JP2004155582A - 免震建物用エレベーターの乗場装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】常時において床面、壁面、天井面に隙間のない乗降通路7が形成されて、美観を呈する乗降通路7を実現する。
そして、地震時等において固定側上側閉塞板32、固定側下側閉塞板39、昇降路上側閉塞板46、昇降路下側閉塞板49が、それぞれの対向部材との間において低摩擦性能を有する部材からなる案内体38,45,48,51を介して摺動変位する。したがって、基部建築体2及び免震建築体4の相対変位時に閉塞板と案内体の双方が円滑に摺動変位するので、摺動変位によって上記双方に変形が発生したり、不快な軋み音を発生したりする不具合を解消する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基部建築体に免震装置を介して免震建築体が支持され、また基部建築体及び免震建築体に昇降路が形成されて、この昇降路及び基部建築体の間に乗降通路が設けられた免震建物用エレベーターの乗場装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の免震建物用エレベーターの乗場装置において、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体と、免震建築体に形成されて基部建築体に嵌合状態に配置された昇降路とが設けられて、基部建築体と昇降路との間に乗降通路が配置される。すなわち、昇降路に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口が配置され、また基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置されて乗降通路の他側を形成する基部出入口が装備される。
【0003】
そして、基部出入口に基部板の一側を保持して昇降路出入口方向へ突設し、また昇降路出入口に昇降路板の一側を保持して基部出入口方向へ突設する。さらに、中間板の一側を基部板の他側に係合し中間板の他側は昇降路板の他側に係合し、基部板と昇降路板の両者間の空所を塞ぎ、上記両者と中間板により乗降通路の床面を形成する。
【0004】
これによって、地震時、強風時の基部建築体と昇降路の双方の相互間距離等の変化に対応する。このような構成によって、地震時等であって上記双方が水平方向に相対変位した場合に、乗降通路が変位したり伸縮するように構成している。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−171429号公報(要約、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の免震建物用エレベーターの乗場装置では地震時等であって基部建築体と昇降路とに相対変位が発生した場合に、基部建築体の基部出入口に対して昇降路が、基部出入口の上縁部に対する間隔と基部出入口の下縁部に対する間隔との間に差異が生じる方向に傾斜する変位、すなわち基部出入口に対して昇降路に出入口の出入方向に沿う方向の倒れ傾斜が発生する。
【0007】
このように基部出入口に対して出入方向に昇降路の倒れ傾斜が発生したときに、基部板、昇降路板及び中間板により構成された従来の乗降通路では、昇降路の倒れ傾斜に基づく基部出入口と昇降路出入口の相対変位に対する対応が不十分である。すなわち、基部板、昇降路板及び中間板それぞれの幅方向の一側が上下する方向に傾斜する。このため、相互間の摺動変位が不円滑になって部材が変形したり、不快な軋み音を発生したりするという問題点があった。
【0008】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、基部建築体の基部出入口に対して出入方向に昇降路の倒れ傾斜が発生することに伴う、基部出入口及び昇降路出入口の相対変位に乗降通路が異常なく対応する免震建物用エレベーターの乗場装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る免震建物用エレベーターの乗場装置においては、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、基部建築体及び免震建築体に縦通して設けられたエレベーターの昇降路、この昇降路に設けられて基部建築体の上部及び免震建築体の下部の間にわたって配置され、昇降路に立設された案内レールに支持された可動昇降路枠と、この可動昇降路枠に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口と、少なくとも基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置されて乗降通路の他側を形成する固定側出入口と、この固定側出入口の下縁部に配置されて昇降路出入口に向かって突設された固定側床板と、固定側出入口の上縁部に配置されて昇降路出入口に向かって突設された固定側天井板と、固定側出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は昇降路出入口寄りに配置され、上端が固定側天井板に空隙を形成して配置され下端は固定側床板に空隙を形成して配置された固定側壁板と、昇降路出入口の下縁部に一側が水平軸線を介して枢着され、他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側床板の上面に重合し、先端部に先端が下方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路床板と、昇降路出入口の上縁部に一側が水平軸線を介して枢着され、他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側天井板の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路天井板と、昇降路出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側壁板に重合し相互の対向面に沿う方向に相対変位可能に係合され、上端が昇降路天井板に空隙を形成して配置され下端は昇降路床板に空隙を形成して配置された昇降路壁板と、固定側壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、固定側壁板の上縁部と固定側天井板の間の空隙を塞ぎ、昇降路天井板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり固定側上側閉塞板に設けられて固定側上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて固定側天井板、昇降路天井板及び昇降路天井板の傾斜面に接して装備された固定側上側案内体と、固定側壁板の下縁部に重合して配置されて下方に付勢され、固定側壁板の下縁部と固定側床板の間の空隙を塞ぎ、昇降路床板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側下側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり固定側下側閉塞板に設けられて固定側下側閉塞板の下端よりも突出して配置されて固定側床板、昇降路床板及び昇降路床板の傾斜面に接して装備された固定側下側案内体と、昇降路壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、昇降路壁板の上縁部と昇降路天井板の間の空隙を塞ぐ昇降路上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり昇降路上側閉塞板に設けられて昇降路上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて昇降路天井板面に接して装備された昇降路上側案内体と、昇降路壁板の下縁部に重合して配置されて下方に付勢され、昇降路壁板の下縁部と昇降路床板の間の空隙を塞ぎ、昇降路床板の傾斜面に対応した対向斜面を有する昇降路下側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり昇降路下側閉塞板に設けられて昇降路下側閉塞板の下端よりも突出して配置されて昇降路床板及び昇降路床板の傾斜面に接して装備された昇降路下側案内体とが設けられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図8は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1は免震建物用エレベーターを概念的に示す縦断面図、図2は図1の免震建物用エレベーターの地震時の状況を説明する図、図3は図1における乗場装置を拡大して示す縦断側面図、図4は図3の要部横断平面図、図5は図3の乗場装置における外面を示す側面図、図6は図5における閉塞板箇所の縦断側面図、図7は地震時の状況を説明する図3相当図、図8は地震時の状況を説明する図5相当図である。
【0011】
図において、大地1に基部建築体2が建設され、基部建築体2の上の免震装置3により免震建築体4が支持される。そして、基部建築体2及び免震建築体4に縦通した昇降路5が設けられて、昇降路5における基部建築体2の上部から免震建築体4の下部の間にわたって複数の可動昇降路枠6が互いに離れて配置される。また、基部建築体2と可動昇降路枠6の間に乗降通路7が設けられる。
【0012】
そして、昇降路5に立設されて可動昇降路枠6に連結されたかご用案内レール8に昇降路5を昇降するかご9が案内され、また昇降路5に立設されて可動昇降路枠6に連結されたつり合おもり用案内レール10に昇降路5を昇降するつり合おもり11が案内される。
【0013】
また、免震建築体4の上部に機械室12が設けられて巻上機13が設置され、それの駆動綱車に主索14が巻掛けられて一端にかご9が他端につり合おもり11が吊持される。そして、昇降路5の底面にかご9、つり合おもり11のそれぞれに対向して緩衝器15が立設される。
【0014】
また、互いに隣接した可動昇降路枠6の相互間に設けられて乗降通路7の一側を形成する昇降路出入口16が装備され、昇降路出入口16を開閉する乗場の戸17、昇降路出入口16の下縁部に乗場の戸17の下端を案内する敷居18が設けられる。そして、昇降路出入口16に対向した基部建築体2及び免震建築体4に設けられて、乗降通路7の他側を形成する固定側出入口19が設けられる。
【0015】
そして、固定側出入口19の下縁部に配置されて昇降路出入口16に向かって突設された固定側床板20が設けられ、また固定側出入口19の上縁部に配置されて昇降路出入口16に向かって突設された固定側天井板21が設けられる。また、固定側出入口19の側縁部に一側が鉛直軸線22を介して枢着され他側は昇降路出入口16寄りに配置され、上端が固定側天井板21に空隙を形成して配置され下端は固定側床板20に空隙を形成して配置された固定側壁板23が設けられる。
【0016】
そして、昇降路出入口16の下縁部に昇降路床板24が配置されて、一側が水平軸線25を介して枢着され、他側は固定側出入口19寄りに配置されて固定側床板20の上面に重合し、先端部に先端が下方に傾斜した傾斜面26が形成される。また、昇降路出入口16の上縁部に昇降路天井板27が配置されて、一側が水平軸線28を介して枢着され、他側は固定側出入口19寄りに配置されて固定側天井板21の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面29が形成される。
【0017】
また、昇降路出入口16の側縁部に昇降路壁板30が配置されて一側が鉛直軸線31を介して枢着され他側は固定側出入口19寄りに配置され、上端が昇降路天井板27に空隙を形成して配置され、下端は昇降路床板24に空隙を形成して配置される。そして、固定側壁板23の上縁部に重合して固定側上側閉塞板32が配置され、固定側壁板23の上縁部と固定側天井板21の間の空隙を塞ぎ、また昇降路天井板27の傾斜面29に対応した対向斜面33が設けられている。
【0018】
また、固定側上側閉塞板32の裏面に次に述べる上向き付勢装置34が設けられる。すなわち、上向き付勢装置34は固定側上側閉塞板32の屈折部に一端が固定されて下方に延在し他端は固定側壁板23の裏面に固定された保持金具35に空隙を形成して挿通された案内棒36及び案内棒36に嵌合されて固定側上側閉塞板32の屈折部と保持金具35の間に配置されて固定側上側閉塞板32を上方に付勢する圧縮コイルばねからなる付勢体37によって構成される。
【0019】
そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる固定側上側案内体38が固定側上側閉塞板32に設けられて、固定側上側閉塞板32の上端よりも突出して配置されて固定側天井板21、昇降路天井板27及び昇降路天井板27の傾斜面29に接して装備される。
【0020】
また、固定側壁板23の下縁部に重合して固定側下側閉塞板39が配置されて固定側壁板23の下縁部と固定側床板20の間の空隙を塞ぎ、また昇降路床板24の傾斜面26に対応した対向斜面40が設けられている。
【0021】
また、固定側下側閉塞板39の裏面に次に述べる下向き付勢装置41が設けられる。すなわち、下向き付勢装置41は固定側下側閉塞板39の屈折部に一端が固定されて上方に延在し他端は固定側壁板23の裏面に固定された保持金具42に空隙を形成して挿通された案内棒43及び案内棒43に嵌合されて固定側下側閉塞板39の屈折部と保持金具42の間に配置されて固定側下側閉塞板39を下方に付勢する圧縮コイルばねからなる付勢体44によって構成される。
【0022】
そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる固定側下側案内体45が固定側下側閉塞板39に設けられて、固定側下側閉塞板39の下端よりも突出して配置されて固定側床板20、昇降路床板24及び昇降路床板24の傾斜面26に接して装備される。また、昇降路壁板30の上縁部に重合して昇降路上側閉塞板46が配置されて昇降路壁板30の上縁部と昇降路天井板27の間の空隙を塞ぐ。
【0023】
また、昇降路上側閉塞板46の裏面には前述の上向き付勢装置34と同様に構成された上向き付勢装置47が設けられて昇降路上側閉塞板46を上方に付勢する。そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる昇降路上側案内体48が昇降路上側閉塞板46に設けられて、昇降路上側閉塞板46の上端よりも突出して配置されて昇降路天井板27に接して装備される。
【0024】
また、昇降路壁板30の下縁部に重合して昇降路下側閉塞板49が配置されて昇降路壁板30の下縁部と昇降路床板24の間の空隙を塞ぐ。また、昇降路下側閉塞板49の裏面には前述の下向き付勢装置41と同様に構成された下向き付勢装置50が設けられて昇降路下側閉塞板49を下方に付勢する。
【0025】
そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる昇降路下側案内体51が昇降路下側閉塞板49に設けられて昇降路下側閉塞板49の下端よりも突出して配置されて昇降路床板24及び昇降路床板24の傾斜面26に接して装備される。また、固定側壁板23及び昇降路壁板30の両者の裏面に上記両者を相互に変位可能に係合する係合機構52が設けられる。
【0026】
すなわち、係合機構52は固定側壁板23の裏面に、この裏面に沿う方向に凹設された第一係合溝53及び第一係合溝53を形成した部材の相互間に形成されて上下に離れて構成された第二係合溝54を有する係合体55が設けられる。また、昇降路壁板30の裏面に係合体55の第一係合溝53に対して乗降通路7の間口方向に少ない空隙を形成して嵌合された第一係合板56及び係合体55の第二係合溝54に対して上下方向に広い空隙を形成して嵌合された第二係合板57を有する係合腕58が設けられる。
【0027】
上記のように構成された免震建物用エレベーターの乗場装置において、常時、すなわち免震装置3に水平方向の変形がない状態では図1に示すようにかご用案内レール8、つり合おもり用案内レール10が鉛直に配置され、また複数の可動昇降路枠6は上下方向に互いに離れて鉛直線上に配置される。そして、図1に示す状態によりかご9、つり合おもり11が昇降運転される。
【0028】
また、常時において昇降路出入口16、固定側出入口19は相互に所定の間隔に配置され、かつそれぞれ鉛直姿勢に配置される。そして、固定側床板20の上に昇降路床板24が重合して配置され、また固定側天井板21の下に昇降路天井板27が重合して配置される。また、固定側壁板23の乗降通路7内面に昇降路壁板30が重合して配置され、係合機構52によって固定側壁板23と昇降路壁板30が相互に係合されて乗降通路7の間口方向には相互変位が拘束されると共に、固定側壁板23面に沿う方向には移動可能に係合される。
【0029】
また、固定側壁板23の上縁部に固定側上側閉塞板32が配置されて上向き付勢装置34により付勢され、固定側上側案内体38が固定側天井板21、昇降路天井板27及び昇降路天井板27の傾斜面29に接して配置される。そして、固定側壁板23の下縁部に固定側下側閉塞板39が配置されて下向き付勢装置41により付勢され、固定側下側案内体45が固定側床板20、昇降路床板24及び昇降路床板24の傾斜面26に接して配置される。
【0030】
また、昇降路壁板30の上縁部に昇降路上側閉塞板46が配置されて上向き付勢装置47により付勢され、昇降路上側案内体48が昇降路天井板27に接して配置される。そして、昇降路壁板30の下縁部に昇降路下側閉塞板49が配置されて下向き付勢装置50により付勢され、昇降路下側案内体51が昇降路床板24及び昇降路床板24の傾斜面26に接して配置される。
【0031】
以上説明した構成によって、図3〜図5に示すように常時において床面、壁面、天井面において隙間のない乗降通路7が形成されて、美観を呈する乗降通路7を実現することができる。そして、地震時、強風時に基部建築体2及び免震建築体4が相対変位して免震装置3に水平方向の変形が発生した場合に、図2に示すように可動昇降路枠6の配置位置においてかご用案内レール8、つり合おもり用案内レール10に弾性変形による撓みが生じる。
【0032】
そして、かご用案内レール8等が撓んだときに、可動昇降路枠6によってかご用案内レール8、つり合おもり用案内レール10の水平面における相互位置が所定位置に保持される。
この状態において、基部建築体2の固定側出入口19に対して、図2に示すように複数の可動昇降路枠6が乗降通路7の通行方向に倒れる変位が発生した場合に、昇降路出入口16の上縁部が固定側出入口19の上縁部に接近して図7及び図8に示す状態となる。
【0033】
すなわち、固定側天井板21に対して昇降路天井板27が摺動し、傾斜面29によって固定側上側閉塞板32における対向斜面33の固定側上側案内体38対応位置が押し下げられる。また、昇降路天井板27の上下方向変位によって昇降路上側閉塞板46が昇降路上側案内体48を介して押し下げられる。
【0034】
また、固定側床板20に対して昇降路床板24が接近する変位が発生した場合には、昇降路床板24の傾斜面26によって固定側下側閉塞板39における対向斜面40の固定側下側案内体45対応位置が押し上げられる。また、昇降路床板24の上下方向変位によって昇降路下側閉塞板49が下向き付勢装置50によって付勢されているので、昇降路下側案内体51が昇降路床板24の変位に追随して変位する。
【0035】
そして、昇降路天井板27と固定側上側閉塞板32の両者は低摩擦性能を有する部材からなる固定側上側案内体38を介して摺動変位する。このため、可動昇降路枠6に乗降通路7の通行方向に倒れる傾斜が発生した場合に、上記両者が円滑に摺動変位する。また、上記両者が固定側上側案内体38を介して摺動変位するので、摺動部位に擦り傷、塗装の剥がれ等の損傷が生じることがなく部材の美観を維持することができる。
【0036】
したがって、地震等による昇降路出入口16と固定側出入口19の相対変位に対して乗降通路7の構成部材が異常なく相対変位して対応し、上記両者に変形が発生したり、不快な軋み音を発生したりする不具合を解消することができる。なお、固定側下側閉塞板39、昇降路上側閉塞板46、昇降路下側閉塞板49と、それらの対向部材との間についても、摺動変位時の損傷、変形、不快な軋み音の発生を防ぐことができる。
【0037】
なお、固定側上側案内体38、固定側下側案内体45、昇降路上側案内体48、昇降路下側案内体51のそれぞれの案内体を次に述べるように容易に構成することができる。すなわち、固定側上側閉塞板32等の閉塞板における昇降路天井板27等の対向部材との対向面にキャスターローラーを設け、このキャスターローラーの複数個を対向面の長手に沿って互いに離れて配置して案内体を構成する。このような構成によっても、図1〜図8の実施の形態における作用を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、基部建築体及び免震建築体に縦通して設けられたエレベーターの昇降路、この昇降路に設けられて基部建築体の上部及び免震建築体の下部の間にわたって配置され昇降路に立設された案内レールに支持された可動昇降路枠と、この可動昇降路枠に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口と、少なくとも基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置されて乗降通路の他側を形成する固定側出入口と、この固定側出入口の下縁部に配置されて昇降路出入口に向かって突設された固定側床板と、固定側出入口の上縁部に配置されて昇降路出入口に向かって突設された固定側天井板と、固定側出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は昇降路出入口寄りに配置され、上端が固定側天井板に空隙を形成して配置され下端は固定側床板に空隙を形成して配置された固定側壁板と、昇降路出入口の下縁部に一側が水平軸線を介して枢着され、他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側床板の上面に重合し、先端部に先端が下方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路床板と、昇降路出入口の上縁部に一側が水平軸線を介して枢着され、他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側天井板の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路天井板と、昇降路出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側壁板に重合して相互の対向面に沿う方向に相対変位可能に係合され、上端が昇降路天井板に空隙を形成して配置され下端は昇降路床板に空隙を形成して配置された昇降路壁板と、固定側壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、固定側壁板の上縁部と固定側天井板の間の空隙を塞ぎ、昇降路天井板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり固定側上側閉塞板に設けられて固定側上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて固定側天井板、昇降路天井板及び昇降路天井板の傾斜面に接して装備された固定側上側案内体と、固定側壁板の下縁部に重合して配置されて下方に付勢され、固定側壁板の下縁部と固定側床板の間の空隙を塞ぎ、昇降路床板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側下側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり固定側下側閉塞板に設けられて固定側下側閉塞板の下端よりも突出して配置されて固定側床板、昇降路床板及び昇降路床板の傾斜面に接して装備された固定側下側案内体と、昇降路壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、昇降路壁板の上縁部と昇降路天井板の間の空隙を塞ぐ昇降路上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり昇降路上側閉塞板に設けられて昇降路上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて昇降路天井板面に接して装備された昇降路上側案内体と、昇降路壁板の下縁部に重合して配置されて下方に付勢され、昇降路壁板の下縁部と昇降路床板の間の空隙を塞ぎ、昇降路床板の傾斜面に対応した対向斜面を有する昇降路下側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり昇降路下側閉塞板に設けられ昇降路下側閉塞板の下端よりも突出して配置されて昇降路床板及び昇降路床板の傾斜面に接して装備された昇降路下側案内体とを設けたものである。
【0039】
これによって、固定側床板、固定側天井板、固定側壁板、昇降路床板、昇降路側天井板、昇降路側壁板、固定側壁板の上下に設けられた閉塞板及び昇降路側壁板の上下に設けられた閉塞板によって形成され、固定側出入口と昇降路出入口の間に形成されて常時において隙間のない内床面、壁面、天井面を有する美観を呈する乗降通路を実現することができる。また、地震時等に基部建築体及び免震建築体が相対変位した場合に、可動昇降路枠が乗降通路の通行方向に倒れる傾斜が発生した場合に、固定側天井板に対して昇降路天井板が摺動し、昇降路天井板の傾斜面によって固定側上側閉塞板における対向斜面の固定側上側案内体対応位置が押し下げられる。そして、固定側上側閉塞板、固定側下側閉塞板、昇降路上側閉塞板、昇降路下側閉塞板が、それぞれの対向部材との間において低摩擦性能を有する部材からなる案内体を介して摺動変位する。したがって、基部建築体及び免震建築体の相対変位時に閉塞板と案内体の両者が円滑に摺動変位するので、摺動変位によって上記両者に変形が発生したり、不快な軋み音を発生したりする不具合を解消する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、免震建物用エレベーターを概念的に示す縦断面図。
【図2】図1の免震建物用エレベーターの地震時の状況を説明する図。
【図3】図1における乗場装置を拡大して示す縦断側面図。
【図4】図3の要部横断平面図。
【図5】図3の乗場装置における外面を示す側面図。
【図6】図5における閉塞板箇所の縦断側面図。
【図7】地震時の状況を説明する図3相当図。
【図8】地震時の状況を説明する図5相当図。
【符号の説明】
2 基部建築体、3 免震装置、4 免震建築体、5 昇降路、6 可動昇降路枠、7 乗降通路、8 かご用案内レール、10 つり合おもり用案内レール、16 昇降路出入口、19 固定側出入口、20 固定側床板、21 固定側天井板、22 鉛直軸線、23 固定側壁板、24 昇降路床板、25 水平軸線、26 傾斜面、27 昇降路天井板、28 水平軸線、29 傾斜面、30昇降路壁板、31 鉛直軸線、32 固定側上側閉塞板、33 対向斜面、38 固定側上側案内体、39 固定側下側閉塞板、40 対向斜面、45 固定側下側案内体、46 昇降路上側閉塞板、48 昇降路上側案内体、49 昇降路下側閉塞板、51 昇降路下側案内体。
Claims (1)
- 基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、上記基部建築体及び免震建築体に縦通して設けられたエレベーターの昇降路、この昇降路に設けられて上記基部建築体の上部及び免震建築体の下部の間にわたって配置され上記昇降路に立設された案内レールに支持された可動昇降路枠と、この可動昇降路枠に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口と、少なくとも上記基部建築体に設けられて上記昇降路出入口に対向して配置されて上記乗降通路の他側を形成する固定側出入口と、この固定側出入口の下縁部に配置されて上記昇降路出入口に向かって突設された固定側床板と、上記固定側出入口の上縁部に配置され上記昇降路出入口に向かって突設された固定側天井板と、上記固定側出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は上記昇降路出入口寄りに配置され、上端が上記固定側天井板に空隙を形成して配置され下端は上記固定側床板に空隙を形成して配置された固定側壁板と、上記昇降路出入口の下縁部に一側が水平軸線を介して枢着され、他側は上記固定側出入口寄りに配置されて上記固定側床板の上面に重合し、先端部に先端が下方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路床板と、上記昇降路出入口の上縁部に一側が水平軸線を介して枢着され、他側は上記固定側出入口寄りに配置されて上記固定側天井板の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路天井板と、上記昇降路出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は上記固定側出入口寄りに配置されて上記固定側壁板に重合して相互の対向面に沿う方向に相対変位可能に係合され、上端が上記昇降路天井板に空隙を形成して配置され下端は上記昇降路床板に空隙を形成して配置された昇降路壁板と、上記固定側壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、上記固定側壁板の上縁部と上記固定側天井板の間の空隙を塞ぎ、上記昇降路天井板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり上記固定側上側閉塞板に設けられて上記固定側上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて上記固定側天井板、昇降路天井板及び昇降路天井板の傾斜面に接して装備された固定側上側案内体と、上記固定側壁板の下縁部に重合して配置されて下方に付勢され、上記固定側壁板の下縁部と上記固定側床板の間の空隙を塞ぎ、上記昇降路床板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側下側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり上記固定側下側閉塞板に設けられて上記固定側下側閉塞板の下端よりも突出して配置されて上記固定側床板、昇降路床板及び昇降路床板の傾斜面に接して装備された固定側下側案内体と、上記昇降路壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、上記昇降路壁板の上縁部と上記昇降路天井板の間の空隙を塞ぐ昇降路上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり上記昇降路上側閉塞板に設けられて上記昇降路上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて上記昇降路天井板面に接して装備された昇降路上側案内体と、上記昇降路壁板の下縁部に重合して配置されて下方に付勢され、上記昇降路壁板の下縁部と上記昇降路床板の間の空隙を塞ぎ、上記昇降路床板の傾斜面に対応した対向斜面を有する昇降路下側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり上記昇降路下側閉塞板に設けられて上記昇降路下側閉塞板の下端よりも突出して配置されて上記昇降路床板及び昇降路床板の傾斜面に接して装備された昇降路下側案内体とを備えた免震建物用エレベーターの乗場装置。
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