JP2004152111A - 印刷製版のための検版 - Google Patents
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Abstract
【課題】検版対象となる画像の形式に多少の差異がある場合にも検版を実行することのできる技術を提供する。
【解決手段】同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データRIPD2,RIPD3を、検版の対象とする。これらの2つの印刷物画像データRIPD2,RIPD3のうちの少なくとも一方は2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なっている。このとき、2つの印刷物画像データのうち2値画像データRIPD3であるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって多階調化し、2つの印刷物画像データに対応する2つの多階調画像データMD2,MD3を生成する。そして、これらの2つの多階調画像データMD2,MD3を比較することによって、検版対象とした2つの印刷物画像データの差異を検出する。
【選択図】 図3
【解決手段】同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データRIPD2,RIPD3を、検版の対象とする。これらの2つの印刷物画像データRIPD2,RIPD3のうちの少なくとも一方は2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なっている。このとき、2つの印刷物画像データのうち2値画像データRIPD3であるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって多階調化し、2つの印刷物画像データに対応する2つの多階調画像データMD2,MD3を生成する。そして、これらの2つの多階調画像データMD2,MD3を比較することによって、検版対象とした2つの印刷物画像データの差異を検出する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ技術の進展に伴って、商業印刷用の製版システムにおいてもコンピュータを用いたデジタル化が普及してきている。デジタル化された印刷製版システムでは、印刷物データ(例えばPDFデータやPostScriptデータ。PostScriptはアドビシステムズ社の商標)を受け取り、この印刷物データに種々のデータ処理を行って2値の刷版データを作成し、この刷版データを用いて刷版または網フィルムが出力される。さらに最近では、印刷製版システムで2値の印刷物データを作成し、この2値印刷物データをオンデマンド印刷機に転送して直接印刷を実行させるオンデマンド印刷も行われている。本明細書では、このような2値刷版データや2値印刷物データを作成する処理の全体を「印刷製版」と呼んでいる。
【0003】
印刷製版工程においては、クライアントの指示通りに印刷物画像を修正することが重要である。そのため、印刷物の校正と、校正結果が正しく反映されているか否かをチェックする検版とが念入りに行われる。デジタル化された印刷製版システムでは、校正前後の2値の刷版データを比較することによって検版が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−154234号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の検版処理では、校正前後の刷版データを比較していたので、初校を出力するための処理の段階では検版を行うことが不可能であった。そこで、従来から、初校の出力のための処理の段階においても検版を行うことができる技術が望まれていた。
【0006】
また、従来は、校正によって網点の種類が変更されたときにも、うまく検版を行うことができなかった。この理由は、網点の種類が変わると同一の画像でも画素値の配置がかなり大幅に異なるからである。なお、本明細書において「網点」とは、いわゆるAM網点とFM網点の両方を含んでいる。
【0007】
このように、従来は検版対象となる画像の形式に多少の差異がある場合には、検版をうまく実行することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためのものであり、検版対象となる画像の形式に多少の差異がある場合にも検版を実行することのできる技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するために、本発明による検版方法は、印刷物画像を処理するための複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査するための検版方法であって、
(a)同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる第1と第2の印刷物画像データを準備する工程と、
(b)前記第1と第2の印刷物画像データのうち2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第1と第2の印刷物画像データに対応する第1と第2の多階調画像データを生成する工程と、
(c)前記第1と第2の多階調画像データを比較することによって、前記第1と第2の印刷物画像データの差異を検出する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
この検版方法では、2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うので、2つの印刷物画像データのいずれかが2値画像データである場合にも、画素値の階調数や網点種類の違いにあまり影響されずに2つの印刷物画像データを比較することが可能である。従って、例えば異なる2つの工程で作成された2つの印刷物画像データを用いて検版を行うことが可能である。また、網点種類が異なる2つの印刷物画像データを用いて検版を行うことも可能である。
【0011】
前記第1の印刷物画像データが多階調画像データであり、前記第2の印刷物画像データが2値画像データであるときに、
前記工程(b)は、
前記第1の印刷物画像データに対して鮮鋭度低下処理を行うことによって前記第1の多階調画像データを生成する工程と、
前記第2の印刷物画像データに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第2の多階調画像データを生成する工程と、
を含むようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、2値画像を多値化する際には、デスクリーニング処理によって鮮鋭度が低下する傾向にある。従って、もともと多階調画像データであった第1の印刷物画像データに対して鮮鋭度低下処理を行うようにすれば、鮮鋭度が同じ程度に低下した多階調画像データ同士を比較することができるので、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0013】
なお、前記デスクリーニング処理は、
処理対象の印刷物画像の領域を、網掛け処理されない部品を含む網掛非対象領域と、網掛け処理される部品を含む網掛け対象領域とに区分する工程と、
前記網掛け対象領域に対してのみ選択的にデスクリーニングを実行する工程と、
を含むようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、網掛け対象領域のみに対して選択的にデスクリーニングを実行するので、文字や罫線のように網掛け処理されない部品のエッジをぼけさせずにシャープに保つことができる。従って、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0015】
なお、前記工程(b)は、前記第1と第2の多階調画像データの解像度を一致させるための解像度変換工程を含み、
前記解像度変換工程において、前記網掛け非対象領域に関しては代表画素を用いた解像度低下処理を実行し、前記網掛け領域に関しては平均化による解像度低下処理を実行するものとしてもよい。
【0016】
この構成では、網明け非対象領域に対してはエッジをシャープに保つことができるので、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0017】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、検版システムや印刷製版システム、これらのシステムにおける検版方法、それらのシステム(装置)の各部の機能や方法の各工程の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の全体構成:
B.第1実施例:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
【0019】
A.装置の全体構成:
図1は、本発明の一実施例である印刷製版システムの全体構成を示す説明図である。この印刷製版システムは、印刷物をデザインして印刷物データを作成するためのデザイン装置100と、この印刷物データに基づいて刷版または印刷物を作成するためのワークフローシステム200とを備えている。ワークフローシステム200は、ワークフロー制御システム300と、3つの出力機410、420、430とがネットワークを介して接続されることによって構成されている。すなわち、簡易プルーフ出力機410は、印刷物データから得られるデジタルデータに応じて校正刷りを印刷し、網点プルーフ出力機420は、網点処理(網掛け処理)を行った印刷物データ(デジタルデータ)の校正刷りを出力し、プレート出力機430は、印刷物データから刷版を直接作成する。なお、プレート出力機430は、CTP(Computer To Plate)装置とも呼ばれている。また、ワークフロー制御システム300には、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等の表示部400が接続されており、印刷物データに応じた印刷物画像や、検版結果等を表示することができる。
【0020】
図2は、ワークフロー制御システム300の機能的構成を示すブロック図である。ワークフロー制御システム300は、デザイン装置100から受け取った特定形式の印刷物データ(PDFデータやPostScriptデータ)を処理するために以下のような処理部の機能を有している。
【0021】
(1)プリフライト処理部310:
プリフライト処理は、いわゆる前処理であり、印刷物データの内容を解析して、製版用の処理を問題無く実行できるか否かを確認するための処理である。例えば、PDFファイルやPostScriptファイルの記述から、(i)文書内にリンクが張られているオブジェクトのファイルの有無、(ii)標準的でないフォントデータの文書内への埋め込みの有無、などが確認される。不足しているデータやファイルがある場合には、データの追加や仕様の変更をユーザに要求する。また、印刷物データは、プリフライト処理部310によって表示用解像度(例えば72dpi)でRIP展開され、展開された展開データ(「プレビュー用RIP展開データ」とも呼ぶ)に従って印刷物画像が表示部400(図1)に表示される。ユーザは、表示部400に表示された印刷物画像を用いて、適切な印刷物データであるか否かの確認を行うことができる。
【0022】
(2)台割面付け処理部320:
いわゆる台割処理や面付け処理(1枚の刷版に複数のページを配置する処理)を行う。また、処理が行われたデータを簡易プルーフ用RIP展開データに展開し、このデータに応じた校正刷りを簡易プルーフ出力機410(図1)に出力させる機能も有している。ユーザは、出力された校正刷りを確認することによって、校正を行うことができる。大きさが異なる複数種類の出力を行う場合には、それぞれの大きさに応じた台割処理や面付け処理が行われる。例えば、簡易プルーフ出力の大きさと、プレート出力の大きさとが異なる場合には、それぞれの出力用の台割処理や面付け処理が行われる。
【0023】
(3)自動製版処理部330:
いわゆる、スミノセや、白フチ、トラッピングなどの処理を行う。
【0024】
(4)網点プルーフ処理部340:
いわゆる、RIP展開処理(Raster Image Processing)や網点処理(網掛け処理)を行い、各インク色(例えば、YMCKの4色)の刷版を表すラスタデータ(「網点プルーフ用RIP展開データ」とも呼ぶ)を出力用解像度(例えば、4000dpi)に合わせて作成する。網点プルーフ用RIP展開データに応じた校正刷りは、網点プルーフ出力機420(図1)より出力される。ユーザは、出力された校正刷りを確認することによって、校正を行うことができる。
【0025】
(5)最終出力処理部350:
最終的な印刷物データをRIP展開することによって、プレート出力機430に適した出力データ(「本出力用RIP展開データ」と呼ぶ)を作成する。作成された出力データはプレート出力機430に転送され、出力データに応じた刷版がプレート出力機430によって作成される。
【0026】
(6)検版実行部360:
異なる工程で作成された印刷物データまたはRIP展開データを用いた検版を行う。検版処理の詳細については後述する。
【0027】
(7)画像データ記憶部370:
検版用のデータ(「検版用データ」あるいは「検版用画像データ」とも呼ぶ)を必要に応じて記憶する。
【0028】
ワークフロー制御システム300は、さらに、これらの各処理部310〜370の動作を制御するための制御部390を備えている。制御部390は、パラメータ決定部392を備えており、ユーザは、パラメータ決定部392を介して、各処理部310〜370の制御パラメータを設定することができる。1つの製版作業(「ジョブ」と呼ぶ。)に対する各種の制御パラメータは、ジョブチケットJTと呼ばれるデータファイルにまとめられる。すなわち、各処理部310〜370が1つのジョブを実行する際には、ジョブチケットJT内の制御パラメータに従って各処理部の処理内容が制御される。
【0029】
なお、ワークフロー制御システム300の各処理部310〜370や制御部390の機能は、ワークフロー制御システム300の図示しないハードディスクに格納されたコンピュータプログラムをコンピュータ(ワークフロー制御システム300)が実行することによって実現される。
【0030】
B.第1実施例:
図3は、第1実施例の印刷製版工程における検版方法を示す説明図である。この例では、図2に示す各処理部310〜350が、元の印刷物データPD0に対して、プリフライト処理(ステップS11)と、台割面付け処理(ステップS12)と、自動製版処理(ステップS13)と、網点プルーフ出力処理(ステップS14)と、最終出力処理(ステップS15)とを順次実行する。最初の3つの工程S11〜S13では、元の印刷物画像データPD0に順次変更が加えられて、処理済みの印刷物データPD1,PD2,PD3がそれぞれ作成される。これらの印刷物データPD0〜PD3は、通常は、文字(テキスト)と図形(ベクトル図形)とビットマップ画像とがそれぞれ異なる種類の部品として表現されているデータである。このような印刷物データの形式としては、PostScript、EPS(Encapsulated PostScript)(いずれもアドビシステム社の商標)、PDFなどのページ記述言語形式のデータを利用可能である。網点プルーフ出力工程S14では、印刷物データPD3から網点プルーフ用RIP展開データRIPD3が作成されるだけであり、印刷物データPD3には変更は加えられずに最終出力工程S15に引き渡される。最終出力工程S15では、この印刷物データPD3から最終的なRIP展開データRIPD4(2値刷版データまたは2値印刷物データ)が作成される。
【0031】
プリフライト処理部310は、プリフライト処理の後に、プリフライト処理済みの印刷物データPD1をRIP展開することによってプレビュー用RIP展開データRIPD1を作成し、このデータRIPD1に基づいて印刷物画像を表示部400に表示する(ステップS21)。また、台割面付け処理部320は、台割面付け処理済みの印刷物データPD2をRIP展開することによって簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2を作成し、このデータRIPD2に基づいて簡易プルーフを出力する(ステップS22)。前述したように、網点プルーフ出力工程では印刷物データPD3から網点プルーフ用RIP展開データRIPD3が作成され、最終出力工程(ステップS14)では本出力用RIP展開データRIPD4が作成される。これらのRIP展開データRIPD1〜RIPD4は、画像データ記憶部370(図2)に格納される。
【0032】
プレビュー用RIP展開データRIPD1は、例えば、RGB表色系で表された多値画像データであり、表示部400における表示に適した形式を有したデータである。また、他のRIP展開データRIPD2〜RIPD4も、それぞれの画像出力装置に適した形式を有している。これに対して、RIP展開前の印刷物データPD1〜PD3は、上述したように、文字と図形とビットマップ画像とが異なる部品として表現されているデータである点でRIP展開画像と異なっている。本明細書では、RIP展開される前の印刷物データPD0〜PD3を、「未展開データ」とも呼ぶ。
【0033】
なお、本明細書において、「RIP展開データ」とはラスタイメージデータ(走査線順次に表現されているデータ)を意味している。このようなRIP展開データは、種々の形式で表現することが可能である。本実施例において、RIP展開データの表現形式(「RIP展開条件」と呼ぶ)は、以下のようなパラメータP1〜P5によって規定される。
(P1)解像度:解像度は画素ピッチを規定するものを意味している。解像度の値としては、72dpi(表示用)、2000dpi、4000dpiなどの種々の解像度を利用可能である。
(P2)階調数:1画素当たりの画素値の取りうる値であり、1画素当たりのビット数によって決まる値である。階調数としては、2値(0,1の2階調)や多値(例えば0〜255の256階調)を利用可能である。
(P3)表色系:RGB表色系、YMCK表色系、YCC表色系などの種々の表色系を利用可能である。
(P4)トーン再現:いわゆるドットゲイン特性を意味しており、種々のドットゲイン特性を利用可能である。
(P5)圧縮方法:所望の圧縮アルゴリズムと圧縮率を利用可能である。圧縮方法は、画質を表す指標としても使用できる。
【0034】
これらの種々のパラメータをRIP展開条件として設定し、これに応じて未展開データを展開することによって、種々のRIP展開データを得ることができる。例えば、図3に示した4種類のRIP展開データRIPD1〜RIPD4に対しては、それぞれ以下のようなパラメータP1〜P5が設定される。
【0035】
・プレビュー用RIP展開データRIPD1:
(P1)解像度=72dpi
(P2)階調数=8ビット/1色/1画素
(P3)表色系=RGB
(P4)トーン再現:ドットゲイン無し
(P5)圧縮方法:圧縮なし
【0036】
・簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2:
(P1)解像度=600dpi
(P2)階調数=8ビット/1色/1画素
(P3)表色系=YMCK
(P4)トーン再現:ドットゲイン無し
(P5)圧縮方法:JPEG方式
【0037】
・網点プルーフ用RIP展開データRIPD3:
(P1)解像度=2400dpi
(P2)階調数=1ビット/1色/1画素
(P3)表色系=YMCK
(P4)トーン再現:網点プルーフ用ドットゲイン特性
(P5)圧縮方法:1ビットTIFF方式
【0038】
・本出力用RIP展開データRIPD4:
(P1)解像度=4000dpi
(P2)階調数=1ビット/1色/1画素
(P3)表色系=YMCK
(P4)トーン再現:本出力用ドットゲイン特性
(P5)圧縮方法:1ビットTIFF方式
【0039】
第1実施例の検版実行部360は、デスクリーニング処理部362と、解像度変換部364と、比較部366とを含んでおり、異なる工程において作成された2つのデータを用いて検版を実行することが可能である。図3の例では、検版実行部360は、網点プルーフ用RIP展開データRIPD3にデスクリーニング処理と解像度変換処理とを施すことによって、検版用の多階調画像データMD3を作成する。この検版用多階調画像データMD3は、簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2と解像度が等しく、また、階調数と表色系も同じである。なお、簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2もこの検版処理に利用されるので、これを「検版用多階調画像データMD2」とも呼ぶ。
【0040】
比較部366は、これらの検版用多階調画像データMD2,MD3を比較することによって検版結果データを作成して出力する。具体的には、例えば、比較部366は、2つの検版用多階調画像データMD2,MD3の画素値の差分を画素毎に求め、各画素の差分で構成された画像データを検版結果データとして作成する。検版結果データは、表示部400に表示してもよく、あるいは、プリントアウトしても良い。
【0041】
図4は、検版結果データに基づいて表示部400に表示された検版結果の一例を示す説明図である。図4(A)は、2つの検版用多階調画像データに差異のない場合を示している。この画像は、円形の2つの部品OB1,OB2と、文字(テキスト)の部品OB3とを含んでいる。2つの検版用多階調画像データに差異のない場合には、各部品OB1,OB2,OB3は薄い目立たない色でそれぞれ表示されている。図4(B)は、2つの検版用多階調画像データに差異がある場合を示している。すなわち、円形の2つの部品OB1,OB2の上部において、2つの検版用多階調画像データに大きな差異があり、この部分が目立つ色で表示されている。この結果、検版作業者は、この検版結果を観察することによって、印刷物が正しいか否かを判断することが可能である。
【0042】
なお、一般に、検版結果においては、2つの検版用多階調画像データの画素値の差分が所定の閾値以上の画素を目立たない表示態様で表示し、一方、画素値の差分が閾値よりも小さな画素を目立つ表示態様で表示するようにすることが好ましい。このような表示態様の違いとしては、色や点滅の有無などを利用することができる。閾値としては、任意の値を採用することが可能である。例えば、画素値の差分が0でなければ差異があるものとして目立つ表示を行うようにしてもよい。
【0043】
図5は、第1実施例における検版処理の手順を示すフローチャートである。ステップS1では、作業者が検版対象とする2つの印刷物データを指定する。図6は、検版対象の印刷物データを指定するためのユーザインターフェース画面の一例を示している。ここでは、網点プルーフ用RIP展開データRIPD3に対して検版を実行することと仮定している。このユーザインターフェース画面には、ジョブ名を指定するためのフィールドF1と、網点プルーフデータのファイル名を指定するためのフィールドF2と、検版時に比較対象となるデータのファイル名を指定するためのフィールドF3とを含んでいる。作業者が、検版対象となる2つの印刷物データのファイル名をフィールドF2,F3に指定すると、これらの2つの印刷物データの解像度と階調数と表色系とがそれぞれ表示される。この例では、網点プルーフデータRIPD3(網点プルーフ用RIP展開データ)は、解像度が2400dpi、階調数が1ビット/色/画素、表色系がYMCKであることが表示されている。また、比較データとしては、台割面付け処理工程で作成された簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2が指定されており、その解像度が600dpi、階調数が8ビット/色/画素、表色系がYMCKであることが表示されている。なお、解像度と階調数と表色系以外のパラメータも表示されるようにしてもよい。作業者がこれらの表示内容を確認し、「検版実行」のボタンB1をクリックすると、これらの2つの印刷物データを用いて検版処理が開始される。
【0044】
ステップS2(図5)では、デスクリーニング処理部362が、検版対象として指定された2つの印刷物データの少なくとも一方が2値画像データであるか否かを判断する。図6の例では、網点プルーフデータRIPD3の階調数が1ビットであり、2値画像データである。2値画像データに対してはステップS3,S4の処理が実行され、多階調画像データに対してはステップS3,S4は省略される。
【0045】
ステップS3では、デスクリーニング処理部362がデスクリーニング処理を実行する。ここで、「デスクリーニング処理」とは、2値画像の多値化処理を意味している。図7は、デスクリーニング処理の手順を示すフローチャートである。デスクリーニング処理では、まず、2値画像の解像度RBと、網点サイズDSとから、デスクリーニング処理に用いるマスクのサイズMSを算出する(ステップT1)。図8は、マスクサイズMSの決定方法を示している。図8(A)の小さな四角は画素PXHである。デスクリーニング用マスクDSMのサイズMSは、マスクDSMの一辺の画素数である。このマスクサイズMSは、例えば以下の(1a)式または(1b)式で算出される。
【0046】
MS=Int{RB[dpi]/DS[lpi]} …(1a)
MS=Odd{RB[dpi]/DS[lpi]} …(1b)
【0047】
ここで、RBは2値画像の解像度であり、その単位は[dpi]である。また、DSは2値画像を網掛け処理した際に用いられた網点ピッチ(「スクリーン線数」とも呼ばれる)であり、単位は[lpi](線/インチ)である。(1a)式の演算子Int{ }は、括弧内の値を整数化する処理を意味している。また、(1b)式の演算子Odd{ }は、括弧内の値を整数化し、さらに、その整数値以上の最も小さな奇数を取る処理を意味している。例えば、RB=2400dpi,DS=150線/インチの場合には、(1a)式によって得られるマスクサイズMSは16[画素]であり、(1b)式によって得られるマスクサイズMSは17[画素]である。なお、(1b)式を用いると、マスクサイズMSが常に奇数になるので、中心画素(図8(A)の中央にある斜線を伏した画素)を中心として、四方に同数の画素が存在するようなマスクDSMを使用することができるため、より好ましい。
【0048】
図7のステップT2では、このマスクサイズMSを一辺とするデスクリーニング用マスクDSMを用いて2値画像の画素値の加重平均を求め、これによってマスク位置における多値画像の画素値を求める。図8(A)には、このマスクDSMの重み分布の一例が示されている。通常は、このように中心画素の重みが最も大きく、周辺画素の重みが最も小さくなるように設定される。但し、マスクDSMの最外周にある画素の重みは、0よりも大きな値に設定することが好ましい。
【0049】
なお、ステップT2の処理は、図8(B)に示すように、2値画像の画像領域内でマスクを1画素ずつ順次移動しながら行われる。この結果、元の2値画像と同じ解像度で、各画素のビット数が増加した多値画像を得ることができる。例えば、マスクサイズMSが16画素のマスクを用いると、0〜255の階調値を有する8ビットの多値画像を得ることができる。一方、マスクサイズMSが17画素のマスクを用いると、0〜288の階調値が得られるが、この場合にも0〜288の階調値を0〜255に正規化して8ビットの多値画像を得ることができる。
【0050】
こうして、デスクリーニング処理によって多階調画像データが得られると、図5のステップS4において解像度変換部364(図3)が解像度変換を実行する。この解像度変換は、2値画像をデスクリーング処理して得られた多階調画像データを、他の検版用多階調画像データRIPD2の解像度に一致させるための処理である。例えば、図6の例では、網点プルーフデータRIPD3の解像度が2400dpiであり、比較データ(簡易プルーフ用RIP展開データ)RIPD2の解像度が600dpiなので、網点プルーフデータRIPD3をデスクリーニング処理して得られた2400dpiの多階調画像データの解像度を、600dpiに低減する処理が実行される。この解像度変換としては、例えば単純平均化処理を用いることができる。
【0051】
なお、検版対象となっていた2つの印刷物データの表色系が異なる場合には、解像度変換処理の前または後に表色系の変換を行うことが好ましい。表色系の変換は、ルックアップテーブルや変換マトリクスを用いて行うことが可能である。
【0052】
こうして、検版対象となる2つの印刷物データRIPD2,RIPD3のうち、2値画像データであるデータRIPD3を多値化することによって、解像度と階調数と表色系とが同一の2つの検版用多階調画像データMD2(=RIPD2),MD3を得ることができる(図3)。比較部366は、これらの2つの検版用多階調画像データMD2,MD3を画素毎に比較して、画素値の差分が所定の閾値よりも大きな部分を目立つ色で表示する。この結果、検版作業者は、この検版結果を観察することによって、印刷物が正しいか否かを判断することが可能である。
【0053】
なお、本実施例では、多階調画像データ同士を比較することによって検版を行っているので、画素値に差異があるか否かを判断するための閾値としては、画素値の範囲(8ビットであれば0〜100%)のうちのゼロでない最小値よりも大きな値を用いることが好ましい。例えば、閾値を画素値の範囲の5〜10%程度の値に設定すれば、差異が大きな画素のみを検出して出力することができるので、差異の発見が容易である。
【0054】
以上のように、第1実施例では、検版対象となる2つの印刷物データRIPD2,RIPD3のうちで、2値画像データである印刷物データRIPD3にデスクリーニング処理を行うことによって検版用多階調画像データMD3を作成し、これを他方の印刷物データ(多階調画像データ)RIPD2と比較することによって検版を行うようにしたので、異なる工程間の印刷物データRIPD2,RIPD3に関して検版を行うことが可能である。このような利点は、特に、図3に示した製版工程S11〜S15を最初に実行する際に顕著である。すなわち、この製版工程S11〜S15を最初に実行する際には、網点プルーフ用RIP展開データRIPD3が初めて作成されるので、このRIP展開データRIPD3に関して検版を実行しようとしても、その校正前の網点プルーフ用RIP展開データが存在しないために検版ができないのが普通である。これに対して、第1実施例では、異なる工程で得られた印刷物データRIPD2,RIPD3から2つの検版用多階調画像データMD2,MD3を得ているので、製版工程S11〜S15を最初に実行する際にも、検版を実行できるという利点がある。
【0055】
C.第2実施例:
一般に、デスクリーニング処理は、画素値の重み付き平均を取る演算を利用しているので、画像(特にビットマップ画像)の鮮鋭度を低下させる可能性がある。一方、もともと多階調画像であった検版対象データ(上記の例では簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2)は、デスクリーニング処理を受けないので、鮮鋭度の低下は無い。そこで、以下に説明する第2実施例では、多階調画像であった検版対象データRIPD2の鮮鋭度を低下させることによって、2つの検版用多階調画像データの鮮鋭度が同程度になるように調整している。
【0056】
図9は、第2実施例における検版実行部360aの構成を示すブロック図である。図3に示した第1実施例の検版実行部360との違いは、鮮鋭度調整部368が追加されている点だけである。図10は、第2実施例における検版処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、図5に示した第1実施例の手順のステップS2とステップS5との間に、鮮鋭度調整のステップS10を追加したものである。この鮮鋭度調整は、もともと多値画像であった検版対象データRIPD2に対して実行される。
【0057】
図11は、鮮鋭度調整の内容を示す説明図である。図11(A)の左側は、デスクリーング処理で用いられたデスクリーニング用マスクDSMと、解像度変換前の画素PXH(「高解像度画素PXH」と呼ぶ)を示している。また、図11(A)の右側は、解像度変換後の画素PXL(「低解像度画素PXL」と呼ぶ)を示している。この例では、4×4個の高解像度画素PXHが1個の低解像度画素PXLに対応している。
【0058】
図11(B)は、デスクリーニング処理の対象となっていない多階調画像データRIPD2に対して用いられる鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSと重み分布の例を示している。鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSは、デスクリーニング用マスクDSMとほぼ同じ大きさに設定されることが好ましい。具体的には、鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSは、例えば以下の(2a)式または(2b)式で算出される。
【0059】
SMS=Int{RM[dpi]/DS[lpi]} …(2a)
SMS=Odd{RM[dpi]/DS[lpi]} …(2b)
【0060】
ここで、RMは低解像度化後の多階調画像の解像度[dpi]であり、DSは元の2値画像を網掛け処理した際に用いられた用いられた網点サイズDS[線/インチ]である。この網点サイズDSは上述した(1a),(1b)式で用いられたものと同じである。例えば、RM=600dpi,DS=150線/インチの場合には、(2a)式によって得られるマスクサイズSMSは4[画素]であり、(2b)式によって得られるマスクサイズMSは5[画素]である。なお、(2b)式を用いると、マスクサイズSMSが常に奇数になるので、中心画素(図11(B)の中央にある斜線を伏した画素)を中心として、四方に同数の画素が存在するようなマスクSEMを使用することができるので、より好ましい。
【0061】
上述したように、鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSは、デスクリーニング処理用マスクDSMのサイズMSとほぼ同じに設定されていることが好ましい。ここで、サイズSMS,DSMが「ほぼ同じ」という意味は、両者の差が、低解像度画素PXLの1個分以下であることを意味している。このように、2つのマスクSEM,DSMのサイズMS,SMSをほぼ同じに設定すれば、デスクリーニング処理による鮮鋭度の低下を、もともと多階調画像であった他方の検版対象データRIPD2にも反映できる。この結果、鮮鋭度がほぼ同じ程度に低下した2つの検版用多階調画像データMD2,MD3を用いて検版を実行できるので、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0062】
D.第3実施例:
2値画像にデスクリーニング処理を行うと、文字や罫線のエッジがぼけてしまうという問題も発生する可能性がある。そこで、第3実施例では、文字や罫線に対してはデスクリーニング処理を行わず、ビットマップ画像やチント領域(一様な色で塗りつぶされた領域)に対してのみデスクリーニング処理を実行する。
【0063】
図12は、第3実施例における検版実行部360bの構成を示すブロック図である。図3に示した第1実施例の検版実行部360との違いは、デスクリーニング処理部362の前に領域分離部361が設けられている点だけである。図12は、第3実施例における検版処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、図5に示した第1実施例の手順のステップS2とステップS3との間に領域分離のステップS20を追加したものである。この領域分離は、領域分離部361(図12)が、文字/罫線マスクLMに基づいて実行する。
【0064】
図14は、文字/罫線マスクLMの一例を示す説明図である。ここで、検版対象となる画像は、チント領域である2つの部品OB1,OB2と、文字(テキスト)の部品OB3とを含んでいる。文字/罫線マスクLMは、文字または罫線を含む領域を覆うように設定されている。このような文字/罫線マスクLMは、例えば、デスクリーニング対象となるRIP展開データRIPD3をRIP展開する前に作成しておくことができる。RIP展開前には、各部品が異なるデータ形式で表現されているので、文字/罫線マスクLMを容易に作成することができる。なお、文字/罫線マスクLMが予め作成されていない場合には、他の方法で文字/罫線マスクLMを作成しても良い。例えば、領域分離部361が、デスクリーニング対象となるRIP展開データRIPD3のRIP展開前の未展開データPD3(図3)から文字/罫線マスクLMを作成してもよい。
【0065】
なお、本明細書では、文字/罫線マスクLMで表される領域を「網掛け非対象領域」とも呼ぶ。この理由は、文字や罫線は網点パターンを用いた網掛け処理の対象とならないからである。一方、ビットマップ画像やチントの領域は網点パターンを用いた網掛け処理の対象となるので、これらの領領を「網掛け対象領域」とも呼ぶ。
【0066】
図13のステップS3aでは、ビットマップ/チント領域に対してデスクリーニング処理を選択的に実行する。図15は、このデスクリーニング処理(「分離デスクリーニング処理」と呼ぶ)の手順を示すフローチャートである。ステップT1におけるマスクサイズMSの算出方法は、図7のステップT1と同じである。ステップT2aでは、ビットマップ/チント領域に対してデスクリーニング用マスクDSM(図8(A))を適用して、2値画像を多値化する。一方、文字/罫線領域の画素に対しては、ステップT3において、画素値0をそのまま維持し、画素値1を255(多階調画像の画素値の最高値)に変換する。この処理によって、文字や罫線のエッジをぼけさせることなく、2値画像を多値画像に変換することができる。
【0067】
図13のステップS4aでは、文字/罫線領域とビットマップ/チント領域とを区別した解像度変換が行われる。図16は、これらの2種類の領域に適用される2種類の解像度変換(低解像度化)の一例を示す説明図である。図16(A)に示す第1のタイプの低解像度化では、低解像度画素PXLに対応する複数の高解像度画素PXHの中の代表画素(黒丸を伏した画素)の画素値が、低解像度画素PXLの画素値として採用される。一方、図16(B)に示す第2のタイプの低解像度化では、低解像度画素PXLに対応する複数の高解像度画素PXHの画素値の平均値が、低解像度画素PXLの画素値として採用される。本明細書では、第1のタイプの低解像度化方法を「代表画素法」と呼び、第2のタイプの低解像度化方法を「平均化法」と呼ぶ。代表画素法は、文字/罫線領域に適用され、平均化法はビットマップ/チント領域に適用される。図16(A)(B)を比較すれば理解できるように、代表画素法の方が平均化法よりも画像のエッジが鮮明になる傾向がある。従って、代表画素法を文字/罫線領域に適用するようにすれば、文字や罫線のエッジがぼけてしまうことをより防止することができる。この結果、検版をより精度良く行うことが可能であるという利点がある。
【0068】
なお、このように2種類の領域を区別して解像度変換を行うかわりに、多階調画像の全体に同じ方法で解像度変換を行うようにしてもよい。また、第3実施例におけるステップS20,S3a,S4aの処理は、第2実施例にも適用することが可能である。すなわち、図10のステップS3,S4の代わりに、図13のステップS20,S3a,S4aを実行するようにしてもよい。
【0069】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0070】
E1.変形例1:
上記各実施例では、検版対象データRIPD2,RIPD3の一方が2値画像データで他方が多階調画像データであるものとしたが、両者がともに2値画像データである場合にも本発明を適用することができる。換言すれば、2つの検版対象データのうちの少なくとも一方が2値画像データである場合に本発明を適用可能である。
【0071】
また、上記各実施例では、初校の際の異なる工程で作成された2つの検版対象データを用いて検版を行っていたが、この代わりに、同一の処理工程で作成された校正前後の2つの画像データを検版対象としても良い。例えば、校正によって網点の種類が変更されたときには、同一の処理工程(例えば網点プルーフ処理工程)で作成された2値画像データであっても、その画素値の配置は網点種類に応じてかなり異なる。このような場合に本発明を適用すれば、網点種類の差に係わらず検版を行うことが可能である。一般に、本発明は、2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる2つの印刷物画像データを用いて行う検版に適用することが可能である。
【0072】
E2.変形例2:
デスクリーニング処理(2値画像の多値化処理)としては、上記実施例で説明したものに限らず、種々のデスクリーニング処理を利用可能である。例えば、本出願人によって開示された特開2000−224415号公報に記載された方法が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷製版システムの全体構成を示す説明図。
【図2】ワークフローシステムの機能的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施例の製版工程における検版方法を示す説明図。
【図4】検版結果データに基づいて表示部400に表示された検版結果の一例を示す説明図。
【図5】第1実施例における検版処理の手順を示すフローチャート。
【図6】検版対象の印刷物データを指定するためのユーザインターフェース画面の一例を示す説明図。
【図7】デスクリーニング処理の手順を示すフローチャート。
【図8】マスクサイズMSの決定方法を示す説明図。
【図9】第2実施例における検版実行部360aの構成を示すブロック図。
【図10】第2実施例における検版処理の手順を示すフローチャート。
【図11】鮮鋭度調整の内容を示す説明図。
【図12】第3実施例における検版実行部360aの構成を示すブロック図。
【図13】第3実施例における検版処理の手順を示すフローチャート。
【図14】領域分離に用いる文字/罫線マスクLMの一例を示す説明図。
【図15】第3実施例におけるデスクリーニング処理(分離デスクリーニング処理)の手順を示すフローチャート。
【図16】文字/罫線領域とビットマップ/チント領域に適用される2種類の解像度変換(低解像度化)の一例を示す説明図。
【符号の説明】
100…デザイン装置
200…ワークフロー作成システム
300…ワークフロー制御システム
310…プリフライト処理部
320…台割面付け処理部
330…自動製版処理部
340…網点プルーフ処理部
350…最終出力処理部
360…検版実行部
361…領域分離部
362…デスクリーニング処理部
364…解像度変換部
366…比較部
370…画像データ記憶部
380…鮮鋭度調整部
390…制御部
392…パラメータ決定部
400…表示部
410…簡易プルーフ出力機
420…網点プルーフ出力機
430…プレート出力機
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ技術の進展に伴って、商業印刷用の製版システムにおいてもコンピュータを用いたデジタル化が普及してきている。デジタル化された印刷製版システムでは、印刷物データ(例えばPDFデータやPostScriptデータ。PostScriptはアドビシステムズ社の商標)を受け取り、この印刷物データに種々のデータ処理を行って2値の刷版データを作成し、この刷版データを用いて刷版または網フィルムが出力される。さらに最近では、印刷製版システムで2値の印刷物データを作成し、この2値印刷物データをオンデマンド印刷機に転送して直接印刷を実行させるオンデマンド印刷も行われている。本明細書では、このような2値刷版データや2値印刷物データを作成する処理の全体を「印刷製版」と呼んでいる。
【0003】
印刷製版工程においては、クライアントの指示通りに印刷物画像を修正することが重要である。そのため、印刷物の校正と、校正結果が正しく反映されているか否かをチェックする検版とが念入りに行われる。デジタル化された印刷製版システムでは、校正前後の2値の刷版データを比較することによって検版が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−154234号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の検版処理では、校正前後の刷版データを比較していたので、初校を出力するための処理の段階では検版を行うことが不可能であった。そこで、従来から、初校の出力のための処理の段階においても検版を行うことができる技術が望まれていた。
【0006】
また、従来は、校正によって網点の種類が変更されたときにも、うまく検版を行うことができなかった。この理由は、網点の種類が変わると同一の画像でも画素値の配置がかなり大幅に異なるからである。なお、本明細書において「網点」とは、いわゆるAM網点とFM網点の両方を含んでいる。
【0007】
このように、従来は検版対象となる画像の形式に多少の差異がある場合には、検版をうまく実行することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためのものであり、検版対象となる画像の形式に多少の差異がある場合にも検版を実行することのできる技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するために、本発明による検版方法は、印刷物画像を処理するための複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査するための検版方法であって、
(a)同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる第1と第2の印刷物画像データを準備する工程と、
(b)前記第1と第2の印刷物画像データのうち2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第1と第2の印刷物画像データに対応する第1と第2の多階調画像データを生成する工程と、
(c)前記第1と第2の多階調画像データを比較することによって、前記第1と第2の印刷物画像データの差異を検出する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
この検版方法では、2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うので、2つの印刷物画像データのいずれかが2値画像データである場合にも、画素値の階調数や網点種類の違いにあまり影響されずに2つの印刷物画像データを比較することが可能である。従って、例えば異なる2つの工程で作成された2つの印刷物画像データを用いて検版を行うことが可能である。また、網点種類が異なる2つの印刷物画像データを用いて検版を行うことも可能である。
【0011】
前記第1の印刷物画像データが多階調画像データであり、前記第2の印刷物画像データが2値画像データであるときに、
前記工程(b)は、
前記第1の印刷物画像データに対して鮮鋭度低下処理を行うことによって前記第1の多階調画像データを生成する工程と、
前記第2の印刷物画像データに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第2の多階調画像データを生成する工程と、
を含むようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、2値画像を多値化する際には、デスクリーニング処理によって鮮鋭度が低下する傾向にある。従って、もともと多階調画像データであった第1の印刷物画像データに対して鮮鋭度低下処理を行うようにすれば、鮮鋭度が同じ程度に低下した多階調画像データ同士を比較することができるので、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0013】
なお、前記デスクリーニング処理は、
処理対象の印刷物画像の領域を、網掛け処理されない部品を含む網掛非対象領域と、網掛け処理される部品を含む網掛け対象領域とに区分する工程と、
前記網掛け対象領域に対してのみ選択的にデスクリーニングを実行する工程と、
を含むようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、網掛け対象領域のみに対して選択的にデスクリーニングを実行するので、文字や罫線のように網掛け処理されない部品のエッジをぼけさせずにシャープに保つことができる。従って、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0015】
なお、前記工程(b)は、前記第1と第2の多階調画像データの解像度を一致させるための解像度変換工程を含み、
前記解像度変換工程において、前記網掛け非対象領域に関しては代表画素を用いた解像度低下処理を実行し、前記網掛け領域に関しては平均化による解像度低下処理を実行するものとしてもよい。
【0016】
この構成では、網明け非対象領域に対してはエッジをシャープに保つことができるので、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0017】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、検版システムや印刷製版システム、これらのシステムにおける検版方法、それらのシステム(装置)の各部の機能や方法の各工程の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の全体構成:
B.第1実施例:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
【0019】
A.装置の全体構成:
図1は、本発明の一実施例である印刷製版システムの全体構成を示す説明図である。この印刷製版システムは、印刷物をデザインして印刷物データを作成するためのデザイン装置100と、この印刷物データに基づいて刷版または印刷物を作成するためのワークフローシステム200とを備えている。ワークフローシステム200は、ワークフロー制御システム300と、3つの出力機410、420、430とがネットワークを介して接続されることによって構成されている。すなわち、簡易プルーフ出力機410は、印刷物データから得られるデジタルデータに応じて校正刷りを印刷し、網点プルーフ出力機420は、網点処理(網掛け処理)を行った印刷物データ(デジタルデータ)の校正刷りを出力し、プレート出力機430は、印刷物データから刷版を直接作成する。なお、プレート出力機430は、CTP(Computer To Plate)装置とも呼ばれている。また、ワークフロー制御システム300には、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等の表示部400が接続されており、印刷物データに応じた印刷物画像や、検版結果等を表示することができる。
【0020】
図2は、ワークフロー制御システム300の機能的構成を示すブロック図である。ワークフロー制御システム300は、デザイン装置100から受け取った特定形式の印刷物データ(PDFデータやPostScriptデータ)を処理するために以下のような処理部の機能を有している。
【0021】
(1)プリフライト処理部310:
プリフライト処理は、いわゆる前処理であり、印刷物データの内容を解析して、製版用の処理を問題無く実行できるか否かを確認するための処理である。例えば、PDFファイルやPostScriptファイルの記述から、(i)文書内にリンクが張られているオブジェクトのファイルの有無、(ii)標準的でないフォントデータの文書内への埋め込みの有無、などが確認される。不足しているデータやファイルがある場合には、データの追加や仕様の変更をユーザに要求する。また、印刷物データは、プリフライト処理部310によって表示用解像度(例えば72dpi)でRIP展開され、展開された展開データ(「プレビュー用RIP展開データ」とも呼ぶ)に従って印刷物画像が表示部400(図1)に表示される。ユーザは、表示部400に表示された印刷物画像を用いて、適切な印刷物データであるか否かの確認を行うことができる。
【0022】
(2)台割面付け処理部320:
いわゆる台割処理や面付け処理(1枚の刷版に複数のページを配置する処理)を行う。また、処理が行われたデータを簡易プルーフ用RIP展開データに展開し、このデータに応じた校正刷りを簡易プルーフ出力機410(図1)に出力させる機能も有している。ユーザは、出力された校正刷りを確認することによって、校正を行うことができる。大きさが異なる複数種類の出力を行う場合には、それぞれの大きさに応じた台割処理や面付け処理が行われる。例えば、簡易プルーフ出力の大きさと、プレート出力の大きさとが異なる場合には、それぞれの出力用の台割処理や面付け処理が行われる。
【0023】
(3)自動製版処理部330:
いわゆる、スミノセや、白フチ、トラッピングなどの処理を行う。
【0024】
(4)網点プルーフ処理部340:
いわゆる、RIP展開処理(Raster Image Processing)や網点処理(網掛け処理)を行い、各インク色(例えば、YMCKの4色)の刷版を表すラスタデータ(「網点プルーフ用RIP展開データ」とも呼ぶ)を出力用解像度(例えば、4000dpi)に合わせて作成する。網点プルーフ用RIP展開データに応じた校正刷りは、網点プルーフ出力機420(図1)より出力される。ユーザは、出力された校正刷りを確認することによって、校正を行うことができる。
【0025】
(5)最終出力処理部350:
最終的な印刷物データをRIP展開することによって、プレート出力機430に適した出力データ(「本出力用RIP展開データ」と呼ぶ)を作成する。作成された出力データはプレート出力機430に転送され、出力データに応じた刷版がプレート出力機430によって作成される。
【0026】
(6)検版実行部360:
異なる工程で作成された印刷物データまたはRIP展開データを用いた検版を行う。検版処理の詳細については後述する。
【0027】
(7)画像データ記憶部370:
検版用のデータ(「検版用データ」あるいは「検版用画像データ」とも呼ぶ)を必要に応じて記憶する。
【0028】
ワークフロー制御システム300は、さらに、これらの各処理部310〜370の動作を制御するための制御部390を備えている。制御部390は、パラメータ決定部392を備えており、ユーザは、パラメータ決定部392を介して、各処理部310〜370の制御パラメータを設定することができる。1つの製版作業(「ジョブ」と呼ぶ。)に対する各種の制御パラメータは、ジョブチケットJTと呼ばれるデータファイルにまとめられる。すなわち、各処理部310〜370が1つのジョブを実行する際には、ジョブチケットJT内の制御パラメータに従って各処理部の処理内容が制御される。
【0029】
なお、ワークフロー制御システム300の各処理部310〜370や制御部390の機能は、ワークフロー制御システム300の図示しないハードディスクに格納されたコンピュータプログラムをコンピュータ(ワークフロー制御システム300)が実行することによって実現される。
【0030】
B.第1実施例:
図3は、第1実施例の印刷製版工程における検版方法を示す説明図である。この例では、図2に示す各処理部310〜350が、元の印刷物データPD0に対して、プリフライト処理(ステップS11)と、台割面付け処理(ステップS12)と、自動製版処理(ステップS13)と、網点プルーフ出力処理(ステップS14)と、最終出力処理(ステップS15)とを順次実行する。最初の3つの工程S11〜S13では、元の印刷物画像データPD0に順次変更が加えられて、処理済みの印刷物データPD1,PD2,PD3がそれぞれ作成される。これらの印刷物データPD0〜PD3は、通常は、文字(テキスト)と図形(ベクトル図形)とビットマップ画像とがそれぞれ異なる種類の部品として表現されているデータである。このような印刷物データの形式としては、PostScript、EPS(Encapsulated PostScript)(いずれもアドビシステム社の商標)、PDFなどのページ記述言語形式のデータを利用可能である。網点プルーフ出力工程S14では、印刷物データPD3から網点プルーフ用RIP展開データRIPD3が作成されるだけであり、印刷物データPD3には変更は加えられずに最終出力工程S15に引き渡される。最終出力工程S15では、この印刷物データPD3から最終的なRIP展開データRIPD4(2値刷版データまたは2値印刷物データ)が作成される。
【0031】
プリフライト処理部310は、プリフライト処理の後に、プリフライト処理済みの印刷物データPD1をRIP展開することによってプレビュー用RIP展開データRIPD1を作成し、このデータRIPD1に基づいて印刷物画像を表示部400に表示する(ステップS21)。また、台割面付け処理部320は、台割面付け処理済みの印刷物データPD2をRIP展開することによって簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2を作成し、このデータRIPD2に基づいて簡易プルーフを出力する(ステップS22)。前述したように、網点プルーフ出力工程では印刷物データPD3から網点プルーフ用RIP展開データRIPD3が作成され、最終出力工程(ステップS14)では本出力用RIP展開データRIPD4が作成される。これらのRIP展開データRIPD1〜RIPD4は、画像データ記憶部370(図2)に格納される。
【0032】
プレビュー用RIP展開データRIPD1は、例えば、RGB表色系で表された多値画像データであり、表示部400における表示に適した形式を有したデータである。また、他のRIP展開データRIPD2〜RIPD4も、それぞれの画像出力装置に適した形式を有している。これに対して、RIP展開前の印刷物データPD1〜PD3は、上述したように、文字と図形とビットマップ画像とが異なる部品として表現されているデータである点でRIP展開画像と異なっている。本明細書では、RIP展開される前の印刷物データPD0〜PD3を、「未展開データ」とも呼ぶ。
【0033】
なお、本明細書において、「RIP展開データ」とはラスタイメージデータ(走査線順次に表現されているデータ)を意味している。このようなRIP展開データは、種々の形式で表現することが可能である。本実施例において、RIP展開データの表現形式(「RIP展開条件」と呼ぶ)は、以下のようなパラメータP1〜P5によって規定される。
(P1)解像度:解像度は画素ピッチを規定するものを意味している。解像度の値としては、72dpi(表示用)、2000dpi、4000dpiなどの種々の解像度を利用可能である。
(P2)階調数:1画素当たりの画素値の取りうる値であり、1画素当たりのビット数によって決まる値である。階調数としては、2値(0,1の2階調)や多値(例えば0〜255の256階調)を利用可能である。
(P3)表色系:RGB表色系、YMCK表色系、YCC表色系などの種々の表色系を利用可能である。
(P4)トーン再現:いわゆるドットゲイン特性を意味しており、種々のドットゲイン特性を利用可能である。
(P5)圧縮方法:所望の圧縮アルゴリズムと圧縮率を利用可能である。圧縮方法は、画質を表す指標としても使用できる。
【0034】
これらの種々のパラメータをRIP展開条件として設定し、これに応じて未展開データを展開することによって、種々のRIP展開データを得ることができる。例えば、図3に示した4種類のRIP展開データRIPD1〜RIPD4に対しては、それぞれ以下のようなパラメータP1〜P5が設定される。
【0035】
・プレビュー用RIP展開データRIPD1:
(P1)解像度=72dpi
(P2)階調数=8ビット/1色/1画素
(P3)表色系=RGB
(P4)トーン再現:ドットゲイン無し
(P5)圧縮方法:圧縮なし
【0036】
・簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2:
(P1)解像度=600dpi
(P2)階調数=8ビット/1色/1画素
(P3)表色系=YMCK
(P4)トーン再現:ドットゲイン無し
(P5)圧縮方法:JPEG方式
【0037】
・網点プルーフ用RIP展開データRIPD3:
(P1)解像度=2400dpi
(P2)階調数=1ビット/1色/1画素
(P3)表色系=YMCK
(P4)トーン再現:網点プルーフ用ドットゲイン特性
(P5)圧縮方法:1ビットTIFF方式
【0038】
・本出力用RIP展開データRIPD4:
(P1)解像度=4000dpi
(P2)階調数=1ビット/1色/1画素
(P3)表色系=YMCK
(P4)トーン再現:本出力用ドットゲイン特性
(P5)圧縮方法:1ビットTIFF方式
【0039】
第1実施例の検版実行部360は、デスクリーニング処理部362と、解像度変換部364と、比較部366とを含んでおり、異なる工程において作成された2つのデータを用いて検版を実行することが可能である。図3の例では、検版実行部360は、網点プルーフ用RIP展開データRIPD3にデスクリーニング処理と解像度変換処理とを施すことによって、検版用の多階調画像データMD3を作成する。この検版用多階調画像データMD3は、簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2と解像度が等しく、また、階調数と表色系も同じである。なお、簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2もこの検版処理に利用されるので、これを「検版用多階調画像データMD2」とも呼ぶ。
【0040】
比較部366は、これらの検版用多階調画像データMD2,MD3を比較することによって検版結果データを作成して出力する。具体的には、例えば、比較部366は、2つの検版用多階調画像データMD2,MD3の画素値の差分を画素毎に求め、各画素の差分で構成された画像データを検版結果データとして作成する。検版結果データは、表示部400に表示してもよく、あるいは、プリントアウトしても良い。
【0041】
図4は、検版結果データに基づいて表示部400に表示された検版結果の一例を示す説明図である。図4(A)は、2つの検版用多階調画像データに差異のない場合を示している。この画像は、円形の2つの部品OB1,OB2と、文字(テキスト)の部品OB3とを含んでいる。2つの検版用多階調画像データに差異のない場合には、各部品OB1,OB2,OB3は薄い目立たない色でそれぞれ表示されている。図4(B)は、2つの検版用多階調画像データに差異がある場合を示している。すなわち、円形の2つの部品OB1,OB2の上部において、2つの検版用多階調画像データに大きな差異があり、この部分が目立つ色で表示されている。この結果、検版作業者は、この検版結果を観察することによって、印刷物が正しいか否かを判断することが可能である。
【0042】
なお、一般に、検版結果においては、2つの検版用多階調画像データの画素値の差分が所定の閾値以上の画素を目立たない表示態様で表示し、一方、画素値の差分が閾値よりも小さな画素を目立つ表示態様で表示するようにすることが好ましい。このような表示態様の違いとしては、色や点滅の有無などを利用することができる。閾値としては、任意の値を採用することが可能である。例えば、画素値の差分が0でなければ差異があるものとして目立つ表示を行うようにしてもよい。
【0043】
図5は、第1実施例における検版処理の手順を示すフローチャートである。ステップS1では、作業者が検版対象とする2つの印刷物データを指定する。図6は、検版対象の印刷物データを指定するためのユーザインターフェース画面の一例を示している。ここでは、網点プルーフ用RIP展開データRIPD3に対して検版を実行することと仮定している。このユーザインターフェース画面には、ジョブ名を指定するためのフィールドF1と、網点プルーフデータのファイル名を指定するためのフィールドF2と、検版時に比較対象となるデータのファイル名を指定するためのフィールドF3とを含んでいる。作業者が、検版対象となる2つの印刷物データのファイル名をフィールドF2,F3に指定すると、これらの2つの印刷物データの解像度と階調数と表色系とがそれぞれ表示される。この例では、網点プルーフデータRIPD3(網点プルーフ用RIP展開データ)は、解像度が2400dpi、階調数が1ビット/色/画素、表色系がYMCKであることが表示されている。また、比較データとしては、台割面付け処理工程で作成された簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2が指定されており、その解像度が600dpi、階調数が8ビット/色/画素、表色系がYMCKであることが表示されている。なお、解像度と階調数と表色系以外のパラメータも表示されるようにしてもよい。作業者がこれらの表示内容を確認し、「検版実行」のボタンB1をクリックすると、これらの2つの印刷物データを用いて検版処理が開始される。
【0044】
ステップS2(図5)では、デスクリーニング処理部362が、検版対象として指定された2つの印刷物データの少なくとも一方が2値画像データであるか否かを判断する。図6の例では、網点プルーフデータRIPD3の階調数が1ビットであり、2値画像データである。2値画像データに対してはステップS3,S4の処理が実行され、多階調画像データに対してはステップS3,S4は省略される。
【0045】
ステップS3では、デスクリーニング処理部362がデスクリーニング処理を実行する。ここで、「デスクリーニング処理」とは、2値画像の多値化処理を意味している。図7は、デスクリーニング処理の手順を示すフローチャートである。デスクリーニング処理では、まず、2値画像の解像度RBと、網点サイズDSとから、デスクリーニング処理に用いるマスクのサイズMSを算出する(ステップT1)。図8は、マスクサイズMSの決定方法を示している。図8(A)の小さな四角は画素PXHである。デスクリーニング用マスクDSMのサイズMSは、マスクDSMの一辺の画素数である。このマスクサイズMSは、例えば以下の(1a)式または(1b)式で算出される。
【0046】
MS=Int{RB[dpi]/DS[lpi]} …(1a)
MS=Odd{RB[dpi]/DS[lpi]} …(1b)
【0047】
ここで、RBは2値画像の解像度であり、その単位は[dpi]である。また、DSは2値画像を網掛け処理した際に用いられた網点ピッチ(「スクリーン線数」とも呼ばれる)であり、単位は[lpi](線/インチ)である。(1a)式の演算子Int{ }は、括弧内の値を整数化する処理を意味している。また、(1b)式の演算子Odd{ }は、括弧内の値を整数化し、さらに、その整数値以上の最も小さな奇数を取る処理を意味している。例えば、RB=2400dpi,DS=150線/インチの場合には、(1a)式によって得られるマスクサイズMSは16[画素]であり、(1b)式によって得られるマスクサイズMSは17[画素]である。なお、(1b)式を用いると、マスクサイズMSが常に奇数になるので、中心画素(図8(A)の中央にある斜線を伏した画素)を中心として、四方に同数の画素が存在するようなマスクDSMを使用することができるため、より好ましい。
【0048】
図7のステップT2では、このマスクサイズMSを一辺とするデスクリーニング用マスクDSMを用いて2値画像の画素値の加重平均を求め、これによってマスク位置における多値画像の画素値を求める。図8(A)には、このマスクDSMの重み分布の一例が示されている。通常は、このように中心画素の重みが最も大きく、周辺画素の重みが最も小さくなるように設定される。但し、マスクDSMの最外周にある画素の重みは、0よりも大きな値に設定することが好ましい。
【0049】
なお、ステップT2の処理は、図8(B)に示すように、2値画像の画像領域内でマスクを1画素ずつ順次移動しながら行われる。この結果、元の2値画像と同じ解像度で、各画素のビット数が増加した多値画像を得ることができる。例えば、マスクサイズMSが16画素のマスクを用いると、0〜255の階調値を有する8ビットの多値画像を得ることができる。一方、マスクサイズMSが17画素のマスクを用いると、0〜288の階調値が得られるが、この場合にも0〜288の階調値を0〜255に正規化して8ビットの多値画像を得ることができる。
【0050】
こうして、デスクリーニング処理によって多階調画像データが得られると、図5のステップS4において解像度変換部364(図3)が解像度変換を実行する。この解像度変換は、2値画像をデスクリーング処理して得られた多階調画像データを、他の検版用多階調画像データRIPD2の解像度に一致させるための処理である。例えば、図6の例では、網点プルーフデータRIPD3の解像度が2400dpiであり、比較データ(簡易プルーフ用RIP展開データ)RIPD2の解像度が600dpiなので、網点プルーフデータRIPD3をデスクリーニング処理して得られた2400dpiの多階調画像データの解像度を、600dpiに低減する処理が実行される。この解像度変換としては、例えば単純平均化処理を用いることができる。
【0051】
なお、検版対象となっていた2つの印刷物データの表色系が異なる場合には、解像度変換処理の前または後に表色系の変換を行うことが好ましい。表色系の変換は、ルックアップテーブルや変換マトリクスを用いて行うことが可能である。
【0052】
こうして、検版対象となる2つの印刷物データRIPD2,RIPD3のうち、2値画像データであるデータRIPD3を多値化することによって、解像度と階調数と表色系とが同一の2つの検版用多階調画像データMD2(=RIPD2),MD3を得ることができる(図3)。比較部366は、これらの2つの検版用多階調画像データMD2,MD3を画素毎に比較して、画素値の差分が所定の閾値よりも大きな部分を目立つ色で表示する。この結果、検版作業者は、この検版結果を観察することによって、印刷物が正しいか否かを判断することが可能である。
【0053】
なお、本実施例では、多階調画像データ同士を比較することによって検版を行っているので、画素値に差異があるか否かを判断するための閾値としては、画素値の範囲(8ビットであれば0〜100%)のうちのゼロでない最小値よりも大きな値を用いることが好ましい。例えば、閾値を画素値の範囲の5〜10%程度の値に設定すれば、差異が大きな画素のみを検出して出力することができるので、差異の発見が容易である。
【0054】
以上のように、第1実施例では、検版対象となる2つの印刷物データRIPD2,RIPD3のうちで、2値画像データである印刷物データRIPD3にデスクリーニング処理を行うことによって検版用多階調画像データMD3を作成し、これを他方の印刷物データ(多階調画像データ)RIPD2と比較することによって検版を行うようにしたので、異なる工程間の印刷物データRIPD2,RIPD3に関して検版を行うことが可能である。このような利点は、特に、図3に示した製版工程S11〜S15を最初に実行する際に顕著である。すなわち、この製版工程S11〜S15を最初に実行する際には、網点プルーフ用RIP展開データRIPD3が初めて作成されるので、このRIP展開データRIPD3に関して検版を実行しようとしても、その校正前の網点プルーフ用RIP展開データが存在しないために検版ができないのが普通である。これに対して、第1実施例では、異なる工程で得られた印刷物データRIPD2,RIPD3から2つの検版用多階調画像データMD2,MD3を得ているので、製版工程S11〜S15を最初に実行する際にも、検版を実行できるという利点がある。
【0055】
C.第2実施例:
一般に、デスクリーニング処理は、画素値の重み付き平均を取る演算を利用しているので、画像(特にビットマップ画像)の鮮鋭度を低下させる可能性がある。一方、もともと多階調画像であった検版対象データ(上記の例では簡易プルーフ用RIP展開データRIPD2)は、デスクリーニング処理を受けないので、鮮鋭度の低下は無い。そこで、以下に説明する第2実施例では、多階調画像であった検版対象データRIPD2の鮮鋭度を低下させることによって、2つの検版用多階調画像データの鮮鋭度が同程度になるように調整している。
【0056】
図9は、第2実施例における検版実行部360aの構成を示すブロック図である。図3に示した第1実施例の検版実行部360との違いは、鮮鋭度調整部368が追加されている点だけである。図10は、第2実施例における検版処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、図5に示した第1実施例の手順のステップS2とステップS5との間に、鮮鋭度調整のステップS10を追加したものである。この鮮鋭度調整は、もともと多値画像であった検版対象データRIPD2に対して実行される。
【0057】
図11は、鮮鋭度調整の内容を示す説明図である。図11(A)の左側は、デスクリーング処理で用いられたデスクリーニング用マスクDSMと、解像度変換前の画素PXH(「高解像度画素PXH」と呼ぶ)を示している。また、図11(A)の右側は、解像度変換後の画素PXL(「低解像度画素PXL」と呼ぶ)を示している。この例では、4×4個の高解像度画素PXHが1個の低解像度画素PXLに対応している。
【0058】
図11(B)は、デスクリーニング処理の対象となっていない多階調画像データRIPD2に対して用いられる鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSと重み分布の例を示している。鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSは、デスクリーニング用マスクDSMとほぼ同じ大きさに設定されることが好ましい。具体的には、鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSは、例えば以下の(2a)式または(2b)式で算出される。
【0059】
SMS=Int{RM[dpi]/DS[lpi]} …(2a)
SMS=Odd{RM[dpi]/DS[lpi]} …(2b)
【0060】
ここで、RMは低解像度化後の多階調画像の解像度[dpi]であり、DSは元の2値画像を網掛け処理した際に用いられた用いられた網点サイズDS[線/インチ]である。この網点サイズDSは上述した(1a),(1b)式で用いられたものと同じである。例えば、RM=600dpi,DS=150線/インチの場合には、(2a)式によって得られるマスクサイズSMSは4[画素]であり、(2b)式によって得られるマスクサイズMSは5[画素]である。なお、(2b)式を用いると、マスクサイズSMSが常に奇数になるので、中心画素(図11(B)の中央にある斜線を伏した画素)を中心として、四方に同数の画素が存在するようなマスクSEMを使用することができるので、より好ましい。
【0061】
上述したように、鮮鋭度調整用マスクSEMのサイズSMSは、デスクリーニング処理用マスクDSMのサイズMSとほぼ同じに設定されていることが好ましい。ここで、サイズSMS,DSMが「ほぼ同じ」という意味は、両者の差が、低解像度画素PXLの1個分以下であることを意味している。このように、2つのマスクSEM,DSMのサイズMS,SMSをほぼ同じに設定すれば、デスクリーニング処理による鮮鋭度の低下を、もともと多階調画像であった他方の検版対象データRIPD2にも反映できる。この結果、鮮鋭度がほぼ同じ程度に低下した2つの検版用多階調画像データMD2,MD3を用いて検版を実行できるので、検版をより精度良く行うことが可能である。
【0062】
D.第3実施例:
2値画像にデスクリーニング処理を行うと、文字や罫線のエッジがぼけてしまうという問題も発生する可能性がある。そこで、第3実施例では、文字や罫線に対してはデスクリーニング処理を行わず、ビットマップ画像やチント領域(一様な色で塗りつぶされた領域)に対してのみデスクリーニング処理を実行する。
【0063】
図12は、第3実施例における検版実行部360bの構成を示すブロック図である。図3に示した第1実施例の検版実行部360との違いは、デスクリーニング処理部362の前に領域分離部361が設けられている点だけである。図12は、第3実施例における検版処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、図5に示した第1実施例の手順のステップS2とステップS3との間に領域分離のステップS20を追加したものである。この領域分離は、領域分離部361(図12)が、文字/罫線マスクLMに基づいて実行する。
【0064】
図14は、文字/罫線マスクLMの一例を示す説明図である。ここで、検版対象となる画像は、チント領域である2つの部品OB1,OB2と、文字(テキスト)の部品OB3とを含んでいる。文字/罫線マスクLMは、文字または罫線を含む領域を覆うように設定されている。このような文字/罫線マスクLMは、例えば、デスクリーニング対象となるRIP展開データRIPD3をRIP展開する前に作成しておくことができる。RIP展開前には、各部品が異なるデータ形式で表現されているので、文字/罫線マスクLMを容易に作成することができる。なお、文字/罫線マスクLMが予め作成されていない場合には、他の方法で文字/罫線マスクLMを作成しても良い。例えば、領域分離部361が、デスクリーニング対象となるRIP展開データRIPD3のRIP展開前の未展開データPD3(図3)から文字/罫線マスクLMを作成してもよい。
【0065】
なお、本明細書では、文字/罫線マスクLMで表される領域を「網掛け非対象領域」とも呼ぶ。この理由は、文字や罫線は網点パターンを用いた網掛け処理の対象とならないからである。一方、ビットマップ画像やチントの領域は網点パターンを用いた網掛け処理の対象となるので、これらの領領を「網掛け対象領域」とも呼ぶ。
【0066】
図13のステップS3aでは、ビットマップ/チント領域に対してデスクリーニング処理を選択的に実行する。図15は、このデスクリーニング処理(「分離デスクリーニング処理」と呼ぶ)の手順を示すフローチャートである。ステップT1におけるマスクサイズMSの算出方法は、図7のステップT1と同じである。ステップT2aでは、ビットマップ/チント領域に対してデスクリーニング用マスクDSM(図8(A))を適用して、2値画像を多値化する。一方、文字/罫線領域の画素に対しては、ステップT3において、画素値0をそのまま維持し、画素値1を255(多階調画像の画素値の最高値)に変換する。この処理によって、文字や罫線のエッジをぼけさせることなく、2値画像を多値画像に変換することができる。
【0067】
図13のステップS4aでは、文字/罫線領域とビットマップ/チント領域とを区別した解像度変換が行われる。図16は、これらの2種類の領域に適用される2種類の解像度変換(低解像度化)の一例を示す説明図である。図16(A)に示す第1のタイプの低解像度化では、低解像度画素PXLに対応する複数の高解像度画素PXHの中の代表画素(黒丸を伏した画素)の画素値が、低解像度画素PXLの画素値として採用される。一方、図16(B)に示す第2のタイプの低解像度化では、低解像度画素PXLに対応する複数の高解像度画素PXHの画素値の平均値が、低解像度画素PXLの画素値として採用される。本明細書では、第1のタイプの低解像度化方法を「代表画素法」と呼び、第2のタイプの低解像度化方法を「平均化法」と呼ぶ。代表画素法は、文字/罫線領域に適用され、平均化法はビットマップ/チント領域に適用される。図16(A)(B)を比較すれば理解できるように、代表画素法の方が平均化法よりも画像のエッジが鮮明になる傾向がある。従って、代表画素法を文字/罫線領域に適用するようにすれば、文字や罫線のエッジがぼけてしまうことをより防止することができる。この結果、検版をより精度良く行うことが可能であるという利点がある。
【0068】
なお、このように2種類の領域を区別して解像度変換を行うかわりに、多階調画像の全体に同じ方法で解像度変換を行うようにしてもよい。また、第3実施例におけるステップS20,S3a,S4aの処理は、第2実施例にも適用することが可能である。すなわち、図10のステップS3,S4の代わりに、図13のステップS20,S3a,S4aを実行するようにしてもよい。
【0069】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0070】
E1.変形例1:
上記各実施例では、検版対象データRIPD2,RIPD3の一方が2値画像データで他方が多階調画像データであるものとしたが、両者がともに2値画像データである場合にも本発明を適用することができる。換言すれば、2つの検版対象データのうちの少なくとも一方が2値画像データである場合に本発明を適用可能である。
【0071】
また、上記各実施例では、初校の際の異なる工程で作成された2つの検版対象データを用いて検版を行っていたが、この代わりに、同一の処理工程で作成された校正前後の2つの画像データを検版対象としても良い。例えば、校正によって網点の種類が変更されたときには、同一の処理工程(例えば網点プルーフ処理工程)で作成された2値画像データであっても、その画素値の配置は網点種類に応じてかなり異なる。このような場合に本発明を適用すれば、網点種類の差に係わらず検版を行うことが可能である。一般に、本発明は、2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる2つの印刷物画像データを用いて行う検版に適用することが可能である。
【0072】
E2.変形例2:
デスクリーニング処理(2値画像の多値化処理)としては、上記実施例で説明したものに限らず、種々のデスクリーニング処理を利用可能である。例えば、本出願人によって開示された特開2000−224415号公報に記載された方法が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷製版システムの全体構成を示す説明図。
【図2】ワークフローシステムの機能的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施例の製版工程における検版方法を示す説明図。
【図4】検版結果データに基づいて表示部400に表示された検版結果の一例を示す説明図。
【図5】第1実施例における検版処理の手順を示すフローチャート。
【図6】検版対象の印刷物データを指定するためのユーザインターフェース画面の一例を示す説明図。
【図7】デスクリーニング処理の手順を示すフローチャート。
【図8】マスクサイズMSの決定方法を示す説明図。
【図9】第2実施例における検版実行部360aの構成を示すブロック図。
【図10】第2実施例における検版処理の手順を示すフローチャート。
【図11】鮮鋭度調整の内容を示す説明図。
【図12】第3実施例における検版実行部360aの構成を示すブロック図。
【図13】第3実施例における検版処理の手順を示すフローチャート。
【図14】領域分離に用いる文字/罫線マスクLMの一例を示す説明図。
【図15】第3実施例におけるデスクリーニング処理(分離デスクリーニング処理)の手順を示すフローチャート。
【図16】文字/罫線領域とビットマップ/チント領域に適用される2種類の解像度変換(低解像度化)の一例を示す説明図。
【符号の説明】
100…デザイン装置
200…ワークフロー作成システム
300…ワークフロー制御システム
310…プリフライト処理部
320…台割面付け処理部
330…自動製版処理部
340…網点プルーフ処理部
350…最終出力処理部
360…検版実行部
361…領域分離部
362…デスクリーニング処理部
364…解像度変換部
366…比較部
370…画像データ記憶部
380…鮮鋭度調整部
390…制御部
392…パラメータ決定部
400…表示部
410…簡易プルーフ出力機
420…網点プルーフ出力機
430…プレート出力機
Claims (9)
- 印刷物画像を処理するための複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査するための検版方法であって、
(a)同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる第1と第2の印刷物画像データを準備する工程と、
(b)前記第1と第2の印刷物画像データのうち2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第1と第2の印刷物画像データに対応する第1と第2の多階調画像データを生成する工程と、
(c)前記第1と第2の多階調画像データを比較することによって、前記第1と第2の印刷物画像データの差異を検出する工程と、
を備えることを特徴とする検版方法。 - 請求項1記載の検版方法であって、
前記第1の印刷物画像データが多階調画像データであり、前記第2の印刷物画像データが2値画像データであるときに、
前記工程(b)は、
前記第1の印刷物画像データに対して鮮鋭度低下処理を行うことによって前記第1の多階調画像データを生成する工程と、
前記第2の印刷物画像データに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第2の多階調画像データを生成する工程と、
を含む、検版方法。 - 請求項1または2記載の検版方法であって、
前記デスクリーニング処理は、
処理対象の印刷物画像の領域を、網掛け処理されない部品を含む網掛非対象領域と、網掛け処理される部品を含む網掛け対象領域とに区分する工程と、
前記網掛け対象領域に対してのみ選択的にデスクリーニングを実行する工程と、
を含む、検版方法。 - 請求項3記載の検版方法であって、
前記工程(b)は、前記第1と第2の多階調画像データの解像度を一致させるための解像度変換工程を含み、
前記解像度変換工程において、前記網掛け非対象領域に関しては代表画素を用いた解像度低下処理を実行し、前記網掛け領域に関しては平均化による解像度低下処理を実行する、検版方法。 - 印刷物画像を処理するための複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査するための検版を実行可能な印刷製版システムであって、
同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる第1と第2の印刷物画像データのうち、2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第1と第2の印刷物画像データに対応する第1と第2の多階調画像データを生成するデスクリーニング処理部と、
前記第1と第2の多階調画像データを比較することによって、前記第1と第2の印刷物画像データの差異を検出する比較部と、
を備えることを特徴とする印刷製版システム。 - 請求項5記載の印刷製版システムであって、さらに、
前記第1の印刷物画像データが多階調画像データであり、前記第2の印刷物画像データが2値画像データであるときに、前記第1の印刷物画像データに対して鮮鋭度低下処理を行うことによって前記第1の多階調画像データを生成する鮮鋭度調整部を備え、
前記デスクリーニング処理部は、前記第2の印刷物画像データに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第2の多階調画像データを生成する、印刷製版システム。 - 請求項5または6記載の印刷製版システムであって、
前記デスクリーニング処理部は、処理対象の印刷物画像の領域を、網掛け処理されない部品を含む網掛非対象領域と、網掛け処理される部品を含む網掛け対象領域とに区分し、前記網掛け対象領域に対してのみ選択的にデスクリーニングを実行する、印刷製版システム。 - 請求項7記載の印刷製版システムであって、さらに、
前記第1と第2の多階調画像データの解像度を一致させるための解像度変換部を含み、
前記解像度変換部は、前記網掛け非対象領域に関しては代表画素を用いた解像度低下処理を実行し、前記網掛け領域に関しては平均化による解像度低下処理を実行する、印刷製版システム。 - 印刷物画像を処理するための複数の処理工程によって順次処理されてゆく印刷物画像を検査するための検版を実行するためのコンピュータプログラムであって、
同一の印刷物を作成するための2つの印刷物画像データであって、少なくとも一方が2値画像データであり、かつ、画素値の階調数と網点種類とのうちの少なくとも一方が互いに異なる第1と第2の印刷物画像データのうち、2値画像データであるものに対してデスクリーニング処理を行うことによって、前記第1と第2の印刷物画像データに対応する第1と第2の多階調画像データを生成するデスクリーニング処理機能と、
前記第1と第2の多階調画像データを比較することによって、前記第1と第2の印刷物画像データの差異を検出する比較機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
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JP (1) | JP2004152111A (ja) |
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- 2002-10-31 JP JP2002318008A patent/JP2004152111A/ja not_active Abandoned
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