JP2004121886A - 有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより脱ハロゲン化処理して無害化する方法において、水素ガス発生の問題のない安全な処理物を得る。
【解決手段】有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理した後、残存する未反応還元性金属を水和処理する。
【解決手段】有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理した後、残存する未反応還元性金属を水和処理する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより脱ハロゲン化処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物の焼却によって発生する飛灰にはダイオキシン類が含まれている。このため、廃棄物焼却工場の周辺土壌は、煙突から排出される排ガスに含まれる飛灰の降下により、ダイオキシン類で汚染されている場合がある。また、電気設備の製造もしくは使用工場などの周辺土壌は、絶縁油として利用されたPCB類で汚染されている場合がある。
【0003】
これらダイオキシン類やPCB類などの多塩素化芳香族化合物は高い毒性を示すため、無害化処理する必要がある。
【0004】
また、ダイオキシン類やPCB類に限らず、洗浄剤として用いられる多塩素化エチレン類、農薬などに用いられる多塩素化フェノール、多塩素化ベンゼン、難燃剤の焼却処理によって発生する臭素化ダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物も毒性が高いことから、これらの有機ハロゲン化合物で汚染された土壌、焼却灰、焼却飛灰、海域,湖沼や河川の底質、焼却炉解体残渣等についての処理が検討されている。
【0005】
有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する技術として、次の▲1▼〜▲4▼の通り、汚染物質に還元性金属や生石灰などを加えて磨砕することによって活性化エネルギーを付与し、実質的に非加熱で還元脱ハロゲン化して無害化を図るメカノケミカル式脱ハロゲン無害化処理技術が提案されている。
【0006】
▲1▼ 有毒物質と適当な試薬の混合物に対し機械的な活性化を施し、無毒な最終生成物を生産する方法。機械的な活性化は、好ましくはボールミル等の機械ミル内で行われる(特表平8−504665)。
▲2▼ ダイオキシン汚染土壌に生石灰を加え、粉砕操作で反応物質に機械的エネルギーを与え、活性化させることにより、非加熱の状態でダイオキシン類の脱塩素無害化を図る方法(特開2000−70401)。
▲3▼ ダイオキシン汚染土壌に還元剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄又はアルミニウムなどを添加すると共に、水素供与体としてアミンなどを添加し、粉砕操作で反応物質に機械的エネルギーを与えて活性化させることにより、非加熱の状態でダイオキシン類の脱塩素無害化を図る方法(特表2001−517641)。
▲4▼ アミンの存在下でハロゲン化炭化水素を還元性金属及び水素供与化合物と反応させる方法。ハロゲン化炭化水素をリチウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛又は鉄と反応させるのが好ましい。金属の種類に応じて、還元脱ハロゲン化反応は室温から400℃の範囲で行われる(特開2000−225385)。
【0007】
【特許文献1】
特表平8−504665
【特許文献2】
特開2000−70401
【特許文献3】
特表2001−517641
【特許文献4】
特開2000−225385
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法では、次のような問題がある。
【0009】
[1] 一般に、上述のような還元性金属を用いたメカノケミカル処理による有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理では、接触効率を高く保持するために、還元性金属は大過剰添加される。このため、処理物質は、未反応の還元性金属を分散状態で含有するものとして処理工程から排出される。
【0010】
この処理物質中に残留する未反応の還元性金属は、水と接触した場合、可燃性の水素ガスを発生する。例えば、このような未反応還元性金属を含む処理物を埋め立て等で最終処分した場合、処理物中の未反応還元性金属が雨水、その他の水との接触により、可燃性の水素ガスを発生する可能性がある。水素は燃焼範囲が101kPa,20℃において、4〜75モル%と広く、燃焼性の高い気体である。しかも、水との接触で水素を発生する際、発熱を伴うため、引火の危険性がある。処理物からの水素ガス発生量は少量であるため、大気に開放された場所に処分された場合は、空気で希釈され、燃焼混合気を形成する可能性は低い。しかしながら、処理物がビット内部など、空気の流通が不十分な場所に保管もしくは処分された場合、水との接触によって発生した水素ガスが滞留して燃焼混合気を形成し、なんらかの着火源によって引火する虞がある。従って、安全管理上、処理物を処分する際、未反応還元性金属を事前に安定な形態に変化させておく必要がある。
【0011】
[2] 有機ハロゲン化合物の効率的な脱ハロゲン化のためには、反応性に富み、大きな還元力を発揮する還元性金属を用いることが有効である。しかしながら、例えばナトリウムは、取り扱いが難しく、消防法で定めるところの第三類危険物(自然発火性物質及び禁水性物質)に相当し、処理装置を耐圧防爆構造にする必要があり、設備コストが嵩む。
金属マグネシウムや金属アルミニウムは、比較的取り扱いが容易であるものの、粉末品は粉塵爆発を招く恐れがある。そのため、マグネシウムやアルミニウム粉も、その形態によっては消防法で定めるところの危険物第2類(可燃性固体)となる。
このような反応性に富む還元性金属は、保管中に空気中の酸素により酸化されたり水分で水和を受けたりすると、還元能力が低下し、脱ハロゲン化に使用した際、所期の脱ハロゲン化処理効率を得ることができない。
【0012】
[3] ダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物汚染物質を含む飛灰や土壌には、鉛等の有害な重金属類も高濃度に含まれていることが多い。従って、一般に有機ハロゲン化合物で汚染された飛灰や土壌の処理にあっては、重金属類を不溶化してその溶出を基準値以下に防止することが義務付けられている。現在、鉛の溶出に関する埋め立て判定基準は0.3mg/L以下、土壌環境基準は0.01mg/L以下と極めて低濃度に設定されている。
【0013】
飛灰や汚染土壌に含有される有害な重金属類のうち一部のもの、例えば鉛等の両性金属は、pH9以上のアルカリ性で溶出する性質を有している。このため、前述のメカノケミカル処理技術のうち▲2▼の方法では、アルカリ性の生石灰の添加によって、処理物から鉛などの有害な重金属類の溶出が促進される。
【0014】
また、▲1▼,▲3▼及び▲4▼の方法では、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、アルミニウムなどの還元性金属の添加により、処理物がアルカリ性を示すようになり、鉛などの有害な重金属類の溶出が促進される。
【0015】
即ち、前述の通り、還元性金属を用いたメカノケミカル処理による有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理では、接触効率を高く保持するために還元性金属を大過剰添加する。このように脱ハロゲン化剤として過剰量の還元性金属を用いた場合、処理物中に未反応の還元性金属が微粉状で分散混合される。このため、この処理物が水と接触した場合、未反応の還元性金属が水と反応して該処理物がアルカリ性となり、鉛等の重金属類が溶出し易くなる。このようなことから、メカノケミカル処理物を埋め立て処分した場合には、処分場が重金属類により汚染されるおそれがある。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより脱ハロゲン化処理する方法において、水素ガスの発生を防止することを第1の目的とする。
また、本発明は、その一態様として、消防法で定める危険物に該当しない還元性金属を用いて、安全に、かつ、高い脱ハロゲン化効率で処理することができる有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法を提供することを第2の目的とする。
本発明は、さらに別の一態様として、処理物からの重金属類の溶出をも防止することができる有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法を提供することを第3の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法は、有機ハロゲン化合物で汚染された有機ハロゲン化合物汚染物質に還元性金属を添加して該有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法において、脱ハロゲン化処理後に残存する還元性金属を水和処理することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、脱ハロゲン化処理後に残存する未反応の還元性金属を水和処理するため、処理物からの水素ガスの発生を防止ないし抑制することができる。
【0019】
本発明において、脱ハロゲン化処理は、有機ハロゲン化合物汚染物質に還元性金属を添加した後、粉砕等のメカノケミカル処理を施すことにより行うことが好ましい。
【0020】
還元性金属としては、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム及び鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を好適に用いることができるが、特に、下記(A)及び/又は(B)を用いることが好ましい。
(A) 粒径500μm以上の画分が20%以上で、粒径355μm未満の画分が15%未満の粒状マグネシウム
(B) 粒径150μm未満の画分が50%未満のアルミニウム粉
【0021】
即ち、比表面積の大きな微粉状のマグネシウムやアルミニウムは、反応性が著しく高く取扱いに注意を要すると共に、保管中に空気中の酸素による酸化や、水分による水和によって活性低下を招き易い。一方、(A),(B)のような比較的粒径の大きい粗粒のマグネシウムやアルミニウムは、空気中で比較的安定であり、安全に取り扱うことができる上に、活性低下速度も遅いことから、高い有効利用効率を維持することが可能となる。
【0022】
このような粗粒の還元性金属は、反応性が低いところから、必要とされる還元力の低下を招くことが懸念される。しかしながら、メカノケミカル処理は、粉砕等の機械的エネルギーを付与して固体同士の反応を促進するものであり、粗粒の還元性金属を用いても、メカノケミカル処理の過程で粉砕されて反応性の高い微粉となるため、還元反応が十分に進行する。
【0023】
本発明においては、汚染物等に対し更に重金属固定化剤を添加することが好ましく、これにより、有機ハロゲン化合物の処理と共に、重金属類を固定化することができ、処理物からの重金属類の溶出を防止することができる。
【0024】
重金属固定化剤としては、例えばリン酸系重金属固定化剤又はキレート系重金属固定化剤を用いることができ、重金属固定化剤は、脱ハロゲン化処理前、処理中又は処理後の有機ハロゲン化合物汚染物質に添加することができる。
【0025】
この場合、脱ハロゲン化処理後に残存する還元性金属を水和処理するための水として、重金属固定化剤の水溶液を添加することが好ましい。
【0026】
本発明では、必要に応じて還元性金属と共に水素供与体を添加しても良い。
【0027】
また、処理系内における、未反応還元性金属の水和処理で発生する水素ガスの濃度が爆発下限値以下となるように、該処理系内に空気又は不活性ガスを導入して水素ガスをパージすることが好ましい。
【0028】
本発明において、有機ハロゲン化合物汚染物質としては、土壌、焼却灰、焼却飛灰、海域,湖沼や河川の底質、又は焼却炉解体残渣等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。また、有機ハロゲン化合物としても、ダイオキシン類等の塩素化芳香族化合物に限らず、これら以外の各種の有機ハロゲン化合物を処理することが可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
本発明においては、有機ハロゲン化合物で汚染された物質(以下「被処理物」と称す場合がある。)に、還元性金属、好ましくはナトリウム、マグネシウム、アルミニウム及び鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の還元性金属を添加し、必要に応じ粉砕処理等のメカノケミカル処理を施し、好ましくは非加熱で有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化を行う。
【0031】
メカノケミカル処理としては、粉砕、撹拌、圧下などが例示されるが、粉砕が好適である。この粉砕を行う粉砕機としては、振動ボールミル、転動ボールミル、遊星ポットミル、ジェットミルなど微粉砕が可能なミルであればいずれも用いることができる。
【0032】
メカノケミカル処理の処理時間等は、被処理物の性状、処理量、粉砕機の機能等に応じて適宜決定される。
【0033】
なお、メカノケミカル処理において、被処理物が水分を含んでいると、還元性金属がこの水分と反応して水酸化物に変化し、その還元能力の低下を招く。従って、被処理物が水分を含む場合には、メカノケミカル処理に先立ち、加熱処理、又は生石灰などの脱水薬剤を用いて乾燥処理を施すのが好ましい。
【0034】
また、この還元性金属によるメカノケミカル処理に当たり、被処理物が土壌や飛灰などのように、そのマトリックス内に水素供与能を有する官能基(水酸基)等を有するシリカやアルミナを含む場合は、別途水素供与体を添加する必要はないが、事前に反応性評価試験を実施し、水素供与体の添加が必要である場合は、アミン、アミノアルコール、アミノ酸、糖類、多価アルコールなどの水素供与体を、別途添加しても良い。この場合、水素供与体の添加量は必要とされる水素供与能に応じて適宜決定される。
【0035】
還元性金属は、前述の如く、被処理物との接触効率を高めるために過剰添加とすることが好ましく、被処理物の性状によっても異なるが、通常は、被処理物(乾燥基準)に対して0.5〜15重量%、特に0.5〜10重量%とすることが好ましい。
【0036】
メカノケミカル処理に当たり、このように還元性金属を過剰量添加した場合、メカノケミカル処理後の処理物には、未反応の還元性金属が微粉状で分散して残存する。このような未反応還元性金属を含む処理物を埋め立て等で最終処分した場合、処理物中の未反応還元性金属が雨水、その他の水との接触により、可燃性の水素ガスを発生する可能性がある。そこで、本発明では、メカノケミカル処理後は、これらの未反応の還元性金属を水和処理する。
【0037】
未反応還元性金属の水和処理としては、処理物を水洗して濾過する方法も考えられるが、この方法では水洗容器やスラリーポンプ、脱水機などの大型装置が必要となるばかりでなく、洗浄排水の処理設備が必要となり、設備や運転費の大幅な増加をもたらす。
【0038】
還元性金属はいずれも水和物とすれば、安全な化合物となるため、洗い流すまでの必要はない。従って、未反応還元性金属の水和処理は、処理物に、水和に十分な程度の水(酸性水溶液であっても良い。)を添加して混練して、未反応還元性金属を安定な物質に変換することが好ましい。
【0039】
水和処理は、メカノケミカル処理を実施した粉砕機に水を直接添加し、混合をかねて粉砕することにより行うこともできる。この方法は、別途、水の添加混合装置を用いる必要がなく有効な方法である。しかしながら、処理対象によっては、水の添加により、粉砕時凝集して粉砕効率の低下や排出阻害を招くものもある。このような場合には、メカノケミカル処理を実施した粉砕機の後段に、剪断的に水の混合が達成されるミキサー、例えばニーダーやセメントミキサーなどの混合装置を別途設置するのが好ましい。
【0040】
この場合、水の添加混合装置内部(可能な場合は粉砕機で兼用)には水との反応で発生する水素ガス濃度が燃焼下限(4モル%)未満となるよう、空気もしくは窒素などの不活性ガスなどをパージしながら行うことが、未反応還元性金属の処理時の安全を確保する上で好ましい。
【0041】
なお、この未反応還元性金属の水和処理のための水として、酸性水溶液を用いる場合には、未反応還元性金属の水和で生じた水酸化物及び被処理物の脱水薬剤として添加した生石灰等の中和処理をも行える。この場合、酸としては硫酸、塩酸、硝酸などを用いることができ、0.01〜50重量%程度の水溶液として用いることが好ましい。
【0042】
前述の如く、未反応還元性金属の水和処理のための水の添加量は、未反応還元性金属の水和に十分な量であれば良いが、通常、脱ハロゲン化のために被処理物に添加した還元性金属の1〜3倍当量程度の水を添加することが好ましい。また、酸性水溶液を用いる場合、水分として上記の量を確保しつつ、還元性金属の水酸化物及び脱水薬剤として加えた生石灰を中和するのに必要な量の酸を加えた水溶液を調製して用いるのが好ましい。必要な酸量は、被処理物を用いた事前の予備実験で決定しておくことができる。
【0043】
このような水和処理のための水の添加混練操作は、未反応還元性金属の水和処理のみならず、処理物のベルトコンベアでの搬送や運搬車両への積み込み、最終処分場への埋め立て作業時における粉塵防止にも有効である。また、酸性水溶液を用いて処理物を中和処理した場合には、アルカリ性の浸出水発生を防止することもでき、処理物からの重金属類の溶出防止にも有効である。
【0044】
以下に、未反応還元性金属の水和処理の実施形態をより具体的に説明する。
【0045】
(1) メカノケミカル処理用の回分式粉砕機(ミル)を利用して未反応還元性金属の水和処理を行う場合(メカノケミカル処理を回分処理型の粉砕機を用いて行う場合であって、水和処理用の水の分散混合をかねて粉砕処理を実施した場合に凝集固化しない被処理物の場合)
▲1▼ 被処理物の所定量をミルに投入する。
▲2▼ 必要に応じて脱水用の生石灰を投入して、乾燥粉砕する。
▲3▼ 還元性金属の所定量をミルに投入する。
▲4▼ 必要に応じて水素供与体の所定量を投入して粉砕することにより、メカノケミカル処理する。
▲5▼ 未反応還元性金属の水和処理に必要かつ十分な量の水(又は酸性水溶液)をミルに投入し、水の分散混合と水和反応の実施を目的として粉砕を行う。
【0046】
水の添加は、全量を一度に添加しても良いが、水和反応による急激な水素の発生や、発熱によってミル内部が高温になることを避ける場合には、徐々に添加する方法が有効である。また、この時、ミル内部で発生した水素の燃焼混合気を形成しないよう、十分な量の空気又は窒素などの不活性ガスでパージすることが好ましい。
【0047】
(2) メカノケミカル処理用の回分粉砕機を用い、別途水和処理用ミキサーを用いる場合(メカノケミカル処理を回分処理型の粉砕機を用いて行う場合であって、水の分散混合をかねて粉砕処理を実施した場合に凝集固化し、粉砕効率の大幅低下や排出操作が不能となるような被処理物の場合)
▲1▼ 被処理物の所定量をミルに投入する。
▲2▼ 必要に応じて脱水用の生石灰を投入して、乾燥粉砕する。
▲3▼ 還元性金属の所定量をミルに投入する。
▲4▼ 必要に応じて水素供与体の所定量を投入して粉砕することにより、メカノケミカル処理する。
▲5▼ メカノケミカル処理物をミルから取り出し、後続の剪断型のミキサーに移し、このミキサーに未反応還元性金属の水和処理に必要かつ十分な量の水(又は酸性水溶液)を投入し、水の分散混合と水和反応の実施を目的として混合を行う。
【0048】
この時、メカノケミカル処理物は直接ミキサーに移し替えても構わないし、中間ホッパなどの容器に一度受けた後、ミキサーに移し替えても構わない。
【0049】
水の添加は、全量を一度に添加しても良いが、水和反応による急激な水素の発生や、発熱によってミキサー内部が高温になることを避ける場合には、徐々に添加する方法が有効である。また、この時、ミキサー内部で発生した水素の燃焼混合気を形成しないよう、十分な量の空気又は窒素などの不活性ガスでパージすることが好ましい。
【0050】
(3) メカノケミカル処理に連続粉砕機(ミル)を用いる場合(メカノケミカル処理を連続処理型の粉砕機を用い、この粉砕機には被処理物と還元性金属を連続的に投入しながら連続的に行う場合であって、ここに水を添加すると還元性金属の脱ハロゲン化能力の低下を招くため、別途水和反応用ミキサーを設置する場合)
▲1▼ 被処理物及び還元性金属、必要に応じて水素供与体を所定量の供給量でミルに投入して、メカノケミカル処理に必要な滞留時間で粉砕処理することにより連続的にメカノケミカル処理を行う。なお、被処理物は、必要に応じて予め乾燥処理しておく。
▲2▼ ミルから連続的に排出されるメカノケミカル処理物を後続の剪断型のミキサーに投入し、このミキサーに未反応還元性金属の水和処理に必要かつ十分な量の水(又は酸性水溶液)を投入し、水の分散混合と水和反応の実施を目的として混合を行う。
【0051】
この時、メカノケミカル処理物は直接連続的にミキサーに移し替えても構わないし、中間ホッパなどの容器に一度受けた後、ミキサーに移し替えても構わない。
【0052】
連続的に移送する場合、ミキサーは連続処理可能であることが必要であり、メカノケミカル処理物及び水を連続的にミキサーに投入して連続的に水和処理を行う。中間ホッパーで一度受けた場合には、前段のメカノケミカル処理用ミルの処理工程に影響を与えない程度の処理能力を有する回分型のミキサーを用いることも可能である。回分式の場合、水の添加は、全量を一度に添加しても良いが、水和反応による急激な水素の発生や、発熱によってミキサー内部が高温になることを避ける場合には、徐々に添加する方法が有効である。また、いずれの場合も、ミキサー内部で発生した水素の燃焼混合気を形成しないよう、十分な量の空気又は窒素などの不活性ガスでパージすることが好ましい。
【0053】
なお、上記(1)〜(3)の方法において、未反応還元性金属の水和処理を行うミル又はミキサーのガス排出口から排出される水素ガスは燃焼下限界以下の濃度であるので、大気に放出しても引火の危険はない。排ガス中に土壌の同伴が多い場合には、集塵機を介して大気放出すれば良い。また、低濃度ではあるが、可燃性水素の処理が必要な場合には、排ガス燃焼装置を用いて酸化処理した後、集塵して大気放出すれば良い。排ガス燃焼装置と集塵機の配置は、どちらが前段に設置されても構わない。
【0054】
ところで、このような還元性金属を用いる脱ハロゲン化処理において、還元性金属として用いられるマグネシウムやアルミニウムは、その形態によっては消防法で定めるところの危険物第2種(可燃性固体)となる。しかしながら、マグネシウムやアルミニウムはその粒度、形状により危険性が異なることから、総務省令で定める小ガス火炎着火試験において、10秒以内に着火し、かつ燃焼を継続するもの以外は危険物に該当しないとされている。従って、一定以上の粒径を持つ粒状マグネシウムは危険物に該当しない。また、危険物の除外規定として、マグネシウムにおいては目開きが2mmの網ふるいを通過しない塊状のもの、直径が2mm以上の棒状のものは危険物に該当しない、実際に、粒径500μm以上の画分が25%以上であって、355μm未満の画分が15%未満である粒状マグネシウム(山石金属株式会社製「Mg−10」)は、小ガス火炎着火試験の結果から非危険物として一般に流通している。
【0055】
同様に、アルミニウムにおいては目開きが150μmの網ふるいを通過するものが50%未満のものは、消防法上の危険物ではない。
【0056】
これは、前述のように、粒径が大きくなった場合、逆に比表面積(単位量当たりの表面積)が小さくなるため、反応速度は小さくなり、酸化や水和によって生じる反応熱の蓄積が、反応を連鎖促進するまでに達しないためである。
【0057】
従って、下記(A),(B)のような比較的粗粒の還元性金属粉であれば、運搬、貯蔵、反応器への供給に際して、安全に取り扱うことが可能となるため、本発明で用いる還元性金属として好適である。
(A) 粒径500μm以上の画分が20%以上で、粒径355μm未満の画分が15%未満の粒状マグネシウム
(B) 粒径150μm未満の画分が50%未満のアルミニウム粉
【0058】
反応性の低い、粗粒の還元性金属を使用することは、必要とされる還元力の低下を招くことが懸念される。しかしながら、メカノケミカル処理では、粉砕等の機械的エネルギーを付与して固体同士の反応を促進するものであり、反応性の低い粗粒の還元性金属を用いても、メカノケミカル処理の過程で粉砕されて反応性の高い微粉となるため、還元反応は十分に進行する。しかも、脱ハロゲン化反応によって還元性金属の粒子表面に生成する反応生成物の被膜を粉砕によって除去することができるため、常に活性の高い還元性金属表面を維持することができ、高い反応効率を維持可能となる。更に、表面の生成物阻害を除外しつつ、活性表面を常に更新しながら反応を行えるため、還元性金属の有効利用率も高くすることができ、処理に要する還元性金属の添加量も低く抑えることが可能となる。
【0059】
このように、反応時に還元性金属を粉砕して活性化させる場合は、反応器内には不活性な被処理物マトリックス(例えば、被処理物がダイオキシン類汚染土壌である場合、土壌自体)が還元性金属に比べて多量に存在し、大きな熱容量を付与しているため、脱ハロゲン化反応の過程で、還元性金属の脱塩素化反応や、副次的に進行する可能性のある還元性金属の空気酸化反応で生じる反応熱で大幅な温度上昇を招く恐れはない。
【0060】
また、還元性金属を比表面積が大きく、反応性の高い微粉状で貯蔵しておくと危険であるばかりでなく、貯蔵中に空気中の酸素による酸化や水分による水和反応によって性能低下する割合が飛躍的に大きくなる。そのため、使用時には、還元性が低下しているという事態が発生するが、上述のような粗粒の還元性金属を用いることは、還元性金属の貯蔵時における性能低下防止にも効果的である。
【0061】
なお、本発明において、用いる還元性金属は、前述の(A),(B)のような粗粒であれば良く、その粒径の上限については特に制限はないが、メカノケミカル処理における粉砕エネルギーや取り扱い性を考慮した場合、マグネシウムは平均粒径500〜5000μm程度であることが好ましく、アルミニウムは平均粒径150〜5000μm程度であることが好ましい。
【0062】
また、前述の如く、被処理物中に重金属類が含まれている場合、被処理物に更に重金属固定化剤を添加して脱ハロゲン化と共に、重金属類の固定化を行うことが好ましい。
【0063】
この場合、重金属固定化剤は、メカノケミカル処理前、処理中、又は処理後の任意の段階で被処理物に添加することができる。
【0064】
用いる重金属固定化剤は、無機系重金属固定化剤であっても、有機系重金属固定化剤であっても良く、無機系重金属固定化剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
【0065】
正リン酸(オルソリン酸)、ポリリン酸、メタリン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、過リン酸、第一リン酸ソーダ、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、過リン酸石灰、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等のリン酸化合物;焼き石膏、ポルトランドセメント、早強セメント、ジェットセメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメント類;各種活性白土、合成珪酸、天然珪酸加工物等の無機吸着剤;汎用の珪酸ソーダ、珪酸カリウム等の水溶性珪酸塩等の水ガラス。
【0066】
また、有機系重金属固定化剤としては、ジチオカルバミン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、ピペラジンビスジチオカルバミン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、テトラ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミンのナトリウム塩及びカリウム塩、(エチレンアミノ)ジチオカルボキシナトリウム−エチレンベンジルアミン−エチレンアミン共重合体、(エチレンアミノ)ジチオカルボキシカリウム−エチレンベンジルアミン−エチレンアミン共重合体等のキレート系重金属固定化剤等を用いることができる。
【0067】
これらの重金属固定化剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0068】
重金属固定化剤の添加量は用いる薬剤の種類や被処理物の性状により異なるが、通常の場合、無機系重金属固定化剤であれば、その添加量は被処理物(乾燥基準)に対して有効成分量として0.1〜50重量%、特に1〜20重量%とするのが好ましい。また、有機系重金属固定化剤であれば、その添加量は被処理物(乾燥基準)に対して有効成分量として0.1〜30重量%、特に1〜10重量%とするのが好ましい。
【0069】
重金属固定化剤による重金属の固定化機構は、重金属固定化剤により異なることがある。リン酸系重金属固定化剤は、鉛等の重金属類を不溶性のリン酸塩とし、更に被処理物中に存在するカルシウムと反応して長期的にはより安定な鉱物であるヒドロキシアパタイトを形成して重金属類を固定化する。また、キレート系重金属固定化剤は、鉛等の重金属類を不溶性の塩として固定化する。
【0070】
重金属固定化剤の添加時期は、用いる重金属固定化剤の性状に応じて、十分な効果が得られるように適宜決定する。即ち、無機系重金属固定化剤はメカノケミカル処理に拘わらず効果を発揮するため、メカノケミカル処理の処理前、処理中、処理後のいずれでも良い。一方、有機系重金属固定化剤の中にはメカノケミカル処理により一部が分解することにより、重金属固定化効果が損なわれるものがある。この場合には、添加量を多くするか、メカノケミカル処理後に添加することが望ましく、添加量を多くする経済性を考えた場合、メカノケミカル処理後に添加することが望ましい。
【0071】
リン酸塩などのように固体状で添加可能な重金属固定化剤の場合、還元性金属等を加えてメカノケミカル処理する粉砕機に直接加えることができる。この場合、粉砕機の効果で薬剤の分散混合効果を得ることができ、好都合である。重金属固定化剤の添加は還元性金属の供給時でもメカノケミカル処理中でも構わない。
【0072】
重金属固定化剤としてのキレート剤やリン酸塩などを水溶液として用いる場合、水溶液の水が還元性金属と反応して水酸化物となり、還元能力の低下を招く。従って、水溶液系の重金属固定化剤を用いる場合は、還元性金属によるメカノケミカル処理で脱ハロゲン化反応を終えた後に添加することが望ましい。
【0073】
なお、重金属固定化剤を水溶液として用いる場合、重金属固定化剤量は、被処理物質中に含まれる重金属濃度に応じて決定される。一方、水は被処理物質の飛散を防止したり、ベレット化することによってハンドリングを容易としたりするために必要な量として決定される。従って、重金属固定化剤を水溶液として添加する場合、上記の各々の要求を満足するような量で水溶液を調製しておけばよい。あるいは、重金属固定化処理装置の前段にラインミキサーなどを設置し、その入口において適当な量の重金属固定化剤と、水を供給し、その場で水溶液とするような方法も採用することができる。また、重金属固定化処理装置に重金属固定化剤及び水の必要量を別々に供給し、装置内部の混合機構を利用して分散させることも可能である。
【0074】
このようにして重金属固定化剤を添加することにより、還元性金属により溶出が促進される鉛等の重金属類を固定化し、その溶出を確実に防止することができる。
【0075】
水の添加は、重金属固定化剤としてリン酸系重金属固定化剤を用いた場合には、重金属の不溶性塩を生成させる効果も持つ。
【0076】
なお、重金属固定化剤を水溶液としてメカノケミカル処理後に添加する場合、重金属類の固定化と前述の水添加による未反応還元性金属の水和処理とを兼用することができ、好ましい。
【0077】
【実施例】
以下に比較例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0078】
なお、以下において、試料土壌としては、国内で採取した実際のダイオキシン汚染土壌(含水率5%,ダイオキシン類濃度685,000pg/g)を用いた。また、試料飛灰としては、自治体の焼却炉から採取した飛灰(ダイオキシン類濃度300,000pg/g,含水率0.1%以下)を用いた。
【0079】
比較例1
試料土壌50g(乾燥基準)に、脱水剤として生石灰10gを加え、乾燥を目的として遊星ボールミルにて、非加熱で15分間粉砕した。この乾燥処理後の試料に、還元性金属として金属マグネシウムのグラニュールを3g添加し、同じ遊星ボールミルで非加熱のまま2時間粉砕してメカノケミカル処理を行った。メカノケミカル処理後、粉砕による摩擦によって、ミル内の温度は68℃に上昇していた。
【0080】
得られた処理土壌についてダイオキシン類濃度を分析したところ、表1に示すように、約96%のダイオキシン類分解率を得た(添加薬剤の希釈結果を除く)。
【0081】
【表1】
【0082】
なお、この処理土壌に環境庁告示第46号に定める溶出試験を実施したところ、表2のように環境基準を上回る結果となった。
【0083】
【表2】
【0084】
このメカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡の発生が観察された。この気泡を水で置換したメスシリンダーで捕集し、窒素ガスで希釈した後、ガス検知器を用いて吸引したところ、水素ガスであることが確認された。従って、処理土壌をこのまま埋め立てると水素爆発等の危険性があることがわかった。
【0085】
実施例1
比較例1と同様にしてメカノケミカル処理を実施した処理土壌50gと水8gとをミキサーに投入し、未反応マグネシウムの水和処理を目的として、3分間撹拌混合を行った。添加した水量は未反応で残存するマグネシウムの水和反応を完遂するのに十分な量である。なお、水和処理後の処理物の外観は水和処理前の土壌と同等であった。
【0086】
水和処理後の処理物を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことは、水との混練によって未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことを示している。
【0087】
実施例2
実施例1と同様にメカノケミカル処理を実施した処理土壌50gと、水8gに0.15モルの硫酸を溶解した酸性水溶液とをミキサーに投入し、未反応マグネシウムの水和処理を目的として、3分間撹拌混合を行った。添加した水量は未反応で残存するマグネシウムの水和反応を完遂するのに十分な量である。
【0088】
水和処理後の処理物を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことは、硫酸水溶液との混練によって未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことを示している。
【0089】
実施例3
比較例1において、金属マグネシウム3gと共に、重金属固定化剤としてリン酸水素ナトリウムNaH2PO4を3g添加したこと以外は同様にしてメカノケミカル処理を行った。このメカノケミカル処理後、粉砕による摩擦によって、ミル内の温度は70℃に上昇していた。
【0090】
得られた処理土壌についてダイオキシン類濃度を分析したところ、表3のように、比較例1と同等のダイオキシン類分解効果が得られた。
【0091】
【表3】
【0092】
また、この処理土壌に環境庁告示第46号に定める溶出試験を実施したところ、表4に示すように重金属の溶出も環境基準を満足することが確認された。
【0093】
【表4】
【0094】
なお、メカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡の発生が観察されたが、処理土壌10gと水1.5gとを混練したものを水中に投入したところ、ここでは微細な気泡の発生は確認されず、水との混練によって、未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことが確認された。
【0095】
実施例4
比較例1と同様にして、メカノケミカル処理を行った後、ジチオカルバミン酸ナトリウムの15%水溶液20g(有効成分量として3g相当)を処理物と共にミキサー内に投入し、混合を目的に3分間撹拌混合を行った。このとき添加された水の量は17gであり、未反応で残存するマグネシウムの水和反応を起こすのに十分な水を提供している。なお、ミキサー内は窒素ガスを流通することにより、水和反応で発生する水素ガスをパージするようにした。
【0096】
混合後の処理土壌を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表5,6に示す通り、ダイオキシンの分解と共に、重金属の溶出防止も達成されていることが確認された。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
なお、処理土壌を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことから、金属マグネシウムはすべて水和しており、水素の発生が起きなくなっているといえる。
【0100】
実施例5
比較例1と同様にして、メカノケミカル処理を行った後、正リン酸の20%水溶液20g(有効成分量として4g相当)を処理物と共にミキサー内に投入し、混合を目的に3分間撹拌混合を行った。このとき添加された水の量は16gであり、未反応で残存するマグネシウムの水和反応を起こすのに十分な水を提供している。なお、ミキサー内は窒素ガスを流通することにより、水和反応で発生する水素ガスをパージするようにした。
【0101】
混合後の処理土壌を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表7,8に示す通り、ダイオキシンの分解と共に、重金属の溶出防止も達成されていることが確認された。
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
なお、処理土壌を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことから、金属マグネシウムはすべて水和しており、水素の発生が起きなくなっているといえる。
【0105】
比較例2
比較例1において、金属マグネシウムのグラニュールを3gと共に、水素供与体としてアミノ酸塩であるリシン塩酸塩を3g添加したこと以外は同様にしてメカノケミカル処理を行った。
【0106】
混合後の処理土壌を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表9,10に示す通り、ダイオキシン類の分解は確認されたが、重金属の溶出は環境基準を上回る結果となった。
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】
【0109】
このメカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡が発生し、水素ガスが発生していることが確認された。
【0110】
実施例6
比較例2において、金属マグネシウムのグラニュールを3g及び水素供与体としてのリシン塩酸塩3gと共に、重金属固定化剤としてリン酸水素ナトリウムNaH2PO4を3g添加したこと以外は同様にしてメカノケミカル処理を行った。
【0111】
得られた処理土壌についてダイオキシン類濃度を分析したところ、表11のように、比較例2と同等のダイオキシン類分解効果が得られた。
【0112】
また、この処理土壌に環境庁告示第46号に定める溶出試験を実施したところ、表12に示すように重金属の溶出も環境基準を満足することが確認された。
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】
なお、メカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡の発生が観察されたが、処理土壌10gと水1.5gとを混練したものを水中に投入したところ、ここでは微細な気泡の発生は確認されず、水との混練によって、未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことが確認された。
【0116】
比較例3
試料飛灰30gに、還元性金属として2gの金属マグネシウムを添加し、遊星ボールミルで非加熱のまま3時間粉砕してメカノケミカル処理を行った。
【0117】
処理灰を取り出し、ダイオキシン類濃度分析と環境庁告示第46号溶出試験を行ったところ、表13,14に示す通り、ダイオキシン類の分解は確認されたが、重金属の溶出は環境基準を上回る結果となった。
【0118】
【表13】
【0119】
【表14】
【0120】
このメカノケミカル処理後の処理灰を多量の水に投入したところ、微細な気泡が発生し、水素ガスが発生していることが確認された。
【0121】
実施例7
比較例3と同様にしてメカノケミカル処理を行った後、正リン酸の15%水溶液20g(有効成分量として3g相当)を処理物と共にミキサー内に投入し、混合を目的に3分間撹拌混合を行った。このとき添加された水の量は17gであり、未反応で残存するマグネシウムの水和反応を起こすのに十分な水を提供している。なお、ミキサー内は窒素ガスを流通することにより、水和反応で発生する水素ガスをパージするようにした。
【0122】
混合後の処理灰を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表15,16に示す通り、ダイオキシンの分解と共に、重金属の溶出防止も達成されていることが確認された。
【0123】
【表15】
【0124】
【表16】
【0125】
なお、処理灰を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生が確認されなかった。このことから、金属マグネシウムはすべて水和しており、水素の発生が起きなくなっているといえる。
【0126】
以下に還元性金属の粒度による効果を示す実施例を挙げる。
【0127】
実施例8
表17に示す2種類の粒度の金属マグネシウムを準備した。
【0128】
【表17】
【0129】
上記2種類の金属マグネシウムをバット上に薄く広げ、1週間室内に放置した。これは、粉末品が消防法上の危険物であるため、1週間空気にさらして表面を酸化させて不活性として実験に供すためである。粒状品については、粉末品と同条件とするために、同様に室内放置した。
【0130】
比較例1で用いたものと同様の試料土壌50g(乾燥基準)に、脱水剤として生石灰10gを加え、乾燥を目的として遊星ボールミルにて、非加熱で15分間粉砕した。この乾燥処理後の試料に、還元性金属として1週間室内で放置した金属マグネシウムの粒状品又は粉末品を3gそれぞれ添加し、同じ遊星ボールミルで非加熱のまま2時間粉砕してメカノケミカル処理を行った。メカノケミカル処理後、粉砕による摩擦によって、ミル内の温度は68℃に上昇していた。その後土壌と水8gをミキサーに投入し、3分間撹拌混合して水和させた。
【0131】
得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表18に示すように、粒状品では粉末品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0132】
【表18】
【0133】
実施例9
実施例8において、金属マグネシウム3gと共に、水素供与体としてリシン塩酸塩3gを添加したこと以外はそれぞれ同様にしてメカノケミカル処理と水和処理とを行い、同様に得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表19に示すように、水素供与体の添加でダイオキシン類分解効率が向上したが、いずれの場合も、粒状品では粉末品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0134】
【表19】
【0135】
実施例10
表20に示す2種類の粒度のアルミニウムを準備した。
【0136】
【表20】
【0137】
上記2種類のアルミニウムをバット上に薄く広げ、1週間室内に放置した。
【0138】
実施例8において、金属マグネシウムの代りに、この1週間室内で放置したアルミニウムの粗粒品又は微粉品を用いたこと以外は同様にしてメカノケミカル処理と水和処理とを行い、得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表21に示すように、粗粒品では微粉品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0139】
【表21】
【0140】
実施例11
実施例10において、アルミニウム3gと共に、水素供与体としてリシン塩酸塩3gを添加したこと以外はそれぞれ同様にしてメカノケミカル処理と水和処理とを行い、同様に得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表22に示すように、水素供与体の添加でダイオキシン類分解効率が向上したが、いずれの場合も、粗粒品では微粉品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0141】
【表22】
【0142】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加して脱ハロゲン化処理して無害化する方法において、残存する未反応の還元性金属を水和処理することにより、水素ガスの発生の問題のない、安全な処理物を得ることができる。
【0143】
特に、請求項4,5の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、比較的粒径の大きい金属マグネシウム又はアルミニウムを還元性金属として用いることにより、取り扱い上安全な還元性金属により高い脱ハロゲン化効率を得ることができる。
【0144】
また、請求項6〜9の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、脱ハロゲン化処理と共に、重金属類の固定化をも行って、処理物からの重金属類の溶出を確実に防止することができ、特に、請求項9の方法によれば、この重金属固定化処理と未反応還元性金属の水和処理とを同時に行うことができる。
【0145】
請求項10の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、水素供与体の添加により、より一層高い脱ハロゲン化効率を得ることができる。
【0146】
請求項11の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、未反応還元性金属の水和処理中の安全性を高めることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより脱ハロゲン化処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物の焼却によって発生する飛灰にはダイオキシン類が含まれている。このため、廃棄物焼却工場の周辺土壌は、煙突から排出される排ガスに含まれる飛灰の降下により、ダイオキシン類で汚染されている場合がある。また、電気設備の製造もしくは使用工場などの周辺土壌は、絶縁油として利用されたPCB類で汚染されている場合がある。
【0003】
これらダイオキシン類やPCB類などの多塩素化芳香族化合物は高い毒性を示すため、無害化処理する必要がある。
【0004】
また、ダイオキシン類やPCB類に限らず、洗浄剤として用いられる多塩素化エチレン類、農薬などに用いられる多塩素化フェノール、多塩素化ベンゼン、難燃剤の焼却処理によって発生する臭素化ダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物も毒性が高いことから、これらの有機ハロゲン化合物で汚染された土壌、焼却灰、焼却飛灰、海域,湖沼や河川の底質、焼却炉解体残渣等についての処理が検討されている。
【0005】
有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する技術として、次の▲1▼〜▲4▼の通り、汚染物質に還元性金属や生石灰などを加えて磨砕することによって活性化エネルギーを付与し、実質的に非加熱で還元脱ハロゲン化して無害化を図るメカノケミカル式脱ハロゲン無害化処理技術が提案されている。
【0006】
▲1▼ 有毒物質と適当な試薬の混合物に対し機械的な活性化を施し、無毒な最終生成物を生産する方法。機械的な活性化は、好ましくはボールミル等の機械ミル内で行われる(特表平8−504665)。
▲2▼ ダイオキシン汚染土壌に生石灰を加え、粉砕操作で反応物質に機械的エネルギーを与え、活性化させることにより、非加熱の状態でダイオキシン類の脱塩素無害化を図る方法(特開2000−70401)。
▲3▼ ダイオキシン汚染土壌に還元剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄又はアルミニウムなどを添加すると共に、水素供与体としてアミンなどを添加し、粉砕操作で反応物質に機械的エネルギーを与えて活性化させることにより、非加熱の状態でダイオキシン類の脱塩素無害化を図る方法(特表2001−517641)。
▲4▼ アミンの存在下でハロゲン化炭化水素を還元性金属及び水素供与化合物と反応させる方法。ハロゲン化炭化水素をリチウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛又は鉄と反応させるのが好ましい。金属の種類に応じて、還元脱ハロゲン化反応は室温から400℃の範囲で行われる(特開2000−225385)。
【0007】
【特許文献1】
特表平8−504665
【特許文献2】
特開2000−70401
【特許文献3】
特表2001−517641
【特許文献4】
特開2000−225385
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法では、次のような問題がある。
【0009】
[1] 一般に、上述のような還元性金属を用いたメカノケミカル処理による有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理では、接触効率を高く保持するために、還元性金属は大過剰添加される。このため、処理物質は、未反応の還元性金属を分散状態で含有するものとして処理工程から排出される。
【0010】
この処理物質中に残留する未反応の還元性金属は、水と接触した場合、可燃性の水素ガスを発生する。例えば、このような未反応還元性金属を含む処理物を埋め立て等で最終処分した場合、処理物中の未反応還元性金属が雨水、その他の水との接触により、可燃性の水素ガスを発生する可能性がある。水素は燃焼範囲が101kPa,20℃において、4〜75モル%と広く、燃焼性の高い気体である。しかも、水との接触で水素を発生する際、発熱を伴うため、引火の危険性がある。処理物からの水素ガス発生量は少量であるため、大気に開放された場所に処分された場合は、空気で希釈され、燃焼混合気を形成する可能性は低い。しかしながら、処理物がビット内部など、空気の流通が不十分な場所に保管もしくは処分された場合、水との接触によって発生した水素ガスが滞留して燃焼混合気を形成し、なんらかの着火源によって引火する虞がある。従って、安全管理上、処理物を処分する際、未反応還元性金属を事前に安定な形態に変化させておく必要がある。
【0011】
[2] 有機ハロゲン化合物の効率的な脱ハロゲン化のためには、反応性に富み、大きな還元力を発揮する還元性金属を用いることが有効である。しかしながら、例えばナトリウムは、取り扱いが難しく、消防法で定めるところの第三類危険物(自然発火性物質及び禁水性物質)に相当し、処理装置を耐圧防爆構造にする必要があり、設備コストが嵩む。
金属マグネシウムや金属アルミニウムは、比較的取り扱いが容易であるものの、粉末品は粉塵爆発を招く恐れがある。そのため、マグネシウムやアルミニウム粉も、その形態によっては消防法で定めるところの危険物第2類(可燃性固体)となる。
このような反応性に富む還元性金属は、保管中に空気中の酸素により酸化されたり水分で水和を受けたりすると、還元能力が低下し、脱ハロゲン化に使用した際、所期の脱ハロゲン化処理効率を得ることができない。
【0012】
[3] ダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物汚染物質を含む飛灰や土壌には、鉛等の有害な重金属類も高濃度に含まれていることが多い。従って、一般に有機ハロゲン化合物で汚染された飛灰や土壌の処理にあっては、重金属類を不溶化してその溶出を基準値以下に防止することが義務付けられている。現在、鉛の溶出に関する埋め立て判定基準は0.3mg/L以下、土壌環境基準は0.01mg/L以下と極めて低濃度に設定されている。
【0013】
飛灰や汚染土壌に含有される有害な重金属類のうち一部のもの、例えば鉛等の両性金属は、pH9以上のアルカリ性で溶出する性質を有している。このため、前述のメカノケミカル処理技術のうち▲2▼の方法では、アルカリ性の生石灰の添加によって、処理物から鉛などの有害な重金属類の溶出が促進される。
【0014】
また、▲1▼,▲3▼及び▲4▼の方法では、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、アルミニウムなどの還元性金属の添加により、処理物がアルカリ性を示すようになり、鉛などの有害な重金属類の溶出が促進される。
【0015】
即ち、前述の通り、還元性金属を用いたメカノケミカル処理による有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理では、接触効率を高く保持するために還元性金属を大過剰添加する。このように脱ハロゲン化剤として過剰量の還元性金属を用いた場合、処理物中に未反応の還元性金属が微粉状で分散混合される。このため、この処理物が水と接触した場合、未反応の還元性金属が水と反応して該処理物がアルカリ性となり、鉛等の重金属類が溶出し易くなる。このようなことから、メカノケミカル処理物を埋め立て処分した場合には、処分場が重金属類により汚染されるおそれがある。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加してメカノケミカル処理することにより脱ハロゲン化処理する方法において、水素ガスの発生を防止することを第1の目的とする。
また、本発明は、その一態様として、消防法で定める危険物に該当しない還元性金属を用いて、安全に、かつ、高い脱ハロゲン化効率で処理することができる有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法を提供することを第2の目的とする。
本発明は、さらに別の一態様として、処理物からの重金属類の溶出をも防止することができる有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法を提供することを第3の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法は、有機ハロゲン化合物で汚染された有機ハロゲン化合物汚染物質に還元性金属を添加して該有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法において、脱ハロゲン化処理後に残存する還元性金属を水和処理することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、脱ハロゲン化処理後に残存する未反応の還元性金属を水和処理するため、処理物からの水素ガスの発生を防止ないし抑制することができる。
【0019】
本発明において、脱ハロゲン化処理は、有機ハロゲン化合物汚染物質に還元性金属を添加した後、粉砕等のメカノケミカル処理を施すことにより行うことが好ましい。
【0020】
還元性金属としては、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム及び鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を好適に用いることができるが、特に、下記(A)及び/又は(B)を用いることが好ましい。
(A) 粒径500μm以上の画分が20%以上で、粒径355μm未満の画分が15%未満の粒状マグネシウム
(B) 粒径150μm未満の画分が50%未満のアルミニウム粉
【0021】
即ち、比表面積の大きな微粉状のマグネシウムやアルミニウムは、反応性が著しく高く取扱いに注意を要すると共に、保管中に空気中の酸素による酸化や、水分による水和によって活性低下を招き易い。一方、(A),(B)のような比較的粒径の大きい粗粒のマグネシウムやアルミニウムは、空気中で比較的安定であり、安全に取り扱うことができる上に、活性低下速度も遅いことから、高い有効利用効率を維持することが可能となる。
【0022】
このような粗粒の還元性金属は、反応性が低いところから、必要とされる還元力の低下を招くことが懸念される。しかしながら、メカノケミカル処理は、粉砕等の機械的エネルギーを付与して固体同士の反応を促進するものであり、粗粒の還元性金属を用いても、メカノケミカル処理の過程で粉砕されて反応性の高い微粉となるため、還元反応が十分に進行する。
【0023】
本発明においては、汚染物等に対し更に重金属固定化剤を添加することが好ましく、これにより、有機ハロゲン化合物の処理と共に、重金属類を固定化することができ、処理物からの重金属類の溶出を防止することができる。
【0024】
重金属固定化剤としては、例えばリン酸系重金属固定化剤又はキレート系重金属固定化剤を用いることができ、重金属固定化剤は、脱ハロゲン化処理前、処理中又は処理後の有機ハロゲン化合物汚染物質に添加することができる。
【0025】
この場合、脱ハロゲン化処理後に残存する還元性金属を水和処理するための水として、重金属固定化剤の水溶液を添加することが好ましい。
【0026】
本発明では、必要に応じて還元性金属と共に水素供与体を添加しても良い。
【0027】
また、処理系内における、未反応還元性金属の水和処理で発生する水素ガスの濃度が爆発下限値以下となるように、該処理系内に空気又は不活性ガスを導入して水素ガスをパージすることが好ましい。
【0028】
本発明において、有機ハロゲン化合物汚染物質としては、土壌、焼却灰、焼却飛灰、海域,湖沼や河川の底質、又は焼却炉解体残渣等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。また、有機ハロゲン化合物としても、ダイオキシン類等の塩素化芳香族化合物に限らず、これら以外の各種の有機ハロゲン化合物を処理することが可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
本発明においては、有機ハロゲン化合物で汚染された物質(以下「被処理物」と称す場合がある。)に、還元性金属、好ましくはナトリウム、マグネシウム、アルミニウム及び鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の還元性金属を添加し、必要に応じ粉砕処理等のメカノケミカル処理を施し、好ましくは非加熱で有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化を行う。
【0031】
メカノケミカル処理としては、粉砕、撹拌、圧下などが例示されるが、粉砕が好適である。この粉砕を行う粉砕機としては、振動ボールミル、転動ボールミル、遊星ポットミル、ジェットミルなど微粉砕が可能なミルであればいずれも用いることができる。
【0032】
メカノケミカル処理の処理時間等は、被処理物の性状、処理量、粉砕機の機能等に応じて適宜決定される。
【0033】
なお、メカノケミカル処理において、被処理物が水分を含んでいると、還元性金属がこの水分と反応して水酸化物に変化し、その還元能力の低下を招く。従って、被処理物が水分を含む場合には、メカノケミカル処理に先立ち、加熱処理、又は生石灰などの脱水薬剤を用いて乾燥処理を施すのが好ましい。
【0034】
また、この還元性金属によるメカノケミカル処理に当たり、被処理物が土壌や飛灰などのように、そのマトリックス内に水素供与能を有する官能基(水酸基)等を有するシリカやアルミナを含む場合は、別途水素供与体を添加する必要はないが、事前に反応性評価試験を実施し、水素供与体の添加が必要である場合は、アミン、アミノアルコール、アミノ酸、糖類、多価アルコールなどの水素供与体を、別途添加しても良い。この場合、水素供与体の添加量は必要とされる水素供与能に応じて適宜決定される。
【0035】
還元性金属は、前述の如く、被処理物との接触効率を高めるために過剰添加とすることが好ましく、被処理物の性状によっても異なるが、通常は、被処理物(乾燥基準)に対して0.5〜15重量%、特に0.5〜10重量%とすることが好ましい。
【0036】
メカノケミカル処理に当たり、このように還元性金属を過剰量添加した場合、メカノケミカル処理後の処理物には、未反応の還元性金属が微粉状で分散して残存する。このような未反応還元性金属を含む処理物を埋め立て等で最終処分した場合、処理物中の未反応還元性金属が雨水、その他の水との接触により、可燃性の水素ガスを発生する可能性がある。そこで、本発明では、メカノケミカル処理後は、これらの未反応の還元性金属を水和処理する。
【0037】
未反応還元性金属の水和処理としては、処理物を水洗して濾過する方法も考えられるが、この方法では水洗容器やスラリーポンプ、脱水機などの大型装置が必要となるばかりでなく、洗浄排水の処理設備が必要となり、設備や運転費の大幅な増加をもたらす。
【0038】
還元性金属はいずれも水和物とすれば、安全な化合物となるため、洗い流すまでの必要はない。従って、未反応還元性金属の水和処理は、処理物に、水和に十分な程度の水(酸性水溶液であっても良い。)を添加して混練して、未反応還元性金属を安定な物質に変換することが好ましい。
【0039】
水和処理は、メカノケミカル処理を実施した粉砕機に水を直接添加し、混合をかねて粉砕することにより行うこともできる。この方法は、別途、水の添加混合装置を用いる必要がなく有効な方法である。しかしながら、処理対象によっては、水の添加により、粉砕時凝集して粉砕効率の低下や排出阻害を招くものもある。このような場合には、メカノケミカル処理を実施した粉砕機の後段に、剪断的に水の混合が達成されるミキサー、例えばニーダーやセメントミキサーなどの混合装置を別途設置するのが好ましい。
【0040】
この場合、水の添加混合装置内部(可能な場合は粉砕機で兼用)には水との反応で発生する水素ガス濃度が燃焼下限(4モル%)未満となるよう、空気もしくは窒素などの不活性ガスなどをパージしながら行うことが、未反応還元性金属の処理時の安全を確保する上で好ましい。
【0041】
なお、この未反応還元性金属の水和処理のための水として、酸性水溶液を用いる場合には、未反応還元性金属の水和で生じた水酸化物及び被処理物の脱水薬剤として添加した生石灰等の中和処理をも行える。この場合、酸としては硫酸、塩酸、硝酸などを用いることができ、0.01〜50重量%程度の水溶液として用いることが好ましい。
【0042】
前述の如く、未反応還元性金属の水和処理のための水の添加量は、未反応還元性金属の水和に十分な量であれば良いが、通常、脱ハロゲン化のために被処理物に添加した還元性金属の1〜3倍当量程度の水を添加することが好ましい。また、酸性水溶液を用いる場合、水分として上記の量を確保しつつ、還元性金属の水酸化物及び脱水薬剤として加えた生石灰を中和するのに必要な量の酸を加えた水溶液を調製して用いるのが好ましい。必要な酸量は、被処理物を用いた事前の予備実験で決定しておくことができる。
【0043】
このような水和処理のための水の添加混練操作は、未反応還元性金属の水和処理のみならず、処理物のベルトコンベアでの搬送や運搬車両への積み込み、最終処分場への埋め立て作業時における粉塵防止にも有効である。また、酸性水溶液を用いて処理物を中和処理した場合には、アルカリ性の浸出水発生を防止することもでき、処理物からの重金属類の溶出防止にも有効である。
【0044】
以下に、未反応還元性金属の水和処理の実施形態をより具体的に説明する。
【0045】
(1) メカノケミカル処理用の回分式粉砕機(ミル)を利用して未反応還元性金属の水和処理を行う場合(メカノケミカル処理を回分処理型の粉砕機を用いて行う場合であって、水和処理用の水の分散混合をかねて粉砕処理を実施した場合に凝集固化しない被処理物の場合)
▲1▼ 被処理物の所定量をミルに投入する。
▲2▼ 必要に応じて脱水用の生石灰を投入して、乾燥粉砕する。
▲3▼ 還元性金属の所定量をミルに投入する。
▲4▼ 必要に応じて水素供与体の所定量を投入して粉砕することにより、メカノケミカル処理する。
▲5▼ 未反応還元性金属の水和処理に必要かつ十分な量の水(又は酸性水溶液)をミルに投入し、水の分散混合と水和反応の実施を目的として粉砕を行う。
【0046】
水の添加は、全量を一度に添加しても良いが、水和反応による急激な水素の発生や、発熱によってミル内部が高温になることを避ける場合には、徐々に添加する方法が有効である。また、この時、ミル内部で発生した水素の燃焼混合気を形成しないよう、十分な量の空気又は窒素などの不活性ガスでパージすることが好ましい。
【0047】
(2) メカノケミカル処理用の回分粉砕機を用い、別途水和処理用ミキサーを用いる場合(メカノケミカル処理を回分処理型の粉砕機を用いて行う場合であって、水の分散混合をかねて粉砕処理を実施した場合に凝集固化し、粉砕効率の大幅低下や排出操作が不能となるような被処理物の場合)
▲1▼ 被処理物の所定量をミルに投入する。
▲2▼ 必要に応じて脱水用の生石灰を投入して、乾燥粉砕する。
▲3▼ 還元性金属の所定量をミルに投入する。
▲4▼ 必要に応じて水素供与体の所定量を投入して粉砕することにより、メカノケミカル処理する。
▲5▼ メカノケミカル処理物をミルから取り出し、後続の剪断型のミキサーに移し、このミキサーに未反応還元性金属の水和処理に必要かつ十分な量の水(又は酸性水溶液)を投入し、水の分散混合と水和反応の実施を目的として混合を行う。
【0048】
この時、メカノケミカル処理物は直接ミキサーに移し替えても構わないし、中間ホッパなどの容器に一度受けた後、ミキサーに移し替えても構わない。
【0049】
水の添加は、全量を一度に添加しても良いが、水和反応による急激な水素の発生や、発熱によってミキサー内部が高温になることを避ける場合には、徐々に添加する方法が有効である。また、この時、ミキサー内部で発生した水素の燃焼混合気を形成しないよう、十分な量の空気又は窒素などの不活性ガスでパージすることが好ましい。
【0050】
(3) メカノケミカル処理に連続粉砕機(ミル)を用いる場合(メカノケミカル処理を連続処理型の粉砕機を用い、この粉砕機には被処理物と還元性金属を連続的に投入しながら連続的に行う場合であって、ここに水を添加すると還元性金属の脱ハロゲン化能力の低下を招くため、別途水和反応用ミキサーを設置する場合)
▲1▼ 被処理物及び還元性金属、必要に応じて水素供与体を所定量の供給量でミルに投入して、メカノケミカル処理に必要な滞留時間で粉砕処理することにより連続的にメカノケミカル処理を行う。なお、被処理物は、必要に応じて予め乾燥処理しておく。
▲2▼ ミルから連続的に排出されるメカノケミカル処理物を後続の剪断型のミキサーに投入し、このミキサーに未反応還元性金属の水和処理に必要かつ十分な量の水(又は酸性水溶液)を投入し、水の分散混合と水和反応の実施を目的として混合を行う。
【0051】
この時、メカノケミカル処理物は直接連続的にミキサーに移し替えても構わないし、中間ホッパなどの容器に一度受けた後、ミキサーに移し替えても構わない。
【0052】
連続的に移送する場合、ミキサーは連続処理可能であることが必要であり、メカノケミカル処理物及び水を連続的にミキサーに投入して連続的に水和処理を行う。中間ホッパーで一度受けた場合には、前段のメカノケミカル処理用ミルの処理工程に影響を与えない程度の処理能力を有する回分型のミキサーを用いることも可能である。回分式の場合、水の添加は、全量を一度に添加しても良いが、水和反応による急激な水素の発生や、発熱によってミキサー内部が高温になることを避ける場合には、徐々に添加する方法が有効である。また、いずれの場合も、ミキサー内部で発生した水素の燃焼混合気を形成しないよう、十分な量の空気又は窒素などの不活性ガスでパージすることが好ましい。
【0053】
なお、上記(1)〜(3)の方法において、未反応還元性金属の水和処理を行うミル又はミキサーのガス排出口から排出される水素ガスは燃焼下限界以下の濃度であるので、大気に放出しても引火の危険はない。排ガス中に土壌の同伴が多い場合には、集塵機を介して大気放出すれば良い。また、低濃度ではあるが、可燃性水素の処理が必要な場合には、排ガス燃焼装置を用いて酸化処理した後、集塵して大気放出すれば良い。排ガス燃焼装置と集塵機の配置は、どちらが前段に設置されても構わない。
【0054】
ところで、このような還元性金属を用いる脱ハロゲン化処理において、還元性金属として用いられるマグネシウムやアルミニウムは、その形態によっては消防法で定めるところの危険物第2種(可燃性固体)となる。しかしながら、マグネシウムやアルミニウムはその粒度、形状により危険性が異なることから、総務省令で定める小ガス火炎着火試験において、10秒以内に着火し、かつ燃焼を継続するもの以外は危険物に該当しないとされている。従って、一定以上の粒径を持つ粒状マグネシウムは危険物に該当しない。また、危険物の除外規定として、マグネシウムにおいては目開きが2mmの網ふるいを通過しない塊状のもの、直径が2mm以上の棒状のものは危険物に該当しない、実際に、粒径500μm以上の画分が25%以上であって、355μm未満の画分が15%未満である粒状マグネシウム(山石金属株式会社製「Mg−10」)は、小ガス火炎着火試験の結果から非危険物として一般に流通している。
【0055】
同様に、アルミニウムにおいては目開きが150μmの網ふるいを通過するものが50%未満のものは、消防法上の危険物ではない。
【0056】
これは、前述のように、粒径が大きくなった場合、逆に比表面積(単位量当たりの表面積)が小さくなるため、反応速度は小さくなり、酸化や水和によって生じる反応熱の蓄積が、反応を連鎖促進するまでに達しないためである。
【0057】
従って、下記(A),(B)のような比較的粗粒の還元性金属粉であれば、運搬、貯蔵、反応器への供給に際して、安全に取り扱うことが可能となるため、本発明で用いる還元性金属として好適である。
(A) 粒径500μm以上の画分が20%以上で、粒径355μm未満の画分が15%未満の粒状マグネシウム
(B) 粒径150μm未満の画分が50%未満のアルミニウム粉
【0058】
反応性の低い、粗粒の還元性金属を使用することは、必要とされる還元力の低下を招くことが懸念される。しかしながら、メカノケミカル処理では、粉砕等の機械的エネルギーを付与して固体同士の反応を促進するものであり、反応性の低い粗粒の還元性金属を用いても、メカノケミカル処理の過程で粉砕されて反応性の高い微粉となるため、還元反応は十分に進行する。しかも、脱ハロゲン化反応によって還元性金属の粒子表面に生成する反応生成物の被膜を粉砕によって除去することができるため、常に活性の高い還元性金属表面を維持することができ、高い反応効率を維持可能となる。更に、表面の生成物阻害を除外しつつ、活性表面を常に更新しながら反応を行えるため、還元性金属の有効利用率も高くすることができ、処理に要する還元性金属の添加量も低く抑えることが可能となる。
【0059】
このように、反応時に還元性金属を粉砕して活性化させる場合は、反応器内には不活性な被処理物マトリックス(例えば、被処理物がダイオキシン類汚染土壌である場合、土壌自体)が還元性金属に比べて多量に存在し、大きな熱容量を付与しているため、脱ハロゲン化反応の過程で、還元性金属の脱塩素化反応や、副次的に進行する可能性のある還元性金属の空気酸化反応で生じる反応熱で大幅な温度上昇を招く恐れはない。
【0060】
また、還元性金属を比表面積が大きく、反応性の高い微粉状で貯蔵しておくと危険であるばかりでなく、貯蔵中に空気中の酸素による酸化や水分による水和反応によって性能低下する割合が飛躍的に大きくなる。そのため、使用時には、還元性が低下しているという事態が発生するが、上述のような粗粒の還元性金属を用いることは、還元性金属の貯蔵時における性能低下防止にも効果的である。
【0061】
なお、本発明において、用いる還元性金属は、前述の(A),(B)のような粗粒であれば良く、その粒径の上限については特に制限はないが、メカノケミカル処理における粉砕エネルギーや取り扱い性を考慮した場合、マグネシウムは平均粒径500〜5000μm程度であることが好ましく、アルミニウムは平均粒径150〜5000μm程度であることが好ましい。
【0062】
また、前述の如く、被処理物中に重金属類が含まれている場合、被処理物に更に重金属固定化剤を添加して脱ハロゲン化と共に、重金属類の固定化を行うことが好ましい。
【0063】
この場合、重金属固定化剤は、メカノケミカル処理前、処理中、又は処理後の任意の段階で被処理物に添加することができる。
【0064】
用いる重金属固定化剤は、無機系重金属固定化剤であっても、有機系重金属固定化剤であっても良く、無機系重金属固定化剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
【0065】
正リン酸(オルソリン酸)、ポリリン酸、メタリン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、過リン酸、第一リン酸ソーダ、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、過リン酸石灰、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等のリン酸化合物;焼き石膏、ポルトランドセメント、早強セメント、ジェットセメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメント類;各種活性白土、合成珪酸、天然珪酸加工物等の無機吸着剤;汎用の珪酸ソーダ、珪酸カリウム等の水溶性珪酸塩等の水ガラス。
【0066】
また、有機系重金属固定化剤としては、ジチオカルバミン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、ピペラジンビスジチオカルバミン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、テトラ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミンのナトリウム塩及びカリウム塩、(エチレンアミノ)ジチオカルボキシナトリウム−エチレンベンジルアミン−エチレンアミン共重合体、(エチレンアミノ)ジチオカルボキシカリウム−エチレンベンジルアミン−エチレンアミン共重合体等のキレート系重金属固定化剤等を用いることができる。
【0067】
これらの重金属固定化剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0068】
重金属固定化剤の添加量は用いる薬剤の種類や被処理物の性状により異なるが、通常の場合、無機系重金属固定化剤であれば、その添加量は被処理物(乾燥基準)に対して有効成分量として0.1〜50重量%、特に1〜20重量%とするのが好ましい。また、有機系重金属固定化剤であれば、その添加量は被処理物(乾燥基準)に対して有効成分量として0.1〜30重量%、特に1〜10重量%とするのが好ましい。
【0069】
重金属固定化剤による重金属の固定化機構は、重金属固定化剤により異なることがある。リン酸系重金属固定化剤は、鉛等の重金属類を不溶性のリン酸塩とし、更に被処理物中に存在するカルシウムと反応して長期的にはより安定な鉱物であるヒドロキシアパタイトを形成して重金属類を固定化する。また、キレート系重金属固定化剤は、鉛等の重金属類を不溶性の塩として固定化する。
【0070】
重金属固定化剤の添加時期は、用いる重金属固定化剤の性状に応じて、十分な効果が得られるように適宜決定する。即ち、無機系重金属固定化剤はメカノケミカル処理に拘わらず効果を発揮するため、メカノケミカル処理の処理前、処理中、処理後のいずれでも良い。一方、有機系重金属固定化剤の中にはメカノケミカル処理により一部が分解することにより、重金属固定化効果が損なわれるものがある。この場合には、添加量を多くするか、メカノケミカル処理後に添加することが望ましく、添加量を多くする経済性を考えた場合、メカノケミカル処理後に添加することが望ましい。
【0071】
リン酸塩などのように固体状で添加可能な重金属固定化剤の場合、還元性金属等を加えてメカノケミカル処理する粉砕機に直接加えることができる。この場合、粉砕機の効果で薬剤の分散混合効果を得ることができ、好都合である。重金属固定化剤の添加は還元性金属の供給時でもメカノケミカル処理中でも構わない。
【0072】
重金属固定化剤としてのキレート剤やリン酸塩などを水溶液として用いる場合、水溶液の水が還元性金属と反応して水酸化物となり、還元能力の低下を招く。従って、水溶液系の重金属固定化剤を用いる場合は、還元性金属によるメカノケミカル処理で脱ハロゲン化反応を終えた後に添加することが望ましい。
【0073】
なお、重金属固定化剤を水溶液として用いる場合、重金属固定化剤量は、被処理物質中に含まれる重金属濃度に応じて決定される。一方、水は被処理物質の飛散を防止したり、ベレット化することによってハンドリングを容易としたりするために必要な量として決定される。従って、重金属固定化剤を水溶液として添加する場合、上記の各々の要求を満足するような量で水溶液を調製しておけばよい。あるいは、重金属固定化処理装置の前段にラインミキサーなどを設置し、その入口において適当な量の重金属固定化剤と、水を供給し、その場で水溶液とするような方法も採用することができる。また、重金属固定化処理装置に重金属固定化剤及び水の必要量を別々に供給し、装置内部の混合機構を利用して分散させることも可能である。
【0074】
このようにして重金属固定化剤を添加することにより、還元性金属により溶出が促進される鉛等の重金属類を固定化し、その溶出を確実に防止することができる。
【0075】
水の添加は、重金属固定化剤としてリン酸系重金属固定化剤を用いた場合には、重金属の不溶性塩を生成させる効果も持つ。
【0076】
なお、重金属固定化剤を水溶液としてメカノケミカル処理後に添加する場合、重金属類の固定化と前述の水添加による未反応還元性金属の水和処理とを兼用することができ、好ましい。
【0077】
【実施例】
以下に比較例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0078】
なお、以下において、試料土壌としては、国内で採取した実際のダイオキシン汚染土壌(含水率5%,ダイオキシン類濃度685,000pg/g)を用いた。また、試料飛灰としては、自治体の焼却炉から採取した飛灰(ダイオキシン類濃度300,000pg/g,含水率0.1%以下)を用いた。
【0079】
比較例1
試料土壌50g(乾燥基準)に、脱水剤として生石灰10gを加え、乾燥を目的として遊星ボールミルにて、非加熱で15分間粉砕した。この乾燥処理後の試料に、還元性金属として金属マグネシウムのグラニュールを3g添加し、同じ遊星ボールミルで非加熱のまま2時間粉砕してメカノケミカル処理を行った。メカノケミカル処理後、粉砕による摩擦によって、ミル内の温度は68℃に上昇していた。
【0080】
得られた処理土壌についてダイオキシン類濃度を分析したところ、表1に示すように、約96%のダイオキシン類分解率を得た(添加薬剤の希釈結果を除く)。
【0081】
【表1】
【0082】
なお、この処理土壌に環境庁告示第46号に定める溶出試験を実施したところ、表2のように環境基準を上回る結果となった。
【0083】
【表2】
【0084】
このメカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡の発生が観察された。この気泡を水で置換したメスシリンダーで捕集し、窒素ガスで希釈した後、ガス検知器を用いて吸引したところ、水素ガスであることが確認された。従って、処理土壌をこのまま埋め立てると水素爆発等の危険性があることがわかった。
【0085】
実施例1
比較例1と同様にしてメカノケミカル処理を実施した処理土壌50gと水8gとをミキサーに投入し、未反応マグネシウムの水和処理を目的として、3分間撹拌混合を行った。添加した水量は未反応で残存するマグネシウムの水和反応を完遂するのに十分な量である。なお、水和処理後の処理物の外観は水和処理前の土壌と同等であった。
【0086】
水和処理後の処理物を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことは、水との混練によって未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことを示している。
【0087】
実施例2
実施例1と同様にメカノケミカル処理を実施した処理土壌50gと、水8gに0.15モルの硫酸を溶解した酸性水溶液とをミキサーに投入し、未反応マグネシウムの水和処理を目的として、3分間撹拌混合を行った。添加した水量は未反応で残存するマグネシウムの水和反応を完遂するのに十分な量である。
【0088】
水和処理後の処理物を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことは、硫酸水溶液との混練によって未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことを示している。
【0089】
実施例3
比較例1において、金属マグネシウム3gと共に、重金属固定化剤としてリン酸水素ナトリウムNaH2PO4を3g添加したこと以外は同様にしてメカノケミカル処理を行った。このメカノケミカル処理後、粉砕による摩擦によって、ミル内の温度は70℃に上昇していた。
【0090】
得られた処理土壌についてダイオキシン類濃度を分析したところ、表3のように、比較例1と同等のダイオキシン類分解効果が得られた。
【0091】
【表3】
【0092】
また、この処理土壌に環境庁告示第46号に定める溶出試験を実施したところ、表4に示すように重金属の溶出も環境基準を満足することが確認された。
【0093】
【表4】
【0094】
なお、メカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡の発生が観察されたが、処理土壌10gと水1.5gとを混練したものを水中に投入したところ、ここでは微細な気泡の発生は確認されず、水との混練によって、未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことが確認された。
【0095】
実施例4
比較例1と同様にして、メカノケミカル処理を行った後、ジチオカルバミン酸ナトリウムの15%水溶液20g(有効成分量として3g相当)を処理物と共にミキサー内に投入し、混合を目的に3分間撹拌混合を行った。このとき添加された水の量は17gであり、未反応で残存するマグネシウムの水和反応を起こすのに十分な水を提供している。なお、ミキサー内は窒素ガスを流通することにより、水和反応で発生する水素ガスをパージするようにした。
【0096】
混合後の処理土壌を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表5,6に示す通り、ダイオキシンの分解と共に、重金属の溶出防止も達成されていることが確認された。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
なお、処理土壌を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことから、金属マグネシウムはすべて水和しており、水素の発生が起きなくなっているといえる。
【0100】
実施例5
比較例1と同様にして、メカノケミカル処理を行った後、正リン酸の20%水溶液20g(有効成分量として4g相当)を処理物と共にミキサー内に投入し、混合を目的に3分間撹拌混合を行った。このとき添加された水の量は16gであり、未反応で残存するマグネシウムの水和反応を起こすのに十分な水を提供している。なお、ミキサー内は窒素ガスを流通することにより、水和反応で発生する水素ガスをパージするようにした。
【0101】
混合後の処理土壌を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表7,8に示す通り、ダイオキシンの分解と共に、重金属の溶出防止も達成されていることが確認された。
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
なお、処理土壌を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生は確認されなかった。このことから、金属マグネシウムはすべて水和しており、水素の発生が起きなくなっているといえる。
【0105】
比較例2
比較例1において、金属マグネシウムのグラニュールを3gと共に、水素供与体としてアミノ酸塩であるリシン塩酸塩を3g添加したこと以外は同様にしてメカノケミカル処理を行った。
【0106】
混合後の処理土壌を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表9,10に示す通り、ダイオキシン類の分解は確認されたが、重金属の溶出は環境基準を上回る結果となった。
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】
【0109】
このメカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡が発生し、水素ガスが発生していることが確認された。
【0110】
実施例6
比較例2において、金属マグネシウムのグラニュールを3g及び水素供与体としてのリシン塩酸塩3gと共に、重金属固定化剤としてリン酸水素ナトリウムNaH2PO4を3g添加したこと以外は同様にしてメカノケミカル処理を行った。
【0111】
得られた処理土壌についてダイオキシン類濃度を分析したところ、表11のように、比較例2と同等のダイオキシン類分解効果が得られた。
【0112】
また、この処理土壌に環境庁告示第46号に定める溶出試験を実施したところ、表12に示すように重金属の溶出も環境基準を満足することが確認された。
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】
なお、メカノケミカル処理後の処理土壌を多量の水に投入したところ、微細な気泡の発生が観察されたが、処理土壌10gと水1.5gとを混練したものを水中に投入したところ、ここでは微細な気泡の発生は確認されず、水との混練によって、未反応で残存している金属マグネシウムが水和し、もはや水素を発生しなくなったことが確認された。
【0116】
比較例3
試料飛灰30gに、還元性金属として2gの金属マグネシウムを添加し、遊星ボールミルで非加熱のまま3時間粉砕してメカノケミカル処理を行った。
【0117】
処理灰を取り出し、ダイオキシン類濃度分析と環境庁告示第46号溶出試験を行ったところ、表13,14に示す通り、ダイオキシン類の分解は確認されたが、重金属の溶出は環境基準を上回る結果となった。
【0118】
【表13】
【0119】
【表14】
【0120】
このメカノケミカル処理後の処理灰を多量の水に投入したところ、微細な気泡が発生し、水素ガスが発生していることが確認された。
【0121】
実施例7
比較例3と同様にしてメカノケミカル処理を行った後、正リン酸の15%水溶液20g(有効成分量として3g相当)を処理物と共にミキサー内に投入し、混合を目的に3分間撹拌混合を行った。このとき添加された水の量は17gであり、未反応で残存するマグネシウムの水和反応を起こすのに十分な水を提供している。なお、ミキサー内は窒素ガスを流通することにより、水和反応で発生する水素ガスをパージするようにした。
【0122】
混合後の処理灰を取り出し、ダイオキシン類濃度の分析及び環境庁告示第46号溶出試験を行った結果、表15,16に示す通り、ダイオキシンの分解と共に、重金属の溶出防止も達成されていることが確認された。
【0123】
【表15】
【0124】
【表16】
【0125】
なお、処理灰を多量の水に投入したが、微細な気泡の発生が確認されなかった。このことから、金属マグネシウムはすべて水和しており、水素の発生が起きなくなっているといえる。
【0126】
以下に還元性金属の粒度による効果を示す実施例を挙げる。
【0127】
実施例8
表17に示す2種類の粒度の金属マグネシウムを準備した。
【0128】
【表17】
【0129】
上記2種類の金属マグネシウムをバット上に薄く広げ、1週間室内に放置した。これは、粉末品が消防法上の危険物であるため、1週間空気にさらして表面を酸化させて不活性として実験に供すためである。粒状品については、粉末品と同条件とするために、同様に室内放置した。
【0130】
比較例1で用いたものと同様の試料土壌50g(乾燥基準)に、脱水剤として生石灰10gを加え、乾燥を目的として遊星ボールミルにて、非加熱で15分間粉砕した。この乾燥処理後の試料に、還元性金属として1週間室内で放置した金属マグネシウムの粒状品又は粉末品を3gそれぞれ添加し、同じ遊星ボールミルで非加熱のまま2時間粉砕してメカノケミカル処理を行った。メカノケミカル処理後、粉砕による摩擦によって、ミル内の温度は68℃に上昇していた。その後土壌と水8gをミキサーに投入し、3分間撹拌混合して水和させた。
【0131】
得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表18に示すように、粒状品では粉末品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0132】
【表18】
【0133】
実施例9
実施例8において、金属マグネシウム3gと共に、水素供与体としてリシン塩酸塩3gを添加したこと以外はそれぞれ同様にしてメカノケミカル処理と水和処理とを行い、同様に得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表19に示すように、水素供与体の添加でダイオキシン類分解効率が向上したが、いずれの場合も、粒状品では粉末品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0134】
【表19】
【0135】
実施例10
表20に示す2種類の粒度のアルミニウムを準備した。
【0136】
【表20】
【0137】
上記2種類のアルミニウムをバット上に薄く広げ、1週間室内に放置した。
【0138】
実施例8において、金属マグネシウムの代りに、この1週間室内で放置したアルミニウムの粗粒品又は微粉品を用いたこと以外は同様にしてメカノケミカル処理と水和処理とを行い、得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表21に示すように、粗粒品では微粉品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0139】
【表21】
【0140】
実施例11
実施例10において、アルミニウム3gと共に、水素供与体としてリシン塩酸塩3gを添加したこと以外はそれぞれ同様にしてメカノケミカル処理と水和処理とを行い、同様に得られた処理土壌についてそれぞれダイオキシン類濃度を分析したところ、表22に示すように、水素供与体の添加でダイオキシン類分解効率が向上したが、いずれの場合も、粗粒品では微粉品よりも高いダイオキシン類分解率を得ることができた。
【0141】
【表22】
【0142】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、有機ハロゲン化合物で汚染された物質に還元性金属を添加して脱ハロゲン化処理して無害化する方法において、残存する未反応の還元性金属を水和処理することにより、水素ガスの発生の問題のない、安全な処理物を得ることができる。
【0143】
特に、請求項4,5の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、比較的粒径の大きい金属マグネシウム又はアルミニウムを還元性金属として用いることにより、取り扱い上安全な還元性金属により高い脱ハロゲン化効率を得ることができる。
【0144】
また、請求項6〜9の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、脱ハロゲン化処理と共に、重金属類の固定化をも行って、処理物からの重金属類の溶出を確実に防止することができ、特に、請求項9の方法によれば、この重金属固定化処理と未反応還元性金属の水和処理とを同時に行うことができる。
【0145】
請求項10の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、水素供与体の添加により、より一層高い脱ハロゲン化効率を得ることができる。
【0146】
請求項11の有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法によれば、未反応還元性金属の水和処理中の安全性を高めることができる。
Claims (12)
- 有機ハロゲン化合物で汚染された有機ハロゲン化合物汚染物質に還元性金属を添加して該有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法において、
脱ハロゲン化処理後に残存する還元性金属を水和処理することを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。 - 請求項1において、該脱ハロゲン化処理がメカノケミカル処理であることを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項1又は2において、該還元性金属が、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム及び鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項3において、該還元性金属が、粒径500μm以上の画分の含有量が20%以上で、粒径355μm未満の画分の含有量が15%未満のマグネシウムであることを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項3において、該還元性金属が、粒径150μm未満の画分の含有量が50%未満のアルミニウムであることを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該有機ハロゲン化合物汚染物質に更に重金属固定化剤を任意の段階で添加することを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項6において、該重金属固定化剤がリン酸系重金属固定化剤又はキレート系重金属固定化剤であることを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項6又は7において、該重金属固定化剤を、脱ハロゲン化処理前、処理中又は処理後の有機ハロゲン化合物汚染物質に添加することを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項6ないし8のいずれか1項において、前記水和処理のための水を、該重金属固定化剤の水溶液として添加することを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項1ないし9のいずれか1項において、該有機ハロゲン化合物汚染物質に還元性金属と水素供与体とを添加して脱ハロゲン化処理することを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項1ないし10のいずれか1項において、処理系内における、前記還元性金属の水和処理で発生する水素ガスの濃度が爆発下限値以下となるように、該処理系内に空気又は不活性ガスを導入することを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
- 請求項1ないし11のいずれか1項において、該有機ハロゲン化合物汚染物質が、土壌、焼却灰、焼却飛灰、海域,湖沼や河川の底質、又は焼却炉解体残渣であることを特徴とする有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法。
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JP2002279447A JP2004121886A (ja) | 2002-07-31 | 2002-09-25 | 有機ハロゲン化合物汚染物質の処理方法 |
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JP2008086974A (ja) * | 2006-10-05 | 2008-04-17 | Taiheiyo Cement Corp | 水素発生油泥の処理方法及び固体燃料 |
JP2008086973A (ja) * | 2006-10-05 | 2008-04-17 | Taiheiyo Cement Corp | 水素発生油泥の混合方法、固体燃料の製造方法、および固体燃料の貯留方法 |
CN113909272A (zh) * | 2021-10-22 | 2022-01-11 | 中石化宁波工程有限公司 | 采用亚硫酸盐机械球磨降解含卤有机污染物的方法 |
-
2002
- 2002-09-25 JP JP2002279447A patent/JP2004121886A/ja active Pending
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