JP2004130332A - 熱間仕上げ圧延機における板幅制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間幅計目標変更量算出装置10は、圧延材先端部が中間幅計1に到達した時点で、圧延材先端部の中間幅計1での実測値から最終幅計2での実績を予測し、その予測値と最終幅計2の目標設定値の差を計算し、この差を無くすように中間幅計1の目標値を変更する。算出した中間幅計目標変更量は制御出力装置11に伝送され、ルーパ3a、3b、3cによる張力変更操作が行われる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数スタンドを連続したタンデム圧延機の板幅制御に関し、特に、スタンド間幅計の目標値をオンラインで見直すことにより、高精度な板幅が得られるように板幅制御を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7と図8に示す例を用いて仕上げ圧延における幅制御の従来技術を説明する。図7では、41は7個スタンドからなる仕上げ圧延機、42は被圧延材、43は例としてF5、F6スタンド間に設置した中間幅計、44は巻取り装置直前に設置した最終幅計、45は巻取り装置(コイラ)である。
【0003】
圧延機における目標圧延幅は図8に示すように、所定の製品幅にある大きさの加算幅(狙い余幅量)を加えて定められている。即ち、最終幅計の目標幅は製品幅+余幅で設定する。この余幅は圧延により生じる幅出しのばらつきに切断代や熱膨張代等を加えて決められるものであり、最終的には切捨て処理されるものであるから、この余幅を出来る限り小さくするように板幅制御することが、歩留りを向上させる上で重要となる。
【0004】
また、中間幅計の目標値は最終幅計の目標設定値に、中間幅計〜最終幅計間の幅縮み量を加算して設定される。この幅縮み量を正確に予測することは中間幅計狙い幅の設定、引いては余幅を狙い通りに制御する上で重要な要素となる。
【0005】
従来熱間圧延においては、スラブ幅のバラツキ、スキッドマークによる温度むらのバラツキ等に起因する圧延幅変動、及び仕上げセットアップ計算による決定された圧延条件から予測した幅変形量を、粗圧延機群に設置された竪ロール(エッジャー)の開度を調節することにより板幅制御が行われていた(例えば、特許文献1参照。)
近年、更なる歩留まり向上を目指して仕上げ連続圧延機内での幅制御、特にスタンド間張力を積極的に利用する板幅制御方法が提案されている。 図7に示すように、中間幅計の実績と目標設定値との差を無くすために、上流側スタンド間の張力を変更する張力フィードバック幅制御(FB−AWC)は一般公知の技術である(例えば、特許文献2または特許文献3参照。)。
【0006】
前記特許文献2には、複数の圧延スタンドで被圧延材に張力をかけながら圧延する熱間連続圧延機で、第i番目の圧延スタンドの出側に設置されている板幅計により検出された、被圧延材の実測板幅と、当該スタンド出側について設定されている目標板幅との間に生じている板幅偏差を無くすように、当該スタンドの入側張力の変更量を、前記板幅偏差、入側張力の絶対値及びスタンド間移送時間の関数により算出し、該張力変更量に基づいて、当該スタンドの入側張力を調整するフィードバック制御により板幅制御を行う方法が開示されている。
【0007】
また、前記特許文献3には、仕上げ圧延機内の連続する2つの圧延スタンド間の張力を変更することにより被圧延材の板幅を調整する方法において、圧延後の板幅の実測値と目標値の差,各圧延スタンドにおける圧延スタンド前後間被圧延材の板クラウン比率の差である板クラウン比率変化および圧延条件に基づき該張力の変更量を設定し、該張力変更量に対して予想される各圧延スタンドにおける圧延荷重の変動量および板クラウン比率変化の変動量を算出し、両変動量に基づいて該板クラウン比率変化の変動量を補償するにたる該圧延スタンド内のクラウン制御手段の操作量を設定し、該張力の変更と併せて該クラウン制御手段を操作するような板幅制御方法が開示されている。
【0008】
なお、[発明が解決しようとする課題]の欄において、本出願人の未公開先行出願について説明するが、その出願番号をここに記載しておく。すなわち、特願2002−008558号(未公開出願1)である。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−285516号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平9−155422号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平5−285517号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の仕上げ圧延機における幅制御方法には、以下のような問題が未解決である。
【0013】
第一に、前述のように中間幅計の目標設定値は最終幅計の目標設定値に中間幅計〜最終幅計間の幅縮み量を加算して設定されている。この幅縮み量は通常仕上げ圧延のセットアップ計算で決定した圧延条件から幅モデルを用いて推定した幅縮み量であり、セットアップ計算誤差や幅モデル誤差は直接中間幅計目標設定値に含まれる。
【0014】
よって、たとえ前記特許文献2または特許文献3に開示されているような張力変更により、図8に示すように中間幅計の実績を目標通りに制御できても、実際圧延時の幅縮み量は推定縮み量と違うため、同図に示すように、最終幅計の実績は目標設定値通りにならなく、狙い余幅より余分な幅量(ΔW余)が生じることがある。
【0015】
第二に、実圧延時、中間幅計〜最終幅計間の幅縮み量は一定値ではなく、圧延状況の変化に従って変動する。例えば、図8に示すように、加速圧延に伴って、圧延材温度が上昇し、圧延荷重が減少することより、中間幅計〜最終幅計の幅縮み量は徐々に大きくなる。しかし、従来の中間幅計の目標値は圧延前に設定されて圧延中に変わらないので、たとえ前記のような張力変更により中間幅計の実績を目標通りに制御できても、中間幅計以降の幅変形は予測値と違って徐々に大きくなるため、最終幅は目標通りにならない問題が存在する。
【0016】
このような問題を解決するには、図7に示すように、最終幅計の実績と目標値との差を無くすように、仕上げ最終スタンドを含む複数のスタンド間の張力を修正するいわゆるモニターAWC制御がある。しかし、この制御では、張力の操作位置から最終幅計までの距離が長く、むだ時間が大きいため制御ゲインは大きく上げられない。したがって、最終幅計の実績を目標値に制御できるまでに時間を要し、その間の余剰板幅分が事実上低減できないという問題が依然として存在する。
【0017】
第三に、中間幅計の信号に基づいてルーパ張力を操作して幅制御を行う場合、張力の変化により前後方スタンドの圧延荷重が変化し、従ってスタンド入出側板クラウン比率や出側板厚は変動する。たとえば、幅を縮めるためスタンド張力を上げる場合、前後方スタンドにおいて共に圧延荷重が減少し、板クラウン比率は正方向(中伸び)に変動し、出側板厚は薄くなる。板幅を制御すると同時にこれらの影響も補償しなければならない。
【0018】
前記特許文献3では張力操作による板クラウン比率変動の補償を考慮しているものの、張力操作による板厚への影響は考慮していない。そのため、張力操作による板厚変動は幅制御の外乱になり、幅制御の応答を遅くしたり、オーバーシュート(制御の行き過ぎ)を生じさせたりして、幅制御は予想通りに制御できないだけではなく、余幅を多く取らなければならないなどの問題もある。
【0019】
そこで、上記の問題を解決するために、出願人は、前記非公開出願1において、図5に示すように、複数スタンドからなる熱間仕上げ圧延機の任意のスタンド間、または最終スタンド出側に中間幅計21を設置し、巻取り装置(コイラ)直前に最終幅計22を設置して、圧延先端部の中間幅計実績、最終幅計実績、中間幅計〜最終幅計における各スタンドの圧延実績のトラッキングデータを用いて、中間幅計〜最終幅計間の幅変形モデルをオンラインで同定し、同定した幅変形モデルを用いて中間幅計の幅実測値から最終幅計の実績をリアルタイムに推定し、この推定値と最終幅計の目標設定値との差に基づいて中間幅計の目標値を修正することにより、圧延中における圧延状態の変動があっても、最終板幅値を正確に目標値近傍に制御可能な熱間仕上げ圧延機における板幅制御方法を提案している。
【0020】
しかし、この方法では、オンラインで幅変形モデルを同定するために、最終幅計において圧延材がある一定の長さを通過する必要があり、その間は制御が始まらないので、図6に示すように、圧延材先端部のある領域(同定に必要な長さ+中間幅計〜最終幅計の距離)においては幅制御ができないという問題がある。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、圧延中における圧延状態の変動があっても、最終板幅値を高精度に制御できる熱間仕上げ圧延機における板幅制御方法を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、複数スタンドを有し、任意のスタンド間または最終スタンド出側に中間幅計を備え、巻取り装置直前に最終幅計を備えた熱間仕上げ圧延機における板幅制御方法であって、圧延材先端部が中間幅計を通過した時点で、圧延材先端部の中間幅計での幅実測値に中間幅計から最終幅計の間での幅変形補正量を加算することによって最終幅計での実績を予測し、この予測値と最終幅計の目標設定値との差を無くすように中間幅計の目標設定値を変更することを特徴とする熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法である。
【0023】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段において、圧延材先端部の中間幅計での幅実測値から最終幅計での実績を予測する際に用いる幅変形補正量を、先行圧延材の実績または過去の圧延材の実績を用いて学習することにより得ることを特徴とする熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法である。
【0024】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段または第2の手段 において、中間幅計の目標設定値を変更した後、熱間仕上げ圧延機に備えられたルーパの目標張力を変更することによって、中間幅計の幅実測値と中間幅計の目標設定値との差が無くなるように制御することを特徴とする熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法である。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、図1〜図3を用いて本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0026】
図1は本発明の板幅制御方法を実施する制御装置の構成の例を示すブロック図である。図1には7個スタンドからなる仕上げ連続圧延機のF3スタンド〜コイラの部分を示している。この実施形態においては、中間幅計をF6、F7スタンド間に設置し、中間幅計の目標値変更に伴う幅制御を、F3、F4、F5、F6の各スタンド間の張力操作で行っている。
【0027】
図1において、1は中間幅計、2はコイラ直前に設置した最終幅計、3a、3b、3cはF3、F4、F5、F6の各スタンド間に設けられたルーパ、4はF7スタンド出側にある板速度計、5はF7スタンド出側にある板厚計である。
【0028】
そして、6は圧延情報の実績収集装置、7は圧延材先端部における中間幅計から最終幅計までの幅縮み量を学習する幅縮み量学習装置、8は学習結果のデータ保存装置、9は中間幅計実績データのバッファー装置、10は中間幅計目標値変更装置、11は制御出力装置であり、これらは、本発明の板幅制御を実現するための制御装置である。
【0029】
また、図2は幅縮み量の学習処理のフローチャート、図3は中間幅計の目標変更制御処理のフローチャートである。
【0030】
以下に、本発明の板幅制御方法を実施する場合の処理の流れとして、幅縮み量の学習処理と中間幅計の目標変更制御処理について説明する。
【0031】
図2にフローチャートを示す幅縮み量の学習処理では、まず、圧延中の圧延材の最先端が中間幅計1に到達してから指定した長さ分の圧延材が通過する時点までの中間幅計1での計測実績をサンプリング周期毎に幅データ収集装置6に保存しておく。最終幅計2においても、圧延材の最先端が最終幅計2に到達してから最終幅計2での計測実績をサンプリング周期毎に幅データ収集装置6に保存し、中間幅計1において指定した長さに相当する長さ分の圧延材が最終幅計2を通過した時点で、幅データ収集装置6に保存された中間幅計1および最終幅計2の計測実績より、それぞれの幅計における実績平均値を計算し、幅データ収集装置6に備えられている当圧延材データレコードにそれぞれ中間幅計1の実績値および最終幅計2の実績値として保存しておく。
【0032】
次に、幅縮み量学習装置7は、当圧延材に関しての鋼種、サイズなどの圧延材料情報を、圧延材料情報データエリア(図示せず)から読み込み、学習データ保存装置8に設けられた、鋼種、サイズなどに基づいて層別化されている幅縮み量学習テーブルから当圧延材と同じ層区分の幅縮み量データ(幅縮み量学習前回値)を取り出す。同時に、当圧延材データレコードに保存されている中間幅計1の実績値および最終幅計2の実績値を取り出す。
【0033】
そして、前記中間幅計1の実績値と最終幅計2の実績値の差値を計算して、その差値を当圧延材の幅縮み量実績値として当圧延材データレコードに保存するとともに、前記幅縮み量学習前回値と当圧延材の幅縮み量実績値を用いて学習計算を行い、結果を幅縮み量学習今回値として幅縮み量学習テーブルの同じ層区分に保存する。
【0034】
このようにして得られた当圧延材の幅縮み量実績値と幅縮み量学習今回値は、後続の圧延材の圧延において、それぞれ先行圧延材の幅縮み量実績値および幅縮み量学習値として使用される。
【0035】
図3にフローチャートを示す中間幅計の目標変更制御処理では、まず、圧延中の圧延材の最先端が中間幅計1に到達してから指定した長さ分の圧延材が通過する時点までの中間幅計1での計測実績をサンプリング周期毎にデータバッファー9に保存しておき、指定した長さ分の圧延材が中間幅計1を通過した時点で、中間幅計1の実績平均値を計算しておく。
【0036】
次に、中間幅計目標変更量算出装置10は、当圧延材及び先行圧延材の圧延材料情報(鋼種、サイズなど)を読み込み、この圧延材料情報に基づいて、最終幅計2での実績を予測するために用いる、中間幅計1から最終幅計2の間の幅縮み量予測値(幅変形補正量)を求める。具体的には、圧延材を予め鋼種、サイズなどに基づいて層別化しておき、当圧延材及び先行圧延材の圧延材料情報から、当圧延材の板幅制御時に先行圧延材の実績を参照できるかどうかを判断する。先行圧延材が参照可の場合(例えば、当圧延材と先行圧延材が同じ層区分に属する時)は、前述の幅縮み量の学習処理において求めた先行圧延材の幅縮み量実績値を読み込み、この値を当圧延材の幅縮み量予測値とする。直前圧延材が参照不可の場合(例えば、当圧延材はサイクルの第1本目の時、あるいは、当圧延材と直前圧延材が同じ層区分に属しない時)は、学習データ保存装置8に保存されている幅縮み量学習値テーブルから当圧延材と同じ層区分の圧延材の幅縮み量データ(幅縮み量学習値)を取出し、この値を当圧延材の幅縮み量予測値とする。
【0037】
そして、前記の中間幅計1での先端部の実績平均値に、前記のようにして求めた幅縮み量予測値を加算して最終幅計2での実績を予測する。
【0038】
そして、最終幅計2での実績予測値と最終幅計2の目標設定値の差を計算し、この差を無くすため必要な中間幅計1の目標値変更量(中間幅計目標変更量)を算出する。
【0039】
中間幅計目標変更量算出装置10は、上記のようにして算出した中間幅計目標変更量を制御出力装置11に伝送する。
【0040】
制御出力装置11は、中間幅計目標変更量を各ルーパ3a、3b、3cに配分し、各ルーパ3a、3b、3cの幅/張力影響係数を用いて配分された幅変更量を各ルーパ3a、3b、3cの目標張力修正量に変換する。その目標張力修正量を、予め定めたパターンで各ルーパ3a、3b、3cの張力制御装置(図示せず)に出力する。尚、目標張力修正量の出力はランプ状でも、フィルターを通してもよく、そのパターンは特に指定はしない。
【0041】
各ルーパ3a、3b、3cの張力制御装置は、制御出力装置11から出力された目標張力修正量に基づいて各ルーパ3a、3b、3cを操作し、各スタンド間張力を変更する。
【0042】
これにより、中間幅計1の実測値が変更後の中間幅計目標値に近づき、その結果、最終幅計2での実測値が最終幅計2の目標設定値近傍の値になる。
【0043】
このようにして、この実施形態では、圧延材先端部が中間幅計1を通過した時点で、圧延材先端部の中間幅計1での実測値から最終幅計2に到達時の幅を予測し、この予測値と最終幅計2の目標設定値との差を無くすように中間幅計1の目標値を変更するようにしているため、圧延材先端部が巻取り装置に到達する前に制御ができ、先端部を含めた高精度な最終板幅を得ることができる。
【0044】
また、この実施形態では、圧延材先端部における中間幅計1から最終幅計2までの間の幅縮み量を各幅計の実績を用いて評価し、学習しており、その結果を予め用意した鋼種、サイズ区分のテーブルに保存しているので、圧延時、過去の実績の再利用により、圧延材先端部が中間幅計1を通過して中間幅の実績が分かる時点で最終板幅の予測ができるため、板幅制御の開始タイミングは早くなる。
【0045】
さらに、この実施形態では、ルーパの目標張力を変更することにより、中間幅計1の目標変更を実現する方法を採用しているため、制御の高速化及び制御中の安定性確保が容易に実現できる。
【0046】
次に、本発明の板幅制御方法に関わる計算アルゴリズムを説明する。
【0047】
1)幅計における圧延送り換算長
圧延材の最先端が中間幅計1または最終幅計2に到達してからの当該幅計における材料の送り長を圧延材の板速度を用いて計算し、計算結果を最終スタンド(F7スタンド)出側における送り長に変換して統一管理する。計算式は次に示す。
【0048】
中間幅計における換算圧延長:
【0049】
【数1】
【0050】
ここで、LMは中間幅計における圧延長の換算長、h5、h7はそれぞれF5、F7スタンドの出側板厚、ν5はF5スタンドの出側板速度、tは中間幅計ONからの圧延経過時間である。
【0051】
最終幅計における換算圧延長:
【0052】
【数2】
【0053】
ここで、LCは最終幅計における圧延長の換算長、ν7はF7スタンドの出側板速度、tは最終幅計ONからの圧延経過時間である。
【0054】
尚、上記計算式や算出方法についていくつかの公知の方法があるが、本発明では特に限定しない。
【0055】
2)幅計実績平均値の計算
圧延材先端部が中間幅計1または最終幅計2に到達してから、その実測値を幅データ収集装置6またはデータバッファー9に保存しておき、圧延長が指定した長さに到達したら、その至近のN個のデータの平均値を計算して幅計の実績値とする。
【0056】
【数3】
【0057】
【数4】
【0058】
ここで、Lsetは平均値計算するための圧延長指定値、Nは平均値計算するためのデータ数、iは至近のデータからさかのぼって数えるデータの順番号、W56(i)、WC(i)はそれぞれ幅データ収集装置またはデータバッファーに保存してある中間幅計及び最終幅計の実測データである。
【0059】
3)幅縮み量の学習計算
最終幅計と中間幅計の実績差:
【0060】
【数5】
【0061】
当圧延材の幅縮み量実績値:
【0062】
【数6】
【0063】
幅縮み量学習計算:
【0064】
【数7】
【0065】
上記のようにして求めた当圧延材の幅縮み量実績値及び幅縮み量学習値をそれぞれ当圧延材データレコード及び幅縮み量学習値テーブルに保存しておく。
【0066】
4)最終幅計での実績予測
圧延材の最先端が中間幅計1を通過後、ある一定の長さの圧延材が中間幅計1を通過した時点で、中間幅計1の実測値を基に圧延材先端部が最終幅計2に到達ときの実績を予測する。計算式は次に示す。
【0067】
【数8】
【0068】
そして、幅縮み量予測値(幅変形補正量)ΔWSは、次のように求める。
【0069】
当圧延材が先行圧延材と同じ層区分である場合、先行圧延材の幅縮み量実績値を用いて幅縮み量予測値を算出する。
【0070】
【数9】
【0071】
ここで、βは調整係数である。
【0072】
当圧延材と先行圧延材との層区分が異なる場合または先行圧延材がない場合(サイクルの1本目など)、幅縮み学習値テーブルから同じ層区分の幅縮み量学習値を幅縮み量予測値とする。ただし、当圧延材に該当する層区分が存在しない場合は、当圧延材の制御は実施しないとする。
【0073】
【数10】
【0074】
5)中間幅目標値変更
最終幅計2の予測値が最終幅計2の目標設定値よりある程度大きい場合、最終板幅値を目標値通りに制御するように、中間幅計1の目標設定値を見直して変更する。中間幅目標値変更量の算出は次に示す。
【0075】
最終幅計の予測値と目標設定値との差:
【0076】
【数11】
【0077】
この誤差値を無くすように、中間幅計1の目標値を次のように求めた中間幅計目標値変更量で変更する。
【0078】
【数12】
【0079】
ただし、
ΔWC :最終幅計予測値と目標設定値との差
WCset :最終幅計の目標設定値
δ :幅余裕代
ΔWMref :中間幅計目標値変更量
f(・) :幅目標値変更量算出関数
なお、幅余裕代δは、圧延材がコイラに噛みこむ前後の幅縮み量の差を補償する項である。また、幅目標値変更量算出関数f(・)は線形関数でも非線形でもよく、特に限定しない。
【0080】
6)制御出力処理
まず、前記の方法で求めた中間幅計目標値変更量を制御に用いる各ルーパに配分し、各ルーパにおける幅修正量を求める。次に、各ルーパの幅/張力影響係数を用いて幅修正量を張力修正量に変換する。最後に、予め用意した出力方法(パターン)で目標張力修正量を各ルーパの張力制御装置に出力する。
【0081】
No.i ルーパにおける幅変更量:
【0082】
【数13】
【0083】
No.i ルーパにおける張力修正量:
【0084】
【数14】
【0085】
ただし、GLP=[g1…gi…g6]T、Ki=∂σi/∂Wiは、それぞれルーパの配分ゲインと張力/幅影響係数である。
【0086】
制御出力の方式は限定しないが、例えば、一定の設定時間内でランプ状に出力する場合の計算式を次に示す。
【0087】
【数15】
【0088】
ここで、Δσrefiは張力制御装置への目標張力修正量指令、Δtは出力開始時刻からの経過時間、Tsetは出力の設定時間である。
【0089】
【実施例】
前記の実施形態に係る熱間仕上げ圧延機における板幅制御方法の実施例を図4に示す。
【0090】
前述のように、この実施例では、中間幅計1をF5スタンドとF6スタンドの間に設置し、F3、F4、F5、F6の各スタンド間に設置されたルーパ3a、3b、3cの目標張力操作で板幅変更を実施している。
【0091】
図4において、(a)は各幅計での実績値と目標値、(b)は各ルーパへの張力操作出力、(c)は各ルーパへの張力実績値であり、それぞれの時間的変化を示している。なお、図4(a)の各幅計での実績値と目標値は、製品幅を基準にして表したものである。
【0092】
中間幅計1の圧延材先端部の実測値が分かる時点で最終幅計2における実績を予測したところ、その予測値が最終幅計2の目標設定値(2mm)より大きかったので、図4(a)に示すように、中間幅計1の目標値を−1mm変更した。そして、予め設定したルーパ配分ゲイン及び幅/張力影響係数により、図4(b)に示すように、各ルーパ3a、3b、3cの張力修正量として、Δσref3=0.55kg/mm2、Δσref4=0.6kg/mm2、Δσref5=0.4kg/mm2を求めて出力した。それにより、図4(c)に示すように、各ルーパ3a、3b、3cの張力実績値が増加した。
【0093】
その結果、図4(a)に示すように、中間幅計1の実績値が−1mm変化し、これにより最終幅計2の実績が目標設置値(2mm)通りに制御できたことが分かる。
【0094】
このように、本発明に係る板幅制御方法を実施すれば、中間幅計の実績が分かる時点(コイラーに巻取り前)から圧延材先端部の板幅制御が行えるので、圧延材のバー内幅変動を抑制できとともに、圧延材のバー間の余幅バラツキの低減も実現できるなど、大きな板幅歩留まり向上効果が期待できる。
【0095】
【発明の効果】
本発明では、圧延材先端部が中間幅計を通過した時点で、圧延材先端部の中間幅計での実績値から最終幅計の実績を予測し、この予測値と最終幅計の目標設定値との差を無くすように中間幅計の目標値を変更しているので、圧延材先端部を含めた高精度な最終板幅値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における制御系構成図である。
【図2】本発明の実施形態における幅縮み量学習装置での処理流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における制御系での処理流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例を示す図である。
【図5】特願2002−008558号の幅制御方法における制御系構成図である。
【図6】特願2002−008558号の幅制御方法における制御効果を示す説明図である。
【図7】従来技術における制御系構成図である。
【図8】従来技術における幅計目標値設定方法のイメージ図である。
【符号の説明】
1:中間幅計
2:最終幅計
3a、3b、3c:ルーパ
4:板速度計
5:板厚計
6:幅データ収集装置
7:幅縮み量学習装置
8:学習データ保存装置
9:バッファー
10:中間幅計目標変更算出装置
11:制御出力装置
Claims (3)
- 複数スタンドを有し、任意のスタンド間または最終スタンド出側に中間幅計を備え、巻取り装置直前に最終幅計を備えた熱間仕上げ圧延機における板幅制御方法であって、圧延材先端部が中間幅計を通過した時点で、圧延材先端部の中間幅計での幅実測値に中間幅計から最終幅計の間での幅変形補正量を加算することによって最終幅計での実績を予測し、この予測値と最終幅計の目標設定値との差を無くすように中間幅計の目標設定値を変更することを特徴とする熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法。
- 請求項1に記載の熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法において、圧延材先端部の中間幅計での幅実測値から最終幅計での実績を予測する際に用いる幅変形補正量を、先行圧延材の実績または過去の圧延材の実績を用いて学習することにより得ることを特徴とする熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法。
- 請求項1または請求項2に記載の熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法において、中間幅計の目標設定値を変更した後、熱間仕上げ圧延機に備えられたルーパの目標張力を変更することによって、中間幅計の幅実測値と中間幅計の目標設定値との差が無くなるように制御することを特徴とする熱間仕上げ圧延機の板幅制御方法。
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