JP2004125216A - 冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空断熱材を高被覆率で適用しても箱体強度として問題がなく、高い断熱性能を有する冷蔵庫を提供する。
【解決手段】真空断熱材41、42、44を、冷蔵庫21の両側面、天面、背面、に対しては外箱23に接し配設し、底面には真空断熱材43を内箱に接し配設したことにより、省エネルギー効果を高めることができる。また、真空断熱材43の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材43の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材43を内箱に接し配設することで、作業性、信頼性が向上する。
【選択図】 図2
【解決手段】真空断熱材41、42、44を、冷蔵庫21の両側面、天面、背面、に対しては外箱23に接し配設し、底面には真空断熱材43を内箱に接し配設したことにより、省エネルギー効果を高めることができる。また、真空断熱材43の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材43の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材43を内箱に接し配設することで、作業性、信頼性が向上する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空断熱材を備えた冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵庫の省エネルギー化や省スペース化を狙いに、冷蔵庫の断熱性能を高める一手段として、高断熱性能を有する真空断熱材を利用する方法があり、省エネルギーの要請が益々高まる今日では、硬質ウレタンフォームと比較して数倍から10倍程度の断熱性能を有する真空断熱材を適切な範囲内で最大限に利用することにより断熱性能を向上させていくことが急務であるといえる。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫について説明する。図7は上記従来の冷蔵庫の側面断面図を示すものである。
【0004】
図において、1は冷蔵庫本体で、外箱2と内箱3とで構成される空間全体を、成形可能な袋状の紙材4で覆い、この紙材4内部に無機多孔質からなる充填材5を充填し、内外箱2,3で囲まれた空間の形状に沿って真空断熱材6が構成されている。
【0005】
本構成により、内外箱2,3間への真空断熱材6の収納作業が容易に行えると共に内外箱2,3と真空断熱材6との隙間を塞ぐ作業などが廃止できるうえ、硬質ウレタンフォームを使用せず真空断熱材6のみで断熱箱体を構成できるため極めて高い断熱性能を確保することができる。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平6ー159922号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例に記載されている冷蔵庫では、硬質ウレタンフォームと比較して強度的に劣る真空断熱材6のみを使用した冷蔵庫であるため、断熱性能は高いものの強度的には非常に弱くなるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、真空断熱材を多く使用しても、箱体強度として問題がなく、かつ高い断熱性能を確保した冷蔵庫を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、外箱と内箱との間に硬質ウレタンフォームと真空断熱材とを備え、下部に機械室を配設した冷蔵庫において、前記真空断熱材を、冷蔵庫の両側面、天面、背面、に対しては外箱に接し配設し、底面には内箱に接し配設したものであり、真空断熱材を平面部の大きい面から配設して、真空断熱材の利用価値が高い状態で吸熱負荷量を効果的に抑え、省エネルギー効果を高めることができる。また、外箱の表面温度が高くなる底面部は真空断熱材を内箱に接し配設しているので、真空断熱材が高温にさらされることがなくなり、真空断熱性能の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材を内箱に接し配設することで、外箱底面に設ける場合に比べ作業性、信頼性が向上する。さらに、真空断熱材は、箱体を構成する外箱、内箱のいずれかに接して配置しているので、硬質ウレタンフォームの形成する空間距離を充分確保できるので、硬質ウレタンフォームの荒れや発泡不足による断熱性能の低下を引き起こすことがないばかりか、箱体強度をも維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空断熱材を配設する内箱底面に断面コの字状の複数のビードを設け、前記ビードのピッチを20mm以下としたものであり、真空断熱材貼り付けにより硬質ウレタンフォームが充填しない内箱底面部の強度を確保することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、庫内を仕切板で複数の貯蔵室に区画し、側面外箱に真空断熱材を配設する部分に位置する貯蔵室の扉スイッチを前記仕切板の前面部に設けたものであり、内箱側面に貯蔵室の扉スイッチを設けた場合に比べ側面外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、外箱の側面および天面に配設する真空断熱材には直線の溝を設け、前記真空断熱材と外箱との間に放熱パイプを配し、前記放熱パイプを前記溝に沿って配設したものであり、放熱パイプを覆いながら真空断熱材を外箱に配設することで、側面および天面の外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。また、溝を直線に設けることで、複雑な溝加工を必要とせず、真空断熱材の製造コストを低減できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、真空断熱材に設ける溝の幅は20〜50mmとしたものであり、側面外箱に配設する真空断熱材の取付バラツキを吸収でき、作業性が向上する。また、確実に放熱パイプを真空断熱材の溝部に収めることで、外箱外表面の外観変形を防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による冷蔵庫の側面断面図、図2は、同実施の形態の冷蔵庫の正面断面図、図3は、図2のA部拡大断面図、図4は、同実施の形態の冷蔵庫における真空断熱材を外箱に貼り付けた状態の展開図、図5は、図4のB部拡大断面図、図6は、同実施の形態の冷蔵庫における外箱に貼り付ける真空断熱材の斜視図である。
【0016】
図において、21は冷蔵庫本体であり、ABSなどの合成樹脂からなる内箱22と鉄板などの金属からなる外箱23とから形成される空間に硬質ウレタンフォーム24が充填されている。25は断熱区画壁で、断熱区画壁25の上部に冷蔵室26、野菜室27を、下部に冷凍室28、29を形成している。30は、冷蔵庫本体21の後部下方に配置した機械室で、内部に圧縮機31を配設している。32は冷蔵用冷却器、33は冷蔵用送風機、34は冷凍用冷却器、35は冷凍用送風機で、36は、冷蔵庫本体21の底面部に配設した凝縮器である。
【0017】
冷蔵庫本体21の前面開口部には、冷蔵室用扉37、野菜室用扉38、冷凍室用扉39、40が設けられている。41、42、43、44、45、46、47、48、49は真空断熱材で、硬質ウレタンフォーム24とともに断熱箱体50を構成している。
【0018】
ここで、真空断熱材41、42、44は、外箱23のそれぞれ天面、背面、側面の内側に接して貼り付けられている。また、真空断熱材43は、内箱22の底面に接して貼り付けられている。また、真空断熱材45は、断熱区画壁25内に配設されている。
【0019】
また、冷蔵庫本体21の前面開口部に配置する冷蔵室用扉37、野菜室用扉38、冷凍室用扉39、40の内部にはそれぞれ真空断熱材46、47、48、49を有し、各扉の内箱に接するか内箱と外箱の中間位置になるように配設されている。
【0020】
また、冷凍領域の冷凍室28、29を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材42、43、44で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜50mmの分布に、冷蔵領域の冷蔵室26,野菜室27を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材41、42、44、で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜40mmの分布としている。
【0021】
上記のように、真空断熱材を冷蔵庫本体21の両側面、天面、背面、底面、および前面の各面に配置した構成により、外箱の表面積に対して真空断熱材の被覆率が50%を超え80%以下としている。
【0022】
真空断熱材の被覆率を50%を超え80%以下としているのは、真空断熱材を多量に配設し被覆率を極限まで高めようとする場合、冷蔵庫本体21の図示しない構成部品や特別な構造がある部分(凹凸形状や配管,排水管の設置部など)では特殊な形態の真空断熱材が必要となったり、真空断熱材の貼り付け作業性が非常に悪くなる。
【0023】
このため、概ね外箱23の表面積の80%を超えて真空断熱材を配設しようとしても、上述の使用効率が悪く利用価値が飽和する箇所にまで及ぶことになり、真空断熱材の投入に対する断熱性能の向上効果が著しく低下する。
【0024】
したがって、本実施の形態のように、真空断熱材の外箱23の表面積に対する被覆率を80%にとどめることによって、真空断熱材を多量に使用していくことによる効果が飽和せず、利用価値が高い状態で吸熱負荷量を効果的に抑えることができ、省エネルギー効果を高めることができる。
【0025】
また、80%の被覆率は断熱箱体50の両側面,天面,背面,底面,および前面の各表面を概ね覆うことができる大きなサイズの真空断熱材を配設することで、貼り付け作業性も良く実現できる。
【0026】
このため、標準外の形態の真空断熱材の使用や作業効率の悪い部分への配設作業を強いられて投資効果が著しく低下することなく、この断熱箱体50を適用することによる冷蔵庫本体21のイニシャルコスト増加と省エネルギー化によるランニングコストの低減とのバランスが崩れることなく、ライフサイクルコストとしての価値を高めることができる。
【0027】
また、断熱箱体50内外の通過熱勾配の大きい箇所から配設して被覆率が外箱23の表面積の概ね50%を超える程度になれば断熱箱体の吸熱負荷量を効果的に抑えることができ、省エネルギー効果を高めることができる。
【0028】
また、図3に示すように、真空断熱材43を配設する内箱22の底面は断面コの字状の複数のビード51を設け、ビード51のピッチPを20mm以下としている。
【0029】
また、冷蔵室26と野菜室27を仕切る仕切板52の前面部には、冷蔵室用扉37の開閉を検知する扉スイッチとしてのホールIC53が設けられている。
【0030】
また、図4、5,6に示すように、外箱23の天面および両側面の内側に接して貼り付けられる真空断熱材41,44には直線の溝54が設けられている。そして溝54は、表面から溝底面に向かって傾斜部55を有し底面部で再び平面部56を形成している。そして、真空断熱材41、44の直線状に設けた溝54の幅Wは20〜50mmとしている。
【0031】
また、外箱23には冷凍サイクルの一部をなす凝縮器としての放熱パイプ57が、熱伝導性の優れた固定部材であるアルミテープ58で固定され、アルミテープ58は庫外となる機械室30の構成部まで配設されており、途中で分割もしくは孔が設けられている。そして、放熱パイプ57は溝54に埋め込むように真空断熱材44を配設している。
【0032】
真空断熱材41〜49は内部に芯材59を有し、芯材59はグラスウールなどの無機繊維集合体を加熱乾燥後、蒸着層フィルムと金属箔層フィルムを貼り合わせた外被材60の中に挿入し、内部を真空引きして開口部を封止することにより形成されている。
【0033】
ここで、芯材59として、繊維径1μm〜10μmの範囲の無機繊維集合体を使用し、硬質ウレタンフォーム24の熱伝導率を0.015W/mKとしたときに、同様の測定基準による熱伝導率が0.0015W/mKとした真空断熱材を適用している。つまり、硬質ウレタンフォーム24に比べ断熱性能が10倍高い真空断熱材を適用している。
【0034】
なお、溝54は、平板状の真空断熱材44をプレスにより後工程で形成しても、芯材59をあらかじめ溝形状に成形した後、外被材60の中に挿入し、内部を真空引きして形成してもよい。
【0035】
以上の構成において、圧縮機31、冷蔵用冷却器32、冷蔵用送風機33、冷凍用冷却器34、冷凍用送風機35、凝縮器36からなる冷却装置により、冷蔵室26、野菜室27は概ね0〜10℃、冷凍室28,29は概ね−15〜−25℃の温度に冷却される。
【0036】
そして、真空断熱材44を両側面、真空断熱材41を天面、真空断熱材42を背面、真空断熱材46、47,48,49を前面である扉体に配設し、底面には真空断熱材43を内箱22に接し配設したので、外箱23の表面温度が高くなる底面に配置した真空断熱材43が高温にさらされることがなくなり、真空断熱性能の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材43を内箱22に接し配設することで、外箱底面に設ける場合に比べ真空断熱材43の有無を確実に確認でき、作業性、信頼性が向上する。さらに、真空断熱材41、42、43、44、45は、断熱箱体50を構成する外箱23、内箱22のいずれかに接して配置しているので、硬質ウレタンフォーム24の形成する空間距離を充分確保できるので、硬質ウレタンフォームの荒れや発泡不足による断熱性能の低下を引き起こすことがないばかりか、箱体強度をも維持することができる。
【0037】
また、天面の真空断熱材41は外箱23に接して配設しているので、庫内照明用取り付け部材あるいは電線(図示せず)を内箱22の天面に取り付け可能となり、冷蔵室26の天面に照明を設けることができ、使い勝手の向上が図れる。
【0038】
また、冷凍領域の冷凍室28,29を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材42,43,44で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜50mmの分布に、冷蔵領域の冷蔵室26,野菜室27を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材41,42,44で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜40mmの分布としており、この断熱壁厚中に厚さ10〜15mmの真空断熱材が配設されるので、硬質ウレタンフォーム24の充填される厚みが最低10mm確保される。このため硬質ウレタンフォーム24の発泡時の流動性を妨げることなく、フォームの荒れや充填不良による断熱性の低下を引き起こさない。
【0039】
このように、真空断熱材の厚みを確保して断熱性を十分に発揮させながら硬質ウレタンフォーム24の断熱性も維持して複層断熱壁としての断熱性能を効果的に高めることができる。特に、庫内外の温度勾配が大きい冷凍温度領域においては一層効果的である。
【0040】
そして、冷凍室28,29の断熱壁厚を50mmを超えないようにすることで、真空断熱材の適用を比較的容積比率の小さい冷凍室28,29の内容積を外観レイアウトに影響を与えないで増加させることにも活用でき、真空断熱材の利用価値をより高めることができる。
【0041】
また、冷蔵室26,野菜室27の断熱壁厚を40mmを超えないようにすることで、庫内外の温度勾配が比較的小さい冷蔵温度領域において、真空断熱材の適用による省エネルギー化と断熱箱体50内外の内容積効率向上の効果のバランスをとることができる。
【0042】
また、真空断熱材42は背面パネルにあらかじめ配設した後、平板をコの字状に折り曲げて成形した側面および天面に接合して外箱23を形成し、外箱23形成の継ぎ目近傍に位置するように配設することで、真空断熱材42の端面を背面パネルのほぼ同等の大きさに配置でき、断熱性能が高まるとともに、真空断熱材をあらかじめ外箱23あるいは内箱22に真空断熱材を配置し箱体の組立てを行うことができるので、製造が容易となる。
【0043】
また、真空断熱材43を配設する内箱22の底面は断面コの字状の複数のビード51を設け、ビード51のピッチPを20mm以下と、従来の硬質ウレタンフォームのみで形成する場合のピッチ40〜50mmに比べ半分以下とすることで、真空断熱材43貼り付けにより硬質ウレタンフォームが充填しない内箱底面部の強度を確保することができる。
【0044】
また、冷蔵室26と野菜室27を仕切る仕切板52の前面部には、冷蔵室用扉37の開閉を検知する扉スイッチとしてのホールIC53を設けることにより、内箱22の側面に貯蔵室の扉スイッチを設けた場合に比べ障害物がない分だけ側面外箱に配設する真空断熱材44を前方まで配置でき、設置面積を大きく設定できるので断熱性能を高めることができる。
【0045】
また、外箱23の天面および両側面の内側に接して貼り付けられる真空断熱材41,44には直線の溝54を設け、放熱パイプ57を溝54に沿って配設しているので、放熱パイプ57を覆いながら真空断熱材41,44を外箱23に配設することで、側面および天面の外箱23に配設する真空断熱材41、44の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。また、溝54を直線状に設けることで、複雑な溝加工を必要とせず、真空断熱材41、44の製造コストを低減できる。
【0046】
また、真空断熱材41、44に設ける溝54の幅は20〜50mmとしたものであり、20mm以上を確保することで放熱パイプ57の外径に比べ裕度のある寸法となり、側面および天面の外箱23に配設する真空断熱材41、44の取付バラツキを吸収でき、作業性が向上する。また、確実に放熱パイプ57を真空断熱材41、44の溝部54に収めることで、外箱外表面の外観変形を防止できる。また、溝54の幅寸法を50mm以下に抑えることで無効空間を減らし断熱性能の低下を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、庫外まで配設される熱伝導性固定部材(アルミテープ)58により放熱パイプ57を外箱23内側に固定し、外箱23との間に放熱パイプ57を挟むように、真空断熱材41、44を外箱23内側に配設しているので、放熱パイプ57の熱を真空断熱材41、44で確実に断熱し、冷蔵庫内への吸熱負荷を効率的に減らすことができる。さらに、熱伝導性固定部材(アルミテープ)58が庫外まで配設されているので、放熱パイプ57と外箱23との間の空気を自由に庫外へ移動でき、空気の熱収縮による外箱23表面の凸凹や波打ちを抑えることができ、外観の美しさを維持することができる。さらに、放熱パイプ57と外箱23間の空気量を気にすることがなく、放熱パイプ57の貼付け作業が容易にできる。
【0048】
なお、外箱23内側に配設する放熱パイプ57を扁平させてもよい。この場合、放熱パイプ57と外箱23との接触面積が増加し放熱能力が高まるとともに、放熱パイプ57を扁平させたことにより真空断熱材41、44の溝54の深さを小さくでき、真空断熱材41、44の溝54形成部分の厚みが増加し、断熱性能を高めることができる。
【0049】
また、外箱23の背面に配設する真空断熱材42に対向する内箱22に硬質ウレタンフォーム24の発泡時の空気抜き用の穴を設けることが望ましい。この場合、外箱23の背面板に空気抜き用の穴を設ける必要がなく、真空断熱材42の設置面積を大きくでき断熱性能が高まる。
【0050】
また、断熱区画壁25には真空断熱材45を配設しているので、断熱区画壁25を介して冷凍室28から上部に位置する野菜室27への過冷却を防止でき、野菜室27の底面に設ける温度補償用のヒータが不要となり低コストが図れる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の冷蔵庫の発明は、外箱と内箱との間に硬質ウレタンフォームと真空断熱材とを備え、下部に機械室を配設した冷蔵庫において、前記真空断熱材を、冷蔵庫の両側面、天面、背面、に対しては外箱に接し配設し、底面には内箱に接し配設したことにより、省エネルギー効果を高めることができる。また、真空断熱性能の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材を内箱に接し配設することで、作業性、信頼性が向上する。さらに、真空断熱材は、箱体を構成する外箱、内箱のいずれかに接して配置しているので、硬質ウレタンフォームの荒れや発泡不足による断熱性能の低下を防止でき、箱体強度も維持することができる。
【0052】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空断熱材を配設する内箱底面に断面コの字状の複数のビードを設け、前記ビードのピッチを20mm以下としたことにより、真空断熱材貼り付けにより硬質ウレタンフォームが充填しない内箱底面部の強度を確保することができる。
【0053】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、庫内を仕切板で複数の貯蔵室に区画し、側面外箱に真空断熱材を配設する部分に位置する貯蔵室の扉スイッチを前記仕切板の前面部に設けたことにより、内箱側面に貯蔵室の扉スイッチを設けた場合に比べ側面外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。
【0054】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、外箱の側面および天面に配設する真空断熱材には直線の溝を設け、前記真空断熱材と外箱との間に放熱パイプを配し、前記放熱パイプを前記溝に沿って配設したことにより、側面および天面の外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。また、溝を直線に設けることで、複雑な溝加工を必要とせず、真空断熱材の製造コストを低減できる。
【0055】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、真空断熱材に設ける溝の幅は20〜50mmとしたことにより、側面外箱に配設する真空断熱材の取付バラツキを吸収でき、作業性が向上する。また、確実に放熱パイプを真空断熱材の溝部に収めることで、外箱外表面の外観変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による冷蔵庫の側面断面図
【図2】同実施の形態の冷蔵庫の正面断面図
【図3】図2のA部拡大断面図
【図4】同実施の形態の冷蔵庫における真空断熱材を外箱に貼り付けた状態の展開図
【図5】図4のB部拡大断面図
【図6】同実施の形態の冷蔵庫における外箱に貼り付ける真空断熱材の斜視図
【図7】従来の冷蔵庫の側面断面図
【符号の説明】
21 冷蔵庫
22 内箱
23 外箱
24 硬質ウレタンフォーム
30 機械室
41,42,43,44,45,46,47,48,49, 真空断熱材
51 ビード
52 仕切板
53 ホールIC
54 溝
57 放熱パイプ
P ビードのピッチ
W 溝の幅寸法
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空断熱材を備えた冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵庫の省エネルギー化や省スペース化を狙いに、冷蔵庫の断熱性能を高める一手段として、高断熱性能を有する真空断熱材を利用する方法があり、省エネルギーの要請が益々高まる今日では、硬質ウレタンフォームと比較して数倍から10倍程度の断熱性能を有する真空断熱材を適切な範囲内で最大限に利用することにより断熱性能を向上させていくことが急務であるといえる。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫について説明する。図7は上記従来の冷蔵庫の側面断面図を示すものである。
【0004】
図において、1は冷蔵庫本体で、外箱2と内箱3とで構成される空間全体を、成形可能な袋状の紙材4で覆い、この紙材4内部に無機多孔質からなる充填材5を充填し、内外箱2,3で囲まれた空間の形状に沿って真空断熱材6が構成されている。
【0005】
本構成により、内外箱2,3間への真空断熱材6の収納作業が容易に行えると共に内外箱2,3と真空断熱材6との隙間を塞ぐ作業などが廃止できるうえ、硬質ウレタンフォームを使用せず真空断熱材6のみで断熱箱体を構成できるため極めて高い断熱性能を確保することができる。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平6ー159922号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例に記載されている冷蔵庫では、硬質ウレタンフォームと比較して強度的に劣る真空断熱材6のみを使用した冷蔵庫であるため、断熱性能は高いものの強度的には非常に弱くなるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、真空断熱材を多く使用しても、箱体強度として問題がなく、かつ高い断熱性能を確保した冷蔵庫を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、外箱と内箱との間に硬質ウレタンフォームと真空断熱材とを備え、下部に機械室を配設した冷蔵庫において、前記真空断熱材を、冷蔵庫の両側面、天面、背面、に対しては外箱に接し配設し、底面には内箱に接し配設したものであり、真空断熱材を平面部の大きい面から配設して、真空断熱材の利用価値が高い状態で吸熱負荷量を効果的に抑え、省エネルギー効果を高めることができる。また、外箱の表面温度が高くなる底面部は真空断熱材を内箱に接し配設しているので、真空断熱材が高温にさらされることがなくなり、真空断熱性能の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材を内箱に接し配設することで、外箱底面に設ける場合に比べ作業性、信頼性が向上する。さらに、真空断熱材は、箱体を構成する外箱、内箱のいずれかに接して配置しているので、硬質ウレタンフォームの形成する空間距離を充分確保できるので、硬質ウレタンフォームの荒れや発泡不足による断熱性能の低下を引き起こすことがないばかりか、箱体強度をも維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空断熱材を配設する内箱底面に断面コの字状の複数のビードを設け、前記ビードのピッチを20mm以下としたものであり、真空断熱材貼り付けにより硬質ウレタンフォームが充填しない内箱底面部の強度を確保することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、庫内を仕切板で複数の貯蔵室に区画し、側面外箱に真空断熱材を配設する部分に位置する貯蔵室の扉スイッチを前記仕切板の前面部に設けたものであり、内箱側面に貯蔵室の扉スイッチを設けた場合に比べ側面外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、外箱の側面および天面に配設する真空断熱材には直線の溝を設け、前記真空断熱材と外箱との間に放熱パイプを配し、前記放熱パイプを前記溝に沿って配設したものであり、放熱パイプを覆いながら真空断熱材を外箱に配設することで、側面および天面の外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。また、溝を直線に設けることで、複雑な溝加工を必要とせず、真空断熱材の製造コストを低減できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、真空断熱材に設ける溝の幅は20〜50mmとしたものであり、側面外箱に配設する真空断熱材の取付バラツキを吸収でき、作業性が向上する。また、確実に放熱パイプを真空断熱材の溝部に収めることで、外箱外表面の外観変形を防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による冷蔵庫の側面断面図、図2は、同実施の形態の冷蔵庫の正面断面図、図3は、図2のA部拡大断面図、図4は、同実施の形態の冷蔵庫における真空断熱材を外箱に貼り付けた状態の展開図、図5は、図4のB部拡大断面図、図6は、同実施の形態の冷蔵庫における外箱に貼り付ける真空断熱材の斜視図である。
【0016】
図において、21は冷蔵庫本体であり、ABSなどの合成樹脂からなる内箱22と鉄板などの金属からなる外箱23とから形成される空間に硬質ウレタンフォーム24が充填されている。25は断熱区画壁で、断熱区画壁25の上部に冷蔵室26、野菜室27を、下部に冷凍室28、29を形成している。30は、冷蔵庫本体21の後部下方に配置した機械室で、内部に圧縮機31を配設している。32は冷蔵用冷却器、33は冷蔵用送風機、34は冷凍用冷却器、35は冷凍用送風機で、36は、冷蔵庫本体21の底面部に配設した凝縮器である。
【0017】
冷蔵庫本体21の前面開口部には、冷蔵室用扉37、野菜室用扉38、冷凍室用扉39、40が設けられている。41、42、43、44、45、46、47、48、49は真空断熱材で、硬質ウレタンフォーム24とともに断熱箱体50を構成している。
【0018】
ここで、真空断熱材41、42、44は、外箱23のそれぞれ天面、背面、側面の内側に接して貼り付けられている。また、真空断熱材43は、内箱22の底面に接して貼り付けられている。また、真空断熱材45は、断熱区画壁25内に配設されている。
【0019】
また、冷蔵庫本体21の前面開口部に配置する冷蔵室用扉37、野菜室用扉38、冷凍室用扉39、40の内部にはそれぞれ真空断熱材46、47、48、49を有し、各扉の内箱に接するか内箱と外箱の中間位置になるように配設されている。
【0020】
また、冷凍領域の冷凍室28、29を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材42、43、44で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜50mmの分布に、冷蔵領域の冷蔵室26,野菜室27を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材41、42、44、で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜40mmの分布としている。
【0021】
上記のように、真空断熱材を冷蔵庫本体21の両側面、天面、背面、底面、および前面の各面に配置した構成により、外箱の表面積に対して真空断熱材の被覆率が50%を超え80%以下としている。
【0022】
真空断熱材の被覆率を50%を超え80%以下としているのは、真空断熱材を多量に配設し被覆率を極限まで高めようとする場合、冷蔵庫本体21の図示しない構成部品や特別な構造がある部分(凹凸形状や配管,排水管の設置部など)では特殊な形態の真空断熱材が必要となったり、真空断熱材の貼り付け作業性が非常に悪くなる。
【0023】
このため、概ね外箱23の表面積の80%を超えて真空断熱材を配設しようとしても、上述の使用効率が悪く利用価値が飽和する箇所にまで及ぶことになり、真空断熱材の投入に対する断熱性能の向上効果が著しく低下する。
【0024】
したがって、本実施の形態のように、真空断熱材の外箱23の表面積に対する被覆率を80%にとどめることによって、真空断熱材を多量に使用していくことによる効果が飽和せず、利用価値が高い状態で吸熱負荷量を効果的に抑えることができ、省エネルギー効果を高めることができる。
【0025】
また、80%の被覆率は断熱箱体50の両側面,天面,背面,底面,および前面の各表面を概ね覆うことができる大きなサイズの真空断熱材を配設することで、貼り付け作業性も良く実現できる。
【0026】
このため、標準外の形態の真空断熱材の使用や作業効率の悪い部分への配設作業を強いられて投資効果が著しく低下することなく、この断熱箱体50を適用することによる冷蔵庫本体21のイニシャルコスト増加と省エネルギー化によるランニングコストの低減とのバランスが崩れることなく、ライフサイクルコストとしての価値を高めることができる。
【0027】
また、断熱箱体50内外の通過熱勾配の大きい箇所から配設して被覆率が外箱23の表面積の概ね50%を超える程度になれば断熱箱体の吸熱負荷量を効果的に抑えることができ、省エネルギー効果を高めることができる。
【0028】
また、図3に示すように、真空断熱材43を配設する内箱22の底面は断面コの字状の複数のビード51を設け、ビード51のピッチPを20mm以下としている。
【0029】
また、冷蔵室26と野菜室27を仕切る仕切板52の前面部には、冷蔵室用扉37の開閉を検知する扉スイッチとしてのホールIC53が設けられている。
【0030】
また、図4、5,6に示すように、外箱23の天面および両側面の内側に接して貼り付けられる真空断熱材41,44には直線の溝54が設けられている。そして溝54は、表面から溝底面に向かって傾斜部55を有し底面部で再び平面部56を形成している。そして、真空断熱材41、44の直線状に設けた溝54の幅Wは20〜50mmとしている。
【0031】
また、外箱23には冷凍サイクルの一部をなす凝縮器としての放熱パイプ57が、熱伝導性の優れた固定部材であるアルミテープ58で固定され、アルミテープ58は庫外となる機械室30の構成部まで配設されており、途中で分割もしくは孔が設けられている。そして、放熱パイプ57は溝54に埋め込むように真空断熱材44を配設している。
【0032】
真空断熱材41〜49は内部に芯材59を有し、芯材59はグラスウールなどの無機繊維集合体を加熱乾燥後、蒸着層フィルムと金属箔層フィルムを貼り合わせた外被材60の中に挿入し、内部を真空引きして開口部を封止することにより形成されている。
【0033】
ここで、芯材59として、繊維径1μm〜10μmの範囲の無機繊維集合体を使用し、硬質ウレタンフォーム24の熱伝導率を0.015W/mKとしたときに、同様の測定基準による熱伝導率が0.0015W/mKとした真空断熱材を適用している。つまり、硬質ウレタンフォーム24に比べ断熱性能が10倍高い真空断熱材を適用している。
【0034】
なお、溝54は、平板状の真空断熱材44をプレスにより後工程で形成しても、芯材59をあらかじめ溝形状に成形した後、外被材60の中に挿入し、内部を真空引きして形成してもよい。
【0035】
以上の構成において、圧縮機31、冷蔵用冷却器32、冷蔵用送風機33、冷凍用冷却器34、冷凍用送風機35、凝縮器36からなる冷却装置により、冷蔵室26、野菜室27は概ね0〜10℃、冷凍室28,29は概ね−15〜−25℃の温度に冷却される。
【0036】
そして、真空断熱材44を両側面、真空断熱材41を天面、真空断熱材42を背面、真空断熱材46、47,48,49を前面である扉体に配設し、底面には真空断熱材43を内箱22に接し配設したので、外箱23の表面温度が高くなる底面に配置した真空断熱材43が高温にさらされることがなくなり、真空断熱性能の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材43を内箱22に接し配設することで、外箱底面に設ける場合に比べ真空断熱材43の有無を確実に確認でき、作業性、信頼性が向上する。さらに、真空断熱材41、42、43、44、45は、断熱箱体50を構成する外箱23、内箱22のいずれかに接して配置しているので、硬質ウレタンフォーム24の形成する空間距離を充分確保できるので、硬質ウレタンフォームの荒れや発泡不足による断熱性能の低下を引き起こすことがないばかりか、箱体強度をも維持することができる。
【0037】
また、天面の真空断熱材41は外箱23に接して配設しているので、庫内照明用取り付け部材あるいは電線(図示せず)を内箱22の天面に取り付け可能となり、冷蔵室26の天面に照明を設けることができ、使い勝手の向上が図れる。
【0038】
また、冷凍領域の冷凍室28,29を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材42,43,44で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜50mmの分布に、冷蔵領域の冷蔵室26,野菜室27を囲む硬質ウレタンフォーム24と真空断熱材41,42,44で形成される断熱箱体50の断熱壁厚は、扉を除き、開口部の壁厚の薄い部分を含めて25〜40mmの分布としており、この断熱壁厚中に厚さ10〜15mmの真空断熱材が配設されるので、硬質ウレタンフォーム24の充填される厚みが最低10mm確保される。このため硬質ウレタンフォーム24の発泡時の流動性を妨げることなく、フォームの荒れや充填不良による断熱性の低下を引き起こさない。
【0039】
このように、真空断熱材の厚みを確保して断熱性を十分に発揮させながら硬質ウレタンフォーム24の断熱性も維持して複層断熱壁としての断熱性能を効果的に高めることができる。特に、庫内外の温度勾配が大きい冷凍温度領域においては一層効果的である。
【0040】
そして、冷凍室28,29の断熱壁厚を50mmを超えないようにすることで、真空断熱材の適用を比較的容積比率の小さい冷凍室28,29の内容積を外観レイアウトに影響を与えないで増加させることにも活用でき、真空断熱材の利用価値をより高めることができる。
【0041】
また、冷蔵室26,野菜室27の断熱壁厚を40mmを超えないようにすることで、庫内外の温度勾配が比較的小さい冷蔵温度領域において、真空断熱材の適用による省エネルギー化と断熱箱体50内外の内容積効率向上の効果のバランスをとることができる。
【0042】
また、真空断熱材42は背面パネルにあらかじめ配設した後、平板をコの字状に折り曲げて成形した側面および天面に接合して外箱23を形成し、外箱23形成の継ぎ目近傍に位置するように配設することで、真空断熱材42の端面を背面パネルのほぼ同等の大きさに配置でき、断熱性能が高まるとともに、真空断熱材をあらかじめ外箱23あるいは内箱22に真空断熱材を配置し箱体の組立てを行うことができるので、製造が容易となる。
【0043】
また、真空断熱材43を配設する内箱22の底面は断面コの字状の複数のビード51を設け、ビード51のピッチPを20mm以下と、従来の硬質ウレタンフォームのみで形成する場合のピッチ40〜50mmに比べ半分以下とすることで、真空断熱材43貼り付けにより硬質ウレタンフォームが充填しない内箱底面部の強度を確保することができる。
【0044】
また、冷蔵室26と野菜室27を仕切る仕切板52の前面部には、冷蔵室用扉37の開閉を検知する扉スイッチとしてのホールIC53を設けることにより、内箱22の側面に貯蔵室の扉スイッチを設けた場合に比べ障害物がない分だけ側面外箱に配設する真空断熱材44を前方まで配置でき、設置面積を大きく設定できるので断熱性能を高めることができる。
【0045】
また、外箱23の天面および両側面の内側に接して貼り付けられる真空断熱材41,44には直線の溝54を設け、放熱パイプ57を溝54に沿って配設しているので、放熱パイプ57を覆いながら真空断熱材41,44を外箱23に配設することで、側面および天面の外箱23に配設する真空断熱材41、44の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。また、溝54を直線状に設けることで、複雑な溝加工を必要とせず、真空断熱材41、44の製造コストを低減できる。
【0046】
また、真空断熱材41、44に設ける溝54の幅は20〜50mmとしたものであり、20mm以上を確保することで放熱パイプ57の外径に比べ裕度のある寸法となり、側面および天面の外箱23に配設する真空断熱材41、44の取付バラツキを吸収でき、作業性が向上する。また、確実に放熱パイプ57を真空断熱材41、44の溝部54に収めることで、外箱外表面の外観変形を防止できる。また、溝54の幅寸法を50mm以下に抑えることで無効空間を減らし断熱性能の低下を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、庫外まで配設される熱伝導性固定部材(アルミテープ)58により放熱パイプ57を外箱23内側に固定し、外箱23との間に放熱パイプ57を挟むように、真空断熱材41、44を外箱23内側に配設しているので、放熱パイプ57の熱を真空断熱材41、44で確実に断熱し、冷蔵庫内への吸熱負荷を効率的に減らすことができる。さらに、熱伝導性固定部材(アルミテープ)58が庫外まで配設されているので、放熱パイプ57と外箱23との間の空気を自由に庫外へ移動でき、空気の熱収縮による外箱23表面の凸凹や波打ちを抑えることができ、外観の美しさを維持することができる。さらに、放熱パイプ57と外箱23間の空気量を気にすることがなく、放熱パイプ57の貼付け作業が容易にできる。
【0048】
なお、外箱23内側に配設する放熱パイプ57を扁平させてもよい。この場合、放熱パイプ57と外箱23との接触面積が増加し放熱能力が高まるとともに、放熱パイプ57を扁平させたことにより真空断熱材41、44の溝54の深さを小さくでき、真空断熱材41、44の溝54形成部分の厚みが増加し、断熱性能を高めることができる。
【0049】
また、外箱23の背面に配設する真空断熱材42に対向する内箱22に硬質ウレタンフォーム24の発泡時の空気抜き用の穴を設けることが望ましい。この場合、外箱23の背面板に空気抜き用の穴を設ける必要がなく、真空断熱材42の設置面積を大きくでき断熱性能が高まる。
【0050】
また、断熱区画壁25には真空断熱材45を配設しているので、断熱区画壁25を介して冷凍室28から上部に位置する野菜室27への過冷却を防止でき、野菜室27の底面に設ける温度補償用のヒータが不要となり低コストが図れる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の冷蔵庫の発明は、外箱と内箱との間に硬質ウレタンフォームと真空断熱材とを備え、下部に機械室を配設した冷蔵庫において、前記真空断熱材を、冷蔵庫の両側面、天面、背面、に対しては外箱に接し配設し、底面には内箱に接し配設したことにより、省エネルギー効果を高めることができる。また、真空断熱性能の経時的な断熱性能の劣化を最低限に抑えることができ、真空断熱材の長期信頼性が高まる。また、底面部に真空断熱材を内箱に接し配設することで、作業性、信頼性が向上する。さらに、真空断熱材は、箱体を構成する外箱、内箱のいずれかに接して配置しているので、硬質ウレタンフォームの荒れや発泡不足による断熱性能の低下を防止でき、箱体強度も維持することができる。
【0052】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空断熱材を配設する内箱底面に断面コの字状の複数のビードを設け、前記ビードのピッチを20mm以下としたことにより、真空断熱材貼り付けにより硬質ウレタンフォームが充填しない内箱底面部の強度を確保することができる。
【0053】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、庫内を仕切板で複数の貯蔵室に区画し、側面外箱に真空断熱材を配設する部分に位置する貯蔵室の扉スイッチを前記仕切板の前面部に設けたことにより、内箱側面に貯蔵室の扉スイッチを設けた場合に比べ側面外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。
【0054】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、外箱の側面および天面に配設する真空断熱材には直線の溝を設け、前記真空断熱材と外箱との間に放熱パイプを配し、前記放熱パイプを前記溝に沿って配設したことにより、側面および天面の外箱に配設する真空断熱材の面積を大きく設定でき、断熱性能を高めることができる。また、溝を直線に設けることで、複雑な溝加工を必要とせず、真空断熱材の製造コストを低減できる。
【0055】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、真空断熱材に設ける溝の幅は20〜50mmとしたことにより、側面外箱に配設する真空断熱材の取付バラツキを吸収でき、作業性が向上する。また、確実に放熱パイプを真空断熱材の溝部に収めることで、外箱外表面の外観変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による冷蔵庫の側面断面図
【図2】同実施の形態の冷蔵庫の正面断面図
【図3】図2のA部拡大断面図
【図4】同実施の形態の冷蔵庫における真空断熱材を外箱に貼り付けた状態の展開図
【図5】図4のB部拡大断面図
【図6】同実施の形態の冷蔵庫における外箱に貼り付ける真空断熱材の斜視図
【図7】従来の冷蔵庫の側面断面図
【符号の説明】
21 冷蔵庫
22 内箱
23 外箱
24 硬質ウレタンフォーム
30 機械室
41,42,43,44,45,46,47,48,49, 真空断熱材
51 ビード
52 仕切板
53 ホールIC
54 溝
57 放熱パイプ
P ビードのピッチ
W 溝の幅寸法
Claims (5)
- 外箱と内箱との間に硬質ウレタンフォームと真空断熱材とを備え、下部に機械室を配設した冷蔵庫において、前記真空断熱材を、冷蔵庫の両側面、天面、背面、に対しては外箱に接し配設し、底面には内箱に接し配設したことを特徴とする冷蔵庫。
- 真空断熱材を配設する内箱底面に断面コの字状の複数のビードを設け、前記ビードのピッチを20mm以下としたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 庫内を仕切板で複数の貯蔵室に区画し、側面外箱に真空断熱材を配設する部分に位置する貯蔵室の扉スイッチを前記仕切板の前面部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 外箱の側面および天面に配設する真空断熱材には直線の溝を設け、前記真空断熱材と外箱との間に放熱パイプを配し、前記放熱パイプを前記溝に沿って配設したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
- 真空断熱材に設ける溝の幅は20〜50mmとしたことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
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