JP2004130835A - ラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上と併せて、すぐれた耐久性をもたらすことのできるラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】一層のベルト層5からなるベルトと、このベルトの外周側に配設した一層のベルト補強層6とを具えるものであり、ベルト層5のコードを、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるスチールコード5aとし、ベルト補強層6のコードを、アラミド繊維の双撚り構造になり、ほぼタイヤ周方向に延在する、繊度が2000〜20000dtexの範囲のアラミドコード6aとし、ベルト層5とベルト補強層6との間隔を0.2〜1.2mmの範囲としてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】一層のベルト層5からなるベルトと、このベルトの外周側に配設した一層のベルト補強層6とを具えるものであり、ベルト層5のコードを、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるスチールコード5aとし、ベルト補強層6のコードを、アラミド繊維の双撚り構造になり、ほぼタイヤ周方向に延在する、繊度が2000〜20000dtexの範囲のアラミドコード6aとし、ベルト層5とベルト補強層6との間隔を0.2〜1.2mmの範囲としてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はラジアルタイヤ、なかでも乗用車用ラジアルタイヤに関し、とくには、タイヤ重量の有効なる低減を実現してなお、すぐれた操縦安定性および耐久性を確保する技術を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車用ラジアルタイヤでは、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側のベルトを、二層のスチールコードベルト層にて構成するとともに、それぞれのベルト層のコードを、層間で相互に交差させるとともに、タイヤ周方向に対して逆方向に傾けて延在させる構造が広く一般に採用されており、かかるタイヤにあって、とくに、高速耐久性の向上を目的としたものでは、ベルトの外周側で、たとえば、ナイロン等のコードを、ほぼタイヤ周方向に延在させて螺旋状に巻回してなるベルト補強層を具えることもある。
【0003】
また、他の構造のタイヤとしては、重量の低減を目的として、ベルトを構成する二層のベルト層の少なくとも一層をアラミドコードにて形成したものおよび、特開平7−276912号公報にあるように、タイヤ周方向に対していずれかの方向に傾いて延びるスチールコードよりなる一層のベルト層と、それの外周側で、コードをほぼタイヤ周方向に延在させて螺旋状に巻回してなる一層のベルト補強層とでトレッド部を補強したもの等がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−276912号公報
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
しかるに、これらの従来技術にあって、二層のスチールコードベルト層でベルトを構成する場合には、タイヤ重量の増加が否めず、また、このような構成のベルトに、ベルト補強層をさらに付加する場合には、重量増加が一層深刻になるという問題があった。
【0006】
そしてまた、二層のベルト層の少なくとも一層をアラミドコードで形成したタイヤでは、ベルト剛性の低下に起因する、操縦安定性および耐摩耗性の低下が余儀なくされることになる。
この一方で、スチールコードよりなる一層のベルト層と、ベルト補強層とになるトレッド部補強構造では、タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上を同時に実現できる利点はあるものの、耐ショックバースト性などの確保が難しいという問題点があった。
【0007】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上と併せて、優れた耐久性をもたらすことのできるラジアルタイヤを提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るラジアルタイヤは、一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側に配設した一層のベルト層からなるベルトと、このベルトの外周側に配設した一層のベルト補強層とを具えるものであり、ベルト層のコードを、タイヤ周方向に対して、いずれかの側に、0°を越えて90°未満の範囲、より好ましくは10°〜50°の範囲の角度で延びるスチールコードとするとともに、ベルト補強層のコードを、アラミド繊維の双撚り構造になって、ほぼタイヤ周方向に延在する、繊度が2000〜20000dtex、より好ましくは4000〜12000dtexの範囲のアラミドコードとし、そして、ベルト層とベルト補強層との層間間隔、いいかえれば、それの両層間への介装ゴム層の厚みを0.2〜1.2mm、これもより好適には、0.3〜0.9mmの範囲としたものである。
【0009】
このタイヤは、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるスチールコードよりなる一層のベルト層と、ほぼタイヤ周方向に延びるアラミドコードよりなる一層のベルト補強層とになるトレッド部の補強構造を基本とし、アラミドコードの太さおよび、ベルト層とベルト補強層との間の間隔を最適化することで、同種の従来タイヤの利点はそのままに、耐久性を大きく向上さたものである。
【0010】
これがため、ここでは、アラミドコードの繊度を2000dtex以上とすることにより、ベルト補強層に必要な強力を、一層のそれにてもたらし、この一方で、その繊度を20000dtex以下とすることで、ベルト補強層の不要な厚み増加を防止する。いいかえれば、繊度が2000dtex未満では、所要の強力の確保のための二層以上のベルト補強層が必要になって、タイヤ重量の増加が余儀なくされ、のことは、繊度を20000dtexを越えるものとして、ベルト補強層の厚みが厚くなりすぎた場合にもまた同様である。
【0011】
またここでは、ベルト層とベルト補強層との層間間隔を0.2mm以上とすることで、それらの両層間の歪応力を有効に緩和し、またその間隔を1.2mm以下とすることで、両層間の間隔の余剰の増加を防止する。すなわち、間隔が0.2mm未満では、層間の歪応力が大きくなりすぎて層間セパレーションが発生し易く、1.2mmを越えると、間隔を埋めるゴム層によってタイヤ重量が大きくなる他、そのゴム層による発熱層の増加が余儀なくされる。
【0012】
従ってこのタイヤでは、アラミドコードの繊度を2000〜20000dtexとすることと、ベルト層とベルト補強層との層間間隔を0.2〜1.2mmとすることとの相乗作用の下で、トレッド部の、とくには、上記両層間でのセパレーション等に対する耐久性を大きく向上させることができる。
【0013】
かかるタイヤにおいてより好ましくは、ベルト補強層の、コードの延在方向と直交する方向の5cm幅当りの総強力(BS)を、
タイヤ充填内圧(kgf/cm2)×安全率×タイヤ半径(cm)×偏平係数×5(cm)
で表わされる基準強力の0.9〜1.8倍、好適には1.0〜1.6倍の範囲の値とする。
なおここで、安全率は10であり、
偏平比の呼びが60以下のタイヤで1.0
偏平比の呼びが65〜75のタイヤで0.9
偏平比の呼びが80以上のタイヤで0.8
である。
【0014】
この構成によれば、タイヤ内圧に対する安全性を十分に確保しつつ、タイヤ重量の余剰の増加を防止することができる。上記数値が0.9倍未満では、タイヤ内圧に対する安全率が低くなりすぎて、いわゆるショックバーストを生じるおそれがあり、それが1.8倍を越えると、アラミドコードの打込み密度等が大きくなりすぎることに起因する、タイヤ重量の増加が不可避となる。
【0015】
そしてまた好ましくは、ベルト補強層のコードの、次式で表される撚り係数(T)を、
T=TS×(TD/2/ρ×0.139×0.9)1/2/1000
TS:撚り回数(回/10cm)
TD:コードの総dtex
ρ:コードの密度(アラミドコードでは1.44)
0.4〜0.6、好適には0.45〜0.55の範囲とする。
【0016】
これによれば、タイヤの製造時の所要の伸長量を確保しつつ、所要のコード強力を確保することができる。すなわち、撚り係数が0.4未満では、タイヤの製造時のコード伸長量が不足することになって、ベルト層とベルト補強層との間に、所要の厚みのゴム層を確保することが難しくなり、それが0.6を越えると、コードフィラメントの屈曲量が増えることによってコード強力の低下が大きくなるので、所要のコード強度の確保のためにより多数のコードが必要となって、タイヤの重量増加が不可避となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明に係るタイヤの実施の形態を、一部を破断除去して示す断面斜視図である。
図に示す乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部1と、トレッド部1の両側部に連続して半径方向内方へ延びるそれぞれのサイドウォール部2と、各サイドウォール部の内周側に連続するビード部3とを具える。
【0018】
ここでこれらの各部1〜3は、一方のビード部3から他方のビード部3にわたってトロイダルに延びる、一枚以上のカーカスプライ4からなるラジアルカーカスにより補強し、また、トレッド部1は、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側に配設した一層のベルト層5からなるベルトおよび、このベルトのさらに外周側に隣接させて配設した一層のベルト補強層6のそれぞれにより補強する。
【0019】
ここでは、カーカスプライ4を、タイヤ周方向に対してほぼ直交する方向、たとえば70〜90°の角度で延びる、有機繊維コードとすることができるプライコード4aにより形成し、ベルト層5を、タイヤ周方向に対して、いずれかの側に、0°を越えて90°未満の角度範囲、好ましくは10〜50°の角度で延びるスチールコード5aにより形成する。
【0020】
またここでは、ベルト補強層6を、ほぼタイヤ周方向に延在させたアラミドコード6aの、たとえば螺旋巻回構体により形成するとともに、そのアラミドコード6aを、アラミド繊維の双撚り構造になる、繊度が2000〜20000dtex、好ましくは4000〜12000dtexのものとする。
【0021】
そしてさらに、ベルト、ひいては、ベルト層5とベルト補強層6との層間間隔、いいかえれば、それらの両層間に介在するゴム層の厚みを0.2〜1.2mm、好ましくは0.3〜0.9mm範囲とする。
【0022】
このように構成してなるタイヤによれば、先に述べたように、タイヤ重量を低減しつつ、すぐれた操縦安定性および耐摩耗性を実現してなお、トレッド部の耐久性を大きく向上させることができる。
なおここでは、ベルト補強層6のアラミドコード6aを、アラミド繊維の双撚り構造とすることで、繊度あたりの強力を高くすることができる。
【0023】
ところで、このようなタイヤにおいてより好ましくは、ベルト補強層6の、アラミドコード6aの延在方向と直交する方向の5cm幅当りの総強力(SB)を、
タイヤ充填内圧(kgf/cm2)×安全率×タイヤ半径(cm)×偏平係数×5(cm)
ここでは、安全率を10とし、
偏平比の呼びが60以下のタイヤで1.0
偏平比の呼びが65〜75のタイヤで0.9
偏平比の呼びが80以上のタイヤで0.8
とする
で表される基準強力の0.9〜1.8倍、好適には1.0〜1.6倍の範囲の値とし、これにより、タイヤ内圧に対する安全性を一層高めてなお、タイヤ重量の増加を有効に抑制する。
【0024】
そしてまた好ましくは、ベルト補強層6のアラミドコード6Aの撚り係数(T)、すなわち、
T=TS×(TD/2/ρ×0.139×0.9)1/2/1000
TS:撚り回数(回/10cm)
TD:コードの総dtex
ρ:コードの密度(アラミドコードでは1.44)
で表される撚り係数(T)を、0.4〜0.6、好適には0.45〜0.55の範囲とする。
【0025】
この構成によれば、タイヤの製造に際する所要のコード伸びを十分に許容して、ベルト層5とベルト補強層6との間の、所期した通りの層間間隔を確実に確保できる他、コードの撚り過ぎに起因するコード強力の低下を有効に抑制して、タイヤ重量の増加をより効果的に防止することができる。
【0026】
【実施例】
サイズが205/65 R15の、表1に示す諸元を有する実施例タイヤ、比較例タイヤおよび従来タイヤのそれぞれにつき、操縦安定性、タイヤ重量および耐久性を試験したところ、表1の下部に示す結果を得た。
なお、タイヤはチューブレス構造であり、全てのタイヤに共通の構成は以下の通とした。
カーカスプライ:PET1670dtex/2、打込み50本/5cm 1枚ベルト層:64°スチールベルト、φ0.25×5構造コード、打込み40本/5cm
ところで、ここでのベルト補強層についての基準強力は2700kgf/5cmである。
タイヤ充填内圧:2(kgf/cm2)
安全率:10
タイヤ半径:30(cm)
偏平係数:0.9
【0027】
【表1】
【0028】
ここでの操縦安定性は、実車のフィーリング試験を実施し、従来タイヤをコントロールとしてポイントを示した。ポイントは+が良く、−が悪く、3ポイント以上の差は明確な差がある。
また、タイヤの耐久性は、JATMA規格の、内圧2.0kg/cm2時の負荷能力の150%を負荷し、直径3mのドラム上で時速60km/hで走行させ、従来タイヤの100%以上の距離を故障なく走破したものを〇、100%未満の距離で故障したものについては×とした。
表1によれば、実施例タイヤはいずれも、タイヤの軽量化を実現してなお、すぐれた操縦安定性および耐久性を発揮できることが解る。
【0029】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば、ともに一層ずつのベルト層およびベルト補強層において、とくにベルト補強層を形成するアラミドコードの太さおよび上記両層の層間間隔を特定することにより、タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上の実現と併せて、耐久性を大きく向上させることができる。
そしてこれらのことは、ベルト補強層の強力および/またはベルト補強層のアラミドコードの撚り係数を特定することで一層顕著になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す、部分を破断除去した断面斜視図である。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカスプライ
4a プライコード
5 ベルト層
5a スチールコード
6 ベルト補強層
6a アラミドコード
【発明の属する技術分野】
この発明はラジアルタイヤ、なかでも乗用車用ラジアルタイヤに関し、とくには、タイヤ重量の有効なる低減を実現してなお、すぐれた操縦安定性および耐久性を確保する技術を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車用ラジアルタイヤでは、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側のベルトを、二層のスチールコードベルト層にて構成するとともに、それぞれのベルト層のコードを、層間で相互に交差させるとともに、タイヤ周方向に対して逆方向に傾けて延在させる構造が広く一般に採用されており、かかるタイヤにあって、とくに、高速耐久性の向上を目的としたものでは、ベルトの外周側で、たとえば、ナイロン等のコードを、ほぼタイヤ周方向に延在させて螺旋状に巻回してなるベルト補強層を具えることもある。
【0003】
また、他の構造のタイヤとしては、重量の低減を目的として、ベルトを構成する二層のベルト層の少なくとも一層をアラミドコードにて形成したものおよび、特開平7−276912号公報にあるように、タイヤ周方向に対していずれかの方向に傾いて延びるスチールコードよりなる一層のベルト層と、それの外周側で、コードをほぼタイヤ周方向に延在させて螺旋状に巻回してなる一層のベルト補強層とでトレッド部を補強したもの等がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−276912号公報
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
しかるに、これらの従来技術にあって、二層のスチールコードベルト層でベルトを構成する場合には、タイヤ重量の増加が否めず、また、このような構成のベルトに、ベルト補強層をさらに付加する場合には、重量増加が一層深刻になるという問題があった。
【0006】
そしてまた、二層のベルト層の少なくとも一層をアラミドコードで形成したタイヤでは、ベルト剛性の低下に起因する、操縦安定性および耐摩耗性の低下が余儀なくされることになる。
この一方で、スチールコードよりなる一層のベルト層と、ベルト補強層とになるトレッド部補強構造では、タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上を同時に実現できる利点はあるものの、耐ショックバースト性などの確保が難しいという問題点があった。
【0007】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上と併せて、優れた耐久性をもたらすことのできるラジアルタイヤを提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るラジアルタイヤは、一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側に配設した一層のベルト層からなるベルトと、このベルトの外周側に配設した一層のベルト補強層とを具えるものであり、ベルト層のコードを、タイヤ周方向に対して、いずれかの側に、0°を越えて90°未満の範囲、より好ましくは10°〜50°の範囲の角度で延びるスチールコードとするとともに、ベルト補強層のコードを、アラミド繊維の双撚り構造になって、ほぼタイヤ周方向に延在する、繊度が2000〜20000dtex、より好ましくは4000〜12000dtexの範囲のアラミドコードとし、そして、ベルト層とベルト補強層との層間間隔、いいかえれば、それの両層間への介装ゴム層の厚みを0.2〜1.2mm、これもより好適には、0.3〜0.9mmの範囲としたものである。
【0009】
このタイヤは、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるスチールコードよりなる一層のベルト層と、ほぼタイヤ周方向に延びるアラミドコードよりなる一層のベルト補強層とになるトレッド部の補強構造を基本とし、アラミドコードの太さおよび、ベルト層とベルト補強層との間の間隔を最適化することで、同種の従来タイヤの利点はそのままに、耐久性を大きく向上さたものである。
【0010】
これがため、ここでは、アラミドコードの繊度を2000dtex以上とすることにより、ベルト補強層に必要な強力を、一層のそれにてもたらし、この一方で、その繊度を20000dtex以下とすることで、ベルト補強層の不要な厚み増加を防止する。いいかえれば、繊度が2000dtex未満では、所要の強力の確保のための二層以上のベルト補強層が必要になって、タイヤ重量の増加が余儀なくされ、のことは、繊度を20000dtexを越えるものとして、ベルト補強層の厚みが厚くなりすぎた場合にもまた同様である。
【0011】
またここでは、ベルト層とベルト補強層との層間間隔を0.2mm以上とすることで、それらの両層間の歪応力を有効に緩和し、またその間隔を1.2mm以下とすることで、両層間の間隔の余剰の増加を防止する。すなわち、間隔が0.2mm未満では、層間の歪応力が大きくなりすぎて層間セパレーションが発生し易く、1.2mmを越えると、間隔を埋めるゴム層によってタイヤ重量が大きくなる他、そのゴム層による発熱層の増加が余儀なくされる。
【0012】
従ってこのタイヤでは、アラミドコードの繊度を2000〜20000dtexとすることと、ベルト層とベルト補強層との層間間隔を0.2〜1.2mmとすることとの相乗作用の下で、トレッド部の、とくには、上記両層間でのセパレーション等に対する耐久性を大きく向上させることができる。
【0013】
かかるタイヤにおいてより好ましくは、ベルト補強層の、コードの延在方向と直交する方向の5cm幅当りの総強力(BS)を、
タイヤ充填内圧(kgf/cm2)×安全率×タイヤ半径(cm)×偏平係数×5(cm)
で表わされる基準強力の0.9〜1.8倍、好適には1.0〜1.6倍の範囲の値とする。
なおここで、安全率は10であり、
偏平比の呼びが60以下のタイヤで1.0
偏平比の呼びが65〜75のタイヤで0.9
偏平比の呼びが80以上のタイヤで0.8
である。
【0014】
この構成によれば、タイヤ内圧に対する安全性を十分に確保しつつ、タイヤ重量の余剰の増加を防止することができる。上記数値が0.9倍未満では、タイヤ内圧に対する安全率が低くなりすぎて、いわゆるショックバーストを生じるおそれがあり、それが1.8倍を越えると、アラミドコードの打込み密度等が大きくなりすぎることに起因する、タイヤ重量の増加が不可避となる。
【0015】
そしてまた好ましくは、ベルト補強層のコードの、次式で表される撚り係数(T)を、
T=TS×(TD/2/ρ×0.139×0.9)1/2/1000
TS:撚り回数(回/10cm)
TD:コードの総dtex
ρ:コードの密度(アラミドコードでは1.44)
0.4〜0.6、好適には0.45〜0.55の範囲とする。
【0016】
これによれば、タイヤの製造時の所要の伸長量を確保しつつ、所要のコード強力を確保することができる。すなわち、撚り係数が0.4未満では、タイヤの製造時のコード伸長量が不足することになって、ベルト層とベルト補強層との間に、所要の厚みのゴム層を確保することが難しくなり、それが0.6を越えると、コードフィラメントの屈曲量が増えることによってコード強力の低下が大きくなるので、所要のコード強度の確保のためにより多数のコードが必要となって、タイヤの重量増加が不可避となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明に係るタイヤの実施の形態を、一部を破断除去して示す断面斜視図である。
図に示す乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部1と、トレッド部1の両側部に連続して半径方向内方へ延びるそれぞれのサイドウォール部2と、各サイドウォール部の内周側に連続するビード部3とを具える。
【0018】
ここでこれらの各部1〜3は、一方のビード部3から他方のビード部3にわたってトロイダルに延びる、一枚以上のカーカスプライ4からなるラジアルカーカスにより補強し、また、トレッド部1は、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側に配設した一層のベルト層5からなるベルトおよび、このベルトのさらに外周側に隣接させて配設した一層のベルト補強層6のそれぞれにより補強する。
【0019】
ここでは、カーカスプライ4を、タイヤ周方向に対してほぼ直交する方向、たとえば70〜90°の角度で延びる、有機繊維コードとすることができるプライコード4aにより形成し、ベルト層5を、タイヤ周方向に対して、いずれかの側に、0°を越えて90°未満の角度範囲、好ましくは10〜50°の角度で延びるスチールコード5aにより形成する。
【0020】
またここでは、ベルト補強層6を、ほぼタイヤ周方向に延在させたアラミドコード6aの、たとえば螺旋巻回構体により形成するとともに、そのアラミドコード6aを、アラミド繊維の双撚り構造になる、繊度が2000〜20000dtex、好ましくは4000〜12000dtexのものとする。
【0021】
そしてさらに、ベルト、ひいては、ベルト層5とベルト補強層6との層間間隔、いいかえれば、それらの両層間に介在するゴム層の厚みを0.2〜1.2mm、好ましくは0.3〜0.9mm範囲とする。
【0022】
このように構成してなるタイヤによれば、先に述べたように、タイヤ重量を低減しつつ、すぐれた操縦安定性および耐摩耗性を実現してなお、トレッド部の耐久性を大きく向上させることができる。
なおここでは、ベルト補強層6のアラミドコード6aを、アラミド繊維の双撚り構造とすることで、繊度あたりの強力を高くすることができる。
【0023】
ところで、このようなタイヤにおいてより好ましくは、ベルト補強層6の、アラミドコード6aの延在方向と直交する方向の5cm幅当りの総強力(SB)を、
タイヤ充填内圧(kgf/cm2)×安全率×タイヤ半径(cm)×偏平係数×5(cm)
ここでは、安全率を10とし、
偏平比の呼びが60以下のタイヤで1.0
偏平比の呼びが65〜75のタイヤで0.9
偏平比の呼びが80以上のタイヤで0.8
とする
で表される基準強力の0.9〜1.8倍、好適には1.0〜1.6倍の範囲の値とし、これにより、タイヤ内圧に対する安全性を一層高めてなお、タイヤ重量の増加を有効に抑制する。
【0024】
そしてまた好ましくは、ベルト補強層6のアラミドコード6Aの撚り係数(T)、すなわち、
T=TS×(TD/2/ρ×0.139×0.9)1/2/1000
TS:撚り回数(回/10cm)
TD:コードの総dtex
ρ:コードの密度(アラミドコードでは1.44)
で表される撚り係数(T)を、0.4〜0.6、好適には0.45〜0.55の範囲とする。
【0025】
この構成によれば、タイヤの製造に際する所要のコード伸びを十分に許容して、ベルト層5とベルト補強層6との間の、所期した通りの層間間隔を確実に確保できる他、コードの撚り過ぎに起因するコード強力の低下を有効に抑制して、タイヤ重量の増加をより効果的に防止することができる。
【0026】
【実施例】
サイズが205/65 R15の、表1に示す諸元を有する実施例タイヤ、比較例タイヤおよび従来タイヤのそれぞれにつき、操縦安定性、タイヤ重量および耐久性を試験したところ、表1の下部に示す結果を得た。
なお、タイヤはチューブレス構造であり、全てのタイヤに共通の構成は以下の通とした。
カーカスプライ:PET1670dtex/2、打込み50本/5cm 1枚ベルト層:64°スチールベルト、φ0.25×5構造コード、打込み40本/5cm
ところで、ここでのベルト補強層についての基準強力は2700kgf/5cmである。
タイヤ充填内圧:2(kgf/cm2)
安全率:10
タイヤ半径:30(cm)
偏平係数:0.9
【0027】
【表1】
【0028】
ここでの操縦安定性は、実車のフィーリング試験を実施し、従来タイヤをコントロールとしてポイントを示した。ポイントは+が良く、−が悪く、3ポイント以上の差は明確な差がある。
また、タイヤの耐久性は、JATMA規格の、内圧2.0kg/cm2時の負荷能力の150%を負荷し、直径3mのドラム上で時速60km/hで走行させ、従来タイヤの100%以上の距離を故障なく走破したものを〇、100%未満の距離で故障したものについては×とした。
表1によれば、実施例タイヤはいずれも、タイヤの軽量化を実現してなお、すぐれた操縦安定性および耐久性を発揮できることが解る。
【0029】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば、ともに一層ずつのベルト層およびベルト補強層において、とくにベルト補強層を形成するアラミドコードの太さおよび上記両層の層間間隔を特定することにより、タイヤ重量の低減、操縦安定性および耐摩耗性の向上の実現と併せて、耐久性を大きく向上させることができる。
そしてこれらのことは、ベルト補強層の強力および/またはベルト補強層のアラミドコードの撚り係数を特定することで一層顕著になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す、部分を破断除去した断面斜視図である。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカスプライ
4a プライコード
5 ベルト層
5a スチールコード
6 ベルト補強層
6a アラミドコード
Claims (3)
- 一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側に配設した一層のベルト層からなるベルトと、このベルトの外周側に配設した一層のベルト補強層とを具えるラジアルタイヤであって、
ベルト層のコードを、タイヤ周方向に対して、0°を越えて90°未満の範囲の角度で延びるスチールコードとし、ベルト補強層のコードを、アラミド繊維の双撚り構造になり、ほぼタイヤ周方向に延在する、繊度が2000〜20000dtexの範囲のアラミドコードとし、ベルト層とベルト補強層との層間間隔を0.2〜1.2mmの範囲としてなるラジアルタイヤ。 - ベルト補強層の、コードの延在方向と直交する5cm幅当たりの総強力(SB)を、
タイヤ充填内圧(kgf/cm2)×安全率×タイヤ半径(cm)×偏平係数×5(cm)
ここで、安全率は10とし、
偏平係数は、偏平比の呼びが60以下のタイヤで1.0
偏平係数は、偏平比の呼びが65〜75のタイヤで0.9
偏平係数は、偏平比の呼びが80以上のタイヤで0.8
とする
で表わされる基準強力の0.9〜1.8倍としてなる請求項1に記載のラジアルタイヤ。 - ベルト層補強のコードの、次式で表される撚り係数(T)を、
T=TS×(TD/2/ρ×0.139×0.9)1/2/1000
TS:撚り回数(回/10cm)
TD:コードの総dtex
ρ:コードの密度(アラミドコードでは1.44)
0.4〜0.6の範囲としてなる請求項1もしくは2に記載のラジアルタイヤ。
Priority Applications (1)
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JP2002294724A JP2004130835A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | ラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101312798B1 (ko) * | 2008-09-26 | 2013-09-27 | 코오롱인더스트리 주식회사 | 타이어 코드지 및 그 제조방법 |
CN103998254A (zh) * | 2011-12-19 | 2014-08-20 | 米其林集团总公司 | 轮胎以及制造轮胎三角带束的方法 |
JP2020093746A (ja) * | 2018-12-14 | 2020-06-18 | Toyo Tire株式会社 | 空気入りタイヤ |
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-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002294724A patent/JP2004130835A/ja active Pending
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