JP2004134508A - 縦型有機トランジスタ - Google Patents

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JP2004134508A JP2002296227A JP2002296227A JP2004134508A JP 2004134508 A JP2004134508 A JP 2004134508A JP 2002296227 A JP2002296227 A JP 2002296227A JP 2002296227 A JP2002296227 A JP 2002296227A JP 2004134508 A JP2004134508 A JP 2004134508A
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Shinichi Yamamoto
山本 伸一
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】デバイスの高密化進展、0.1ミクロン以下の微細加工においても結晶性に左右されない有機物を用いたデバイス作製により、高集積化されたデバイスを提供する。また、プラスチック基板に形成することでフレキシビリティに優れた有機デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも、任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と有極性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜と、前記重合した単分子膜または単分子累積膜に直接または間接に接触した第3の電極を備えた縦型電界効果トランジスタ(3端子有機電子デバイス)を製造する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子有機膜、高分子有機膜、導電性共役結合基を含む被膜を用いた縦型電界効果トランジスタ(有機電子デバイス)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子デバイスには、シリコン結晶に代表されるように、無機系の半導体材料が用いられている。現在、一般的な金属酸化物半導体(以下、MOSと略称する)型集積回路においては、半導体基板表面の方向に対して同方向(水平方向)にチャネルを形成した平面型MOSトランジスタが用いられている。集積回路の集積度を向上させるためには各素子の占有面積を減少させる必要がある。上記平面型MOSトランジスタにおいて占有面積を減少させるためには、チャネル長を短くしたり、チャネル幅を小さくする必要がある。ところが、そのようにすると短チャネル効果やホットキャリアによる劣化あるいは電流駆動能力の低下など多くの問題が生ずるため、チャネル長やチャネル幅を小さくして占有面積を有効に減少させるには限界がある。
【0003】
図11は通常のLDD構造の平面型トランジスタの製造工程図である。以下、図11に従って、LDD構造の平面型トランジスタの製造方法について述べる。
【0004】
図11(a)および図11(b)に示すように、シリコン基板51上に通常のMOSFET製造工程によって、フィールド酸化膜53、ゲート絶縁膜52およびゲート電極54を形成する。
【0005】
次に、図11(c)に示すように、イオン注入によって低濃度拡散層55を形成する。さらに、シリコン酸化膜でスペーサ56を形成した後、図11(d)に示すように、イオン注入によりソース電極57およびドレイン電極58を形成する。こうして、ソース端およびドレイン端に低濃度拡散層55を設けて、ソース/ドレイン間の耐圧の向上が図られるのである。
【0006】
しかしながら、図12に示すように上記従来の縦型トランジスタ製造方法においては、シリコン柱62上に形成したN+ポリシリコン層64を全面エッチングしてゲート電極64aを形成している。したがって、得られる縦型トランジスタにおけるゲート電極64aはシリコン柱62の側壁に非常に簿い膜状に形成される。そのために、ごく薄い膜状のゲート電極64aに配線しなければならず、ゲート電極64aヘのコンタクトが極めて困難という問題がある。また、上記従来の縦型トランジスタの製造方法によって作成された縦型トランジスタは、チャネル長が短くなるに連れてソース/ドレイン間の耐圧が低下するという問題がある。
【0007】
ここで、上述の高集積化と完全空乏化デバイスを一挙に実現する物の一つとして、半導体表面に対して垂直方向にチャネルを有する縦型トランジスタがある。この縦型トランジスタは、次のような製造工程によって製造されている。以下、図12に従って、従来の縦型トランジスタの製造方法について述べる。
【0008】
図12(a)および図12(b)に示すように、フォトリソグラフィによる微細加工で形成されたエッチングマスク(図示せず)を用いて、シリコン基板61をエッチングしてシリコン柱62を形成する。次に、図12(c)に示すように、上記シリコン柱62に熱酸化あるいは気相成長法によって酸化膜63を形成した後、N+ポリシリコン層64を気相成長法によって形成する。
【0009】
そして、このN+ポリシリコン層64を反応性イオンエッチング(RIE)法によって全面エッチングすることで、図12(d)に示すように、シリコン柱62の周囲にゲート電極64aを形成する。
【0010】
次に、図12(e)に示すように、イオン注入によりドレイン電極65およびソース電極66を形成する。その後は、通常のMOS型トランジスタの製造工程と同様の工程によって、縦型トランジスタが作成されるのである。こうして製造された縦型トランジスタは、縦型であるため占有面積が小さく、またゲート電極64aがシリコン柱62の周囲を囲んで存在しているために、良好な特性が得られるという特徴を有している(例えば,特許文献1,2,3参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−129335号公報
【特許文献2】
特開平5−21790号公報
【特許文献3】
特開平9−45899号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上述のような集積回路の微細化によって発生する問題を解決する方法の一つにSOI(絶縁体上半導体薄膜)技術がある。すなわち、SOI島(パーターニングされたアイランド状のSOI)の膜厚を非常に薄くして基板部分を完全に空乏化させることによって、短チャネル効果の抑制等が図られて特性の向上が見い出されている。
【0013】
しかしながら、上記従来の縦型トランジスタの製造方法においては、上記シリコン柱62の形成はフォトリソグラフィによる微細加工で形成されたエッチングマスクに依存するため、形成される上記シリコン柱62の厚みはフォトリソグラフィの限界に伴ってある厚み以下にはできない。そのために、上述のようにして形成された縦型トランジスタにおいては、相対向するゲート電極64aに電圧が印加された場合にシリコン柱62の両側に形成された空乏層の間にP型シリコン部が残り、シリコン柱62を完全空乏化できず当初の目的を達成できないという問題がある。
【0014】
そこで、この発明の目的は、フォトリソグラフィの限界に左右されずに超微細で高特性を有する縦型トランジスタを製造できる縦型トランジスタの製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明では、デバイスの高密度化が進展し、0.1ミクロン以下の微細加工がなされても、結晶性に左右されない有機物を用いたデバイスを作製することで、高集積化されたデバイスを提供することを目的とする。また、プラスチック基板に形成することにより、フレキシビリティに優れた有機デバイスを提供することを主な目的とする。さらに、この有機膜をフレキシブル基板の面内方向に対して垂直に設けることにより、基板が曲げられても活性層に負荷がかからない様になっている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも、絶縁膜を介した第一および第2電極を、基板に垂直方向に形成し、絶縁膜の側壁に有機膜を塗布することによりドーピング工程が特にいらない縦型電界効果トランジスタを提供する。
【0017】
特に、有機膜に関しては、
重合して導電性の共役結合基を生成する官能基と基材表面の活性水素と反応する官能基を含む分子を用い、表面に活性水素を含む基板の表面に化学吸着法により単分子膜または単分子累積膜を形成する工程と、前記単分子膜を構成する分子を配向させる工程と、前記単分子膜内で重合して導電性の共役結合基を生成する官能基を重合する工程により、特定の方向に配向させた複数の導電性共役結合基を含む単分子膜状または単分子累積膜状の被膜を提供するものである。また、有機膜には低分子系であるペンタセン、ポリアセンなどの一般的な有機膜を用いてもよい。また、高分子系有機材料を用いても何ら問題はない。
【0018】
このとき、導電性共役結合基がポリアセチレン基、ポリジアセチレン基、ポリアセン基、ポリピロール基、ポリチェニレン基であると導電異方性に優れた単分子膜状または単分子累積膜状の被膜となる。さらにまた、共役結合基を生成する官能基を重合する工程に、触媒重合法、電界重合法、あるいはエネルギービーム照射重合法を用いる。このとき、共役結合基を作製する官能基として、ピロール基、チェニレン基、アセチレン基、ジアセチレン基を含む単分子膜または単分子累積膜を用いると、触媒重合法により導電性の超長共役結合基を生成できる。また、ピロール基、チェニレン基を含む単分子膜または単分子累積膜を用いると、電界重合法により導電性の超長共役結合基を生成できる。さらにまた、共役結合基を作製する官能基として、アセチレン基、またはジアセチレン基を含む単分子膜または単分子累積膜を用いると、X線、電子線、または紫外線等のエネルギービーム照射重合法により導電性の超長共役結合基を生成できる。
【0019】
さらに、単分子膜または単分子累積膜の作製に、化学吸着法またはラングミュアーブロジェット法を用いる。特に、化学吸着法を用いた単分子膜または単分子累積膜の作製には、シラン系界面活性剤を用いる。さらにまた、単分子膜または単分子累積膜を重合して導電性の共役結合基を生成する工程の前に、第1及び第2電極を形成する工程を行うと、これら電極を電解重合の電極として利用でき、第1及び第2電極間に電流を流して導電性の共役結合基を生成できる。
【0020】
電解重合性の官能基としては、ピロール基またはチェニレン基が都合よい。このとき、ピロール基またはチェニレン基を含む単分子膜を形成した後、ピロール基またはチェニレン基を含む物質を溶かした有機溶媒中で、第1及び第2電極と第3の電極の間に電流を流して、前記ポリピロール基またはポリチェニレン基を含む単分子膜表面にポリピロール基またはポリチェニレン基を含む被膜を形成する。また、重合性基としてピロール基、チェニレン基、アセチレン基、ジアセチレン基等の触媒重合性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、触媒重合にて共役結合基を生成する。一方、エネルギービーム照射により重合する官能基として、アセチレン基、ジアセチレン基、重合性基を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、紫外線、遠紫外線、電子線またはX線等のエネルギービームを照射して共役結合基を生成する。
【0021】
また、少なくとも、絶縁性の基板、あるいは導電性の基板表面に絶縁性の薄膜を介して第3の電極を形成する工程と、重合して導電性の共役結合基を生成する官能基と基材表面の活性水素と反応する官能基と有極性の官能基を含む分子を用い、前記電極を被うように直接あるいは絶縁性の被膜を介して表面に単分子膜または単分子累積膜を形成する工程と、前記単分子膜を構成する分子を配向させる工程と、前記単分子膜内で重合して導電性の共役結合基を生成する官能基を重合する工程と、第1及び第2電極を形成する工程を用いて、少なくとも、任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と有極性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜と、前記重合した単分子膜または単分子累積膜に直接または間接に接触した第3の電極を備えた縦型電界効果トランジスタ(3端子有機電子デバイス)を提供する。
【0022】
このとき、有極性の官能基として、電界印加により分極するカルボニル基、オキシカルボニル基が良い。さらに、重合形成された単分子膜または単分子累積膜に、電解重合、触媒重合、あるいはエネルギービーム照射により重合形成されたポリアセチレン基、ポリジアセチレン基、ポリアセン基、ポリピロール基、ポリチェニレン基等の導電性の共役結合基を含ませておくと、特性に優れた有機デバイスとなる。
【0023】
さらに、単分子膜または単分子累積膜の作製に、化学吸着法またはラングミュアーブロジェット法を用いる。特に、化学吸着法を用いた単分子膜または単分子累積膜の作製には、シラン系界面活性剤を用いる。さらにまた、単分子膜または単分子累積膜を重合して導電性の共役結合基を生成する工程の前に、第1及び第2電極を形成する工程を行うと、これら電極を電解重合の電極として利用でき、第1及び第2電極間に電流を流して導電性の共役結合基を生成できる。
【0024】
電解重合性の官能基としては、ピロール基またはチェニレン基が都合よい。このとき、ピロール基またはチェニレン基を含む単分子膜を形成した後、ピロール基またはチェニレン基を含む物質を溶かした有機溶媒中で、第1及び第2電極と第3の電極の間に電流を流して、前記ポリピロール基またはポリチェニレン基を含む単分子膜表面にポリピロール基またはポリチェニレン基を含む被膜を形成する。また、重合性基としてピロール基、チェニレン基、アセチレン基、ジアセチレン基等の触媒重合性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、触媒重合にて共役結合基を生成する。一方、エネルギービーム照射により重合する官能基として、アセチレン基、ジアセチレン基、重合性基を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、紫外線、遠紫外線、電子線またはX線等のエネルギービームを照射して共役結合基を生成する。
【0025】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態における縦型電界効果トランジスタについて概要を説明する。
【0026】
第1に、少なくとも、重合して導電性の共役結合基を生成する官能基と基材表面の活性水素と反応する官能基と光異性化する官能基を含む分子を用い、絶縁性の基板、あるいは導電性の基板表面に絶縁性の薄膜を介して表面に単分子膜または単分子累積膜を形成する工程と、前記単分子膜を構成する分子を配向させる工程と、前記単分子膜または単分子累積膜を重合して導電性の共役結合基を生成する工程と、第1及び第2電極を形成する工程を用いて、少なくとも、任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と光応答性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜を備えた縦型電界効果トランジスタ(3端子有機電子デバイス)を製造した。
【0027】
このデバイスでは、前記第1の電極と第2の電極間に電圧を印加した状態で、前記重合形成された共役結合基を含む単分子膜または単分子累積膜に紫外線または可視光線を照射することで、前記共役結合の共役度を制御して第1の電極と第2の電極間に流れる電流をスイッチング制御できた。
【0028】
第2に、少なくとも、絶縁性の基板、あるいは導電性の基板表面に絶縁性の薄膜を介して第3の電極を形成する工程と、重合して導電性の共役結合基を生成する官能基と基材表面の活性水素と反応する官能基と有極性の官能基を含む分子を用い、前記電極を被うように直接あるいは絶縁性の被膜を介して表面に単分子膜または単分子累積膜を形成する工程と、前記単分子膜を構成する分子を配向させる工程と、前記単分子膜内で重合して導電性の共役結合基を生成する官能基を重合する工程と、第1及び第2電極を形成する工程を用いて、少なくとも、任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と有極性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜と、前記重合した単分子膜または単分子累積膜に直接または間接に接触した第3の電極を備えた3端子有機電子デバイスを製造した。
【0029】
このデバイスでは、前記第1の電極と第2の電極間に電圧を印加した状態で、前記第1の電極と第3の電極間に電圧を印加し前記共役結合の共役度を制御して、前記第1の電極と第2の電極間に流れる電流をスイッチング制御できた。
【0030】
以下、具体的な実施の形態を図面を用いて説明する。
【0031】
(実施の形態1)
例えば、予め重合して導電性の共役結合基になるアセチレン基(−C≡C−C≡C−)と光異性化する官能基であるアゾ基(−N=N−)と基板表面の活性水素(例えば、水酸基(−OH))と反応するクロロシリル基(−SiCl)を含む物質(化1)を用い、脱水したジメチルシリコーン系の有機溶媒で1%に薄めて化学吸着液を調製した。
【0032】
【化1】
Figure 2004134508
【0033】
次に、単分子膜を形成する部分を残してレジストパターンでカバー形成した絶縁性のガラス基板1を前記吸着液に浸漬して前記レジストパターン開口部に選択的に化学吸着を行い、さらに表面に残った未反応の前記物質をクロロフォルムで洗浄除去し、続いて前記レジストパターンを除去して、前記物質よりなる単分子膜2を選択的に形成した。このとき、レジスト開口部のガラス基板表面には活性水素を含む水酸基が多数存在するので、前記物質の−SiCl基が水酸基と脱塩酸反応を生じて基板表面に共有結合した(化2)で構成される単分子膜2が形成された(図2)。
【0034】
【化2】
Figure 2004134508
【0035】
次に、液晶配向膜作製に使用するラビング装置3を使用し、レーヨン製ラビング布4(吉川加工(株)製:YA−20−R)で、押し込み深さ0.3mm、ニップ幅11.7mm、回転数1200回転、テーブルスピード40mm/secの条件で第1電極から第2電極に向かう方向と平行に縦方向にラビングした(図3)。このことにより、前記単分子膜を構成する化学吸着された分子(化2)は、ラビング方向に沿って配向された。
【0036】
なお、ここでのラビング処理は単分子膜形成後に行ったが、単分子膜形成前、すなわち、基板表面を予め同様の条件でラビングし、その後、その表面に単分子膜を形成しても同様に配向した単分子膜が得られた。ただしこの場合、レジスト除去後、もう一度単分子膜形成後と同様にクロロフォルム洗浄を行い、さらにラビング方向と略平行に基板を立てながら引き上げて液切りを行うと、液切り方向と反対方向に配向し、より配向性に優れた単分子膜が得られた。
【0037】
次に、基板の配向処理された化学吸着単分子膜2a上全面にニッケル薄膜を蒸着形成し、ホトリソ法を用いてギャップ間距離が10ミクロンで長さが30ミクロンの第1電極8を形成し、その後、ゲート絶縁膜を成膜して再度ニッケル薄膜を第2電極9として成膜し、最後にこれらの堆積した膜をドライエッチングでエッチングして形成した。このように、任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と光応答性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜を備えた3端子有機電子デバイスを製造した(図4)。
【0038】
このデバイスでは、前記第1の電極と第2の電極間は、導電性のポリアセチレン結合基で接続されているので、電極間に数V電圧を印加すると、数mA電流(1Vで100nA程度)が流れた。この値は、無配向で重合した場合のおよそ50倍であった。
【0039】
次に、前記状態で、前記電極間の単分子膜に紫外線(光10)を照射すると、前記アゾ基がシス転移して、電流がほぼ0となった。またその後、可視光線(光10)を照射すると、前記アゾ基がトランス転移して元の導電性が再現された(図5)。このような電極間の導電性の低下は、アゾ基の光異性化(トランス型からシス型への転移)により、単分子膜内の分子配向がひずみ、ポリアセチレン結合基の共役度が低下することにより生じるものと考えられる。
【0040】
このように、光照射により、前記共役結合の共役度を制御して第1の電極と第2の電極間に流れる電流をスイッチング制御できた。
【0041】
なお、ポリアセチレン基を導電性基として用いる場合、重合度が低いと抵抗が高くなる。すなわち、オン電流が低くなるが、その場合には電荷移動性の官能基を有するドーパント物質(例えば、アクセプタ分子としてハロゲンガスやルイス酸、ドナー分子としてアルカリ金属やアンモニウム塩)を表面に拡散する、すなわちドーピングすることで、オン電流を大きくできた。ちなみに、この被膜にヨウ素をドープした場合、1Vの電圧印加で0.2mAの電流が流れた。
【0042】
ここで、基板として金属などの導電性の基板を用いる場合には、導電性の基板表面に絶縁性の薄膜を介して単分子膜を形成しておけばよい。なお、このような構造では基板自体が帯電することがないので、デバイスの動作安定性が向上した。
【0043】
また、より大きなオン電流を必要とする場合には、電極間距離を小さくするか、電極幅を広げればよい。さらに大きなオン電流を必要とする場合には、単分子膜を累積しておけばよい。
【0044】
上記実施の形態1では、導電性の共役結合基の作製に触媒重合法を用いたが、電解重合、あるいは光や電子線、X線などのエネルギービーム照射により、同様の導電性の共役結合基を作製できた。また、導電性の共役結合基としてポリアセチレン基以外に、ポリジアセチレン基、ポリアセン基、ポリピロール基、ポリチェニレン基が利用できた。なお、触媒重合法には、重合性基として前記アセチレン基以外にピロール基、チェニレン基、ジアセチレン基等が適していた。
【0045】
さらに、単分子膜または単分子累積膜の作製には、化学吸着法以外に、ラングミュアーブロジェット法を使用できた。また、単分子膜または単分子累積膜を重合して導電性の共役結合基を生成する工程の前に、第1及び第2電極を形成する工程を行うと、共役結合基の作製に際して、第1及び第2電極を電解重合に利用できた。すなわち、電解重合性の官能基としてピロール基またはチェニレン基を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、第1及び第2電極の間に電流を流して第1及び第2電極間の薄膜を選択的に電解重合できた。さらにまた、ポリピロール基またはポリチェニレン基を含む単分子膜を形成した後、あるいは、ピロール基またはチェニレン基を含む単分子膜を形成した後、ピロール基またはチェニレン基を含む物質を溶かした有機溶媒中で、第1及び第2電極間に電流を流して、ポリピロール基またはポリチェニレン基を含む単分子膜表面にポリピロール基またはポリチェニレン基を含む被膜を形成すると導電領域の厚さを厚くできた。
【0046】
また、重合性基としてエネルギービームにより重合する官能基であるアセチレン基やジアセチレン基等を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、紫外線、遠紫外線、電子線またはX線等のエネルギービームを照射することで共役結合基を生成できた。
【0047】
なお、使用する物質は、一般に(化3)で示される物質なら、本実施の形態1において同様に使用できた。
【0048】
【化3】
Figure 2004134508
【0049】
ここで、
Aは重合して導電性の共役結合基になる官能基
Bは光応答性の官能基
Dは基板表面の活性水素と反応する官能基
Eは水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アルキル基等の他の官能基
m、nは整数であり、m+nは2以上25以下、特に10〜20が良かった。
【0050】
pは1、2、または3である。
【0051】
さらに詳しくは、(化4)〜(化7)で表される物質等が使用できた。
【0052】
【化4】
Figure 2004134508
【0053】
【化5】
Figure 2004134508
【0054】
【化6】
Figure 2004134508
【0055】
【化7】
Figure 2004134508
【0056】
ここで、m、nは整数であり、m+nは2以上25以下である。
【0057】
(実施の形態2)
例えば、予め、電解重合して導電性の共役結合基になるピロール基(CN−)と有極性の官能基であるオキシカルボニル基(−OCO−)と基板表面の活性水素(例えば、水酸基(−OH))と反応するクロロシリル基(−SiCl)を含む物質(化8)を用い、脱水したジメチルシリコーン系の有機溶媒で1%に薄めて化学吸着液を調製した。
【0058】
【化8】
Figure 2004134508
【0059】
次に、絶縁性のポリイミド基板11(あるいは導電性のメタル基板表面に絶縁性の薄膜、例えばシリカ被膜12を介してでも良い)を用いて、その上に横方向選択線13(第2電極にもなる)にゲート絶縁膜6のゲート長が100nm(厚み)で幅が40ミクロンになるようなスイッチング素子をドライエッチングで形成し、さらに前記Alパターン(第1電極:ソース部、縦方向選択線14)を形成し、7つの有機トランジスタを並べた(図6)。
【0060】
次に、単分子膜を形成するために、前記吸着液に浸漬して前記絶縁膜に選択的に化学吸着を行い、さらに表面に残った未反応の前記物質をクロロフォルムで洗浄除去し、続いて前記レジストパターンを除去して、前記物質よりなる単分子膜15を選択的に形成した(図7)。
【0061】
このとき、用いた絶縁膜の側壁表面(シリカ被膜およびAl表面)には活性水素を含む水酸基が多数存在するので、前記物質の−SiCl基が水酸基と脱塩酸反応を生じて基板表面に共有結合した(化9)で示される分子で構成された単分子膜15が形成された。
【0062】
【化9】
Figure 2004134508
【0063】
その後、もう一度単分子膜形成後と同様にクロロフォルム洗浄を行い、さらに第1電極から第2電極に向かう方向と平行に基板を立てながら引き上げて液切りを行うと、第1電極から第2電極に向かって一次配向した単分子膜15aが得られた。
【0064】
次に、アセトニトリル中で第1及び第2電極間に5V/cm程度の電界を印加し、電流を流して電解重合することで、導電性の共役結合基で第1電極14及び第2電極16間を接続するように生成した。このとき、重合された共役結合基は、電界方向に沿ってつながって行くので、完全に重合が終われば、第1及び第2電極は導電性の共役結合基18で自己組織的に接続される(図1)。
【0065】
最後に、第3の電極を基板側から取り出して、任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と有極性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜と、前記重合した単分子膜または単分子累積膜に直接または間接に接触した第3の電極を備えた3端子有機電子デバイスを製造した。
【0066】
このデバイスでは、前記第1の電極と第2の電極間は、導電性のポリピロール結合基で接続されているので、BFイオンをドープすると電極間に1Vの電圧を印加して1mA程度の電流が流れた。
【0067】
次に、前記状態で、前記第3電極と第1電極の間に5Vの電圧を印加すると第1及び第2の電極間の電流がほぼ0となった。またその後、5Vの印加電圧を0Vにもどすと元の導電性が再現された。このような電極間の導電性の低下は、第3電極と第1電極の間に5Vの電圧を印加した際、有極性の官能基であるオキシカルボニル基(−OCO−)の分極が進むことにより、単分子膜がひずみ、ポリピロール結合基の共役度が低下することにより生じるものと考えられる。
【0068】
このように、第3の電極に電圧を印加することで、前記共役結合の共役度を制御して第1の電極と第2の電極間に流れる電流をスイッチング制御できた。
【0069】
本実施の形態2において、第1電極から第2電極に向かう方向と平行に基板を立てながら引き上げて液切りを行った後、さらに第1電極から第2電極に向かう方向と平行方向に偏光した可視光19を500mJ/cm程度照射すると、立てながら引き上げて液切りを行うだけに比べてさらに配向性に優れた単分子膜が得られた。また、このとき、偏光方向を第1電極から第2電極に向かう方向と45°で交差する方向に設定して同様の照射を行うと、前記単分子膜を構成する分子は、当初の引き上げ方向から動き、前記偏光照射方向と略平行方向に配向した。すなわち、偏光照射を行うと、単分子膜を構成する分子が偏光方向に配向することが確認できた(図8)。
【0070】
さらに、このように配向した状態で重合して共役結合基を生成すると、より導電性に優れた被膜を形成できた。
【0071】
ここで、有極性の官能基が電界印加により分極するオキシカルボニル基であると、スイッチングを極めて高速で行えた。オキシカルボニル基以外に、カルボニル基等の官能基が使用できた。
【0072】
さらにまた、導電性の共役結合基としてポリアセチレン基、ポリジアセチレン基、ポリアセン基、ポリピロール基、ポリチェニレン基が使用でき、導電度が高かった。
【0073】
また、導電性の共役結合基を生成する物質として、電解重合性の官能基であるピロール基以外に、チェニレン基が利用できた。なお、重合方法を変えれば、アセチレン基、ジアセチレン基を含む物質も利用できた。
【0074】
また、単分子膜または単分子累積膜の作製には、化学吸着法以外に、ラングミュアーブロジェット法が使用できた。
【0075】
また、重合性基としてピロール基、チェニレン基、アセチレン基、ジアセチレン基等の触媒重合性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜を用いれば、触媒重合にて共役結合基を生成できた。また、重合性基としてアセチレン基、ジアセチレン基等のエネルギービームにより重合する官能基を含む単分子膜または単分子累積膜を用い、紫外線、遠紫外線、電子線またはX線等のエネルギービームを照射して共役結合基を生成することで有機電子デバイスを製造できた。
【0076】
(実施の形態3)
従来の半導体装置に形成される薄膜トランジスタ(TFT)は、非晶質シリコンを活性層とする構造が一般的であったが、非晶質シリコンTFTはキャリア移動度が低く十分な動作特性を備えていないため、最近では有機TFTが注目されている。有機TFTは、非晶質シリコンTFTに比べて製造コストが安く、動作特性にも優れており、画素スイッチング用としてだけでなく、周辺駆動回路のデバイスとして使用することも将来可能になると考えられている。そこで、今回発明した有機TFTの製造においては、室温プロセスで製造出来るので、基板に温度に弱いプラスティックを用いても問題ない。
【0077】
有機TFTの一例を図4に示す。同図に示すように、絶縁性のガラス基板1に単分子膜2aが形成され、この単分子膜2aの上にドレイン電極9、ゲート絶縁膜6、ソース電極8が形成され、ゲート絶縁膜6の側壁に主になる有機半導体薄膜(活性層)20が形成されている。この有機半導体薄膜20とは、チャネル領域であり、ソース領域(第1電極8)・ドレイン領域(第2電極9)とを有している。
【0078】
有機半導体薄膜20はゲート絶縁膜6の側壁を覆ってチャネル領域となっているので、有機膜を用いたトランジスタの場合、特にソース・ドレイン領域に接続させるためのコンタクトホールを形成する必要もない。つまり、通常のトランジスタと違い、ソース、ドレイン電極と直接コンタクト(接触)できるようになっている。
【0079】
ところが、多結晶シリコンTFTなどを用いたTFTでは、半導体薄膜中の結晶粒界に高密度のトラップ準位が存在し、このトラップを介してキャリアが移動する。このため、ゲート電圧VGSが負の領域においても、ゲート電圧VGSの絶対値の増加と共にドレイン電流Iが増加する。この現象は、オフ状態でのリーク電流であるオフ電流がゲート電圧依存性を有することを意味するものであり、トランジスタの特性としては好ましくない。また、オフ電流自体を更に低減させることも必要である。例えば、アクティブマトリックス型の液晶表示装置に使用される多結晶シリコンTFTはゲート逆バイアス下で用いられるため、オフ電流が大きくなるとデータの保持特性が悪化するという問題が生じる。即ち、コンデンサに書き込まれたデータは、書き込み時間よりもはるかに長時間保持される必要があるが、コンデンサの静電容量が小さいため、TFTのオフ状態におけるオフ電流により、ドレインの電位(すなわち、コンデンサの電位)は急激にソースの電位に近づき、書き込まれたデータが正しく保持されなくなる。オフ電流の増大に伴う問題は、液晶表示装置だけの問題ではなく他の半導体装置においても生じ、例えば、通常のロジック回路においては静止電流の増加を招き、メモリ回路の場合は誤動作の原因となる。
【0080】
そこで、オフ電流を低減するため、チャネル領域に不純物を導入してpにすることも知られている。しかし、打ち込まれた不純物は比較的低濃度であることが要求されるのに対し、従来の低温プロセスにおいてはこのような濃度調整が難しく、実現は困難であった。また、同様の理由から閾値電圧Vthの制御が十分に行われず、更には半導体薄膜が初期から不純物により汚染されている場合もあるため、大面積の絶縁基板上におけるTFTの動作特性が不均一であるという問題を有していた。例えば、液晶表示装置の場合、閾値電圧Vthがデプレッション側に振れるとオフ電流が増大して、画素の輝点欠陥になるという問題が生じる。
【0081】
このような課題を解決した有機TFTの代表的な特性を図9に示す。同図は、ドレイン電圧VDSが4Vにおけるゲート電圧VGSに対するドレイン電流Iの関係を示すグラフである。ドレイン電流Iは、ゲート電圧VGSが0Vの近傍で最小値となり、ゲート電圧VGSが増加するにつれてドレイン電流Iも増加する。ゲート電圧VGSの値が正の領域におけるドレイン電流Iの増加は、トランジスタのオフ状態からオン状態への変化を意味するものであるから、電流の増加率はできる限り大きいことが望ましい。例えば、液晶表示装置に使用する場合、液晶の表示はコンデンサの電位により決定されるため、短時間にデータを書き込むことができるようにTFTには十分な電流(オン電流)を流す必要がある。今回発明した縦型有機TFTの場合、半導体薄膜におけるキャリア移動度が大きくなっているため、十分なオン電流を供給できる点については特に問題がない。
【0082】
このように、今回発明した縦型電界効果トランジスタである有機TFTは上記に示した多結晶シリコンTFTでの問題を発生することなくよい動作を示した。
【0083】
(実施の形態4)
近年において、有機EL素子を用いた表示装置が開発されている。有機EL素子を多数使用した有機EL素子装置をアクティブマトリックス回路により駆動する場合、各ELのピクセル(画素)には、このピクセルに対して供給する電流を制御するための薄膜トランジスタ(TFT)の如きFET(電界効果トランジスタ)が一組ずつ接続されている。すなわち、有機EL素子に駆動電流を流すバイアス用のTFTと、そのバイアス用TFTを選択すべきかを示すスイッチ用のTFTが一組ずつ接続されている。
【0084】
従来のアクティブマトリックス型の有機EL表示装置の回路図の一例を図10に示す。この有機EL表示装置は、X方向信号線301−1、301−2・・・、Y方向信号線302−1、302−2・・・電源Vdd線303−1、303−2・・・、スイッチ用TFTトランジスタ304−1、304−2・・・、電流制御用TFTトランジスタ305−1、305−2・・・、有機EL素子306−1、306−2・・・、コンデンサ307−1、307−2・・・、X方向周辺駆動回路308、Y方向周辺駆動回路309等により構成される。
【0085】
X方向信号線301、Y方向信号線302により画素が特定され、その画素においてスイッチ用TFTトランジスタ304がオンされてその信号保持用コンデンサ307に画像データが保持される。これにより、電流制御用のTFTトランジスタ305がオンされ、電源Vdd線303より有機EL素子306に画像データに応じたバイアス用の電流が流れ、これが発光する。
【0086】
例えば、X方向信号線301−1に画像データに応じた信号が出力され、Y方向信号線302−1にY方向走査信号が出力されると、これにより特定された画素のスイッチ用TFTトランジスタ304−1がオンになり、画像データに応じた信号により電流制御用TFTトランジスタ305−1が導通されて有機EL素子306−1に、この画像データに応じた発光電流が流れ、発光制御する。
【0087】
このように、一画素毎に、薄膜型のEL素子と、前記EL素子の発光制御用の電流制御用TFTトランジスタと、前記電流制御用TFTトランジスタのゲート電極に接続された信号保持用のコンデンサと、前記コンデンサへのデータ書き込み用のスイッチ用TFTトランジスタ等を有するアクティブマトリックス型EL画像表示装置において、EL素子の発光強度は、信号保持用のコンデンサに蓄積された電圧によって制御された発光電流制御用の非線形素子であるTFTトランジスタに流れる電流で決定される(A66−in 201pi Electroluminescent Display T.p.Brody、F.C.Luo、et.al.、IEEE Trans.Electron Devices、Vol.ED−22、No.9、Sep.1975、p739〜p749参照)。
【0088】
このとき使用される信号保持用のコンデンサの容量は微少な選択時間内で画素スイッチ用TFTトランジスタが十分に電荷を充電できる容量以下であり、またこの画素スイッチ用TFTトランジスタの非選択時のリーク電流が次の書き込み時間まで失わせる電荷により発生するコンデンサの保持電圧の低下が表示パネルの画像に悪影響を与えない容量以上であることが求められる。
【0089】
アクティブマトリックスの表示装置は、その視認性から拡大投影を行う光学系を用いない場合は、4インチ以上の画角が要求される。このサイズの表示面をシリコン単結晶基板上に構成することは、現在の単結晶Si基板の製作技術では1枚の単結晶基板から得られる枚数が非常に少ないため大変なコストがかかってしまう。
【0090】
そこで、アクティブマトリックスの表示装置に、フレキシブル基板等の平面基板上に作成した有機膜半導体層を用いた本発明の縦型有機薄膜トランジスタ(TFT)を使用することで上記のような問題が解決され、低コストで製作できるようになる。
【0091】
また、平面基板上に形成される半導体層は大面積のものが比較的容易に成膜できることから、アモルファスSi膜(以下、a−Si膜という)を用いることが一般的である。しかし、a−Si膜で形成されたTFTは一方向に定常的に電流を流し続けると、閾値がドリフトして電流値が変わり、画質に変動が生ずる。しかも、a−Si膜では移動度が小さいため高速応答でドライブできる電流にも限界があり、またPチャネルの形成が困難なところより、小規模なCMOS回路の構成さえも困難である。
【0092】
そこで、本発明によれば平面基板上に形成される大面積の縦型有機半導体層を比較的容易に成膜できることから、アクティブマトリックス型有機EL画像表示装置の半導体層としては、比較的大面積化が容易でかつ高信頼性で移動度も高く、CMOS回路の形成も可能な有機膜を活性層として、かつ活性層に流れる電流を基板に垂直に流すように設計してあるため、基板面積に対して縦型電界効果トランジスタの占める割合が小さく済むために大面積に高解像度画素を持つ有機ELディスプレイを作製することが可能となる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、
任意の基板上に形成された第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間を接続する方向と略平行に配向させた複数の導電性共役結合基と有極性の官能基を含む単分子膜または単分子累積膜と、前記重合した単分子膜または単分子累積膜に直接または間接に接触した高性能な第3の電極を備えた高性能な縦型電界効果トランジスタ(3端子有機電子デバイス)を提供できる。また、単分子膜以外に低分子有機薄膜や高分子有機薄膜も提供できる。
【0094】
これにより、低コストでかつ大面積に高解像度画素を持つ有機ELディスプレイを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態2における重合方法の一例図
【図2】本発明の実施の形態1において単分子膜を形成した状態を分子レベルまで拡大した断面概念図
【図3】本発明の実施の形態1においてラビングにより単分子膜を構成する分子を配向させる工程を説明する概念図
【図4】本発明の実施の形態1において完成されたデバイスを分子レベルまで拡大した断面概念図
【図5】本発明の実施の形態1における紫外線や可視光線をあてて有機膜を重合する工程図
【図6】本発明の実施の形態2において第3の電極を形成した状態を拡大した断面概念図(有機膜なし)
【図7】本発明の実施の形態2において第3の電極を形成した状態を拡大した断面概念図(有機膜あり)
【図8】本発明の実施の形態2において偏光照射により、単分子膜を構成する分子を配向させる工程を説明する断面概念図
【図9】従来の薄膜トランジスタのゲート電圧VGSとドレイン電流Iとの関係を示す図
【図10】従来のアクティブマトリックス型の有機EL表示装置の回路図
【図11】Si系トランジスタを用いた従来例を示す図
【図12】縦型Si系トランジスタを用いた従来例を示す図
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 アセチレン基とアゾ基を含む化学吸着単分子膜
2a 配向処理された化学吸着単分子膜
3 ラビング装置
4 ラビング布
5 導電性のポリアセチレン型共役結合基
6 ゲート絶縁膜
7 アゾ基
8 第1電極(ソース電極)
9 第2電極(ドレイン電極)
10 スイッチング用に集光された光(紫外線、可視光線)
11 ポリイミド基板
12 シリカ被膜
13 横方向選択線(第2電極)
14 縦方向選択線(第1電極)
15 ピロール基とオキシカルボニル基を含む単分子膜
15a 配向処理された単分子膜
16 第1電極
17 第2電極
18 導電性のポリピロール型共役結合基
19 可視光
20 活性層(有機半導体薄膜)
51 シリコン基板
52 ゲート絶縁膜
53 フィールド酸化膜
54 ゲート電極
55 低濃度拡散層
56 スペーサ
57 ソース電極
58 ドレイン電極
61 シリコン基板
62 シリコン柱
63 酸化膜
64 N+ポリシリコン層
64a ゲート電極
65 ドレイン電極
66 ソース電極
301 X方向信号線
302 Y方向信号線
303 電源Vdd線
304 スイッチ用TFTトランジスタ
305 電流制御用TFTトランジスタ
306 有機EL素子
307 コンデンサ
308 X方向周辺駆動回路
309 Y方向周辺駆動回路

Claims (12)

  1. 基板上に第1の電極と第2の電極と、前記第1と前記第2の電極を絶縁するための絶縁膜と、前記絶縁膜内の第3の電極と、を有する電界効果トランジスタにおいて、
    前記第1の電極と、前記第2の電極と、前記第1と前記第2の電極を絶縁するための絶縁膜が、前記基板に対して厚み方向に配列され、
    前記絶縁膜側壁の一部に少なくとも活性層である有機膜が具備されたことを特徴とする縦型電界効果トランジスタ。
  2. 前記縦型電界効果トランジスタのチャネル長が前記絶縁膜の膜厚であることを特徴とする請求項1に記載の縦型電界効果トランジスタ。
  3. 前記絶縁膜の少なくとも一部に前記有機膜があることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の縦型電界効果トランジスタ。
  4. 前記活性層である有機膜が、低分子系材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の縦型電界効果トランジスタ。
  5. 前記活性層である有機膜の部分が、ペンタセン、アントラセン、ポリアセンなどのアセン系材料であることを特徴とする請求項4に記載の縦型電界効果トランジスタ。
  6. 前記活性層である有機膜が、高分子系材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の縦型電界効果トランジスタ。
  7. 前記活性層である有機膜が、導電性共役結合基を持ち、ポリアセチレン基、ポリジアセチレン基、ポリアセン基、ポリピロール基、ポリチェニレン基であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の単分子膜状または単分子累積膜状の被膜。
  8. 共役結合基を生成する官能基を重合する工程に、触媒重合法、電界重合法、あるいはエネルギービーム照射重合法を用いることを特徴とする請求項7に記載の被膜の製造方法。
  9. エネルギービーム照射重合法に、X線、電子線、または紫外線を用いることを特徴とする請求項8に記載の被膜の製造方法。
  10. 基板上に第1の電極と第2の電極と、前記第1と前記第2の電極を絶縁するための絶縁膜と、前記絶縁膜内の第3の電極と、を有する電界効果トランジスタにおいて、
    前記第1の電極と前記第2の電極間に設置された活性層である前記有機膜を流れる電流の方向と、前記基板の平面とが垂直方向であることを特徴とする縦型電界効果トランジスタの動作方法。
  11. 基板上に配列された複数の第1の選択線と、複数の第2の選択線と、前記第1の選択線と前記第2の選択線の交点に、縦型電界効果トランジスタを複数設け、前記縦型電界効果トランジスタは少なくとも第1の電極、第2の電極、第3の電極を持ち、前記第2の電極、前記第3の電極が、前記第1の選択線、前記第2の選択線にそれぞれ接続されたアレイ基板において、
    前記第1の電極と、前記第2の電極と、前記第1と前記第2の電極を絶縁するための絶縁膜が、前記基板に対して縦方向にならび、
    前記絶縁膜側壁の一部に少なくとも有機膜が具備された縦型電界効果トランジスタをマトリックス状に複数個配列配置したことを特徴とするアレイ基板。
  12. 基板上に配列された複数の第1の選択線と、複数の第2の選択線と、前記第1の選択線と前記第2の選択線の交点に、縦型電界効果トランジスタを複数設け、前記縦型電界効果トランジスタは少なくとも第1の電極、第2の電極、第3の電極を持ち、前記第2の電極、前記第3の電極が、前記第1の選択線、前記第2の選択線にそれぞれ接続されたアレイ基板において、
    前記第1の電極と、前記第2の電極と、前記第1と前記第2の電極を絶縁するための絶縁膜が、前記基板に対して縦方向にならび、
    前記絶縁膜側壁の一部に具備された有機膜の縦方向に電流を流す縦型電界効果トランジスタをマトリックス状に複数個配列配置したことを特徴とする縦型電界効果トランジスタ付きアレイ基板の動作方法。
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TWI497788B (zh) * 2008-09-01 2015-08-21 Univ Osaka 有機場效電晶體及其製造方法

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