JP2004150985A - 加圧加振試験機 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間に及ぶ加圧加振試験における加圧加振試験機のランニングコストを抑える加圧加振試験機を提供する。
【解決手段】加圧状態にある供試体31に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用油圧シリンダ機構110の油室に流路遮断弁を介装し圧油を供給可能とした油圧ポンプを有する定加圧部を備える。前記加圧用油圧シリンダ機構110のヘッド側油室Aには、供試体31加圧時に当該液室Aと圧力平衡を保つロッド側油室の油室C及び油室Dを備える両ヘッド油圧シリンダ機構126を有する加振部を接続する。前記両ヘッド油圧シリンダ機構126は、両端のヘッド側油室の油室E及び油室Fの加圧、減圧により加振作用をなす。
【選択図】 図1
【解決手段】加圧状態にある供試体31に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用油圧シリンダ機構110の油室に流路遮断弁を介装し圧油を供給可能とした油圧ポンプを有する定加圧部を備える。前記加圧用油圧シリンダ機構110のヘッド側油室Aには、供試体31加圧時に当該液室Aと圧力平衡を保つロッド側油室の油室C及び油室Dを備える両ヘッド油圧シリンダ機構126を有する加振部を接続する。前記両ヘッド油圧シリンダ機構126は、両端のヘッド側油室の油室E及び油室Fの加圧、減圧により加振作用をなす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向の加圧力を供試体に付加しつつさらに同方向の加振を加える加圧加振試験機に係り、特に高速道路等の橋桁または建造物の下部に備えられる免振ゴムの加圧加振試験に好適な加圧加振試験機である。
【0002】
【従来の技術】
従来、供試体特に免振ゴムの耐久試験を行う試験機としては、特許文献1に記載の試験機を使用していた。前記試験機は、水平方向への繰り返し荷重と鉛直方向への一定荷重を免振ゴムに与える試験機である。当該試験機は、鉛直加圧側のシリンダ加圧室にアキュムレータを接続することにより、高速度の水平加振で変化する免振ゴムの高さに対して、鉛直加圧用シリンダが追従して一定荷重を加えられるようにしたものである。しかしながら、上記試験機では、供試体に鉛直方向の一定荷重を加え続けることは可能であるが、鉛直方向へ加圧状態から加振を行うことはできなかった。
【0003】
そこで、供試体に対して鉛直方向への加圧・加振といった耐久試験を行う試験機として、図4に示される加圧加振試験機を用いていた。図4の加圧加振試験機は、油圧シリンダ機構5を備え、前記油圧シリンダ機構の各油室にはそれぞれ油給排経路が接続されている。前記油給排経路は、油の流路切り替えをなすサーボ弁の一方の口に接続される。前記サーボ弁の他方の口には、作動油タンク7とサーボ弁4とを接続する油給排経路と、作動用のポンプ2とサーボ弁4とを接続する油給排経路が接続される。前記サーボ弁4は、上記4本の油給排経路の吸入又は吐出を流路の組み合わせにより制御する。前記ポンプ2とサーボ弁4との間にはアキュームレータ3が備えられる。また、前記ポンプ2には駆動用のモータ1が備えられる。
【0004】
上記加圧加振試験機による加圧加振は、サーボ弁4を双方向通路にしておき、ポンプ2を作動させ油圧シリンダ機構5の加圧室に作動油を流入させ加圧状態にする。規定圧力上限まで加圧した後、サーボ弁4を交差通路に切換ることで加圧室内の圧油が作動油タンク7へ流出し、加圧室内の圧力を規定圧力下限まで減圧する。減圧後再びサーボ弁4を双方向通路に切り替えて加圧する。例えば、140トン±50トンの加圧加振を行う場合には、190トンの圧力と、90トンの圧力を繰り返し加えることにより、加圧状態を維持して加振を行うようにしていた。
【0005】
また、三次元加振試験機のように、XYZの三軸加振を行う場合には、加振台が傾いたとしても常にZ軸(垂直方向)には橋桁または建造物に相当する荷重が加えられるため、油圧シリンダ機構5を上下逆向きにし、重量物を常に支えた状態で垂直に加振する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−41870号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記加圧加振試験機による加圧加振では、モータ及びポンプは、定加圧分の圧力と加振加圧分の圧力を加減算した圧力を加えることができる出力のものでなければならない。また、前記モータ及びポンプは、加圧加振試験機の作動中、常に大出力のまま運転されることになる。
【0008】
このため、免振ゴムの耐久試験のように定加圧(140トン)状態からさらに加圧(+50トン)減圧(−50トン)による加振を200万回にわたって行う長時間にわたる繰り返しの加圧加振試験では、大出力の作動装置を常時運転させる必要があるため、多大なランニングコストがかかる問題がある。
本発明では上記問題を解決し、長時間のランニングコストを比較的安価に抑えることを可能な加圧加振試験機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る加振加圧試験機は、加圧状態にある供試体に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用液圧シリンダ機構の加圧室に定加圧を導入する加圧部を接続するとともに加振用液圧シリンダ機構を有する加振部を接続し、前記加振用液圧シリンダ機構はピストンロッドを共通にする複シリンダ構成をなし、各シリンダのロッド側液室には前記定加圧部による加圧力並びにこれと平衡する圧力を導入しつつヘッド側液室に加振液圧を導入して前記加圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにしたことを特徴としている。
【0010】
前記加振用液圧シリンダ機構の各ロッド側液室の一方には加圧用液圧シリンダ機構の加圧室を接続するとともに他方にはアキュームレータを接続し、これら加圧室とアキュームレータとを開閉弁を介して接続してなり、前記加振用液圧シリンダ機構の各ヘッド側液室には両吐出型ポンプを接続して閉回路内にて圧液の往復通流による加振ができるように構成すればよい。
【0011】
なお、上記手段による加圧加振試験機は、垂直方向(一方向)の加圧加振に対応するものであるが、水平方向の加振試験機と組み合わせ、多軸試験機とすることもできる。
この場合には、水平方向の加振試験機としては、加圧状態にある供試体に加圧方向と交差する方向にアクチュエータにより振動させる多軸試験機において、前記アクチュエータを液圧シリンダ機構により構成し、当該液圧シリンダ機構の両液室に圧液を供給可能な両吐出型斜板ポンプを接続し、この斜板ポンプの駆動モータとともに、斜板切り替え操作ユニットにより吐出流路方向を切り替え可能とすることができる。
【0012】
前記駆動モータにはフライホイールを接続して慣性回転可能な構成にでき、さらに、前記斜板切り替えユニットは斜板操作用液圧シリンダ機構を用い、当該斜板操作用液圧シリンダ機構の両液室にモータ駆動の両吐出型ポンプを接続して斜板切り替えを可能とすればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施形態について図面に従って説明する。図1は本実施形態に係る加圧加振試験機の構成を示す概略図である。本実施形態に係る加圧加振試験機は、供試体31を押圧するメインの加圧用液圧シリンダ機構を備えており、この液圧シリンダ機構の加圧室に定加圧を導入する定加圧部と、前記液圧シリンダ機構の加圧室に加振用の圧力を導入して供試体31に振動を加える加振用液圧シリンダ機構を備えた加振部からなる。
【0014】
前記定加圧部は、加圧用液圧シリンダ機構である片ロッドの油圧シリンダ機構110を備え、供試体31に定加圧を加えるためのものである。前記油圧シリンダ機構110のヘッド側油室A及びロッド側油室Bを接続する油給排経路113を有し、この油給排経路113には液圧ポンプとして両吐出型斜板ポンプ(1方向回転2方向流れの可変容量ポンプ)114を介装している。両吐出型斜板ポンプ114は、斜板の切換操作により圧油の吐出方向を切り替えるようになっており、通常はヘッド側油室Aに圧油を供給することにより供試体31を一定加圧するようにしている。
【0015】
油室Aとモータ112の間の油給排経路113には、油室A側から順に、油室A内の圧力を測定するための圧力計124と、高圧作動油の逆流防止用の流路遮断弁であるパイロット式チェック弁118が備えられる。また、油室Bとモータ112の間の油給排経路113には、リリーフ弁120及びチェック弁122が備えられる。前記リリーフ弁120及びチェック弁122は油圧シリンダ機構110のロッドに接続される図示しないロードセル、スライド機構及び供試体31の総重量によりロッドが引張られ、自然落下しないように油室Bの油圧を保つためのものである。また、前記リリーフ弁120とチェック弁122とは、合わせてカウンタバランスとも言われている。前記パイロット式チェック弁118及びリリーフ弁120は、パイロット経路からのパイロット信号(パイロット圧)を受けることにより、流路を開とするようになっている。このため、リリーフ弁120のパイロット経路119は、油室A内の圧力を共有可能な箇所であるパイロット式チェック弁118と油室Aとの間の油給排経路113に接続される。ここでパイロット経路119の接続先は、油室A内の圧力を共有可能であれば良いため、油室Aに直接接続する等でも良い。また、パイロット式チェック弁118のパイロット経路121は、油室B内の圧力を共有可能な箇所であるリリーフ弁と油室Bとの間の油給排経路113に接続される。パイロット経路121の接続先も、油室B内の圧力を共有可能であればよいため、前記箇所に限定するものではない。
【0016】
また、三次元加振試験機のように加振台ごと供試体31を支える場合には、油圧シリンダ機構110を逆転させ、ロッドを上向きにし、多点支持とする。このときパイロット式チェック弁118は油室Bへ、リリーフ弁120は油室Aへそれぞれ接続される。
【0017】
前記油圧シリンダ機構110は、ピストン111の摺動時に油室Aと油室Bとで吐出または吸引される作動油量が異なる。このため両吐出型斜板ポンプ114に供給される作動油量を調整するための油量差補正回路116を、パイロット式チェック弁118とチェック弁122との間の油給排経路113に、両吐出型斜板ポンプ114と並列に接続する。
【0018】
加振部は、供試体31に振動を加えるための加振用液圧シリンダ機構を備える。この加振部は前記加圧部による加圧力を無負荷状態にして加振させるようにしている。このため、まず、加振用液圧シリンダ機構は、シリンダブロック内部を長手方向に二分する仕切内壁を持つシリンダブロックと、前記仕切内壁を貫通するロッドの両端にヘッド部を持つピストン127とからなる、両ヘッド油圧シリンダ機構126である。前記両ヘッド油圧シリンダ機構126のヘッド側の油室である油室E及び油室Fには、両吐出型斜板ポンプ128を介して両油室を連通する油給排経路129が接続される。前記両吐出型斜板ポンプ128は、モータ130により1方向へ一定回転で駆動され、斜板を制御して圧油の流れの方向及び油量を制御する。前記両ヘッド油圧シリンダ機構126の両ロッド側の油室C及び油室Dにはそれぞれ油給排経路123と油給排経路125が接続される。油給排経路123は、油室A内の圧力を共有可能な定加圧部の油室Aに接続される。油給排経路123の接続位置は、油室Aと油室Cとの内圧が平衡状態を保つ位置であればよい。油給排経路125は、先端にアキュームレータ132を備える。また、加振部は、前記油給排経路123と油給排経路125をバイパスするバイパス経路131を備える。前記バイパス経路131は、アキュームレータ132と油室D内の圧力及び、油室Cと油室A内の圧力とを平衡状態にし、両者を独立経路とするための流路遮断弁の開閉弁134を備える。上記構成により、前記加圧部による加圧力を無負荷状態にして加振動作可能となる。
【0019】
定加圧部による供試体31への加圧は、以下の通りである。両吐出型斜板ポンプ114の斜板を操作して圧油の吐出を油室A側にしてモータ112を駆動させる。モータ112の駆動により圧油は油室A側の油給排経路113へ吐出される。両吐出型斜板ポンプ114から吐出された圧油は、パイロット式チェック弁118を通過して、油圧シリンダ機構110の油室Aに流入する。油室Aに圧油が流入すると、油室A内の圧力は上昇し、リリーフ弁120にパイロット信号(パイロット圧)が送られ、リリーフ弁120は開になり、油室B内の圧油が両吐出型斜板ポンプ114へ流出可能となり、ピストン111が押し下げられる。このとき供試体31はピストン111下部で圧力を受ける。
【0020】
油室Aに流入した圧油は同時に、加振部に繋がる油給排経路123を通り油室Cに流入する。このとき開閉弁134は開としておくため、圧油はバイパス経路131を経て、油給排経路125を通り油室D及びアキュームレータ132へも流入する。
【0021】
油室A内の圧力が指定圧力に達した後、開閉弁134を閉の状態にする。このとき、油室A、油室C、油室D及びアキュームレータ132内の圧力は平衡状態にある。
上記状態において、両吐出型斜板ポンプ128及びモータ130を作動させることによって加圧状態の油圧シリンダ機構110に圧力変化を与え、供試体31へ振動を付加することが可能となる。
【0022】
両吐出型斜板ポンプ128の斜板を制御し、吐出を油室E側にしてモータ130を駆動すれば、圧油は油室Eへ流入し、油室E内の圧力上昇に伴いピストン127は油室C側へ押される。ピストン127の移動に伴って油室Cから流出した圧油は油給排経路123を通り油室Aへと流入する。油室Eからの加圧により、油室C及び油室A内の圧力は上昇し、油圧シリンダ機構110は加圧状態からさらに加圧されたことになる。このとき、油室F内の圧油は、両吐出型斜板ポンプ128へ流入し、油室D内にはアキュームレータ132から圧油が流入する。
【0023】
両吐出ポンプ128の斜板を操作し、圧油の流れを逆転させると、圧油は油室Fに流入し、油室F内の圧力上昇に伴いピストン127は油室D側へ押される。ピストン127の移動に伴って油室Dから流出した圧油はアキュームレータ132へ流入する。このとき油室E内の圧油は、両吐出型斜板ポンプ128へ流入し、油室C内へは油室Aから圧油が流入する。このため、油室A及び油室Cには油室Fに付加した分の負圧がかかり、両油室内の圧力は下降する。つまり、油圧シリンダ機構110は加圧状態のまま減圧されたことになる。
上記両吐出型斜板ポンプ128による圧油の吐出方向の切り替え操作を繰り返すことにより、加圧状態の油圧シリンダ機構110を介して供試体31に規定圧力の振動を加えることができる。
【0024】
上記構成のもとでは、油圧シリンダ機構110に規定の圧力をかけた状態で開閉弁134を閉にすることで、油圧シリンダ機構110の油室Aと両ヘッド油圧シリンダ機構126の油室C及び油室Dとアキュームレータ132との二つの閉鎖空間で内圧が平衡状態で保たれる。これにより、両ヘッド油圧シリンダ機構126の油室E及び油室Fは無付加状態のまま、供試体31に油圧シリンダ機構110の規定圧力をかけた状態とすることができる。つまり、油室Eに付加された圧力は、油圧シリンダ機構110の規定圧力に加算され、油室Fに付加された圧力は油圧シリンダ機構110の規定圧力から減算される。よって、加振部には加圧部と同等以上の圧力発生機構を必要としない。
【0025】
加圧加振試験機において、加圧用油圧シリンダ機構110とは別に、両ヘッド油圧シリンダ機構126を設け、前記両ヘッド油圧シリンダ機構126のロッド側油室と油圧シリンダ機構110のヘッド側油室との圧力平衡をなしつつ、前記両ヘッド油圧シリンダ機構126の油室E、油室Fに両吐出型斜板ポンプ128を接続して加振可能にしたことにより、加圧状態から加振試験を行う際の源動力をモータ130のみとすることが可能となり、長時間のランニングコストが比較的安価となる。
【0026】
なお、上記実施例において、両吐出型斜板ポンプ114による圧油の吐出を油室B側とすることにより、供試体31の牽引試験を行うことができる。
また、多軸試験機として応用する実施例としては、図2に示すように、上記構成の垂直方向(一方向)の加圧加振試験機に加え、以下に示す水平方向の加振試験機を組み合わせるものがある。
【0027】
この実施形態に係る多軸試験機は、床盤上に垂直加圧シリンダ機構のベース20が設置されており、このベース20には機枠が取り付けられている。この機枠は門型フレーム21からなり、ベース20から立ちあがる支柱部をガイドシャフト22として構成している。門型フレーム21の水平中心部には垂直加圧用の油圧シリンダ機構110が下向きに伸縮できるように取り付けられている。前記ガイドシャフト22に案内されて加圧ブロック29がスライド昇降できるように取り付けられ、この加圧ブロック29を前記垂直加圧用の油圧シリンダ機構110により昇降駆動させるようにしている。加圧ブロック29は、ベース20上に置かれた水平方向に往復運動できるスライドテーブル30と対面されており、スライドテーブル30上に置かれた供試体31を加圧する。これにより、供試体31の垂直加圧試験や垂直振動試験を行うことができる。
【0028】
また、スライドテーブル30には水平加振シリンダ機構40が連結されており、水平加振シリンダ機構40が往復運動するとともにスライドテーブル30も往復運動する構成となっている。前記水平加振シリンダ機構40の両油室には油圧回路41を介して両吐出型斜板ポンプ50を接続し、前記油圧回路41は閉回路構成としている。また、油圧回路41には回路内の圧力を一定に保つためのリリーフ弁43a及びリリーフ弁43bが設けられている。
【0029】
前記両吐出型斜板ポンプ50の概略図を図3に示す。この両吐出型斜板ポンプ50は圧油の吐出作用をなすピストン51を収容した回転ブロック51Aを有し、この回転ブロック51Aを斜板52に摺動させながら駆動モータ42(図2参照)に連結された回転シャフト42Aによって回転させるようにしている。斜板52はハウジング50A内に保持され、傾斜角度を変更できるように取り付けられている。斜板52の角度を変更するために斜板52にはアーム53が設けられており、このアーム53の先端部に斜板切り替え用シリンダ機構54のロッド端を連結している。これによりシリンダ機構54のロッドを伸縮動作させることにより、斜板52の角度が変更され、吐出方向と吐出量を変更できるものとなっている。したがって、斜板52は水平加振シリンダ機構40へ交互に圧油を吐出するよう斜板切り替え動作させることができる。
【0030】
この構成により、供試体31を垂直油圧シリンダ機構110で加圧した状態で、水平加振シリンダ機構40により水平振動試験を行うには、駆動モータ42とともに回転する斜板52に接続したピストン51が動作すると同時に、斜板52に接続したシリンダ機構54が動作することにより斜板52の向きが変わり、圧油を吐出する方向を切り替えることができるので、両吐出型斜板ポンプ50から油圧回路41への吐出方向が交互に切り替わって圧油が供給される。水平加振シリンダ機構40の一対の油室(ヘッド側およびロッド側)へ交互に圧油が供給され、これにより水平加振シリンダ機構40のロッド40Aに連結されたスライドテーブル30は往復運動を行い、供試体31の水平振動試験を行える。また、両吐出型斜板ポンプ50を油圧回路41に接続し、閉回路中を循環する作動油によって水平加振シリンダ機構40を往復運動させる構成としているため、作動油を加圧するアキュムレータや大量の作動油を貯蔵する作動油タンクを必要とせず、同時に多軸試験機の設置面積の半分を占めていたアキュムレータ設置面積分を減少することができる。
【0031】
また、駆動モータ42にフライホイール44を接続し、フライホイール44の慣性回転によりエネルギを駆動モータ42に伝達するよう構成しておくと、フライホイール44で蓄積されたエネルギが駆動モータ42を介して前記両吐出型斜板ポンプ50に伝達される。フライホイール44の回転エネルギEはE=(1/2)Jω2で表されるので、例えば、フライホイール44の重量を300kg、回転半径を0.5mとし、フライホイール44が1500rpmから1200rpmまで減速してエネルギを駆動モータ42に伝達したときのエネルギは333kWとなる。このエネルギは駆動モータ42を介して前記両吐出型斜板ポンプ50に伝達されるため、駆動モータ42の出力はフライホイール44で生じた分のエネルギ分を小さくすることができる。従来技術では、例えば1200kWの駆動モータ42が必要であった場合でも、駆動モータ42にフライホイール44を接続した多軸試験機では、300kW程度の駆動モータ42で水平加振シリンダ40を振動することができる。このため、小型の駆動モータ42で大出力を必要とする振動を行うことができるため、コスト削減を図ることができる。
【0032】
水平方向の加振試験機と組み合わせ多軸試験機としたことにより、垂直方向に加圧加振状態で、水平方向の加振を加えることが可能となり、供試体31に複雑な振動を与える試験が可能となる。また、上記構成の水平方向の加振試験機と組み合わせて多軸試験機としたことにより、従来の多軸試験機に比べ、多軸試験機の設置面積が大幅に削減される。また、試験施設の小型化に伴い、設置にかかるコストも大幅に削減できる。
【0033】
本実施例では作動ポンプに両吐出型斜板ポンプを使用したが、これを2方向回転2方向流れの固定容量ポンプとし、モータにより回転方向及び回転速度を制御し、圧油の流れの方向及び油量を決定しても良い。
【0034】
【発明の効果】
上記の発明によれば、加圧状態にある供試体31に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用液圧シリンダ機構の液室に流路遮断弁を介装し圧液を供給可能とした液圧ポンプを有する定加圧部を備え、前記加圧用液圧シリンダ機構のヘッド側液室には、供試体31加圧時に当該ヘッド側液室と圧力平衡を保ちつつ、加振可能な液圧シリンダ機構を有する加振部を接続したことにより、加圧状態を保持しながらの長時間の加振試験にかかるランニングコストを比較的安価とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧加振試験機の概略図である。
【図2】加圧加振試験機の多軸試験機への応用例を示す概略図である。
【図3】両吐出型斜板ポンプの構造を示す断面図である。
【図4】加圧加振試験機の従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
31………供試体、110………油圧シリンダ機構、111………ピストン、112………モータ、114………両吐出型斜板ポンプ、116………油量差補正回路、118………パイロット式チェック弁、120………リリーフ弁、122………チェック弁、124………圧力計、126………両ヘッド油圧シリンダ機構、127………ピストン、128………両吐出型斜板ポンプ、130………モータ、132………アキュームレータ、134………開閉弁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向の加圧力を供試体に付加しつつさらに同方向の加振を加える加圧加振試験機に係り、特に高速道路等の橋桁または建造物の下部に備えられる免振ゴムの加圧加振試験に好適な加圧加振試験機である。
【0002】
【従来の技術】
従来、供試体特に免振ゴムの耐久試験を行う試験機としては、特許文献1に記載の試験機を使用していた。前記試験機は、水平方向への繰り返し荷重と鉛直方向への一定荷重を免振ゴムに与える試験機である。当該試験機は、鉛直加圧側のシリンダ加圧室にアキュムレータを接続することにより、高速度の水平加振で変化する免振ゴムの高さに対して、鉛直加圧用シリンダが追従して一定荷重を加えられるようにしたものである。しかしながら、上記試験機では、供試体に鉛直方向の一定荷重を加え続けることは可能であるが、鉛直方向へ加圧状態から加振を行うことはできなかった。
【0003】
そこで、供試体に対して鉛直方向への加圧・加振といった耐久試験を行う試験機として、図4に示される加圧加振試験機を用いていた。図4の加圧加振試験機は、油圧シリンダ機構5を備え、前記油圧シリンダ機構の各油室にはそれぞれ油給排経路が接続されている。前記油給排経路は、油の流路切り替えをなすサーボ弁の一方の口に接続される。前記サーボ弁の他方の口には、作動油タンク7とサーボ弁4とを接続する油給排経路と、作動用のポンプ2とサーボ弁4とを接続する油給排経路が接続される。前記サーボ弁4は、上記4本の油給排経路の吸入又は吐出を流路の組み合わせにより制御する。前記ポンプ2とサーボ弁4との間にはアキュームレータ3が備えられる。また、前記ポンプ2には駆動用のモータ1が備えられる。
【0004】
上記加圧加振試験機による加圧加振は、サーボ弁4を双方向通路にしておき、ポンプ2を作動させ油圧シリンダ機構5の加圧室に作動油を流入させ加圧状態にする。規定圧力上限まで加圧した後、サーボ弁4を交差通路に切換ることで加圧室内の圧油が作動油タンク7へ流出し、加圧室内の圧力を規定圧力下限まで減圧する。減圧後再びサーボ弁4を双方向通路に切り替えて加圧する。例えば、140トン±50トンの加圧加振を行う場合には、190トンの圧力と、90トンの圧力を繰り返し加えることにより、加圧状態を維持して加振を行うようにしていた。
【0005】
また、三次元加振試験機のように、XYZの三軸加振を行う場合には、加振台が傾いたとしても常にZ軸(垂直方向)には橋桁または建造物に相当する荷重が加えられるため、油圧シリンダ機構5を上下逆向きにし、重量物を常に支えた状態で垂直に加振する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−41870号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記加圧加振試験機による加圧加振では、モータ及びポンプは、定加圧分の圧力と加振加圧分の圧力を加減算した圧力を加えることができる出力のものでなければならない。また、前記モータ及びポンプは、加圧加振試験機の作動中、常に大出力のまま運転されることになる。
【0008】
このため、免振ゴムの耐久試験のように定加圧(140トン)状態からさらに加圧(+50トン)減圧(−50トン)による加振を200万回にわたって行う長時間にわたる繰り返しの加圧加振試験では、大出力の作動装置を常時運転させる必要があるため、多大なランニングコストがかかる問題がある。
本発明では上記問題を解決し、長時間のランニングコストを比較的安価に抑えることを可能な加圧加振試験機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る加振加圧試験機は、加圧状態にある供試体に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用液圧シリンダ機構の加圧室に定加圧を導入する加圧部を接続するとともに加振用液圧シリンダ機構を有する加振部を接続し、前記加振用液圧シリンダ機構はピストンロッドを共通にする複シリンダ構成をなし、各シリンダのロッド側液室には前記定加圧部による加圧力並びにこれと平衡する圧力を導入しつつヘッド側液室に加振液圧を導入して前記加圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにしたことを特徴としている。
【0010】
前記加振用液圧シリンダ機構の各ロッド側液室の一方には加圧用液圧シリンダ機構の加圧室を接続するとともに他方にはアキュームレータを接続し、これら加圧室とアキュームレータとを開閉弁を介して接続してなり、前記加振用液圧シリンダ機構の各ヘッド側液室には両吐出型ポンプを接続して閉回路内にて圧液の往復通流による加振ができるように構成すればよい。
【0011】
なお、上記手段による加圧加振試験機は、垂直方向(一方向)の加圧加振に対応するものであるが、水平方向の加振試験機と組み合わせ、多軸試験機とすることもできる。
この場合には、水平方向の加振試験機としては、加圧状態にある供試体に加圧方向と交差する方向にアクチュエータにより振動させる多軸試験機において、前記アクチュエータを液圧シリンダ機構により構成し、当該液圧シリンダ機構の両液室に圧液を供給可能な両吐出型斜板ポンプを接続し、この斜板ポンプの駆動モータとともに、斜板切り替え操作ユニットにより吐出流路方向を切り替え可能とすることができる。
【0012】
前記駆動モータにはフライホイールを接続して慣性回転可能な構成にでき、さらに、前記斜板切り替えユニットは斜板操作用液圧シリンダ機構を用い、当該斜板操作用液圧シリンダ機構の両液室にモータ駆動の両吐出型ポンプを接続して斜板切り替えを可能とすればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施形態について図面に従って説明する。図1は本実施形態に係る加圧加振試験機の構成を示す概略図である。本実施形態に係る加圧加振試験機は、供試体31を押圧するメインの加圧用液圧シリンダ機構を備えており、この液圧シリンダ機構の加圧室に定加圧を導入する定加圧部と、前記液圧シリンダ機構の加圧室に加振用の圧力を導入して供試体31に振動を加える加振用液圧シリンダ機構を備えた加振部からなる。
【0014】
前記定加圧部は、加圧用液圧シリンダ機構である片ロッドの油圧シリンダ機構110を備え、供試体31に定加圧を加えるためのものである。前記油圧シリンダ機構110のヘッド側油室A及びロッド側油室Bを接続する油給排経路113を有し、この油給排経路113には液圧ポンプとして両吐出型斜板ポンプ(1方向回転2方向流れの可変容量ポンプ)114を介装している。両吐出型斜板ポンプ114は、斜板の切換操作により圧油の吐出方向を切り替えるようになっており、通常はヘッド側油室Aに圧油を供給することにより供試体31を一定加圧するようにしている。
【0015】
油室Aとモータ112の間の油給排経路113には、油室A側から順に、油室A内の圧力を測定するための圧力計124と、高圧作動油の逆流防止用の流路遮断弁であるパイロット式チェック弁118が備えられる。また、油室Bとモータ112の間の油給排経路113には、リリーフ弁120及びチェック弁122が備えられる。前記リリーフ弁120及びチェック弁122は油圧シリンダ機構110のロッドに接続される図示しないロードセル、スライド機構及び供試体31の総重量によりロッドが引張られ、自然落下しないように油室Bの油圧を保つためのものである。また、前記リリーフ弁120とチェック弁122とは、合わせてカウンタバランスとも言われている。前記パイロット式チェック弁118及びリリーフ弁120は、パイロット経路からのパイロット信号(パイロット圧)を受けることにより、流路を開とするようになっている。このため、リリーフ弁120のパイロット経路119は、油室A内の圧力を共有可能な箇所であるパイロット式チェック弁118と油室Aとの間の油給排経路113に接続される。ここでパイロット経路119の接続先は、油室A内の圧力を共有可能であれば良いため、油室Aに直接接続する等でも良い。また、パイロット式チェック弁118のパイロット経路121は、油室B内の圧力を共有可能な箇所であるリリーフ弁と油室Bとの間の油給排経路113に接続される。パイロット経路121の接続先も、油室B内の圧力を共有可能であればよいため、前記箇所に限定するものではない。
【0016】
また、三次元加振試験機のように加振台ごと供試体31を支える場合には、油圧シリンダ機構110を逆転させ、ロッドを上向きにし、多点支持とする。このときパイロット式チェック弁118は油室Bへ、リリーフ弁120は油室Aへそれぞれ接続される。
【0017】
前記油圧シリンダ機構110は、ピストン111の摺動時に油室Aと油室Bとで吐出または吸引される作動油量が異なる。このため両吐出型斜板ポンプ114に供給される作動油量を調整するための油量差補正回路116を、パイロット式チェック弁118とチェック弁122との間の油給排経路113に、両吐出型斜板ポンプ114と並列に接続する。
【0018】
加振部は、供試体31に振動を加えるための加振用液圧シリンダ機構を備える。この加振部は前記加圧部による加圧力を無負荷状態にして加振させるようにしている。このため、まず、加振用液圧シリンダ機構は、シリンダブロック内部を長手方向に二分する仕切内壁を持つシリンダブロックと、前記仕切内壁を貫通するロッドの両端にヘッド部を持つピストン127とからなる、両ヘッド油圧シリンダ機構126である。前記両ヘッド油圧シリンダ機構126のヘッド側の油室である油室E及び油室Fには、両吐出型斜板ポンプ128を介して両油室を連通する油給排経路129が接続される。前記両吐出型斜板ポンプ128は、モータ130により1方向へ一定回転で駆動され、斜板を制御して圧油の流れの方向及び油量を制御する。前記両ヘッド油圧シリンダ機構126の両ロッド側の油室C及び油室Dにはそれぞれ油給排経路123と油給排経路125が接続される。油給排経路123は、油室A内の圧力を共有可能な定加圧部の油室Aに接続される。油給排経路123の接続位置は、油室Aと油室Cとの内圧が平衡状態を保つ位置であればよい。油給排経路125は、先端にアキュームレータ132を備える。また、加振部は、前記油給排経路123と油給排経路125をバイパスするバイパス経路131を備える。前記バイパス経路131は、アキュームレータ132と油室D内の圧力及び、油室Cと油室A内の圧力とを平衡状態にし、両者を独立経路とするための流路遮断弁の開閉弁134を備える。上記構成により、前記加圧部による加圧力を無負荷状態にして加振動作可能となる。
【0019】
定加圧部による供試体31への加圧は、以下の通りである。両吐出型斜板ポンプ114の斜板を操作して圧油の吐出を油室A側にしてモータ112を駆動させる。モータ112の駆動により圧油は油室A側の油給排経路113へ吐出される。両吐出型斜板ポンプ114から吐出された圧油は、パイロット式チェック弁118を通過して、油圧シリンダ機構110の油室Aに流入する。油室Aに圧油が流入すると、油室A内の圧力は上昇し、リリーフ弁120にパイロット信号(パイロット圧)が送られ、リリーフ弁120は開になり、油室B内の圧油が両吐出型斜板ポンプ114へ流出可能となり、ピストン111が押し下げられる。このとき供試体31はピストン111下部で圧力を受ける。
【0020】
油室Aに流入した圧油は同時に、加振部に繋がる油給排経路123を通り油室Cに流入する。このとき開閉弁134は開としておくため、圧油はバイパス経路131を経て、油給排経路125を通り油室D及びアキュームレータ132へも流入する。
【0021】
油室A内の圧力が指定圧力に達した後、開閉弁134を閉の状態にする。このとき、油室A、油室C、油室D及びアキュームレータ132内の圧力は平衡状態にある。
上記状態において、両吐出型斜板ポンプ128及びモータ130を作動させることによって加圧状態の油圧シリンダ機構110に圧力変化を与え、供試体31へ振動を付加することが可能となる。
【0022】
両吐出型斜板ポンプ128の斜板を制御し、吐出を油室E側にしてモータ130を駆動すれば、圧油は油室Eへ流入し、油室E内の圧力上昇に伴いピストン127は油室C側へ押される。ピストン127の移動に伴って油室Cから流出した圧油は油給排経路123を通り油室Aへと流入する。油室Eからの加圧により、油室C及び油室A内の圧力は上昇し、油圧シリンダ機構110は加圧状態からさらに加圧されたことになる。このとき、油室F内の圧油は、両吐出型斜板ポンプ128へ流入し、油室D内にはアキュームレータ132から圧油が流入する。
【0023】
両吐出ポンプ128の斜板を操作し、圧油の流れを逆転させると、圧油は油室Fに流入し、油室F内の圧力上昇に伴いピストン127は油室D側へ押される。ピストン127の移動に伴って油室Dから流出した圧油はアキュームレータ132へ流入する。このとき油室E内の圧油は、両吐出型斜板ポンプ128へ流入し、油室C内へは油室Aから圧油が流入する。このため、油室A及び油室Cには油室Fに付加した分の負圧がかかり、両油室内の圧力は下降する。つまり、油圧シリンダ機構110は加圧状態のまま減圧されたことになる。
上記両吐出型斜板ポンプ128による圧油の吐出方向の切り替え操作を繰り返すことにより、加圧状態の油圧シリンダ機構110を介して供試体31に規定圧力の振動を加えることができる。
【0024】
上記構成のもとでは、油圧シリンダ機構110に規定の圧力をかけた状態で開閉弁134を閉にすることで、油圧シリンダ機構110の油室Aと両ヘッド油圧シリンダ機構126の油室C及び油室Dとアキュームレータ132との二つの閉鎖空間で内圧が平衡状態で保たれる。これにより、両ヘッド油圧シリンダ機構126の油室E及び油室Fは無付加状態のまま、供試体31に油圧シリンダ機構110の規定圧力をかけた状態とすることができる。つまり、油室Eに付加された圧力は、油圧シリンダ機構110の規定圧力に加算され、油室Fに付加された圧力は油圧シリンダ機構110の規定圧力から減算される。よって、加振部には加圧部と同等以上の圧力発生機構を必要としない。
【0025】
加圧加振試験機において、加圧用油圧シリンダ機構110とは別に、両ヘッド油圧シリンダ機構126を設け、前記両ヘッド油圧シリンダ機構126のロッド側油室と油圧シリンダ機構110のヘッド側油室との圧力平衡をなしつつ、前記両ヘッド油圧シリンダ機構126の油室E、油室Fに両吐出型斜板ポンプ128を接続して加振可能にしたことにより、加圧状態から加振試験を行う際の源動力をモータ130のみとすることが可能となり、長時間のランニングコストが比較的安価となる。
【0026】
なお、上記実施例において、両吐出型斜板ポンプ114による圧油の吐出を油室B側とすることにより、供試体31の牽引試験を行うことができる。
また、多軸試験機として応用する実施例としては、図2に示すように、上記構成の垂直方向(一方向)の加圧加振試験機に加え、以下に示す水平方向の加振試験機を組み合わせるものがある。
【0027】
この実施形態に係る多軸試験機は、床盤上に垂直加圧シリンダ機構のベース20が設置されており、このベース20には機枠が取り付けられている。この機枠は門型フレーム21からなり、ベース20から立ちあがる支柱部をガイドシャフト22として構成している。門型フレーム21の水平中心部には垂直加圧用の油圧シリンダ機構110が下向きに伸縮できるように取り付けられている。前記ガイドシャフト22に案内されて加圧ブロック29がスライド昇降できるように取り付けられ、この加圧ブロック29を前記垂直加圧用の油圧シリンダ機構110により昇降駆動させるようにしている。加圧ブロック29は、ベース20上に置かれた水平方向に往復運動できるスライドテーブル30と対面されており、スライドテーブル30上に置かれた供試体31を加圧する。これにより、供試体31の垂直加圧試験や垂直振動試験を行うことができる。
【0028】
また、スライドテーブル30には水平加振シリンダ機構40が連結されており、水平加振シリンダ機構40が往復運動するとともにスライドテーブル30も往復運動する構成となっている。前記水平加振シリンダ機構40の両油室には油圧回路41を介して両吐出型斜板ポンプ50を接続し、前記油圧回路41は閉回路構成としている。また、油圧回路41には回路内の圧力を一定に保つためのリリーフ弁43a及びリリーフ弁43bが設けられている。
【0029】
前記両吐出型斜板ポンプ50の概略図を図3に示す。この両吐出型斜板ポンプ50は圧油の吐出作用をなすピストン51を収容した回転ブロック51Aを有し、この回転ブロック51Aを斜板52に摺動させながら駆動モータ42(図2参照)に連結された回転シャフト42Aによって回転させるようにしている。斜板52はハウジング50A内に保持され、傾斜角度を変更できるように取り付けられている。斜板52の角度を変更するために斜板52にはアーム53が設けられており、このアーム53の先端部に斜板切り替え用シリンダ機構54のロッド端を連結している。これによりシリンダ機構54のロッドを伸縮動作させることにより、斜板52の角度が変更され、吐出方向と吐出量を変更できるものとなっている。したがって、斜板52は水平加振シリンダ機構40へ交互に圧油を吐出するよう斜板切り替え動作させることができる。
【0030】
この構成により、供試体31を垂直油圧シリンダ機構110で加圧した状態で、水平加振シリンダ機構40により水平振動試験を行うには、駆動モータ42とともに回転する斜板52に接続したピストン51が動作すると同時に、斜板52に接続したシリンダ機構54が動作することにより斜板52の向きが変わり、圧油を吐出する方向を切り替えることができるので、両吐出型斜板ポンプ50から油圧回路41への吐出方向が交互に切り替わって圧油が供給される。水平加振シリンダ機構40の一対の油室(ヘッド側およびロッド側)へ交互に圧油が供給され、これにより水平加振シリンダ機構40のロッド40Aに連結されたスライドテーブル30は往復運動を行い、供試体31の水平振動試験を行える。また、両吐出型斜板ポンプ50を油圧回路41に接続し、閉回路中を循環する作動油によって水平加振シリンダ機構40を往復運動させる構成としているため、作動油を加圧するアキュムレータや大量の作動油を貯蔵する作動油タンクを必要とせず、同時に多軸試験機の設置面積の半分を占めていたアキュムレータ設置面積分を減少することができる。
【0031】
また、駆動モータ42にフライホイール44を接続し、フライホイール44の慣性回転によりエネルギを駆動モータ42に伝達するよう構成しておくと、フライホイール44で蓄積されたエネルギが駆動モータ42を介して前記両吐出型斜板ポンプ50に伝達される。フライホイール44の回転エネルギEはE=(1/2)Jω2で表されるので、例えば、フライホイール44の重量を300kg、回転半径を0.5mとし、フライホイール44が1500rpmから1200rpmまで減速してエネルギを駆動モータ42に伝達したときのエネルギは333kWとなる。このエネルギは駆動モータ42を介して前記両吐出型斜板ポンプ50に伝達されるため、駆動モータ42の出力はフライホイール44で生じた分のエネルギ分を小さくすることができる。従来技術では、例えば1200kWの駆動モータ42が必要であった場合でも、駆動モータ42にフライホイール44を接続した多軸試験機では、300kW程度の駆動モータ42で水平加振シリンダ40を振動することができる。このため、小型の駆動モータ42で大出力を必要とする振動を行うことができるため、コスト削減を図ることができる。
【0032】
水平方向の加振試験機と組み合わせ多軸試験機としたことにより、垂直方向に加圧加振状態で、水平方向の加振を加えることが可能となり、供試体31に複雑な振動を与える試験が可能となる。また、上記構成の水平方向の加振試験機と組み合わせて多軸試験機としたことにより、従来の多軸試験機に比べ、多軸試験機の設置面積が大幅に削減される。また、試験施設の小型化に伴い、設置にかかるコストも大幅に削減できる。
【0033】
本実施例では作動ポンプに両吐出型斜板ポンプを使用したが、これを2方向回転2方向流れの固定容量ポンプとし、モータにより回転方向及び回転速度を制御し、圧油の流れの方向及び油量を決定しても良い。
【0034】
【発明の効果】
上記の発明によれば、加圧状態にある供試体31に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用液圧シリンダ機構の液室に流路遮断弁を介装し圧液を供給可能とした液圧ポンプを有する定加圧部を備え、前記加圧用液圧シリンダ機構のヘッド側液室には、供試体31加圧時に当該ヘッド側液室と圧力平衡を保ちつつ、加振可能な液圧シリンダ機構を有する加振部を接続したことにより、加圧状態を保持しながらの長時間の加振試験にかかるランニングコストを比較的安価とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧加振試験機の概略図である。
【図2】加圧加振試験機の多軸試験機への応用例を示す概略図である。
【図3】両吐出型斜板ポンプの構造を示す断面図である。
【図4】加圧加振試験機の従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
31………供試体、110………油圧シリンダ機構、111………ピストン、112………モータ、114………両吐出型斜板ポンプ、116………油量差補正回路、118………パイロット式チェック弁、120………リリーフ弁、122………チェック弁、124………圧力計、126………両ヘッド油圧シリンダ機構、127………ピストン、128………両吐出型斜板ポンプ、130………モータ、132………アキュームレータ、134………開閉弁。
Claims (2)
- 加圧状態にある供試体に加圧方向と同方向の振動を加える加圧加振試験機において、加圧用液圧シリンダ機構の加圧室に定加圧を導入する加圧部を接続するとともに加振用液圧シリンダ機構を有する加振部を接続し、前記加振用液圧シリンダ機構はピストンロッドを共通にする複シリンダ構成をなし、各シリンダのロッド側液室には前記定加圧部による加圧力並びにこれと平衡する圧力を導入しつつヘッド側液室に加振液圧を導入して前記加圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにしたことを特徴とする加圧加振試験機。
- 前記加振用液圧シリンダ機構の各ロッド側液室の一方には加圧用液圧シリンダ機構の加圧室を接続するとともに他方にはアキュームレータを接続し、これら加圧室とアキュームレータとを開閉弁を介して接続してなり、前記加振用液圧シリンダ機構の各ヘッド側液室には両吐出型ポンプを接続して閉回路内にて圧液の往復通流による加振を可能としたことを特徴とする請求項1記載の加圧加振試験機。
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