異なって水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
で表わされるもの及びその縮合物である。
【0062】
Rの炭素数が10を越えたオルガノシリケートを用いると、加水分解速度が遅くなり塗膜の耐汚染性、耐久性などが劣る。
該一般式において炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えばアルキル基、アリール基などが例示される。
【0063】
上記「アルキル基」は、直鎖状又は分枝状のいずれのタイプであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、n−オクチル基などが挙げられるが、中でも炭素数1〜3の低級アルキル基が好適である。また、「アリール基」は、単環及び多環のいずれのタイプのものであってもよく、例えばフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル基などが挙げられるが、中でもフェニル基が好適である。
【0064】
本発明で用いるオルガノシリケートの好ましい具体例としては、例えばテトラヒドロキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシランなどが挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組合わせたものも使用できる。
【0065】
また、オルガノシリケートの縮合物としては、前記一般式で表わされるオルガノシリケート同士の分枝状もしくは直鎖状の縮合物であって、縮合度が2〜100のものが好ましく、具体的には式:(式中、Rは前記と同様の意味を示し、nは2〜100の整数を示す。)で表わされる縮合物が好ましい。
【0066】
上記一般式において、nが100を越えると耐汚染性の効果が小さくなるので好ましくない。
【0067】
本発明で用いるオルガノシリケートとしては、好ましくは一般式のRが炭素数1〜3の低級アルキル基のもの及びその縮合物としてはRが炭素数1〜3の低級アルキル基であって縮合度が2〜10のものが特に好ましい。
【0068】
オルガノシリケート及びその縮合物の配合割合は、前記塗料組成物の樹脂固形分100重量部当たり、約0.1〜50重量部、好ましくは約0.1〜40重量部の範囲が良い。オルガノシリケート及びその縮合物の配合割合が約1重量部を下回ると塗膜の耐汚染性が劣り、一方、約50重量部を上回ると塗膜が堅くなりワレ、光沢低下などの欠陥を生じる恐れがあるので好ましくない。
【0069】
本発明上塗り塗料は、上記した以外にも必要に応じて着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、硬化触媒、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0070】
本発明の上塗り塗料は、艶有り、5分艶、3分艶、艶消しなど光沢度を艶有りから艶消しまで必要に応じて変化させたものを適宜使用することができる。
【0071】
本発明塗り塗料の塗装は、上記上塗り塗料を電着塗装されたアルミニウム建材表面に塗布し、次いで室温により硬化塗膜を形成することができる。上記したオルガノシリケートを配合してなる上塗り塗膜は屋外などに晒された際に酸性雨などの酸成分によって塗膜表面は水に対する接触角が徐々に低下することによって塗膜表面の汚れを防止することができるといった優れた効果を発揮する。
【0072】
上塗り塗料の塗装方法は、例えば刷毛塗り、吹付け塗り、ローラー塗り、浸漬塗り、静電粉体塗装などの手段で基材表面に塗布することができる。塗布量は塗料種、塗装手段などによって異なるが、一般には約1〜500μm、好ましくは約10〜100μmの範囲で十分と考える。塗膜の乾燥は上塗り塗料組成物のタイプに応じて条件を選択することができる。例えば水酸基含有樹脂を基体樹脂としポリイソシアネート化合物を架橋剤として含有する上塗り塗料組成物は室温で8時間程度で十分と考える。
【0073】
【発明の効果】
本発明は上記した構成を有することから次のような効果を発揮するものと推察される。
【0074】
従来からのメラミン硬化型アクリル樹脂電着塗料は、その塗装膜を焼付けtが場合に、また塗膜が屋外暴露に晒された場合にメラミン樹脂のアミノ基とアクリル樹脂の水酸基との反応が、塗膜内部よりも塗膜表面の方がより早く硬化が進行するため、塗膜表面硬度が過剰に高くなり、その結果として上塗り塗膜との付着性が悪くなると考えられる。
【0075】
従来のメラミン硬化型アクリル樹脂電着塗料にスルホン酸系化合物を配合した塗膜では、スルホン酸系化合物がアミノ基と水酸基との反応を更に促進するために更に上塗り付着性が低下すると思われるが、逆に付着性が向上するといった予想外の効果を発揮するものであった。
【0076】
その効果を発揮する理由について、明白ではないが、
▲1▼ スルホン酸系化合物がアミノ基と水酸基との反応や、アルコキシシラン基同士や水酸基との反応を促進するために塗膜表面と内部との硬化性(架橋密度)が均一になったこと(塗膜表面の過剰な硬化反応が進行しないので、暴露中での塗膜表面の硬度が異常に高くならない)、
▲2▼ 上塗り塗料で使用するイソシアネート基は極性が高いこと、電着塗膜表面に残存する活性水素(水酸基、カルボキシル基など)との間で化学的2次結合を生じること、
▲3▼ 電着塗膜表面に存在するスルホン酸系化合物は、上塗り塗料で使用するイソシアネート基の反応性(硬化速度、硬化性など)に影響しないので、電着塗膜と上塗り塗膜の界面との付着性に悪影響しないこと、
▲4▼ 上塗り塗膜はイソシアネート基及び水酸基との反応によりウレタン結合が形成され、柔軟で強靭な塗膜が形成されるので、外的な力に対する抵抗力が高いこと
などによるものと推察される。
【0077】
【実施例】
以下に本発明に関する実施例及び比較例について説明をする。
【0078】
実施例1
ブラウン系着色艶消しアニオン電着塗料の製造例
反応容器中にイソプロピルアルコ−ルを275gを仕込み80℃に保持した中へスチレン75g、メチルメタクリレ−ト155g、n−ブチルアクリレ−ト95g、エチルアクリレ−ト50g、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト75g、アクリル酸35g、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン15g及びアゾビスジメチルバレロニトリル1gの混合物を3時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル3gを添加し、80℃で3時間保持して反応を行って、固形分65重量%の水分散性樹脂ワニスを製造した。該樹脂は、重量平均分子量約3万、酸価53KOHmg/g、水酸基価72KOHmg/gであった。
【0079】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算で10g)にルチル型二酸化チタン1g、弁柄顔料0.5g、オキサイドエロー顔料1g、カーボンブラック顔料1gを配合してペブルミル分散機で分散して着色ペーストを製造した。
【0080】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算90g)、着色ペースト(固形分換算13.5g)の混合物に、該水分散性樹脂ワニスの樹脂のカルボキシル基に対して0.4当量のトリエチルアミンを配合した後、混合分散し、次いでこのものに、ニカラックMX−430(三和ケミカル株式会社製、商品名、メラミン樹脂)30g(固形分量)を配合し、混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を樹脂固形分10重量%になるように徐々に滴下し、次いでPHを7.0になるようにトリエチルアミンで調整してブラウン系着色艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0081】
得られたブラウン系着色艶消しアニオン電着塗料(固形分100g)に対してジノニルナフタレンスルホン酸0.10gを配合して実施例1の艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0082】
実施例2〜6
表1に示す配合割合で実施例2〜6の艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0083】
比較例1
表1に示す配合割合で比較例1の艶消しアニオン電着塗料を製造した。
【0084】
実施例7
ブラウン系着色艶有りアニオン電着塗料の製造例
反応容器中にイソプロピルアルコ−ルを275gを仕込み80℃に保持した中へスチレン75g、メチルメタクリレ−ト170g、n−ブチルアクリレ−ト95g、エチルアクリレ−ト50g、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト75g、アクリル酸35g及びアゾビスジメチルバレロニトリル1gの混合物を3時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル3gを添加し、80℃で3時間保持して反応を行って、固形分65重量%の水分散性樹脂ワニスを製造した。該樹脂は、重量平均分子量約3万、酸価53KOHmg/g、水酸基価72KOHmg/gであった。
【0085】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算で10g)にルチル型二酸化チタン1g、弁柄顔料0.5g、オキサイドエロー顔料1g、カーボンブラック顔料1gを配合してペブルミル分散機で分散して着色ペーストを製造した。
【0086】
上記水分散性樹脂ワニス(固形分換算90g)、着色ペースト(固形分換算13.5g)の混合物に、該水分散性樹脂ワニスの樹脂のカルボキシル基に対して0.4当量のトリエチルアミンを配合した後、混合分散し、次いでこのものに、ニカラックMX−430(三和ケミカル株式会社製、商品名、メラミン樹脂)30g(固形分量)を配合し、混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を樹脂固形分10重量%になるように徐々に滴下し、次いでPHを7.0になるようにトリエチルアミンで調整してブラウン系着色艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0087】
得られたブラウン系着色有りアニオン電着塗料(固形分100g)に対してジノニルナフタレンスルホン酸0.10gを配合して実施例7の艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0088】
実施例8〜12
表1に示す配合割合で実施例8〜12の艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0089】
比較例2
表1に示す配合割合で比較例2の艶有りアニオン電着塗料を製造した。
【0090】
上記した夫々の実施例及び比較例で得られた艶消し又は艶有りのアニオン電着塗料を用いて、アルミニウム材(膜厚約10ミクロンの陽極酸化アルミニウム材にブラウン系に交流着色したもの)に膜厚約10ミクロンになるように電着塗装を行い、水洗後、170℃で30分間焼付けて夫々の実施例及び比較例の電着塗装アルミニウム材を得た。
【0091】
次いで、得られた夫々の実施例及び比較例の電着塗装アルミニウム材の表面にアレスセラフッソ オータムブラウン(ポリイソシアネート硬化型水酸基含有フッ素樹脂塗料にオルガノシリケート成分を配合してなるもの)を膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し、20℃で7日間乾燥硬化させた。
【0092】
得られた夫々の塗膜について、表1に記載の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
表1における塗膜試験方法及びその評価は次の通りである。
【0094】
塗膜平滑性:塗膜表面(ユズ肌、凹凸等)を目視で評価した。○は良好、△はやや不良、×は不良を示す。
【0095】
初期付着性:素地に達するように鋭利な刃物で塗膜に大きさ1×1mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、それを急激に剥離した後のゴバン目塗面を評価した。○は塗膜の剥離が全く認められないもの、△は塗膜の層間で剥離が少し認められたもの、×は層間剥離が多く認められたものをそれぞれ示す。
【0096】
耐酸性試験後の後外観及び付着性:20℃、5%硫酸水溶液に160時間浸積したのち塗面外観の異常の有無を調べた。◎は異常のないもの、○は若干フクレはみとめられるが実用上問題のないもの、△はフクレが認められ劣るもの、×はフクレが多く認められ著しく劣るもの。また、前記試験後の付着性を、初期付着性と同じ試験方法で試験し上記と同じ評価方法で評価した。
【0097】
耐アルカリ性試験後の外観及び付着性:20℃、1重量%水酸化ナトリウム水溶液に160時間浸漬したのち塗膜外観の異常の有無を調べた。◎は異常のないもの、○は若干フクレはみとめられるが実用上問題のないもの、△はフクレが認められ劣るもの、×はフクレが多く認められ著しく劣るもの。また、前記試験後の付着性を、初期付着性と同じ試験方法で試験し上記と同じ評価方法で評価した。
表1
【0098】
【表1】
【0099】
表1において、スルホン酸系化合物は下記の通りである。
スルホン酸系化合物a:ジノニルナフタレンスルホン酸、
スルホン酸系化合物b:イソプロピルナフタレンスルホン酸、
スルホン酸系化合物c:ドデシルベンゼンスルホン酸、
スルホン酸系化合物d:ジブチルベンゼンスルホン酸、
である。
Claims (2)
- メラミン硬化型アクリル樹脂系アニオン電着塗料にスルホン酸系化合物を配合してなることを特徴とする上塗り付着性に優れたアニオン電着塗料。
- スルホン酸系化合物を含有してなるメラミン硬化アクリル樹脂系アニオン電着塗膜にイソシアネート硬化型フッ素樹脂系有機溶剤塗料を塗装することを特徴とする電着塗膜の塗替え方法。
Priority Applications (1)
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JP2002320630A JP2004155836A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | アニオン型電着塗料及び塗替え方法 |
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ID=32801418
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3248779A4 (en) * | 2015-01-20 | 2018-08-08 | Guangdong JMA Aluminium Profile Factory (Group) Co., Ltd. | Aluminum alloy section and manufacturing method therefor |
-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002320630A patent/JP2004155836A/ja active Pending
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EP3248779A4 (en) * | 2015-01-20 | 2018-08-08 | Guangdong JMA Aluminium Profile Factory (Group) Co., Ltd. | Aluminum alloy section and manufacturing method therefor |
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