JP2004148795A - 情報記録表示カード、それを用いる画像の形成消去方法と画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアシートとオーバーシートとを少なくとも含み該コアシートと該オーバーシートとが貼り合わされてなり該オーバーシートは、非晶質ポリエステル樹脂を少なくとも含有する支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含有し加熱温度及び加熱後の冷却速度の少なくともいずれかの違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有してなり、画像表示部として機能し、下記条件A)B)及びC)を満たし該オーバーシート上にエンボス加工が可能であることを特徴とする情報記録表示カード。A)[消去上限温度−30℃]>[オーバーシートの貯蔵弾性率E’(1.0E+08)の温度]B)表面うねりWCMが10μm以下C)1.0E+02Pa≦[感熱可逆性オーバーシートの180℃での貯蔵弾性率E’]≦5.0E+07Pa
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱による情報の可視表示と書き換え機能並びに情報の記憶と書き換え機能を合わせ持つ情報記録表示カード、それに用いられる可逆性感熱記録材料からなるオーバーシート及び画像表示消去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
会員カード、IDカード、クレジットカード、キャッシュカードあるいはICカード等の情報記録カードは、カードの一部に磁気テープやICチップ等の情報記憶部が配置されたものであるが、この情報記憶部に特に金銭などの個人機密情報等を記録でき、小型サイズで利便性が高いために現在社会の各国で広く普及されている。この情報記録カードは、記録された情報を特別な機器を使用して読取り書き換えを行なうなどして使用されるが、カード所有者が記録された情報を直接視覚で認識できない欠点を有しているものである。
【0003】
一方、一時的な画像形成が行なえ、不要となったときにはその画像の消去ができるような、すなわち表面に情報が可視的に表示され、かつ情報の書き換えが可能なリライトカードの開発が行なわれ、近年市場で使用されている。このリライトカードには、磁性の情報記憶機能を設けたものもある。
このリライトカードが持つ、情報を画像として可視的に表示しかつ書き換可能とする機能は、分子構造内にラクトン環を持ち、電子放出によりラクトン環を開環させて構造変化をもたらし発色を呈する電子供与性化合物(いわゆるロイコ染料)と、顕減色剤として酸・塩基化合物との間で、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させることによって発現するものであり、例えばこのような電子供与性化合物と顕減色剤とを主成分として樹脂母材中に含有させてなる可逆性感熱記録層が支持体上に設けられてなる可逆性記録材料をリライトカードとしたものである(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
さらに詳しくは、この可逆性感熱記録材料は、酸と塩基の反応速度の差を利用して、発色と消色を繰り返すものである。ロイコ染料と顕色剤として長鎖アルキル基を持つ電子受容性化合物とを樹脂母材中に含有する可逆性感熱記録材料が開示されている(例えば、特許文献3、4参照。)。これは顕色剤が長鎖アルキル構造であるので、凝集力を持ち、ロイコ染料に接触したり分離することにより、発色と消色を繰り返すものである。
【0005】
この可逆性感熱記録材料が有する、情報を可視的に表示しかつ書き換え可能とする機能は、従来からある情報記録カードの上述した欠点を充分補填できるものとして注目され、画像表示部として情報を可視的に表示しかつ書き換え可能とする機能と、情報記憶部として情報を記録し書き換え可能とする機能の双方を合わせ持つカード(以後情報記録表示カードという)が開発され、最近市場で使われ始めている。
この情報記録表示カードは、基本的には、可逆性感熱記録材料のような支持体上に少なくとも可逆性感熱記録層が設けられてなるものをオーバーシートとして、また従来の情報記録カードのような機能を有するものをコアシートとして用い、該オーバーシートの支持体側をコアシートに重ねて熱圧着等することによって形成されるものである。
該情報記録表示カードの画像表示機能は、オーバーシートが担うが、情報記憶機能についてはその種類によって異なり、磁気テープのような磁性材料による情報記憶機能についてはオーバーシートでもコアシートでも持たせることができるが、ICチップ、アンテナコイルあるいは磁気ストライプ等のような場合には厚手のコアシートに配置するのが一般的である。
情報記録表示カードは、薄手のものと厚手のものがあるが、オーバーシートの厚さは薄いため、通常情報記録表示カードの厚さはコアシートの厚さに左右される。
【0006】
最近市場で使われ始めている前記情報記録表示カードは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムを支持体として用いた感熱可逆性オーバーシートと、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂や塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体のようなポリ塩化ビニル系樹脂あるいはポリカーボネイト樹脂を素材とされたコアシートとを組合わせたものである。
これらの材料が広く使用される理由としては、オーバーシートの支持体に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムは、特に可逆性記録層を形成する組成物を溶剤に溶解した液に対する耐溶剤性が高く、またコアシート材料に使用されるポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)は、物理的な特性、機械的な特性、そして文字部のエンボス加工適性などが優れているためであると考えられている。
このポリ塩化ビニル系樹脂は、熱によってある程度の柔軟性を発現する点において、オーバーシートの支持体としても画像消去特性を得るのに適した材料でもある。
【0007】
しかしながら、このポリ塩化ビニル系樹脂は、このようにカードの素材として優れたところがあるが、使用後の廃棄の際、焼却時に塩化水素ガスを発生するために、焼却炉を傷めて寿命を縮める主原因になっているとの一部の見解がある。さらに、ダイオキシンとの関連性は明確にされていないものの、各国で脱PVCの動きが活発になってきており、このポリ塩化ビニル系樹脂は、情報記録表示カードのみならず従来の情報記録カードにも使用されているが、それらの公共性の高さから、国内においてもこのPVCから他の材料への切り替えが要望されている。
【0008】
そこで、情報記録表示カードについて、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂等のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂をカード素材として利用することが検討されている。
中でもポリカーボネート樹脂等のカード基材は、耐熱性が高く熱による変形が少なく耐久性品質の面で優れた材料であるため、これを使用した情報記録表示カードも市場に出てきている。
しかしながら、ポリカーボネート系樹脂は、変形性が少ないためにエンボス加工性は低く、またサーマルヘッド使用による書き込み消去する可逆性感熱記録材料では、印加時のヘッドマッチング性が損われ感度特性が低下し、特に消去しにくくなるという欠点を有しており、ポリ塩化ビニル系樹脂に換え得る素材は従来確認されていない。
【0009】
一方、オーバーシートとコアシートとを貼り合わせた後の一体物に対して、エンボス加工を行なうことによって形成される、「浮き出し表示」の刻印を情報記録表示カードに存在させることは、個人情報を容易に認識できる利便性と使用勝手の点で重要であり、特にクレジットカードと銀行カードなどのような厚手のカードに「浮き出し表示」を設けることについては、現在社会においてはなくてはならないものになってきており、ユーザーおよび各種関連業者からの要望は極めて高いものである。
この「浮き出し表示」としては、主にカード番号、有効期限、所有者氏名などを挙げることができ、例えば店における決済時に複写伝票にカードを挟みこんで、ローラによって「浮き出し表示」を写し取る機能を有し、国内外で普及しているものである。
【0010】
オーバーシートの支持体として用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムは、剛性で加圧による変形が少なくエンボス加工が極めてしにくい材料であるために、コアシートに用いられるポリ塩化ビニル系樹脂がエンボス加工しやすい材料であっても、PETを用いたオーバーシートの場合には、オーバーシートの上方からエンボス加工しても、満足できる「浮き出し表示」は得られない。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムは、厚みが厚すぎるとエンボス加工の際、カードが割れるという問題を有するものである。
特に、前述のような、非接触型ICチップ、アンテナコイルあるいは磁気ストライプ等を埋めこんで加工するような厚みカードの場合、その凹凸を充分に吸収することができないため、カード表面が平坦にならないという難点があった。そのため、サーマルヘッドなどによる記録の書き換えがうまく行なえず、時には無理やり印字圧とか温度を高くして行なうこととなり、その結果、傷がつきやすく、打痕が残ったり、カードが変形する等の不具合を引き起こし、用途や製造方法が特定のものに限定されやすく、汎用カードの製造工程を利用することが難しかった。
【0011】
最近市場で使われ始めている情報記録表示カードについていえば、コアシート表面にオーバーシートが存在しないエンボス加工できるスペースをつくり、すなわちコアシートに貼りつけるオーバーシートとして、その大きさをコアシートの表面積より狭めたものを用意して、それをコアシートに貼りつけ、オーバーシートが存在しないスペースに「浮き出し表示」を設けたものである。
このようなやり方は、面積を狭くしたオーバーシートをコアシートに位置精度良く貼りつけなければならない等といった製造面の制約があり、また情報記録表示カードとして、オーバーシートの画像表示機能として面積が限定されたものであるという欠点を有するものである。
従がって、コアシート全面にオーバーシートを貼りつけたものについては、エンボス加工をすることができず、「浮き出し表示」がない情報記録表示カードになってしまうことになる。
【0012】
オーバーシートとして用いられる可逆性感熱記録材料が「感熱」で熱に敏感な特殊なものであり、このような性質を有するオーバーシートをコアシート上に重ねて、加圧加熱して一体化し、さらにエンボス加工を完了するまでの各工程で、この「可逆感熱性」という特殊性を冒さずに、情報記録表示カードを作製することは、かなりの困難性が伴うものである。
【0013】
また、オーバーシートの支持体として用いられるポリエチレンテレフタレートフイルムが、ポリカーボネート樹脂以上に、耐熱性が高く熱による変形が少ない材料であるため、市場で使われ始めている情報記録表示カードは、オーバーシート表面に加熱手段として例えばサーマルヘッドをあてると、その熱によって支持体表面はほとんど変形しないために、サーマルヘッド面とオーバーシート表面との密着が不充分になって、熱印加時のヘッドマッチング性が損われ感度特性が低下し、特に消去しにくくなり、満足な画像消去特性が得られないという欠点を有しているものである。
【0014】
本発明者等は、この種の情報記録表示カードに関連する公知資料について調査し、その結果、エンボス加工性あるいはエンボス加工性とそれに伴う画像消去特性について取り上げられたあるいは触れられたものがないことを確認した。
以下に、情報記録表示カードが開示された特許文献を挙げて具体例を説明する。
【0015】
その1つとして、支持体上に印刷層、光透過度50%以上の透明支持体、可逆性記録層および保護層を設けた可逆性記録フイルムをオーバーシートとし、この支持体側とコアシートとを接着剤で一体化してなる厚手の情報記録表示カードがあるが、エンボス加工について課題として挙げられていないばかりか、一切記載がなく考慮されていないものである(例えば、特許文献5参照)。
【0016】
この支持体および透明支持体として適用可能な材料については、「耐熱性、引っ張り強度などに優れた強靭なプラスチックフィルムが適用できる」旨、および「厚み8.5μmから300μmの範囲から選択され、好ましくは8.5μmから250μm前後の厚みが用いられる」旨同様に説明され、具体例として「例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)」が挙げられ、透明支持体についてはさらに「塩ビフイルム、PET−Gフィルム、ポリカーボネイトフィルム」が挙げられている。
しかしながら、例示されたこれらのフィルムは「引っ張り強度などに優れた強靭なプラスチックフィルム」と説明されてはいるものの、エンボス加工の観点でいえば、強靭でないものと強靭すぎるもの、あるいは熱による変形が少ないものと多いものとがあって、明らかにエンボス加工が不可能なものがある。
また、前記の厚みの点においても、例えば、実施例1では、支持体として用いられているポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さについて記載がないものの、透明支持体として厚さが25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられているが、厚すぎてオーバーシートにエンボス加工をしてみてもそれが不可能なものであることは明らかである。
また、この実施例において形成されたオーバーシート自体、支持体と透明支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルムが使用されているものであるため、熱印加時のヘッドマッチング性が損われ感度特性が低下し、特に画像消去特性が悪いものと考えられる。
なお、コアシート材料として、塩ビ樹脂、PET−Gに代表されるポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂の単独、あるいは混合されたシートが挙げられているが、エンボス加工の可能性を示唆する記載はなく、エンボス加工の観点から検討すると、その可能性があるものとないものとがある。
【0017】
次の例として、カード基材(コアシート)として結晶化度5%以下の低結晶性の熱可塑性樹脂シートが用いられ、これと透明PETフイルム上に可逆性記録層(ロイコ化合物と顕色剤を含む)を設けた可逆感熱記録テープ(オーバーシート)とを貼り合わせてなる厚手の情報記録表示カードについての提案を挙げることができる(例えば、特許文献6参照。)。
この提案では、エンボス加工について示唆する記載は一切なく、厚手のPETフイルム(実施例1では厚み25μm、実施例2では厚み38μm)が用いられていることから、該情報記録表示カードは、エンボス加工は不可能なものであり、また消去特性が悪いものと推察される。
【0018】
次に、ICチップモジュールを組み込んだシート(コアシート)と、フイルム上に可逆性記録層(ロイコ化合物と顕色剤を含む)を設けた可逆感熱記録シート(オーバーシート)とを対向させて、両シート間の空隙に樹脂を射出成形して貼り合わせてなるICカード(厚手の情報記録表示カード)に関する提案があるが、エンボス加工については一切記載されていない(例えば、特許文献7参照。)。
【0019】
さらに、基材上に可逆性感熱記録層(ロイコ化合物と顕色剤を含む)と保護層が設けられた、かんばん方式の量産工場に用いる記録媒体に関する提案があり、基材として多種類のプラスチックフィルムが例示されているが、各実施例で用いられている基材である白色PETは、厚さが188μm、250μmおよび350μmであることから、エンボス加工については一切考慮されていないものである(例えば、特許文献8参照。)。
【0020】
なお、前述の特許文献6、特許文献7および特許文献8には、オーバーシートを構成する支持体用の材料およびコアシートを構成する素材用の材料の具体例として様々なものが挙げられているが、前述した特許文献5について説明したと同様に、例示された材料の中には、エンボス加工の観点から言えば、熱による変形が少ないものと多いものとがあり、エンボス加工が可能なものと不可能なものと様々である。
【0021】
以上の説明から明らかなように、市場で使われ始めている情報記録表示カードは、オーバーシート面上にエンボス加工することができないために、エンボス加工をするために画像表示面積を狭くしたものであり、また画像消去特性が不充分で、しかも廃棄処理時の環境汚染をもたらすものである。
一方、公知資料で開示されている情報記録表示カードについては、エンボス加工性の観点から検討されているものはなく、それに伴う画像消去性を取り上げているものもなく、さらには廃棄処理時の環境汚染の問題を解決するための提案もなされていない。
すなわち、情報記録表示カードについて、充分なエンボス加工性を得るためには、先ずそれを構成するオーバーシートとコアシートのそれぞれが、およびオーバーシートとコアシートとの一体物がエンボス加工性を有することが必要であるが、従来の公知の製品と資料においてはこの観点から検討されたものがないまま、現在に至っているのが実状である。
【0022】
さらに、可逆性感熱記録材料については、特許文献等によって従来から数多くの提案がなされているものの、エンボス加工性を示唆しかつ課題として取り上げたものは皆無であり、さらにそれを情報記録表示カードのオーバーシートとして用いる場合のエンボス加工性を示唆しかつ課題として取り上げたものは皆無であり、したがってこの技術分野においてエンボス加工性を確保しかつそれに伴う画像消去特性を向上することは、新規な課題であると考えられる。
【0023】
なお、エンボス加工性に関して、可逆性感熱記録ではなく加熱による溶融あるいは昇華転写記録分野の、熱転写フィルムに含有する染料を熱によって溶融もしくは昇華させて、その染料を受容し定着するのに用いられる、カード基材上に受容層が設けられた被熱転写カードについての提案がある(例えば、特許文献9参照。)。
この提案は、カード基材に特殊なポリエステルを、受容層に反応性シリコーン系ポリマーを共重合したポリエステル共重合体を用いることによって、被熱転写カードのエンボス加工などの成型特性などが改良されたものであるが、当然のことながら情報記録表示カード(可逆性感熱記録カード)のように、オーバーシートの画像消去性である「可逆感熱性」の特殊性を冒さないで、エンボス加工を両立させることについては一切考慮されていないものである。
【0024】
さらに、可逆性感熱記録材料については、特許文献等によって従来から数多くの提案がなされているものの、エンボス加工性を示唆しかつ課題として取り上げたものは皆無であり、さらにそれを情報記録表示カードのオーバーシートとして用いる場合のエンボス加工性を示唆しかつ課題として取り上げたものは皆無であり、したがってこの技術分野においてエンボス加工性を確保しかつそれに伴う繰り返し耐久性を向上することは、新規な課題であると考えられる。
【0025】
【特許文献1】
特開平2−188293号公報
【特許文献2】
特開平2−188294号公報
【特許文献3】
特開平5−124360号公報
【特許文献4】
特開平6−210954号公報
【特許文献5】
特開2001−341427号公報(第2〜4頁、実施例1)
【特許文献6】
特開2000−137782号公報(実施例1および実施例2)
【特許文献7】
特開平11−154210号公報(実施例)
【特許文献8】
特開2001−88443号公報(実施例)
【特許文献9】
特開平11−240262号公報(請求項)
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、エンボス加工性と表示画像の消去特性に優れ、かつ廃棄処理がしやすく廃棄処理時に環境汚染の問題が発生しない情報記録表示カード、エンボス加工性と表示画像消去特性に優れた可逆性感熱記録材料からなるオーバーシート、該情報記録表示カードを用いる画像の形成及び/又は消去を行なう方法と画像処理装置および該情報記録表示カードの製造法を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「コアシートとオーバーシートとを少なくとも含み、該コアシートと該オーバーシートとが貼り合わされてなり、
該オーバーシートは、非晶質ポリエステル樹脂を少なくとも含有する支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含有し加熱温度及び加熱後の冷却速度の少なくともいずれかの違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有してなり、画像表示部として機能し、下記条件(A)、(B)及び(C)を満たし、
該オーバーシート上にエンボス加工が可能である、
ことを特徴とする情報記録表示カード;
なお、下記条件(A)、(B)及び(C)において、「1.0E+08」は、1.0×108を意味し、「1.0E+02」は、1.0×102を意味し、「5.0E+07」は、5.0×107を意味する。
(A)[消去上限温度−30℃]>[オーバーシートの貯蔵弾性率E’(1.0E+08)の温度]
(B)表面うねりWCMが10μm以下
(C)1.0E+02Pa≦[感熱可逆性オーバーシートの180℃での貯蔵弾性率E’]≦5.0E+07Pa」、(2)「前記オーバーシートの貯蔵弾性率E’(1.0E+08)温度が140℃未満であることを特徴とする前記第(1)項に記載の情報記録表示カード」、(3)「前記コアシートのほぼ全表面上にオーバーシートとを貼り合わせてなることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の情報記録表示カード」、(4)「前記支持体が非晶質ポリエステル樹脂、及び非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイ樹脂のいずれかであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(5)「前記支持体と感熱記録層の間にバリア層を設けることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(6)「前記バリア層が樹脂フイルムを貼り付けて形成されたものであることを特徴とする前記第(5)項に記載の情報記録表示カード」、(7)「前記樹脂フイルムの膜厚が8μm以下であることを特徴とする前記第(6)項に記載の情報記録表示カード」、(8)「前記樹脂フイルムが結晶化処理されたポリエステルフィルムであることを特徴とする前記第(6)項または第(7)項に記載の情報記録表示カード」、(9)「前記バリア層がアルコール系溶剤及び水の少なくともいずれかに溶解又は分散可能な樹脂を主成分とすることを特徴とする前記第(5)項に記載の情報記録表示カード」、(10)「前記電子供与性呈色性化合物がロイコ染料であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(11)「前記電子受容性化合物が直鎖炭化水素含有フェノールであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(12)「前記コアシートが少なくとも1枚の厚さ0.05〜5.00mmの熱可塑性樹脂シートからなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(13)「前記コアシートが、感熱可逆性オーバーシートを構成する支持体と同じ材料からなることを特徴とする前記第(12)項に記載の情報記録表示カード」、(14)「情報記憶部を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(15)「前記情報記憶部が磁気材料を主体とするもの及びICチップのいずれかであることを特徴とする前記第(14)項に記載の情報記録表示カード」、(16)「前記コアシートが複数枚の熱可塑性樹脂シートからなり、熱可塑性樹脂シート間にICチップが埋め込まれて情報記憶部とすることを特徴とする前記第(14)項に記載の情報記録表示カード」、(17)「前記オーバーシートに磁気材料を主体とする情報記憶部を有することを特徴とする前記第(14)項に記載の情報記録表示カード」、(18)「エンボス加工による刻印が設けられたことを特徴とする前記第(1)項乃至第(17)項のいずれかに記載の情報記録表示カード」、(19)「エンボス加工による刻印がオーバーシート上に設けられたことを特徴とする前記第(18)項に記載の情報記録表示カード」によって達成される。
また、上記課題は、本発明の(20)「電子受容性化合物の融点以下の温度で熱プレスして、コアシートとオーバーシートとを貼り合わせることを特徴とする前記第(1)項乃至第(19)項のいずれかに記載の情報記録表示カード作製方法」、(21)「150℃以下の温度で熱プレスして、コアシートとオーバーシートとを貼り合わせることを特徴とする前記第(1)項乃至第(19)項のいずれかに記載の情報記録表示カード作製方法」によって達成される。
また、上記課題は、本発明の(22)「前記第(1)項乃至第(19)項のいずれかに記載の情報記録表示カードを構成することを特徴とする感熱可逆性オーバーシート」によって達成される。
また、上記課題は、本発明の(23)「前記第(1)項乃至第(19)項のいずれかに記載の情報記録表示カードの画像表示部表面を加熱することによって画像の表示及び画像の消去の少なくともいずれかを行なうことを特徴とする画像処理方法」、(24)「画像の表示にサーマルヘッドを用いて画像を表示することを特徴とする前記第(23)項に記載の画像処理方法」、(25)「画像の消去にサーマルヘッド及びセラミックヒータのいずれかを用いて画像を消去することを特徴とする前記第(23)項に記載の画像処理方法」、(26)「画像の表示及び消去にサーマルヘッドを用い、画像をオーバーライトし、該画像の消去と新しい画像の表示によりオーバーライトを行なうことを特徴とする前記第(23)項乃至第(25)項のいずれかに記載の画像処理方法」によって達成される。
また、上記課題は、本発明の(27)「前記第(1)項乃至第(19)項のいずれかに記載の情報記録表示カードへの画像の表示及び/又は消去を行なうのに用いられる、画像の表示及び/又は消去を行なう手段を具備してなることを特徴とする画像処理装置」、(28)「画像の表示手段がサーマルヘッドであることを特徴とする前記第(27)項に記載の画像処理装置」、(29)「画像の消去手段がサーマルヘッド及びセラミックヒータのいずれかであることを特徴とする前記第(27)項に記載の画像処理装置」によって達成される。
【0028】
本発明者等は、上記課題の解決のために、情報記録表示カードを構成するオーバーシートとコアシートのうち、特に可逆性感熱記録材料であるオーバーシートを主体にして検討を重ねて、本発明に至ったものである。
オーバーシートを主体にした理由は、オーバーシートが持つ、熱に敏感な「可逆感熱性」の記録材料であると言う特殊性によるものであり、コアシートと組み合わせて加熱加圧し一体化する工程と、その一体化物をエンボス加工する工程にかければ、これらの工程中にかかる熱的あるいは機械的エネルギーによって、オーバーシートの前記特殊性が冒されて、その画像表示機能が低下しあるいは消滅する可能性があるために、本発明者は、このマイナスの可能性を克服し、本発明を創出したものである。
このような本発明の情報記録表示カードは、オーバーシート上にエンボス加工によって「浮き出し表示である刻印」を設けても画像表示部の機能を低下させることはなく、さらに画像表示部に画像を表示した後に、エンボス加工を行なうことができる。
【0029】
本発明のオーバーシートとコアシートとを貼りつけてなる情報記録表示カードにおいて、オーバーシートが合わせ持つ、条件(A)、(B)及び(C)について説明する。
(A)[消去上限温度−30℃]>[該オーバーシートの貯蔵弾性率E’(1.0E+08)の温度]
(B)表面うねりWCMが10μm以下
(C)1.0E+02Pa≦[感熱可逆性オーバーシートの180℃での貯蔵弾性率E’]≦5.0E+07Pa
【0030】
(A)条件[消去上限温度−30℃]>[貯蔵弾性率E’(1.0E+08)の温度]は、本発明の情報記録表示カードが、優れた画像消去特性を確保するために必要なものである。
本発明に用いられるようなロイコ染料(電子供与性呈色性化合物)と顕色剤(電子受容性化合物)とを含有するタイプの可逆性感熱記録材料は、一般的に固有の画像消去温度範囲を有するものであり、上記消去上限温度とは、一般的にオーバーシートである可逆性感熱記録材料に含有する顕色剤の融点に起因するものである。
条件(A)は、本発明において安定した画像消去特性を持たせるためには、[消去上限温度−30℃]の温度領域が、オーバーシートの[貯蔵弾性率E’(1.0E+08)]の温度よりも高いことが必要であることを示したものである。特に、オーバーシートの[貯蔵弾性率E’(1.0E+08)]の温度が、140℃未満であることが、より優れた消去特性を得るために好ましい。
条件(A)において、前記安定した画像消去特性が得られるのは、サーマルヘッドのようなオーバーヘッド表面に密着させる加熱手段を用いる場合に、加熱手段とオーバーヘッド表面との密着性が向上することによると考えられる。
[消去上限温度]は、基本的には可逆性感熱材料の顕色剤の融点で決まるが、測定方法としてはオーバーシートを180℃のホットプレートに接触させ急冷させることで飽和発色画像を形成させた後に、熱傾斜試験機HG−100(東洋精機社製)を用いて、圧力1Kgf/cm、加圧時間1秒、にて5℃刻みで振った加熱版を押し当てることにより消去可能な最高温度を求める。
また、[貯蔵弾性率E’(1.0E+08)の温度]の測定方法としては、岩本製作所製「粘弾性スペクトロメーター」を用いて、動的粘弾性の温度分散を引張り法、周波数1Hzで測定し、実数項を貯蔵弾性率(E’)として算出する。測定温度範囲は−100〜200℃で3℃刻みで貯蔵弾性率(E’)を測定し、貯蔵弾性率(E’)が、1.0E+08に達したときの、温度を求めた。
【0031】
このオーバーシートの[貯蔵弾性率E’(1.0E+08)]の温度は、情報記録表示カードを繰返し使用した場合の耐久性にも影響し、比較的高い温度が好ましいが、80℃以上であることが繰返し耐久性には特に好ましい。
この貯蔵弾性率E’(1.0E+08)が80℃未満であると、数回目の印字で大きくカールが発生することがあり、実用上好ましくない。
【0032】
本発明におけるオーバーシートを構成する支持体として用いる非晶質ポリエステル系樹脂として、例えば、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分との脱水縮合体が挙げられるが、この樹脂からなる支持体は、熱をかけたときに柔軟性が向上する性質を有するものである。
消去加熱手段としてサーマルヘッドを用いる場合、オーバーシートの表面をサーマルヘッドによって熱印加すると、オーバーシートの柔軟性が向上して、サーマルヘッドとの密着性が良くなり、その結果画像消去特性を向上することができる。この柔軟性は、支持体の影響が強いものの、必ずしも支持体の柔軟性がオーバーシート全体の柔軟性を決定するものではない。
【0033】
(B)条件[表面うねりWCMが10μm以下]は、本発明の情報記録表示カードが、優れた画像消去特性と画像の視認性を確保するために必要なものである。支持体上に可逆感熱記録層が設けられた本発明に用いられるオーバーシートの表面うねりWCMは、画像消去特性と画像の視認性等に影響が大きく、できる限り平滑であることが好ましく、高くとも10μm程度であることが必要である。10μmよりも高くなると、加熱手段との密着性が不充分となって画像消去特性が低下する場合が出てきて、また視認性が悪く見栄えが落ちる傾向があって好ましくない。
ここでいう表面うねりWCMとは、ろ波最大うねりを意味するものであり、ろ波うねり曲線から基準長さ(測定長さ5.0mm)を抜き取った部分において、平均線に平行な2直線で抜き取り部を挟んだときの2直線の間隔の値を示したものである。本発明における表面うねりWCMの値は、東京精密社製の表面粗さ形状測定機によって測定し得られた値を表わすものである。
【0034】
この表面うねりは、支持体の材料や厚み及びオーバーシートの製法条件等によって大きく左右されるものである。本発明のようにオーバーシートの支持体として非晶質ポリエステルフィルムを使用した場合には、支持体上に感熱記録層形成液をコーティングした後に行なう乾燥を、100℃以上で行なうと変形を発生させる原因となり、また非晶質ポリエステルフィルムは溶媒に対し溶解性が高いために、一般的に使用されるMEK、トルエン、酢酸エチル、THF等の溶媒が用いられた感熱記録層形成液によると、支持体を浸蝕し、支持体を変形させ表面が荒れる原因となるため、好ましくない。
【0035】
(C)条件[1.0E+02Pa≦[感熱可逆性オーバーシートの180℃での貯蔵弾性率E’]≦5.0E+07Pa]は、本発明の情報記録表示カードを構成するオーバーシートが、優れたエンボス加工性を確保するために必要なものである。
先述したように、クレジットカードやキャッシュカード等に、エンボス加工によって形成される刻印「浮き出し表示」があることが、実用上今や必須要件と言うべき程重要である。
エンボス加工性については、オーバーシートとコアシートおよびこれらの一体物である情報記録表示カードのそれぞれがその可能性に影響するものであるが、満足な画像表示機能を持たせ、しかもエンボス加工性を付与するという厳しい要求のあるオーバーシートについて、本発明においては特に重点的に検討し、その条件に至ったものである。
エンボス加工できるか否かは、オーバーシートの加工温度領域における「柔らかさ」が重要な因子であり、本発明においては、その「柔らかさ」をオーバーシートの貯蔵弾性率で表現したものであり、180℃における貯蔵弾性率が5.0E+07Pa以下のオーバーシートを用いることが必要であり、この条件を満足すれば優位にエンボス加工することができる。
180℃における貯蔵弾性率が5.0E+07Paを越えると、エンボス加工した場合、オーバーシート自身の割れによる層間剥離の原因になったり、また、できあがったカードのソリの原因となってしまう傾向がある。
また、180℃における貯蔵弾性率が1.0E+02Pa未満の場合、フィルム成形時のフィルム成膜不良が発生しフィルム形状が損われてしまうため、好ましくない。
なお、後述のように支持体上にバリア層を設ける場合には、バリア層の材質、厚みが貯蔵弾性率に影響するので、留意が必要である。
[感熱可逆性オーバーシートの180℃での貯蔵弾性率E’]は、前記貯蔵弾性率(E’)の測定・算出方法に従い、180℃における貯蔵弾性率(E’)の値を用いることができる。
【0036】
エンボス加工は、180℃以上で行なうことが多いために、オーバーシートとして180℃時点である程度柔軟であることが必要であり、本発明者らが検討した結果、オーバーシートとして180℃における貯蔵弾性率(E’)が5.0E+07Pa以下にすると、充分なエンボスを施すことができることが可能された。
【0037】
本発明に用いるオーバーシートは、支持体上に少なくとも可逆性感熱記録層が有する可逆性感熱記録材料であり、該可逆性感熱記録層が電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含有し加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。
可逆性感熱記録層を構成する材料、および可逆性感熱記録層の上に保護層を設けるなど、必要に応じて他の層を設けた構成とすることについては、公知の可逆性感熱記録材料が適用可能である。
【0038】
このオーバーシートについて、本発明の課題のエンボス加工性と画像消去特性に最も影響が大きいと考えられる支持体について詳述し、他の技術的事項については後述する。
【0039】
本発明のオーバーシートに用いる支持体としては、エンボス加工性と画像消去特性の他に、コアシートとの一体化性(接着性あるいは熱融着性)を考慮し、非晶質ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物が用いられ、具体的には、一種類の非晶質ポリエステル樹脂組成物を含むものの他に、例えば複数の非晶質ポリエステル樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物や非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物等を用いることができる。
ここで、本発明における非晶質ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分との脱水縮合体から得られるものであって、かつ、カード製造においてプレス融着等の実用上行なわれる熱加工を行なっても結晶化による白濁化や融着不良等の実害を起こさないものをいい、分子構造上結晶性の低いものの他、例えば結晶化処理前のPBT(ポリブチレンテレフタレート)等も含む概念で広く意味する。
【0040】
該非晶質ポリエステル系樹脂の原材料となる芳香族ジカルボン酸成分として好ましく用いられる代表的なものとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換してもよい。
他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。なお、これらの他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸の量も適宜選択することができる。
【0041】
また、該非晶質ポリエステル系樹脂の原材料となるジオール成分として好ましく用いられる代表的なものとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるが、エチレングリコールの一部を他のジオール成分で置換してもよい。
他のジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
なお、これらの他のジオール成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオールの量も適宜選択することができる。
【0042】
また、本発明に用いられる非晶質ポリエステル系樹脂のうち、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させて形成されたポリエチレンテレフタレートがコストの点から好ましいが、前述のように、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルを使用することも本発明の課題達成のために有効である。
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。
【0043】
さらに本発明に用いることができる芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートと上記の共重合ポリエステルとの混合物であってもよい。ただし、共重合ポリエステルを使用する場合には、共重合成分の選択や含有量等によっては、シートのガラス転移温度や引張り弾性率の変化が大きいので注意を要する。
このような混合物の場合に、特に好適に使用できる共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコールの約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換して作製された、実質的に非晶質性の芳香族ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名が「PETG」のものを用いることができる。
【0044】
前記非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物における、該ポリカーボネート樹脂とは、主鎖にカーボネート結合(−O−CO−O−)を有する重合体を広く意味する。
ポリカーボネート系樹脂としては、フェノールとアセトンとから合成されるビスフェノールAから界面重合法、エステル交換法、ピリジン法等によって製造されるもの、ビスフェノールAとジカルボン酸誘導体(例えばテレ(イソ)フタル酸ジクロリド等)との共重合体により得られるポリエステルカーボネート、ビスフェノールAの誘導体(例えばテトラメチルビスフェノールA等)の重合により得られるものを例示することができる。
【0045】
また、本発明のオーバーシート用の支持体として、単層フィルムでなく、支持体に要求される機能が達成されるのであれば、例えば非晶質ポリエステル樹脂フィルムと他の種類の異なるフィルムとの2層以上の積層体であってもよい。
例えば、可逆性感熱記録層を設ける面側に内層を、コアシートと熱圧着させる面側に外層を有する多層構造の積層体として、外層を構成する樹脂の溶融温度が内層を構成する樹脂の溶融温度より低くなるような構成にすると、低温融着性を損なわずにカードの耐熱性を向上させるために有効である。
例えば、外層をポリエステル樹脂とし、内層を非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とからなるポリマーアロイ樹脂組成物の2層シートにすることによって、耐熱性を有し、コアシートとの熱融着性を満たし、しかもエンボス加工性が優れたものとすることができる。
【0046】
さらに、必要に応じて、着色剤、滑剤、フィラー、衝撃改良剤等の添加剤を含有させた支持体フイルムを用いることもできる。特に、タルクのような板状フィラー、あるいはポリブチレンテレフタレートのような引張強度を低下させるポリマーをブレンドした支持体フイルムは、エンボス加工性が向上し好ましく用いることもできる。
【0047】
オーバーシートを構成する支持体の厚さは、作成する情報記録表示カードの厚さによって左右されるが、一般的には50μm〜200μmが好ましく、さらに75μm〜150μmであることがより好ましい。
【0048】
次に、本発明に用いるコアシートについて説明する。
本発明におけるコアシートとは、表面にオーバーシートを貼りつけて一体化し情報記録表示カードを形成するのに用いられるものを意味する。通常四角形の板状でかつ樹脂性のものが多く用いられ、また必要に応じて複数枚重ねて用いることができる。
このコアシートには、情報記憶部を配置されたものが包含され、磁性の情報記憶部の場合には、1枚の樹脂シートに貼り付けたものや埋めこんだものがあり、情報記憶部がICチップやアンテナコイル等のような場合には、厚手の樹脂シートに空隙を空けてそこにはめ込んだものとか、複数の樹脂シート間に挟み込んだもの等がある。
このような情報記憶部を配置されたコアシートについては、磁気テープ等の配置とか、ICチップ等との位置決めは煩雑で手間がかかる作業であるが、画像表示部のない従来の情報記録カードに用いられる技術が適用可能である。
コアシートの厚さは、100μm〜800μmであることが好ましく、さらには、200μm〜600μmがより好ましい。
【0049】
コアシートを構成する材料としては、加熱加圧によって変形する熱可塑性樹脂のシート状のものが好ましく、さらに加熱加圧によってオーバーシートの支持体フイルムと融着性があるものであることが重要であり、オーバーシートとの間に高い接着力を持たせるために用いるコアシートとして、オーバーシートと接触する少なくとも表層部の材料が、オーバーシートと同種類の樹脂を用いることが好ましく、例えば非晶質ポリエステル樹脂同士、ポリカーボネート同士にする等して作製することができる。
熱可塑性樹脂としては、非晶質ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂・非晶質ポリエステル系樹脂アロイが好ましく用いることができるが、これらに限らず、ポリオレフィン系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、生分解性樹脂等の汎用のものを用いることができる。
また、コアシートの材料として、耐熱性が良好なエンジニアリングプラスチックを使用することができる。エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、これらの1種類または2種類以上を主成分とするフィルムやシートが好ましく使用される。
【0050】
また、接着性だけでなく、耐熱性等の複数の機能を持たせるには、コアシートを2層以上とすることが好ましい。この場合、2層以上からなるコアシートを予め作製しておいて、それを用いてオーバーシートと重ねてプレスにかけても良いし、複数のコアシートを用意し、熱プレス時にオーバーシートと重ねて融着させることができる。
コアシートを3層構成にする例を挙げれば、非晶質ポリエステル系樹脂/ポリカーボネート樹脂/非晶質ポリエステル系樹脂あるいは非晶質ポリエステル系樹脂/ポリカーボネート樹脂・非晶質ポリエステル系樹脂アロイ/非晶質ポリエステル系樹脂とすることができ、外層の非晶質ポリエステル系樹脂によって低温における接着性を、中層のポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂・非晶質ポリエステル系樹脂アロイによって耐熱性をもたせることができる。
ここで外層に用いる非晶質ポリエステル系樹脂とは、非晶質ポリエステル系樹脂単体もしくは非晶質ポリエステル系樹脂を主成分とするアロイ物を、また、中層のポリカーボネート樹脂とはポリカーボネート樹脂単体もしくはポリカーボネート樹脂を主成分とするアロイ物を、それぞれ意味している。外層および中層は目的とする用途により、層厚を自由に設定することができる。
【0051】
また、コアシートは透明、半透明または不透明のいずれでもよく、白色や有彩色に着色されてもよく、仕様用途に応じて、適宜設計されることが好ましい。
半透明フィルムおよび不透明なフィルムとする場合には、樹脂の中に無機顔料や有機顔料を配合することができる。透明フィルムとする場合にも透明性を損なわない量の顔料を配合することができる。
コアシートの中には、上記顔料以外にも可塑剤、耐電防止剤等、各種添加剤を配合することができる。
また、コアシートの表面は、接合加工の脱気のためにエンボス加工等が施されていることが好ましい。
【0052】
本発明におけるオーバーシートを構成する支持体とコアシート用のフイルムの、それぞれの製造方法は特に限定されず、公知の方法が適用可能である。
双方が単層の場合には、樹脂組成物をTダイを用いた押出法が用いられ、また一方又は双方が多層の場合には、各層の樹脂組成物を共押出して積層する共押出法あるいは各層をシート状に作製しこれをラミネートする方法が用いられるが、生産性、コスト面を考慮すると共押出法により積層する方法が好ましい。
具体的には、単層の場合、樹脂組成物を配合し、あるいは必要に応じてペレット状にして、Tダイ押出機のホッパーに投入する。そして、温度200℃〜280℃の範囲で溶融して押出し、冷却ロール等で冷却固化してシートを形成する。また、多層の場合、各層の樹脂組成物をそれぞれ配合し、あるいは必要に応じてペレット状にして、複数のTダイが連結されたTダイ押出機の各ホッパーにそれぞれ投入し、温度200℃〜280℃で範囲で溶融して共押出し、冷却ロール等で急冷固化して、積層されたシートを形成する。
【0053】
オーバーシートとコアシートとは、両者の貼り合わせ加工(プレス、ラミネート)したものに高い接着力を持たせるためには、少なくとも両者が接する表層部の材料として同種類の樹脂を用いることが好ましい。
また、オーバーシートとコアシートの厚さとしては、作製しようとするカードの厚さを考慮して選定される。
例えば、JIS X 6301で規定される厚み760μmのカードを作製する場合、50〜250μm厚のオーバーシートと50〜700μm厚のコアシートを所定のカード厚になるように組み合わせて使用することができる。
また、所定の厚さにするため、複数のコアシートを用いてもよい。また、非接触ICカードのように、カード内にICチップやアンテナを包埋した場合は、ICチップやアンテナのサイズを考慮してコアシート厚を選定することができる。
この場合、50〜200μm厚のオーバーシートと50〜400μmのコアシートを用いることが好ましい。特に、100μmのオーバーシートには、280μmのコアシート2枚の組み合わせることが好ましい。
【0054】
以上説明したような、オーバーシートをコアシートに貼り付けて、本発明の情報記録表示カードを製造する方法について説明する。
本発明のおける「貼り付け」の語句は、一体化することを意味し、そのやり方は接着剤で接着することもできるし、加熱加圧して熱融着させることもできる。
図1は、オーバーシートとコアシートとを加熱加圧によって情報記録表示カードを作製する状態を示す概念図で、2枚のコアシートと外層シートを用いる例を示したものである。
オーバーシート(10)は、支持体(1)上にバリア層(2)、可逆性記録層(3)および保護層(4)が順次設けられたものである。
2枚のコアシート(5)をオーバーシート(10)と外層シート(6)とで挟むように配置した後、オーバーシート(10)の保護層(4)の表面側と外層シート(6)の表面側をさらに加圧板のようなもので挟んで加熱加圧して熱融着させる。
この例では、外層シートも2枚のコアシートも一体化され、情報記録表示カードの一部となるものであるが、本発明の情報記録表示カードは、このような構成のものに限定されるものではない。
例えば、図1において、2枚のコアシート(5)の間に、さらにアンテナコイルを備えた非接触型ICチップを配置したシート(インレットシートという)を挟み、また外層シート(6)には予め磁気ストライプ層が仮転写されたものを用いて、上記と同様に加熱加圧して、ICチップが配置されたICカード用積層体を形成することができる。
こうして形成された一体物を所定のサイズのカード形状に打ち抜き刃等を用いて打ち抜き、情報記録表示カードが作製される。
加熱加圧方式にはプレス方式やラミネート方式があるが、使用されるシートの材質等で使い分けができ、限定されるものではない。
すなわち、コアシートとして大判のものを用意し、それに所定面積のオーバーシートを配置して加熱加圧することもできるし、テープ状のコアシートとオーバーシートとをロール状態にして、双方を合体させて加熱加圧することもでき、情報記録表示カードの製法は限定的でない。
【0055】
外層シートとしては、加熱加圧によってコアシートと融着する性質があるものであれば特に限定的でないが、厚さがコアシートよりも小さなものが通常用いられ、またオーバーシートを構成する支持体材料から選定しても良いし、さらにオーバーシートを構成する支持体材料と同じものを用いることができる。
また、従来の可逆性感熱記録層のない情報記録カードを熱融着によって製造する場合には、外層シートを用いて行なうのが一般的であり、本発明においてはその外層シートの中から選択し使用することもできる。
本発明における「オーバーシート」および「コアシート」の語は、この外層シートを用いて、コアシートを中にしオーバーシートと外層シートとで挟んだ状態のそれぞれの位置を称したものであるが、本発明の情報記録表示カードには、工法によってこの外層シートを省略することも可能であり、本発明の情報記録表示カードには、外層シートが省略されたものも包含される。
【0056】
次に、この加熱加圧プロセスについて説明する。
加熱加圧時の温度(プレス温度という)が顕色剤の融点を超えると地肌かぶりが発生するため、顕色剤の融点以下にすることが好ましい。
また、加熱加圧時の圧力(プレス圧力という)が高すぎると、カード表面のマット調が低下して光沢感が発生したり、表面層が破壊されてスティックが発生するなどの問題を有する。
そのために「可逆感熱性」という特殊性を損なわないでカード化させるためのプレス上限温度は、160℃以下であることが好ましく、さらに150℃以下、特に140℃以下であることが好ましい。顕色剤の融点または160℃を超えた温度でプレスすると、地肌が顕色剤と染料によって地肌かぶりが発生したり、黄ばみという問題が発生しやすくなる。
一方、プレス下限温度は、100℃以上であることが好ましく、特に120℃以上が好ましい。100℃未満では融着が不充分で剥れという問題が発生する傾向がある。
プレス上限圧力については、40kg/cm2以下であることが好ましく、特に30kg/cm2以下が好ましい。40kg/cm2を超えると基材やICチップが破壊されるという問題が発生する。
一方、プレス下限圧力は、5kg/cm2以上であることが好ましく、特に10kg/cm2以上が好ましい。5kg/cm2未満になると、圧着が不充分で剥れという問題が発生しやすくなる。
また、加熱加圧時間としては、5〜20分間が好ましい。
【0057】
エンボス加工による「浮き出し表示」を有する情報記録表示カードを作製する場合には、次のように本発明の特徴を活かすことができる。
すなわち、本発明のオーバーシートはエンボス加工が可能なものであるため、エンボス加工が可能なコアシートと組合わせた場合には、コアシートとオーバーシートの大きさが同じものを使うことができる利点がある。
すなわち、コアシート全面にオーバーシートが貼りつけられた情報記録表示カードが作製されることになるが、この情報記録表示カードはオーバーシートの上からエンボス加工ができるものであるため、オーバーシートの本来の機能を発現する画像表示部とエンボス加工による「浮き出し表示」のそれぞれの大きさと位置について選択の自由度が大きいものとなり、この利点は従来の情報記録表示カードには望めないものである。
【0058】
コアシートの面積の大きさにあわせずに、貼りつけるオーバーシートを小さなのものにすることもできる。この場合は、サイズの違うものを用意することと、コアシート上の所定の位置にオーバーシートを貼りつける必要があり、したがって貼り付け位置精度の要求があることのために、従来の情報記録表示カードの製造する場合と同じように、生産効率の面で欠点を有するものである。
しかしながら、このようなオーバーシートの面積が小さな情報記録表示カードであっても、画像表示機能に支障のない限り、オーバーシートを避けなくとも、あるいはオーバーシートにかかっていてもエンボス加工ができることは、情報記録表示カード自体の機能面と生産面からも、従来品にない優れた利点である。
無論、本発明の情報記録表示カードとして、従来品と同じように特定位置にオーバーシートを貼りつけて、オーバーシート部分を避けてエンボス加工されたものも含むものであり、その場合にも高い繰り返し耐久性を有する点において従来品より優れたものである。
【0059】
本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料は、加熱温度およびまたは加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この本発明に用いられる発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色・消色現象を説明する。
【0060】
図2は、この記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。始め消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、始めと同じ消色状態(A)、あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。
一方、急冷発色状態(C)を再び昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温すると始めと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0061】
本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子同士で接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。
一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図2に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0062】
本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料に発色画像を形成するには、サーマルヘッドなどによりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度または結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組み合わせにより変化する。
【0063】
次に、本発明に用いられるオーバーシートである可逆性感熱記録材料の、前記支持体以外の技術内容について説明する。
【0064】
支持体上に可逆性感熱記録層を直接設けることもできるが、可逆性記録層を形成するための塗工液を構成する溶剤によって、支持体が溶け出して変形や収縮したり、強度が低下したりして、オーバーシートの機能を阻害することがあり、そのような場合には支持体上に先ずバリア層を設けてから、その上に可逆性感熱記録層を形成することが好ましい。
バリア層を形成する方式には、耐溶剤性に優れた材料を塗工する方式と耐溶剤性に優れたフィルムをラミネートする方式がある。
【0065】
1.耐溶剤性に優れた材料を塗工する方式
バリア層は、可逆性感熱記録層の形成用塗工液の溶剤に対して、耐性を有する材料から形成されることが好ましい。
加工性を考慮すると、アルコール系溶剤や水等に溶解又は分散可能な樹脂であることが更に好ましい。また、熱や光等によって硬化すると、有機溶剤に対するバリア性を増すようなものであることが更に好ましい。
具体的には、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アルコール可溶性フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が好ましいものとして挙げられる。
【0066】
また、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール等とイソシアネートの架橋によって形成されるポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマーからなるものを主成分とし、これに各種アクリレートモノマー、その他添加剤等を適宜混合した紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂を使用することもできる。
これらは水やアルコール系溶剤に溶解された溶液状態でもよいし、分散した状態でもよい。
この方式によって形成されるバリア層の厚みは、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましい。
【0067】
2.耐溶剤性に優れたフィルムをラミネートする方式
バリア層には耐溶剤性をもたせるため、結晶化処理されたポリエステルフィルムを用いることができる。結晶化処理としてはフィルム製膜時に延伸する方法や非晶質ポリエステルを製膜した後、加熱処理して結晶化させる方法がある。通常、前者の延伸されたポリエステルフィルムが一般的であり、具体的には延伸PETフィルムや延伸PENフィルムがある。
これらの結晶化処理されたポリエステルフィルムの表・裏面に支持体や記録層との接着性を向上させるため、接着剤層が塗布されたり、コロナ放電等による表面処理がなされていることが好ましい。
【0068】
上記の方式で得られたバリア層は、耐溶剤性が高く、引っ張り強度の大きいものが多いため、厚みが厚くなれば、引っ張り強度の影響を受け、エンボス加工性が低下してしまうため、バリア層の材質によるが、厚みは1.0〜8μmの範囲が好ましい。
たとえば、支持体に100μm厚の非晶質ポリエステルシートを用い、延伸PETフィルムをラミネートした場合、延伸PETフィルムの180℃における貯蔵弾性率のほうが非晶質ポリエステルシートより大きいため、PETフィルムが38μm厚のときは180℃における貯蔵弾性率は8.3E+07(8.3×107)Paとなり、エンボス加工すると不具合を生じやすい。
一方、8μm厚や4.5μm厚のときは、4.9E+07(4.9×107)Pa、2.4E+07(2.4×107)Paとなり、容易に良好にエンボス加工することができる。
【0069】
次に可逆性感熱記録材料の記録層について説明する。
可逆性感熱記録層の膜厚は1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
また、以下に可逆性感熱記録材料の記録層に用いられるロイコ染料(電子供与性呈色性化合物)を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、ロイコ染料を単独または混合して用いることもできる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、
【0070】
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメトルアミノフルオラン、
【0071】
3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド。
【0072】
本発明で用いる発色剤は前記のフルオラン化合物、アザフタリド化合物の他に、従来公知のロイコ染料を単独または混合して使用することができる。その発色剤を以下に示す。
2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、
【0073】
2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、その他。
【0074】
本発明において好ましく用いられる他の発色剤の具体例を示すと以下の通りである。
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−パルミチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロロ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロロフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、
【0075】
ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)キサンチル]安息香酸ラクタム、2−[3,6−ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル]安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3、3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス−(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4−クロロ−5−メトキシフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、その他。
【0076】
次に発色剤と組み合わせて用いられる顕色剤(電子受容性化合物)とについて説明する。
顕色剤は先に特許文献3として挙げた特開平5−124360号公報に長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物の代表例と共に開示されているように、分子内に発色剤を発色させることができる顕色能をもつ構造と分子間の凝集力をコントロールする構造を併せ持つ化合物が使用される。顕色能をもつ構造としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、リン酸基などの酸性の基が用いられるが、これらに限らず、チオ尿素基、カルボン酸金属基など発色剤を発色できる基を持てばよい。
【0077】
分子間の凝集力をコントロールする構造の代表例としては長鎖アルキル基等の炭化水素基などがある。この炭化水素基の炭素数は8以上であることが良好な発色・消色特性を得る上で好ましい。また、この炭化水素基には不飽和結合が含まれても良く、また分枝状の炭化水素基も包含される。この場合も主鎖部分は炭素数8以上であることが好ましい。上記のように顕色剤は、顕色能をもつ構造と炭化水素基のような分子間の凝集力をコントロールする構造が連結した構造を持つ。この連結部分にはヘテロ原子を含む2価の基、または、これらの基が複数個組合わせた基をはさんで結合していても良い。
【0078】
以下、本発明に用いられる顕色剤について具体的に例示する。なお、顕色剤は単独で用いても良いし2種類以上を混合して用いても良い。
【0079】
【化1】
式中、X1はヘテロ原子を含む2価の基または直接結合手を示し、X2はヘテロ原子を含む2価の基を示す。R1は2価の炭化水素基を表わし、R2は炭素数1から22の炭化水素基を表わす。また、pは0から4の整数を表わし、pが2から4のとき繰り返されるR1およびX2は同一でも、異なっていても良い。また、qは1から3を表わす。
具体的には、R1およびR2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、これらは脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。また脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基につく置換基としては、水酸基、ハロゲン、アルコキシ基等がある。なお、R1は直接結合手でも良い。
またR1及びR2の炭素数の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることがより好ましい。X1及びX2はヘテロ原子を含む2価の基を示し、
【0080】
【表1】
好ましくは表1で表わされる基を少なくとも1個以上有する2価の基を表わす。その具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0081】
【表2】
【0082】
本発明におけるフェノール化合物の具体的な例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、フェノール化合物を単独または混合して用いることもできる。
【0083】
【表3】
【0084】
有機リン酸系の顕色剤としては以下のような化合物が例示できる。ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、リン酸ジテトラデシルエステル、リン酸ジヘキサデシルエステル、リン酸ジオクタデシルエステル、リン酸ジエイコシルエステル、リン酸ジベヘニルエステルなど。
脂肪族カルボン化合物としては以下のような化合物が例示できる。2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシエイコサン酸、2−ヒドロキシドコサン酸、2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモドコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸など。
【0085】
脂肪族ジカルボン酸およびトリカルボン酸化合物としては以下のような化合物が例示できる。2−ドデシルオキシこはく酸、2−テトラデシルオキシこはく酸、2−ヘキサデシルオキシこはく酸、2−オクタデシルオキシこはく酸、2−エイコシルオキシこはく酸、2−ドデシルオキシこはく酸、2−ドテシルチオこはく酸、2−テトラデシルチオこはく酸、2−ヘキサデシルチオこはく酸、2−オクタデシルチオこはく酸、2−エイコシルチオこはく酸、2−ドコシルチオこはく酸、2−テトラコシルチオこはく酸、2−ヘキサデシルジチオこはく酸、2−オクタデシルジチオこはく酸、2−エイコシルジチオこはく酸、ドデシルこはく酸、テトラデシルこはく酸、ペンタデシルこはく酸、ヘキサデシルこはく酸、オクタデシルこはく酸、エイコシルこはく酸、ドコシルこはく酸、2,3−ジヘキサデシルこはく酸、2,3−ジオクタデシルこはく酸、2−メチル−3−ヘキサデシルこはく酸、2−メチル−3−オクタデシルこはく酸、2−オクタデシル−3−ヘキサデシルこはく酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、2−ヘキサデシルグルタル酸、2−オクタデシルグルタル酸、2−エイコシルグルタル酸、ドコシルグルタル酸、2−ペンタデシルアジピン酸、2−オクタデシルアジピン酸、2−エイコシルアジピン酸、2−ドコシルアジピン酸、2−ヘキサデカノイルオキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、2−オクタデカノイルオキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸など。
【0086】
発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組合わせにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1から20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し問題となる。また、消色促進剤の割合は顕色剤に対し0.1重量%から300重量%が好ましく、より好ましくは3重量%から100重量%が好ましい。又、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。記録層中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1に対して0.1から10が好ましく、これより少ないと記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
【0087】
本発明に用いられる可逆性感熱記録材料を構成する可逆性感熱記録層には、通常樹脂を含有させる。
可逆性感熱記録層に含有させる樹脂の具体例としては、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
更に、これらの樹脂に対してベンゾトリアゾール系紫外線吸収骨格やシロキサン結合骨格をブロック共重合やグラフト共重合させた樹脂などが挙げられる。
【0088】
本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料には、必要に応じて可逆性感熱記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。消色促進剤として好ましくは、ヘテロ原子を含む2価の基と炭素数8以上のアルキル鎖を有する化合物であったり、N,N’−2置換基を有する化合物であったりするが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0089】
本発明においては、可逆性感熱記録層に硬化剤を含有させても良い。
ここで用いられる硬化剤としては、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0090】
更に、可逆性感熱記録層に架橋促進剤硬化剤を含有させても良い。
架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、硬化剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくても良い。すなわち、未反応硬化剤が存在していても良い。
この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の硬化剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の硬化剤が検出されることにより架橋状態にある樹脂が存在することが示唆されるからである。また、本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。
すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶けだし溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。そこで、溶質中にポリマー構造の存在が確認できなければ、該ポリマーは非架橋状態にあることがいえ、架橋状態のポリマーと区別することができる。
また、他の層が積層されている場合には、TEM(透過型電子顕微鏡)やSEM(走査型電子顕微鏡)などの断面写真より層構成および膜厚を確認する。そして、無関係な層を全て削り取り、狙いの層を露出させる。次にその層を削り取り、上記方法に従って測定を行なう。
【0091】
記録層の形成には、前記の顕色剤、発色剤、種々の添加剤、硬化剤及び架橋状態にある樹脂ならびに塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗工液を用いる。
塗工液調製に用いられる溶媒の具体例としては水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1、2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類等を例示することができる。
【0092】
塗工液調製は、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行なうことができる。又、上記塗工液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても良いし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせても良い。更に加熱溶解して急冷または除冷によって析出させても良い。
【0093】
記録層を設ける塗工方法については特に制限はなく、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法を用いることができる。
【0094】
記録層の乾燥・硬化方法は塗布・乾燥後、必要に応じて硬化処理を行なう。高温槽等を用いて比較的高温で短時間でも良く、又比較的低温で長時間かけて熱処理しても良い。架橋反応の具体的な条件としては反応性の面から30℃〜130℃程度の温度条件で1分から150時間程度加温することが好ましい。より好ましくは40℃〜100℃の温度条件で2分から120時間程度加温することが好ましい。また、製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、乾燥過程とは別に架橋工程を設けてもよい。架橋工程の条件としては40℃〜100℃の温度条件で2分から120時間程度加温することが好ましい。
【0095】
次に、通常、スティッキング防止や耐久性向上を目的として、可逆性感熱記録層上に任意に設けることができる保護層について説明する。
保護層の膜厚は、0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
また、該保護層中には、地肌かぶりを防止する目的で無機または有機紫外線吸収剤を含有しても良く、その含有量はバインダー100重量部に対して0.5〜50重量部の範囲が好ましい。
保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0096】
有機紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−エトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−スルホン酸ナトリウム等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、カルボキシフェニルサリシレート、メチルフェニルサリシレート、ドデシルフェニルサリシレート、2−エチルヘキシルフェニルサリシレート、ホモメンチルフェニルサリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のp−アミノ安息香酸系紫外線吸収剤、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等が挙げられる。
【0097】
無機紫外線吸収剤としては、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化亜鉛、窒化バリウム、シリカ、アルミナ、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0098】
保護層には、紫外線吸収性能または紫外線遮蔽性能を有しない他のフィラーをスティッキング防止や耐久性向上を目的に添加しても良く、フィラーとしては無機フィラーと有機フィラーに分けることができる。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミ二ウム、含水ケイ酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ、等が挙げられる。
有機フィラーとしては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、スチレン、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、スチレンビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げらる。本発明ではフィラーを単独で用いることもできるが、2種類以上含まれても良い。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。保護層中のフィラーの含有量は体積分率で5〜50体積%である。
【0099】
サーマルヘッドへの融着防止を目的に、保護層に滑剤を添加しても良く、滑剤の具体例としては、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類:硬化ひまし油等の植物性ワックス類:牛脂硬化油等の動物性ワックス類:ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類:マルガリン酸、ラウリン酸、ミスチレン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類:ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類:ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。層中の滑剤の含有量は体積分率で0.1〜95%、より好ましくは1〜75%である。
【0100】
本発明において、オーバーシートとして用いられる可逆性感熱記録材料には、記録層と保護層との接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層に含まれる添加剤が記録層へ移行する、あるいは、記録層に含まれる添加剤が保護層へ移行することを防止する目的で、両者の間に中間層を設けることができる。
中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
また、中間層には、地肌かぶりを防止する目的で、保護層に用いる上記無機または有機紫外線吸収剤を含有させて良く、その含有量はバインダー100重量部に対して0.5〜50重量部の範囲が好ましい。
【0101】
さらに、本発明の情報表示記録カードに用いられる可逆性感熱記録材料には、その可逆性感熱記録層に光電変換物質を含有させるか、該記録層と隣接して光電変換物質を含有する層(光電変換層という)を設けることができる。
このような光電変換物質を含有させた構成にすることによって、低出力の半導体レーザ等を使用した場合でも、記録(発色・消色)を行なうことができる。
光熱変換物質を用いる上記2つのやり方のうち、光熱変換層を可逆性記録層と隣接して設ける場合の方が、光熱変換物質は高価であるというコストの点と、記録層を構成する材料に影響しにくいので、好ましい。
またさらに、本発明においては、光熱変換物質を含有する層を保護するために、可視光透過性の紫外線吸収層をさらに設けることができる。
使用される光熱変換物質としては、例えば赤外吸収色素やカーボンブラック等が挙げられ、使用する半導体レーザ光の発振波長付近に吸収ピークを持つものが選択される。
一般には、波長100nm〜1,000nm、好ましくは700〜900nmの半導体レーザを使用することができ、赤外吸収色素としては、かかる波長領域に吸収ピークを有するシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素等が好ましく用いられる。これらの中では、フタロシアニン系色素又はナフタロシアニン系色素が好ましい。
構造的に、熱や紫外線による分解等の劣化に対して耐久性があるので、リライト回数の向上を図ることができるからである。
耐候性、耐熱性等の化学的安定性の見地からは、特に、各種金属と錯体を形成しているものが好ましい。
また、一重項酸素クエンチャーを添加して化学的安定性を向上させてもよい。
【0102】
本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料については、支持体の上に記録層およびその他の必要な層を順次形成して製造するのが一般的であるが、この製造法に限定されるものではなく、次のような製造法も適用できる。
例えば、支持体上に可逆性感熱記録層および保護層を順次設けた可逆性感熱記録材料についていえば、最上層に設ける保護層面と剥離性が高い剥離基材シートを用意し、該剥離基材シート上に塗工液を塗って保護層を先ず形成し、次に該保護層上に塗工法によって感熱記録層を形成した後、感熱記録層に支持体フイルムを接着し、最後に剥離基材シートを剥がして、可逆性感熱記録材料を製造する方法が挙げられる。
【0103】
また、本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料の一部分もしくは全面に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、またはインクジェットプリンター、熱転写プリンター、昇華型プリンターなどによって任意の絵柄などを施した着色層を設けても良く、さらに着色層上の一部分もしくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けても良い。
【0104】
図3及び図4に、本発明の情報記録表示カードの一例である、印刷層を有するICカードを作成する方法の一例について図示した。
図3は、ICカードを形成するためのプレスを行なう前の状態の層構成を示す断面図である。図3に示すICカードは、2枚のコアシート部(B1)と(B2)との間に、インレットシート(C)を挟み込み、その一方のコアシート部(B1)の外側にオーバーシート支持体(103)がコアシート部面と接するようにオーバーシート(A)を重ね、他方のコアシート部(B2)の外側に外層シート(D)を重ね、オーバーシート(A)と外層シート部(D)の外側から加熱加圧プレスを行なって加熱圧着させることによりICカード用積層体が形成される。ここで、インレットシート(C)はアンテナコイル(114)を備えた非接触型ICチップ(113)を配置したシート(118)である。外層シート部(D)は、磁気ストライプ層(115)が予め仮転写された外層シート(119)である。また、コアシート部(B1)は白色のコアシート(116)のオーバーシート側の面に印刷層(111)が、コアシート部(B2)は白色のコアシート(117)の外層シート部(D)側の面に印刷層(112)が予め設けられている。次に、剥離基材(101)を除去した後、打抜き刃でカード形状に切断してICカードが形成される。このように剥離基材を最後に剥離する方法によれば、剥離基材(101)が可逆性記録層(102)の保護フィルムとして機能するので、ICカード製造工程中、傷つきを防ぎ、可逆性記録層からブリード等による熱プレス用鏡面板の汚れを防ぐことができる。
図3においては、加熱圧着後に剥離基材を除去する方法を示したが、剥離基材(101)をオーバーシート(A)から予め除去しておいて、これをコアシート(B1)に重ねて同様に熱プレス等を行ない、ICカードを作成してもよい。かかる構成のオーバーシートは、汎用の厚手オーバーシートと同様に取り扱うことができるので、汎用カードの製造ラインを利用することができる。また、剥離基材を除去した形態でロール状に巻回したオーバーシートを使用することもできる。
本態様において、プレス加工の条件は、プレス温度が100℃〜150℃の範囲内であることが好ましく、プレス圧力が10kgf/cm2〜50kgf/cm2の範囲内であることが好ましく、プレス時間が5分〜60分の範囲内であることが好ましい。
図3に示すように、加熱圧着されて形成されたICカードは、カード形状に形成した後、エンボッサーを用いて文字刻印(エンボス)を行なうことができる。エンボス(120)が施されたICカード(E)を図4に示す。
【0105】
また、前記アンテナコイルを備えた非接触型ICチップを配置するシートのシート材料としては、上記したコアシートや外層シートと同様の材料やエンジニアリングプラスチック等を使用することができるが、特に耐熱性に優れた材料が好ましい。アンテナコイルは、かかるシートに印刷やエッチングを行なうことにより形成してもよい。なお、図3に示すICカードにおいては、アンテナコイルを備えた非接触型ICチップ等を配置したシートを使用したが、アンテナコイルを配線したICチップを使用してもよい。
【0106】
本発明のICカードに搭載された磁気テープやICチップ等の情報は、接触又は非接触による従来公知の方法によって、保存された情報を読み取ったり、新規な情報を書き込んだりすることができる。
【0107】
本発明の画像処理方法は、前記本発明の情報記録表示カードの画像表示部表面を加熱することによって画像の表示及び画像の消去の少なくともいずれかを行なう工程を含むものであれば、他にいかなる工程が付加されていてもよい。
【0108】
本発明のオーバーシートである可逆性感熱記録材料に、発色画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。
一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラー、熱スタンプ、熱風、セラミックヒータなどを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。記録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。
この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、画像の消去と新しい画像の表示によりいわゆるオーバーライトが可能になる。記録装置としては、通常用いられるプリンター以外に熱転写プリンター、昇華型プリンターなどを用いても良い。また、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。
【0109】
本発明の画像処理装置は、本発明の情報記録表示カードへの画像の表示を行なうのに用いられる画像表示装置、画像の消去を行なうのに用いられる画像消去装置、画像の表示及び消去を行なうのに用いられる画像表示・消去装置のうちの少なくともいずれかを具備すること以外は、特に制限はない。
画像の表示手段としては、サーマルヘッドやレーザー装置等が挙げられ、画像の消去手段としては、サーマルヘッド、セラミックヒータ、熱ローラー、熱スタンプ、熱風機等が挙げられる。
【0110】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明の情報記録表示カードについて、より具体的に説明するが、本発明の情報記録表示カードはこれらの実施例に記載のものに限定されるものではない。
(実施例1)
《バリア層の形成》
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなる支持体シート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−CHI)を用意した。
次に、厚さ4.5μmの延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイアホイルK233E)の一方の面にウレタン系樹脂とイソシアネート架橋剤の2液タイプの接着剤溶液を塗布し、乾燥させて、1μm厚の接着剤層を形成した。そして、厚さ4.5μmの延伸PETフィルムと非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシートを重ねてドライラミネートし、得られたシートを40℃雰囲気下で24時間エージングして、支持体上にバリア層を形成したものを作成した。
【0111】
《可逆性記録層の形成》
次に、下記に示す可逆性記録層形成用分散液を調整し、この分散液を塗工液にして、前記バリア層である延伸PETフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布した。次いで80℃5分で乾燥した後、60℃24時間のキュアーを行なって膜厚約10μmである可逆性記録層を作成した。
【0112】
(可逆性記録層用分散液)
1)下記構造式の顕色剤 4部
【0113】
【化2】
2)ジアルキル尿素(日本化成社製、ハクリーンSB) 1部
3)アクリルポリオール50%溶液(三菱レイヨン社製、LR503) 9部
4)メチルエチルケトン 70部
上記組成物を、ボールミルを用いて平均粒径約1μmまでなるように粉砕分散した。
5)2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン 1部
6)イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 2部
顕色剤を粉砕分散した分散液に上記組成物を加え、良く攪拌し記録層塗工液を調製した。
【0114】
次に、下記に示す保護層液を調整し、この塗布液を、形成した可逆性記録層の上に、厚みが2μmとなるように塗布した後、紫外線を120W/cm×10m/分の条件で照射して硬化させ、次に60℃で16時間エージングを行なうことにより、保護層を形成した。
このようにして、支持体、バリア層、可逆性記録層及び保護層をこの順に有するオーバーシートを作製した。
【0115】
(保護層液)
1)ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂 15部
(大日本インキ社製、C7−157)
2)フィラー(水澤化学社製、P527) 5部
3)酢酸エチル 85部
上記組成物を、よく溶解攪拌し保護層塗布液を調製した。
なお、処方構成における可逆記録特性として、消去上限温度は170℃である。
【0116】
(実施例2)
オーバーシート作成において、100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−CHI)上に、ドライラミネートする延伸PETフィルムを厚さ6μmの延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイアホイルK230E)に変更してバリア層とした以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを作製した。
【0117】
(実施例3)
オーバーシート作成において、100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−CHI)上にドライラミネートする延伸PETフィルムを厚さ8μmの延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイアホイルKC230−8E)に変更してバリア層とした以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを作製した。
【0118】
(実施例4)
オーバーシート作成において、100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−CHI)を用意した。
このシートの表面に、下記に示すバリア層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。その後、160W/cm×10m/minで紫外線を照射して硬化させ、厚み2μmのバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にしてオーバーシートを作製した。
【0119】
(バリア層用塗布液)
・紫外線硬化樹脂:5官能アクリレートモノマー 50重量部
(日本化薬製、KAYARAD D−310)
・光重合開始剤:(チバスペシャリティケミカルズ製、イルガキュア184)3重量部
・塗工溶剤:2−プロパノール 50重量部
【0120】
(実施例5)
剥離基材として、あらかじめ表面にシリコーン樹脂を塗工したポリエチレンテレフタレートフィルム(38μm厚)を用意した。
このシリコーン処理面に、エポキシアクリレート系紫外線硬化性樹脂を塗布した後、160W/cmの紫外線を10m/分の条件で照射して硬化させ、厚みが5μmの保護層を形成した。
次に、実施例1で用いた可逆性記録層用分散液を、剥離基材/保護層の積層体の保護層面上に塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、60℃で24時間エージングを行ない、乾燥後の厚みが10μmである可逆性記録層を作成した。
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製、商品名:ディアフィクスPG−CHI)上に上記にて得られた剥離基材/保護層/可逆記録層の積層体の記録層面側に、ウレタン系樹脂とイソシアネート架橋剤の2液タイプの接着剤塗布液を用いてドライラミネートにより貼り合わせた。このようにして、剥離基材/保護層/可逆性記録層/支持体の積層構造を作成した後に、剥離基材を剥離してオーバーシートを作製した。
【0121】
(実施例6)
オーバーシート作成において、100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマーアロイ樹脂からなる支持体シート(三菱樹脂株式会社試作品,PETG/PC(9/1))に変更した以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを作製した。
【0122】
(実施例7)
オーバーシート作成において、100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマーアロイ樹脂からなる支持体シート(三菱樹脂株式会社試作品,PETG/PC(7/3))に変更した以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを作製した。
【0123】
(実施例8)
実施例1に用いた可逆性感熱記録層用分散液の顕色剤を下記化合物にした以外は、実施例1と同様にして情報記録表示カードを作製した。
【0124】
【化3】
【0125】
(比較例1)
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−CHI)上にドライラミネートする延伸PETフィルムを厚さ12μmの延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイアホイルH100)に変更した以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを得た。
【0126】
(比較例2)
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製、商品名:ディアフィクスPG−CHI)上にドライラミネートする延伸PETフィルムを厚さ38μmの延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイアホイルT100E)に変更した以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを得た。
【0127】
(比較例3)
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシートを、125μm厚の延伸PETに変更した以外は、実施例5と同様にして作成を行ない、オーバーシートを得た。
【0128】
(比較例4)
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシートを、100μm厚の塩化ビニル樹脂からなるシートに変更した以外は、実施例5と同様にして作成を行ない、オーバーシートを得た。
【0129】
(比較例5)
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−CHI)上に、フィルム又はバリア層を介さずに直接可逆性記録層を積層した以外は、実施例1と同様にして作成を行ない、オーバーシートを得た。
可逆性記録層を塗布した際に、非晶質の芳香族ポリエステル樹脂シートを浸蝕し乾燥直後は、オーバーシートが変形し、表面が荒れたシートになった。
【0130】
《情報記録表示カードの作成》
100μm厚の非晶質の芳香族ポリエステル樹脂からなるシート(三菱樹脂株式会社製、商品名:ディアフィクスPG−CHI)を外層シートとして、280μm厚の非晶質ポリエステルシート(三菱樹脂株式会社製,商品名:ディアフィクスPG−WHI)をコアシートとして用意した。
これらの外層シートとコアシートおよび、実施例及び比較例1、2、3、5で得られたオーバーシートとを300mm×300mmの大きさにそれぞれ切断した。
図1に示されるように、1枚の外層シート上に2枚のコアシート2を重ね、さらに実施例及び比較例1、2、3、5で作製したオーバーシートそれぞれを、オーバーシートの支持体がコアシートに重なるようにして配置して、ずれないようにクロムメッキ板の間に挟んだ後、上下から加熱プレスを行なって融着一体化した。
この加熱プレス条件は、加熱温度を120℃、プレス圧力をシート面圧で15kg/cm2およびプレス時間を10分間とした。融着一体化したシートを冷却し、取り出した後、カード形状に打ち抜き、情報記録表示カードを作製した。
また、比較例4で作製したオーバーシートについては、コアシートとして280μm厚の塩化ビニルシートを用いて作成した以外は、上記と同様にして情報記録表示カードを作製した。
【0131】
以上のようにして作製したオーバーシート及び情報記録表示カードについて、下記に示す評価を行なった。その結果を表4に示す。
評価方法:
(1)表面うねり
実施例及び比較例にて作成したオーバーシートの表面うねりを、表面粗さ形状測定機(東京精密(株)社製)を用いて長さ5.0mm測定した値を示す。
【0132】
(2)貯蔵弾性率E’
実施例及び比較例にて作成したオーバーシートを岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、動的粘弾性の温度分散を引張り法、周波数1Hzで測定し、実数項を貯蔵弾性率E’として求めた。
【0133】
(3)オーバーシートの消去温度測定
東洋精機社製熱傾斜試験機HG−100を用い、圧力1Kgf/cm、加圧時間1秒、温度5℃刻みの条件で、飽和濃度に達している印字画像を上記条件で消去させる。このときの発色濃度が「地肌濃度+0.02以下」になったときの温度を消去温度とする。
【0134】
(4)リライト消去特性
カードプリンターR28000(九州松下社製)を用いて、印字条件:0.75mJ、ヒーターバー温度条件:140℃の条件で、作製した情報記録表示カードをサーマルヘッドを用いて印字行ない、その後印字部分をヒーターバーによって加熱して印字の消去を行なった。
印字が消去された印字消去部分を目視にて観察し、消し残りが見られないものを記号「○」、若干消し残りが見られるものを記号「△」、消し残りがはっきり見えるものを記号「×」で表わす。
【0135】
(5)エンボス適性
作成したカードを使用して、ハンドエンボッサー JIKEN NE−1000(日本字研社製)を用いてエンボス加工を行なった。得られたエンボスカードのカード反りを測定し、2.5mmを超えるものには、記号「×」で表わす。エンボス加工は、JIS X6301やX6302に規定されているエンボスを施した。また、カード反りは、JIS X6301,6305に規定されている方法で測定した。エンボス外観は、エンボスによりオーバーシートのワレや、オーバーシートのハガレなどがないどうか目視にて確認した。特に問題ないカードは記号「○」、ワレやハガレが見られるカードには記号「×」で表わす。
【0136】
(6)環境性
作製した情報記録表示カードを燃焼させた結果、ダイオキシンの発生がないものを記号「○」、ダイオキシンの発生があるものを記号「×」で表わす。
【0137】
【表4】
【0138】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明の情報記録表示カードは、エンボス加工が容易にでき、可逆性感熱記録媒体の厚手基材への貼り合わせによるカード加工性に優れるとともに、消去特性に優れ、さらには廃棄処理がしやすく廃棄処理時に環境汚染の問題が発生しないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る情報記録カードを作成する方法を説明するための図であり、(a)は本発明の実施形態に係る情報記録カードを加熱プレスする前の状態を示す断面図であり、(b)は加熱プレスした後の状態を示す断面図である。
【図2】本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性を示す図である。
【図3】本発明のICカードを作成する方法を説明するための図であり、ICカードを加熱プレスする前の状態を示す断面図である。
【図4】図3に示すICカードを加熱プレスした後、エンボスを施した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 バリア層
3 可逆性記録層
4 保護層
5 コアシート
6 外層シート
10 オーバーシート
A オーバーシート
B1 コアシート部
B2 コアシート部
C インレットシート
D 外層シート部
E ICカード
101 剥離基材
102 可逆性記録層
103 オーバーシート支持体
111 印刷層
112 印刷層
113 非接触型ICチップ
114 アンテナコイル
115 磁気ストライプ層
116 コアシート
117 コアシート
118 シート
119 外層シート
120 エンボス
Claims (29)
- コアシートとオーバーシートとを少なくとも含み、該コアシートと該オーバーシートとが貼り合わされてなり、
該オーバーシートは、非晶質ポリエステル樹脂を少なくとも含有する支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含有し加熱温度及び加熱後の冷却速度の少なくともいずれかの違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有してなり、画像表示部として機能し、下記条件(A)、(B)及び(C)を満たし、
該オーバーシート上にエンボス加工が可能である、
ことを特徴とする情報記録表示カード。
(A)[消去上限温度−30℃]>[オーバーシートの貯蔵弾性率E’(1.0E+08)の温度]
(B)表面うねりWCMが10μm以下
(C)1.0E+02Pa≦[感熱可逆性オーバーシートの180℃での貯蔵弾性率E’]≦5.0E+07Pa - 前記オーバーシートの貯蔵弾性率E’(1.0E+08)温度が140℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録表示カード。
- 前記コアシートのほぼ全表面上にオーバーシートとを貼り合わせてなることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録表示カード。
- 前記支持体が非晶質ポリエステル樹脂、及び非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイ樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- 前記支持体と感熱記録層の間にバリア層を設けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- 前記バリア層が樹脂フイルムを貼り付けて形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の情報記録表示カード。
- 前記樹脂フイルムの膜厚が8μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の情報記録表示カード。
- 前記樹脂フイルムが結晶化処理されたポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項6または7に記載の情報記録表示カード。
- 前記バリア層がアルコール系溶剤及び水の少なくともいずれかに溶解又は分散可能な樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項5に記載の情報記録表示カード。
- 前記電子供与性呈色性化合物がロイコ染料であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- 前記電子受容性化合物が直鎖炭化水素含有フェノールであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- 前記コアシートが少なくとも1枚の厚さ0.05〜5.00mmの熱可塑性樹脂シートからなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- 前記コアシートが、感熱可逆性オーバーシートを構成する支持体と同じ材料からなることを特徴とする請求項12に記載の情報記録表示カード。
- 情報記憶部を有することを特徴とする特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- 前記情報記憶部が磁気材料を主体とするもの及びICチップのいずれかであることを特徴とする特徴とする請求項14に記載の情報記録表示カード。
- 前記コアシートが複数枚の熱可塑性樹脂シートからなり、熱可塑性樹脂シート間にICチップが埋め込まれて情報記憶部とすることを特徴とする請求項14に記載の情報記録表示カード。
- 前記オーバーシートに磁気材料を主体とする情報記憶部を有することを特徴とする請求項14に記載の情報記録表示カード。
- エンボス加工による刻印が設けられたことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の情報記録表示カード。
- エンボス加工による刻印がオーバーシート上に設けられたことを特徴とする請求項18に記載の情報記録表示カード。
- 電子受容性化合物の融点以下の温度で熱プレスして、コアシートとオーバーシートとを貼り合わせることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の情報記録表示カード作製方法。
- 150℃以下の温度で熱プレスして、コアシートとオーバーシートとを貼り合わせることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の情報記録表示カード作製方法。
- 請求項1乃至19のいずれかに記載の情報記録表示カードを構成することを特徴とするオーバーシート。
- 請求項1乃至19のいずれかに記載の情報記録表示カードの画像表示部表面を加熱することによって画像の表示及び画像の消去の少なくともいずれかを行なうことを特徴とする画像処理方法。
- 画像の表示にサーマルヘッドを用いて画像を表示することを特徴とする請求項23に記載の画像処理方法。
- 画像の消去にサーマルヘッド及びセラミックヒータのいずれかを用いて画像を消去することを特徴とする請求項23に記載の画像処理方法。
- 画像の表示及び消去にサーマルヘッドを用い、画像をオーバーライトし、該画像の消去と新しい画像の表示によりオーバーライトを行なうことを特徴とする請求項23乃至25のいずれかに記載の画像処理方法。
- 請求項1乃至19のいずれかに記載の情報記録表示カードへの画像の表示及び/又は消去を行なうのに用いられる、画像の表示及び/又は消去を行なう手段を具備してなることを特徴とする画像処理装置。
- 画像の表示手段がサーマルヘッドであることを特徴とする請求項27に記載の画像処理装置。
- 画像の消去手段がサーマルヘッド及びセラミックヒータのいずれかであることを特徴とする請求項27に記載の画像処理装置。
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