JP2004135619A - ドッグフード及びこれに使用する添加剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】関節疾患や椎間板ヘルニアに罹ることを予防できるドッグフードを提供する。
【手段】ドッグフードに、耐熱性ビタミンC(L−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウム)と、グルコサミンと、コンドロイチンとを添加する。幼犬から成犬初期に至る時期に与えると、ストレスの多い環境であるためにビタミンCが抗ストレスホルモンの生成に消費されていても、ビタミンCが補給されることによってコラーゲンの生成が促進される。その結果、軟骨や椎間板がしっかりと形成された強い犬に成長する。グルコサミンとコンドロイチンとにより、軟骨の成長促進と破壊防止、損傷の修復が行われる。
【手段】ドッグフードに、耐熱性ビタミンC(L−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウム)と、グルコサミンと、コンドロイチンとを添加する。幼犬から成犬初期に至る時期に与えると、ストレスの多い環境であるためにビタミンCが抗ストレスホルモンの生成に消費されていても、ビタミンCが補給されることによってコラーゲンの生成が促進される。その結果、軟骨や椎間板がしっかりと形成された強い犬に成長する。グルコサミンとコンドロイチンとにより、軟骨の成長促進と破壊防止、損傷の修復が行われる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、犬の関節疾患や椎間板ヘルニアを予防するのに好適なドッグフード及びこれに使用する添加剤に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
昨今のペットブームの下で多数の犬がペットとして飼われているが、変形性関節炎のような関節疾患や椎間板ヘルニアに罹る犬が多くなっている。犬は椎骨が水平方向に連なった骨格構造であるため、飛び跳ねることによる荷重が椎骨同士をずらすように作用することになり、このため人に比べて遥かに椎間板ヘルニアに罹りやすいと言われている。
【0003】
特に、ダックスフンドやビーグル犬のように胴長で短足の犬は、背骨への負担が大きくなるため、椎間板ヘルニアに罹りやすい傾向にある。
【0004】
このように、犬はもともと関節疾患や椎間板ヘルニアに罹り易い体形ではあるが、ペットとして飼われている犬に関節疾患や椎間板ヘルニアが多発している最大の原因としては、肥満が挙げられる。また、肥満の原因としては、我国の狭小な住宅環境の下での運動不足、狭い飼育環境等に起因したストレスよりくる過食、飼い主の溺愛による過食などが挙げられ、肥満と運動不足とストレスとは互いに関連して犬の健康を損なっていると言える。
【0005】
なお、犬の椎間板は、中心部を形成する髄核とこれあを覆う繊維輪とからなっており、繊維輪の最外層はコラーゲン(I型)から成っている。そして、繊維輪に亀裂や多数の傷が入るとヘルニアとして発症するのであるが、その主因に軟骨形成異常が挙げられている。
【0006】
また、軟骨にはプロテオグリンがコラーゲン分子に結合した形でたんぱく質が含まれており、関節疾患の代表である変形性関節症はプロテオグリカンが破壊したりするために発症するものであるが、犬の変形性関節症の多くは、軟骨の形成異常又は形成不良が遠因になっていると言える。
【0007】
【従来の技術】
犬猫の関節を支える軟骨の形成補助や関節炎の痛み抑制を目的として、ペットフードに、グルコサミンとコンドロイチンとスーパーオキサイドディムスターゼとを配合することが提案されている(特許文献1)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−64186号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に記載されているグルコサミンは、グルコースから作られるアミノ糖の一種である一方、コンドロイチン(コンドロイチン硫酸)は、アミノ糖、ウロン糖、硫酸、酢酸糖から成る複雑な多糖類の一種であり、人や動物の軟骨・皮膚などに含まれている。
【0010】
これらグルコサミンとコンドロイチンとは、軟骨を破壊する酵素の発生を抑制すると共に軟骨の形成を刺激し、更に、損傷を受けた軟骨を修復する働きがある。従って、前記公報のペットフードは、犬猫(特に犬)の関節疾患(特に変性関節炎)の予防及び治療に有益であると言える。
【0011】
ところで、関節疾患や椎間板ヘルニアを予防するには、幼犬から成犬初期に至る時期に関節の軟骨や椎間板を本来の状態に形成することが必要である。しかし、グルコサミンとコンドロイチンだけでは、関節軟骨や椎間板の形成を十分に補助できているとは言えなかった。
【0012】
本発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
犬(人も同様であるが)の関節疾患は、骨と骨との間に介在している軟骨の生成不良や変形・破断等が主因となり、椎間板ヘルニアは椎間板の生成不良や変形等が要因になっている。また、これら軟骨や椎間板はコラーゲンを主成分としているから、関節疾患や椎間板ヘルニアを予防するためには、幼犬から成犬に至る骨の生成・確立期にコラーゲンの合成を促すことが重要である。
【0014】
そして、コラーゲンの合成にはビタミンCが不可欠であるため、犬の成長期に十分な量のビタミンCが体内に存在することが必要である。しかし、従来は、コラーゲンの合成促進のためにビタミンCをドッグフードに添加するという発想はなかった。
【0015】
従来においてドッグフードにビタミンCを添加する考え方が存在しなかった理由は、犬は体内でビタミンCを合成できるためわざわざ補給する必要はないと考えられていたこと、及び、一般にドッグフードは製造工程で成形・乾燥や殺菌等のために100℃以上に加熱されることより、熱によってビタミンCが破壊されてしまうためであると言える(抗酸化剤としてビタミンCを添加することは行われているが、これは加熱によって殆どが破壊されていたと考えられる)。
【0016】
本願発明者は、このような知見を背景にしつつ、犬が体内でビタミンCを合成できるにも拘らずコラーゲンの合成不良に起因した関節疾患や椎間板ヘルニアが多発するのかについて考究し、その結果、本願発明を完成させるに至った。
【0017】
本願発明は、ドッグフードとその添加物とを含んでいる。請求項1の発明はドッグフードに係るもので、耐熱処理されたビタミンCを含有していることを特徴としている。請求項2の発明もドッグフードに係るもので、耐熱処理されたビタミンCと、グルコサミンと、コンドロイチンとを合有していることを特徴としている。
【0018】
ドッグフード用添加物は、請求項3に記載したように、耐熱処理されたビタミンCを2〜6重量%、グルコサミンを1〜5重量%、コンドロイチンを7〜11重量%含み、残りがトルラ酵母及びビール酵母のうち少なくとも何れか一方より成っている。
【0019】
耐熱処理されたビタミンCとしては、例えば、L−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムを挙げることができる。このL−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムは、2−燐酸−エステルマグネシウムが結合していることにより、ドッグフードの製造工程で高温に晒らされてもビタミンC(L−アスコルビン酸)の破壊を阻止し、かつ、犬の体内に入ると2−燐酸−エステルマグネシウムがL−アスコルビン酸から分離して吸収され、ビタミンCはコラーゲンの生成等の本来の働きを行う。
【0020】
【発明の作用】
既述のとおり、多くの飼い犬はストレスに晒されている。そして、犬にストレスがかかると、人間と同様に副腎から抗ストレスホルモンであるアドレナリンが分泌されるが、このアドレナリンの生成にビタミンCが不可欠である。このため、ストレスが大きいと、本来はコラーゲンの合成に使われるべきビタミンCがアドレナリンの生成に消費されてしまい、その結果、コラーゲンの合成が不十分になって関節疾患や椎間板ヘルニアの原因の一つになっていると考えられる。
【0021】
つまり、犬は体内でビタミンCを合成できるものの、ストレスに晒されることが多い近年の飼い犬の多くにとって、強い軟骨や椎間板を生成するためには、体内で合成したビタミンCだけでは足りないのである。
【0022】
これに対して、離乳してから骨格が成長・確立する3才頃までの間に本願発明のドッグフードを与え続けると、犬がストレスに晒されていても、抗ストレスホルモンの生成は確保しつつ、強い軟骨や椎間板を形成するのに必要なコラーゲンを合成することが可能になる。
【0023】
また、ビタミンCは耐熱処理されているため(耐熱処理されたビタミンCを以下「耐熱性ビタミンC」という)、ドッグフードの製造工程で高温(例えば110〜125℃)に晒されても、ビタミンCが破壊されることはない。
【0024】
請求項2及び請求項3に記載したグルコサミンとコンドロイチンとは、コラーゲンの合成促進と相俟って、軟骨や椎間板の生成を促進する働きがある。請求項3に記載したトルラ酵母及びビール酵母は賦形剤としての役割があるが、香ばしい臭いにより、ビタミンCの臭いを消して嗜好性を高める(食い付きを良くする)働きがある。
【0025】
【発明の実施の形態】
本願発明は、ドライフードと缶詰フードとの両方に使用できる。また、ドッグフードの製造工程中において耐熱性ビタミンCやグルコサミン、コンドロイチンを添加しても良いし、請求項3のように耐熱性ビタミンCを含んだ添加剤を別に製造して、これをドッグフードの製造工程中に適量配合しても良い。
【0026】
耐熱性ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンがドッグフードに占める割合は微量なので、これらをドッグフードに均質に混合させるためには、請求項3のように、耐熱性ビタミンC等を賦形剤に均等に混入することによって増量された添加剤を製造しておき、これをドッグフードに配合するのが好適であると言える。
【0027】
添加剤中に占める耐熱性ビタミンCの好適な割合は2〜6重量%、グルコサミンの好適な割合は1〜5重量%、コンドロイチンの好適な割合は7〜11重量%であり、残りはトルラ酵母及びビール酵母のうち少なくとも何れか一方より成る賦形剤とするのが好ましい。トルラ酵母とビール酵母との両方を配合する場合、その配合割合は任意に設定できる。
【0028】
耐熱性ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンの割合が上記の下限値よりも低いと効果が薄く、上限値より高くしても効果に顕著な違いは見られない(悪影響がない限りて割合を高くしても良いが、コスト面で不利である)。より好適には、耐熱性ビタミンCの割合は約4重量%、グルコサミンは約3重量%、コンドロイチンは約9重量%である(なお、例えば約4重量%とは、4重量%を中心にして上下に多少の範囲があるということである)。
【0029】
耐熱性ビタミンC等を賦形剤に混合した添加物をドッグフードに配合する場合の割合は、例えば含水率10〜20%程度のドライフードの場合は1kg当たり5〜20g、例えば含水率30〜60程度の缶詰フードの場合は1kg当たり1.5〜8gが好適である。特に、ドライフードの場合は7.5〜15g、缶詰フードの場合は2.5〜5gとするのが好ましかった。
【0030】
従って、ドライフードへの耐熱性ビタミンCの配合割合を見ると、1kgに対して耐熱性ビタミンCが0.1〜1.2g(好適には約0.3〜0.6g)となる。ドライフードよりも缶詰フードへの含有率が高いのは、缶詰フードは水分が高くてドライフードの3倍程度の量を食餌するからである。
【0031】
耐熱性ビタミンCとしてはL−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムが好適であるが、耐熱性と体内吸収性とを確保できる限り、他の複合組成体やビタミンC誘導体、或いは、コーティング加工のような構造体でも良い。また、グルコサミン及びコンドロイチンとも、犬の体内でその機能を発揮できれば良く、従って、ドッグフードに添加した状態では、誘導体のように他の物質と結合した態様で存在していても良いのである。
【0032】
添加剤に使用する賦形剤としては、トルラ酵母及びビール酵母が好適であるが、他の酵母類その他の材料を使用することも可能である。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0034】
まず、粉末のL−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムを40g、粉末のグルコサミンを30g、粉末のコンドロイチンを90g、乾燥した粉末のトルラ酵母とビール酵母との混合物を840g用意し、これらを攪拌機に投入して均質に混合することにより、添加剤を得た。
【0035】
他方、ドッグフードは、例えば、獣肉(チキン、羊、牛、豚、馬等のうちの一種又は複数種)若しくは魚肉を主材料としており、これに、穀粉(とうもろこし粉、小麦粉、大豆粉、米粉等のうちの一種又は複数種)、食物繊維、動物性油脂、植物性油脂のような福材料を必要に応じて1種又は複数種類混合し、更に、ビタミンC以外のビタミン類(A、B1,B2,B6、B12、D3、E,K3等)、カルシウム類、葉酸、ビチオン、炭酸マンガン等の補助剤を必要に応じて混入している。
【0036】
ドライフードの場合の製造方法としては、例えば、ミンチ状に潰した主材料と副材料及び補助剤をホッパーに投入して混練し、混練した流動性中間体を、網状ノズルを備えた押し出し機に投入して、ノズルから押し出すと同時に110〜125℃程度の高温に一気に晒すことにより、固形化と乾燥とを同時に行う。これにより、含水率10〜20%程度で適度の密度を備えた粒状のドライフードを得る。
【0037】
そして、ホッパー内で流動性中間体を混練する途次、流動性中間体の乾燥状態換算で1kgに対して添加剤を10g程度少しずつ混入することにより、添加材を流動性中間体に均一に混合させる。これにより、耐熱性ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンが添加されたドライフードが得た。
【0038】
なお、ドライフルーツの製造方法は様々であり、例えば、押し出し機(エクストルーダー)から押し出したものを加熱して棒状に加工し、これをカッターで所定の長さに切断するような方法もある。
【0039】
缶詰フードの場合は、一般に、流動状態のものを成形し缶に封入してから120℃前後(例えば121℃)の温度で30〜1時間程度加熱して殺菌するが、缶に投入する前の材料混練段階で本発明の添加材を所定量混入して均一に混ぜ合わせれば良い。固形物を材料としてこれに添加剤を含浸させることも可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によると、製造工程での加熱による破壊を招来することなくビタミンCをドッグフードに添加できるため、このドッグフードを幼年から成犬初期の時期に犬に与えることにより、ストレスの多い環境下であってもコラーゲンをしっかりと合成(生成)することができ、その結果、軟骨や椎間板が正常に形成された強い犬に育てることが可能になる。
【0041】
また、抗ストレスホルモンの生成も支障なく行えるため、ストレス性過食による肥満も防止又は抑制することができるのであり、このため、犬を健康な状態に維持して、コラーゲンの生成と骨の発達とを一層促進することができる。
【0042】
このように、本願発明によると、コラーゲンの生成促進とストレス性肥満の予防作用等とにより、関節疾患や椎間板ヘルニアに罹ることを予防し、或いは、罹患しても軽症に抑えることが可能になる。また、成犬になった後も与え続けると、ストレス性過食を抑制して、肥満に起因した各種疾患の予防に貢献できる。
【0043】
また、耐熱性ビタミンCに加えて請求項2,3のようにグルコサミンとコンドロイチンとを添加すると、コラーゲンの生成促進作用と、軟骨の生成促進及び破壊防止・修復作用との相乗効果により、関節や椎間板をより強い状態に育成することができる。
【0044】
請求項3のように賦形剤としてトルラ酵母又はビール酵母を使用すると、犬の食い付きを良くすることができるため、耐熱性ビタミンCやグルコサミン、コンドロイチンの役割をフルに発揮させることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、犬の関節疾患や椎間板ヘルニアを予防するのに好適なドッグフード及びこれに使用する添加剤に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
昨今のペットブームの下で多数の犬がペットとして飼われているが、変形性関節炎のような関節疾患や椎間板ヘルニアに罹る犬が多くなっている。犬は椎骨が水平方向に連なった骨格構造であるため、飛び跳ねることによる荷重が椎骨同士をずらすように作用することになり、このため人に比べて遥かに椎間板ヘルニアに罹りやすいと言われている。
【0003】
特に、ダックスフンドやビーグル犬のように胴長で短足の犬は、背骨への負担が大きくなるため、椎間板ヘルニアに罹りやすい傾向にある。
【0004】
このように、犬はもともと関節疾患や椎間板ヘルニアに罹り易い体形ではあるが、ペットとして飼われている犬に関節疾患や椎間板ヘルニアが多発している最大の原因としては、肥満が挙げられる。また、肥満の原因としては、我国の狭小な住宅環境の下での運動不足、狭い飼育環境等に起因したストレスよりくる過食、飼い主の溺愛による過食などが挙げられ、肥満と運動不足とストレスとは互いに関連して犬の健康を損なっていると言える。
【0005】
なお、犬の椎間板は、中心部を形成する髄核とこれあを覆う繊維輪とからなっており、繊維輪の最外層はコラーゲン(I型)から成っている。そして、繊維輪に亀裂や多数の傷が入るとヘルニアとして発症するのであるが、その主因に軟骨形成異常が挙げられている。
【0006】
また、軟骨にはプロテオグリンがコラーゲン分子に結合した形でたんぱく質が含まれており、関節疾患の代表である変形性関節症はプロテオグリカンが破壊したりするために発症するものであるが、犬の変形性関節症の多くは、軟骨の形成異常又は形成不良が遠因になっていると言える。
【0007】
【従来の技術】
犬猫の関節を支える軟骨の形成補助や関節炎の痛み抑制を目的として、ペットフードに、グルコサミンとコンドロイチンとスーパーオキサイドディムスターゼとを配合することが提案されている(特許文献1)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−64186号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に記載されているグルコサミンは、グルコースから作られるアミノ糖の一種である一方、コンドロイチン(コンドロイチン硫酸)は、アミノ糖、ウロン糖、硫酸、酢酸糖から成る複雑な多糖類の一種であり、人や動物の軟骨・皮膚などに含まれている。
【0010】
これらグルコサミンとコンドロイチンとは、軟骨を破壊する酵素の発生を抑制すると共に軟骨の形成を刺激し、更に、損傷を受けた軟骨を修復する働きがある。従って、前記公報のペットフードは、犬猫(特に犬)の関節疾患(特に変性関節炎)の予防及び治療に有益であると言える。
【0011】
ところで、関節疾患や椎間板ヘルニアを予防するには、幼犬から成犬初期に至る時期に関節の軟骨や椎間板を本来の状態に形成することが必要である。しかし、グルコサミンとコンドロイチンだけでは、関節軟骨や椎間板の形成を十分に補助できているとは言えなかった。
【0012】
本発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
犬(人も同様であるが)の関節疾患は、骨と骨との間に介在している軟骨の生成不良や変形・破断等が主因となり、椎間板ヘルニアは椎間板の生成不良や変形等が要因になっている。また、これら軟骨や椎間板はコラーゲンを主成分としているから、関節疾患や椎間板ヘルニアを予防するためには、幼犬から成犬に至る骨の生成・確立期にコラーゲンの合成を促すことが重要である。
【0014】
そして、コラーゲンの合成にはビタミンCが不可欠であるため、犬の成長期に十分な量のビタミンCが体内に存在することが必要である。しかし、従来は、コラーゲンの合成促進のためにビタミンCをドッグフードに添加するという発想はなかった。
【0015】
従来においてドッグフードにビタミンCを添加する考え方が存在しなかった理由は、犬は体内でビタミンCを合成できるためわざわざ補給する必要はないと考えられていたこと、及び、一般にドッグフードは製造工程で成形・乾燥や殺菌等のために100℃以上に加熱されることより、熱によってビタミンCが破壊されてしまうためであると言える(抗酸化剤としてビタミンCを添加することは行われているが、これは加熱によって殆どが破壊されていたと考えられる)。
【0016】
本願発明者は、このような知見を背景にしつつ、犬が体内でビタミンCを合成できるにも拘らずコラーゲンの合成不良に起因した関節疾患や椎間板ヘルニアが多発するのかについて考究し、その結果、本願発明を完成させるに至った。
【0017】
本願発明は、ドッグフードとその添加物とを含んでいる。請求項1の発明はドッグフードに係るもので、耐熱処理されたビタミンCを含有していることを特徴としている。請求項2の発明もドッグフードに係るもので、耐熱処理されたビタミンCと、グルコサミンと、コンドロイチンとを合有していることを特徴としている。
【0018】
ドッグフード用添加物は、請求項3に記載したように、耐熱処理されたビタミンCを2〜6重量%、グルコサミンを1〜5重量%、コンドロイチンを7〜11重量%含み、残りがトルラ酵母及びビール酵母のうち少なくとも何れか一方より成っている。
【0019】
耐熱処理されたビタミンCとしては、例えば、L−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムを挙げることができる。このL−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムは、2−燐酸−エステルマグネシウムが結合していることにより、ドッグフードの製造工程で高温に晒らされてもビタミンC(L−アスコルビン酸)の破壊を阻止し、かつ、犬の体内に入ると2−燐酸−エステルマグネシウムがL−アスコルビン酸から分離して吸収され、ビタミンCはコラーゲンの生成等の本来の働きを行う。
【0020】
【発明の作用】
既述のとおり、多くの飼い犬はストレスに晒されている。そして、犬にストレスがかかると、人間と同様に副腎から抗ストレスホルモンであるアドレナリンが分泌されるが、このアドレナリンの生成にビタミンCが不可欠である。このため、ストレスが大きいと、本来はコラーゲンの合成に使われるべきビタミンCがアドレナリンの生成に消費されてしまい、その結果、コラーゲンの合成が不十分になって関節疾患や椎間板ヘルニアの原因の一つになっていると考えられる。
【0021】
つまり、犬は体内でビタミンCを合成できるものの、ストレスに晒されることが多い近年の飼い犬の多くにとって、強い軟骨や椎間板を生成するためには、体内で合成したビタミンCだけでは足りないのである。
【0022】
これに対して、離乳してから骨格が成長・確立する3才頃までの間に本願発明のドッグフードを与え続けると、犬がストレスに晒されていても、抗ストレスホルモンの生成は確保しつつ、強い軟骨や椎間板を形成するのに必要なコラーゲンを合成することが可能になる。
【0023】
また、ビタミンCは耐熱処理されているため(耐熱処理されたビタミンCを以下「耐熱性ビタミンC」という)、ドッグフードの製造工程で高温(例えば110〜125℃)に晒されても、ビタミンCが破壊されることはない。
【0024】
請求項2及び請求項3に記載したグルコサミンとコンドロイチンとは、コラーゲンの合成促進と相俟って、軟骨や椎間板の生成を促進する働きがある。請求項3に記載したトルラ酵母及びビール酵母は賦形剤としての役割があるが、香ばしい臭いにより、ビタミンCの臭いを消して嗜好性を高める(食い付きを良くする)働きがある。
【0025】
【発明の実施の形態】
本願発明は、ドライフードと缶詰フードとの両方に使用できる。また、ドッグフードの製造工程中において耐熱性ビタミンCやグルコサミン、コンドロイチンを添加しても良いし、請求項3のように耐熱性ビタミンCを含んだ添加剤を別に製造して、これをドッグフードの製造工程中に適量配合しても良い。
【0026】
耐熱性ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンがドッグフードに占める割合は微量なので、これらをドッグフードに均質に混合させるためには、請求項3のように、耐熱性ビタミンC等を賦形剤に均等に混入することによって増量された添加剤を製造しておき、これをドッグフードに配合するのが好適であると言える。
【0027】
添加剤中に占める耐熱性ビタミンCの好適な割合は2〜6重量%、グルコサミンの好適な割合は1〜5重量%、コンドロイチンの好適な割合は7〜11重量%であり、残りはトルラ酵母及びビール酵母のうち少なくとも何れか一方より成る賦形剤とするのが好ましい。トルラ酵母とビール酵母との両方を配合する場合、その配合割合は任意に設定できる。
【0028】
耐熱性ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンの割合が上記の下限値よりも低いと効果が薄く、上限値より高くしても効果に顕著な違いは見られない(悪影響がない限りて割合を高くしても良いが、コスト面で不利である)。より好適には、耐熱性ビタミンCの割合は約4重量%、グルコサミンは約3重量%、コンドロイチンは約9重量%である(なお、例えば約4重量%とは、4重量%を中心にして上下に多少の範囲があるということである)。
【0029】
耐熱性ビタミンC等を賦形剤に混合した添加物をドッグフードに配合する場合の割合は、例えば含水率10〜20%程度のドライフードの場合は1kg当たり5〜20g、例えば含水率30〜60程度の缶詰フードの場合は1kg当たり1.5〜8gが好適である。特に、ドライフードの場合は7.5〜15g、缶詰フードの場合は2.5〜5gとするのが好ましかった。
【0030】
従って、ドライフードへの耐熱性ビタミンCの配合割合を見ると、1kgに対して耐熱性ビタミンCが0.1〜1.2g(好適には約0.3〜0.6g)となる。ドライフードよりも缶詰フードへの含有率が高いのは、缶詰フードは水分が高くてドライフードの3倍程度の量を食餌するからである。
【0031】
耐熱性ビタミンCとしてはL−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムが好適であるが、耐熱性と体内吸収性とを確保できる限り、他の複合組成体やビタミンC誘導体、或いは、コーティング加工のような構造体でも良い。また、グルコサミン及びコンドロイチンとも、犬の体内でその機能を発揮できれば良く、従って、ドッグフードに添加した状態では、誘導体のように他の物質と結合した態様で存在していても良いのである。
【0032】
添加剤に使用する賦形剤としては、トルラ酵母及びビール酵母が好適であるが、他の酵母類その他の材料を使用することも可能である。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0034】
まず、粉末のL−アスコルビン酸−2−燐酸−エステルマグネシウムを40g、粉末のグルコサミンを30g、粉末のコンドロイチンを90g、乾燥した粉末のトルラ酵母とビール酵母との混合物を840g用意し、これらを攪拌機に投入して均質に混合することにより、添加剤を得た。
【0035】
他方、ドッグフードは、例えば、獣肉(チキン、羊、牛、豚、馬等のうちの一種又は複数種)若しくは魚肉を主材料としており、これに、穀粉(とうもろこし粉、小麦粉、大豆粉、米粉等のうちの一種又は複数種)、食物繊維、動物性油脂、植物性油脂のような福材料を必要に応じて1種又は複数種類混合し、更に、ビタミンC以外のビタミン類(A、B1,B2,B6、B12、D3、E,K3等)、カルシウム類、葉酸、ビチオン、炭酸マンガン等の補助剤を必要に応じて混入している。
【0036】
ドライフードの場合の製造方法としては、例えば、ミンチ状に潰した主材料と副材料及び補助剤をホッパーに投入して混練し、混練した流動性中間体を、網状ノズルを備えた押し出し機に投入して、ノズルから押し出すと同時に110〜125℃程度の高温に一気に晒すことにより、固形化と乾燥とを同時に行う。これにより、含水率10〜20%程度で適度の密度を備えた粒状のドライフードを得る。
【0037】
そして、ホッパー内で流動性中間体を混練する途次、流動性中間体の乾燥状態換算で1kgに対して添加剤を10g程度少しずつ混入することにより、添加材を流動性中間体に均一に混合させる。これにより、耐熱性ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンが添加されたドライフードが得た。
【0038】
なお、ドライフルーツの製造方法は様々であり、例えば、押し出し機(エクストルーダー)から押し出したものを加熱して棒状に加工し、これをカッターで所定の長さに切断するような方法もある。
【0039】
缶詰フードの場合は、一般に、流動状態のものを成形し缶に封入してから120℃前後(例えば121℃)の温度で30〜1時間程度加熱して殺菌するが、缶に投入する前の材料混練段階で本発明の添加材を所定量混入して均一に混ぜ合わせれば良い。固形物を材料としてこれに添加剤を含浸させることも可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によると、製造工程での加熱による破壊を招来することなくビタミンCをドッグフードに添加できるため、このドッグフードを幼年から成犬初期の時期に犬に与えることにより、ストレスの多い環境下であってもコラーゲンをしっかりと合成(生成)することができ、その結果、軟骨や椎間板が正常に形成された強い犬に育てることが可能になる。
【0041】
また、抗ストレスホルモンの生成も支障なく行えるため、ストレス性過食による肥満も防止又は抑制することができるのであり、このため、犬を健康な状態に維持して、コラーゲンの生成と骨の発達とを一層促進することができる。
【0042】
このように、本願発明によると、コラーゲンの生成促進とストレス性肥満の予防作用等とにより、関節疾患や椎間板ヘルニアに罹ることを予防し、或いは、罹患しても軽症に抑えることが可能になる。また、成犬になった後も与え続けると、ストレス性過食を抑制して、肥満に起因した各種疾患の予防に貢献できる。
【0043】
また、耐熱性ビタミンCに加えて請求項2,3のようにグルコサミンとコンドロイチンとを添加すると、コラーゲンの生成促進作用と、軟骨の生成促進及び破壊防止・修復作用との相乗効果により、関節や椎間板をより強い状態に育成することができる。
【0044】
請求項3のように賦形剤としてトルラ酵母又はビール酵母を使用すると、犬の食い付きを良くすることができるため、耐熱性ビタミンCやグルコサミン、コンドロイチンの役割をフルに発揮させることができる。
Claims (3)
- 耐熱処理されたビタミンCを含有しているドッグフード。
- 耐熱処理されたビタミンCと、グルコサミンと、コンドロイチンとを合有しているドッグフード。
- 耐熱処理されたビタミンCを2〜6重量%、グルコサミンを1〜5重量%、コンドロイチンを7〜11重量%含み、残りがトルラ酵母及びビール酵母のうち少なくとも何れか一方より成っているドッグフード用添加剤。
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KR20200138398A (ko) * | 2013-12-18 | 2020-12-09 | 스쁘씨야리떼 뻬 프 | 애완동물 사료용 기호성 증진제, 그의 제조 방법 및 용도 |
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2002
- 2002-10-21 JP JP2002305490A patent/JP2004135619A/ja active Pending
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KR102365662B1 (ko) | 2013-12-18 | 2022-02-23 | 스쁘씨야리떼 뻬 프 | 애완동물 사료용 기호성 증진제, 그의 제조 방법 및 용도 |
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