JP2004155193A - 内張り用装飾板の製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 自動車の内部、特に自動車のルーフのための装飾板を製造する方法と、この製法によって得られる装飾板を提供する。
【解決手段】 装飾板は、低密度の材料で作られた少なくとも１つの中間層（１）と、中間層の表面の１つに熱硬化性樹脂層（２）が付着された少なくとも１つの補強層（３）と、自由表面の一方における化粧層（６）とからなり、この製造工程では、中間層（１）が半硬質繊維質ブランケットによって作られ、その表面の各々に、熱硬化性樹脂と、繊維質材料で作られた補強層（３）と、片側の少なくとも１つの保護シート（４）を付着させ、補強層の１つを覆って表面を隠ぺいし、反対側に化粧層（６）を付着させて外表面とし、最後にこうして得られた各層をホットプレスによる造形または成形工程にかけ、さらに熱硬化性樹脂を重合する。本発明はこの製造方法と、これによって得られた製品に関する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、自動車の内部、特に自動車のルーフのための装飾板を製造する方法と、この製法によって得られる装飾板に関する。

さらに特定すれば、本発明に係る製法は、低密度の材料で作られた中間層と、前記中間層に樹脂で付着された少なくとも１つの補強層と、補強層を覆って付着された被覆層とからなる装飾板の製造に関するものである。

上に述べた目的のための装飾板は、すぐれた断熱性ならびにすぐれた吸音性と防音性を持たなければならない。さらに、このような製品に対する機械的要求は常に増加している。

各層から得られた装飾板では、低密度の材料で作られた層は一般に発泡ポリウレタンなどであり、異なる層の間の接合は樹脂によって行われる。低密度材料がガラスまたはポリエステルなどの繊維によるや多孔質織物からなる装飾板も知られている。

各低密度中間層の性質に関係なく、中間層の各表面への異なる追加層を設けること、これらの追加層の性質や使用される樹脂のタイプが異なることを含めて各層の構造には種々の代替形式が存在する。

また、さまざまな層を接合するために使用される樹脂が重合を受けるホットプレスにおいて、各層を所定形状に成形する製造方法にも、種々の代替形式が存在する。

装飾板と、その製造方法およびそれらの代替形式については、すでに下記特許文献に開示されている。

上記の事例すべてにおいて、さまざまな層を接着させるために使用される接着剤は、各層の形状を決める時に塗布されるべきであり、さらにこの接着剤は、これが重合されると形状を固定する。接着剤のこの二重機能は、低密度材料の層に十分に含浸させるために、この層の１つまたは複数の表面に適当な量の接着剤が提供されることを必要とする。このため、含浸作業を高温で行い、比較的長時間続けることが必要である。

さらに、低密度材料で作られた中間層の性質は、すべての方向に剛性が足りないので、装飾板の製造を開始するときに取扱いの問題を引き起こす可能性がある。
米国特許第４８２８９１０号明細書 米国特許第４８４０８３２号明細書 米国特許第６２９１３７０号明細書 欧州特許出願公開第０８３２７８７号明細書 欧州特許出願公開第０６７１２５９号明細書 欧州特許出願公開第出願公開０２８５３３８号明細書 スペイン特許出願公開第２１５７７２５号明細書

本発明の目的は、前記製造方法を簡素化し、機械的特性が改善されて各層の厚さも薄くなった最終製品を提供することによって、上述の問題を解決することである。

本発明によれば、中間層は、好ましくは均一に秤量した半硬質の繊維質ブランケット（毛布状の繊維質）によって構成される。中間層の半硬質の性質はその取扱いを容易にし、秤量が各層の製造工程の全体においてその表面全部にわたって均一に保持されることを確証し、こうして、これによって得られた製品の最終特性を改善し、製造工程自体にわたって制御を簡素化する。

本発明に係る製法では、上述の半硬質繊維質ブランケットの各表面には、ａ）例えばローラ接着機による熱硬化性樹脂、ｂ）繊維質材料で作られた補強層、ｃ）各層の表面を隠ぺいするための少なくとも１つの補強層を覆う保護シート、およびｄ）露出した外表面をなすための反対側における化粧層が付着される。

補強層は、グラスファイバで作ることができるが、同じ補強機能を提供するその他のいずれかの繊維でも作ることができる。

補強材料（層）を付着させる前に、半硬質繊維質ブランケットを、両表面に事前に付着された樹脂の含浸と分布とを向上させる２つのローラの間を通すことができる。

樹脂と補強層とを繊維質ブランケットの両面に付着させた後に、保護シートを付着させて補強層の１つを隠ぺいする。この層（保護シート）は、補強層を接着するために使用するものと同じ接着剤を使用して付着させることができる。これは補強層が透過性であり、接着剤がこれを通過するからである。保護シートは、紙、植物性不織布、プラスチックシートなどのさまざまな異なる材料で作ることができる。

反対側の表面には、見える表面を決定するために化粧層が当てられる。使用される化粧層の形式に応じて、接着剤が化粧層を通過してその最終外観に影響することを避けるために、補強層と化粧層との間に追加の遮断層を組み込む必要がある場合もある。

このような遮断層が化粧層と補強層との間にない場合には、前記化粧層は補強層のために使用されたと同じ接着剤によって付着させることができる。遮断層を設ける場合には、これを熱可塑性材料によって形成することができ、こうして化粧層を、例えば最終造形プレスにおいて高温で遮断層を溶融することによって、接着することができる。

上に説明したように、各層を得た後に、組立品をホットプレスの中で造形し、ここで各層の造形工程中に組み込まれた熱硬化性樹脂または樹脂が完全に重合するので、組立品はさらにその最終形状で硬化し、これによって、化粧層のために望まれる最終形状を有する型の中で圧力と温度の有する接合作用によって内部構造を固める。

低密度材料で作られた中間層は、繊維質材料で、好ましくは均一に秤量した繊維質材料で作られた詰綿または層によって構成され、この中間層はその繊維のある程度の事前接着をもたらす工程にかけられ、望みの半硬質状態を得ることができる。中心詰綿の繊維のこの事前接着は、次の２つの方法で行うことができる。すなわち、液状溶融状態の熱可塑性樹脂の浴に詰綿を浸すこと、または機械的打抜工程で繊維を再配列することによって繊維を連結することである。この事前接着は、工程の次段階中の取扱いを可能にする詰綿繊維のある程度の連結をもたらし、上述のようにその表面の均一な秤量状態を維持する。

次に、ブランケットを熱硬化性の樹脂の浴に浸漬して、得ようとする中心詰綿と装飾板が製造工程の終わりに有することになる剛性と形状保持性の一部を提供することができる。この目的のために、詰綿を前記の樹脂に浸漬した後に、これを熱硬化性樹脂の全重合または部分的重合して硬化が起る所定の時間、保持する。重合が単に部分的である場合には、反応は化粧層の最終造形において、使用されるホットプレスの熱によって遅れて完了することになり、こうして完成された製品の必要な最終剛性が得られる。

本発明の効果は、
1）製造工程が簡素化でき、機械的特性が改善されて作り易く、厚さを薄くできる自動車の内装用装飾板の製造方法を提供することができる。

2）補強層（３）にグラスファイバ、天然または人工の繊維を、保護シート（４）に紙を使用することにより製造工程が簡素化でき、機械的特性が改善されて作り易く、厚さを薄くできる自動車の内装用装飾板の製造方法を提供することができる。

3）ホットプレス（１６）による造形または成形工程にかける前に部分的に圧縮する一対のローラの間を通すことにより化粧板の層間の安定した接着と剛性を確保できる。またこの一対のローラを加熱することによってその後のプレス（１６）の造形時間を短縮することができる。

4）ブランケット（１８）に溶融熱可塑性樹脂を含浸させる事前接着工程により、またはブランケットが熱溶融性の繊維を含むことによって、さらにはブランケットの繊維を機械的打抜操作する事前接着工程によって表面の均一な秤量状態を維持できる。

5）ブランケットに溶融熱可塑性樹脂を含浸させた後に熱硬化性樹脂（１９）を含浸させる工程またはブランケットに機械的打抜操作を加えた後に熱硬化性樹脂（１９）を含浸させる工程によって、製造工程中および完成品に必要とされる剛性を得ることができる。

6)補強層（３）と化粧層（６）との間に、接着ストリップまたはシートで作られた遮断層（５）を設けたことにより、接着剤（層）が化粧層を通過して外観品質を低下させることを防止できる。

7）化粧層（６）に接着剤が透過しない材料を選択し、化粧層を熱硬化性樹脂層（２）で他の層に接着することによって遮断層（５）を省略できるという効果を奏する。

本発明の上記の特性と利点、ならびに本発明に関するその他の特性と利点は、添付の図面を参照して行う実施形態の一例の下記説明を考慮すればさらに良く理解されよう。

図１は、本発明の装飾板を得ることができる各層の構成を概略的に示している。

これらの層は、半硬質繊維質ブランケットからなる中間層１、半硬質繊維質ブランケット１のそれぞれの表面に付着した熱硬化性樹脂の層または被覆２、熱硬化性樹脂の層または被覆２の上に付着した繊維質材料で作られた補強層３、化粧層の隠ぺい表面を確定するために補強層３の１つの表面に付着した保護シート４、反対側における補強層３上の遮断層５、および露出表面を確定するための遮断層５上の化粧層６から構成される。

中間層１は繊維質材料の詰綿で構成することができ、この材料は、ポリエチレンテレフラレート、ポリアミド、ポリプロピレン、植物繊維などの合成繊維からなり、打抜工程で打抜き、熱可塑性樹脂で、その後熱硬化性樹脂で含浸されたものである。打ち抜かれた繊維は新品またはリサイクル品であってよい。

補強層３は、グラスファイバで構成することができるが、同じ補強機能を提供する別の繊維も使用することができる。

遮断層４は、プラスチックシート、接着ストリップ、または不織布によって構成することができる。

図１に示す各層の製造工程を、図２を参照して説明する。

層の形成に使用される半硬質繊維質グランケットは、ロール７の形をとることができ、このロールからブランケットは引き出されて、その表面上に熱硬化性樹脂層を例えば接着剤塗布ローラ８によって塗布する。それから、グラスファイバなどの繊維質材料で作られた補強層３を付着させるが、これはばら繊維９として、マット１０として、または繊維の別のある配置または構造物の形で片側に供給することができる。次に、例えば紙でできた保護シート１１を片側に付着させるが、これは図１の露出したシートまたは表面４を決めるものである。反対側では、補強層の上にストリップまたはシート１２が付着されるが、これは図１の遮断層５を決めるもので、この上に、図１の露出された表面または層６をなす化粧層１３が付着されることになる。

こうして得られたサンドウィッチ構造を、例えばゴムで作られた２個のローラ１５の間を通すことができ、これによってローラ８によって供給された樹脂はさらにブランケット１の中に浸透し、繊維９にさらによく含浸することができる。

最後に、樹脂を重合して、製造しようとする装飾板の所望の形状を得るために、得られた層を、例えば１２０℃〜１９０℃の温度で、１５秒〜１８０秒の成形時間だけプレス１６の中で成形する。

次に図３を参照して、中間層１を構成する繊維質半硬質ブランケットが得られる工程を説明する。

事前に打抜工程にかけることができる繊維質ブランケット１８を得るために、コイル１７が使用される。繊維質ブランケット１８は、事前に打抜工程にかける場合もあるが、熱硬化性樹脂の浴１９の中を通される。次に含浸された繊維質ブランケット１８を、ベルトコンベヤ２１を使用して加熱炉２０の中を通すことができ、ここで樹脂は完全または部分的に重合され、図２を参照して説明した工程を開始し、次いでこれを巻き戻して、前記工程の出発点として使用されるかまたはプレートに切断できるコイル７を得る。

樹脂が加熱炉２０の中で単に部分的に重合される場合には、図２を参照して説明した層の製造の基点において塗布される樹脂はもとより、図２の工程における最後のプレス１６において全重合が起こる。

図２を参照して説明した層の製造工程において、補強層（マット）１０を隠ぺいされた表面の側では省くことができる。また、使用される化粧層６の形式に応じて図１の遮断層５を省くことも可能である。図２の化粧層１３を、ローラ１５にかける前または後に層の上に置くことができる。

図２の工程で使用されるグラスファイバ９を、ジュート、***、亜麻、サイザル麻などの天然繊維によって取り替えるか、またはグラスファイバブランケットの形で付着させることができる。

図２の工程においても、プレス１６の前であるがローラ１５の後に加熱炉を採用し、層を予熱してプレス１６における造形時間を短縮することができる。同じ目的で、ローラ１５を予熱し、層がプレス１６に到達する前にこの重合を達成し、補強層の脱落や剥離を防止し、プレス１６における時間を短縮することもできる。

本発明に係る装飾板を構成する各層を示す概略断面図である。 本発明に係る装飾板を製造するための工程を示す概略図である。 図１に示す中間層を形成する半硬質繊維質ブランケットの製造に対応する、図２の概略図と同様な製造工程の概略図である。

符号の説明

１ 中間層（半硬質繊維質ブランケット）
２ 熱硬化性樹脂層または被覆
３ 補強層
４ 保護シート
５ 遮断層
６ 化粧層
７ ロール
８ 接着剤塗布ローラ
９ 樹脂（ばら繊維、グラスファイバ）
１０ マット（補強層）
１１ 保護シート
１２ ストリップまたはシート
１３ 化粧層
１５ ローラ
１６ プレス
１７ コイル
１８ ブランケット
１９ 浴
２０ 加熱炉
２１ ベルトコンベヤ

Claims (14)

1. 低密度の材料で作られた少なくとも１つの中間層（１）と、
   前記中間層の少なくとも１つの表面に熱硬化性樹脂（２）によって付着された少なくとも１つの補強層（３）と、
   自由表面の一方に設けられた化粧層（６）とを構成要素とし、
   前記中間層（１）は、
   ――その両面に熱硬化性樹脂（２）を付着する工程、
   ――繊維質材料で作られた補強層（３）を中間層の少なくとも１つの表面に付着する工程、
   ――少なくとも１つの保護シート（４）を前の工程で得られた層の表面の１つに付着して表面を隠ぺいする工程、
   ――反対側の表面に化粧層（６）を付着させて外表面となし、
   こうして得られた層をホットプレス（１６）による造形または成形工程にかけ、これによってさらに熱硬化性樹脂を重合させる工程を含む。
   また、中間層（１）は、
   ――繊維質材料で作られたブランケット（１８）からなり、また
   ――繊維にある程度の接着力を与えるためのブランケット（１８）に対する事前の接着工程が、熱硬化性樹脂（１９）をブランケット（１８）に浸透させる工程を含み、結果として次の工程におけるブランケットの取扱上必要な剛性を付与するため前記熱硬化性樹脂の少なくとも部分的な重合をさせる工程にかけられることを特徴とする自動車の内装用装飾板の製造方法。
2. 少なくとも前記１つの補強層（３）がグラスファイバで作られることを特徴とする請求項１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
3. 少なくとも前記１つの補強層（３）が天然または人工の繊維で作られることを特徴とする請求項１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
4. 前記保護シート（４）が紙シートであることを特徴とする請求項１または２に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
5. 層は、ホットプレス（１６）による造形または成形工程にかける前に、部分的に圧縮する一対のローラの間に通され、ブランケット（１８）の表面に付着された樹脂（２）はそのブランケット内に浸透し、少なくとも補強層（３）に含することを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
6. 前記ローラ（１５）が加熱されていることを特徴とする請求項５に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
7. 事前の接着工程が、前記ブランケット（１８）に溶融熱可塑性樹脂を含浸させるための工程を含んでいることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
8. 前記のブラケット（１８）が熱溶融性の繊維を含むことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
9. 事前の接着工程が、前記ブランケット（１８）の繊維を機械的打抜操作の工程を含んでいることを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
10. 前記ブランケットに溶融熱可塑性樹脂を含浸させた後、さらに熱硬化性樹脂（１９）を含浸させる工程を有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
11. 前記ブランケット（１８）に機械的打抜操作を加えた後、さらに熱硬化性樹脂（１９）を含浸させる工程を有することを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
12. 補強層（３）と化粧層（６）との間に、さらに接着ストリップまたはシートによって作られた遮断層（５）が設けられたことを特徴とする請求項１乃至１１のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
13. 遮断層（５）が熱可塑性樹脂で作られ、化粧層（６）が遮断層（５）を加熱し溶融することによって接着されていることを特徴とする請求項１２に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。
14. 化粧層が熱硬化性樹脂層（２）によって接着されていることを特徴とする請求項１乃至１１のいずれか１に記載の自動車の内装用装飾板の製造方法。

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