JP2004138454A - 光学的散乱特性推定方法および装置 - Google Patents

光学的散乱特性推定方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】散乱体を含む被測定媒体中の光学的な散乱特性が変化する場合において、被測定媒体の散乱特性すなわち散乱体濃度等を高精度かつ容易に推定する方法および装置を提供する。
【解決手段】散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体に光を入射させ検出光のスペクトルにより被測定媒体の散乱特性を推定する方法であって、既知の散乱特性を有する被測定媒体において検出光のスペクトルからマーカー成分の濃度を計算するための検量関数を求める手順と、散乱特性の変化量とマーカー成分濃度の検量関数による推定値の偏差の関係を求める手順と、未知の散乱特性を有する被測定媒体における検出光のスペクトルからマーカー成分濃度の検量関数による推定値を求め、その推定値に発生している偏差から未知の散乱特性を求める手順とを有する。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、散乱体を含む被測定媒体中の散乱体濃度等の変化にともなって、被測定媒体の光学的な散乱特性が変化する場合に、被測定媒体の散乱特性すなわち散乱体濃度等を高精度に推定する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、生体内の血液中の血糖値を測定するには、生体から血液を採取して、その血液試料中の糖(例えば、グルコース等)の濃度を化学分析等により直接測定することが最も一般的であった。しかし、生体から血液を採取するには、そのための専門技術を習得した人員が必要となり、誰にでも簡単に行えるものではない。また、血液を採取される側にとっても、血液採取には痛みや不安が伴うため、できれば血液を採取することなく測定できることが望ましい。このため、生体を傷付けることなく血糖値の測定を行う測定器の実現が待ち望まれていた。
【0003】
そこで、本発明の出願人により、特願2001−228507が出願されている。この特願2001−228507に開示された技術は、血液等の試料に光を入射し、試料を通過した光または試料によって散乱された光の検出スペクトルを解析することにより、試料中の測定対象成分の濃度を測定するものである。そして、確率統計的なシミュレーションにより測定対象成分の濃度による検出光のスペクトルへの影響を正確に計算することができ、正確な測定結果を得ることのできる光学的成分測定方法および装置を提供するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特願2001−228507の発明は、生体を傷付けることなく血糖値の測定を行う上で有用な技術である。しかし、血液等の試料には、目的とする糖(例えば、グルコース等)以外にも様々な化学成分の物質が含まれており、また、光の散乱体となる種々の血球等も含まれている。この他の散乱体としては、血液中の血球等の細胞壁、細胞核、ミトコンドリアなどがある。加えて、被測定媒体の構造等によっても光は散乱され、散乱特性をもつことになる。このような構造としては、生体を考えた場合、皮膚・筋肉などの生体組織の構造などが挙げられる。一般的に、散乱体を含むか、あるいは散乱特性をもつ被測定媒体において、光学的に特定成分の濃度を測定するには、まず、被測定媒体の光学的な散乱特性を精度良く求める必要がある。しかし、被測定媒体の光学的な散乱特性を高精度に求めることには、以下のような困難がある。
【0005】
まず、散乱体を含む被測定媒体には、ベール−ランバート(Beer−Lambert)の法則をそのまま適用することができない。一般に、被測定媒体に対する入射光と透過光の強度の関係はベール−ランバートの法則によって表される。図1は、光学的散乱特性測定を行う試料に、強度Iinの入射光を入射した場合の入射光と射出光との関係を示す図である。図1(a)は、試料が散乱体を含まない場合である。入射光は、試料により一部が吸収され、強度Iout の射出光として検出される。この場合の吸光度Aは、次式で示される。
A = log(Iin/Iout)= εcd       ・・・ 式1
【0006】
ここで、「log 」は10を底とする対数関数を表し、εは単位距離・単位濃度あたりの吸光係数であり、cは成分の濃度であり、dは試料の厚さすなわち光路長である。式1が、ベール−ランバートの法則として知られているものである。試料中に散乱体を含んでいない場合には、式1により、入射光の各波長についての吸光度が求められるから、射出光のスペクトルによって、試料に含まれる成分の濃度を求めることは比較的容易である。
【0007】
図1(b)は、試料に散乱体が含まれている場合である。この場合、入射光の強度Iinに対する射出光(検出光)の強度Iout は、式1のように簡単に表すことはできない。すなわち、ベール−ランバートの法則をそのまま適用することができない。原理的にはベール−ランバートの法則に従うのであるが、式1から単純に目的成分の濃度cを求めることができない。これは、光の入射点から検出点に至る経路が図示のように種々の経路が存在し、その各経路での光路長も互いに異なるからである。この結果、式1の光路長dが不明となり、式1から単純に目的成分の濃度cを求めることはできない。検出光の強度は、光路長の異なる種々の経路を通る光をそれぞれ足し合わせて求める必要がある。
【0008】
ベール−ランバートの法則を応用して、試料の散乱体濃度または散乱係数等の散乱特性を測定するには以下のような方法がある。第1に、分光光度計と積分球を用いて測定した拡散透過率と拡散反射率(吸光度)に対し、光伝播解析に基づく逆問題解法を適用して散乱係数を求め、散乱体濃度を推定する方法がある。第2に、フェムト秒、ピコ秒スケールの超高速時間分解計測によって拡散透過光または拡散反射光の時間分解波形を測定し、その測定結果に対して光伝播解析に基づく逆問題解法を適用して散乱係数を求めて散乱体濃度を推定する方法がある。これらの方法は、実験室内での特殊な条件(測定対象の試料の厚さが極めて薄い等の条件)では実施可能であるが、一般的な測定条件では測定が非常に困難であり、測定および測定データの解析に時間がかかる。さらに、測定精度についても誤差20%程度となり、測定精度が悪い。
【0009】
ベール−ランバートの法則を応用して散乱特性を測定するのではなく、解析的手法により試料の散乱特性を推定することも可能である。例えば、求めるべき特定成分の濃度とともに試料の散乱体濃度も多変量解析の対象とすることにより、ある範囲内での散乱体濃度の推定ができる。しかし、この方法での測定精度を十分に高精度とすることは困難であり、特に、散乱体濃度の変化が小さいときに、推定値にはその変化量に比べて比較的大きな誤差が含まれる。そして、この方法における測定精度を向上させるためには、予め散乱体濃度の異なる数多くの種類の試料の測定を行っておかなければならず、膨大な量の測定データを取得する必要があり、膨大な時間と労力を費やすことになる。
【0010】
そこで、本発明は、散乱体を含む被測定媒体中の光学的な散乱特性が変化する場合において、被測定媒体の散乱特性すなわち散乱体濃度等を高精度かつ容易に推定する方法および装置を提供し、上記のような困難を解消することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光学的散乱特性推定方法は、散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体に光を入射させ、前記被測定媒体を通過して前記被測定媒体から射出される検出光のスペクトルを検出し、このスペクトルにより前記被測定媒体の散乱特性を推定する方法であって、既知の散乱特性を有する被測定媒体において、検出光のスペクトルから前記マーカー成分の濃度を計算するための検量関数を求める手順と、散乱特性の変化量とマーカー成分濃度の前記検量関数による推定値に発生する偏差の関係を求める手順と、未知の散乱特性を有する被測定媒体における検出光のスペクトルからマーカー成分濃度の前記検量関数による推定値を求め、その推定値に発生している偏差から未知の散乱特性を求める手順とを有するものである。なお、検出光のスペクトルを求めるには、被測定媒体から射出される検出光を分光するとともに各波長における光の強度を検出し、その検出値から例えば吸光度等のスペクトルを求める。
【0012】
また、本発明の光学的散乱特性推定方法は、散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体に光を入射させ、前記被測定媒体を通過して前記被測定媒体から射出される検出光のスペクトルにより前記被測定媒体の散乱特性を推定する方法であって、既知の第1の散乱特性を有する被測定媒体における、前記マーカー成分の濃度と前記検出光のスペクトルとの関係を示す第1のデータ群を求める手順と、前記第1のデータ群により、前記検出光のスペクトルから前記マーカー成分の濃度を計算するための検量関数を求める手順と、既知の第2の散乱特性を有する被測定媒体における、前記マーカー成分の既知の第1の濃度に対する前記検出光のスペクトルを示す第2のデータ群を求める手順と、前記検量関数を利用して、前記第2のデータ群から前記マーカー成分の濃度に対する第1の推定値を求める手順と、前記第1の濃度と前記第1の推定値との偏差を求め、前記散乱特性の変化量と前記推定値の偏差の関係を求める手順と、未知の散乱特性を有する被測定媒体における、前記マーカー成分の既知の第2の濃度に対する前記検出光のスペクトルを示す第3のデータ群を測定により求める手順と、前記検量関数を利用して、前記第3のデータ群から前記マーカー成分の濃度に対する第2の推定値を求める手順と、前記第2の濃度と前記第2の推定値との偏差を求め、前記散乱特性の変化量と前記推定値の変化量との間の前記関係により前記未知の散乱特性を求める手順とを有するものである。
【0013】
また、上記の光学的散乱特性推定方法において、前記第1のデータ群および前記第2のデータ群は、光伝播の確率統計的なシミュレーションにより求めることもできる。
【0014】
また、上記の光学的散乱特性推定方法において、前記検量関数は、前記第1のデータ群に多変量解析を適用して求めるものであることが好ましい。
【0015】
また、上記の光学的散乱特性推定方法において、前記検出光を前記入射光が前記被測定媒体を透過した透過光とし、前記検出光のスペクトルとして透過吸光度を求めるようにすることができる。
【0016】
また、上記の光学的散乱特性推定方法において、前記検出光として、前記入射光が前記被測定媒体によって反射散乱された拡散反射光を検出するようにすることができる。
【0017】
また、上記の光学的散乱特性推定方法において、前記被測定媒体に入射させる光は、波長700〜2500nmの近赤外光であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の光学的散乱特性推定装置は、散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体に光を入射させ、前記被測定媒体を通過して前記被測定媒体から射出される検出光のスペクトルにより前記被測定媒体の散乱特性を推定する装置であって、前記被測定媒体に光を入射させる光源部と、前記被測定媒体を通過した検出光のスペクトルを検出する検出部と、前記光源部および前記検出部を制御するとともに前記検出光のスペクトルの演算処理を行う制御演算部とを有し、前記制御演算部は、既知の第1の散乱特性を有する被測定媒体において、前記検出光のスペクトルから前記マーカー成分の濃度を計算するための検量関数を記憶する手段と、前記被測定媒体の散乱特性が前記第1の散乱特性から変化した場合に、この散乱特性の変化量と、前記検量関数による前記マーカー成分の濃度の推定値に生じる偏差の間の関係を記憶する手段とを備え、未知の散乱特性を有する被測定媒体における前記検出光のスペクトルを測定し、このスペクトルに前記検量関数を適用して前記マーカー成分の濃度に対する推定値を求め、この推定値に発生する偏差から前記未知の散乱特性を求めるものである。
【0019】
また、上記の光学的散乱特性推定装置において、前記被測定媒体に入射させる光は、波長700〜2500nmの近赤外光であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、光学的散乱特性測定方法の測定原理について説明する。図1は、光学的散乱特性測定を行う試料に、強度Iinの入射光を入射した場合の入射光と射出光との関係を示す図である。図1(a)は、試料が散乱体を含まない場合である。入射光は、試料により一部が吸収され、強度Iout の射出光として検出される。この場合の吸光度Aは、前述の式1(ベール−ランバートの法則)で示される。試料中に散乱体を含んでいない場合には、式1で表されるベール−ランバートの法則により、入射光の各波長についての吸光度が求められるから、射出光のスペクトルによって、試料に含まれる成分の濃度を求めることは比較的容易である。
【0021】
図1(b)は、試料に散乱体が含まれている場合である。実際の測定試料における散乱体としては、皮膚・筋肉などの組織および/または血液中の血球、細胞核、ミトコンドリアなどがある。この場合、入射光の強度Iinに対する射出光(検出光)の強度Iout は、式1のように簡単に表すことはできない。これは、光の入射点から検出点に至る経路が図示のように種々の経路が存在し、その各経路での光路長も互いに異なるからである。検出光の強度は、光路長の異なる種々の経路を通る光をそれぞれ足し合わせて求める必要がある。
【0022】
図1(b)のような散乱体を含む試料に対して、入射光の強度Iinに対する射出光の強度Iout (または吸光度A)を、実際に測定して求めることができる。また、射出光の強度(または吸光度)を実測できない場合には、これを後述の確率統計的なシミュレーションによっても求めることができる。
【0023】
そして、各波長における射出光の強度から、検出光のスペクトルを求める。目的成分の濃度や他の条件(温度等)を種々の値に変化させ、その複数種類の試料に対する検出光のスペクトルを求めて、これらのスペクトルから検量関数を求めることができる。検量関数とは、特定の実測したスペクトルを入力すると、目的成分の濃度を出力するような関数である。検量関数については、後に詳しく説明する。
【0024】
なお、散乱体を含む試料では、図1(c)のように、入射光が試料によって散乱された拡散反射光を検出するようにして、入射光が入射する面と同じ表面で射出光を検出することができる。この場合でも、図1(b)の場合と同様に、実測または確率統計的なシミュレーションによって、入射光の強度Iinに対する射出光の強度Iout を求めることができる。
【0025】
確率統計的なシミュレーションの一例として、モンテカルロ法を使用した場合について説明する。図2は、モンテカルロ法による光路追跡を示す図である。まず、エネルギーW の入射光が試料に入射するものとする。入射方向をz軸とする、図示のような直交3軸xyz座標系を考える。この光束は、xyz座標系の原点で散乱され、その散乱光はエネルギーW の光束で示される。天頂角θはz軸と散乱光のなす角度であり、方位角φは散乱光のxy平面への投影とx軸とのなす角度である。また、散乱光が次の散乱を受けるまでの行程長をLとする。散乱光の各パラメータは次式で表される。
【0026】
L = −ln(R)/(μ+μ
θ = f−1(g,R
φ = 2πR
【0027】
ここで、「ln」はeを底とする自然対数関数を表す。また、R ,R ,R は、それぞれが、区間[0,1]での一様乱数である。また、μ は測定試料の吸収係数、μ は測定試料の散乱係数、gは散乱の非等方性を示すパラメータである。このパラメータgは、散乱の指向性を表す位相角関数(例えば、Henyey−Greenstein 関数等)を記述するために用いられるパラメータである。上記の式中の関数fは、この位相角関数を用いて表される公知の関数である。
【0028】
エネルギーW の光束は、極座標(r,θ,φ)で示される点で次の散乱を受ける。この第2次散乱光は、エネルギーW の光束で示される。そして、第2次散乱光は、x’y’z’座標系の極座標(r’,θ’,φ’)で示される点で次の散乱を受ける。このようにして、次々と散乱光の光路を追跡していく。散乱光のエネルギーは、次式により表される。
【0029】
 = Iin/N
 = W{μ/(μ+μ)}
 = W{μ/(μ+μ)}= W{μ/(μ+μ)}
・ ・ ・
 = Wm−1{μ/(μ+μ)}= W{μ/(μ+μ)}
out = W{μ/(μ+μ)}
out = Σ iout
【0030】
上記の式において、Nはシミュレーションの回数を示す。すなわち、W は各1回のシミュレーションにおける入射光束のエネルギーであり、全入射エネルギーIinをNで割ったものとなる。上記のW はm回の散乱を受けた後の光束のエネルギーを示すものである。そして、1回のシミュレーションにおける検出光束のエネルギーiout は、光束が検出領域に到達した場合にはm回の散乱を受けた後の光束のエネルギーW として表され、光束が検出領域に到達しなかった場合には0となる。検出光の全エネルギーIout は、N回のシミュレーションの各回ごとの検出光束のエネルギーiout を全て足し合わせたものとなる。
【0031】
このようにして、入射光の光束に対して、検出位置に到達する光束の光路およびエネルギーをコンピュータによるシミュレーションで求めることができる。このシミュレーションを例えば1万回繰り返し、検出位置に到達する光束のエネルギーを足し合わせれば、光伝播特性を統計的に求めることができる。なお、ここではモンテカルロ法による光路追跡の説明を行っているが、モンテカルロ法以外のランダムウォーク法等の他の確率統計的手法を用いて検出光の強度を求めることもできる。
【0032】
実際に、試料中の目的成分の濃度を求める場合には、目的成分の濃度以外に、目的成分以外の他の成分の濃度、散乱体の濃度、温度等の種々の要因が関係してくる。このように多数の要因が同時に変化する中から、目的成分の濃度情報を抽出するには、多変量解析などの解析手法が用いられる。しかし、生体を対象とした測定では、測定対象の光学特性(吸収特性、散乱特性)の変化による吸光度変化が非常に小さい場合に、多変量解析などの解析手法をそのまま用いると、他の成分濃度変化に伴う光学特性値変化の影響が強くなり、目的成分の濃度推定に付随する誤差が非常に大きくなってしまうことが多いという問題点があった。
【0033】
すなわち、目的成分として散乱体濃度を設定し、多変量解析などの解析手法によって散乱体濃度を求めたとしても、それらの推定値に含まれる誤差が非常に大きくなってしまう可能性がある。本発明は、目的成分である散乱体濃度を直接求めるのではなく、マーカーとしての別の成分(以下、マーカー成分という)の濃度を推定し、その際に生じる推定値の偏差を利用して、直接推定することが困難な散乱体濃度を高精度にかつ容易に推定することができるようにしたものである。ここで、推定すべき量を散乱体濃度としたが、散乱体濃度に代えて試料の散乱係数を推定するようにしてもよい。なお、マーカー成分としては、化学分析等の他の方法により容易に成分濃度を測定することのできるもの、さらに、溶媒に溶解し、その成分によって光の伝播に対し散乱を生じさせないものであることが望ましい。
【0034】
図3は、本発明の光学的散乱特性推定方法と既存の推定方法との相違点および本発明の光学的散乱特性推定方法の利点を説明するための図である。図3(a)は既存の推定方法の手順を簡略に示したものであり、図3(b)はその方法における測定値と推定値との関係を模式的に示したグラフである。図3(a)の推定方法では、まず、試料に対して入射光を入射し、試料を透過した透過光または試料によって散乱された拡散反射光を検出してそのスペクトルを測定する。これは、図1(b)または図1(c)における、試料からの射出光の強度Iout のスペクトルを測定することになる。図3(b)では、射出光のスペクトルを吸光度として測定したものである。
【0035】
次に、その検出光のスペクトルを使用して解析手法により散乱体濃度を求めるのである。解析手法としては、散乱体濃度を目的変数(推定する対象の変数)とする多変量解析を利用することにより、散乱体濃度を求めることができる。また、別の解析手法としては、散乱体濃度を仮定して前述のような光伝播の確率統計的なシミュレーションにより検出光強度を求め、そのようなシミュレーションを散乱体濃度の値を種々変化させて行い、シミュレーションによる検出光強度が実測値に最も近づくような散乱体濃度を求めるという、いわゆる逆問題解析がある。
【0036】
いずれの解析手法によっても、図3(b)に示すように、散乱体濃度が点線で示す標準値から変化したときの吸光度の変化量は小さい。このことは、逆に射出光のスペクトルすなわち吸光度から散乱体濃度を求めた場合に、吸光度のわずかの測定誤差が散乱体濃度に大きな影響を与えることを示している。すなわち、既存の推定方法では、散乱体濃度を高精度に求めることは非常に困難である。
【0037】
図3(c)は本発明の推定方法の手順を簡略に示したものであり、図3(d)はその方法における測定値と推定値との関係を模式的に示したグラフである。図3(c)の推定方法では、まず、試料に対して入射光を入射し、試料を透過した透過光または試料によって散乱された拡散反射光を検出してそのスペクトルを測定する。なお、試料には、散乱体が均一に分散している以外に、マーカー成分(例えば、グルコース等)が所定の濃度で溶解している。このマーカー成分の濃度は、化学分析等の他の方法によって正確に求められている。
【0038】
スペクトル測定に関しては、既存の推定方法と同様であり、図1(b)または図1(c)のようにして射出光の強度のスペクトルを測定する。例えば、図1(b)のようにして吸光度のスペクトルを測定する。そして、散乱体濃度としてある標準値を仮定し、解析手法によりマーカー成分の濃度を求める。解析手法としては、マーカー成分の濃度を目的変数とする多変量解析を利用することにより、散乱体濃度を求めることができる。別の解析手法としては、前述のような光伝播のシミュレーションを行い、逆問題解析によってマーカー成分の濃度を求めてもよい。
【0039】
このときに、もし実際の散乱体濃度が仮定した標準値と正確に一致していれば、このような解析手法によりマーカー成分の濃度を高精度で求めることができる。しかし、実際の散乱体濃度が標準値からわずかに変化すると、解析手法により求めたマーカー成分の濃度は標準の濃度から大きく変化することになる。これは、図3(d)に示されている。散乱体濃度が標準値(垂直の点線で示される)の場合にはマーカー成分の濃度の偏差(誤差)が0になるが、散乱体濃度が標準値から変化すると、マーカー成分の濃度が大きく変化し偏差が大きくなる。
【0040】
言い換えれば、解析手法により求めたマーカー成分の濃度の偏差は、散乱体濃度の変化に対して非常に感度が高いということになる。本発明では、このような知見を逆に利用して、解析手法により求めたマーカー成分の濃度の偏差から、散乱体濃度を高精度に推定するものである。すなわち、散乱体濃度が標準値から所定量だけ変化した場合のマーカー成分濃度の偏差を予め実測またはシミュレーションによって求めておき、実際の偏差に対応する散乱体濃度を求めることができる。このような方法により、通常では高精度に検出することが困難な試料の散乱体濃度を、高精度に推定することができるのである。
【0041】
なお、上述の推定方法において、多変量解析に用いる吸光度スペクトルは、通常は実測値を使用するが、前述の光伝播シミュレーションによって求めることもできる。光伝播シミュレーションを利用する場合には、各成分の濃度の変化による試料の光学特性値(吸収係数、散乱係数など)の変化を知っておく必要がある。光学特性値の変化は、実測して求めておくか、各成分の光学特性の文献値から計算により求めておく。また、これらの光学特性値の変化による吸光度の変化のシミュレーション結果が、実際の測定条件における実測値と良好に一致することを確認しておく必要がある。
【0042】
さらに、上述の推定方法においては、検出光のスペクトルを透過光による吸光度として測定しているが、図1(c)のようにして拡散反射光の強度スペクトルを測定するようにしてもよい。
【0043】
図4は、本発明の光学的散乱特性推定方法の各手順をさらに詳細に示した図である。まず、手順1では、試料の散乱体濃度は標準値として、マーカー成分濃度を推定するためのサンプルデータを作成する。サンプルデータは、実測あるいは光伝播シミュレーションによって作成する。試料の散乱体濃度は標準値として固定し、マーカー成分濃度を複数種類に変化させて、それぞれのマーカー成分濃度に対して吸光度スペクトルのサンプルデータを作成する。
【0044】
マーカー成分濃度をn種類の濃度C とし、それぞれの濃度C の試料に対して吸光度Aλ(i)が観測されるとする。ここで、i=1〜nであり、光の波長λはスペクトルの測定に必要な多数の離散的な波長を意味している。例えば、マーカー成分をグルコースとし3種類の濃度C =1000,C =2000,C =3000(単位はそれぞれ[mg/dL])とすると、それぞれの濃度の試料に対応して3種類の吸光度スペクトルAλ(1),Aλ(2),Aλ(3)が得られる。
【0045】
なお、ここではマーカー成分濃度を変化させたときのサンプルデータのみを示しているが、他の成分濃度や温度等の外乱要素を考慮する必要があれば、それらの値も変化させたサンプルデータを作成する必要がある。
【0046】
次に、手順2では、散乱体濃度が標準値の場合の、マーカー成分濃度を目的変数とする検量関数を求める。この検量関数は、例えば、手順1で述べた3種類の濃度C の例で説明すると、次のようにして求めることができる。検量関数の実体を構成する係数βλを使って、3種類の濃度を次式のように表す。
【0047】
 = Σλ{βλ・Aλ(1)}
 = Σλ{βλ・Aλ(2)}
 = Σλ{βλ・Aλ(3)}
【0048】
ただし、上式においてΣλは、スペクトルの測定に用いる離散的な波長の全てについての和をとることを示す。すなわち、3種類の既知の濃度を表す上式がそれぞれ成り立つような、各波長における係数βλを求めれば、その係数βλを使用した次の式2によって、未知のマーカー成分濃度Cが求められる。ただし、未知のマーカー成分濃度Cに対する吸光度のスペクトルをAλとしている。
C = Σλ{βλ・Aλ}           ・・・ 式2
【0049】
すなわち、式2がマーカー成分濃度を目的変数とする検量関数となる。したがって、検量関数を求めるということは、スペクトルの測定に用いた各波長に対して係数βλを求めるということに他ならない。係数βλを求めるには、例えば、既知のマーカー成分濃度に対して、式2で求められる濃度と実際の濃度との誤差が最小になるような係数βλを決定する。これには公知の多変量解析(例えば、PLS(部分最小二乗回帰分析)、PCR(主成分回帰分析)、MLR(重回帰分析)等)などを利用する。なお、式2の検量関数は、散乱体濃度が標準値の場合に各係数βλを決定したものであるので、散乱体濃度が標準値であればマーカー成分濃度を高精度に求めることができる。
【0050】
次に、手順3では、散乱体濃度を標準値から所定の変化量だけ変化させた試料によりサンプルデータを作成する。これは、散乱体濃度が標準値から変化することにより、式2の検量関数から求めたマーカー成分濃度にどのような偏差(誤差)が生じるのかを確認するためである。すなわち、この試料における散乱体濃度も正確に知っている必要がある。サンプルデータの作成は、手順1と同様に行われる。
【0051】
次に、手順4では、手順2で作成した式2の検量関数を使用して、手順3で得たサンプルデータによりマーカー成分濃度(推定値)を求める。このとき、散乱体濃度が標準値であればマーカー成分濃度にほとんど誤差は生じないが、手順3のサンプルデータは散乱体濃度を標準値から変化させているので、その変化量に応じてマーカー成分濃度にも構造的な偏差が生じる。
【0052】
次に、手順5では、手順3でサンプルデータを作成した試料のマーカー成分濃度を実際に測定して実測値を求める。マーカー成分濃度の実測値は、化学分析等の他の方法により測定する。
【0053】
次に、手順6では、手順4で求めたマーカー成分濃度の推定値と、手順5で求めたマーカー成分濃度の実測値との差を取ることにより、推定値に発生する偏差を求める。このとき、散乱体濃度の変化量に比べて、マーカー成分濃度には大きな偏差が発生し、散乱体濃度の変化を高感度に反映するものとなる。
【0054】
また、散乱体濃度の変化は散乱係数等の散乱特性を変化させるが、この散乱特性の変化の波長依存性は小さい。つまり、どの波長でも散乱特性は同じ程度変化する。したがって、散乱体濃度変化に伴う吸光度スペクトルの変化は、測定している全波長範囲でほとんど同じになる。その結果、散乱体濃度の変化によるマーカー成分濃度の偏差は、どのマーカー成分濃度においても同程度の値となる。すなわち、真のマーカー成分濃度に対して、その偏差だけシフトした結果となる。このような構造的な偏差が生じるため、この偏差から逆に散乱体濃度の変化量を求めることも可能になるのである。
【0055】
次に、手順7では、手順3の試料における散乱体濃度の標準値ε からの変化量Δεと、マーカー成分濃度Cに発生する偏差E(手順6で求めたもの)により、変化量Δεと偏差Eとの関係を求める。これらの間には、ほぼ比例関係が認められ、次式のような関係にあることが分かった。
E = α・Δε                ・・・ 式3
【0056】
変化量Δεと偏差Eとから式3における定数αを求めることができる。また、この式3は、一般化した任意の試料に対する散乱体濃度の変化量とマーカー成分濃度の偏差の関係も表している。この式3により、未知の散乱体濃度の試料に対して、マーカー成分濃度に生じる偏差から散乱体濃度を求めることができる。
【0057】
次に、手順8では、未知の散乱体濃度の試料に対して実測によりサンプルデータを作成し、手順2で作成した式2の検量関数を使用してマーカー成分濃度を求める。ただし、この試料のマーカー成分濃度は、既知であるか、別の方法により正確に測定可能でなければならない。このときに、試料の散乱体濃度が標準値ε であればマーカー成分濃度に偏差は生じないが、散乱体濃度が標準値ε から変化していれば、その変化量Δεに応じてマーカー成分濃度Cにも構造的な偏差Eが生じている。このマーカー成分濃度に発生する偏差Eを求める。
【0058】
次に、手順9では、手順8で求めた偏差Eから未知の試料の散乱体濃度を求める。未知の散乱体濃度をε(ただし、ε=ε +Δε)とすると、式3により偏差Eから散乱体濃度の変化量Δεが求まるので、これにより未知の散乱体濃度εを求めることができる。結局、散乱体濃度εは次の式4により求められる。すなわち、式4が散乱体濃度を推定するための検量線となる。
ε = ε +E/α              ・・・ 式4
【0059】
以上のような手順1から手順9に従って、未知の試料の散乱体濃度を推定することにより、計算量も比較的少なく短時間で、かつ、高精度に散乱体濃度を求めることができる。なお、ここでは散乱特性として散乱体濃度を例に挙げて説明したが、散乱体濃度以外の特性値(例えば、散乱係数等)であっても同様の手順により散乱特性を推定できる。例えば、散乱体濃度の代わりに媒体の散乱係数を求めたいときには、上記の手順において「散乱体濃度ε」を「媒体の散乱係数μ」と置き換えれば同様の手順により媒体の散乱係数を求めることができる。
【0060】
次に、本発明の光学的散乱特性推定方法によって、実際に散乱体濃度を推定した結果について述べる。試料は、マーカー成分をグルコースとして、グルコースの水溶液中に散乱体であるイントラリピッド(脂質粒子)が浮遊したものを用いた。この試料において、マーカー成分濃度、散乱体濃度、試料温度を変化させて試料の吸光度スペクトルを計測し、本発明の光学的散乱特性推定方法の有効性を検証した。
【0061】
試料の測定条件は次の通りである。散乱体濃度は体積百分率で1.0〜3.0%の範囲で変化させ、マーカー成分濃度は1000〜3000mg/dLの範囲で変化させ、試料の温度は25〜45℃の範囲で変化させた。このように各パラメータを変化させた試料について、透過光の吸光度スペクトルのサンプルデータを計測した。吸光度スペクトルの波長範囲は1250〜1800nmとし、この波長範囲内の318点で計測した。
【0062】
図5に、吸光度スペクトルのサンプルデータの例を示す。ただし、図5は、吸光度スペクトルの全体の概要を示すものであり実際の測定データそのものを表したものではない。散乱体濃度を1,2,3%として、それぞれの場合の吸光度スペクトルを計測したものである。図5では、簡単化してそれぞれの散乱体濃度について3本のスペクトル曲線が表されているが実際には9本のスペクトル曲線が存在する。
【0063】
まず、図4の手順1に従って、検量関数を作成するために吸光度スペクトルのサンプルデータを計測した。散乱体濃度は1%に固定し、マーカー成分濃度を1000,2000,3000[mg/dL]の3種類に変化させ、試料温度を25,35,45[℃]の3種類に変化させて、全部で9種類の試料について吸光度スペクトルのサンプルデータを計測した。
【0064】
次に、手順2に従って、散乱体濃度が標準値(1%)の場合の、マーカー成分濃度を目的変数とする検量関数を求めた。手順1での9種類のサンプルデータに多変量解析の一手法であるPLSを適用して、式2のような検量関数を求めた。具体的には、第1〜5主成分までの回帰係数を用いた検量関数を求めた。PLSの具体的な適用については、市販の解析ソフトウェアを使用した。PLSでは、主成分分析でパラメータの数を大幅に減らすことができるので、使用する波長の水準数よりマーカー成分濃度の水準数が小さくても解が得られる点が、通常の最小二乗法と比べて利点となる。
【0065】
次に、手順3に従って、散乱体濃度を標準値(1%)から変化させ3%とした場合の、試料のサンプルデータを計測した。ここでは、マーカー成分濃度を1000,2000,3000[mg/dL]の3種類に変化させ、試料温度を25,35,45[℃]の3種類に変化させて、全部で9種類の試料について吸光度スペクトルのサンプルデータを作成した。なお、ここでは偏差の検証のために、9種類のサンプルデータを作成したが、必ずしも複数種類のサンプルデータを作成する必要はなく、1種類のサンプルデータを作成するだけでもよい。
【0066】
次に、手順4に従って、手順2で作成した検量関数を手順3で得たサンプルデータに適用してマーカー成分濃度を求める。手順2で作成した検量関数は、散乱体濃度が標準値(1%)の場合のものなので、手順1での散乱体濃度1%のサンプルデータに適用した場合には誤差がほとんど発生せず高精度にマーカー成分濃度を推定することができる。図6に、検量関数を散乱体濃度1%のサンプルデータに適用した場合の結果を示す。黒点がマーカー成分濃度の各推定値を示している。点線は誤差が0の場合の推定値を示すものである。図示のように、推定値は真値とほぼ一致する範囲で求められている。
【0067】
ところが、手順3のサンプルデータは散乱体濃度が3%のものであるから、このサンプルデータに手順2の検量関数を適用すると、散乱体濃度の標準値からの変化量に応じて、マーカー成分濃度にも構造的な偏差が生じる。このマーカー成分濃度に発生する偏差を求める。このときの結果を図7に示す。下方の黒点がマーカー成分濃度の各推定値を示している。下方の点線は推定値の平均的な値を示すものである。上方の点線は誤差が0の場合の推定値すなわち真値を示すものである。図示のように、マーカー成分濃度の推定値には大きな偏差を生じており、偏差Eの値は−7871mg/dLとなっている。なお、ここでマーカー成分濃度の真値を求めることが手順5に相当し、偏差Eの値を求めることが手順6に相当する。
【0068】
次に、手順7に従って、散乱体濃度の変化量と発生する偏差の関係を求める。散乱体濃度の標準値からの変化量Δεは2%であり、手順4から偏差Eの値は−7871mg/dLであるから、式3において、E=−7871,Δε=2として、定数αを求めると、α=−3935.5となる。
【0069】
次に、手順8に従って、未知の散乱体濃度の試料に対してサンプルデータを計測し、手順2で作成した式2の検量関数を使用してマーカー成分濃度を求める。ここでは、未知の散乱体濃度の試料として、散乱体濃度2%、マーカー成分濃度2000mg/dL、試料温度35℃の試料のサンプルデータ計測した。この試料の散乱体濃度を本発明の推定方法に従って推定して、本発明の推定方法の有効性を検証した。
【0070】
手順8で計測したサンプルデータに手順2の検量関数を適用すると、マーカー成分濃度の推定値は−1866mg/dLとなり、マーカー成分濃度の真値2000mg/dLに対して、偏差Eは−3866mg/dLとなった。
【0071】
次に、手順9に従って、未知の散乱体濃度を推定した。すなわち、式4において、ε =1.0,E=−3866,α=−3935.5を代入して、散乱体濃度εに対して1.98%という推定値が得られた。この結果により、本発明によれば散乱体濃度を容易かつ高精度に推定することができることが検証された。
【0072】
さらに、未知の散乱体濃度の試料として、散乱体濃度が2%であって、マーカー成分濃度を1000,2000,3000[mg/dL]の3種類に変化させ、試料温度を25,35,45[℃]の3種類に変化させた他の試料についても本発明の推定方法により同様に散乱体濃度を推定してみると、どの試料に対しても散乱体濃度の推定値が1.962〜2.019%の範囲内に収まった。
【0073】
これに対して、既存の推定方法として、吸光度スペクトルから直接に最終目的である散乱体濃度を求めた場合の結果を次に示す。散乱体濃度が2%であって、マーカー成分濃度を1000,2000,3000[mg/dL]の3種類に変化させ、試料温度を25,35,45[℃]の3種類に変化させた試料に対して、既存の推定方法により散乱体濃度を推定してみると、散乱体濃度の推定値は1.908〜2.053%の範囲となった。したがって、本発明の推定方法によれば、散乱体濃度の推定値のばらつきが既存の推定方法と比べて約3分の1になった。
【0074】
また、通常の多変量解析により吸光度スペクトルから直接に最終目的である散乱体濃度を求める場合、散乱体濃度の精度を向上させるためには、サンプルデータの数を著しく増大させる必要がある。本発明では、散乱体濃度の変化量とマーカー成分濃度の偏差との間の式3の線形関係を利用しているので、サンプルデータの数を著しく減少させることができ、散乱特性推定のための計算時間およびコストを大幅に削減することができる。
【0075】
図8は、本発明の光学的散乱特性推定装置1の全体構成を示す図である。光学的散乱特性推定装置1は、試料7に測定光を照射するための光源部5と、試料7を通過した検出光のスペクトルを検出するための検出部6を備えている。光源部5から照射される光は、所定の波長域の近赤外光、例えば、波長700〜2500nmの光が使用される。この波長域の光は、生体透過性が比較的良好であり、生体を対象とした計測に適している。また、この波長域にはマーカー成分としての体内成分の吸光帯が多く存在し、マーカー成分に対応する検量関数が作成しやすい。
【0076】
光源部5から照射された光は、試料7を通過して検出部6によりそのスペクトルが検出される。制御演算部2は、光源部5と検出部6を制御して測定を行うとともに、検出部6で検出されたスペクトルに対して種々の処理を行い、試料7の散乱特性の推定を行う。表示部3には、種々の演算結果や推定値等を表示する。入力部4は、操作者が制御演算部2に対して、種々の動作指示やデータを入力するためのものである。表示部3としてはCRTや液晶表示板等が使用でき、入力部4としてはキーボードやポインティングディバイス等が使用できる。
【0077】
図9は、光学的散乱特性推定装置1の制御演算部2の構成を示すブロック図である。制御演算部2には、種々のデータ処理を行うためのCPU20が設けられており、CPU20にはバス21を介してROMやRAM等からなるメモリ22が接続されている。CPU20は、メモリ22に記憶されているプログラムおよびデータに従って動作する。メモリ22には、基本プログラムであるOS(オペレーティング・システム)や、検出部6によって検出されたスペクトルから試料の散乱特性を推定するための散乱特性推定プログラム221や、多変量解析を行うための多変量解析プログラム222等が記憶されている。
【0078】
また、メモリ22内の検量関数記憶領域223には、散乱特性が標準値の場合の、マーカー成分濃度を目的変数とする検量関数が記憶されている。この検量関数は、測定試料の成分構成や測定環境が大きく変わらない限り同一のものが使用できる。また、複数の検量関数を記憶しておき、試料の種類に応じて検量関数を切り換えて使用することもできる。
【0079】
さらに、メモリ22内の定数記憶領域224には、式3における定数αが記憶されている。この定数αにより、散乱特性(散乱体濃度)の標準値からの変化量Δεと、マーカー成分濃度の推定値に発生する偏差Eとの間の関係が分かる。定数αも検量関数と同様に測定試料の成分構成や測定環境が大きく変わらない限り同一のものが使用できる。また、複数種類の定数αを記憶しておき、試料の種類に応じて検量関数と定数αを切り換えて使用することもできる。
【0080】
さらに、制御演算部2には、固定ディスク装置23が設けられている。固定ディスク装置23には、メモリ22にロードするための各種プログラムおよび各種データ等が記憶されている。また、測定したスペクトルのデータや各種の演算結果、散乱特性の推定値等がこの固定ディスク装置23に保存される。
【0081】
また、制御演算部2には、文字および画像を表示する表示部3と、操作者がデータ等を入力するための入力部4がインターフェース回路24を介して接続されている。そして、制御演算部2には、インターフェース回路25を介して光源部5と検出部6が接続されており、これらを制御して試料7の吸光度スペクトルを測定する。
【0082】
制御演算部2には、図4の手順1から手順2で作成されるべき検量関数が予め作成されて記憶されており、図4の手順3から手順7で求められるべき散乱特性の標準値からの変化量とマーカー成分濃度の推定値に発生する偏差との間の関係(すなわち定数α)が予め求められて記憶されている。したがって、光学的散乱特性推定装置1が測定時に実行するのは、図4の手順8および手順9である。
【0083】
すなわち、未知の散乱特性の試料のサンプルデータを実測により取得し、そのサンプルデータに検量関数を適用してマーカー成分濃度を求め、マーカー成分濃度の推定値に発生する偏差を求める。なお、マーカー成分の実際の濃度は、別の測定法により正確な値を求めておく。そして、手順9に従い、その偏差の値から試料の散乱特性を推定する。このように、測定時に実行するのは、手順8および手順9であるため、計算量も少なく即時計測が可能である。
【0084】
以上のように、本発明の光学的散乱特性推定方法および装置によれば、試料の散乱特性に対する推定値を高精度にかつ短時間で求めることができる。また、高速に推定値を計算することができるので、試料のリアルタイム計測が可能となり、例えば、体外の人工腎臓や人工心肺装置等の中を流れる血液をリアルタイムで測定したりすることが可能となる。そして、試料の散乱特性の変化をモニタして測定に組み込むことにより、散乱特性の変化による目的成分濃度の測定誤差等を排除することができる。
【0085】
また、生体中の媒体の測定を行う場合、生体中で濃度がほぼ一定に保たれている成分をマーカー成分として選択すれば、マーカー成分濃度が一定であるから別の測定方法により測定して求める必要がなくなり、散乱特性の推定がさらに容易に行えるようになる。なお、そのような濃度が一定のマーカー成分に対する検量関数は、光伝播シミュレーションにより検出光スペクトルのサンプルデータを作成して求めることができる。
【0086】
なお、以上の実施の形態において、図5から図7の検証例ではスペクトル測定の波長範囲を1200〜1800nmとしているが、この波長域だけでなく、波長がおよそ400〜700nmの可視光、波長700〜4000nmの近赤外光、波長700nm以上の赤外光全域なども使用することができる。また、散乱特性として主として散乱体濃度を例に挙げて説明したが、散乱体濃度以外の特性値(例えば、散乱係数等)であっても同様の手順により散乱特性を推定することが可能である。
【0087】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0088】
散乱特性の変化量とマーカー成分濃度の検量関数による推定値に発生する偏差の関係を利用して散乱特性を推定するようにしたので、試料の散乱特性に対する推定値を高精度にかつ短時間で求めることができる。また、高速に推定値を計算することができるので、試料のリアルタイム計測が可能となり、例えば、体外の人工腎臓や人工心肺装置等の中を流れる血液をリアルタイムで測定したりすることが可能となる。そして、試料の散乱特性の変化をモニタして測定に組み込むことにより、散乱特性の変化による目的成分濃度の測定誤差等を排除することができる。
【0089】
検出光スペクトルのサンプルデータを光伝播の確率統計的なシミュレーションにより求めるようにしたものでは、実測が困難な試料に対しても検量関数を作成することができ、試料の散乱特性に対する推定値を高精度にかつ短時間で求めることができる。
【0090】
波長700〜2500nmの近赤外光によってスペクトルを測定するようにした場合は、生体透過性が比較的良好であり、生体を対象とした計測に適している。具体的には、散乱特性変化を伴う生体変化、例えば皮膚などの生体構造の変化や脳内活動部位変化等を監視することができる。また、この波長域にはマーカー成分としての体内成分の吸光帯が多く存在し、マーカー成分に対応する検量関数が作成しやすい。さらに、生体に対して非侵襲すなわち生体を傷付けずに測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、光学的散乱特性測定を行う試料への入射光と射出光との関係を示す図である。
【図2】図2は、モンテカルロ法による光路追跡を示す図である。
【図3】図3は、本発明の光学的散乱特性推定方法と既存の推定方法との相違点および本発明の利点を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の光学的散乱特性推定方法の各手順をさらに詳細に示した図である。
【図5】図5は、吸光度スペクトルのサンプルデータの例を示す図である。
【図6】図6は、検量関数をサンプルデータに適用した場合の結果を示す。
【図7】図7は、検量関数を異なる散乱体濃度のサンプルデータに適用した場合の結果を示す。
【図8】図8は、本発明の光学的散乱特性推定装置の全体構成を示す図である。
【図9】図9は、光学的散乱特性推定装置の制御演算部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…光学的散乱特性推定装置
2…制御演算部
3…表示部
4…入力部
5…光源部
6…検出部
7…試料
20…CPU
21…バス
22…メモリ
23…固定ディスク装置
24,25…インターフェース回路
35…試料温度
221…散乱特性推定プログラム
222…多変量解析プログラム
223…検量関数記憶領域
224…定数記憶領域

Claims (9)

  1. 散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体に光を入射させ、前記被測定媒体を通過して前記被測定媒体から射出される検出光のスペクトルにより前記被測定媒体の散乱特性を推定する方法であって、
    既知の散乱特性を有する被測定媒体において、検出光のスペクトルから前記マーカー成分の濃度を計算するための検量関数を求める手順と、
    散乱特性の変化量とマーカー成分濃度の前記検量関数による推定値に発生する偏差の関係を求める手順と、
    未知の散乱特性を有する被測定媒体における検出光のスペクトルからマーカー成分濃度の前記検量関数による推定値を求め、その推定値に発生している偏差から未知の散乱特性を求める手順とを有する光学的散乱特性推定方法。
  2. 散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体に光を入射させ、前記被測定媒体を通過して前記被測定媒体から射出される検出光のスペクトルにより前記被測定媒体の散乱特性を推定する方法であって、
    既知の第1の散乱特性を有する被測定媒体における、前記マーカー成分の濃度と前記検出光のスペクトルとの関係を示す第1のデータ群を求める手順と、
    前記第1のデータ群により、前記検出光のスペクトルから前記マーカー成分の濃度を計算するための検量関数を求める手順と、
    既知の第2の散乱特性を有する被測定媒体における、前記マーカー成分の既知の第1の濃度に対する前記検出光のスペクトルを示す第2のデータ群を求める手順と、
    前記検量関数を利用して、前記第2のデータ群から前記マーカー成分の濃度に対する第1の推定値を求める手順と、
    前記第1の濃度と前記第1の推定値との偏差を求め、前記散乱特性の変化量と前記推定値の偏差の関係を求める手順と、
    未知の散乱特性を有する被測定媒体における、前記マーカー成分の既知の第2の濃度に対する前記検出光のスペクトルを示す第3のデータ群を測定により求める手順と、
    前記検量関数を利用して、前記第3のデータ群から前記マーカー成分の濃度に対する第2の推定値を求める手順と、
    前記第2の濃度と前記第2の推定値との偏差を求め、前記散乱特性の変化量と前記推定値の変化量との間の前記関係により前記未知の散乱特性を求める手順とを有する光学的散乱特性推定方法。
  3. 請求項2に記載した光学的散乱特性推定方法であって、
    前記第1のデータ群および前記第2のデータ群は、光伝播の確率統計的なシミュレーションにより求めるものである光学的散乱特性推定方法。
  4. 請求項3に記載した光学的散乱特性推定方法であって、
    前記検量関数は、前記第1のデータ群に多変量解析を適用して求めるものである光学的散乱特性推定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載した光学的散乱特性推定方法であって、
    前記検出光を前記入射光が前記被測定媒体を透過した透過光とし、前記検出光のスペクトルとして透過吸光度を求めるものである光学的散乱特性推定方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載した光学的散乱特性推定方法であって、
    前記検出光として、前記入射光が前記被測定媒体によって反射散乱された拡散反射光を検出するものである光学的散乱特性推定方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載した光学的散乱特性推定方法であって、
    前記被測定媒体に入射させる光は、波長700〜2500nmの近赤外光である光学的散乱特性推定方法。
  8. 散乱体とマーカー成分とを含む被測定媒体(7)に光を入射させ、前記被測定媒体(7)を通過して前記被測定媒体(7)から射出される検出光のスペクトルにより前記被測定媒体(7)の散乱特性を推定する装置であって、
    前記被測定媒体(7)に光を入射させる光源部(5)と、
    前記被測定媒体(7)を通過した検出光のスペクトルを検出する検出部(6)と、
    前記光源部(5)および前記検出部(6)を制御するとともに前記検出光のスペクトルの演算処理を行う制御演算部(2)とを有し、
    前記制御演算部(2)は、
    既知の第1の散乱特性を有する被測定媒体(7)において、前記検出光のスペクトルから前記マーカー成分の濃度を計算するための検量関数を記憶する手段(223)と、
    前記被測定媒体(7)の散乱特性が前記第1の散乱特性から変化した場合に、この散乱特性の変化量と、前記検量関数による前記マーカー成分の濃度の推定値に生じる偏差の間の関係を記憶する手段(224)とを備え、
    未知の散乱特性を有する被測定媒体(7)における前記検出光のスペクトルを測定し、このスペクトルに前記検量関数を適用して前記マーカー成分の濃度に対する推定値を求め、この推定値に発生する偏差から前記未知の散乱特性を求めるものである光学的散乱特性推定装置。
  9. 請求項8に記載した光学的散乱特性推定装置であって、
    前記被測定媒体(7)に入射させる光は、波長700〜2500nmの近赤外光である光学的散乱特性推定装置。
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