JP2004141937A - はんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末 - Google Patents

はんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】はんだペーストを製造するために使用する表面被覆Au−Sn合金粉末を提供する。
【解決手段】Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn合金粉末の表面に、厚さ:10〜1000nmを有するAu、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなる貴金属層を形成したはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末であって、必要に応じてAu−Sn合金粉末の表面と貴金属層の間に厚さ:10〜1000nmを有するFe、Cr、Niの内のいずれかの金属からなる拡散吸収防止層を形成してなる。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、はんだペーストを製造するために使用する表面被覆Au−Sn合金粉末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、Au−Sn合金はんだペーストは、GaAs光素子、GaAs高周波素子、熱電素子などの半導体素子と基板との接合や微細かつ高気密性が要求されるSAWフィルター、水晶発信子などの封止に使用されている。このAu−Sn合金はんだペーストに含まれるAu−Sn合金粉末は、Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有することが知られている。
【0003】
このAu−Sn合金はんだペーストに使用されるAu−Sn合金粉末は、通常、Au−Sn合金を溶解して溶湯を作製し、温度:300〜400℃に保持し、この温度に保持された溶湯を自然落下させ、この自然落下する溶湯に周囲から不活性ガスを噴射して落下する溶湯に高圧不活性ガスを衝突させるガスアトマイズ法により製造する。かかる従来のガスアトマイズ法により得られたAu−Sn合金粉末は平均粒径:10〜100μmを有しているが、このガスアトマイズして得られたAu−Sn合金粉末は表面が酸化されやすく、このAu−Sn合金粉末の表面には一般に酸化膜が形成されている。この表面酸化膜を除去するためにロジン系のペースト化剤が使用されており、このAu−Sn合金はんだペーストはAu−Sn合金粉末にロジン系ペースト化剤と混合して製造している。
ところが、ロジン系ペースト化剤を混合したAu−Sn合金はんだペーストは、ろう付け後にロジンの残渣が生じるために、これを洗浄で取り除かなければならず、洗浄行程を組み込めない前記GaAs光素子、GaAs高周波素子、熱電素子などの半導体素子と基板との接合には適用できない。
そのため、ロジンを含まないAu−Sn合金はんだペーストが開発されており、流動パラフィン、テトラリン、ジエチルベンゼンを含むペースト化剤にAu−Sn合金粉末:2〜20質量%を添加した残渣の発生が極めて少ないAu−Sn合金はんだペーストが開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−226488号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Au−Sn合金粉末は製造後ただちにAu−Sn合金はんだペーストの原料として使用されることは稀であり、通常は製造したのち一旦貯蔵され、必要に際して適宜取り出して使用される。そのために、ロジンを含まないペースト化剤を使用して作製したAu−Sn合金はんだペーストはAu−Sn合金粉末の表面に形成された表面酸化膜の除去が十分でないために、前記ロジンを含まないAu−Sn合金はんだはロジンを含むペースト化剤を使用して作製したAu−Sn合金はんだペーストに比べて十分な濡れ広がり性を確保することができなかった。そのため、ロジンを含まないペースト化剤を使用して洗浄工程を必要としない濡れ広がり性に優れたAu−Sn合金はんだペーストの開発に迫られていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、濡れ広がり性に一層優れたロジンを含まないAu−Sn合金はんだペーストを作製すべく研究を行った。その結果、
(a)Au−Sn合金粉末の表面に、貴金属(Au、Pt、Rh、Pd、Ru)からなる貴金属層を形成してAu−Sn合金粉末の表面に形成される酸化膜の量を減らしたAu−Sn合金粉末を作製し、この表面酸化膜の少ないAu−Sn合金粉末をロジンを含まないペースト化剤と混合して得られたはんだペーストは、Au−Sn合金粉末がリフロー中に雰囲気から酸化されることを防ぐと共にロジンなどの活性成分を含まなくても十分な濡れ広がり性を実現できる、
(b)その際、Au−Sn合金粉末の表面に形成される貴金属層の厚さは10〜1000nmの範囲内にあることが好ましい、
(c)Au−Sn合金粉末の表面に形成された極めて薄い貴金属層は加熱または長期間放置するとAu−Sn合金粉末内部に拡散してAu−Sn合金粉末の融点を上げるところから、Au−Sn合金粉末の表面にFe、Cr、Niの内のいずれかの金属からなる拡散吸収防止層を形成し、この拡散吸収防止層の上に貴金属からなる貴金属層を形成すると、長時間保存しても貴金属層がAu−Sn合金粉末に拡散吸収されることはなく、またろう付け加熱時に貴金属層がAu−Sn合金粉末に拡散吸収されることを防止し、Au−Sn合金粉末の融点を上昇させることはない、
(d)前記Au−Sn合金粉末の表面に形成される貴金属層または貴金属層および拡散吸収防止層からなる複合コーティング層は、それぞれAu−Sn合金粉末の表面全面に形成されている必要はなく、Au−Sn合金粉末の表面の30面積%以上に形成されていれば、その部分を起点として粉末の溶融が進み、はんだの濡れが問題なく達成される、という研究結果が得られたのである。
【0007】
この発明は、かかる研究結果にもとづいてなされたものであって、
(1)Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn合金粉末の表面に、厚さ:10〜1000nmを有するAu、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなる貴金属層を形成してなるはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、
(2)前記貴金属層は、Au−Sn合金粉末の表面の30面積%以上に亘って形成されている(1)記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、
(3)Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn合金粉末の表面に、
厚さ:10〜1000nmを有するFe、Cr、Niの内のいずれかの金属からなる拡散吸収防止層と、この拡散吸収防止層の上に形成された厚さ:10〜1000nmを有するAu、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなる貴金属層とからなる複合コーティング層を形成してなるはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、
(4)前記貴金属層および拡散吸収防止層からなる複合コーティング層は、Au−Sn合金粉末の表面の30面積%以上に亘って形成されている(3)記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、に特徴を有するものである。
【0008】
前記貴金属層は、貴金属(Au、Pt、Rh、Pd、Ru)を電解または無電解メッキにより形成したメッキ層であってもよく、貴金属粉末を凝集させた凝集粉末層であってもよく、また貴金属からなるターゲットを用いてスパッタリングして得られたスパッタリング層であってもよい。したがって、この発明は、
(5)前記貴金属層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属を電解メッキして得られた電解メッキ層である前記(1)、(2)、(3)または(4)記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、
(6)前記貴金属層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなるターゲットを用いてスパッタリングして得られたスパッタリング層である(1)、(2)、(3)または(4)記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、
(7)前記貴金属層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属粉末を凝集させた凝集粉末層である前記(1)、(2)、(3)または(4)記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末、に特徴を有するものである。
【0009】
Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn合金は、Au−Snはんだ合金として最も広く用いられており、その成分組成も既に知られているので、その成分組成範囲の限定理由の説明は省略する。また、この発明のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末は、通常のアトマイズ法により作製したAu−Sn合金粉末を使用し、その平均粒径は10〜100μmの範囲内にあり、この平均粒径は市販のAu−Sn合金粉末の平均粒径と同じである。
【0010】
かかる通常のAu−Sn合金粉末の表面に形成される貴金属(Au、Pt、Rh、Pd、Ru)からなる貴金属層は、その厚さが10nm未満ではAu−Sn合金粉末溶融時に瞬時に溶融したAu−Sn合金に吸収されて十分な効果が得られず、一方、1000nmを越えると、Au−Sn合金の組成の変動が大きくなり、融点が大きく変化し、それによって濡れ広がり性に悪影響を与えるので好ましくない。したがって、Au−Sn合金粉末の表面に形成される貴金属層の厚さは10〜1000nmに定めた。貴金属層の厚さの一層好ましい範囲は電解メッキ層の場合は200〜500nm、スッパッタリング層の場合は100〜500nm、凝集粉末層の場合は300〜700nmである。
【0011】
また、この発明のAu−Sn合金粉末の表面に形成されるFe、Cr、Niの内のいずれかの金属からなる拡散吸収防止層は必要に応じて形成されるが、その厚さが10nm未満では貴金属からなる貴金属層の拡散に対するバリア効果が薄いので好ましくなく、一方、1000nmを越えると、Au−Sn合金に不純物として取り込まれ、組成の変動が大きくなり、融点が大きく変化して濡れ広がり性に悪影響を与えるので好ましくない。したがって、Au−Sn合金粉末の表面に形成される拡散吸収防止層の厚さは10〜1000nmに定めた。拡散吸収防止層の厚さの一層好ましい範囲は50〜500nmである。
【0012】
また、この発明のAu−Sn合金粉末の表面に形成される貴金属(Au、Pt、Rh、Pd、Ru)からなる貴金属層は、Au−Sn合金粉末の表面全面に形成されることが最も好ましいが、表面全面に形成されなくても所定の効果が得られ、その被覆率は30%未満になると十分な効果が得られないので、Au−Sn合金粉末の表面に形成される貴金属層の被覆率は30%以上に定めた。さらに拡散吸収防止層の被覆率は30%未満になると、十分な効果が得られないので、Au−Sn合金粉末の表面に形成される拡散吸収防止層の被覆率は30%以上に定めた。
【0013】
【発明の実施の形態】
Sn:20質量%を含有し、残部がAuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、平均粒径:20μmを有する市販のガスアトマイズAu−Sn合金粉末を従来Au−Sn合金粉末として用意した。
【0014】
実施例1
このAu−Sn合金粉末に対し、シアン化第一金カリウムを水に溶解し、クエン酸を加えてPHを約5に調整した浴を用いて無電解メッキによりAu−Sn合金粉末の表面全面に表1に示される厚さのAuからなる貴金属層を形成し、本発明はんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末(以下、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末という)1〜5および比較はんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末(以下、比較表面被覆Au−Sn合金粉末という)1〜2を作製した。なお、Auからなる貴金属層の厚さは無電解メッキ時間を調整することにより調節した。
かかる本発明表面被覆Au−Sn合金粉末1〜5、比較表面被覆Au−Sn合金粉末1〜2および先に用意した従来Au−Sn合金粉末のそれぞれに対し、流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金について、光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表1に示した。なお、表面光沢の有無は溶融はんだ部分における反射率を測定し、50%以上の反射率を表面光沢「有」、50%未満の反射率を表面光沢「無」として評価した。
【0015】
【表1】
Figure 2004141937
【0016】
表1に示される結果から、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末1〜5を含むはんだペーストは、従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末1〜2を含むはんだペーストは好ましくない特性があることがわかる。
【0017】
実施例2
撹拌機構とメッシュ状のアノード及びカソードを備えたメッキ装置を用意し、市販のメッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製のパラデックスMS(商品名))を用い、このメッキ液中にAu−Sn合金粉末を撹拌・分散しながら、電流密度:2A/dm、メッキ浴温度:60℃で電解メッキ時間を変えることにより電解メッキを行い、Au−Sn合金粉末に表2に示される厚さのPdからなる貴金属層を形成することにより本発明表面被覆Au−Sn合金粉末6〜10および比較表面被覆Au−Sn合金粉末3〜4を作製した。なお、Pdからなる貴金属層の厚さは電解メッキ時間を調整することにより調節した。
かかる本発明表面被覆Au−Sn合金粉末6〜10および比較表面被覆Au−Sn合金粉末3〜4のそれぞれに対し、流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表2に示した。
【0018】
【表2】
Figure 2004141937
【0019】
表2に示される結果から、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末6〜10を含むはんだペーストは、表1の従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末3〜4を含むはんだペーストは好ましくない特性があることがわかる。
【0020】
実施例3
撹拌機構とメッシュ状のアノード及びカソードを備えたメッキ装置を用意し、市販のメッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製のスーパーロジウムNo1(商品名))を用い、このメッキ液中にAu−Sn合金粉末を撹拌・分散しながら、電流密度:1.34A/dm、メッキ浴温度:50℃で電解メッキ時間を変えることにより電解メッキを行い、Au−Sn合金粉末に表3に示される厚さのRhからなる貴金属層を形成し、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末11〜15および比較表面被覆Au−Sn合金粉末5〜6を作製した。なお、Rhからなる貴金属層の厚さは電解メッキ時間を調整することにより調節した。
かかる本発明表面被覆Au−Sn合金粉末11〜15および比較表面被覆Au−Sn合金粉末5〜6に対し、それぞれ流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表3に示した。
【0021】
【表3】
Figure 2004141937
【0022】
表3に示される結果から、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末11〜15を含むはんだペーストは、表1の従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末5〜6を含むはんだペーストは好ましくない特性があることがわかる。
【0023】
実施例4
撹拌機構とメッシュ状のアノード及びカソードを備えたメッキ装置を用意し、市販のメッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製のプラタネクス3LS(商品名))を用い、このメッキ液中にAu−Sn合金粉末を撹拌・分散しながら、電流密度:2A/dm、メッキ浴温度:80℃で電解メッキ時間を変えることにより電解メッキを行い、Au−Sn合金粉末に表4に示される厚さのPtからなる貴金属層を形成し、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末16〜20および比較表面被覆Au−Sn合金粉末7〜8を作製した。なお、Ptからなる貴金属層の厚さは電解メッキ時間を調整することにより調節した。
かかる本発明表面被覆Au−Sn合金粉末16〜20および比較表面被覆Au−Sn合金粉末7〜8に対し、それぞれ流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表4に示した。
【0024】
【表4】
Figure 2004141937
【0025】
表4に示される結果から、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末16〜20を含むはんだペーストは、表1の従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末7〜8を含むはんだペーストは好ましくない特性があることがわかる。
【0026】
実施例5
撹拌機構とメッシュ状のアノード及びカソードを備えたメッキ装置を用意し、市販のメッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製のルテネックス(商品名))を用い、このメッキ液中にAu−Sn合金粉末を撹拌・分散しながら、電流密度:1A/dm、メッキ浴温度:65℃で電解メッキ時間を変えることにより電解メッキを行い、Au−Sn合金粉末に表5に示される厚さのRuからなる貴金属層を形成し、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末21〜25および比較表面被覆Au−Sn合金粉末9〜10を作製した。なお、Ruからなる貴金属層の厚さは電解メッキ時間を調整することにより調節した。
かかる本発明表面被覆Au−Sn合金粉末21〜25および比較表面被覆Au−Sn合金粉末9〜10に対し、それぞれ流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表5に示した。
【0027】
【表5】
Figure 2004141937
【0028】
表5に示される結果から、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末21〜25を含むはんだペーストは、表1の従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末9〜10を含むはんだペーストは好ましくない特性があることがわかる。
【0029】
実施例6
直流マグネトロンスパッタリング装置を用意し、この装置に金ターゲットをセットし、一方、先に用意したガスアトマイズAu−Sn合金粉末を金ターゲットの下方に位置するトレイに薄く広げ、さらにトレイを自転させて均一にコーティングすることにより厚さ:50nmのAuからなる貴金属層を形成した本発明表面被覆Au−Sn合金粉末26〜30および比較表面被覆Au−Sn合金粉末11〜12を作製した。この場合、コーティングされるのは粉末のターゲット方向を向いている面のみであるが、SEM観察によりAu−Sn合金粉末表面の貴金属層の被覆率を測定した。得られた本発明表面被覆Au−Sn合金粉末26〜30および比較表面被覆Au−Sn合金粉末11〜12に対し、それぞれ流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表6に示した。
【0030】
【表6】
Figure 2004141937
【0031】
表6に示される結果から、貴金属層の被覆率が30面積%以上の本発明表面被覆Au−Sn合金粉末26〜30を含むはんだペーストは、表1に示される従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、貴金属層の被覆率が30面積%未満のこの発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末11〜12を含むはんだペーストは、はんだ広がり率が十分でないことがわかる。
【0032】
実施例7
先に用意した平均粒径:20μmを有する市販のガスアトマイズAu−Sn合金粉末と、市販の超微粒Au粉末(平均粒径:0.01μm)を質量被40:1の割合でヘキサン溶媒をとしてボールミルにより12時間混合した。混合後、得られた混合粉末をSEMで観察したところ、超微粒Au粉末がガスアトマイズAu−Sn合金粉末の表面を、表7に示される厚さを有する超微粒Au粉末が凝集してなる凝集粉末層が形成された本発明表面被覆Au−Sn合金粉末31〜35および比較表面被覆Au−Sn合金粉末13〜14が得られた。これら本発明表面被覆Au−Sn合金粉末31〜35および比較表面被覆Au−Sn合金粉末13〜14に対し、それぞれ流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。
これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表7に示した。
【0033】
【表7】
Figure 2004141937
【0034】
表7に示される結果から、貴金属層の被覆率が30面積%以上の本発明表面被覆Au−Sn合金粉末31〜35を含むはんだペーストは、表1に示される従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末13〜14を含むはんだペーストは、はんだ広がり率が十分でないことがわかる。
【0035】
実施例8
直流マグネトロンスパッタリング装置を用意し、この装置にまずNiターゲットをセットし、一方、先に用意したガスアトマイズAu−Sn合金粉末を金ターゲットの下方に位置するトレイに薄く広げ、さらにトレイを自転させて均一にコーティングすることにより厚さ:50nmのNiからなる拡散吸収防止層を形成した。
引き続いて、同じ直流マグネトロンスパッタリング装置にAuターゲットをセットし、厚さ:50nmのNiからなる拡散吸収防止層を形成したガスアトマイズAu−Sn合金粉末の上に、さらにAuからなる貴金属層を形成し、Ni層およびAu層からなる複合コーティング層を形成することにより本発明表面被覆Au−Sn合金粉末36〜40および比較表面被覆Au−Sn合金粉末15〜16を作製した。この場合、コーティングされるのは粉末のターゲット方向を向いている面のみであるが、SEM観察によりAu−Sn合金粉末表面のNi層およびAu層の被覆率も測定した。得られた本発明表面被覆Au−Sn合金粉末36〜40および比較表面被覆Au−Sn合金粉末15〜16に対し、それぞれ流動パラフィン:2.4質量%、パラフィンワックス2.6質量%を添加し混合し、加熱溶解してはんだペーストを作製した。これらはんだペーストを用い、JIS Z 3197で規定される方法にしたがってはんだ広がり率を測定し、また同時に溶融後のAu−Sn合金はんだについて、実施例1と同様にして光学顕微鏡によりAu−Sn合金粉末が解けずに残る未溶融部分の有無を観察し、さらに表面光沢の有無を観察し、その結果を表8に示した。
【0036】
【表8】
Figure 2004141937
【0037】
表8に示される結果から、本発明表面被覆Au−Sn合金粉末36〜40を含むはんだペーストは、表1に示される従来Au−Sn合金粉末を含むはんだペーストに比べてはんだ広がり率が大きいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた比較表面被覆Au−Sn合金粉末15〜16を含むはんだペーストは、はんだ広がり率が十分でないことがわかる。
【0038】
【発明の効果】
上述のように、この発明のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末は、ロジンを含まないペースト化剤に添加しても、従来のはんだペーストに比べて濡れ広がり性に優れ、しかもロジンを含まないのでろう付け後の残渣の発生が少なく、ろう付け後の洗浄工程を省略することが出来、しかも良好なはんだ付けを行うことが出来るのでコストを低減することができ、産業上優れた効果をもたらすものである。

Claims (7)

  1. Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn合金粉末の表面に、厚さ:10〜1000nmを有するAu、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなる貴金属層を形成してなることを特徴とするはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
  2. 前記貴金属層は、Au−Sn合金粉末の表面の30面積%以上に亘って形成されていることを特徴とする請求項1記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
  3. Sn:15〜25質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn合金粉末の表面に、
    厚さ:10〜1000nmを有するFe、Cr、Niの内のいずれかの金属からなる拡散吸収防止層と、この拡散吸収防止層の上に形成された厚さ:10〜1000nmを有するAu、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなる貴金属層とからなる複合コーティング層を形成してなることを特徴とするはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
  4. 前記貴金属層および拡散吸収防止層からなる複合コーティング層は、Au−Sn合金粉末の表面の30面積%以上に亘って形成されていることを特徴とする請求項3記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
  5. 前記貴金属層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属層は電解メッキまたは無電解メッキして得られたメッキ層であることを特徴とする請求項1、2,3または4記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
  6. 前記貴金属層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属からなるターゲットを用いてスパッタリングして得られたスパッタリング層であることを特徴とする請求項1、2,3または4記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
  7. 前記貴金属層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ruの内のいずれかの貴金属粉末を凝集してなる凝集粉末層であることを特徴とする請求項1、2,3または4記載のはんだペースト用表面被覆Au−Sn合金粉末。
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