JP2004130353A - 金属板の製造方法及び温度制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属板の製造工程において、仕上圧延後の金属板温度を制御することにより、所望の金属板を製造するための金属板の製造方法及び温度制御装置の提供を目的とする。
【解決手段】温度制御装置10は、冷却工程の際に、冷却セクション7−1,7−2,…の出側に設けた水環境温度計6−1,6−2,…により鋼板の温度を精度良く測定し、測定された鋼板温度が冷却条件を満足しているか否かを判定し、冷却条件を満足していないと判定された場合には、上面冷却ユニット4−1a,4−2a,…及び下面冷却ユニット4−1b,4−2b,…の稼働/非稼働を操作するフィードバック制御を行う。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却工程を有する金属板の製造工程において、冷却工程の所定点における金属板温度を測定し、金属板温度の実測値と目標値との温度差に基づいて、冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作し、仕上圧延後の金属板温度を制御することにより、所望の金属板を製造する金属板の製造方法及び温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷却工程の所定点における金属板の温度条件(冷却条件)を設定し、金属板が冷却装置によって冷却されるのに先立って、設定した冷却条件に基づいて冷却装置の稼働/非稼働及び/又は冷却装置の冷却水の水量を設定し、所望の温度プロファイルとなる金属板の製造方法が実用化されている。
【0003】
また、金属板を実際に冷却した際には、金属板の板厚及び圧延速度の変化等の不測の要因により予測通りに冷却できない虞があるため、例えば、巻取装置の入側に配置した温度計により金属板温度を測定し、その実測値と冷却条件の目標値との温度差に基づいて冷却装置の稼働/非稼働及び/又は冷却装置の冷却水の水量を操作するフィードバック制御も行われている。
【0004】
温度プロファイルは、仕上圧延後の金属板の温度変化を時間の関数として表現した温度曲線のことであり、要求される金属板の特性に基づいて、金属組織学的な観点から決定される。
【0005】
図12は、金属板の温度プロファイルの一例を示す温度曲線である。図中パターン1は、巻取装置の入側における金属板温度である巻取温度を目標値に規定し、仕上圧延装置の出側から巻取装置の入側まで一様な冷却速度で金属板を冷却することを特徴とする温度プロファイルである。
【0006】
パターン2は、仕上圧延装置を出た後に可及的速やかに金属板を急速に水冷却(以下、急速冷却という)し、該急速冷却を停止する時の金属板温度である冷却終了温度(以下、急冷終了温度という)及び前記巻取温度を目標値に規定し、冷却装置の前半に集中して金属板を冷却することを特徴とする温度プロファイルである。即ち、パターン2には、仕上圧延終了後の冷却工程中に冷却速度(単位時間あたりの金属板の温度降下量)が異なる2つの冷却過程(2a,2b)が存在することになる。なお、冷却工程中の単位時間あたりの金属板温度降下量は、線形ではないため、通常、「冷却速度」とは、ある区間における冷却速度の平均冷却速度を指すことが一般的であり、本明細書においてもこのような意味で用いる。
【0007】
パターン3は、前記急冷終了温度、前記急速冷却完了後に所定時間水冷却を停止する中間空冷時間、及び前記巻取温度を目標値に規定し、冷却装置の前半及び後半に集中して金属板を冷却することを特徴とする温度プロファイルである。即ち、パターン3には、仕上圧延終了後の冷却工程中に冷却速度が異なる3つの冷却過程(3a,3b,3c)が存在することになる。
【0008】
金属板は、一様な冷却速度で冷却されるよりも、仕上圧延終了後に可及的速やかに急速冷却される方が、加工性に優れた特性を有するとされている(例えば、特許文献1参照。)。より具体的に述べれば、冷却速度を増し冷却時間を短縮することにより、金属板の粒成長を抑制するとともに結晶粒を微細化することが可能となり、加工性に優れた金属板を製造することができる。
【0009】
しかしながら、冷却工程中、特に急速冷却中は、冷却水が冷却装置から金属板上に供給されており、金属板周辺に多量の冷却水が飛散していたり、金属板が冷却水で水没している環境にある。従って、一般に用いられている放射温度計では、金属板表面から出射される放射光の光路が冷却水に起因して不安定となるため、金属板温度を精度良く測定することが困難であり、その金属板温度の実測値に基くフィードバック制御又はフィードフォワード制御の精度が低下する。
【0010】
そこで、冷却ゾーン内の冷却水等の影響を受けない位置に温度計を配置し、温度計により測定された表面温度と、計算により求めた板厚方向の温度分布とから金属板の平均温度を算出し、算出された平均温度に基づいて、温度計より上流側の冷却ゾーンの冷却装置にフィードバックするとともに、温度計より下流側の冷却ゾーンの冷却装置にフィードフォワードすることにより、金属板温度を制御する装置(第1の従来技術)が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
また、仕上圧延装置の出側及び巻取装置の入側の他に、冷却ゾーンの中間点にも温度計(中間温度計)を配置し、冷却水を中間温度計近傍に注水しないように冷却装置の注水ノズルの開閉を設定することで、中間温度計により金属板温度を測定し、その実測値に基づいて、中間温度計より上流側の冷却ゾーンの冷却装置にフィードバックすることにより、金属板温度を制御する装置(第2の従来技術)が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。なお、この第2の従来技術を応用して、金属板温度の実測値に基づいて、中間温度計より下流側の冷却ゾーンの冷却装置にフィードフォワードすることも可能と考えられる。
【0012】
【特許文献1】
特開平5−112831号公報 (第1−6頁)
【特許文献2】
特開昭63−317208号公報 (第1−5頁)
【特許文献3】
特開平9−19712号公報 (第1−5頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した第1の従来技術においては、金属板の一表面を温度計の測定面とすることにより、冷却効率を向上すべく測定面へ冷却水を注水して冷却した場合には、金属板表面から出射される放射光の光路が冷却水に起因して不安定となるため、金属板温度の測定精度が低下するという問題があった。
【0014】
また、前述した第2の従来技術においては、中間温度計近傍に冷却水を注水できないという問題があり、更に、冷却条件は、所望する金属板の特性により種々異なるため、必ずしも冷却ゾーンの一定点、即ち、中間温度計の配置位置で冷却が終了するわけではない。もちろん、金属板を実際に冷却した際には、不測の要因により予測通りに冷却できない虞が生じる場合もある。従って、巻取温度を冷却条件とする場合には有効であるが、前述したように加工性が優れた金属板を製造するに必要とされる急速冷却を行う等の場合には、中間温度計による温度測定が無意味になり、フィードバック制御ができないという問題があった。
【0015】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、金属板の製造工程において、冷却工程の所定点における金属板温度を精度良く測定し、金属板温度の実測値と目標値との温度差に基づいて、冷却装置の稼働/非稼働、及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作し、仕上圧延後の金属板温度を制御することにより、所望の金属板を製造するための金属板の製造方法及び温度制御装置の提供を主たる目的とする。
【0016】
また本発明は、一の冷却装置から下流側の冷却装置を連続稼働することにより、特に、仕上圧延後に最上流の冷却装置から下流側の冷却装置を連続稼働することにより、仕上圧延後可及的速やかに金属板を急速冷却し、また、急速冷却終了時の冷却終了温度を冷却条件に規定し、該冷却条件に基づいた温度制御を行うことにより、金属板の粒成長を抑制するとともに結晶粒を微細化することが可能となり、加工性が優れた金属板を製造するための製造方法等の提供を目的とする。
【0017】
更に本発明は、稼働している冷却セクション内の冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することにより、特に、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却装置から順に冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することにより、前記金属板が冷却終了温度に至るのに要する時間を延長することがないように制御して、即ち、金属板の冷却速度が減速することがないように制御して、加工性が優れた金属板を製造するための製造方法等の提供を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る金属板の製造方法は、仕上圧延装置と巻取装置との間に設けた一又は複数の冷却装置を有する複数の冷却セクションを用いて仕上圧延後の金属板を冷却する冷却工程を含む金属板の製造方法において、前記冷却工程の所定点に、水環境下にて金属板の温度を測定できる温度計を予め配置し、該温度計により測定された金属板の実測温度が、予め設定された前記冷却工程の所定点における金属板の温度条件を満足しているか否かを判定し、前記実測温度が前記温度条件を満足していないと判定された場合には、前記実測温度と前記温度条件との温度差を算出し、算出した温度差に基づいて、前記冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る金属板の製造方法は、前記冷却工程には、冷却速度が異なる複数の冷却過程を有しており、前記所定点は、冷却速度が相対的に大きい急速冷却過程の終了点であり、前記温度計は、少なくとも急速冷却過程の終了点となり得る全ての冷却セクションの出側に配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項3に係る金属板の製造方法は、前記温度計が、放射温度計と、前記金属板と対向する位置に一端が配置され、他端が前記放射温度計に接続された光ファイバと、前記金属板と前記光ファイバの一端との間に光導波路としての水柱を形成すべく、前記金属板に向けて温水を噴射するノズルと、前記ノズルに温水を供給すべく、水を昇温させる昇温手段とを備え、前記ノズルは、前記水柱を形成する温水の水圧を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する水圧にして噴射し、前記昇温手段は、前記水柱を形成する温水の温度を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する温度に昇温させ、前記水柱及び前記光ファイバを介して前記金属板からの放射光を前記放射温度計で受光することにより、前記金属板の表面温度を測定することを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る金属板の製造方法は、前記温度条件が、一の冷却セクションから下流側の冷却セクションを連続稼働することで金属板を冷却する場合における稼働している最下流の冷却セクションの出側での金属板温度の条件を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項5に係る金属板の製造方法は、最上流の冷却セクションから稼働することを特徴とする。
【0023】
請求項6に係る金属板の製造方法は、稼働している冷却セクション内の該冷却セクションが有する冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することを特徴とする。
【0024】
請求項7に係る金属板の製造方法は、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却セクションから順に、該冷却セクションが有する冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することを特徴とする。
【0025】
請求項8に係る温度制御装置は、仕上圧延装置と巻取装置との間に設けた一又は複数の冷却装置を有する複数の冷却セクションを用いて仕上圧延後の金属板を冷却する冷却工程にて仕上圧延後の金属板温度を制御する構成とした温度制御装置において、前記冷却工程の所定点に、水環境下にて金属板の温度を測定できる温度計と、該温度計により測定された金属板の実測温度が、予め設定された前記冷却工程の所定点における金属板の温度条件を満足しているか否かを判定する手段と、該手段にて、前記実測温度が前記温度条件を満足していないと判定された場合には、前記実測温度と前記温度条件との温度差を算出する手段と、算出した温度差に基づいて、前記冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作する手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
請求項9に係る温度制御装置は、前記温度計が、前記金属板からの放射光を受光することにより、前記金属板の表面温度を測定する放射温度計と、前記金属板と対向する位置に一端が配置され、他端が前記放射温度計に接続された光ファイバと、前記金属板と前記光ファイバの一端との間に、光導波路としての水柱を形成する温水の水圧を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する水圧にして前記金属板に向けて温水を噴射するノズルと、前記水柱を形成する温水の温度を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する温度に昇温させる昇温手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
請求項1、請求項2及び請求項8の発明にあっては、冷却工程の所定点における金属板温度を水環境下においても精度良く測定し、その実測温度が予め設定された温度条件を満足しない場合には、実測温度と温度条件との温度差に基づいて、冷却装置の稼働/非稼働及び/又は冷却装置の冷却水の水量を操作することにより、精度良く金属板の温度降下量をフィードバック制御し、要求される金属板の特性に基づいて、金属組織学的な観点から決定される温度プロファイルを精度良く実現することができる。
【0028】
請求項3及び請求項9の発明にあっては、ノズルが、水柱を形成する温水の水圧を、金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する水圧にして噴射し、昇温手段が、水柱を形成する温水の温度を、金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する温度に昇温させ、水柱及び光ファイバを介して金属板からの放射光を放射温度計で受光することにより、放射光の水中での光路長変動の影響を低減し、金属板温度を精度良く測定することができる。
【0029】
請求項4の発明にあっては、一の冷却セクションから下流側の冷却セクションを連続稼働し、金属板が所定の金属板温度に至るのに要する時間を短縮することにより、金属板の結晶粒を微細化することができ、加工性が優れた金属板を製造することができる。
【0030】
請求項5の発明にあっては、最上流(仕上圧延後の直近)に設けた冷却セクションから下流側の冷却セクションを連続稼働し、仕上圧延終了後に可及的速やかに急速冷却を開始することにより、金属板の粒成長を抑制することができ、加工性が優れた金属板を製造することができる。
【0031】
請求項6の発明にあっては、金属板温度の実測温度が温度条件を満足しない場合に、稼働している冷却セクション内の該冷却セクションが有する冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することにより、金属板が所定の金属板温度に至るのに要する時間を延長することのなきよう制御できるため、金属板の結晶粒が大きくなることを防止でき、加工性が優れた金属板を製造することができる。
【0032】
請求項7の発明にあっては、金属板温度の実測温度が温度条件を満足しない場合に、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却セクションから順に、該冷却セクションが有する冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作する、即ち、金属板の温度降下量が大きい冷却装置から順に操作することにより、より効果的に金属板が所定の金属板温度に至るのに要する時間を延長することのなきよう制御できるため、金属板の結晶粒が大きくなることを防止でき、加工性が優れた金属板を製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る圧延ラインを示す模式図である。図中1は鋼板であり、図示しないパスライン上流に設けた加熱炉で加熱されたスラブを粗圧延装置5により粗圧延し、複数のスタンドからなるタンデム型の圧延ローラを備えた仕上圧延装置2により仕上圧延される。
【0034】
仕上圧延後の鋼板1は、パスラインの上下に設けられた複数の冷却装置から構成されるランナウトテーブル冷却設備(以下、ROT冷却設備という)9を通過することにより冷却された後、巻取装置(ダウンコイラ)3にて巻取られる。温度計21が粗圧延装置5の出側に、温度計22が仕上圧延装置2の出側に、温度計23が巻取装置3の入側に夫々配置され、夫々の配置箇所を通過する際の鋼板温度を測定する。温度計21、温度計22、及び温度計23は、例えば、鋼板表面からの放射光を受光することにより、鋼板温度を測定することができる放射温度計である。通常、仕上圧延装置2の出側、及び巻取装置3の入側は、冷却装置の冷却水の影響はなく、鋼板表面から出射される放射光の光路が安定しているため、一般に用いられる放射温度計にて精度良く鋼板温度を測定できる。
【0035】
ROT冷却設備9はパスライン上流から冷却セクション7−1,7−2,…,7−Nが配置され、冷却セクション7−1,7−2,…,7−Nには、上側に冷却ユニット4−1a,4−2a,…,4−Naと、下側に冷却ユニット4−1b,4−2b,…,4−Nb(以下、代表して4−iとして示す。)とが夫々配置されている。冷却ユニット4−iには、複数の冷却装置が配置されており、冷却ユニット4−iに属する冷却装置は、冷却ユニット4−iが備える一つの冷却バルブ弁により稼働/非稼働を操作される。以下、冷却ユニット4−iを制御する単位として説明する。最上流の冷却セクション7−1の入側には、水環境下においても測定可能な温度計(以下、水環境温度計という)6−0が配置され、冷却セクション7−1,7−2,…,7−Nの出側には、同様の機能を有する水環境温度計6−1,6−2,…,6−Nが夫々配置され、配置箇所を通過する際の鋼板温度を測定する。
【0036】
冷却ユニット4−iは、複数台のラミナー冷却装置又はスプレー冷却装置等から構成されており、冷却ユニット4−iを構成する冷却装置数を少なくすれば、1冷却ユニットあたりの冷却量を細かく設定することができるので、鋼板1の冷却条件を高精度で設定できる。
【0037】
図中10は温度制御装置であり、温度制御装置10は、冷却工程に先立って、鋼板1の比熱c、密度ρ、板厚h等の鋼板情報、冷却ユニット長L等の装置情報、及び圧延速度V等の圧延情報をプロセスコンピュータ18から通信部15を介して取得し、情報を記憶するRAM等の記憶部12に記憶させる。また仕上圧延終了後の複数の鋼板温度を含む冷却条件がキーボード等の入力部13より予め入力され記憶部12に記憶されている。この冷却条件に基づいて、演算部11により冷却ユニット4−iの稼働/非稼働及び仕上圧延装置2の圧延速度Vを決定し、モニタ等の出力部14に出力するとともに、通信部15を介して冷却ユニット4−iの冷却バルブの開閉及び圧延ローラのモータ回転速度を設定する(以下、初期設定という)。
【0038】
また、温度制御装置10は、冷却工程の際に、冷却セクション7−1,7−2,…,7−Nの出側に設けた水環境温度計6−1,6−2,…,6−Nにより測定された鋼板温度を通信部15を介して取得し、その実測値が冷却条件を満足しているか否かを演算部11にて判定し、冷却条件を満足していないと判定された場合には、通信部15を介して冷却ユニット4−iの稼働/非稼働を操作するフィードバック制御を行う。
【0039】
冷却条件を、例えば、図12に示すパターン2,3のように冷却工程の前半に急速冷却過程を含む条件とすると、鋼板1は、ROT冷却設備9の最上流の冷却セクション7−1から連続稼働させることにより急速冷却され、巻取装置3により巻取られて製品となる。
【0040】
本実施形態においては、冷却セクション7−1,7−2,…,7−Nの出側に水環境温度計6−1,6−2,…,6−Nを配置しているが、冷却工程の最上流側に急速冷却過程がある冷却パターンの実現方法を対象とした場合等では、急速冷却過程の終了点となる可能性がある冷却セクションの出側にのみ、水環境温度計を配置してもよい。例えば、その製造ラインで製造される鋼板の特性上、急速冷却過程の終了点となる可能性のある冷却セクションは、冷却セクション7−M(M<N)よりも上流側の冷却セクションである場合、冷却セクション7−M及びそれよりも上流側の冷却セクションの出側にのみ水環境温度計を配置すればよい。更に、少なくとも最上流側からX(1<X<M)番目までの冷却セクションでは急速冷却過程が終了する可能性がない場合、即ち、少なくとも冷却セクション7−1から冷却セクション7−Xまでは稼働させることが確実な場合は、冷却セクション7−Xから冷却セクション7−Mまでの各冷却セクションの出側に水環境温度計を配置すればよい。冷却工程の最上流側以外に急速冷却過程がある場合も同様であり、水環境温度計は、少なくとも急速冷却過程の終了点となる可能性がある冷却セクションの出側に配置すればよい。また、水環境温度計6−0は、急速冷却開始時点の鋼板温度を測定するために配置されたものであるが、仕上圧延装置2の出側に配置した温度計22と水環境温度計6−0とに距離的な間隔がなく、温度計22により測定された鋼板温度を急速冷却開始時点の鋼板温度に代用しても問題がない場合には必ずしも必要ない。
【0041】
ここで、水環境下においても鋼板温度を測定することが可能な水環境温度計について説明する。図2は、水環境温度計の構成を示す概略図である。図2に示すように、水環境温度計51は、放射温度計61と、鋼板1と対向する位置に先端が配置され、後端が放射温度計61に接続された光ファイバ62と、鋼板1と光ファイバ62の先端との間に光導波路としての水柱Wを形成すべく、鋼板1の表面(下面)に向けて温水を噴射するノズル63と、ノズル63に温水を供給するための昇温槽64とを備えている。水環境温度計51は、光ファイバ62を介して鋼板1の表面から放射光を放射温度計61で受光し、鋼板1の表面温度を測定するように構成されている。
【0042】
光ファイバ62の先端部には、光学窓81と、必要に応じて集光用レンズ82とを備えた先端光学系80が取付けられている。光学窓81及び集光用レンズ82としては、例えば石英製のものを適用することができる。
【0043】
昇温槽64には、水道55からフィルタ93を介して水道水が供給され、蒸気を送り込むことにより昇温槽64内の水を昇温させる。また、昇温槽64内に設けたレベル計91及び水温計92により水量レベル及び水温が測定され、一定値、即ち、水柱Wを形成する温水の温度を、鋼板1の表面の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する温度を低下しないように制御されている。更に、水柱W用の水温は、昇温槽64内の水温計92による管理でも良いが、必要に応じて、ノズル63直前の水路57内に設けた水温計71を利用し、昇温槽64からノズル63までの経路における温度降下量を考慮した温度制御とすることにより、より一定温度の水柱Wを形成することができる。水柱Wを形成する温水の温度としては、例えば、熱間圧延ラインのように高速で鋼板1が走行する場合には、50℃以上、好ましくは70℃以上に水温を保持すればよい。
【0044】
そして、昇温槽64で昇温された水は脱気槽56に送られる。脱気槽56では、脱気用排気設備95により気泡の除去と、水の中に溶解している空気等のガスが脱気される。脱気槽56から送出された水は、ポンプ52及び水路57を経て、ノズル63に達する。水柱Wを形成するために供給する水を脱気することは、放射光の散乱要因となる水柱Wにおける気泡の発生を抑制し、ひいては測温バラツキを抑制するのに有効である。
【0045】
ノズル63は、ポンプ52と協働して、水柱Wを形成する温水の水圧を、鋼板1の表面の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する水圧にして噴射するように構成されている。逆に述べれば、光導波路として用いる水柱Wと鋼板1との界面が核沸騰状態であると、その水柱Wが衝突する鋼板表面のみが急激に冷却されてしまうため、鋼板表面の水柱Wと接触している部分である測温箇所とそれ以外の部分との温度差、及び鋼板表面と鋼板内部との温度差が大きくなってしまい、測温値の代表性が損なわれ、鋼板の実測値の意味が失われる。そこで、ノズル63及び昇温槽64を、鋼板1の表面の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持するように構成することにより、鋼板温度の測定精度を向上できる。
【0046】
また、放射温度計61にて検出すべき波長は、水中での光路長が200mmの場合に、0.9μmより短い波長を用いることにより、水中での光路長が200mm程度であれば、大きな測温誤差を生じずに測定可能となる。例えば、測定中心波長0.83μmを用いると、水中での光路長が200mm±25mm変動した際の透過率変化は±7%である。この値を測温誤差に換算すると、測定温度が600℃の際に±0.36%、即ち、±3.1℃となる。さらに、短い測定中心波長0.67μmを用いた場合には、水中での光路長が200mm±25mm変動した際の透過率変化は±1%であり、この値を測温誤差に換算すると、測定温度が800℃の際に±0.051%、即ち、±0.55℃となる。いずれの測定中心波長を利用するかは、測定対象温度、即ち、鋼板1の温度に依存するが、いずれにしても測定中心波長を0.9μmより短くするには、鋼板1の表面と放射温度計61との間(例えば、光ファイバ62の後端と放射温度計61との間)に、0.9μmより長い波長の光を遮断する光学フィルタ(図示せず)を設置すればよい。
【0047】
従って、光ファイバ62は、前述のようにして決定した測定中心波長を十分透過する光ファイバであればよく、例えば、石英製の光ファイバとすることが可能である。また、単芯の光ファイバを利用することができる他、設置上の制約等により、水中での光路長を比較的長くする必要がある場合には、水による減衰の影響を緩和すべく、必要に応じて複数本の光ファイバを束ねたバンドルファイバとすることも可能である。また、光ファイバのコア径に特に制約はない。
【0048】
なお、ノズル63及びノズル63の前段に位置する水路57は、気泡の発生を抑制するべく、その水路57内での急激な口径及び形状変化を極力避けるように設計することが好ましい。また、ノズル63から吐出される水柱Wの所謂ポテンシャルコアが大きくなるように、ノズル63の形状等を決定することが好ましい。
【0049】
以下、冷却条件が、急速冷却終了時の急冷終了温度目標値TSaim 、その許容範囲である急冷終了温度許容値ΔTS、中間空冷時の冷却ユニットを停止する中間空冷時間tair 、後半冷却時の条件である巻取装置3の入側での巻取温度目標値TCaim 、及びその許容範囲である巻取温度許容値ΔTCとした場合について、温度制御装置10が、冷却工程に先立って、鋼板情報、装置情報、及び圧延情報から冷却ユニット4−iの稼働/非稼働及び仕上圧延装置2の圧延速度Vを決定する初期設定に関する処理手順について説明する。
【0050】
図3、図4、図5、及び図6は、本発明の温度制御装置10が冷却セクションの稼働台数(冷却ユニットの稼働台数)及び仕上圧延装置2の圧延速度Vを決定する処理手順を示すフローチャートである。冷却セクションを構成する上面冷却ユニット及び下面冷却ユニットを、パスライン上流側から連続して稼働してもよいが、各冷却セクションとも全能力を使うように設定すると、冷却工程の際に、鋼板温度が目標値から外れた場合に、それを修正するフィードバック制御ができなくなる虞があるので、上下面の各冷却ユニットを交互に稼働する。つまり、最上流側に位置する冷却セクション7−1は上面冷却ユニット4−1aのみを稼働し、最上流から2番目の冷却セクション7−2は下面冷却ユニット4−2bのみを稼働し、最上流から3番目の冷却セクション7−3は上面冷却ユニット4−3aのみを稼働する等のようにする。
【0051】
これにより、本実施形態による初期設定に基づいて実際に鋼板1を冷却した際に、たとえ鋼板温度が目標値から外れた場合においても、それを修正するフィードバック制御が可能となる。例えば、冷却不足が発生した場合は、冷却不足に陥った冷却セクションにおいて、非稼働側の冷却ユニットを稼働させれば冷却能力を向上させることができる。
【0052】
まず、プロセスコンピュータ18から鋼板情報である比熱c、密度ρ、板厚h、装置情報である冷却ユニット長L、及び圧延情報である圧延速度Vを取得(S1)する。ここで各冷却ユニット長は同一値Lとしたが、あくまで説明の簡略化のためであり、通常は各冷却ユニット長として第i(i=1,2,…,N)冷却ユニット長Li を用いる。
【0053】
また、プロセスコンピュータ18から、急冷終了温度目標値TSaim 、急冷終了温度許容値ΔTS、中間空冷時間tair 、巻取温度目標値TCaim 、及び巻取温度許容値ΔTCからなる冷却条件、並びに再計算時のパラメータである速度修正幅ΔVを取得(S2)する。
【0054】
再計算時のパラメータである速度修正幅ΔVが小さいほど、冷却条件の目標値の許容幅である急冷終了温度許容値ΔTS及び巻取温度許容値ΔTCを小さく設定することが可能であり、目標の特性を忠実に実現した鋼板1を製造することができ、鋼板特性のばらつきを減少させ安定して鋼板1を製造することができる。
【0055】
しかし、速度修正幅ΔVが小さいほど、ループによる再計算処理の回数が増加して処理時間が長くなるので、速度修正幅ΔVは、所望の鋼板1を製造するために要する冷却条件の要求精度及び温度制御装置10の処理能力から適切に設定する必要がある。
【0056】
次に、パスライン上流に設けた冷却セクションから連続して稼働し、急速冷却を行う急速冷却区間の設定を行う。仕上圧延装置2の出側に配置した温度計22により圧延終了温度TFを測定し、測定した圧延終了温度TFは、冷却セクション7−1の入側での冷却セクション入側鋼板温度(以下、入側鋼板温度という)Tinに相当するので、圧延終了温度TFを入側鋼板温度Tinに設定(S3)する。
【0057】
もちろん、圧延終了温度TFを温度計22を用いて測定するのではなく、粗圧延装置5の出側に設けた温度計21により測定された鋼板温度T0 とS1及びS2にて取得した各数値とを用いて、それ自体公知の計算式(1)により仕上圧延装置2の出側での鋼板1の圧延終了温度TFを算出してもよい。
TF=T0 −ΔTF   …(1)
ΔTF=ΔTw +ΔTa +ΔTr −ΔTq −ΔTbh
ΔTw =hw ・(TF−Tw )・tw /(c・ρ・h)
ΔTa =ha ・(TF−Ta )・ta /(c・ρ・h)
ΔTr =hr ・(TF−Tr )・tr /(c・ρ・h)
ΔTq =G・η/(c・ρ・h)
ΔTbh=PB/(c・ρ・h・b・V)
ここで、
TF :鋼板温度(℃)
0  :鋼板初期温度(℃)
ΔTF:鋼板の温度降下量(℃)
ΔTw :水冷による鋼板の温度降下量(℃)
ΔTa :空冷による鋼板の温度降下量(℃)
ΔTr :ロール接触による鋼板の温度降下量(℃)
ΔTq :圧延時の加工発熱による鋼板の温度上昇量(℃)
ΔTbh:加熱装置の加熱による鋼板の温度上昇量(℃)
w  :水冷による熱伝達係数(kcal/(m2 ・min・℃))
a  :空冷による熱伝達係数(kcal/(m2 ・min・℃))
r  :ロール接触による熱伝達係数(kcal/(m2 ・min・℃))
w  :水冷に要した時間(min)
a  :空冷に要した時間(min)
r  :圧延に要した時間(min)
c  :鋼板の比熱(kcal/(kg・℃))
ρ  :鋼板の密度(kg/m3 
h  :鋼板の板厚(m)
G  :圧延トルク(kcal)
η  :圧延トルクの発熱係数
PB :加熱装置の実効出力(kcal/min)
b  :加熱装置での鋼板の幅(m)
V  :加熱装置での鋼板の速度(m/min)
である。
【0058】
S3にて求めた入側鋼板温度Tinと、S1及びS2にて取得した各数値とを用いて、冷却セクション番号iを1に設定して冷却セクション7−1(即ち、冷却ユニット4−1a(以下、同))により鋼板1が冷却された場合(S4)の温度降下に基づく鋼板温度をそれ自体公知の計算式(2)及び(3)により算出し、冷却セクション7−1の出側での冷却セクション出側鋼板温度(以下、出側鋼板温度という)Tout に設定(S5)する。
out =Tin・exp(−αw ・L/(c・ρ・h・V))   …(2)
ここで、
out :出側鋼板温度(℃)
in :入側鋼板温度(℃)
αw  :冷却ユニットの熱伝達係数(kcal/(m2 ・min・℃))
c  :鋼板の比熱(kcal/(kg・℃))
ρ  :鋼板の密度(kg/m3 
h  :鋼板の板厚(m)
L  :冷却ユニット長(m)
V  :圧延速度(m/min)
である。
αw =A・(WB /TC )・(1−D・Tw )・VE    …(3)
ここで、
αw  :冷却ユニットの熱伝達係数(kcal/(m2 ・min・℃))
W  :水量密度(l/(min・m2 ))
T  :鋼板温度(℃)
w  :冷却水温度(℃)
V  :圧延速度(m/min)
であり、A〜Eは、冷却ユニットの種類によって定まるパラメータである。
【0059】
S5にて算出した出側鋼板温度Tout と急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)とを比較し、出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より小さいか否かを判定(S6)する。
【0060】
S6にて、出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より大きいと判定した場合(S6:NO)には、冷却が不足していることになるため、冷却セクションを更に稼働させるべく冷却セクション番号iを1インクリメント(S7)する。
【0061】
S5にて算出した出側鋼板温度Tout は次の冷却セクションの入側での鋼板温度に相当するので、S5にて算出した出側鋼板温度Tout を入側鋼板温度Tinに再設定(S8)し、S5に戻り温度計算を再実行する。
【0062】
一方S6にて、出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より小さいと判定した場合(S6:YES)には、更に下限値を満足するか否かを判定するため、出側鋼板温度Tout と急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)とを比較し、出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より大きいか否かを判定(S9)する。
【0063】
S9にて、出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より小さいと判定した場合(S9:NO)には、冷却セクションの稼働だけでは急冷終了温度の許容範囲に設定することができないので、圧延速度Vを変更(増速又は減速)することで対応する。即ち、圧延速度Vを減速すべく速度修正幅ΔV分減少した圧延速度(V−ΔV)を新たな圧延速度Vに再設定(S10)し、S3に戻り温度計算を再実行する。
【0064】
ここで、圧延速度Vの変更による鋼板温度への影響について説明する。図7は、圧延速度Vの変更による鋼板温度の時間変化を示す説明図である。図中、上側に、鋼板1を冷却する際に用いた冷却セクションが備える上面冷却ユニット及び下面冷却ユニットの稼働/非稼働パターンを示す。中段に示した稼働/非稼働パターンは基準速度(圧延速度変更前)時のパターンであり、この時の温度曲線は、実線で示すように、3つの冷却セクションで冷却した場合には3番目の冷却セクション出側での出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より高くなり、4つの冷却セクションで冷却した場合には4番目の冷却セクション出側での出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より低くなってしまい、条件の急冷終了温度を満足する設定が不可能である。
【0065】
そこで、下段に示すように、圧延速度を減速することで1冷却セクションあたりの温度降下量を変更(増量)し、3つの冷却セクションで冷却した場合に、3番目の冷却セクションの出側での出側鋼板温度Tout を急冷終了温度の許容範囲内に設定することが可能となる。また、上段に示すように、圧延速度を増速することで1冷却セクションあたりの温度降下量を変更(減量)し、4つの冷却セクションで冷却した場合に、4番目の冷却セクションの出側での出側鋼板温度Tout を急冷終了温度の許容範囲内に設定することが可能となる。前述したように、圧延速度を減速又は増速により所望の急冷終了温度の条件を満足することができるが、本実施形態においては圧延速度を減速する方を用いる。もちろん、冷却ユニットをより細分化する方法、及び各冷却ユニットから供給される冷却水の水量を制御する方法により、1冷却セクションあたりの鋼板1の温度降下量を増量及び減量させ、冷却条件を満足するように設定してもよい。
【0066】
一方S9にて、出側鋼板温度Tout が急冷終了温度の許容範囲下限値(TSai m −ΔTS)より大きいと判定した場合(S9:YES)には、急速冷却終了時の冷却条件である急冷終了温度目標値TSaim 及び急冷終了温度許容値ΔTSを満足することになる。
【0067】
このときの冷却セクション番号iが急速冷却として稼働する冷却セクション数Ncrに相当し、冷却セクション7−1から冷却セクション7−Ncrまでを急速冷却のために稼働するよう設定(S11)する。
【0068】
次に、冷却セクションによる冷却を停止する中間空冷区間の設定を行う。中間空冷時間tair 及び冷却ユニット長L、並びに圧延速度Vから中間空冷確保のために冷却を停止する冷却セクション数Nstopを計算式(4)により算出(S12)し、中間空冷区間の設定条件が決定される。
stop=V・tair / L   …(4)
ここで、
stop :停止冷却セクション数(台)
air  :中間空冷時間(min)
L   :冷却ユニット長(m)
V   :圧延速度(m/min)
である。
【0069】
従って、冷却セクション7−(Ncr+1)から冷却セクション7−(Ncr+Nstop)までの冷却セクションが中間空冷機能を果たすことになる。
【0070】
次に、再度冷却セクションによる冷却が必要か否かを判定する。中間空冷区間を終えた中間空冷終了鋼板温度Tair を中間空冷時間tair とS1及びS2にて取得した各数値と急速冷却区間終了時の冷却セクションの出側での出側鋼板温度TSとを用いて、それ自体公知の計算式(5)により算出(S13)する。
air =TS・exp(−αair ・tair /(c・ρ・h))   …(5)
ここで、
air :中間空冷終了時の鋼板温度(℃)
TS :急速冷却終了時の冷却セクションの出側での鋼板温度(℃)
αair :冷却停止時の熱伝達係数(kcal/(m2 ・min・℃))
c  :鋼板の比熱(kcal/(kg・℃))
ρ  :鋼板の密度(kg/m3 
h  :鋼板の板厚(m)
である。
【0071】
S13にて算出した中間空冷終了鋼板温度Tair が巻取温度の許容範囲内(TCaim −ΔTC〜TCaim +ΔTC)にあるか否かを判定(S14)し、中間空冷終了鋼板温度Tair が許容範囲内にあると判定した場合(S14:YES)には、再度冷却する必要がないことになるため、これにて全ての処理を終了する。
【0072】
一方S14にて、中間空冷終了鋼板温度Tair が巻取温度の許容範囲内にないと判定した場合(S14:NO)には、残りの冷却セクションを稼働させ再度冷却する必要があるため、そのための設定条件を算出する。
【0073】
後半冷却の対象冷却セクションは、中間空冷区間よりパスライン下流の冷却セクション、即ち、冷却セクション7−(Ncr+Nstop+j)(j=1,2,…)になるが、説明を簡略化するため冷却セクション7−(Ncr+Nstop+j)のことを後半冷却セクション8−jとして説明する。
【0074】
S13にて算出した中間空冷終了鋼板温度Tair を後半冷却セクション8−1の入側での入側鋼板温度Tinに設定(S15)し、後半冷却セクション番号jを1に設定して後半冷却セクション8−1により鋼板1が冷却された場合(S16)の温度降下に基づく鋼板温度をそれ自体公知の計算式(2)及び(3)により、後半冷却セクション8−jの出側での出側鋼板温度Tout を算出(S17)する。
【0075】
S17にて算出した出側鋼板温度Tout が巻取温度の許容範囲内(TCaim −ΔTC〜TCaim +ΔTC)にあるか否かを判定(S18)し、許容範囲内にないと判定した場合(S18:NO)には、冷却が不足していることになるため、後半冷却セクションを更に稼働させるべく後半冷却セクション番号jを1インクリメント(S19)する。
【0076】
S17にて算出した出側鋼板温度Tout は、当該後半冷却セクションの下流側の後半冷却セクションの入側での入側鋼板温度Tinに相当するので、出側鋼板温度Tout を入側鋼板温度Tinに再設定(S20)し、S17に戻り温度計算を再実行する。
【0077】
一方S18にて、出側鋼板温度Tout が巻取温度の許容範囲内(TCaim −ΔTC〜TCaim +ΔTC)にあると判定した場合(S18:YES)には、巻取り前の冷却条件に相当する巻取温度目標値TCaim 、及び巻取温度許容値ΔTCはすべて満足することになり、後半冷却区間の設定条件が決定される。
【0078】
このときの後半冷却セクション番号jが後半冷却として稼働する冷却セクション数Ntcに相当し、後半冷却セクション8−1から後半冷却セクション8−Ntcまでを後半冷却のために稼働するよう設定(S21)する。即ち、冷却セクション7−(Ncr+Nstop+1)から冷却セクション7−(Ncr+Nstop+Ntc)までを後半冷却のために稼働するよう設定する。
【0079】
このような処理手順を実施することにより、急冷終了温度目標値TSaim 、急冷終了温度許容値ΔTS、中間空冷時間taim 、巻取温度目標値TCaim 、及び巻取温度許容値ΔTCを冷却条件とし、冷却条件に基づいて冷却ユニットの稼働のみならず仕上圧延装置2の圧延速度Vを変更することにより鋼板1の温度降下量を制御し、所望の特性を有する鋼板1を製造するための設定が算出できる。
【0080】
以上のようにして算出した冷却セクション数と圧延速度と用いて鋼板1の冷却を開始する。ここで、上記処理手順(フロー)は、図12に示したパターン3の場合であるが、パターン2のように前半の急速冷却過程のみの冷却条件の場合には、S1〜S11までの処理手順を実行すればよい。
【0081】
なお、冷却ユニットの稼働/非稼働により冷却能力を調整する初期設定方法について説明したが、これに限定される必要はなく、冷却ユニットの冷却水の水量により冷却能力を調整してもよいし、冷却ユニットの稼働/非稼働と冷却ユニットの冷却水の水量とにより冷却能力を調整してもよい。
【0082】
また、本発明の趣旨は、冷却工程の所定点(本実施形態においては急速冷却の終了点)における金属板温度を測定し、実測値と目標値との温度差に基づいて冷却ユニットを操作することにあり、初期設定方法は、もちろん、前述した方法に限定されるものではなく他の方法を用いて設定してもよい。
【0083】
前述した処理手順は、冷却工程の初期設定に関するものであり、実際に鋼板を冷却する際には、鋼板の板厚のばらつき及び圧延速度の変化等の種々の要因により鋼板温度が冷却条件を満足しない虞がある。従って、この冷却条件の目標値からのズレを解決すべくフィードバック制御を行う必要がある。
【0084】
以下、冷却条件が、急速冷却終了時の急冷終了温度目標値TSaim 、及びその許容範囲である急冷終了温度許容値ΔTSとした場合について、温度制御装置10が、鋼板温度の実測値と目標値との温度差に基づいて、冷却ユニットの稼働/非稼働を操作するフィードバック制御の処理手順について説明する。
【0085】
図8及び図9は、本発明の温度制御装置10が冷却ユニットの稼働/非稼働を操作するフィードバック制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0086】
温度制御装置10は、まず、初期設定計算により求めた冷却ユニットの稼働/非稼働パターンを設定(S101)する。初期設定計算は、前述した処理手順により算出してもよいが、もちろん、これに限定されるものではない。
【0087】
そして、初期設定計算により設定された所定の急冷終了温度を得るために稼働している最下流の冷却セクション番号K(前述した処理手順にて算出した冷却セクション数Ncrに相当)を取得する(S102)。冷却セクション番号Kは、その冷却セクション出側の温度計番号でもある。
【0088】
温度制御装置10は、本発明の温度制御処理を実施する制御周期Zを受け付け、制御周期Z経過毎に制御信号を温度制御装置10が備える各装置へ出力し、各装置は、取得した制御信号に同期して後述する処理手順を実行する。これらの処理手順を制御周期Z毎に繰り返すことにより、温度制御処理を実現することができる。制御周期Zは、例えば、鋼板1が1台の冷却セクションの通過に要する時間(Z=L/v)であり、本発明の趣旨は、後述するように、鋼板温度の実測値に基づくフィードバック制御にあり、冷却ユニットの稼働/非稼働を変更した後に、その変更による鋼板温度の実測値が反映されていればよい。フィードバック制御は、鋼板先端部が水環境温度計6−K上に到達した時点から開始し、鋼板尾端部が水環境温度計6−K上を通過した時点で終了とする。これは、急冷終了温度を冷却条件としたためであり、水環境温度計6−Kの実測値を、上流側の冷却セクションにフィードバックすれば十分であることによる。
【0089】
鋼板先端部が水環境温度計6−K上に到達しているか否かを判定(S103)し、S103にて鋼板先端部が水環境温度計6−K上に到達していないと判定(S103:NO)された場合には制御する必要はない。
【0090】
一方、S103にて鋼板先端部が水環境温度計6−K上に到達していると判定(S103:YES)された場合には、更に、鋼板尾端部が水環境温度計6−K上を通過したか否かを判定(S104)し、S104にて鋼板尾端部が水環境温度計6−K上を通過したと判定(S104:YES)された場合には処理を終了する。
【0091】
一方、S104にて鋼板尾端部が水環境温度計6−K上を通過していないと判定(S104:NO)された場合には、水環境温度計6−K上に鋼板1が存在している状態であるため、水環境温度計6−Kにより鋼板温度(以下、実測温度という)TKを測定(S105)する。
【0092】
S105にて測定された実測温度TKと急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)とを比較し、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より大きいか否かを判定(S106)する。
【0093】
S106にて、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より大きいと判定(S106:YES)された場合には、鋼板1が冷却不足に陥っていることになるため、稼働している冷却セクション内の稼働冷却ユニット数を1ユニット増加(S107)させる。
【0094】
冷却ユニットの稼働/非稼働を変更した場合には、その変更によって鋼板温度へ反映されるのには時間を要する。そのため、鋼板温度を測定する位置と稼働を変更させた冷却ユニットの開始位置との距離を、圧延速度Vで除算した時間を算出し、算出した時間を温度測定待機時間として設定(S108)する。S108にて設定された温度測定待機時間が経過した際には、S103に移行して処理を繰り返す。
【0095】
一方S106にて、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より小さいと判定(S106:NO)された場合には、更に下限値を満足するか否かを判定するため、実測温度TKと急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)とを比較し、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より小さいか否かを判定(S109)する。
【0096】
S109にて、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より小さいと判定(S109:YES)された場合には、鋼板1が過冷却に陥っていることになるため、稼働している冷却セクション内の稼働冷却ユニット数を1ユニット減少(S110)させる。
【0097】
前述同様に、鋼板温度を測定する位置と稼働を変更させた冷却ユニットの開始位置との距離を、圧延速度Vで除算した時間を算出し、算出した時間を温度測定待機時間として設定(S111)する。S111にて設定された温度測定待機時間が経過した際には、S103に移行して処理を繰り返す。本実施形態では、稼働している冷却セクションの内、最下流の冷却セクションが変更になった場合でも、フィードバック制御を判定する位置、即ち、鋼板温度を測定する位置は、初期設定時の冷却セクション番号Kとしているが、もちろん、S111の処理を行った後、S103へ移行する前に、変更となった最下流の冷却セクション番号を、新たに最下流の冷却セクション番号Kとしてもよい。
【0098】
一方S109にて、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より大きいと判定(S109:NO)された場合には、実測温度TKが目標とする急冷終了温度の許容範囲とすることができたため処理を終了する。実際には、次の制御時の温度制御処理を実施するS103へ移行して処理を繰り返す。
【0099】
鋼板の温度降下量は、図7に示すように、鋼板がより低温である方が大きくなる。即ち、温度降下量の時間に関する関数が、上に凸になるような温度変化を示すため、下流側の冷却セクションにて冷却する方が、鋼板をより効率よく冷却することができる。従って、冷却終了温度に至る時間を延長することなく鋼板を冷却するには、稼働している冷却セクションの内、下流側の冷却セクションの非稼働の冷却ユニットから順に稼働するように操作すればよい。このように制御することにより、冷却速度を減速することなく冷却条件を満足する鋼板を製造することができる。
【0100】
次に、水環境温度計6−Kの実測値と目標値との温度差に基づいて、温度制御装置10が冷却ユニット数を変更した、即ち、冷却ユニットの稼働/非稼働パターンを変更した場合の鋼板温度の変化について説明する。
【0101】
図10は、本発明の温度制御装置10が行う冷却ユニットの操作の一例を示す説明図である。具体的に述べれば、初期設定(冷却セクション番号K=4)に基づいて冷却を実施したとき、初期設定計算に誤差が生じて実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より大きいと判定された場合における冷却ユニットの操作の一例、及び鋼板温度の時間変化を示す図である。
【0102】
図中、上側に、鋼板1を冷却する際に用いた上面冷却ユニット及び下面冷却ユニットの稼働/非稼働パターンを示す。また、初期設定時における鋼板1の想定冷却速度を一点鎖線で示す。上段に示した稼働/非稼働パターンは初期設定(冷却セクション番号K=4)時のパターンであり、この初期設定で実際に冷却した時の温度曲線は、実線(10a)に示すように、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)よりも高くなっている。
なお、実際には冷却開始点(仕上出側点)の温度と、冷却セクション7−K(k=4)の出側鋼板温度(水環境温度計6−Kで測定した温度)しか実測していないため、その間の温度曲線は想定である。以下の説明においても同様である。
【0103】
そこで、中段(第1フィードバック制御時)に示すように、鋼板1の温度降下量を増加させるべく、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却ユニット4−4aを稼働に設定した。しかし、温度曲線は、実線(10b)に示すように、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)よりも再度高くなった。
【0104】
更にそこで、下段(第2フィードバック制御時)に示すように、鋼板1の温度降下量を更に増加させるべく、稼働している冷却セクション内の最下流から一つ上流の冷却ユニット4−3bを稼働に設定した。これにより、温度曲線は、実線(10c)に示すように、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲内(TSaim −ΔTS〜TSaim +ΔTS)となった。
【0105】
一方、図11は、本発明の温度制御装置10が行う冷却ユニットの操作の他の一例を示す説明図である。具体的に述べれば、初期設定(冷却セクション番号K=4)に基づいて冷却を実施したとき、初期設定計算に誤差が生じて実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より低いと判定された場合における冷却ユニットの操作の一例、及び鋼板温度の時間変化を示す図である。
【0106】
図中、上段に示した稼働/非稼働パターンは初期設定(冷却セクション番号K=4)時のパターンであり、この初期設定で実際に冷却した時の温度曲線は、実線(11a)に示すように、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)よりも低くなっている。
【0107】
そこで、中段(第1フィードバック制御時)に示すように、鋼板1の温度降下量を減少させるべく、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却ユニット4−4bを非稼働に設定した。しかし、温度曲線は、逆に、実線(11b)に示すように、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)よりも高くなった。
【0108】
更にそこで、下段(第2フィードバック制御時)に示すように、鋼板1の温度降下量を減少させるべく、稼働している冷却セクション内の最下流から一つ上流の冷却ユニット4−3bを稼働に設定した。これにより、温度曲線は、実線(11c)に示すように、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲内(TSaim −ΔTS〜TSaim +ΔTS)となった。
【0109】
このように、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却ユニットから順に操作すれば、急冷終了温度に至る時間は、いずれの場合も長くなることがない。即ち、鋼板1の冷却速度は、初期設定時における鋼板1の冷却速度より減速することがない。
【0110】
また、冷却条件が、後半冷却時の巻取温度目標値TCaim 、及びその許容範囲である巻取温度許容値ΔTCとした場合についても、前述と同様の処理手順によりフィードバック制御ができる。
【0111】
なお、本実施形態においては、冷却ユニットの稼働/非稼働により冷却能力を操作する方法について説明したが、これに限定される必要はなく、冷却ユニットの冷却水の水量を操作して冷却能力を調整してもよいし、冷却ユニットの稼働/非稼働と冷却ユニットの冷却水の水量とを操作して冷却能力を調整してもよい。即ち、図9の処理手順において、S106にて、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲上限値(TSaim +ΔTS)より大きいと判定(S106:YES)した場合には、所定の順序で冷却ユニットの冷却水量を増量し、S109にて、実測温度TKが急冷終了温度の許容範囲下限値(TSaim −ΔTS)より小さいと判定(S109:YES)した場合には、所定の順序で冷却ユニットの冷却水量を減量してもよい。各冷却ユニットの水量調整は、例えば、小量、中量、及び多量の3段階のように段階的な調整とすることができる。もちろん、冷却ユニットの水量調整は、これに限定されることはなく、水量調整を細分化すれば、冷却ユニットあたりの冷却量を細かく設定することができるので、鋼板の冷却条件を高精度で設定できる。
【0112】
また、本実施形態においては、各冷却セクションの出側に水環境温度計を配置した構成の製造ラインについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、冷却工程の最上流部に急速冷却過程がある冷却パターン(図12で示すパターン2)を実現するため、冷却設備の前半ゾーンを急速冷却過程の終了点となる可能性のあるエリアと想定して前半ゾーンの各冷却セクションの出側に水環境温度計を配置してもよいし、また、冷却工程の中間に急速冷却過程があるような冷却パターンを実現するため、冷却設備を前半ゾーン、中間ゾーン、後半ゾーンの3つに分けて、中間ゾーンを急速冷却過程の終了点となる可能性のあるエリアとし中間ゾーンの各冷却セクションの出側に水環境温度計を配置してもよい。即ち、その製造ラインで製造される各種鋼板に要求されている急冷終了温度の条件を満足させる場合に、急速冷却過程の終了点となる可能性のあるエリアに含まれる各冷却セクションの出側に水環境温度計を配置するようにすればよい。この場合、不測の要因により急速冷却過程が終了する冷却セクションの番号が変化する虞があるため、多少広めに急速冷却過程の終了点となり得るエリアを想定することが望ましい。
【0113】
更に、本実施形態においては、フィードバック制御時の制御シロを考慮して急速冷却過程に用いる冷却セクションにおいて稼働させる冷却ユニットを上面又は下面としているが、これに限定する必要はない。例えば、ROT冷却設備をより多くのセクションに分割し、即ち、一冷却ユニットに属する冷却装置数をより少なくし、稼働/非稼働できる単位をより細かくすれば、稼働させる冷却セクション数の増減により冷却能力のより細かい調整が可能となるので、初期設定時に急速冷却過程に用いる冷却セクションの上面及び下面の両方の冷却ユニットの稼働/非稼働を設定するようにしても、本発明のフィードバック制御を有効に利用することができる。
【0114】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、金属板の製造工程において、冷却工程の所定点における金属板温度を精度良く測定し、金属板温度の実測値と目標値との温度差に基づいて、冷却装置の稼働/非稼働、及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作し、仕上圧延後の金属板温度をフィードバック制御することにより、所望の金属板を安定して製造することができる。
【0115】
また本発明によれば、仕上圧延後可及的速やかに金属板を急速冷却することにより、金属板の粒成長を抑制するとともに結晶粒を微細化することが可能となり、加工性が優れた金属板を安定して製造することができる。
【0116】
更に本発明によれば、稼働している冷却セクション内の冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することにより、特に、稼働している冷却セクション内の最下流の冷却装置から順に冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作することにより、前記金属板が冷却終了温度に至るのに要する時間を延長することがないように制御して、即ち、金属板の冷却速度が減速することがないように制御して、加工性が優れた金属板を安定して製造することができる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧延ラインを示す模式図である。
【図2】水環境温度計の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の温度制御装置が冷却セクションの稼働台数及び仕上圧延装置の圧延速度を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の温度制御装置が冷却セクションの稼働台数及び仕上圧延装置の圧延速度を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の温度制御装置が冷却セクションの稼働台数及び仕上圧延装置の圧延速度を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の温度制御装置が冷却セクションの稼働台数及び仕上圧延装置の圧延速度を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】圧延速度の変更による鋼板温度の時間変化を示す説明図である。
【図8】本発明の温度制御装置が冷却ユニットの稼働/非稼働を操作するフィードバック制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の温度制御装置が冷却ユニットの稼働/非稼働を操作するフィードバック制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の温度制御装置が行う冷却ユニットの操作の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の温度制御装置が行う冷却ユニットの操作の他の一例を示す説明図である。
【図12】金属板の温度プロファイルの一例を示す温度曲線である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 仕上圧延装置
3 巻取装置
5 粗圧延装置
9 ランナウトテーブル冷却設備(ROT冷却設備)
10 温度制御装置
11 演算部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 通信部
18 プロセスコンピュータ

Claims (9)

  1. 仕上圧延装置と巻取装置との間に設けた一又は複数の冷却装置を有する複数の冷却セクションを用いて仕上圧延後の金属板を冷却する冷却工程を含む金属板の製造方法において、
    前記冷却工程の所定点に、水環境下にて金属板の温度を測定できる温度計を予め配置し、
    該温度計により測定された金属板の実測温度が、予め設定された前記冷却工程の所定点における金属板の温度条件を満足しているか否かを判定し、
    前記実測温度が前記温度条件を満足していないと判定された場合には、前記実測温度と前記温度条件との温度差を算出し、
    算出した温度差に基づいて、前記冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作すること
    を特徴とする金属板の製造方法。
  2. 前記冷却工程には、冷却速度が異なる複数の冷却過程を有しており、
    前記所定点は、冷却速度が相対的に大きい急速冷却過程の終了点であり、
    前記温度計は、少なくとも急速冷却過程の終了点となり得る全ての冷却セクションの出側に配置されていること
    を特徴とする請求項1に記載の金属板の製造方法。
  3. 前記温度計は、放射温度計と、
    前記金属板と対向する位置に一端が配置され、他端が前記放射温度計に接続された光ファイバと、
    前記金属板と前記光ファイバの一端との間に光導波路としての水柱を形成すべく、前記金属板に向けて温水を噴射するノズルと、
    前記ノズルに温水を供給すべく、水を昇温させる昇温手段とを備え、
    前記ノズルは、前記水柱を形成する温水の水圧を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する水圧にして噴射し、
    前記昇温手段は、前記水柱を形成する温水の温度を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する温度に昇温させ、
    前記水柱及び前記光ファイバを介して前記金属板からの放射光を前記放射温度計で受光することにより、前記金属板の表面温度を測定すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属板の製造方法。
  4. 前記温度条件は、一の冷却セクションから下流側の冷却セクションを連続稼働することで金属板を冷却する場合における稼働している最下流の冷却セクションの出側での金属板温度の条件を含むこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の金属板の製造方法。
  5. 最上流の冷却セクションから稼働すること
    を特徴とする請求項4に記載の金属板の製造方法。
  6. 稼働している冷却セクション内の該冷却セクションが有する冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作すること
    を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の金属板の製造方法。
  7. 稼働している冷却セクション内の最下流の冷却セクションから順に、該冷却セクションが有する冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作すること
    を特徴とする請求項6に記載の金属板の製造方法。
  8. 仕上圧延装置と巻取装置との間に設けた一又は複数の冷却装置を有する複数の冷却セクションを用いて仕上圧延後の金属板を冷却する冷却工程にて仕上圧延後の金属板温度を制御する構成とした温度制御装置において、
    前記冷却工程の所定点に、水環境下にて金属板の温度を測定できる温度計と、
    該温度計により測定された金属板の実測温度が、予め設定された前記冷却工程の所定点における金属板の温度条件を満足しているか否かを判定する手段と、
    該手段にて、前記実測温度が前記温度条件を満足していないと判定された場合には、前記実測温度と前記温度条件との温度差を算出する手段と、
    算出した温度差に基づいて、前記冷却装置の稼働/非稼働及び/又は前記冷却装置の冷却水の水量を操作する手段と
    を備えることを特徴とする温度制御装置。
  9. 前記温度計は、前記金属板からの放射光を受光することにより、前記金属板の表面温度を測定する放射温度計と、
    前記金属板と対向する位置に一端が配置され、他端が前記放射温度計に接続された光ファイバと、
    前記金属板と前記光ファイバの一端との間に、光導波路としての水柱を形成する温水の水圧を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する水圧にして前記金属板に向けて温水を噴射するノズルと、
    前記水柱を形成する温水の温度を、前記金属板の測温箇所における沸騰状態が膜沸騰状態を維持する温度に昇温させる昇温手段と
    を備えることを特徴とする請求項8に記載の温度制御装置。
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