JP2004138224A - ねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ねじ自体を容易に分離解体できるように、これにより、締結目的材の締結分離を容易迅速に行えるねじを提供する。
【解決手段】本発明は、ねじ頭部1aとねじ芯部1bを有する第一のねじ部材1と、該ねじ芯部1bを覆いかつ表面にねじ切部2aを形成した第二のねじ部材2とからなることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、ねじ頭部1aとねじ芯部1bを有する第一のねじ部材1と、該ねじ芯部1bを覆いかつ表面にねじ切部2aを形成した第二のねじ部材2とからなることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばテレビ,冷蔵庫,エアコン若しくは洗濯機等の家電製品に使用されるものであり、特にリサイクル適用商品に使用されるねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、我が国においては、2001年4月に家電リサイクル法が施行され、これを受けて、全国各地にリサイクル工場が建設され、廃家電製品の解体処理が行なわれている。
【0003】
ところで、筐体・構造物等をなす部品の締結には、従来よりねじを使うことが一般的に行なわれる。
ねじは、これにより締結対象物を締結するときには一方向に回転させて締め付け、また、修理・サービスをするときには、他方向に回転させることにより外すことができる非常に便利な締結部品であるが、筐体・構造物の解体は手作業によるビス外しとなるため長時間を要しており、多大なコストが掛る一因となっている。
【0004】
この間題に対し上記解体作業を容易に行う試みとして、形状記憶合金を用いたねじが、例えば特開平8−61346号公報に開示されている。
特開平8−61346号公報においては、例えば、ねじをTi−Ni合金等の形状記憶合金で構成するとともに、ねじの形状記憶処理時の雄ネジ形成部の外径を、形成後の雄ネジ部が螺合する雌ネジ部の内径より小さく形成する。
【0005】
そして、塑性変形により上記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を形成することで、解体容易なねじやボルト及びナットを提供することにより、解体時の労力,コスト等を低減させ、かつリサイクル化を容易になし得るようにするものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−61346号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−61346号公報においては、加熱することによりねじが形状記憶された形状に戻り、これにより締結が外れることを利用している。
この場合は、ねじの部材は1つ(雄ねじ)であり、雄ねじと雌ねじ(ナット)との間での形状記憶特性を用いた加熱分離を目的としていた。
【0008】
ねじの山径と谷径の関係から、雄ねじが雌ねじ(ナット)から外れるのに必要な歪回復率を求めると約20%前後となるが、Tl−Ni合金(歪回復率8%)を雄ねじと雌ねじに採用しても16%(8%×2)にしかならず、分離が困難な状況にある。
【0009】
そこで本発明は、ねじ自体を容易に分離解体できるようし、これにより、締結目的材の締結分離を容易迅速に行えるねじの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
請求項1記載の発明は、ねじ頭部とねじ芯部とを連成した第一のねじ部材と、該ねじ芯部を被覆しかつ外表面にねじ切部を形成した第二のねじ部材とからなることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、第二のねじ部材が、第一のねじ部材のねじ芯部に嵌合する筒形に形成されており、第一のねじ部材のねじ芯部外周面と、第二のねじ部材の内周面とに、第一のねじ部材と第二のねじ部材との相対的な回転を阻止する回転阻止部を形成している。
【0012】
請求項3記載の発明は、第一のねじ部材を形状記憶材料で形成していることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の発明は、第一のねじ部材のねじ芯部が、円柱形において形状記憶処理され、かつ、回転阻止部が塑性変形により形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の発明は、第一のねじ部材の回転阻止部が、これのねじ芯部の外周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定したことを特徴としている。
【0015】
請求項6記載の発明は、形状記憶材料は、Ti−Ni合金であることを特徴としている。
【0016】
請求項7記載の発明は、第二のねじ部材を形状記憶材料で形成したことを特徴としている。
【0017】
請求項8記載の発明は、第一のねじ部材のねじ芯部に対向する第二のねじ部材を円筒形において形状記憶処理していることを特徴としている。
【0018】
請求項9記載の発明は、第二のねじ部材の回転阻止部が、これの内周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定したことを特徴としている。
【0019】
請求項10記載の発明は、形状記憶材料が、Cu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−Al−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金であることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の第一の実施形態に係るねじAの斜視図、図2は、そのねじの断面図、図3は図2に示すI−I線に沿う断面図、図4は、そのねじの分解図である。
【0021】
第一の実施形態に係るねじAは、第一のねじ部材1と、第二のねじ部材2とからなり、それらのうち、第一のねじ部材1を形状記憶材料によって形成し、かつ、第二のねじ部材2を非形状記憶材料によって形成している。
換言すると、第一の実施形態に係るねじAは、第一のねじ部材1のみを形状記憶材料によって形成したものであり、それらの詳細は次のとおりである。
【0022】
第一のねじ部材1は、ねじ頭部1aと、円柱形のねじ芯部1bとを形状記憶材料によって連成してなるものであり、該ねじ芯部1bの外周面には、詳細を後述する第二のねじ部材2との相対的な回転を阻止する回転阻止部1cが形成されている。
ここで、第一,第二のねじ部材1,2の相対的な回転とは、第一のねじ部材1の中心軸O1を中心として、第二のねじ部材2が回転変位することである。
【0023】
上記形状記憶材料としてはTi−Ni合金が好適ではあるが、例えばCu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−AL−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金を採用することができる。
【0024】
上記ねじ芯部1bは、円柱形において形状記憶処理され、かつ、上記回転阻止部1cが塑性変形により形成されている。
ここで、形状記憶処理とは、例えば上記したTi−Ni合金の場合、800℃以上で組織の標準化を行った後で、室温において所定形状に加工し、その後、350〜500℃での加熱処理を行うことを内容としている。
【0025】
回転阻止部1cは、本実施形態においてはローレット模様の凹凸をねじ芯部1bの外周面に形成したものであるが、この他、例えばねじ芯部1bの中心軸O1に沿った凹凸をねじ芯部1bの外周面全域に所定の角度間隔で形成した構成や、当該外周面の一部のみに凹凸を形成した構成にしてもよい。
上記凹凸の溝深さは、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定している。
なお、上記ねじ芯部1b外周面の一部のみに形成した凹凸には、凹部又は凸部の一方だけを1又は2以上形成したものを含んでいる。
【0026】
第二のねじ部材2は、第一のねじ部材1のねじ芯部1bを被覆する長さと内径にした円筒形にして形成されており、これの外周面にはねじ切部2aが、また、内周面には、第一のねじ部材1との相対的な回転を阻止する回転阻止部2bが形成されている。
【0027】
回転阻止部2bは、本実施形態においてはローレット模様の凹凸を第二のねじ部材2の内周面に形成したものであるが、この他、例えば第二のねじ部材2の中心軸O2に沿った凹凸を内周面全域に所定の角度間隔で形成した構成や、当該内周面の一部のみに凹凸を形成した構成にしてもよい。
なお、上記ねじ芯部1b外周面の一部のみに形成した凹凸には、凹部又は凸部の一方だけを1又は2以上形成したものを含んでいる。
【0028】
本実施形態においては、上記した第一,第二のねじ部材1,2の各部の寸法を次のように設定している。
第二のねじ部材2のねじ切部2aの山径をD、谷径をD1とし、かつ、M4ねじ(メートルねじ)に適用したとすると、山径D=4mm、谷径D1=3.242mmとなる。
また、第一のねじ部材1のローレット模様の山径をd、谷径をd1とすると、山径d=2.15mm,谷径d1=2.05mmとなる。
【0029】
上記の第一のねじ部材1の加工は、図5,6に示す手順で行われる。図5(A)は、形状記憶処理をしかつ塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図、図6(A)は形状記憶処理及び塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図である。
【0030】
図5に示すように、形状記憶処理を行ったねじ芯部1bの外径d2=2.0mmとする。
これに、塑性加工処理を行って、ねじ芯部1bの外周面に、山径d=2.15mm、ローレット模様の谷径d1=2.05mmのローレット模様を形成する。
【0031】
このとき、形状記憶処理時のねじ芯部1bの外径d2よりもローレット模様の谷径d1が大きいため、第一のねじ部材1の長手方向を圧縮する方向での加工を行うことになる。
ねじ切部2aの山の高さは(2.15−2.05)/2=0.05mmとなる。
また、歪回復率は(2.15−2.0)/2.0=0.075、すなわち、7.5%となる。
Ti一Ni合金の場合、歪回復率は8%であり、それ以下の値になるため、実現可能な値である。
すなわち、第一のねじ部材1は、変態温度範囲の加熱がなされた場合、Ti−Ni合金の歪回復率8%が機能し、d2=2.0mmの寸法に戻る。
第一のねじ部材1はd2=2.0mmの寸法となり、第二のねじ部材2のローレット型形状の谷径d1寸法2.05mm以下になるため、第二のねじ部材2からの分離が可能となる。
【0032】
なお、第一のねじ部材1と第二のねじ部材2の嵌合は、焼き挟め、圧入等にて行なう。図7は、第一のねじ部材と第二のねじ部材とを圧入嵌合する時の様子を示す断面図である。
【0033】
図7に示すように、圧入機3に第一のねじ部材1のねじ芯部1bと第二のねじ部材2とを、これらの中心軸O1,O2をほぼ一致させて装着し、矢印αで示すように、中心軸O1,O2方向に荷重をかけて第一のねじ部材1と第二のねじ部材2とを圧入嵌合させる。これにより、図1,2に示すねじAを組み立てることができる。また、塑性加工は鍛造加工等によって行なう。
【0034】
次に、上記した第一の実施形態に係るねじAにより、第一の締結目的材4、第二の締結目的材5とを締結し、また、その解除を行う場合について、図8を参照して説明する。図8は、第一の実施形態に係るねじAにより、第一の締結目的材4と第二の締結目的材5とを締結した様子を示す断面図である。
【0035】
第一のねじ部材1のねじ頭1aをドライバ等によって回転させることによって、第一のねじ部材1を第二の締結目的材5のねじ孔に螺入させる。これにより、第二のねじ部材2のねじ切部2aが第二の締結目的材5に螺合し、これにより、ねじ頭1aによって第一の締結目的材4が第二の締結目的材5に締結される。
【0036】
この螺着状態は、第一のねじ部材1を、第二のねじ部材2から分離することにより、第一の締結目的材4を、第二の締結目的材5から分離可能な締結状態である。
【0037】
この状態から、変態温度範囲の加熱を行うことにより、第一のねじ部材1と第二のねじ部材2との間にクリアランスが生じて、第一のねじ部材1が、第二のねじ部材2より容易に分離されるようになる。
これにより、ねじ頭1aによる第一の締結目的材4の締結状態が解除され、その第一の締結目的材4と第二の締結目的材5との締結状態を解除できる。
【0038】
第二の実施形態に係るねじBについて、図9,10を参照して説明する。図9は、第二の実施形態に係るねじBの断面図、図10(A)は、そのねじBの塑性加工前の端面図、(B)は、塑性加工後の端面図であり、また、図11は、第2の実施形態に係るねじにおける回転阻止部の噛合い状態を示す部分端面図である。
【0039】
第二の実施形態に係るねじBは、上記第一の実施形態と同じく、第一のねじ部材1と、第二のねじ部材6とから構成されているものであるが、第一の実施形態とは、第二のねじ部材についても形状記憶材料で形成されている点が相違しているので、ここでは、第一の実施形態において説明した第一のねじ部材と同等のものについては同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、第二のねじ部材について説明する。
【0040】
第二のねじ部材6は、形状記憶材料によって、第一のねじ部材1の上記したねじ芯部1bを被覆する長さと内径にした円筒形に形成されており、これの外周面にはねじ切部6aが、また、内周面には、第一のねじ部材1との相対的な回転を阻止する回転阻止部6bが形成されている。
【0041】
回転阻止部6bは、上記第1の実施形態のものと同じく、ローレット模様の凹凸を第二のねじ部材6の内周面に形成したものであるが、この他、例えば第二のねじ部材6の中心軸O3に沿った凹凸を内周面全域に所定の角度間隔で形成した構成や、当該内周面の一部のみに凹凸を形成した構成にしてもよい。
【0042】
なお、上記ねじ芯部1b外周面の一部のみに形成した凹凸には、凹部又は凸部の一方だけを1又は2以上形成したものを含んでいることは、前記した第1の実施形態と同様である。
【0043】
形状記憶材料は、Cu合金(Cu−Al−Ni−Mn−Ti、Cu−Al−Mn)、Fe系合金(Fe−Mn−Si)を採用している。
【0044】
第二のねじ部材6の内径d4は、d4=2.15mmとし、また、塑性加工処理により内周面をローレット模様の凹凸を加工形成する。この場合、塑性加工によって谷径d5=2.15mm、山径d6=2.05mmにする。
【0045】
第一のねじ部材1側は、第一の実施形態の場合と同様にして、円柱部の径d2=2.05mmにて形状記憶加工し、塑性加工で山径d=2.15mm、谷径d=2.05mmのローレット型形状とする。
ここで、第二のねじ部材6の山径d6、谷径d5は、第一のねじ部材1の山径d、谷径d1にそれぞれ嵌合することになる。
【0046】
第一のねじ部材1と第二のねじ部材6を加熱加工すると、第二のねじ部材6の内径d4は2.15mm、第一のねじ部材1のねじ芯部の径d2=2.05mmになる。
これにより、第一のねじ部材1と第二のねじ部材6との間にクリアランスβ(図11参照)が生じて、それら第一のねじ部材1と第二のねじ部材6の分離が可能となる。なお、上記クリアランスが生じることは前述した第一の実施形態においても同様である。
【0047】
第一のねじ部材1と第二のねじ部材6とともに形状記憶材料とするメリットは、歪回復率が(2.15−2.05)/2.05=0.049、即ち、要求される歪回復率が低くても機能させることができる。
【0048】
結果として、Ti−Ni合金の変わりに、低コストのCu合金(Cu−Al−Ni−Mn−Ti、Cu−Al−Mn)、Fe系合金(Fe−Mn−Si)を採用することが可能となって、ねじBを低コストで形成することができる。
【0049】
なお、本発明は前述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上述した第1の実施形態に係るねじでは、加熱後の寸法として、形状記憶寸法にて第一のねじ部材1と第二のねじ部材2のクリアランス分にてそれぞれの分離が可能となることで説明してきたが、実際には、第一のねじ部材1と第二のねじ部材2の山径・谷径が、加熱途上で相互間にクリアランスが生じた時に離脱が可能となり、この場合、結合が外れるのに必要な歪回復率は大幅に低減され、形状記憶材料の選択の範囲を広げることができる。
【0050】
上記においては、第一のねじ部材のみを形状記憶材料で形成したねじと、第一,第二のねじ部材双方を形状記憶材料で形成したねじについて説明したが、第二のねじ部材のみを形状記憶材料で形成するようにしてもよい。
【0051】
上記においては、回転阻止部を凹凸形成した例について説明したが、これに限るものではなく、例えばねじ芯部外周面と第二のねじ部材の内周面とを、互いに嵌合する多角形断面や楕円形断面にすることにより、それら第一,第二のねじ部材の相対的な回転を阻止するようにしてもよい。
【0052】
上記においては、ねじとしてメートルねじ(Mねじ)を例として説明したが、これに限るものではなく、プラスチック成形品用のタッピングねじ、木ねじ等に応用できることは勿論である。
【0053】
【発明の効果】
請求項1〜10記載の発明によれば、ねじを2つの部材で構成するとともに、少なくともその一方を形状記憶合金で構成し、それら2つの部材間で分離させることで、ねじ自体を容易に分離解体できるとともに、締結目的材の締結分離を容易迅速に行うことができる。
【0054】
従って、いろいろな種類のねじに応用することができるとともに、加熱処理によって確実な締結分離を行える。
【0055】
請求項1〜10記載の発明で得られる上記共通の効果に加え、各請求項記載の発明によれば次の効果を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、第一のねじ部材のねじ芯部を円柱形において形状記憶処理し、かつ、回転阻止部を塑性変形により形成しているので、それらの加工を容易に行うことができる。
【0056】
請求項5記載の発明によれば、第一のねじ部材の回転阻止部を、これのねじ芯部の外周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定しているので、回転阻止部を容易に形成することができる。
【0057】
請求項7記載の発明によれば、第一のねじ部材と第二のねじ部材6の双方を形状記憶材料によって形成しているので、歪回復率が低くても機能させることができる。
【0058】
請求項10記載の発明によれば、形状記憶材料として、Cu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−Al−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金を採用しているので、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るねじの斜視図である。
【図2】同上のねじの断面図である。
【図3】図2に示すI−I線に沿う断面図である。
【図4】同上のねじの分解図である。
【図5】(A)は、形状記憶処理をしかつ塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図である。
【図6】(A)は形状記憶処理及び塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図である。
【図7】第一のねじ部材と第二のねじ部材とを圧入嵌合する時の様子を示す断面図である。
【図8】第一の実施形態に係るねじにより、第一の締結目的材と第二の締結目的材とを締結した様子を示す断面図である。
【図9】第二の実施形態に係るねじの断面図である。
【図10】(A)は、そのねじBの塑性加工前の端面図、(B)は、塑性加工後の端面図である。
【図11】第2の実施形態のねじにおける回転阻止部の噛合い状態を示す部分端面図である。
【符号の説明】
A,B ねじ
1 第一のねじ部材
1a ねじ頭部
1b ねじ芯部
1c,2b 回転阻止部
2,6 第二のねじ部材
2a ねじ切部
4,5 締結目的材
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばテレビ,冷蔵庫,エアコン若しくは洗濯機等の家電製品に使用されるものであり、特にリサイクル適用商品に使用されるねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、我が国においては、2001年4月に家電リサイクル法が施行され、これを受けて、全国各地にリサイクル工場が建設され、廃家電製品の解体処理が行なわれている。
【0003】
ところで、筐体・構造物等をなす部品の締結には、従来よりねじを使うことが一般的に行なわれる。
ねじは、これにより締結対象物を締結するときには一方向に回転させて締め付け、また、修理・サービスをするときには、他方向に回転させることにより外すことができる非常に便利な締結部品であるが、筐体・構造物の解体は手作業によるビス外しとなるため長時間を要しており、多大なコストが掛る一因となっている。
【0004】
この間題に対し上記解体作業を容易に行う試みとして、形状記憶合金を用いたねじが、例えば特開平8−61346号公報に開示されている。
特開平8−61346号公報においては、例えば、ねじをTi−Ni合金等の形状記憶合金で構成するとともに、ねじの形状記憶処理時の雄ネジ形成部の外径を、形成後の雄ネジ部が螺合する雌ネジ部の内径より小さく形成する。
【0005】
そして、塑性変形により上記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を形成することで、解体容易なねじやボルト及びナットを提供することにより、解体時の労力,コスト等を低減させ、かつリサイクル化を容易になし得るようにするものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−61346号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−61346号公報においては、加熱することによりねじが形状記憶された形状に戻り、これにより締結が外れることを利用している。
この場合は、ねじの部材は1つ(雄ねじ)であり、雄ねじと雌ねじ(ナット)との間での形状記憶特性を用いた加熱分離を目的としていた。
【0008】
ねじの山径と谷径の関係から、雄ねじが雌ねじ(ナット)から外れるのに必要な歪回復率を求めると約20%前後となるが、Tl−Ni合金(歪回復率8%)を雄ねじと雌ねじに採用しても16%(8%×2)にしかならず、分離が困難な状況にある。
【0009】
そこで本発明は、ねじ自体を容易に分離解体できるようし、これにより、締結目的材の締結分離を容易迅速に行えるねじの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
請求項1記載の発明は、ねじ頭部とねじ芯部とを連成した第一のねじ部材と、該ねじ芯部を被覆しかつ外表面にねじ切部を形成した第二のねじ部材とからなることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、第二のねじ部材が、第一のねじ部材のねじ芯部に嵌合する筒形に形成されており、第一のねじ部材のねじ芯部外周面と、第二のねじ部材の内周面とに、第一のねじ部材と第二のねじ部材との相対的な回転を阻止する回転阻止部を形成している。
【0012】
請求項3記載の発明は、第一のねじ部材を形状記憶材料で形成していることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の発明は、第一のねじ部材のねじ芯部が、円柱形において形状記憶処理され、かつ、回転阻止部が塑性変形により形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の発明は、第一のねじ部材の回転阻止部が、これのねじ芯部の外周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定したことを特徴としている。
【0015】
請求項6記載の発明は、形状記憶材料は、Ti−Ni合金であることを特徴としている。
【0016】
請求項7記載の発明は、第二のねじ部材を形状記憶材料で形成したことを特徴としている。
【0017】
請求項8記載の発明は、第一のねじ部材のねじ芯部に対向する第二のねじ部材を円筒形において形状記憶処理していることを特徴としている。
【0018】
請求項9記載の発明は、第二のねじ部材の回転阻止部が、これの内周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定したことを特徴としている。
【0019】
請求項10記載の発明は、形状記憶材料が、Cu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−Al−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金であることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の第一の実施形態に係るねじAの斜視図、図2は、そのねじの断面図、図3は図2に示すI−I線に沿う断面図、図4は、そのねじの分解図である。
【0021】
第一の実施形態に係るねじAは、第一のねじ部材1と、第二のねじ部材2とからなり、それらのうち、第一のねじ部材1を形状記憶材料によって形成し、かつ、第二のねじ部材2を非形状記憶材料によって形成している。
換言すると、第一の実施形態に係るねじAは、第一のねじ部材1のみを形状記憶材料によって形成したものであり、それらの詳細は次のとおりである。
【0022】
第一のねじ部材1は、ねじ頭部1aと、円柱形のねじ芯部1bとを形状記憶材料によって連成してなるものであり、該ねじ芯部1bの外周面には、詳細を後述する第二のねじ部材2との相対的な回転を阻止する回転阻止部1cが形成されている。
ここで、第一,第二のねじ部材1,2の相対的な回転とは、第一のねじ部材1の中心軸O1を中心として、第二のねじ部材2が回転変位することである。
【0023】
上記形状記憶材料としてはTi−Ni合金が好適ではあるが、例えばCu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−AL−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金を採用することができる。
【0024】
上記ねじ芯部1bは、円柱形において形状記憶処理され、かつ、上記回転阻止部1cが塑性変形により形成されている。
ここで、形状記憶処理とは、例えば上記したTi−Ni合金の場合、800℃以上で組織の標準化を行った後で、室温において所定形状に加工し、その後、350〜500℃での加熱処理を行うことを内容としている。
【0025】
回転阻止部1cは、本実施形態においてはローレット模様の凹凸をねじ芯部1bの外周面に形成したものであるが、この他、例えばねじ芯部1bの中心軸O1に沿った凹凸をねじ芯部1bの外周面全域に所定の角度間隔で形成した構成や、当該外周面の一部のみに凹凸を形成した構成にしてもよい。
上記凹凸の溝深さは、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定している。
なお、上記ねじ芯部1b外周面の一部のみに形成した凹凸には、凹部又は凸部の一方だけを1又は2以上形成したものを含んでいる。
【0026】
第二のねじ部材2は、第一のねじ部材1のねじ芯部1bを被覆する長さと内径にした円筒形にして形成されており、これの外周面にはねじ切部2aが、また、内周面には、第一のねじ部材1との相対的な回転を阻止する回転阻止部2bが形成されている。
【0027】
回転阻止部2bは、本実施形態においてはローレット模様の凹凸を第二のねじ部材2の内周面に形成したものであるが、この他、例えば第二のねじ部材2の中心軸O2に沿った凹凸を内周面全域に所定の角度間隔で形成した構成や、当該内周面の一部のみに凹凸を形成した構成にしてもよい。
なお、上記ねじ芯部1b外周面の一部のみに形成した凹凸には、凹部又は凸部の一方だけを1又は2以上形成したものを含んでいる。
【0028】
本実施形態においては、上記した第一,第二のねじ部材1,2の各部の寸法を次のように設定している。
第二のねじ部材2のねじ切部2aの山径をD、谷径をD1とし、かつ、M4ねじ(メートルねじ)に適用したとすると、山径D=4mm、谷径D1=3.242mmとなる。
また、第一のねじ部材1のローレット模様の山径をd、谷径をd1とすると、山径d=2.15mm,谷径d1=2.05mmとなる。
【0029】
上記の第一のねじ部材1の加工は、図5,6に示す手順で行われる。図5(A)は、形状記憶処理をしかつ塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図、図6(A)は形状記憶処理及び塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図である。
【0030】
図5に示すように、形状記憶処理を行ったねじ芯部1bの外径d2=2.0mmとする。
これに、塑性加工処理を行って、ねじ芯部1bの外周面に、山径d=2.15mm、ローレット模様の谷径d1=2.05mmのローレット模様を形成する。
【0031】
このとき、形状記憶処理時のねじ芯部1bの外径d2よりもローレット模様の谷径d1が大きいため、第一のねじ部材1の長手方向を圧縮する方向での加工を行うことになる。
ねじ切部2aの山の高さは(2.15−2.05)/2=0.05mmとなる。
また、歪回復率は(2.15−2.0)/2.0=0.075、すなわち、7.5%となる。
Ti一Ni合金の場合、歪回復率は8%であり、それ以下の値になるため、実現可能な値である。
すなわち、第一のねじ部材1は、変態温度範囲の加熱がなされた場合、Ti−Ni合金の歪回復率8%が機能し、d2=2.0mmの寸法に戻る。
第一のねじ部材1はd2=2.0mmの寸法となり、第二のねじ部材2のローレット型形状の谷径d1寸法2.05mm以下になるため、第二のねじ部材2からの分離が可能となる。
【0032】
なお、第一のねじ部材1と第二のねじ部材2の嵌合は、焼き挟め、圧入等にて行なう。図7は、第一のねじ部材と第二のねじ部材とを圧入嵌合する時の様子を示す断面図である。
【0033】
図7に示すように、圧入機3に第一のねじ部材1のねじ芯部1bと第二のねじ部材2とを、これらの中心軸O1,O2をほぼ一致させて装着し、矢印αで示すように、中心軸O1,O2方向に荷重をかけて第一のねじ部材1と第二のねじ部材2とを圧入嵌合させる。これにより、図1,2に示すねじAを組み立てることができる。また、塑性加工は鍛造加工等によって行なう。
【0034】
次に、上記した第一の実施形態に係るねじAにより、第一の締結目的材4、第二の締結目的材5とを締結し、また、その解除を行う場合について、図8を参照して説明する。図8は、第一の実施形態に係るねじAにより、第一の締結目的材4と第二の締結目的材5とを締結した様子を示す断面図である。
【0035】
第一のねじ部材1のねじ頭1aをドライバ等によって回転させることによって、第一のねじ部材1を第二の締結目的材5のねじ孔に螺入させる。これにより、第二のねじ部材2のねじ切部2aが第二の締結目的材5に螺合し、これにより、ねじ頭1aによって第一の締結目的材4が第二の締結目的材5に締結される。
【0036】
この螺着状態は、第一のねじ部材1を、第二のねじ部材2から分離することにより、第一の締結目的材4を、第二の締結目的材5から分離可能な締結状態である。
【0037】
この状態から、変態温度範囲の加熱を行うことにより、第一のねじ部材1と第二のねじ部材2との間にクリアランスが生じて、第一のねじ部材1が、第二のねじ部材2より容易に分離されるようになる。
これにより、ねじ頭1aによる第一の締結目的材4の締結状態が解除され、その第一の締結目的材4と第二の締結目的材5との締結状態を解除できる。
【0038】
第二の実施形態に係るねじBについて、図9,10を参照して説明する。図9は、第二の実施形態に係るねじBの断面図、図10(A)は、そのねじBの塑性加工前の端面図、(B)は、塑性加工後の端面図であり、また、図11は、第2の実施形態に係るねじにおける回転阻止部の噛合い状態を示す部分端面図である。
【0039】
第二の実施形態に係るねじBは、上記第一の実施形態と同じく、第一のねじ部材1と、第二のねじ部材6とから構成されているものであるが、第一の実施形態とは、第二のねじ部材についても形状記憶材料で形成されている点が相違しているので、ここでは、第一の実施形態において説明した第一のねじ部材と同等のものについては同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、第二のねじ部材について説明する。
【0040】
第二のねじ部材6は、形状記憶材料によって、第一のねじ部材1の上記したねじ芯部1bを被覆する長さと内径にした円筒形に形成されており、これの外周面にはねじ切部6aが、また、内周面には、第一のねじ部材1との相対的な回転を阻止する回転阻止部6bが形成されている。
【0041】
回転阻止部6bは、上記第1の実施形態のものと同じく、ローレット模様の凹凸を第二のねじ部材6の内周面に形成したものであるが、この他、例えば第二のねじ部材6の中心軸O3に沿った凹凸を内周面全域に所定の角度間隔で形成した構成や、当該内周面の一部のみに凹凸を形成した構成にしてもよい。
【0042】
なお、上記ねじ芯部1b外周面の一部のみに形成した凹凸には、凹部又は凸部の一方だけを1又は2以上形成したものを含んでいることは、前記した第1の実施形態と同様である。
【0043】
形状記憶材料は、Cu合金(Cu−Al−Ni−Mn−Ti、Cu−Al−Mn)、Fe系合金(Fe−Mn−Si)を採用している。
【0044】
第二のねじ部材6の内径d4は、d4=2.15mmとし、また、塑性加工処理により内周面をローレット模様の凹凸を加工形成する。この場合、塑性加工によって谷径d5=2.15mm、山径d6=2.05mmにする。
【0045】
第一のねじ部材1側は、第一の実施形態の場合と同様にして、円柱部の径d2=2.05mmにて形状記憶加工し、塑性加工で山径d=2.15mm、谷径d=2.05mmのローレット型形状とする。
ここで、第二のねじ部材6の山径d6、谷径d5は、第一のねじ部材1の山径d、谷径d1にそれぞれ嵌合することになる。
【0046】
第一のねじ部材1と第二のねじ部材6を加熱加工すると、第二のねじ部材6の内径d4は2.15mm、第一のねじ部材1のねじ芯部の径d2=2.05mmになる。
これにより、第一のねじ部材1と第二のねじ部材6との間にクリアランスβ(図11参照)が生じて、それら第一のねじ部材1と第二のねじ部材6の分離が可能となる。なお、上記クリアランスが生じることは前述した第一の実施形態においても同様である。
【0047】
第一のねじ部材1と第二のねじ部材6とともに形状記憶材料とするメリットは、歪回復率が(2.15−2.05)/2.05=0.049、即ち、要求される歪回復率が低くても機能させることができる。
【0048】
結果として、Ti−Ni合金の変わりに、低コストのCu合金(Cu−Al−Ni−Mn−Ti、Cu−Al−Mn)、Fe系合金(Fe−Mn−Si)を採用することが可能となって、ねじBを低コストで形成することができる。
【0049】
なお、本発明は前述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上述した第1の実施形態に係るねじでは、加熱後の寸法として、形状記憶寸法にて第一のねじ部材1と第二のねじ部材2のクリアランス分にてそれぞれの分離が可能となることで説明してきたが、実際には、第一のねじ部材1と第二のねじ部材2の山径・谷径が、加熱途上で相互間にクリアランスが生じた時に離脱が可能となり、この場合、結合が外れるのに必要な歪回復率は大幅に低減され、形状記憶材料の選択の範囲を広げることができる。
【0050】
上記においては、第一のねじ部材のみを形状記憶材料で形成したねじと、第一,第二のねじ部材双方を形状記憶材料で形成したねじについて説明したが、第二のねじ部材のみを形状記憶材料で形成するようにしてもよい。
【0051】
上記においては、回転阻止部を凹凸形成した例について説明したが、これに限るものではなく、例えばねじ芯部外周面と第二のねじ部材の内周面とを、互いに嵌合する多角形断面や楕円形断面にすることにより、それら第一,第二のねじ部材の相対的な回転を阻止するようにしてもよい。
【0052】
上記においては、ねじとしてメートルねじ(Mねじ)を例として説明したが、これに限るものではなく、プラスチック成形品用のタッピングねじ、木ねじ等に応用できることは勿論である。
【0053】
【発明の効果】
請求項1〜10記載の発明によれば、ねじを2つの部材で構成するとともに、少なくともその一方を形状記憶合金で構成し、それら2つの部材間で分離させることで、ねじ自体を容易に分離解体できるとともに、締結目的材の締結分離を容易迅速に行うことができる。
【0054】
従って、いろいろな種類のねじに応用することができるとともに、加熱処理によって確実な締結分離を行える。
【0055】
請求項1〜10記載の発明で得られる上記共通の効果に加え、各請求項記載の発明によれば次の効果を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、第一のねじ部材のねじ芯部を円柱形において形状記憶処理し、かつ、回転阻止部を塑性変形により形成しているので、それらの加工を容易に行うことができる。
【0056】
請求項5記載の発明によれば、第一のねじ部材の回転阻止部を、これのねじ芯部の外周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定しているので、回転阻止部を容易に形成することができる。
【0057】
請求項7記載の発明によれば、第一のねじ部材と第二のねじ部材6の双方を形状記憶材料によって形成しているので、歪回復率が低くても機能させることができる。
【0058】
請求項10記載の発明によれば、形状記憶材料として、Cu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−Al−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金を採用しているので、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るねじの斜視図である。
【図2】同上のねじの断面図である。
【図3】図2に示すI−I線に沿う断面図である。
【図4】同上のねじの分解図である。
【図5】(A)は、形状記憶処理をしかつ塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図である。
【図6】(A)は形状記憶処理及び塑性加工処理を施した様子の側面図、(B)は、ねじ芯部の端面図である。
【図7】第一のねじ部材と第二のねじ部材とを圧入嵌合する時の様子を示す断面図である。
【図8】第一の実施形態に係るねじにより、第一の締結目的材と第二の締結目的材とを締結した様子を示す断面図である。
【図9】第二の実施形態に係るねじの断面図である。
【図10】(A)は、そのねじBの塑性加工前の端面図、(B)は、塑性加工後の端面図である。
【図11】第2の実施形態のねじにおける回転阻止部の噛合い状態を示す部分端面図である。
【符号の説明】
A,B ねじ
1 第一のねじ部材
1a ねじ頭部
1b ねじ芯部
1c,2b 回転阻止部
2,6 第二のねじ部材
2a ねじ切部
4,5 締結目的材
Claims (10)
- ねじ頭部とねじ芯部とを連成した第一のねじ部材と、該ねじ芯部を被覆しかつ外表面にねじ切部を形成した第二のねじ部材とからなることを特徴とするねじ。
- 第二のねじ部材は、第一のねじ部材のねじ芯部に嵌合する筒形に形成されており、第一のねじ部材のねじ芯部外周面と、第二のねじ部材の内周面とに、第一のねじ部材と第二のねじ部材との相対的な回転を阻止する回転阻止部を形成していることを特徴とする請求項1記載のねじ。
- 第一のねじ部材を形状記憶材料で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のねじ。
- 第一のねじ部材のねじ芯部は、円柱形において形状記憶処理され、かつ、回転阻止部が塑性変形により形成されていることを特徴とする請求項3記載のねじ。
- 第一のねじ部材の回転阻止部は、これのねじ芯部の外周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定したことを特徴とする請求項4記載のねじ。
- 形状記憶材料は、Ti−Ni合金であることを特徴とする請求項3,4又は5記載のねじ。
- 第二のねじ部材を形状記憶材料で形成したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載のねじ。
- 第一のねじ部材のねじ芯部に対向する第二のねじ部材を円筒形において形状記憶処理していることを特徴とする請求項7記載のねじ。
- 第二のねじ部材の回転阻止部は、これの内周面に形成した凹凸であり、この凹凸の溝深さを、形状記憶材料の歪回復による収縮寸法以下に設定したことを特徴とする請求項7又は8記載のねじ。
- 形状記憶材料は、Cu−Al−Ni−Mn−Ti,Cu−Al−Mn等のCu系合金、又はFe−Mn−Si等のFe系合金であることを特徴とする請求項3,4,5,6,7,8又は9記載のねじ。
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- 2002-10-21 JP JP2002305796A patent/JP2004138224A/ja active Pending
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