JP2004117011A - 容量式電磁流量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被測定流体2の流速に比例した検出信号eを、測定管1と一対の面電極4A、4Bとで形成される静電容量を介して検出する容量式電磁流量計において、前記一方の面電極からの第1の信号を増幅する増幅部の出力と前記一方の面電極に対応するガード電極との間に、空検出信号発生回路9から励磁電流の基本周波数より高い周波数の空検出信号を印加し、前記一対面電極4A、4Bからの検出信号に含まれる前記空検出信号の周波数成分をフーリエ変換処理によって分離検出して、この出力を所定のレベルで比較判定する比較判定処理機能を持つ信号処理部11を備えたことを特長とする容量式電磁流量計。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定管を流れる被測定流体の流量を測定する電磁流量計に関し、更に詳しくは被測定流体の空状態を検出できる容量式電磁流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポンプ等を用いて流体を輸送する場合、配管の状態によってはポンプが停止すると配管の中が空になる場合がある。この時、電磁流量計の出力に誤差が生じる為、空検知機能を有する電磁流量計が開発されている。接液形の電磁流量計の場合は、流体の流速に比例する起電圧を検出する電極間のインピーダンスが、満水時と空時で大きく異なるため、空検知が比較的容易に行えた。
【0003】
しかし、電極が被測定流体に接触しない容量式電磁流量計の場合においては、電極間インピーダンスが非常に高いため、空検知は困難な点が多い。
【0004】
この空検知をするため、励磁電流の立ち上がり時と立下り時に検出信号に重畳する微分ノイズを検出し、空時や異物付着時の電極間インピーダンスの変化によって生じる微分ノイズの変動の差を求めて空状態を検出(以後、空検出と言い、空検出は、異物付着を含むものと定義する。)している。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−261808号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法は励磁電流の変化時に、検出信号に誘導されるノイズ成分(以後微分ノイズと称す)のピーク値をサンプリングして検出する方法であるので、検出信号に重畳するノイズ成分によって微分ノイズのピーク値が変化する。
【0007】
例えば、励磁コイルによって印加される励磁磁場の反磁場となる渦電流の変動によって励磁磁界波形に変動が生じるので、微分ノイズの波形が歪むことになる。
【0008】
また、被測定流体が低導電体の場合、被測定流体が流動することによって被測定流体中に流体ノイズと呼ばれる低周波の電位変動が発生する。この雑音は、流速に比例して変動する特性を持っているが、この雑音成分も検出信号に重畳するため、微分ノイズの波形が歪むことになる。
【0009】
この様に、微分ノイズのピーク値を捉える方法では、微分ノイズの波形の歪みの影響を受けやすく、また、流体ノイズの変動等に対して安定した空検出が困難であった。
【0010】
本発明は、上記点に鑑みてなされたもので、流体ノイズ、微分ノイズの影響を受けにくい空検出が可能な容量式流量計を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の容量式電磁流量計は、被測定流体を流す測定管の外壁に対向して配置された励磁コイルと、前記励磁コイルによる磁場の方向と直行する方向で前記測定管の外壁に対向対置された一対の面電極と、及びガード電極と、前記測定管と面電極との間、及び面電極と面電極を覆う様に配置されたガード電極との間の静電容量を介して前記被測定流体の流速に比例して発生する起電圧を増幅する手段と、この起電圧を増幅する手段の出力から差動増幅器を介して流量を求める信号処理手段と、前記1対の面電極の一方の面電極からの第1の信号を増幅する増幅部の出力と、前記一方の面電極に対応するガード電極との間に前記励磁コイルにおける励磁電流の基本周波数より高い周波数の第2の信号を印加する手段と、前記差動増幅器の出力信号の周波数成分を検出する分離検出手段と、前記第2の信号の周波数成分の分離検出手段の出力を所定のレベルで比較判定する比較判定出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、流体ノイズ、微分ノイズの影響を受けにくい空検出が可能な容量式電磁流量計を提供することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図5を参照して説明する。図1は本発明に係る容量式電磁流量計を説明する概略図である。
【0014】
本発明の実施の形態による容量式電磁流量計は、流速に比例する起電圧を検出する検出部10と、検出部10で検出された検出信号eから流量測定処理と空判定処理を行う信号処理部11とで構成される。
【0015】
検出部10を示す図1において、1は被測定流体2を流す測定管で、セラミックス等の絶縁物で作られる。4A、4Bは、被測定流体2中で発生した起電圧を検出するための面状の電極で、この面電極4A、ABは、被測定流体2とは測定管1で絶縁され、測定管1の外周、又は、測定管1の管壁内に埋め込まれて対向配置されている。
【0016】
前記測定管1の外周面には、前記面電極4A、4Bを結ぶ軸と前記測定管1の管軸と直交する方向に磁場が形成される様に、励磁コイル3Aと3Bが対向して配置されている。そして、励磁コイル3A、3Bの外周面は静電シールドされ、基準電位であるアースGに接続されている。
【0017】
面電極4A、4Bの外周には、これらを覆う様に所定の距離と絶縁を保持して、ガード電極5Aと5Bが夫々配置されている。また、測定管1の図示しない両端部には、被測定流体2の基準電位となる接液電極Eが設けられ、前記アースGと接続されている。
【0018】
面電極4A、4Bは夫々、前置増幅器6A、6Bの非反転入力端+に接続され、その出力端は夫々、反転入力端−に接続されている。また、一方のガード電極5Aと前記前置増幅器6Aの出力端との間には、後述する空検出信号発生回路9が接続される。他方のガード電極5Bは、前記前置増幅器6Bの出力に接続されている。
【0019】
8は励磁回路で、図示しない制御回路からの信号を受信して励磁コイル3A、3Bに矩形波の励磁電流iFを供給する。この励磁電流iFの周波数は、流体ノイズと区別する上で有利な周波数、例えば200Hzに設定しておく。この理由を図2で説明する。
【0020】
図2は、前述した流体ノイズの測定結果の一例を図示したもので、横軸は周波数、縦軸はノイズ電力dBmで、流速が2.5m/secの時と、0.5m/secの時の特性を示す。
【0021】
この図に示す様に、一般的に流体ノイズは流速が早くなると大きくなるが、被測定流体の流速にかかわらず10Hz程度から減衰し、200Hz当たりで−70dBmレベルに収束する傾向を示す。このことから、励磁周波数は、被測定流体2の流速で発生する起電圧とのS/Nが高くなる200Hz以上に設定する。
【0022】
再び図1に戻って、前記前置増幅器6A、6Bの出力は差動増幅器7の入力端に接続され、差動増幅器7の出力は、信号処理ブ11を構成するアナログデジタル変換回路(以後ADC回路と言う)111、流量測定処理部112、及び空判定処理部113の入力部であるADC回路111の入力に接続される。
【0023】
このADC回路111への入力信号である検出信号eは、ADC回路111でデジタル信号に変換され、以降デジタル処理されるため、検出信号eに含まれる周波数成分を失わない様にサンプリングの定理を満たす条件、即ち、この検出信号eに含まれる周波数成分の2倍位以上のサンプリング周波数に変換しておく。
【0024】
例えば、検出信号eの周波数成分としては、検出電圧の周波数成分、即ち励磁周波数200Hzとこの第3高調波成分600Hz,第5高調波周波数1000Hzまでの周波数成分を失うことなくデジタル処理するために必要なサンプリング周波数である、2kHzに設定しておく。
【0025】
次に、各部の詳細設定について説明する。まず、空検出信号発生回路9の詳細について図3で説明する。前述した様に、この回路9は、正弦波の空検出信号発振回路92で、励磁周波数(以後f0と言う)200Hzよりもさらに高い空検出周波数(以後f1と言う)500Hzの正弦波信号を発振させ、空検出信号発振回路92の出力を増幅器91の−入力端に抵抗R1を介してで接続し、更に、増幅器91のフィードバック抵抗R2を介して増幅器91の出力端をガード電極5Aに接続しておく。
【0026】
また、前置増幅器6Aの出力端を分圧抵抗R3とR4を介して、前記増幅器91の+入力端に接続し、流速に比例して発生する電極間の起電圧と同程度の10mVレベルの空検出用微小信号vNEとして、面電極4Aとガード電極5Aの間に印加される様に、抵抗R1乃至R4の各々の抵抗値を選択して設定する。
【0027】
例えば、図3において、前置増幅器6Aの+端と−端は同一電位と見なされるので面電極4Aの電位eA、ガード電極5Aの電位vG、空検出信号回路92より印加する信号をvNとすると、
R2/R1・vN=eA(1+R2/R1)(R4/(R3+R4))−vG
=eA−vG
=vNE
の関係が成立するので、抵抗R1、R4を100KΩ、抵抗R2、R3を1KΩとし、信号vNとして、1V、500Hzの信号を抵抗R1の一方の端から印加すると、面電極4Aとガード電極5Aの間に空検出用微小信号vNE(eA−vG)として10mVの信号が印加される。
【0028】
この様に設定された容量式電磁流量計の動作について、図1でその概要を説明する。励磁コイル3A、3Bに印加する励磁電流iFで定常値を持つ矩形波の正負信号を印加すると、ほぼ同様の波形を持つ磁場が印加される。
【0029】
ここで、被測定流体2が流れると、被測定流体2の流速に比例した起電圧が発生し、被測定流体2と面電極4A、4Bとの間の静電容量を介して、前置増幅器6A、6Bで増幅され、更に差動増幅器7で増幅されて、検出信号eとして後続の信号処理部11に送られる。
【0030】
信号処理部11のADC回路111では、前述した様に、励磁周波数(f0)の10倍以上の周波数でサンプリングされ、デジタル値として、流量測定処理部112と空判定処理部113に送り、ここに内蔵されたプログラム処理機能で処理されて、流量測定信号及び空判定信号を出力する。
【0031】
次に、流量測定処理部112と空判定処理部113における処理について図4と図5で説明する。
【0032】
図4の(a)は励磁電流iF、(b)はADC回路111のサンプリングパルスsA、(c)はこの時の検出信号eの関係を示す。検出信号eには、前述した微分ノイズ(図4(c)における波形のD部)が励磁電流の立ち上がりと立下り部分に重畳した波形となる。
【0033】
この検出信号eは、励磁電流の図4(b)に示すADC回路111のサンプリングパルス信号sAのタイミングでサンプリングされ、デジタル値として流量測定処理部112で処理される。
【0034】
以下この処理動作を説明する。流量測定処理部112における処理は図4(b)に示す様に、微分ノイズ成分を含まない時間、S4、S5、S9、S10のタイミングでサンプリングされた各々の値から、一周期毎の値として
(S4+S5)−(S9+S10)を求める演算を行い、この値を所定の測定周期の平均値として流量信号に変換処理して出力される。応答を早くする場合は、この励磁周波数(f0)の周期毎に出力する。
【0035】
次に、空検出処理部113の動作について説明する。図4(e)、(f)は検出信号eを一定時間のフーリエ変換処理した結果の出力で、周波数スペクトルES(ω)を示し、各々の横軸は周波数(Hz)、縦軸はその検出信号eのパワーを示す。
【0036】
この周波数スペクトルES(ω)には、検出信号eに含まれる信号成分、雑音成分が重畳している。信号成分としては、流速に比例する起電圧に含まれる矩形波の励磁電流に含まれる周波数成分である200Hzの基本周波数(f0)成分、第3高調波(この周波数を以後f3と言う)成分,第5高調波(この周波数を以後f5と言う)成分がある。
【0037】
また、雑音成分としては、空検出のために印加する500Hz(この周波数を以後f1と言う)の空検出用微小信号vNE成分と、全周波数領域において一様なパワー強度を有する前置増幅器6A、6Bからの白色雑音vNW成分、及び前述した200Hz以下に分布する前述した流体ノイズ成分が含まれる。
【0038】
以下、図5を参照しながら、この検出信号eに重畳させた空検用微小信号vNEによる空判定処理部113での処理手順について説明する。
【0039】
(ステップ1)
まず、測定管1に被測定流体2の満水状態と空状態を設定し、検出信号eのフーリエ変換処理を行い、この周波数スペクトルES(ω)から満水時の空検出周波数(f1)成分ES(ω)f1Oを求める。満水状態の設定は、通常、起電圧の発生がない被測定流体2が静止した状態とするのが好ましいが、流れた状態で設定することも可能である。
【0040】
また、フーリエ変換処理(積分)時間は、1秒程度とし、励磁周波数の10倍のサンプリング周波数2kHzにおいて、検出信号eを2000点サンプルできる時間程度に長く設定する。
【0041】
この満水状態での周波数スペクトルES(ω)を図4(e)に示す。図4(e)において、200Hz、600Hz、1000Hzの個所に見られるピーク値は、流速に比例する起電圧に含まれる周波数スペクトル成分で、夫々励磁周波数(f0)の基本波成分、第3高調波(f3)成分,第5高調波(f5)を、また500Hz個所に見られるピーク値は、空検出周波数(f1)成分が現れる。
【0042】
また、その他の周波数のスペクトル成分は,前置増幅器6A、6Bからの白色雑音vNW成分を示し、200Hz以下の周波数のスペクトルには、前述した流体ノイズ成分が含まれている。
【0043】
(ステップ2)
次に、被測定流体2を流出させ面電極4A、4B間に空状態を設定し、空時のES(ω)f1Eを求める。
【0044】
この空状態の時の周波数スペクトルES(ω)を図4(f)に破線で示す。この時の周波数スペクトルES(ω)は、図4(e)に比べて大きくなる。
【0045】
この理由について説明する。図3にした回路構成は、図7に示す様な等価回路となるので、前置増幅器6Aの入力電圧、即ち、一方の面電極4Aからの検出信号eAと空検出用微小信号vNE、及び前置増幅器6Aの白色雑音電圧vNwの関係は、次の(1)式の様になる。
【0046】
eA=(1+jωC1・Rs)C2/C1×(vNE+vNw)・・・(1)ここで、C1は面電極4Aと被測定流体2の間の静電容量値、Rsは被測定流体2の抵抗値、C2は面電極4Aとガード電極5A間の静電容量値を示す。
【0047】
被測定流体2に空状態が発生すると被測定流体2の抵抗値Rsはさらに高抵抗値となり、また測定管1の内壁に異物が付着すると被測定流体2内の誘電率が水の場合に比べて小さいので、C1の値はより小さな値となる。その結果、満水時に比べて空時の検出信号eAは大きく増幅される。
【0048】
従って、この時の周波数スペクトルES(ω)は、満水時に図4(e)であったものが、空時には、図4(f)(破線)に示す様に一様に大きなパワー値を示す。また、空時の空検出周波数f1でのスペクトル成分(ES(ω)f1E=)HEも、同様に、満水時のスペクトル成分(ES(ω)f1O=)HOに比べて大きな値を示すことになる。
【0049】
(ステップ3)
次に、図5ステップ3では、ステップ1とステップ2で求めた空検出周波数(f1)のスペクトルのパワーの値から、空判定値NR(ω)f1を下記の範囲で所定の値に設定する。
【0050】
HE>NR(ω)f1>HO・・・(2)
(ステップ4)
この空判定値NR(ω)f1を所定の値に設定した後、通常の流量計測を前述した演算処理で行う。
【0051】
(ステップ5)
次に、フーリエ積分時間1秒が経過する毎に、ステップ3で設定した空判定設定値NR(ω)f1と周波数スペクトルES(ω)の空検出周波数成分ES(ω)f1とを比較し、空判定設定値NR(ω)f1以下であれば流量測定を継続する。
【0052】
(ステップ6)
ステップ5の結果、周波数スペクトルES(ω)の空検出周波数成分ES(ω)f1が、NR(ω)f1以上になれば空状態として判定する。
【0053】
尚、この空検出用微小信号vNEは、流速測定処理部112に影響を与えない様に、励磁の休止期間等のみ印加する様に空検出信号発生回路9を構成してもよい。
【0054】
また、空検出用微小信号vNEが流速測定処理部112に影響与えない他の方法としては、検出信号eにフィルタを設けてS/Nを改善しておく方法がある。
【0055】
この方法は、図8に示す様に、ADC回路111A、111Bを2台設け、更に、流量測定系統には、空検出信号発生回路9からの空検出用微小信号vNE成分をカットするフィルタ114を介した後にADC回路111Bを介して流速測定処理部に導く様に構成すれば、各々の並列処理が可能で、流量測定処理部112に空検出信号発生回路9からの信号が重畳しない高精度な流量測定が行える。
【0056】
また、面電極4Aとガード電極5A間の静電容量値C2を予め計測しておき、空検出信号発生器9から印加する空検出用微小信号vNEの周波数(f1)を時分割で2種以上印可して、前述した(1)式の関係を利用して、満水時と空時の検出信号eを測定することによって、面電極4Aと被測定流体2の間の静電容量値C1、被測定流体2の抵抗値Rsを測定する事が出来る。
【0057】
このようにすれば、抵抗値の変化か、容量値の変化かが判別できるので、空状態が被測定流体2の導電率の変化によるものであるか、或いは異物等の付着によるものかを予測判定することが可能となる。
【0058】
以上述べた様に、本発明の前記実施の形態によれば、検出信号eとして、既知の固定された空検出用微小信号vNEを外部から印加しているので、検出信号eの微分波形の歪みに依存しない空判定が安定して行える。
【0059】
また、空判定の処理はフーリエ変換処理による統計処理によって周波数分離され、S/N比を高く出来るので、被測定流体2が満水と空の間の半満水状態の判定も可能となる。
【0060】
更に、励磁周波数を流体ノイズの周波数成分が小さくなる周波数以上に設定したので、流体ノイズの変動に影響されない安定した流量測定と空判定が可能となる。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に、図1、図4、及び図6を参照して、本発明における第2の実施の形態の作用について説明する。
【0062】
第1の実施の形態では、空検出信号発生回路9によって新たな空検出用微小信号vNEを印加して、この信号の周波数(f1)の周波数スペクトル成分ES(ω)f1の変化から空状態の変化を検出したが、本第2の発明の実施の形態では、検出信号eに含まれる前置増幅器6A、6Bからの白色雑音vNW成分のスペクトルパワーの積算値ESN(ω)Σの変化から、空判定を行うようにしている。
【0063】
尚、この積算する周波数範囲は、励磁周波数(f0、f3、f5)成分を除く200Hzから1000Hzまでの範囲とする。
【0064】
従って、第2の実施の形態と第1の実施の形態との構成の差異は、検出部10に空検出信号発生回路9がなく、ガード電極5Aからの接続は、ガード電極5Bからの接続と同様に、前置増幅器6Aの出力と−入力端とを接続している。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0065】
検出信号eのフーリエ変換出力の周波数スペクトルES(ω)は、図4(g)に示す様に、満水時に実線で示すスペクトルパワーであったものが、空時には破線の様に大きくパワーが変化する。この理由は、前述した空状態の時の方が流体の内部容量値(C1)が小さくなり、大きく増幅されることによる。
【0066】
以下図4(g)の周波数スペクトルES(ω)のデータについて図6で、空判定処理部113でのこの処理手順を説明する。
【0067】
(ステップ1、ステップ2)
まず、第1の実施の形態と同様に、測定管1の被測定流体2の満水時と空時の状態を設定し、フーリエ変換処理後の周波数スペクトルES(ω)から下記式によって、白色雑音vNWの積算値、周波数スペクトルESN(ω)Σを求める。
【0068】
ESN(ω)Z=ES(ω)Z−ES(ω)−ES(ω)0 〜 f0−ES(ω)f3+f5 ・・・(3)
(3)式の積算範囲を図示すると、図4(g)の斜線の範囲となる。
【0069】
即ちESN(ω)Σは、周波数が0からf5の全周波数範囲のスペクトル成分Es(ω)Σから、周波数が0からf0(200Hz)の範囲の成分Es(ω)0〜f0と、励磁周波数のf3、f5の高調波周波数成分Es(ω)f3+f5を除いたものである。
【0070】
上演算式において、満水時の値、ESN(ω)ΣO(ステップ1)、空時の値、ESN(ω)ΣE(ステップ2)を求める。
【0071】
(ステップ3)
次に、空判定値NR(ω)Σとして所定の値を下記の範囲内で設定する。
【0072】
ESN(ω)ΣE>NR(ω)Σ>ESN(ω)ΣO・・・(4)
(ステップ4)
上記の空判定値NR(ω)Σを設定した後、通常の流量計測を前述した演算処理で行う。
【0073】
(ステップ5)
次に、フーリエ積分時間1秒が経過する毎に、ステップ3で設定した空判定設定値NR(ω)Σと(3)式で求めた白色雑音vNWのスペクトル積分値ESN(ω)Σを比較し、空判定値NR(ω)Σ以下であれば流量測定を継続する。
【0074】
(ステップ6)
(ステップ5)で空判定値NR(ω)Σ以上になれば空状態として判定する。
【0075】
前述した(3)式では、スペクトル積分値ESN(ω)Σとして、励磁周波数成分(f0)、(f3)、(f5)と励磁周波数(f0)以下の成分を除外したが、前置増幅器6A、6Bからの白色雑音vNW成分が励磁周波数成分に比べて充分大きいパワーがあれば、これらの流速に比例する起電圧の周波数成分を除外することなく判定することも可能である。
【0076】
以上述べた様に、第2の実施の形態によれば、流体ノイズや微分ノイズに影響されにくい、空判定が可能となる。又、ソフトウエアー機能の追加のみで、新たな構成部品を要しないで実現できる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、周波数スペクトルの状態変化によって微分ノイズと流体ノイズの周波数範囲を除外した範囲で空判定処理をしたことにより、S/N比が高く、流体ノイズ、微分ノイズの影響を受けにくい空状態が検出可能な容量式電磁流量計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成図。
【図2】低導電率流体の流体ノイズの説明図。
【図3】空検出用信号の印加方法の実施態様説明図。
【図4】本発明の作用を説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の説明図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の説明図。
【図7】空検出原理を説明する等価回路図。
【図8】信号処理部の他の実施事例。
【符号の説明】
1 測定管
2 被測定流体
3A、3B 励磁コイル
4A、4B 面電極
5A、5B ガード電極
6A、6B 前置増幅器
7 差動増幅器
8 励磁回路
9 空検出信号発生回路
10 検出部
11 信号処理部
92 空検出信号発振器
111、111A,111B ADC回路
112 流量測定処理部
113 空判定処理部
114 フィルタ
Claims (5)
- 被測定流体を流す測定管の外壁に対向して配置された励磁コイルと、
前記励磁コイルによる磁場の方向と直行する方向で前記測定管の外壁に対向対置された一対の面電極と、及びガード電極と、
前記測定管と面電極との間、及び面電極と面電極を覆う様に配置されたガード電極との間の静電容量を介して前記被測定流体の流速に比例して発生する起電圧を増幅する手段と、
この起電圧を増幅する手段の出力から差動増幅器を介して流量を求める信号処理手段と、
前記1対の面電極の一方の面電極からの第1の信号を増幅する増幅部の出力と、前記一方の面電極に対応するガード電極との間に前記励磁コイルにおける励磁電流の基本周波数より高い周波数の第2の信号を印加する手段と、
前記差動増幅器の出力信号の周波数成分を検出する分離検出手段と、
前記第2の信号の周波数成分の分離検出手段の出力を所定のレベルで比較判定する比較判定出力手段とを
備えたことを特徴とする容量式電磁流量計。 - 前記第2の信号の周波数分離検出手段は、前記第2の信号を所定の時間毎にフーリエ変換処理し、前記第2の基本周波数成分を出力することを特長とする請求項1記載の容量式電磁流量計。
- 被測定流体を流す測定管の外壁に対向して配置励磁コイルと、
前記励磁コイルによる磁場の方向と直行する方向で前記測定管の外壁に対向対置された一対の面電極と、及びガード電極と、
前記測定管と面電極との間、及び面電極と面電極を覆う様に配置されたガード電極との間の静電容量を介して前記被測定流体の流速に比例して発生する起電圧を増幅する手段と、
この起電圧を増幅する手段の出力から差動増幅器を介して流量を求める信号処理手段と、
前記差動増幅器の出力信号から前記励磁電流の周波数以外の周波数成分と、励磁電流の基本周波数以下の周波数成分とを除外した周波数範囲の雑音を検出する雑音検出手段と、
前記雑音検出手段の出力を所定のレベルで比較判定する比較判定出力手段とを
備えたことを特徴とする容量式電磁流量計。 - 前記雑音検出手段は、検出信号を所定の時間でフーリエ変換処理し、励磁電流の高調波成分を含む周波数波成分と、励磁電流の基本周波数以下の周波数範囲とを除外した範囲の成分の総和を所定の時間毎に出力することを特長とする請求項3記載の容量式電磁流量計。
- 測定流体を流す測定管の外壁に対向して配置された励磁コイルと、
前記励磁コイルによる磁場の方向と直行する方向で前記測定管の外壁に対向対置された一対の面電極と、及びガード電極と、
前記測定管と面電極との間、及び面電極と面電極を覆う様に配置されたガード電極との間の静電容量を介して前記被測定流体の流速に比例して発生する起電圧を増幅する手段と、
この起電圧を増幅する手段の出力から差動増幅器を介して流量を求める信号処理手段と、
前記差動増幅器の出力を所定の時間でフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段の出力を所定のレベルで比較判定する比較判定出力手段とを
備えたことを特徴とする容量式電磁流量計。
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