JP2004142236A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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JP2004142236A JP2002309393A JP2002309393A JP2004142236A JP 2004142236 A JP2004142236 A JP 2004142236A JP 2002309393 A JP2002309393 A JP 2002309393A JP 2002309393 A JP2002309393 A JP 2002309393A JP 2004142236 A JP2004142236 A JP 2004142236A
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Takeshi Ishida
石田 剛
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Abstract

【課題】生産性が良く、製膜後の表面析出物の発生が少ない、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体のベースフィルムとしたときにドロップアウトが少なくて電磁変換特性に優れる積層ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】実質的に粒子を含有しないポリエステル層Aと、該ポリエステル層Aの一方の面に積層されたポリエステル層Bおよび他方の面に積層された皮膜層Cとからなり、ポリエステル層Bは、粒径150nm以上で平均粒径170〜350nmの不活性粒子B1を0.05〜0.5重量%および粒径150nm未満で平均粒径50〜140nmの不活性粒子B2を0.05〜1重量%含有し、皮膜層Cは、平均粒径10〜40nmの不活性粒子を含有する厚みが3〜30nmの表面粗さ(WRa)が0.5〜3nmの連続皮膜であることを具備する積層ポリエステルフィルム。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、蒸着などによって形成される金属薄膜を磁性層とする磁気記録媒体のベースフィルムに好適な積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩はめざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁性支持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の開発実用化が、進められている。例えば、Coの蒸着テープ(特開昭54―147010号公報)、Co―Cr合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52―134706号公報)が知られている。
【0003】
従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。これに対し、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングなどの薄膜形成手段によって形成される金属薄膜は、厚みが0.2μm以下と非常に薄くなっている。
【0004】
このため、高密度磁気記録媒体においては、非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が磁気記録層の表面性に大きな影響を及ぼしている。すなわち、非磁性支持体の表面状態が、そのまま磁気記録層表面の凹凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音の原因となる。従って、非磁性支持体の表面は、できるだけ平滑であることが望ましく、ベースフィルムとしては表面をできるだけ平滑にしたポリエステルフィルムが主に用いられている。
【0005】
一方、非磁性支持体の製膜、製膜工程での搬送、傷つき、巻き取り、巻出しといったハンドリングの観点からは、フィルム表面が平滑過ぎるとフィルム―フィルム相互の滑り性が悪化し、製品歩留りの低下、ひいては、製品の製造コストの上昇をきたす。従って、製造コストという観点では、非磁性支持体の表面は、できるだけ粗いことが好ましい。
【0006】
このように、非磁性支持体の表面は、電磁変換特性という観点からは平滑であることが要求され、ハンドリング性、製造コスト、ブロッキング防止の観点からは、粗いことが要求される。
【0007】
上記のような相反する要求を満たすため、2つの層からなり、一方の層の表面を他方の層の表面よりも粗くする積層フィルム(例えば特公平1−26338号公報)が提案されている。しかしながら、このような積層フィルムを用いても、磁性層を設ける側の表面にフィルム内部からオリゴマーのような析出物が経時で発生し、電磁変換特性が低下したり、ドロップアウトが発生するという問題は解決できていなかった。 フィルムの表面を特定の皮膜で被覆することで異物の析出を抑えることも(例えば、特開2002−160336号公報)提案されているが、ロール上に巻かれた状態で皮膜層にフィルムの皮膜層とは異なる側の表面にある高い突起が欠点をつくって、オリゴマーの発生が促進されたりすることがあった。
【0008】
【特許文献1】
特公平1−26338号公報
【特許文献2】
特開2002−160336号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、生産性が良く、製膜後の表面析出物の発生が少ない、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体のベースフィルムとしたときにドロップアウトが少なくて電磁変換特性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、ポリエステル層Aと、該ポリエステル層Aの一方の面に積層されたポリエステル層Bおよび他方の面に積層された皮膜層Cとからなる積層ポリエステルフィルムであって、
(1)ポリエステル層Aは実質的に粒子を含有しないこと、
(2)ポリエステル層Bは、粒径150nm以上で平均粒径170〜350nmの不活性粒子B1を0.05〜0.5重量%含有し、さらに粒径150nm未満で平均粒径50〜140nmの不活性粒子B2を0.05〜1重量%含有すること、および
(3)皮膜層Cは、平均粒径10〜40nmの不活性粒子を含有する厚みが3〜30nmの連続皮膜であって、かつ表面粗さ(WRa)が0.5〜3nmの範囲にあること
を同時に具備する積層ポリエステルフィルムによって達成される。
【0011】
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、不活性粒子B1が、体積形状計数0.1〜π/6の高分子樹脂粒子であること、皮膜層Cを構成する主たる成分が、数平均分子量1万以上100万以下の水性ポリエステル樹脂であること、ポリエステル層Aまたはポリエステル層Bを構成するポリエステルAまたはポリエステルBが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであること、または強磁性金属薄膜層を有する磁気記録媒体のベースフィルムに用いることの少なくともいずれかを具備する積層ポリエステルフィルムも提供される。
【0012】
さらにまた、本発明によれば、上記本発明の積層ポリエステルフィルムと、該積層ポリエステルフィルムの皮膜層C側に設けられた強磁性金属薄膜層とからなることを特徴とする磁気記録媒体も提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層Aと、該ポリエステル層Aの一方の面に積層されたポリエステル層Bおよび他方の面に積層された皮膜層Cとからなる。
【0014】
本発明において、ポリエステル層Aを構成するポリエステルAおよびポリエステル層Bを構成するポリエステルBは特に限定されないが、芳香族ポリエステルが好ましい。芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)などを例示できる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレートは析出物の抑制効果が発現されやすいことから好ましく、また、ポリエチレン−2,6−ナフタレートはより高いレベルで析出物の抑制をできることから好ましい。
【0015】
これらポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良い。コポリエステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポリエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分などが挙げられる。これら共重合成分の量は、20モル%以下、さらには10モル%以下であることが好ましい。
【0016】
さらに上記ポリエステルは、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上の多官能化合物を共重合させてもよい。その場合、ポリマーが実質的に線状である量、例えば2モル%以下で共重合させるのが良い。なお、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場合の共重合成分についても、上記と同様に考えてよい。
【0017】
本発明において、ポリエステルAおよびBは、それ自体公知のポリエステルを採用でき、もちろんそれ自体公知の方法で製造することができる。なお、ポリエステル層Aを構成するポリエステルAは、磁気記録テープにしたときの電磁変換特性を高度に発現させるため、実質的に不活性粒子を含有しないことが必要である。ここでいう、実質的に不活性粒子を含有しないとは、触媒残渣を積極的に析出させたり、不活性粒子を積極的に添加したりしていないことを意味し、好ましくは粒径50nm以上の不活性粒子の含有量が高々0.05重量%である。
【0018】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面付着異物の発生抑制と、磁気テープとした場合の諸特性向上のため、磁性層を設ける側の面に皮膜層Cが積層されていることが必要である。皮膜層Cは、上記表面付着異物の発生抑制などの観点から、連続皮膜、すなわち、ポリエステル層Aの表面を抜けなく被覆していることが好ましい。
【0019】
皮膜層Cを構成する主たる成分は、水性ポリエステル樹脂が好ましい。水性ポリエステル樹脂としては、酸成分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるポリエステル樹脂が好ましい。また、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポリエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散するタイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていてもよい。
【0020】
上記水性ポリエステル樹脂は、数平均分子量が1万以上100万以下、さらに3万以上80万以下、特に5万以上50万以下であることが好ましい。この分子量が下限未満であると、オリゴマー発生抑止効果が得られないだけでなく、皮膜の強度や耐熱性が不充分であり、ポリエステルフィルム製造工程での造膜不良やテープ製造工程での耐熱性不良が生じることがある。一方、数平均分子量の上限が100万を超えると、ポリエステルフィルムとの接着性が低下することがある。
【0021】
ここで、数平均分子量は、いわゆるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって単分散ポリスチレン(分子量標準品)換算で求められる値である。なお、二つ以上の分子量分布が存在する場合、最も大きいほうの分子量分布より求める。
【0022】
ところで、上記皮膜層Cは、平均粒径10〜40nmの不活性粒子Cを含有する。不活性粒子Cの種類は特に限定されないが、例えば、架橋シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が特に好ましく挙げられる。
【0023】
上記不活性粒子Cの平均粒径(dC)は10〜40nm、好ましくは15〜35nm、さらに好ましくは20〜40nmである。不活性粒子Cの平均粒径が下限未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、また、ロール状に巻かれて保管した際に皮膜表面に発生するオリゴマーが多くなる。これは、反対面との密着度が高く滑りも悪くなるために、反対面との接触時に皮膜が受けるダメージが大きいためと考えられる。一方、不活性粒子Cの平均粒径が上限を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがある。
【0024】
上記不活性粒子Cの形状は、後述の体積形状係数(f)で、0.1〜π/6、好ましくは0.2〜π/6、さらに好ましくは0.4〜π/6であることが好ましい。体積形状係数(f)がπ/6である粒子の形状は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、ラグビーボールのような楕円球を含むものであり、不活性粒子Cとして好ましい。体積形状係数(f)が下限未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、走行耐久性が低下してしまうことがある。
【0025】
皮膜Cの厚みは、3〜30nm、好ましくは4〜25nm、さらに好ましくは5〜20nmである。皮膜Cの厚みが下限より薄いとオリゴマー発生抑止効果が不十分である。一方皮膜Cの厚みが上限より厚いと皮膜の表面が粗くなり電磁変換特性が低下することがある。
【0026】
本発明におけるポリエステルフィルムは、皮膜C側の表面粗さ(WRa)が0.5〜3nm、好ましくは0.6〜2.5nm、さらに好ましくは0.7〜2.2nm、特に好ましくは0.8〜2.0nmである。皮膜C側のWRaが下限未満であると、滑り性が悪くフィルムの製造が極めて困難であり、一方上限を超えると、電磁変換特性が悪化する。この表面粗さ(WRa)は、皮膜層Cに含有させる不活性粒子Cの粒径と量によって調整することができる。
【0027】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ハンドリング性、巻き取り性の向上や、ブロッキング防止のため、ポリエステル層Aの皮膜Cで被覆されていない側にポリエステル層Bを積層する。ポリエステル層Bは、少なくとも150nmの粒径を有する不活性粒子B1と粒径が150nm未満の不活性粒子B2を含有する。不活性粒子B1の平均粒径(dB1)は170〜350nm、好ましくは170〜330nm、さらに好ましくは180〜320nm、特に好ましくは200〜300nmである。また、不活性粒子B1の含有量は、ポリエステル層Bの重量を基準として、0.05〜0.5重量%、好ましくは0.06〜0.3重量%、さらに好ましくは0.09〜0.2重量%、特に好ましくは0.1〜0.15重量%である。
【0028】
上記不活性粒子B1の平均粒径または含有量が下限未満であると、巻取り性、耐ブロッキング性が不良となる。一方、不活性粒子B1の平均粒径がまたは含有量が上限を超えると、ロール状に巻かれた際に反対面の皮膜Cに与えるダメージが大きく、オリゴマーの発生が多くなってしまう。また、ポリエステル層Aの下からのポリエステル層Bにある突起の突き上げによって電磁変換特性が悪化される。
【0029】
上記不活性粒子B1として用いられるのは、シリコーン樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂などからなる、高分子樹脂粒子が好ましい。これらのうち、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子が特に好ましい。これら高分子樹脂粒子は弾力性を有するため、ロール状に巻かれた際の反対面へのダメージを軽減することができ、オリゴマーの発生を抑えることができる。
【0030】
また、上記不活性粒子B1は、後述の体積球状係数が0.1〜π/6の範囲であることが好ましい。
【0031】
つぎに、不活性粒子B2は、平均粒径が50〜140nmである。また、不活性粒子B2の含有量は、ポリエステル層Bを基準として、0.05〜1重量%である。不活性粒子B2としては、上記不活性粒子B1で例示した粒子を用いてもよいが、特にコロイダルシリカ、α、γ、δ、θなどの結晶形態を有するアルミナなどの微粒子を用いるのが好ましい。
【0032】
不活性粒子B2の存在により、ポリエステル層Bの地肌に微細な突起が形成され、ロール状に巻かれた際に不活性粒子B1に起因する突起の反対面への密着度を軽減し、皮膜Cが受けるダメージが減り、オリゴマーの発生を抑制できると考えられる。
【0033】
不活性粒子B2の好ましい平均粒径は、60〜140nm、さらに70〜140nm、特に70〜130nmである。また、不活性粒子B2の好ましい含有量は、ポリエステル層Bの重量を基準として、0.08〜0.8重量%、さらに0.1〜0.5重量%、特に0.15〜0.4重量%である。
【0034】
本発明におけるポリエステル層Bには、一層の耐ブロッキング性、巻き取り性向上のために、本発明の効果を妨げない範囲でワックス成分を含有させることが好ましい。ワックス成分としては、炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステルワックスが好ましい。また、ワックス成分の含有量は、ポリエステル層Bの重量を基準として、0.001〜1重量%が好ましい。
【0035】
本発明の積層ポリエステルフィルムの全厚みは、通常2.5〜20μm、好ましくは3.0〜10μm、さらに好ましくは4.0〜10μmである。ポリエステル層Bの厚みは2μ以下、好ましくは1.8μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。一方、ポリエステル層Bの厚みの下限は、製膜上問題なければ、特に制限されないが、製膜のしやすさから、少なくとも0.1μmであることが好ましい。
【0036】
本発明におけるポリエステルフィルムは、従来から知られている、または当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。そのうちポリエステル層Aとポリエステル層Bの積層構造については、共押出し法により製造するのが好ましく、皮膜層Cの積層は塗布法により行うのが好ましい。
【0037】
例えば、二軸配向ポリエステルフィルムで説明すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、不活性粒子B1およびB2を微分散状態で含有させたポリエステルBと、実質的に不活性粒子を含有させていないポリエステルAとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造となし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に共押出ししたのち、40〜90℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(製膜方向または幅方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向(一段目延伸が製膜方向の場合には、二段目延伸は幅方向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、製膜方向および/または幅方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行ってもよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
【0038】
さらに、上記二軸配向フィルムは(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃で熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が付与される。その際、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0039】
なお、積層ポリエステルフィルムの製造に際し、ポリエステルAやBに所望により上記不活性粒子以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤などを添加含有させてもよい。
【0040】
本発明における皮膜層Cの積層は、水性塗液を塗布する方法で行うのが好ましい。
【0041】
塗布は最終延伸処理を施す以前のポリエステル層Aの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前ないし途中で塗膜は乾燥される。その中で、塗布は、未延伸フィルムまたは縦(一軸)延伸フィルム、特に縦(一軸)延伸フィルムに行うのが好ましい。塗布方法としては特に限定されないが、例えば、ロールコート法、ダイコート法などが挙げられる。
【0042】
上記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.5〜4重量%であることが好ましい。そして、水性塗液には、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤などを添加することができる。
【0043】
本発明においては、磁気記録媒体としてのヘッドタッチ、走行耐久性をはじめとする各種性能を向上させ、同時に薄膜化を達成するには、フィルムのヤング率を、製膜方向および幅方向でそれぞれ、通常4500N/mm以上および6000N/mm以上、好ましくは4800N/mm以上および6800N/mm以上、さらに好ましくは5500N/mm以上および8000N/mm以上、特に好ましくは5500N/mm以上および10,000N/mm以上とする。
【0044】
また、ポリエステルAおよびBの結晶化度は、ポリエチレンテレフタレートの場合は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも下限を下回ると、熱収縮率が大きくなるし、一方上限を上回るとフィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイドピン表面と摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
【0045】
本発明の積層ポリエステルフィルムから磁気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりである。
【0046】
すなわち、本発明のフィルムは、皮膜層C側の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに必要により、磁性層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ用等の磁気テープ媒体として極めて有用である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、本発明における物性値および特性は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ定義されるものである。
(1)粒子の含有量
フィルムから測定する層のポリマーを削り取ってサンプリングし、粒子は溶解しない溶媒を選択してポリマーを溶解し、遠心分離によってポリマーと不活性粒子を分離する。そして、サンプル重量に対する不活性粒子の重量比を粒子の含有量とした。
【0048】
(2)粒子の平均粒径
1)粒径60nm以上の粒子
株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)」を用いて測定した。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247)。なお、ここで測定するフィルム中の不活性粒子は、フィルムからサンプリングし、粒子は溶解しない溶媒を選択してポリマーを溶解し、遠心分離によってポリマーと不活性粒子を分離することによって得られる。
【0049】
2)粒径60nm未満の粒子
小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散乱法を用いて測定した。すなわち、ニコンプインストゥルメント株式会社(Nicomp Instruments Inc.)製の商品名「NICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZER」により求められる全粒子の50%の点にある粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径(nm)とする。なお、ここで測定するフィルム中の不活性粒子は、フィルムからサンプリングし、粒子は溶解しない溶媒を選択してポリマーを溶解し、遠心分離によってポリマーと不活性粒子を分離することによって得られる。
【0050】
(3)体積形状係数(f)
走査型電子顕微鏡により、用いたサイズに応じた倍率にて各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼックス500(日本レギュレーター社製)を用い、投影面最大径(D)(μm)および粒子の体積(V)(μm)を算出し、下式(II)により計算する。
【0051】
【数1】
f=V/D    ・・・・・(II)
【0052】
(4)層A、Bの厚み、およびフィルム全体の厚み
フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いた。層A、Bの層厚については、薄い層の層厚みを下記に述べる方法にて測定し、厚い層の層厚みは、全厚みより皮膜層および薄い層の層厚を引き算して求める。すなわち、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層から深さ5,000nmの範囲におけるフィルム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する金属元素(M)と熱可塑性樹脂(ポリエステル)の炭化水素(C)の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ5,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)をもって、薄い層の厚み(μm)とする。
測定条件は、以下のとおりである。
(a)測定装置
二次イオン質量分析装置(SIMS);パーキン・エルマー株式会社
(PERKIN ELMER INC.)製、「6300」
(b)測定条件
一次イオン種:O2+
一次イオン加速電圧:12KV
一次イオン電流:200nA
ラスター領域:400μm□
分析領域:ゲート30%
測定真空度:6.0×10−9Torr
E−GUNN:0.5KV−3.0A
なお、表層から5,000nmの範囲に最も多く存在する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚(μm)を求める。
【0053】
(5)皮膜層Cの厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成した。この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:H−800型)にて観察し、皮膜層Cの境界面を探して皮膜層の厚み(nm)を求める。
【0054】
(6)表面粗さ(WRa)
WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「TOPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm)の条件にて測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデータ)を得た。上記粗さ計内蔵ソフトによる表面解析により、下式によって定義される中心面平均粗さ(WRa)を得る。
【0055】
【数2】
Figure 2004142236
【0056】
また、Zjkは、測定方向(242μm)、それと直行する方向(239μm)を、それぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における三次元粗さチャート上の高さである。
【0057】
(7)ヤング率
東洋ボールドウィン株式会社製の引っ張り試験機、商品名「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に調節された室内において、長さ300nm、幅12.7mmの試料フィルムを10%/分のひずみ速度で引っ張り、引っ張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて下式(V)によって計算する。
【0058】
【数3】
E=Δσ/Δε   ・・・・・(V)
ここで、Eはヤング率、Δσは直線上の2点間の元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひずみ差である。
【0059】
(8)巻き取り性
スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅600mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度100m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以下の基準にて巻き取り性を評価する。
◎:良品ロールの本数28本以上
○:良品ロールの本数25〜27本
×:良品ロールの本数24本以下
【0060】
(9)磁気テープの製造および特性(電磁変換特性)評価
ポリエステルフィルムの皮膜層Cの表面に、真空蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜を0.2μmの厚みになるように2層(各層厚約0.1μm)形成する。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、さらに含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに磁性層を形成したのと反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を設ける。その後、8mm幅にスリットし、市販の8mmビデオカセットにローディングした。次いで、下記の市販の機器を用いてテープの特性(C/N)を測定する。
(a)使用機器
8mmビデオテープレコーダー、ソニー株式会社製、商品名「EDV−6000」
株式会社シバソク製ノイズメーター
株式会社シバソク製ドロップアウトカウンター
(b)測定方法
1)C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの値の比をそのテープのC/Nとし、比較例1のフィルムをベースフィルムにした蒸着テープのC/Nを0dBとし、下記の基準で判定した。C/Nは大きいほど蒸着テープとしては好ましい。
◎:+5dB以上
○:+1dB以上+5dB未満
×:+1dB未満
2)ドロップアウト
株式会社シバソク製のドロップアウトカウンターを使用して、3μsec/10dB以上のドロップアウトを10分間測定し、1分当たりの個数に換算して、下記の基準で判定した。
◎:ドロップアウト 3ケ/分未満
○:ドロップアウト 3ケ/分以上、6ケ/分未満
×:ドロップアウト 6ケ/分以上
【0061】
[実施例1]
粒子を含有しない固有粘度0.6(オルソクロロフェノール、35℃)のポリエチレンテレフタレート(樹脂A1)と、不活性粒子B1として平均粒径300nmのシリコーン粒子およびB2として平均粒径100nmのθ型アルミナを、樹脂中にそれぞれ0.1%および0.2%含有したB層用の固有粘度0.6(オルソクロロフェノール、35℃)のポリエチレンテレフタレート(樹脂B1)を、常法により重合して得た。
【0062】
得られた樹脂A1、樹脂B1を、それぞれ170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、樹脂A1の片面に樹脂B1を積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。
【0063】
得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.4倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのA層側に下記に示す組成(固形分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート法により塗布した。
【0064】
塗液の固形分組成
バインダー:アクリル変性ポリエステル(数平均分子量:15万)70%
不活性粒子C:アクリルフィラー(平均粒径30nm、日本触媒株式会社製、エポスター)  3%
界面活性剤:(ライオン製、ライオノールL950)      27%
C層厚み(乾燥後):8nm
続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを、220℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4μmで、ポリエステル層Bの厚み1.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。なお、ポリエステル層A、Bの厚みについては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムは、皮膜層C側の表面から測定した表面粗さWRaが1.7nm、縦方向(製膜方向)のヤング率が5000N/mmおよび横方向(幅方向)のヤング率が7000N/mmであった。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムのその他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0065】
[実施例2〜6]
表1に示したように、添加する不活性粒子または皮膜層Cの組成や厚みを変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
【0066】
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0067】
[実施例7]
粒子を含有しない固有粘度0.6(オルソクロロフェノール、35℃)のポリエチレン−2,6−ナレフタレート(樹脂A2)と、不活性粒子B1として平均粒径300nmのシリコーン粒子およびB2として平均粒径100nmのシリカ粒子を、樹脂中にそれぞれ0.1%および0.2%含有したB層用の固有粘度0.6(オルソクロロフェノール、35℃)のポリエチレン−2,6−ナフタレート(樹脂B2)を、常法により重合して得た。
【0068】
得られた樹脂A2、樹脂B2を、それぞれ170℃で6時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、樹脂A2の片面に樹脂B2を積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。
【0069】
得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに低速・高速のロール間でフィルム温度135℃にて3.4倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのA層側に実施例1と同じ組成(固形分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を実施例1と同様にキスコート法により塗布した。
【0070】
続いてステンターに供給し、155℃にて横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4μmで、ポリエステル層Bの厚み1.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。なお、ポリエステル層A、Bの厚みについては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムのその他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0071】
[比較例1〜8]
表2に示したように、添加する不活性粒子または皮膜層Cの組成や厚みを変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
【0072】
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表2に示す。
【0073】
【表1】
Figure 2004142236
【0074】
【表2】
Figure 2004142236
【0075】
表1から明らかなように、本発明によるポリエステルフィルムは、片面が非常に平坦で、かつ表面に析出する異物の数も少なく、磁気テープにした際にドロップアウトが少なく、優れた電磁変換特性を示すとともに、巻き取り性が極めて良好で生産性が高い。一方、表2で示すとおり、本発明の要件を満たさない比較例のフィルムは、析出物の発生が多くてドロップアウトが頻発したり、巻取性や記録特性に劣るものであった。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、生産性が良く、製膜後に表面に析出するオリゴマーを主とする異物が少なく、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体としたときに電磁変換特性に優れ、ドロップアウトが少ないポリエステルフィルムを得ることができる。

Claims (6)

  1. ポリエステル層Aと、該ポリエステル層Aの一方の面に積層されたポリエステル層Bおよび他方の面に積層された皮膜層Cとからなる積層ポリエステルフィルムであって、
    (1)ポリエステル層Aは実質的に粒子を含有しないこと、
    (2)ポリエステル層Bは、粒径150nm以上で平均粒径170〜350nmの不活性粒子B1を0.05〜0.5重量%含有し、さらに粒径150nm未満で平均粒径50〜140nmの不活性粒子B2を0.05〜1重量%含有すること、および
    (3)皮膜層Cは、平均粒径10〜40nmの不活性粒子を含有する厚みが3〜30nmの連続皮膜であって、かつ表面粗さ(WRa)が0.5〜3nmの範囲にあること
    を同時に具備することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 皮膜層Cを構成する主たる成分が、数平均分子量1万以上100万以下の水性ポリエステル樹脂である請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステル層Aまたはポリエステル層Bを構成するポリエステルAまたはポリエステルBが、ポリエチレンテレフタレートである請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステル層Aまたはポリエステル層Bを構成するポリエステルAまたはポリエステルBが、ポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. 強磁性金属薄膜層を有する磁気記録媒体のベースフィルムに用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムと、該積層ポリエステルフィルムの皮膜層C側に設けられた強磁性金属薄膜層とからなることを特徴とする磁気記録媒体。
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