JP2004152575A - 燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解質板(液)との接触面積を大きくして発電効率を向上することが可能で、かつ軽量な燃料電池用ガス拡散電極の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】燃料電池に用いる多孔性ガス拡散電極の製造方法。
(1)径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を混合して、含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように少なくとも二層の粒状層を形成し、(2)該樹脂製粒状体同志を接着して、多孔体を形成し、(3)多孔体の径の最小の樹脂製粒状体からなる層の外面に耐腐食性導電性金属を付着させ、(4)熱処理を行い、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなるガス拡散電極を形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】燃料電池に用いる多孔性ガス拡散電極の製造方法。
(1)径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を混合して、含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように少なくとも二層の粒状層を形成し、(2)該樹脂製粒状体同志を接着して、多孔体を形成し、(3)多孔体の径の最小の樹脂製粒状体からなる層の外面に耐腐食性導電性金属を付着させ、(4)熱処理を行い、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなるガス拡散電極を形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素と酸素とを反応させて水とし電気を得るもので、化石燃料を燃やして電力を得る場合と異なり、有害な物質を産出しないことからクリーンな発電装置として有望視されている。図1に、燃料電池の一例として、溶融炭酸塩型燃料電池の構造を示す。図1に示すように、該燃料電池はセパレータ、負電極、電解質板及び正電極とで構成されるセルを複数セル積層することによって形成される。
【0003】
燃料電池の負極及正電極として用いられるガス拡散電極は、粒状のカーボンをPTFE等の撥水性と接着性を兼ね合わせる高分子化合物に練り合わせ、混練物をシート状にする等の成型方法によって形成していた。このような成形方法では、成形時に電極層が成形型の比較的硬い金属に接触するので表面が潰れ、従って得られたガス拡散電極は電解質板(液)との接触面積が小さくなり、ひいては発電効率の向上が図れないという欠点がある。また、成形後に厚さ調整(寸法矯正)を行なって電極の形状を整えていたが、その際にも、同様に、電極を構成する導電粉体の表面が潰されて、電解質板(液)との接触面積が小さくなり、発電効率の向上が図れないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電解質板(液)との接触面積を大きくして発電効率を向上することが可能で、かつ軽量な燃料電池用ガス拡散電極の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料電池用ガス拡散電極の製造方法は、以下の製造工程からなることを特徴とする。
(1)径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を混合して、含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように少なくとも二層の粒状層を形成し、
(2)該樹脂製粒状体同士を接着して、多孔体を形成し、
(3)該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体に導電処理を施し、
(4)該導電処理を施した該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体の導電処理部分に耐腐食性導電性金属を付着し、
(5)熱処理を行い、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなるガス拡散電極を形成する。
ここに、燃料電池とはセパレータ、負電極、電解質板及び正電極とによって構成されるセルを複数セル積層することによって形成されるものをいう。
【0006】
本発明に係る製造方法によれば、厚さ方向に見て、各層に含まれる層の気孔の径が順に大きくなるように層状構造を有する燃料電池用多孔性ガス拡散電極を製造することが可能となる。従って、該多孔性ガス拡散電極は、電解質板あるいは液との接触面積が大きく、それによって発電効率を向上することが可能となる。また、ガス供給側に気孔の径の大きい面を、電解質板あるいは電解質液側に気孔の径の小さな面が位置するように配置することによって、ガスの供給能力を上げ、発電効率を向上することが可能となる。また、ガス拡散電極を形成する際に、成形母体となる樹脂製粒状体を焼却除去しているので、電極中に粒状体が存在していた個所が気孔として残り、それによってガス拡散電極が軽量化される。
【0007】
本発明の好ましい実施態様としては、以下のものが挙げられる。特に不都合がない限り、それらのものを組合わせたものも本発明の好ましい実施態様として考えられる。
(1) 小径の樹脂製粒状体の比重が、大径の樹脂製粒状体の比重より大きく、前記少なくとも二種類の樹脂製粒状体に振動を付与することによって混合する。このようにすることによって、径の異なる樹脂製粒状体のそれぞれの樹脂製竜状態の種類にも続く層状配置が容易でかつ確実に行なうことが可能となる。
【0008】
(2) 前記熱処理を樹脂製粒状体の融点以下でかつその近傍の温度で加熱することにより行い、粒状体の一部を溶融させて前記樹脂製粒状体同志を接着する。後述するように、接着は樹脂製粒状体の間に液状接着剤を流し込むことによって行なうことも出来るが、液状接着剤による場合には全ての粒状体の隙間に接着剤を流し込むのは困難であるが、上記融点以下の加熱法による場合は、全ての粒状体に確実に熱を加えることによって、粒状体を相互に容易かつ確実に接着することができる。
(3) 樹脂製粒状体同士を接着した多孔体に導電処理を施し、該導電処理を施した該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体の導電処理部分に耐腐食性導電性金属を付着させる。
(4) さらに、前記ガス拡散電極の表面に触媒層を設ける。
(5) さらに、前記ガス拡散電極の表面に触媒層を設ける。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下に、図2(a)〜図2(e)に言及しつつ、本発明に係る燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法を説明する。
(1)工程1 樹脂製粒状体の作製
公知の方法により、樹脂製の小径及び大径の少なくとも二種類の粒状体を作製する。樹脂としては、粒状体を形成することができ、かつ粒状体を接着して多孔体を形成でき、導電性金属付着後に焼却除去することが可能な樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリスチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0010】
また、樹脂製粒状体の大きさは、本発明の目的、効果が奏される限り、限定されるものではなく、粒状体の形状も、特に限定されないが、球状体、楕円球状体が好適に用いられ、特に球状体が好ましい。
【0011】
また、小径の樹脂製粒状体の比重を、大径の樹脂製粒状体の比重より大きすることができる。この場合には、樹脂製粒子を混合する工程で、小径の樹脂製粒状体が下に移行し、大径の樹脂粒状体が上に移行し、両者の分離がより円滑に行なわれる。この場合、下記の少なくとも二層の粒状層の形成にあたっては、前記少なくとも二種類の樹脂製粒状体に振動を付与することにより混合することによって行なうことができる。
【0012】
(2) 少なくとも二層の粒状層の形成
径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を適当な容器に充填・混合して、径の大小に基づき順に少なくとも二層の粒状層を形成する。図2(a)参照(図では、二種類の大径、小径の樹脂製粒状体を混合配列させた場合を示す)。本発明の目的、効果が奏される限り、隣接する層間で、相互に多少大小の径の樹脂製粒状体が混ざり合っている場合までを排除するものではない。
【0013】
樹脂製粒状体の混合は、例えば粒状体に水平方向等に振動等の外部からの力を付与することによって行なうことができる。また、径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体の混合比率は、所望する多孔性ガス拡散電極の物性に従って適宜決定する。
【0014】
(3)粒状層中の樹脂製粒状体同志の接着による多孔体の形成
樹脂粒状体を該少なくとも二層の層に配列した後、樹脂製粒状体同志を接着して、多孔体を形成する。図2(b)参照。接着は樹脂製粒状体を、樹脂の融点以下の温度でかつ融点近傍の温度に加熱し、樹脂製粒状体の一部を溶融して粒状体を相互に接着することによって行なうことができる。あるいは、外部から樹脂製粒状体間に液状接着剤を流し込み樹脂製粒状体同志を接着することもできる。
【0015】
(3)耐腐食性導電性金属の付着
上で得られた多孔体の径の小さな樹脂製粒状体からなる層の外面から耐腐食性導電性金属を付着させる。図2(c)参照。この場合、多孔体の耐腐食性導電性金属を付着させる面からカーボン等を付着させることによって導電化処理をし、その後に公知の方法で電気メッキ等によりNi等の耐腐食性導電性金属膜を付着する。あるいは、導電化処理、電気メッキ処理に代えて、PVD(物理蒸着)等により多孔体にNi等を付着することができる。付着工程によって、Ni等の導電性金属は樹脂製粒状間の空隙に入り込み耐腐食性導電性金属層を形成する。
【0016】
(4)熱処理による導電性金属の合金化、樹脂製粒状体の焼却除去
熱処理によって、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなる多孔性ガス拡散電極を形成する。図2(d)参照。熱処理温度及び時間は、熱処理による導電性金属の合金化、樹脂製粒状体の焼却除去の目的を達成すべく適宜決定する。
【0017】
上記合金化・焼却除去処理によって、合金化金属層からなる内部に気孔を含む燃料電池用多孔性ガス拡散電極であって、該電極の厚さ方向に見て、少なくとも二層からなる多孔性層構造を有する燃料電池用多孔性ガス拡散電極であって、該少なくとも二層に含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように順次重なった構造を有し、該電極の厚さ方向に見て、各層に含まれる該気孔が一方の面から他方の面に向かって順に大きくなるようになっている燃料電池用多孔性ガス拡散電極を得ることができる。より詳しく述べると、気孔サイズに基づいて、該電極の厚さ方向に見て、電極を少なくとも二層に区分して、一方の面から他方の面に向かって順に一層目、二層目、・・・とした場合、それぞれの層の中に含まれる気孔のサイズが順に大きくあるいは小さくなるということを意味する。この場合、本発明の目的、効果が達成される限り、隣接する層の間で異なるサイズの気孔が混じりあうということを排除するものではない。該気孔の径、サイズは、加熱処理を通して当該気孔を形成する樹脂製粒状体の径、サイズに対応するものである。
【0018】
(5) 触媒層
さらに、イオンスパッタリング装置等を用いてPVD(物理蒸着)等によって、Pt等の触媒をガス拡散電極の表面に付着させ触媒層を設けることができる。あるいは、Pt等が含まれる溶液をガス拡散電極の表面に塗布して、Pt等を付着させ、加熱処理することによってガス拡散電極の表面に触媒層を設けることができる。なお、溶融炭酸塩型燃料電池及び固体電解質型燃料電池に本発明に係るガス拡散電極を用いる場合には、Pt等の触媒を付与する必要はない。
【0019】
(6) 撥水化層
さらに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂を用いて、前記ガス拡散電極の表面に撥水処理を施すことによって、ガス拡散電極の表面に撥水化層を設けることができる。図2(e)参照。撥水化層は、電解液の逆流を防止するために設けるもので、アルカリ水溶液型燃料電池および酸水溶液型燃料電池、リン酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、ヒドラジン型燃料電池では必要とされる。
【0020】
本発明の製造方法によって得られた燃料電池用ガス拡散電極は、アルカリ水溶液型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体電解質型燃料電池、固体分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、ヒドラジン型燃料電池等に広く用いることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用ガス拡散電極の製造方法は、以下の効果が得られる。
(1)本発明によるガス拡散電極は、金型による圧縮成形や、ロールによる圧縮成形によらないので、電極表面の凹凸が確保され、電解質板(液)との接触面積が確保される。従って、発電時の燃料電池の発電効率が向上する。
【0022】
(2) 本発明によるガス拡散電極をガス供給側の気孔径が大きく、電解質板の気径が小さくなるようにして燃料電池中に配置することによって、ガス供給能力を向上させて燃料電池の発電効率を向上できる。
(3)成形母体となる樹脂製粒状体を焼却除去することによってガス拡散電極を形成しているので、焼却除去した樹脂製粒状体の重量分だけガス拡散電極の重量の軽量化が図れる。
【0023】
(4)成形母体となる樹脂製粒状体を焼却除去することによってガス拡散電極中に多数の気孔が形成されるので、熱がこもりにくく、電極自体の過度の温度上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で得られる多孔質ガス分散電極を適用できる燃料電池の一例を示す。
【図2】本発明に係る燃料電池用多孔質ガス分散電極の製造方法の製造工程を模式的に示し、(a)は粒径の異なる二種類の樹脂製粒状体を混合して形成した樹脂製粒状体層の断面図を示し、(b)は樹脂製粒状体を相互に接着して形成した多孔体の断面図を示し、(c)は耐腐食性電気伝導金属を付着させた多孔体の断面図を示し、(d)は樹脂製粒状体を焼却除去して形成した多孔質合金化膜の断面図を示し、(e)は多孔質合金化膜上にさらにPt等の触媒を付着させた状態の断面図を示し、(f)は(e)触媒付着合金化膜上にさらに撥水処理により撥水化膜を形成した状態の断面図を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素と酸素とを反応させて水とし電気を得るもので、化石燃料を燃やして電力を得る場合と異なり、有害な物質を産出しないことからクリーンな発電装置として有望視されている。図1に、燃料電池の一例として、溶融炭酸塩型燃料電池の構造を示す。図1に示すように、該燃料電池はセパレータ、負電極、電解質板及び正電極とで構成されるセルを複数セル積層することによって形成される。
【0003】
燃料電池の負極及正電極として用いられるガス拡散電極は、粒状のカーボンをPTFE等の撥水性と接着性を兼ね合わせる高分子化合物に練り合わせ、混練物をシート状にする等の成型方法によって形成していた。このような成形方法では、成形時に電極層が成形型の比較的硬い金属に接触するので表面が潰れ、従って得られたガス拡散電極は電解質板(液)との接触面積が小さくなり、ひいては発電効率の向上が図れないという欠点がある。また、成形後に厚さ調整(寸法矯正)を行なって電極の形状を整えていたが、その際にも、同様に、電極を構成する導電粉体の表面が潰されて、電解質板(液)との接触面積が小さくなり、発電効率の向上が図れないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電解質板(液)との接触面積を大きくして発電効率を向上することが可能で、かつ軽量な燃料電池用ガス拡散電極の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料電池用ガス拡散電極の製造方法は、以下の製造工程からなることを特徴とする。
(1)径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を混合して、含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように少なくとも二層の粒状層を形成し、
(2)該樹脂製粒状体同士を接着して、多孔体を形成し、
(3)該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体に導電処理を施し、
(4)該導電処理を施した該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体の導電処理部分に耐腐食性導電性金属を付着し、
(5)熱処理を行い、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなるガス拡散電極を形成する。
ここに、燃料電池とはセパレータ、負電極、電解質板及び正電極とによって構成されるセルを複数セル積層することによって形成されるものをいう。
【0006】
本発明に係る製造方法によれば、厚さ方向に見て、各層に含まれる層の気孔の径が順に大きくなるように層状構造を有する燃料電池用多孔性ガス拡散電極を製造することが可能となる。従って、該多孔性ガス拡散電極は、電解質板あるいは液との接触面積が大きく、それによって発電効率を向上することが可能となる。また、ガス供給側に気孔の径の大きい面を、電解質板あるいは電解質液側に気孔の径の小さな面が位置するように配置することによって、ガスの供給能力を上げ、発電効率を向上することが可能となる。また、ガス拡散電極を形成する際に、成形母体となる樹脂製粒状体を焼却除去しているので、電極中に粒状体が存在していた個所が気孔として残り、それによってガス拡散電極が軽量化される。
【0007】
本発明の好ましい実施態様としては、以下のものが挙げられる。特に不都合がない限り、それらのものを組合わせたものも本発明の好ましい実施態様として考えられる。
(1) 小径の樹脂製粒状体の比重が、大径の樹脂製粒状体の比重より大きく、前記少なくとも二種類の樹脂製粒状体に振動を付与することによって混合する。このようにすることによって、径の異なる樹脂製粒状体のそれぞれの樹脂製竜状態の種類にも続く層状配置が容易でかつ確実に行なうことが可能となる。
【0008】
(2) 前記熱処理を樹脂製粒状体の融点以下でかつその近傍の温度で加熱することにより行い、粒状体の一部を溶融させて前記樹脂製粒状体同志を接着する。後述するように、接着は樹脂製粒状体の間に液状接着剤を流し込むことによって行なうことも出来るが、液状接着剤による場合には全ての粒状体の隙間に接着剤を流し込むのは困難であるが、上記融点以下の加熱法による場合は、全ての粒状体に確実に熱を加えることによって、粒状体を相互に容易かつ確実に接着することができる。
(3) 樹脂製粒状体同士を接着した多孔体に導電処理を施し、該導電処理を施した該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体の導電処理部分に耐腐食性導電性金属を付着させる。
(4) さらに、前記ガス拡散電極の表面に触媒層を設ける。
(5) さらに、前記ガス拡散電極の表面に触媒層を設ける。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下に、図2(a)〜図2(e)に言及しつつ、本発明に係る燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法を説明する。
(1)工程1 樹脂製粒状体の作製
公知の方法により、樹脂製の小径及び大径の少なくとも二種類の粒状体を作製する。樹脂としては、粒状体を形成することができ、かつ粒状体を接着して多孔体を形成でき、導電性金属付着後に焼却除去することが可能な樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリスチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0010】
また、樹脂製粒状体の大きさは、本発明の目的、効果が奏される限り、限定されるものではなく、粒状体の形状も、特に限定されないが、球状体、楕円球状体が好適に用いられ、特に球状体が好ましい。
【0011】
また、小径の樹脂製粒状体の比重を、大径の樹脂製粒状体の比重より大きすることができる。この場合には、樹脂製粒子を混合する工程で、小径の樹脂製粒状体が下に移行し、大径の樹脂粒状体が上に移行し、両者の分離がより円滑に行なわれる。この場合、下記の少なくとも二層の粒状層の形成にあたっては、前記少なくとも二種類の樹脂製粒状体に振動を付与することにより混合することによって行なうことができる。
【0012】
(2) 少なくとも二層の粒状層の形成
径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を適当な容器に充填・混合して、径の大小に基づき順に少なくとも二層の粒状層を形成する。図2(a)参照(図では、二種類の大径、小径の樹脂製粒状体を混合配列させた場合を示す)。本発明の目的、効果が奏される限り、隣接する層間で、相互に多少大小の径の樹脂製粒状体が混ざり合っている場合までを排除するものではない。
【0013】
樹脂製粒状体の混合は、例えば粒状体に水平方向等に振動等の外部からの力を付与することによって行なうことができる。また、径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体の混合比率は、所望する多孔性ガス拡散電極の物性に従って適宜決定する。
【0014】
(3)粒状層中の樹脂製粒状体同志の接着による多孔体の形成
樹脂粒状体を該少なくとも二層の層に配列した後、樹脂製粒状体同志を接着して、多孔体を形成する。図2(b)参照。接着は樹脂製粒状体を、樹脂の融点以下の温度でかつ融点近傍の温度に加熱し、樹脂製粒状体の一部を溶融して粒状体を相互に接着することによって行なうことができる。あるいは、外部から樹脂製粒状体間に液状接着剤を流し込み樹脂製粒状体同志を接着することもできる。
【0015】
(3)耐腐食性導電性金属の付着
上で得られた多孔体の径の小さな樹脂製粒状体からなる層の外面から耐腐食性導電性金属を付着させる。図2(c)参照。この場合、多孔体の耐腐食性導電性金属を付着させる面からカーボン等を付着させることによって導電化処理をし、その後に公知の方法で電気メッキ等によりNi等の耐腐食性導電性金属膜を付着する。あるいは、導電化処理、電気メッキ処理に代えて、PVD(物理蒸着)等により多孔体にNi等を付着することができる。付着工程によって、Ni等の導電性金属は樹脂製粒状間の空隙に入り込み耐腐食性導電性金属層を形成する。
【0016】
(4)熱処理による導電性金属の合金化、樹脂製粒状体の焼却除去
熱処理によって、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなる多孔性ガス拡散電極を形成する。図2(d)参照。熱処理温度及び時間は、熱処理による導電性金属の合金化、樹脂製粒状体の焼却除去の目的を達成すべく適宜決定する。
【0017】
上記合金化・焼却除去処理によって、合金化金属層からなる内部に気孔を含む燃料電池用多孔性ガス拡散電極であって、該電極の厚さ方向に見て、少なくとも二層からなる多孔性層構造を有する燃料電池用多孔性ガス拡散電極であって、該少なくとも二層に含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように順次重なった構造を有し、該電極の厚さ方向に見て、各層に含まれる該気孔が一方の面から他方の面に向かって順に大きくなるようになっている燃料電池用多孔性ガス拡散電極を得ることができる。より詳しく述べると、気孔サイズに基づいて、該電極の厚さ方向に見て、電極を少なくとも二層に区分して、一方の面から他方の面に向かって順に一層目、二層目、・・・とした場合、それぞれの層の中に含まれる気孔のサイズが順に大きくあるいは小さくなるということを意味する。この場合、本発明の目的、効果が達成される限り、隣接する層の間で異なるサイズの気孔が混じりあうということを排除するものではない。該気孔の径、サイズは、加熱処理を通して当該気孔を形成する樹脂製粒状体の径、サイズに対応するものである。
【0018】
(5) 触媒層
さらに、イオンスパッタリング装置等を用いてPVD(物理蒸着)等によって、Pt等の触媒をガス拡散電極の表面に付着させ触媒層を設けることができる。あるいは、Pt等が含まれる溶液をガス拡散電極の表面に塗布して、Pt等を付着させ、加熱処理することによってガス拡散電極の表面に触媒層を設けることができる。なお、溶融炭酸塩型燃料電池及び固体電解質型燃料電池に本発明に係るガス拡散電極を用いる場合には、Pt等の触媒を付与する必要はない。
【0019】
(6) 撥水化層
さらに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂を用いて、前記ガス拡散電極の表面に撥水処理を施すことによって、ガス拡散電極の表面に撥水化層を設けることができる。図2(e)参照。撥水化層は、電解液の逆流を防止するために設けるもので、アルカリ水溶液型燃料電池および酸水溶液型燃料電池、リン酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、ヒドラジン型燃料電池では必要とされる。
【0020】
本発明の製造方法によって得られた燃料電池用ガス拡散電極は、アルカリ水溶液型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体電解質型燃料電池、固体分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、ヒドラジン型燃料電池等に広く用いることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用ガス拡散電極の製造方法は、以下の効果が得られる。
(1)本発明によるガス拡散電極は、金型による圧縮成形や、ロールによる圧縮成形によらないので、電極表面の凹凸が確保され、電解質板(液)との接触面積が確保される。従って、発電時の燃料電池の発電効率が向上する。
【0022】
(2) 本発明によるガス拡散電極をガス供給側の気孔径が大きく、電解質板の気径が小さくなるようにして燃料電池中に配置することによって、ガス供給能力を向上させて燃料電池の発電効率を向上できる。
(3)成形母体となる樹脂製粒状体を焼却除去することによってガス拡散電極を形成しているので、焼却除去した樹脂製粒状体の重量分だけガス拡散電極の重量の軽量化が図れる。
【0023】
(4)成形母体となる樹脂製粒状体を焼却除去することによってガス拡散電極中に多数の気孔が形成されるので、熱がこもりにくく、電極自体の過度の温度上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で得られる多孔質ガス分散電極を適用できる燃料電池の一例を示す。
【図2】本発明に係る燃料電池用多孔質ガス分散電極の製造方法の製造工程を模式的に示し、(a)は粒径の異なる二種類の樹脂製粒状体を混合して形成した樹脂製粒状体層の断面図を示し、(b)は樹脂製粒状体を相互に接着して形成した多孔体の断面図を示し、(c)は耐腐食性電気伝導金属を付着させた多孔体の断面図を示し、(d)は樹脂製粒状体を焼却除去して形成した多孔質合金化膜の断面図を示し、(e)は多孔質合金化膜上にさらにPt等の触媒を付着させた状態の断面図を示し、(f)は(e)触媒付着合金化膜上にさらに撥水処理により撥水化膜を形成した状態の断面図を示す。
Claims (9)
- 以下の製造工程からなる、燃料電池に用いる多孔性ガス拡散電極の製造方法。
(1)径の異なる少なくとも二種類の樹脂製粒状体を混合して、含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように少なくとも二層の粒状層を形成し、
(2)該樹脂製粒状体同士を接着して、多孔体を形成し、
(3)該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体に導電処理を施し、
(4)該導電処理を施した該樹脂製粒状体同士を接着した多孔体の導電処理部分に耐腐食性導電性金属を付着し、
(5)熱処理を行い、該導電性金属を合金化するとともに、該樹脂製粒状体を焼却除去することによって合金化金属層からなるガス拡散電極を形成する。 - 小径の樹脂製粒状体の比重が、大径の樹脂製粒状体の比重より大きく、前記少なくとも二種類の樹脂製粒状体に振動を付与することによって混合することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法。
- 前記熱処理を樹脂製粒状体の融点以下でかつその近傍の温度で加熱することにより行い、粒状体の一部を溶融させて前記樹脂製粒状体同志を接着することを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法。
- 多孔体に導電化処理をした後、前記耐腐食性導電性金属を付着させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法。
- さらに、前記ガス拡散電極の表面に触媒層を設けることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法。
- さらに、前記ガス拡散電極の表面に撥水化処理を施すことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池用多孔性ガス拡散電極の製造方法。
- 合金化金属層からなる内部に気孔を含む燃料電池用多孔性ガス拡散電極であって、該電極の厚さ方向に見て、少なくとも二層からなる多孔性層構造を有する燃料電池用多孔性ガス拡散電極であって、該少なくとも二層に含まれる樹脂製粒状体の径の大小に基づき径の小さな樹脂製粒状体の層、より大きな径の樹脂粒状体の層となるように順次重なった構造を有し、該電極の厚さ方向に見て、各層に含まれる該気孔が一方の面から他方の面に向かって順に大きくなるようになっていることを特徴とする、燃料電池用多孔性ガス拡散電極。
- さらに、前記ガス拡散電極の表面に触媒層を有することを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池用ガス拡散電極の製造方法。
- さらに、前記ガス拡散電極の表面に撥水化膜を有することを特徴とする、請求項7または8に記載の燃料電池用ガス拡散電極の製造方法。
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-
2002
- 2002-10-30 JP JP2002315666A patent/JP2004152575A/ja active Pending
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