JP2004143292A - 流動体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず再撹拌も不要となり、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイルーグルタミン酸−α,γ一ジーnーブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする流動体組成物。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイルーグルタミン酸−α,γ一ジーnーブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする流動体組成物。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サインペン、ボールペンを含めた筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等に用いられる顔料等の隠蔽剤を含有する油性インキ、修正液などの流動体組成物に関し、更に詳しくは、長時間放置しても顔料等の隠蔽剤が沈降することがないゲル状の流動体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ペイントマーカーや誤字の修正などに使用される修正具のインキは、着色剤(隠蔽剤)、有機溶剤、樹脂および必要に応じて用途毎に添加される添加剤などを含有してなるものである。
【0003】
上記修正具などのインキに用いられる有機溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの非極性の脂肪族炭化水素やナフテン系炭化水素、トルエンなどの芳香族炭化水素の他に、ハロゲン化炭化水素などが用いられている。また、樹脂としては、アクリル樹脂、アルキッド樹脂などが用いられている。
また、着色剤のベースとなる隠蔽剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛などの無機顔料や中空樹脂などが使用されるが、その隠蔽力が最も優れていることから、酸化チタンが通常使用されている。
【0004】
これらのインキは、通常、インキ収納容器に充填されて使用かつ保存されるが、隠蔽剤である酸化チタンは、有機溶剤に分散しており、その比重が大きいので、経時により沈降することとなる。このため、使用時にはボールや撹拌棒などで撹拌し、沈降した酸化チタン等の隠蔽剤を再度分散させる操作等が必要となる。
この操作は、面倒である上、保存が長期に亘った場合にはハードケーキ化し、容易に再分散しなかったり、ついには塗布不良となってしまうという問題点を抱えている。
これらの問題点を解決するために、近年、インキの粘性を高くし、かつ擬塑性を有する所謂ゲル状のインキにする技術等が知られている。例えば、本願出願人は、先端にボールペン型チップ、ニードルバルブ等の塗布液の流出抑制機構を具備する塗布具の収容管内に収容するゲル状の流動体塗布液を開示している(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−343875号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示のゲル状インキなどにおいても、長期の保存によって離液が発生したり、ゲル状態が変化して、場合によっては、より固くなったり、また、レベリング性が劣化したりして、未だ良好な流動性や平滑で隠蔽性の有る塗膜が付与できないという課題を一部生じており、完全な解決策とは言い難いのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず再撹拌も不要となり、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、具体的には、隠蔽剤としての顔料、有機溶剤、樹脂を含有したインキをゲル化し、更に該ゲルインキ中に加える添加剤との組み合わせを種々検討した結果、ゲル化剤としてN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドとし、このゲル化剤と上記課題等を解決する特定成分とを含有することによって、上記目的を達成し得る流動体組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ一ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする流動体組成物。(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム
(2) 有機溶剤がn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも1種である上記(1)記載の流動体組成物。
(3) 脂肪酸又はアルコールの炭素数が2〜18であり、その炭化水素基は、飽和又は不飽和二重結合を1個又は2個以上有する上記(1)又は(2)記載の流動体組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の流動体組成物は、少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイルーグルタミン酸−α,γ一ジーnーブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とするものである。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム
【0010】
本発明に用いる有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの非極性の脂肪族炭化水素やナフテン系炭化水素、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、1,2,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素から選ばれる少なくとも一種(これらの単独又は2種以上、以下同様)が挙げられる。
好ましくは、良好な隠蔽性を有する塗膜の乾燥時間、粘度調整などの点から、20℃における蒸気圧が1mmHg以上、かつ、溶解度パラメーターδが10以下に相当する低極性で比較的揮発性の高い有機溶剤であるものが挙げられ、具体的には、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの有機溶剤の含有量は、組成物全量に対して、20〜80重量%、好ましくは、35〜60重量%とすることが望ましい。
【0011】
本発明に用いる隠蔽剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛などの無機顔料や中空樹脂など挙げられるが、その隠蔽力が最も優れていることから、好ましくは、酸化チタンを用いることが望ましい。
用いることができる酸化チタンの市販品としては、TITANIX JR301、同JR−701、同JR−600、同JR−801(以上、テイカ社製)、タイピュアR−900、同R931、同R960(以上、デュポン社製)、TITONE SR−1、同KA−10、同KA−20(以上、堺化学工業社製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−380N、同KR−460(以上、チタン工業社製)、R−780、R−820、CR−50、CR−93(以上、石原産業社製)を挙げることができる。
これらの隠蔽剤の含有量は、組成物全量に対して、10〜60重量%、好ましくは、35〜55重量%とすることが望ましい。
【0012】
本発明に用いる樹脂は、塗膜形成、バインダーとして用いるものであり、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、アクリルフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニールアクリル樹脂などの少なくとも1種を用いることができる。
これらの樹脂の含有量は、組成物全量に対して、10〜60重量%、好ましくは、10〜40重量%とすることが望ましい。
【0013】
本発明に用いるゲル化剤は、隠蔽剤となる酸化チタン等の沈降防止のために、剪断滅粘性を流動体(インキ)に持たせて、いわゆるゲル状粘性体とするために用いるものである。ゲル化剤としては、従来より多種多様の物質、例えば、微粉末シリカ、有機処理ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸及びその誘導体、硬化ひまし油及びその誘導体、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどが使用されているが、本発明者らによる検討結果によると、長期の保存によっても離液が発生せず、好ましいゲル状態を維持する点から、本発明では、ゲル化剤としてN−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドを用いるものである。このゲル化剤の市販品としては、GP−1(味の素社製)などが挙げられる。
これらのゲル化剤の含有量は、組成物全量に対して、0.01〜50重量%、好ましくは、1〜10重量%とすることが望ましい。
【0014】
本発明では、上記ゲル化剤によりゲル状粘性体とする流動体組成物を更に経時安定性や熱安定性を向上せしめ、離液の発生を更に起こさないものとし、かつ、スムーズな流動性と平滑で隠蔽性に優れた塗膜を与えるためには、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種を含有することが必要である。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム
【0015】
本発明に用いる上記(A)群の脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体としては、経時安定性や熱安定性を更に向上せしめる点から、好ましくは、脂肪酸又はアルコールの炭素数が2〜18であり、その炭化水素基は、飽和又は不飽和二重結合を1個又は2個以上有するものが挙げられ、具体的には、オレイン酸、ステアリン酸、オレイルアルコール、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナノール、デカノール、ヘキサダカノール、ヘキシルアルコール、アミルアルコール、ブタノール、プロパノール、エタノールなどから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
また、上記(B)群の市販品としては、▲1▼ではエルデュウCL−301、▲2▼では、エルデュウCL−202、▲3▼では、エルデュウPS−203、▲4▼では、エルデュウPS−304(以上味の素社製)、▲5▼ではCAE(味の素社製)、▲6▼では、アミソフトLS−11(味の素社製)などが挙げられる。
これらの(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、組成物全量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.3〜5重量%とすることが望ましい。
この含有量が、0.1重量%未満であると、本発明の効果を達成することができず、また、10重量%を越えると、インキの経時安定性に悪影響を及ぼすこととなり、好ましくない。
【0016】
本発明では、上記各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、染料等の色材、隠蔽剤として用いる酸化チタン等の分散安定性のための分散剤、その他種々の添加剤などを必要に応じて適宜含有することができる。
また、本発明では、流動体組成物の粘度は、25℃で剪断速度400s−1において200mPa・s以下であり、剪断速度5s−1において300mPa・s以上となるように調整することが好ましい。
本発明の流動体組成物は、サインペン、ボールペンを含めた筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の流動体塗布具に好適に用いることができ、例えば、先端に流動体組成物の流出抑制機構を備えた塗布具の収容管内に収容される。なお、上記塗布具の収容管内に収容された流動体組成物の端部には、該流動体組成物と相溶しない末端部可動栓(逆流防止体)を接触状態で収容してもよい。
【0017】
このように構成される本発明の流動体組成物では、少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、上記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することにより、長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず再撹拌も不要となり、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物が得られることとなる。
本発明では、何故上述の特有の効果が得られるかについては、N−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、上記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを併用することにより、ゲル化剤の水素結合により生じる3次元網目構造を筆記具、修正具などの流動体塗布具に要求される保存時や流動時かつ塗膜形成時のレオロジー的特性をゲル化剤単独よりも、更に好適な物性とするためと考えられる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。
【0019】
〔実施例1〜15及び比較例1〜15〕
下記各配合組成の成分を通常使用される顔料分散機により混合分散させて流動体組成物を調製した。なお、「部」は重量部を示し、ゲル化剤として、N−ラウロイルーL−グルタミン酸−α,γ一ジーn−ブチルアミド(以下、GP−1と省略する)を用いた。
【0020】
(実施例1)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:オレイン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂
(アクリロイドB−66、ローム&ハース社製、以下同様) 15部
隠蔽剤:酸化チタン
(クロノスKR−380、チタン工業社製、以下同様) 42部
【0021】
(実施例2)
有機溶剤:エチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:ステアリン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0022】
(実施例3)
有機溶剤:n−ヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:オレイルアルコール 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0023】
(実施例4)
有機溶剤:キシレン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:エライジン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0024】
(実施例5)
有機溶剤:n−へプタン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:ノナノール 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0025】
(実施例6)
有機溶剤:メチルシクロへキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:デカノール 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0026】
(実施例7)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:リノール酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0027】
(実施例8)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:リノレン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0028】
(実施例9)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・
ベヘニル・オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0029】
(実施例10)
有機溶剤:エチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル
・オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0030】
(実施例11)
有機溶剤:n−ヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・
2−オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0031】
(実施例12)
有機溶剤:キシレン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・
ベヘニル・2−オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0032】
(実施例13)
有機溶剤:n−へプタン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ヤシ油脂肪酸アシルーL−アルギニンエチル・DL−
ピロリドンカルボン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0033】
(実施例14)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0034】
(実施例15)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:オレイン酸 1部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・
オクチルドデシル) 1部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0035】
(比較例1〜15)
上記実施例1〜15の配合において、A群、B群の成分を用いずに、その分を各有機溶剤に代えて、同様に調製したものを比較例1〜15とした。
【0036】
上記で得られた実施例1〜15及び比較例1〜15の流動体組成物(修正液)を先端に流出抑制機構としてボールペン型チップを具備した内径5mm、外径7mmのポリアミド樹脂(ナイロン12)からなるパイプ状のインキ収容管に2.0g充填し、更に収容管内のインキが充填された末端部にグリセリンからなる液体可動栓を0.4g接触状態で収容し、該可動栓の後方収容管内を小孔を介して大気解放した。
この各サンプルを50℃のオーブンに入れ、経時安定性を1ケ月後の筆記性能(塗膜の平滑性と隠蔽性)で下記評価基準により評価した。また、60℃と70℃のオーブンに入れ、耐熱性(1週間後の粘性変化)を下記評価基準により評価した。
【0037】
〔経時安定性(50℃、1ケ月放置後)〕
塗膜の平滑性の評価基準:
〇:ボールペンにて文字が流暢に書ける
×:ボールペンにて文字が流暢に書けない
隠蔽性の評価基準:
○:隠蔽率(%)が90%以上(光度計による測定)
×:隠蔽率(%)が90%未満(光度計による測定)
〔耐熱性、粘性変化(60℃、70℃)〕
粘性変化の評価基準:
○:ほとんど変化なし
△:少し変化する
×:大きく変化する
【0038】
【表1】
【0039】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜15は、本発明の範囲外となる比較例1〜15と較べて、経時安定性(1ケ月後の筆記性能となる塗膜の平滑性と隠蔽性に優れると共に、耐熱性にも優れている(60℃、70℃1週間後の粘性変化もない)ことが判明した。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物が提供されることとなる。そのため、本流動体組成物を充填した塗布具では、撹拌子が不要になり、使用に先だって塗布具を振って流動体を撹拌する煩わしさを解消することができ、かつ部品点数が減少してコストダウンになる。更には、ケーキが発生してケーキに取り囲まれた撹拌子が動かなくなって塗布不能となる事態も生じない利点を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サインペン、ボールペンを含めた筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等に用いられる顔料等の隠蔽剤を含有する油性インキ、修正液などの流動体組成物に関し、更に詳しくは、長時間放置しても顔料等の隠蔽剤が沈降することがないゲル状の流動体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ペイントマーカーや誤字の修正などに使用される修正具のインキは、着色剤(隠蔽剤)、有機溶剤、樹脂および必要に応じて用途毎に添加される添加剤などを含有してなるものである。
【0003】
上記修正具などのインキに用いられる有機溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの非極性の脂肪族炭化水素やナフテン系炭化水素、トルエンなどの芳香族炭化水素の他に、ハロゲン化炭化水素などが用いられている。また、樹脂としては、アクリル樹脂、アルキッド樹脂などが用いられている。
また、着色剤のベースとなる隠蔽剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛などの無機顔料や中空樹脂などが使用されるが、その隠蔽力が最も優れていることから、酸化チタンが通常使用されている。
【0004】
これらのインキは、通常、インキ収納容器に充填されて使用かつ保存されるが、隠蔽剤である酸化チタンは、有機溶剤に分散しており、その比重が大きいので、経時により沈降することとなる。このため、使用時にはボールや撹拌棒などで撹拌し、沈降した酸化チタン等の隠蔽剤を再度分散させる操作等が必要となる。
この操作は、面倒である上、保存が長期に亘った場合にはハードケーキ化し、容易に再分散しなかったり、ついには塗布不良となってしまうという問題点を抱えている。
これらの問題点を解決するために、近年、インキの粘性を高くし、かつ擬塑性を有する所謂ゲル状のインキにする技術等が知られている。例えば、本願出願人は、先端にボールペン型チップ、ニードルバルブ等の塗布液の流出抑制機構を具備する塗布具の収容管内に収容するゲル状の流動体塗布液を開示している(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−343875号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示のゲル状インキなどにおいても、長期の保存によって離液が発生したり、ゲル状態が変化して、場合によっては、より固くなったり、また、レベリング性が劣化したりして、未だ良好な流動性や平滑で隠蔽性の有る塗膜が付与できないという課題を一部生じており、完全な解決策とは言い難いのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず再撹拌も不要となり、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、具体的には、隠蔽剤としての顔料、有機溶剤、樹脂を含有したインキをゲル化し、更に該ゲルインキ中に加える添加剤との組み合わせを種々検討した結果、ゲル化剤としてN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドとし、このゲル化剤と上記課題等を解決する特定成分とを含有することによって、上記目的を達成し得る流動体組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ一ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする流動体組成物。(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム
(2) 有機溶剤がn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも1種である上記(1)記載の流動体組成物。
(3) 脂肪酸又はアルコールの炭素数が2〜18であり、その炭化水素基は、飽和又は不飽和二重結合を1個又は2個以上有する上記(1)又は(2)記載の流動体組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の流動体組成物は、少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイルーグルタミン酸−α,γ一ジーnーブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とするものである。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム
【0010】
本発明に用いる有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの非極性の脂肪族炭化水素やナフテン系炭化水素、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、1,2,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素から選ばれる少なくとも一種(これらの単独又は2種以上、以下同様)が挙げられる。
好ましくは、良好な隠蔽性を有する塗膜の乾燥時間、粘度調整などの点から、20℃における蒸気圧が1mmHg以上、かつ、溶解度パラメーターδが10以下に相当する低極性で比較的揮発性の高い有機溶剤であるものが挙げられ、具体的には、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの有機溶剤の含有量は、組成物全量に対して、20〜80重量%、好ましくは、35〜60重量%とすることが望ましい。
【0011】
本発明に用いる隠蔽剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛などの無機顔料や中空樹脂など挙げられるが、その隠蔽力が最も優れていることから、好ましくは、酸化チタンを用いることが望ましい。
用いることができる酸化チタンの市販品としては、TITANIX JR301、同JR−701、同JR−600、同JR−801(以上、テイカ社製)、タイピュアR−900、同R931、同R960(以上、デュポン社製)、TITONE SR−1、同KA−10、同KA−20(以上、堺化学工業社製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−380N、同KR−460(以上、チタン工業社製)、R−780、R−820、CR−50、CR−93(以上、石原産業社製)を挙げることができる。
これらの隠蔽剤の含有量は、組成物全量に対して、10〜60重量%、好ましくは、35〜55重量%とすることが望ましい。
【0012】
本発明に用いる樹脂は、塗膜形成、バインダーとして用いるものであり、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、アクリルフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニールアクリル樹脂などの少なくとも1種を用いることができる。
これらの樹脂の含有量は、組成物全量に対して、10〜60重量%、好ましくは、10〜40重量%とすることが望ましい。
【0013】
本発明に用いるゲル化剤は、隠蔽剤となる酸化チタン等の沈降防止のために、剪断滅粘性を流動体(インキ)に持たせて、いわゆるゲル状粘性体とするために用いるものである。ゲル化剤としては、従来より多種多様の物質、例えば、微粉末シリカ、有機処理ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸及びその誘導体、硬化ひまし油及びその誘導体、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどが使用されているが、本発明者らによる検討結果によると、長期の保存によっても離液が発生せず、好ましいゲル状態を維持する点から、本発明では、ゲル化剤としてN−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドを用いるものである。このゲル化剤の市販品としては、GP−1(味の素社製)などが挙げられる。
これらのゲル化剤の含有量は、組成物全量に対して、0.01〜50重量%、好ましくは、1〜10重量%とすることが望ましい。
【0014】
本発明では、上記ゲル化剤によりゲル状粘性体とする流動体組成物を更に経時安定性や熱安定性を向上せしめ、離液の発生を更に起こさないものとし、かつ、スムーズな流動性と平滑で隠蔽性に優れた塗膜を与えるためには、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種を含有することが必要である。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム
【0015】
本発明に用いる上記(A)群の脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体としては、経時安定性や熱安定性を更に向上せしめる点から、好ましくは、脂肪酸又はアルコールの炭素数が2〜18であり、その炭化水素基は、飽和又は不飽和二重結合を1個又は2個以上有するものが挙げられ、具体的には、オレイン酸、ステアリン酸、オレイルアルコール、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナノール、デカノール、ヘキサダカノール、ヘキシルアルコール、アミルアルコール、ブタノール、プロパノール、エタノールなどから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
また、上記(B)群の市販品としては、▲1▼ではエルデュウCL−301、▲2▼では、エルデュウCL−202、▲3▼では、エルデュウPS−203、▲4▼では、エルデュウPS−304(以上味の素社製)、▲5▼ではCAE(味の素社製)、▲6▼では、アミソフトLS−11(味の素社製)などが挙げられる。
これらの(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、組成物全量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.3〜5重量%とすることが望ましい。
この含有量が、0.1重量%未満であると、本発明の効果を達成することができず、また、10重量%を越えると、インキの経時安定性に悪影響を及ぼすこととなり、好ましくない。
【0016】
本発明では、上記各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、染料等の色材、隠蔽剤として用いる酸化チタン等の分散安定性のための分散剤、その他種々の添加剤などを必要に応じて適宜含有することができる。
また、本発明では、流動体組成物の粘度は、25℃で剪断速度400s−1において200mPa・s以下であり、剪断速度5s−1において300mPa・s以上となるように調整することが好ましい。
本発明の流動体組成物は、サインペン、ボールペンを含めた筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の流動体塗布具に好適に用いることができ、例えば、先端に流動体組成物の流出抑制機構を備えた塗布具の収容管内に収容される。なお、上記塗布具の収容管内に収容された流動体組成物の端部には、該流動体組成物と相溶しない末端部可動栓(逆流防止体)を接触状態で収容してもよい。
【0017】
このように構成される本発明の流動体組成物では、少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、上記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することにより、長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず再撹拌も不要となり、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物が得られることとなる。
本発明では、何故上述の特有の効果が得られるかについては、N−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、上記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを併用することにより、ゲル化剤の水素結合により生じる3次元網目構造を筆記具、修正具などの流動体塗布具に要求される保存時や流動時かつ塗膜形成時のレオロジー的特性をゲル化剤単独よりも、更に好適な物性とするためと考えられる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。
【0019】
〔実施例1〜15及び比較例1〜15〕
下記各配合組成の成分を通常使用される顔料分散機により混合分散させて流動体組成物を調製した。なお、「部」は重量部を示し、ゲル化剤として、N−ラウロイルーL−グルタミン酸−α,γ一ジーn−ブチルアミド(以下、GP−1と省略する)を用いた。
【0020】
(実施例1)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:オレイン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂
(アクリロイドB−66、ローム&ハース社製、以下同様) 15部
隠蔽剤:酸化チタン
(クロノスKR−380、チタン工業社製、以下同様) 42部
【0021】
(実施例2)
有機溶剤:エチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:ステアリン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0022】
(実施例3)
有機溶剤:n−ヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:オレイルアルコール 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0023】
(実施例4)
有機溶剤:キシレン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:エライジン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0024】
(実施例5)
有機溶剤:n−へプタン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:ノナノール 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0025】
(実施例6)
有機溶剤:メチルシクロへキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:デカノール 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0026】
(実施例7)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:リノール酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0027】
(実施例8)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:リノレン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0028】
(実施例9)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・
ベヘニル・オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0029】
(実施例10)
有機溶剤:エチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル
・オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0030】
(実施例11)
有機溶剤:n−ヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・
2−オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0031】
(実施例12)
有機溶剤:キシレン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・
ベヘニル・2−オクチルドデシル) 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0032】
(実施例13)
有機溶剤:n−へプタン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ヤシ油脂肪酸アシルーL−アルギニンエチル・DL−
ピロリドンカルボン酸 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0033】
(実施例14)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 2部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0034】
(実施例15)
有機溶剤:メチルシクロヘキサン 38部
ゲル化剤:GP−1 3部
A群:オレイン酸 1部
B群:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・
オクチルドデシル) 1部
樹脂:アクリル樹脂 15部
隠蔽剤:酸化チタン 42部
【0035】
(比較例1〜15)
上記実施例1〜15の配合において、A群、B群の成分を用いずに、その分を各有機溶剤に代えて、同様に調製したものを比較例1〜15とした。
【0036】
上記で得られた実施例1〜15及び比較例1〜15の流動体組成物(修正液)を先端に流出抑制機構としてボールペン型チップを具備した内径5mm、外径7mmのポリアミド樹脂(ナイロン12)からなるパイプ状のインキ収容管に2.0g充填し、更に収容管内のインキが充填された末端部にグリセリンからなる液体可動栓を0.4g接触状態で収容し、該可動栓の後方収容管内を小孔を介して大気解放した。
この各サンプルを50℃のオーブンに入れ、経時安定性を1ケ月後の筆記性能(塗膜の平滑性と隠蔽性)で下記評価基準により評価した。また、60℃と70℃のオーブンに入れ、耐熱性(1週間後の粘性変化)を下記評価基準により評価した。
【0037】
〔経時安定性(50℃、1ケ月放置後)〕
塗膜の平滑性の評価基準:
〇:ボールペンにて文字が流暢に書ける
×:ボールペンにて文字が流暢に書けない
隠蔽性の評価基準:
○:隠蔽率(%)が90%以上(光度計による測定)
×:隠蔽率(%)が90%未満(光度計による測定)
〔耐熱性、粘性変化(60℃、70℃)〕
粘性変化の評価基準:
○:ほとんど変化なし
△:少し変化する
×:大きく変化する
【0038】
【表1】
【0039】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜15は、本発明の範囲外となる比較例1〜15と較べて、経時安定性(1ケ月後の筆記性能となる塗膜の平滑性と隠蔽性に優れると共に、耐熱性にも優れている(60℃、70℃1週間後の粘性変化もない)ことが判明した。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、長時間放置しても、顔料等の隠蔽剤が沈降せず、かつ固化したり離液の発生がなく、スムーズなインキ流出と良好な塗膜を与える流動体組成物が提供されることとなる。そのため、本流動体組成物を充填した塗布具では、撹拌子が不要になり、使用に先だって塗布具を振って流動体を撹拌する煩わしさを解消することができ、かつ部品点数が減少してコストダウンになる。更には、ケーキが発生してケーキに取り囲まれた撹拌子が動かなくなって塗布不能となる事態も生じない利点を有する。
Claims (3)
- 少なくとも有機溶剤、隠蔽剤、樹脂及びN−ラウロイル−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミドからなるゲル化剤と、下記(A)群及び/又は(B)群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする流動体組成物。
(A)群:脂肪酸又は脂肪酸のアルコール誘導体
(B)群:▲1▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、▲2▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、▲3▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、▲4▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・2−オクチルドデシル)、▲5▼N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩及び▲6▼N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム - 有機溶剤がn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の流動体組成物。
- 脂肪酸又はアルコールの炭素数が2〜18であり、その炭化水素基は、飽和又は不飽和二重結合を1個又は2個以上有する請求項1又は2記載の流動体組成物。
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