JP2004131361A - 軽量セメント製品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で強度的に優れるとともに成形性に優れることは勿論のこと、環境汚染の問題のない軽量セメント製品およびその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率である。
【選択図】 なし
【解決手段】セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量セメント製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からセメントにその他の骨材、補強繊維、充填材等とともに、ガラスバルーン、発泡ポリスチレンビーズ、パーライト等の軽量骨材を配合したセメント系組成物を成形硬化させた軽量セメント製品が上市されている。
しかし、上記従来の軽量骨材の場合、押出成形を行った場合、(a)軽量骨材が破損してしまい、十分の軽量化を図れない、(b)成形機や金型を磨耗させやすい、(c)粒径が500μm以上と大きく弾性変形に富み、押出成形の際軽量骨材が押出圧力で弾性収縮し、その後弾性回復するため、成形品の表面に軽量骨材が突出したり、軽量骨材の周りに内部歪みやクラックが生じたりする、(d)多量に配合すると組成物の流動性が悪くなり、押出成形しにくくなる等のいずれかの問題があった。
【0003】
そこで、特公平4−27196号公報に開示された軽量セメント製品の製造方法において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂で形成された粒径が1〜100μmで発泡倍率が20〜100倍の中空粒子を軽量骨材として使用することが提案されている。
【0004】
すなわち、上記公報の記載によれば、この製造方法の場合、以下のような効果を備えている。
(1)パーライトやガラスバルーン等の硬質微小中空球体などと異なり、中空粒子がその塑性のためにセメント系組成物を調製する際の混練時の剪断力や押出成形時の剪断力で破壊されることを低減でき、添加量に応じた軽量化を確実に行うことができる。
【0005】
(2)中空粒子が破壊され難いために、混練を高速で行なってもセメント系組成物を均一な組成に調製することができる。
(3)中空粒子が破壊され難いために、破壊された部分が強度上の欠陥になることもなく強度補強のために過剰に補強繊維を配合する必要がなくなる。
【0006】
(4)中空粒子として発泡倍率が20倍以上100倍以下のものを用いているので、発泡倍率が大き過ぎて強度が低下するということがなく中空粒子が破壊されることを防止することができるとともに、軽量化の効果を十分に得ることができる。
(5)中空粒子として粒径が1μm以上100μm以下の微小なものを用いているので、中空粒子が熱可塑性樹脂で形成されているものであるにもかかわらず押出成形後の成形圧力の解放によって中空粒子が大きく弾性復元(スプリングバック)するおそれがない。すなわち、セメント製品に内部歪みやクラックなどの欠陥が発生することを防止して十分な強度を得ることができるとともに、製品表面に粒子が突出したりすることもない。
【0007】
(6)中空粒子の粒径が小さく滑り性があるので、混練物として調製されるセメント系組成物の流れ性を良くすることができ、比較的混合水の少ない領域でもセメント系組成物は十分に柔らかく形成することができる。従って押出し成形の際の成形圧力も低くすることができ、この点においても押出し後の成形圧力の解放による中空粒子の弾性復元を小さく抑えることができると共に、また高速での押出成形も可能になる。さらにはこのようにセメント系組成物の流れ性を良くすることができるために、押出成形機の金型内の薄肉異形部や端部でのセメント系組成物の流れをスムーズにすることができ、材料切れや直線性の不良などが発生することを低減することができる。
【0008】
(7)中空粒子の粒径が小さく滑り性があるので、セメント系組成物に補強繊維として比較的長い合成繊維やパルプ類などが配合されていても、セメント系組成物の流れ性を高く保持することができ、長い合成繊維やパルプ類を充分な量で配合して強度や靭性に優れると共により軽量化したセメント製品を複雑な異径成形品として容易に得ることができる。
(8)中空粒子が微小粒径であるために補強繊維の配向性が充分に発揮され、補強繊維による補強の向きを設定することが容易になる。
【0009】
(9)中空粒子の粒径が微小であるので、中空粒子間の空隙が小さくセメント製品内の空隙も小さくなり、中空粒子によって軽量化の効果を充分に発揮させることができる割に強度低下を小さく抑えることができる。
(10)得られるセメント製品は、中空粒子によって独立気泡としての気泡が多量に形成されることになり、この気泡によって凍結融解時の応力発生を充分に緩和することができ、耐凍害性を高めることができる。
【0010】
(11)発泡ポリスチレンのように粒径の大きな中空粒子の場合は既述のように弾性な復元で内部歪みやクラックが発し、この箇所に凍結融解時の応力が集中することになって耐凍害性はかえって悪くなるが、中空粒子を使用するにもかかわらず粒径が微細であるために、このような弾性復元での内部歪みやクラックの発生がなく、耐凍害性の低下の問題は生じない。
(12)中空粒子が吸水性に乏しくセメント系組成物の流動性を確保するのにパーライトなどに比べ少量の水の添加で済むので、養生過程で外部雰囲気との濃度の平衡が崩れず、セメント製品の表面に白華が生じにくい。
【0011】
すなわち、この製造方法によれば、粒子の外殻が強度的に優れたものであるた記(a)〜(d)の問題をすべて解決できる。
しかしながら、上記中空粒子の場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂で形成されているため、得られた軽量セメント製品あるいは派生品を廃棄処理する場合には有毒ガスやダイオキシンが発生しないように注意する必要があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、軽量で強度的に優れるとともに成形性に優れることは勿論のこと、環境汚染の問題のない軽量セメント製品およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項1の製品」と記す)は、セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項2に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項2の製品」と記す)は、セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニ官能以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有するニトリル系モノマーから得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項3に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項3の製品」と記す)は、請求項1または請求項2の製品において、中空粒子が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して0.05重量部以上3重量部未満の割合で配合されていることを特徴としている。
【0016】
本発明の請求項4に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項4の製品」と記す)は、請求項1〜請求項3のいずれかの製品において、補強繊維が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して3重量部以上15重量部未満の割合で配合されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の請求項5に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項5の製品」と記す)は、請求項1〜請求項4のいずれかの製品において、ニトリル系モノマーがアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルであることを特徴としている。
【0018】
本発明の請求項6に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項6の製品」と記す)は、請求項1〜請求項5のいずれかの製品において、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレンおよび酢酸ビニルからなる群から選択されるモノマーであることを特徴としている。
【0019】
本発明の請求項7に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項7の製品」と記す)は、請求項1〜請求項6のいずれかの製品において、ポリマーがニトリル系モノマー90〜99.95重量%、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー0〜10重量%およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%含有する成分から得られるポリマーであることを特徴としている。
【0020】
本発明にかかる軽量セメント製品の製造方法は、セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物を押出成形したのち、養生硬化させる軽量セメント製品の製造方法において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、この外殻内に封入された該ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴としている。
【0021】
本発明において、セメントとしては、特に限定されないが、ポルトランドセメントが一般的に使用される。
【0022】
骨材としては、特に限定されないが、たとえば、ケイ石粉、フライアッシュ、高炉水砕スラグ、石膏などが挙げられる。
【0023】
補強繊維としては、特に限定されないが、たとえば、ガラス繊維などの無機質繊維、ビニロン繊維やポリプロピレン繊維、パルプなどの有機質繊維が挙げられ、これらのうちビニロン繊維やポリプロピレン繊維などの合成繊維で、繊維長が4mm以上であるものが補強効果のうえで好ましい。
【0024】
補強繊維の配合量は、特に限定されないが、請求項3の製品のように、セメント混合物100重量部に対して3〜15重量部に設定するのが好ましい。すなわち、3重量部未満であると補強効果が不十分になり、また15重量部を超えると成形性が低下すると共に補強繊維が特に有機質繊維の場合にはセメント製品が準不燃でなくなる恐れがある。
【0025】
中空粒子の外殻は、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.9重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.1〜1重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成されるが、請求項6の製品のように、外殻を形成するポリマーがニトリル系モノマー90〜99.95重量%、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー0〜10重量%およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%含有する成分から得られるポリマーがより好ましい。
【0026】
本発明に使用するニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物等が例示されるが、請求項5の製品のようにアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを用いることが特に好ましい。
ハロゲン非含有非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらのなかで酢酸ビニルが特に好ましい。
また。中空粒子が、ニ官能以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有するニトリル系モノマーから得られるポリマーによって形成された外殻からなる場合は、耐アルカリ性が向上するので特に好ましい。
【0027】
架橋剤としては、ニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤を用いることが特徴であるが、四官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤を用いることがより好ましい。その理由は、これらの架橋剤を用いることにより架橋効率が向上すると考えられ、加熱時に膨張性を損なうことなく粒子表面のべたつきを抑制し、粒子の二次凝集を防止することができると考えられる。
ニ官能性以上の架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、ジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジアリルアミン、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
【0028】
側鎖の長い架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、数平均分子量が200のポリエチレングリコールジアクリレート、数平均分子量が400のポリエチレングリコールジアクリレート、数平均分子量が600のポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、数平均分子量が200のポリエチレングリコールジメタクリレート、数平均分子量が400のポリエチレングリコールジメタクリレート、数平均分子量が600のポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0029】
揮発性膨張剤は、上記外殻を形成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になることが必須であり、低沸点有機溶剤が好適である。具体的には、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシランなどのテトラアルキルシラン;などが挙げられる。
【0030】
これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、石油エーテル、およびこれらの2種以上の混合物が好ましい。また、所望により、加熱により熱分解してガス状になる化合物を使用してもよい。
【0031】
上記熱膨張性マイクロカプセルの製造方法は、特に限定されず、常法に従えばよいが、例えば特公昭42−26524号公報に記載のようにして、モノマー成分(重合性単量体)および架橋剤を揮発性膨張剤および重合開始剤と混合し、該混合物を適宜の分散安定剤等を含む水性媒体中で懸濁重合させる方法が好適に用いられる。また、必要に応じて補助安定剤を混合物に添加するようにしても構わない。
【0032】
なお、上記懸濁重合において、重合開始剤としては、特に限定されず、この分野で一般に使用されているものを使用することができるが、使用するモノマー成分に可溶の油溶性重合開始剤が好ましく、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物が挙げられる。より具体的には、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノェート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。
【0033】
分散安定剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
なお、分散安定剤は、モノマー成分100重量部に対して、0.1〜20重量部の割合で使用されることが好ましい。
【0034】
補助安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
【0035】
また、分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調整する。重合時の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合は、酸性環境で重合がおこなわれる。水性媒体を酸性にするには、塩酸等必要に応じて酸を加えて、系のpHを3〜4に調整する。水酸化マグネシウムまたはリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性環境の中で重合させる。
【0036】
好ましい組み合わせの一つとして、コロイダルシリカと縮合生成物の組み合わせがある。縮合生成物は、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸の縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸の縮合生成物が好ましい。さらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加すると、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得られやすくなる。コロイダルシリカの使用量は、その粒子径によって調整されるが、モノマー成分100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の割合で使用される。縮合生成物は、モノマー成分100重量部に対して、0.05〜2重量部の割合で使用される。無機塩は、モノマー成分100重量部に対して、0〜100重量部の割合で使用する。
【0037】
他の好ましい組み合わせば、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物の組み合わせが挙げられる。水溶性窒素含有化合物の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アタリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミンが挙げられる。これらのなかでもコロイダルシリカとポリビニルピロリドンが好適に用いられる。他の好ましい組み合わせには、水酸化マグネシウムおよび/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせがある。
【0038】
上記コロイダルシリカとポリビニルピロリドンの組み合わせにおいて、粒子径を調整するには、コロイダルシリカ及びポリビニルピロリドンの添加量で調整することが可能であるから、ポリビニルピロリドンの添加量で調整することが好ましい。
【0039】
水性分散媒体に各成分を添加する順序は、任意であるが、通常は重合器に、水と分散安定剤、必要に応じて補助安定剤を加えて、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調整する。また、必要に応じて亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等の化合物を加える。モノマー成分および揮発性膨張剤は、別々に水性分散媒体に加えて、水性分散媒体中で油性混合物を形成してもよいが、通常は、予め両者を混合してから、水性分散媒体に添加する。重合開始剤は、予め上記油性混合物に添加して使用することができるが、水性分散媒体と油性混合物を重合器内で撹搾混合した後、添加されてもよい。また、油性混合物と水性分散媒体との混合を別の容器で行って、混合撹拝した後、重合器に仕込んでも良い。
【0040】
また、本発明において、中空粒子の径は、1μm以上150μm以下に限定されるが、その理由は、粒径が150μmより大きいと得られるセメント製品の強度に問題がでる恐れがあり、粒径が1μm未満の中空粒子を得ることは困難であると共に粒径が1μm未満ではセメント製品の軽量化の効果が不十分になるためである。
そして、発泡倍率は、20倍以上100倍以下に限定され、30倍〜70倍がより好ましいが、その理由は、発泡倍率が20倍未満であるとセメント製品の軽量化の効果を十分に得ることができず、また軽量化のためには多量の配合が必要になって経済性が悪くなり、発泡倍率が100倍を越えると得られるセメント製品の強度に問題がでる恐れがある。
【0041】
なお、本発明の製造方法において、セメント系組成物は、セメントに骨材や補強繊維、中空粒子その他成形肋剤を配合して水と混合することによって調製されるのであるが、混合は水の存在下で200rpm以上の高速攪拌羽根を有する混合機を用いて均一に行われるようにするのがよい。また混合水の配合量はセメント系組成物の固形分全量に対して35〜60重量%に設定するのがよく、またこのようにして調整されるセメント系組成物は硬度が粘土硬度計で7以下となるようにするのがよい。
また、押出成形は、その成形圧力を10kg/cm3以下、好ましくは8kg/cm3下に設定して行うのがよい。そして、このように押出成形を行なったのち、押出成形品が、養生硬化されてセメント製品を得ることができるが、養生は70℃以上の湿熱養生、及びこののちの最終段階での2〜6気圧の高温高圧でのオートクレープ養生で行うのがよい。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明にかかる軽量セメント製品は、まず、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率である中空粒子を得る。
【0043】
つぎに、セメントと、骨材と、上記中空粒子と、補強繊維とを、中空粒子が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して0.05重量部以上3重量部未満の割合で配合され、補強繊維が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して3重量部以上15重量部未満の割合で配合されている状態となるように、撹拌装置に投入し、水とともに混合し、製品原料となるセメント系組成物を得る。
そして、このセメント系組成物を押出機から連続的に金型に供給し、長尺成形品を連続的に押出成形したのち、長尺成形品を製品長さにカットして養生硬化することによって得られるようになっている。
【0044】
すなわち、この軽量セメント製品の製造方法によれば、中空粒子がニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成されているので、特公平4−27196号公報に開示された軽量セメント製品の製造方法と同様の効果を備えているとともに、中空粒子の外殻を形成するポリマーがハロゲンを含んでいないので、焼却時に有毒ガスやダイオキシンなどが発生したりすることがなく、環境汚染の心配がない。
【0045】
【実施例】
次に本発明をより具体的な実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0046】
(実施例1〜4)
表1及び表2の配合処方によって調整した油性混合物および水性分散媒体をホモジナイザーで攪拌混合した後、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み加圧して(0.2MPa)60℃で20時間反応させた。得られた反応生成物をろ別、水洗、乾燥して表1に示す粒径の熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセル1.0gをギア式オーブン中に入れ、180℃で5分間加熱して発泡させて表1及び表2に示す粒径の中空粒子を得た。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
得られた中空粒子をそれぞれ0.6重量部と、セメント(普通ポルトランドセメント)50重量部、けい石粉41.4重量部、耐アルカリガラス繊維(カット長さ10mm)1.5重量部、ポリプロピレン繊維(カット長さ10mm)0.5重量部、パルプ5重量部、メチルセルロース1重量部、水50重量部とを混練してセメント系組成物を得たのち、このセメント系組成物をそれぞれ押出成形圧6.0kg/cm2で押出し、幅200mm、厚さ12mmの平板を成形した。成形品の外観は良好で直線性も優れていた。また、得られた押出成形品を70℃の飽和蒸気雰囲気中で12時間放置し、湿熱養生したのち、6気圧に保たれたオートクレーブ内で6時間オートクレーブ養生を行い、軽量セメント製品を得ることができた。
【0050】
【発明の効果】
本発明にかかる軽量セメント製品は、以上のように構成されているので、軽量で強度的にも優れるとともに、成形性にも優れている。しかも、外殻を形成するポリマー中にハロゲンが含まれていないので、焼却などを行っても有害ガスやダイオキシンが発生する心配がない。すなわち、環境汚染の問題もない。
本発明にかかる軽量セメント製品の製造方法は、上記本発明の軽量セメント製品を安定して製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量セメント製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からセメントにその他の骨材、補強繊維、充填材等とともに、ガラスバルーン、発泡ポリスチレンビーズ、パーライト等の軽量骨材を配合したセメント系組成物を成形硬化させた軽量セメント製品が上市されている。
しかし、上記従来の軽量骨材の場合、押出成形を行った場合、(a)軽量骨材が破損してしまい、十分の軽量化を図れない、(b)成形機や金型を磨耗させやすい、(c)粒径が500μm以上と大きく弾性変形に富み、押出成形の際軽量骨材が押出圧力で弾性収縮し、その後弾性回復するため、成形品の表面に軽量骨材が突出したり、軽量骨材の周りに内部歪みやクラックが生じたりする、(d)多量に配合すると組成物の流動性が悪くなり、押出成形しにくくなる等のいずれかの問題があった。
【0003】
そこで、特公平4−27196号公報に開示された軽量セメント製品の製造方法において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂で形成された粒径が1〜100μmで発泡倍率が20〜100倍の中空粒子を軽量骨材として使用することが提案されている。
【0004】
すなわち、上記公報の記載によれば、この製造方法の場合、以下のような効果を備えている。
(1)パーライトやガラスバルーン等の硬質微小中空球体などと異なり、中空粒子がその塑性のためにセメント系組成物を調製する際の混練時の剪断力や押出成形時の剪断力で破壊されることを低減でき、添加量に応じた軽量化を確実に行うことができる。
【0005】
(2)中空粒子が破壊され難いために、混練を高速で行なってもセメント系組成物を均一な組成に調製することができる。
(3)中空粒子が破壊され難いために、破壊された部分が強度上の欠陥になることもなく強度補強のために過剰に補強繊維を配合する必要がなくなる。
【0006】
(4)中空粒子として発泡倍率が20倍以上100倍以下のものを用いているので、発泡倍率が大き過ぎて強度が低下するということがなく中空粒子が破壊されることを防止することができるとともに、軽量化の効果を十分に得ることができる。
(5)中空粒子として粒径が1μm以上100μm以下の微小なものを用いているので、中空粒子が熱可塑性樹脂で形成されているものであるにもかかわらず押出成形後の成形圧力の解放によって中空粒子が大きく弾性復元(スプリングバック)するおそれがない。すなわち、セメント製品に内部歪みやクラックなどの欠陥が発生することを防止して十分な強度を得ることができるとともに、製品表面に粒子が突出したりすることもない。
【0007】
(6)中空粒子の粒径が小さく滑り性があるので、混練物として調製されるセメント系組成物の流れ性を良くすることができ、比較的混合水の少ない領域でもセメント系組成物は十分に柔らかく形成することができる。従って押出し成形の際の成形圧力も低くすることができ、この点においても押出し後の成形圧力の解放による中空粒子の弾性復元を小さく抑えることができると共に、また高速での押出成形も可能になる。さらにはこのようにセメント系組成物の流れ性を良くすることができるために、押出成形機の金型内の薄肉異形部や端部でのセメント系組成物の流れをスムーズにすることができ、材料切れや直線性の不良などが発生することを低減することができる。
【0008】
(7)中空粒子の粒径が小さく滑り性があるので、セメント系組成物に補強繊維として比較的長い合成繊維やパルプ類などが配合されていても、セメント系組成物の流れ性を高く保持することができ、長い合成繊維やパルプ類を充分な量で配合して強度や靭性に優れると共により軽量化したセメント製品を複雑な異径成形品として容易に得ることができる。
(8)中空粒子が微小粒径であるために補強繊維の配向性が充分に発揮され、補強繊維による補強の向きを設定することが容易になる。
【0009】
(9)中空粒子の粒径が微小であるので、中空粒子間の空隙が小さくセメント製品内の空隙も小さくなり、中空粒子によって軽量化の効果を充分に発揮させることができる割に強度低下を小さく抑えることができる。
(10)得られるセメント製品は、中空粒子によって独立気泡としての気泡が多量に形成されることになり、この気泡によって凍結融解時の応力発生を充分に緩和することができ、耐凍害性を高めることができる。
【0010】
(11)発泡ポリスチレンのように粒径の大きな中空粒子の場合は既述のように弾性な復元で内部歪みやクラックが発し、この箇所に凍結融解時の応力が集中することになって耐凍害性はかえって悪くなるが、中空粒子を使用するにもかかわらず粒径が微細であるために、このような弾性復元での内部歪みやクラックの発生がなく、耐凍害性の低下の問題は生じない。
(12)中空粒子が吸水性に乏しくセメント系組成物の流動性を確保するのにパーライトなどに比べ少量の水の添加で済むので、養生過程で外部雰囲気との濃度の平衡が崩れず、セメント製品の表面に白華が生じにくい。
【0011】
すなわち、この製造方法によれば、粒子の外殻が強度的に優れたものであるた記(a)〜(d)の問題をすべて解決できる。
しかしながら、上記中空粒子の場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂で形成されているため、得られた軽量セメント製品あるいは派生品を廃棄処理する場合には有毒ガスやダイオキシンが発生しないように注意する必要があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、軽量で強度的に優れるとともに成形性に優れることは勿論のこと、環境汚染の問題のない軽量セメント製品およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項1の製品」と記す)は、セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項2に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項2の製品」と記す)は、セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニ官能以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有するニトリル系モノマーから得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項3に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項3の製品」と記す)は、請求項1または請求項2の製品において、中空粒子が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して0.05重量部以上3重量部未満の割合で配合されていることを特徴としている。
【0016】
本発明の請求項4に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項4の製品」と記す)は、請求項1〜請求項3のいずれかの製品において、補強繊維が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して3重量部以上15重量部未満の割合で配合されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の請求項5に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項5の製品」と記す)は、請求項1〜請求項4のいずれかの製品において、ニトリル系モノマーがアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルであることを特徴としている。
【0018】
本発明の請求項6に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項6の製品」と記す)は、請求項1〜請求項5のいずれかの製品において、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレンおよび酢酸ビニルからなる群から選択されるモノマーであることを特徴としている。
【0019】
本発明の請求項7に記載の軽量セメント製品(以下、「請求項7の製品」と記す)は、請求項1〜請求項6のいずれかの製品において、ポリマーがニトリル系モノマー90〜99.95重量%、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー0〜10重量%およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%含有する成分から得られるポリマーであることを特徴としている。
【0020】
本発明にかかる軽量セメント製品の製造方法は、セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物を押出成形したのち、養生硬化させる軽量セメント製品の製造方法において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、この外殻内に封入された該ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴としている。
【0021】
本発明において、セメントとしては、特に限定されないが、ポルトランドセメントが一般的に使用される。
【0022】
骨材としては、特に限定されないが、たとえば、ケイ石粉、フライアッシュ、高炉水砕スラグ、石膏などが挙げられる。
【0023】
補強繊維としては、特に限定されないが、たとえば、ガラス繊維などの無機質繊維、ビニロン繊維やポリプロピレン繊維、パルプなどの有機質繊維が挙げられ、これらのうちビニロン繊維やポリプロピレン繊維などの合成繊維で、繊維長が4mm以上であるものが補強効果のうえで好ましい。
【0024】
補強繊維の配合量は、特に限定されないが、請求項3の製品のように、セメント混合物100重量部に対して3〜15重量部に設定するのが好ましい。すなわち、3重量部未満であると補強効果が不十分になり、また15重量部を超えると成形性が低下すると共に補強繊維が特に有機質繊維の場合にはセメント製品が準不燃でなくなる恐れがある。
【0025】
中空粒子の外殻は、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.9重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.1〜1重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成されるが、請求項6の製品のように、外殻を形成するポリマーがニトリル系モノマー90〜99.95重量%、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー0〜10重量%およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%含有する成分から得られるポリマーがより好ましい。
【0026】
本発明に使用するニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物等が例示されるが、請求項5の製品のようにアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを用いることが特に好ましい。
ハロゲン非含有非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらのなかで酢酸ビニルが特に好ましい。
また。中空粒子が、ニ官能以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有するニトリル系モノマーから得られるポリマーによって形成された外殻からなる場合は、耐アルカリ性が向上するので特に好ましい。
【0027】
架橋剤としては、ニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤を用いることが特徴であるが、四官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤を用いることがより好ましい。その理由は、これらの架橋剤を用いることにより架橋効率が向上すると考えられ、加熱時に膨張性を損なうことなく粒子表面のべたつきを抑制し、粒子の二次凝集を防止することができると考えられる。
ニ官能性以上の架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、ジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジアリルアミン、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
【0028】
側鎖の長い架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、数平均分子量が200のポリエチレングリコールジアクリレート、数平均分子量が400のポリエチレングリコールジアクリレート、数平均分子量が600のポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、数平均分子量が200のポリエチレングリコールジメタクリレート、数平均分子量が400のポリエチレングリコールジメタクリレート、数平均分子量が600のポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0029】
揮発性膨張剤は、上記外殻を形成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になることが必須であり、低沸点有機溶剤が好適である。具体的には、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシランなどのテトラアルキルシラン;などが挙げられる。
【0030】
これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、石油エーテル、およびこれらの2種以上の混合物が好ましい。また、所望により、加熱により熱分解してガス状になる化合物を使用してもよい。
【0031】
上記熱膨張性マイクロカプセルの製造方法は、特に限定されず、常法に従えばよいが、例えば特公昭42−26524号公報に記載のようにして、モノマー成分(重合性単量体)および架橋剤を揮発性膨張剤および重合開始剤と混合し、該混合物を適宜の分散安定剤等を含む水性媒体中で懸濁重合させる方法が好適に用いられる。また、必要に応じて補助安定剤を混合物に添加するようにしても構わない。
【0032】
なお、上記懸濁重合において、重合開始剤としては、特に限定されず、この分野で一般に使用されているものを使用することができるが、使用するモノマー成分に可溶の油溶性重合開始剤が好ましく、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物が挙げられる。より具体的には、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノェート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。
【0033】
分散安定剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
なお、分散安定剤は、モノマー成分100重量部に対して、0.1〜20重量部の割合で使用されることが好ましい。
【0034】
補助安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
【0035】
また、分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調整する。重合時の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合は、酸性環境で重合がおこなわれる。水性媒体を酸性にするには、塩酸等必要に応じて酸を加えて、系のpHを3〜4に調整する。水酸化マグネシウムまたはリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性環境の中で重合させる。
【0036】
好ましい組み合わせの一つとして、コロイダルシリカと縮合生成物の組み合わせがある。縮合生成物は、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸の縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸の縮合生成物が好ましい。さらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加すると、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得られやすくなる。コロイダルシリカの使用量は、その粒子径によって調整されるが、モノマー成分100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の割合で使用される。縮合生成物は、モノマー成分100重量部に対して、0.05〜2重量部の割合で使用される。無機塩は、モノマー成分100重量部に対して、0〜100重量部の割合で使用する。
【0037】
他の好ましい組み合わせば、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物の組み合わせが挙げられる。水溶性窒素含有化合物の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アタリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミンが挙げられる。これらのなかでもコロイダルシリカとポリビニルピロリドンが好適に用いられる。他の好ましい組み合わせには、水酸化マグネシウムおよび/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせがある。
【0038】
上記コロイダルシリカとポリビニルピロリドンの組み合わせにおいて、粒子径を調整するには、コロイダルシリカ及びポリビニルピロリドンの添加量で調整することが可能であるから、ポリビニルピロリドンの添加量で調整することが好ましい。
【0039】
水性分散媒体に各成分を添加する順序は、任意であるが、通常は重合器に、水と分散安定剤、必要に応じて補助安定剤を加えて、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調整する。また、必要に応じて亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等の化合物を加える。モノマー成分および揮発性膨張剤は、別々に水性分散媒体に加えて、水性分散媒体中で油性混合物を形成してもよいが、通常は、予め両者を混合してから、水性分散媒体に添加する。重合開始剤は、予め上記油性混合物に添加して使用することができるが、水性分散媒体と油性混合物を重合器内で撹搾混合した後、添加されてもよい。また、油性混合物と水性分散媒体との混合を別の容器で行って、混合撹拝した後、重合器に仕込んでも良い。
【0040】
また、本発明において、中空粒子の径は、1μm以上150μm以下に限定されるが、その理由は、粒径が150μmより大きいと得られるセメント製品の強度に問題がでる恐れがあり、粒径が1μm未満の中空粒子を得ることは困難であると共に粒径が1μm未満ではセメント製品の軽量化の効果が不十分になるためである。
そして、発泡倍率は、20倍以上100倍以下に限定され、30倍〜70倍がより好ましいが、その理由は、発泡倍率が20倍未満であるとセメント製品の軽量化の効果を十分に得ることができず、また軽量化のためには多量の配合が必要になって経済性が悪くなり、発泡倍率が100倍を越えると得られるセメント製品の強度に問題がでる恐れがある。
【0041】
なお、本発明の製造方法において、セメント系組成物は、セメントに骨材や補強繊維、中空粒子その他成形肋剤を配合して水と混合することによって調製されるのであるが、混合は水の存在下で200rpm以上の高速攪拌羽根を有する混合機を用いて均一に行われるようにするのがよい。また混合水の配合量はセメント系組成物の固形分全量に対して35〜60重量%に設定するのがよく、またこのようにして調整されるセメント系組成物は硬度が粘土硬度計で7以下となるようにするのがよい。
また、押出成形は、その成形圧力を10kg/cm3以下、好ましくは8kg/cm3下に設定して行うのがよい。そして、このように押出成形を行なったのち、押出成形品が、養生硬化されてセメント製品を得ることができるが、養生は70℃以上の湿熱養生、及びこののちの最終段階での2〜6気圧の高温高圧でのオートクレープ養生で行うのがよい。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明にかかる軽量セメント製品は、まず、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率である中空粒子を得る。
【0043】
つぎに、セメントと、骨材と、上記中空粒子と、補強繊維とを、中空粒子が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して0.05重量部以上3重量部未満の割合で配合され、補強繊維が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して3重量部以上15重量部未満の割合で配合されている状態となるように、撹拌装置に投入し、水とともに混合し、製品原料となるセメント系組成物を得る。
そして、このセメント系組成物を押出機から連続的に金型に供給し、長尺成形品を連続的に押出成形したのち、長尺成形品を製品長さにカットして養生硬化することによって得られるようになっている。
【0044】
すなわち、この軽量セメント製品の製造方法によれば、中空粒子がニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成されているので、特公平4−27196号公報に開示された軽量セメント製品の製造方法と同様の効果を備えているとともに、中空粒子の外殻を形成するポリマーがハロゲンを含んでいないので、焼却時に有毒ガスやダイオキシンなどが発生したりすることがなく、環境汚染の心配がない。
【0045】
【実施例】
次に本発明をより具体的な実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0046】
(実施例1〜4)
表1及び表2の配合処方によって調整した油性混合物および水性分散媒体をホモジナイザーで攪拌混合した後、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み加圧して(0.2MPa)60℃で20時間反応させた。得られた反応生成物をろ別、水洗、乾燥して表1に示す粒径の熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセル1.0gをギア式オーブン中に入れ、180℃で5分間加熱して発泡させて表1及び表2に示す粒径の中空粒子を得た。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
得られた中空粒子をそれぞれ0.6重量部と、セメント(普通ポルトランドセメント)50重量部、けい石粉41.4重量部、耐アルカリガラス繊維(カット長さ10mm)1.5重量部、ポリプロピレン繊維(カット長さ10mm)0.5重量部、パルプ5重量部、メチルセルロース1重量部、水50重量部とを混練してセメント系組成物を得たのち、このセメント系組成物をそれぞれ押出成形圧6.0kg/cm2で押出し、幅200mm、厚さ12mmの平板を成形した。成形品の外観は良好で直線性も優れていた。また、得られた押出成形品を70℃の飽和蒸気雰囲気中で12時間放置し、湿熱養生したのち、6気圧に保たれたオートクレーブ内で6時間オートクレーブ養生を行い、軽量セメント製品を得ることができた。
【0050】
【発明の効果】
本発明にかかる軽量セメント製品は、以上のように構成されているので、軽量で強度的にも優れるとともに、成形性にも優れている。しかも、外殻を形成するポリマー中にハロゲンが含まれていないので、焼却などを行っても有害ガスやダイオキシンが発生する心配がない。すなわち、環境汚染の問題もない。
本発明にかかる軽量セメント製品の製造方法は、上記本発明の軽量セメント製品を安定して製造することができる。
Claims (8)
- セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴とする軽量セメント製品。
- セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物が成形されてなる軽量セメント製品において、中空粒子が、ニ官能以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有するニトリル系モノマーから得られるポリマーによって形成された外殻と、前記ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる前記外殻内に封入された揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴とする軽量セメント製品。
- 中空粒子が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して0.05重量部以上3重量部未満の割合で配合されている請求項1又は2に記載の軽量セメント製品。
- 補強繊維が、セメントと、骨材と、補強繊維との合計量100重量部に対して3重量部以上15重量部未満の割合で配合されている請求項1〜3に記載の軽量セメント製品。
- ニトリル系モノマーがアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルである請求項1〜4のいずれかに記載の軽量セメント製品。
- ハロゲン非含有非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレンおよび酢酸ビニルからなる群から選択されるモノマーである請求項1〜5のいずれかに記載の軽量セメント製品。
- ポリマーがニトリル系モノマー89.5〜99.95重量%、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー0〜10重量%およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜0.5重量%含有する成分から得られるポリマーである請求項1〜6のいずれかに記載の軽量セメント製品。
- セメントと、骨材と、補強繊維と、中空粒子とを含むセメント系組成物を押出成形したのち、養生硬化させる軽量セメント製品の製造方法において、中空粒子が、ニトリル系モノマー50重量%以上、ハロゲン非含有非ニトリル系モノマー49.95重量%以下、およびニ官能性以上の架橋剤および/または側鎖の長い架橋剤0.05〜2重量%を含有する成分から得られるポリマーによって形成された外殻と、この外殻内に封入された該ポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルを加熱発泡させて形成され、1μm以上150μm以下の粒径で、20倍以上100倍以下の発泡倍率であることを特徴とする軽量セメント製品の製造方法。
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