JP2004114249A - ワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワイヤソーにおけるワイヤの断線を簡単な構造で確実に検出する。
【解決手段】複数の巻掛けローラにワイヤを多列に巻き掛けてワイヤ列を形成し、ワイヤ列に水溶性のスラリーを供給しながらワークをワイヤ列に押し付けて多数のウェハに切断するワイヤソーにおいて、ワイヤをアースするとともに、ワイヤ列を中に取り込むカバーをワイヤ列に沿って取り付ける一方、カバーに、ワイヤ列に交差する形で導電体の検出バーを、これに電圧を印加してワイヤ列の下方に位置させて絶縁して取り付け、ワイヤの断線による検出バーへの接触に基づく電圧降下を検知してワイヤの断線を検出することを特徴とするワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の巻掛けローラにワイヤを多列に巻き掛けてワイヤ列を形成し、ワイヤ列に水溶性のスラリーを供給しながらワークをワイヤ列に押し付けて多数のウェハに切断するワイヤソーにおいて、ワイヤをアースするとともに、ワイヤ列を中に取り込むカバーをワイヤ列に沿って取り付ける一方、カバーに、ワイヤ列に交差する形で導電体の検出バーを、これに電圧を印加してワイヤ列の下方に位置させて絶縁して取り付け、ワイヤの断線による検出バーへの接触に基づく電圧降下を検知してワイヤの断線を検出することを特徴とするワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行するワイヤをカットソーとして使用するワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の巻掛けローラに巻き掛けられて走行する多数列のワイヤ列に砥粒が混じったスラリーを供給してこれにソー機能を付与し、ワイヤ列にワークを押し当てることでこれを多数枚に切断するワイヤソーは知られており、シリコン等のインゴットをウェハに切断する場合等に使用されている。この場合のワイヤは原則として一本のワイヤであるから、これが切断(断線)すると、切断機能が失われるだけでなく、そのまま運転を継続すると、ワークが破損することがある。このため、ワイヤの断線を検出する断線検出装置が必要となる。
【0003】
この場合、上記したスラリーには、油溶性と水溶性とがあり、前者の場合は、絶縁性が高いから、ワイヤに電流を流しておくことで断線を検出できる(ワイヤに電流が流れなくなるからであり、実開昭61−64951号公報等に開示されている)。しかし、後者の水溶性のスラリーの場合は、水に砥粒等の不純物が混じった好導電体を構成していることから、たとえ、ワイヤが断線しても、これをスラリーが補完して依然として電流が流れている状態を保持することがある。従って、ワイヤに電流を流しておく方法では、断線を検出できない。
【0004】
そこで、特開平10−34515号公報には、ワイヤに電圧を印加しておくとともに、ワイヤの傍にワイヤが断線すると接触する検出ワイヤをワイヤと絶縁して設けたものが示されている。これによると、ワイヤが断線して検出ワイヤに接触すると、ワイヤに印加された電圧に基づく電流が検出ワイヤに流れるから、この状態を検出することで断線を検出できるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これによると、ワイヤには電圧を印加する設備が必要であるし、ワイヤは非常に長いから、印加された電圧も不安定で、円滑な作動が妨げられることもある。又、ワイヤ断線時の検出ワイヤに流れる電流は、ワイヤが断線することによって一時的になるから、これを見逃すと、断線に気づかないといったこともある。本発明は、このような課題を解決したものであり、検出ワイヤ(バー)の方に電圧を印加しておくことで断線を検出できるようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、複数の巻掛けローラにワイヤを多列に巻き掛けてワイヤ列を形成し、ワイヤ列に水溶性のスラリーを供給しながらワークをワイヤ列に押し付けて多数のウェハに切断するワイヤソーにおいて、ワイヤをアースするとともに、ワイヤ列を中に取り込むカバーをワイヤ列に沿って取り付ける一方、カバーに、ワイヤ列に交差する形で導電体の検出バーを、これに電圧を印加してワイヤ列の下方に位置させて絶縁して取り付け、ワイヤの断線による検出バーへの接触に基づく電圧降下を検知してワイヤの断線を検出することを特徴とするワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置を提供したものである。
【0007】
以上の手段によると、導電体であるワイヤが断線すると、これが検出バーに触れるから、検出バーに印加された電圧は検出バーからアースされたワイヤへと流れ、その電圧が降下する。従って、この電圧を監視していることで、断線を検出できる。この場合において、スラリーが導電性を有していることは、電圧降下に一層寄与することになる。加えて、この構成によれば、ワイヤに電圧を流す必要はなく、検出バーにのみ電圧を印加しておけばよいから、電気的な装備が簡単である。又、電流ではなく、電圧の変動を検出するものであるから、検出がより確実であるし、この電圧降下の状態は継続するから、見落としもない。
【0008】
又、本発明は、以上において、請求項2に記載した、巻掛けローラが前後二つ設けられていてワイヤ列がほぼ水平の上方伸延部と下方伸延部を形成するものであり、ワークが上方伸延部に押し付けられ、カバーが下方伸延部に取り付けられる手段を提供する。即ち、検出バーが設けられるワイヤの下方伸延部をほぼ水平状態にしたものであるから、ワイヤに降り掛かったスラリーは早期に脱落し、検出バーへの滴りが少ない。従って、スラリーがかからない状態からかかった状態に至ったときに生ずる電圧降下量が少ないから、ワイヤが検出バーに触れたときに起こる電圧降下までの降下幅が相対的に大きくなり、検出精度が高く、誤検出が少ない。
【0009】
更に、請求項3に記載した、カバーが二つの巻掛けローラ間をほぼ埋める長さで設けられており、検出バーがその中央部に取り付けられている手段によれば、カバーの長さが長くなり、スラリーが検出バーに降りかかるのが一層少なくるから、初期における電圧降下量は更に小さくなる。この他、請求項4に記載した、検出バーが複数設けられている手段によれば、断線したワイヤの検出バーへの接触が確実になり(一つが外れても、他では接触している)、検出不能の事態を防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はワイヤソーの要部における側面断面図、図2は横断面図であるが、ワイヤソーは公知のとおり、サーボモータ等1で強制駆動される前方巻掛けローラ(以下、前ローラ)2と後方巻掛けローラ(以下、後ローラ)3とに一本のワイヤ4を多列に巻き掛けて一方向に走行させるワイヤ列5を形成したものである。前及び後ローラ2、3の外周にはワイヤ4の脱線防止用の溝が形成されており、ワイヤ4はこの溝に嵌まり込んでその間隔(切断幅)が保持される。尚、以上の例は、巻掛けローラを前ローラ2と後ローラ3の二つで構成したものであるが、三つ又はそれ以上の場合もある。
【0011】
前及び後ローラ2、3から延びたワイヤ4の端は、それぞれボビン6で繰出し、巻取りが行なわれるが、この間、ワイヤ4は張力調整機構、即ち、弛み取り機構(図示省略)で過緊張や緩みをなくしている。この場合、ワイヤ4は一定の速度で走行させられるから、ボビン6は、その巻取量如何にかかわらず、巻取径における周速が一定になるようにサーボモータ等7で回転数が制御されている。尚、一方のボビン6の巻取量が少なくなると、前及び後ローラ2、3を逆転させてワイヤ4を逆方向に走行させる。
【0012】
本例の前及び後ローラ2、3は、ほぼ同じ径を有するものであり、これに巻き掛けられて形成されたワイヤ列5は、その上方伸延部5a、下方伸延部5b共にほぼ水平状態で張られている。尚、前及び後ローラ2、3のスパンが長い場合は、上方伸延部5aにこれを受けるアイドルローラが設けられることがある(図示省略)。ワーク8は、上方伸延部4aの上方に設けられる取付台9にセットされており、これをモータ等10で駆動される送り機構11によってワイヤ列5の上方伸延部5aに押し付けて行くと、ワーク8はワイヤ列5によって多数枚に切断される。
【0013】
この場合、ワーク8をワイヤ4に単に押し付けたとしても、そのままでは切断されない。そこで、ワイヤ4に砥粒等を混ぜたスラリー12を供給してこれに切断機能を付与させるが、本発明で使用するスラリー12は、環境に優しい水溶性スラリー12を使用する。このスラリー12は、ワイヤ列5の上方伸延部5aの上方にスラリーノズル13を設けてこれからワイヤ4に向けて噴出させている。
【0014】
以上のワイヤ4が何らかの原因で断線すると、切断機能が喪失するばかりでなく、ワーク8を破損することがある。従って、この断線を速やかに検出する必要があるのは上述したとおりである。そこで、本発明では、ワイヤ列5の下方伸延部5bに、ワイヤ列5を中に取り込んでその上方を覆うカバー14を取り付けるとともに、このカバー14に、ワイヤ列5の下方に位置する検出バー15を取り付けてこれで断線を検出するようにしている。
【0015】
ここでのカバー14は、両側板14aの上方を上板14bで覆った断面コの字形をしたもので、これを本例では、前及び後ローラ2、3間をほぼ埋める長さで設けている(長さが長い)。尚、カバー14の長手方向の端には、前及び後ローラ2、3から飛散したスラリー12が上板14bの端から伝わって中に侵入するのを防ぐ飛散防止板16を上方に向けて設けている。
【0016】
両側板14aと上板14bとで囲まれたカバー14の内部のワイヤ列5の下方位置には、検出バー15をワイヤ列5に交差する方向で両側板14a間に張設している。この検出バー15は導電体で構成され、その両端を両側板14aに固定される絶縁体で構成される取付具17で支持している。尚、本例の検出バー15は、カバー14のほぼ中央部に一個設けられているが、複数であってもよい。検出バー15には、一定の電源が印加されるが、本例では、これに導電線18を接続し、この導電線18に電源19の電圧を印加している。尚、この電源19は、直流電源でも交流電源でもよい。そして、導電線18に電圧検知器20を接続して検出バー15に印加される電圧の変動を監視する。
【0017】
図3は以上の構成における検出バー15に印加される電圧の変動を示す特性であるが、スラリー12を供給しないとき(乾状態)には、検出バー15の回路の抵抗は無限大になって電圧は初期電圧V1 を保っている。ところが、スラリー12を供給すると、これが直接検出バー15に降りかかろうとするが、これをカバー14の上板14bで遮っている。しかし、ワイヤ4にかかったスラリー12は、検出バー15の上を通過するときに多少は検出バー15に滴ることもあるから、これで抵抗値は下がって電圧は作動電圧V2 に落ちる。更に、導電体であるワイヤ4が断線して検出バー15に接触すると、抵抗値は更に下がって検出電圧V3 に低下する。
【0018】
これを可能にするため、ボビン6の駆動軸等にはアースされた回転コネクタ等21を取り付けておき、断線したワイヤ4が検出バー15に接触すると、印加電圧に基づく電流が検出バー15からワイヤ4に流れるようにしておく。このとき、導電性のある水溶性スラリー12を使用することは、上記した電圧降下に一層寄与することになる。従って、電圧検知器20がこの検出電圧V3 を検出すると、断線と判断して装置の停止等、しかるべき回避動作をとることになる。
【0019】
これにおいて、本例では、ワイヤ列5の下方伸延部5bを水平にしており、且つ、カバー14の長さを極力長くしているから、ワイヤ4にかかったスラリー12の脱落が促進されて検出バー15に滴る事態が少ない。従って、初期電圧V1 から作動電圧V2 に低下する電圧降下量Vd が小さく、この反動として作動電圧V2 から検出電圧V3 に下がる電圧降下量Vs が大きい。このことは、即ち、断線を検知する幅が大きいことになり、検出精度が高く、誤検出が少ないといった効果がある。尚、検出バー15を複数設けると、断線したワイヤ4が一つの検出バー15から外れても、他の検出バー15には接触している状態を保てるから、検出漏れが少ない。
【0020】
【発明の効果】
以上、本発明によると、検出バーにのみ電圧を印加しておき、この電圧の降下を検知することで、断線を検出できるから、簡単な電気的装備でよくなるとともに、長時間に亘って検出が可能である。加えて、スラリーの降りかかりによる検出バーの抵抗値を下げない工夫によって検出精度が高く、誤検出が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示すワイヤソーの要部の側面断面図である。
【図2】本発明の一例を示すワイヤソーの要部の横断面図である。
【図3】本発明の一例を示す断線検出装置の電圧降下の特性である。
【符号の説明】
2 前方巻掛けローラ
3 後方巻掛けローラ
4 ワイヤ
5 ワイヤ列
5a 〃 の上方伸延部
5b 〃 の下方伸延部
8 ワーク
12 スラリー
14 カバー
15 検出バー
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行するワイヤをカットソーとして使用するワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の巻掛けローラに巻き掛けられて走行する多数列のワイヤ列に砥粒が混じったスラリーを供給してこれにソー機能を付与し、ワイヤ列にワークを押し当てることでこれを多数枚に切断するワイヤソーは知られており、シリコン等のインゴットをウェハに切断する場合等に使用されている。この場合のワイヤは原則として一本のワイヤであるから、これが切断(断線)すると、切断機能が失われるだけでなく、そのまま運転を継続すると、ワークが破損することがある。このため、ワイヤの断線を検出する断線検出装置が必要となる。
【0003】
この場合、上記したスラリーには、油溶性と水溶性とがあり、前者の場合は、絶縁性が高いから、ワイヤに電流を流しておくことで断線を検出できる(ワイヤに電流が流れなくなるからであり、実開昭61−64951号公報等に開示されている)。しかし、後者の水溶性のスラリーの場合は、水に砥粒等の不純物が混じった好導電体を構成していることから、たとえ、ワイヤが断線しても、これをスラリーが補完して依然として電流が流れている状態を保持することがある。従って、ワイヤに電流を流しておく方法では、断線を検出できない。
【0004】
そこで、特開平10−34515号公報には、ワイヤに電圧を印加しておくとともに、ワイヤの傍にワイヤが断線すると接触する検出ワイヤをワイヤと絶縁して設けたものが示されている。これによると、ワイヤが断線して検出ワイヤに接触すると、ワイヤに印加された電圧に基づく電流が検出ワイヤに流れるから、この状態を検出することで断線を検出できるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これによると、ワイヤには電圧を印加する設備が必要であるし、ワイヤは非常に長いから、印加された電圧も不安定で、円滑な作動が妨げられることもある。又、ワイヤ断線時の検出ワイヤに流れる電流は、ワイヤが断線することによって一時的になるから、これを見逃すと、断線に気づかないといったこともある。本発明は、このような課題を解決したものであり、検出ワイヤ(バー)の方に電圧を印加しておくことで断線を検出できるようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、複数の巻掛けローラにワイヤを多列に巻き掛けてワイヤ列を形成し、ワイヤ列に水溶性のスラリーを供給しながらワークをワイヤ列に押し付けて多数のウェハに切断するワイヤソーにおいて、ワイヤをアースするとともに、ワイヤ列を中に取り込むカバーをワイヤ列に沿って取り付ける一方、カバーに、ワイヤ列に交差する形で導電体の検出バーを、これに電圧を印加してワイヤ列の下方に位置させて絶縁して取り付け、ワイヤの断線による検出バーへの接触に基づく電圧降下を検知してワイヤの断線を検出することを特徴とするワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置を提供したものである。
【0007】
以上の手段によると、導電体であるワイヤが断線すると、これが検出バーに触れるから、検出バーに印加された電圧は検出バーからアースされたワイヤへと流れ、その電圧が降下する。従って、この電圧を監視していることで、断線を検出できる。この場合において、スラリーが導電性を有していることは、電圧降下に一層寄与することになる。加えて、この構成によれば、ワイヤに電圧を流す必要はなく、検出バーにのみ電圧を印加しておけばよいから、電気的な装備が簡単である。又、電流ではなく、電圧の変動を検出するものであるから、検出がより確実であるし、この電圧降下の状態は継続するから、見落としもない。
【0008】
又、本発明は、以上において、請求項2に記載した、巻掛けローラが前後二つ設けられていてワイヤ列がほぼ水平の上方伸延部と下方伸延部を形成するものであり、ワークが上方伸延部に押し付けられ、カバーが下方伸延部に取り付けられる手段を提供する。即ち、検出バーが設けられるワイヤの下方伸延部をほぼ水平状態にしたものであるから、ワイヤに降り掛かったスラリーは早期に脱落し、検出バーへの滴りが少ない。従って、スラリーがかからない状態からかかった状態に至ったときに生ずる電圧降下量が少ないから、ワイヤが検出バーに触れたときに起こる電圧降下までの降下幅が相対的に大きくなり、検出精度が高く、誤検出が少ない。
【0009】
更に、請求項3に記載した、カバーが二つの巻掛けローラ間をほぼ埋める長さで設けられており、検出バーがその中央部に取り付けられている手段によれば、カバーの長さが長くなり、スラリーが検出バーに降りかかるのが一層少なくるから、初期における電圧降下量は更に小さくなる。この他、請求項4に記載した、検出バーが複数設けられている手段によれば、断線したワイヤの検出バーへの接触が確実になり(一つが外れても、他では接触している)、検出不能の事態を防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はワイヤソーの要部における側面断面図、図2は横断面図であるが、ワイヤソーは公知のとおり、サーボモータ等1で強制駆動される前方巻掛けローラ(以下、前ローラ)2と後方巻掛けローラ(以下、後ローラ)3とに一本のワイヤ4を多列に巻き掛けて一方向に走行させるワイヤ列5を形成したものである。前及び後ローラ2、3の外周にはワイヤ4の脱線防止用の溝が形成されており、ワイヤ4はこの溝に嵌まり込んでその間隔(切断幅)が保持される。尚、以上の例は、巻掛けローラを前ローラ2と後ローラ3の二つで構成したものであるが、三つ又はそれ以上の場合もある。
【0011】
前及び後ローラ2、3から延びたワイヤ4の端は、それぞれボビン6で繰出し、巻取りが行なわれるが、この間、ワイヤ4は張力調整機構、即ち、弛み取り機構(図示省略)で過緊張や緩みをなくしている。この場合、ワイヤ4は一定の速度で走行させられるから、ボビン6は、その巻取量如何にかかわらず、巻取径における周速が一定になるようにサーボモータ等7で回転数が制御されている。尚、一方のボビン6の巻取量が少なくなると、前及び後ローラ2、3を逆転させてワイヤ4を逆方向に走行させる。
【0012】
本例の前及び後ローラ2、3は、ほぼ同じ径を有するものであり、これに巻き掛けられて形成されたワイヤ列5は、その上方伸延部5a、下方伸延部5b共にほぼ水平状態で張られている。尚、前及び後ローラ2、3のスパンが長い場合は、上方伸延部5aにこれを受けるアイドルローラが設けられることがある(図示省略)。ワーク8は、上方伸延部4aの上方に設けられる取付台9にセットされており、これをモータ等10で駆動される送り機構11によってワイヤ列5の上方伸延部5aに押し付けて行くと、ワーク8はワイヤ列5によって多数枚に切断される。
【0013】
この場合、ワーク8をワイヤ4に単に押し付けたとしても、そのままでは切断されない。そこで、ワイヤ4に砥粒等を混ぜたスラリー12を供給してこれに切断機能を付与させるが、本発明で使用するスラリー12は、環境に優しい水溶性スラリー12を使用する。このスラリー12は、ワイヤ列5の上方伸延部5aの上方にスラリーノズル13を設けてこれからワイヤ4に向けて噴出させている。
【0014】
以上のワイヤ4が何らかの原因で断線すると、切断機能が喪失するばかりでなく、ワーク8を破損することがある。従って、この断線を速やかに検出する必要があるのは上述したとおりである。そこで、本発明では、ワイヤ列5の下方伸延部5bに、ワイヤ列5を中に取り込んでその上方を覆うカバー14を取り付けるとともに、このカバー14に、ワイヤ列5の下方に位置する検出バー15を取り付けてこれで断線を検出するようにしている。
【0015】
ここでのカバー14は、両側板14aの上方を上板14bで覆った断面コの字形をしたもので、これを本例では、前及び後ローラ2、3間をほぼ埋める長さで設けている(長さが長い)。尚、カバー14の長手方向の端には、前及び後ローラ2、3から飛散したスラリー12が上板14bの端から伝わって中に侵入するのを防ぐ飛散防止板16を上方に向けて設けている。
【0016】
両側板14aと上板14bとで囲まれたカバー14の内部のワイヤ列5の下方位置には、検出バー15をワイヤ列5に交差する方向で両側板14a間に張設している。この検出バー15は導電体で構成され、その両端を両側板14aに固定される絶縁体で構成される取付具17で支持している。尚、本例の検出バー15は、カバー14のほぼ中央部に一個設けられているが、複数であってもよい。検出バー15には、一定の電源が印加されるが、本例では、これに導電線18を接続し、この導電線18に電源19の電圧を印加している。尚、この電源19は、直流電源でも交流電源でもよい。そして、導電線18に電圧検知器20を接続して検出バー15に印加される電圧の変動を監視する。
【0017】
図3は以上の構成における検出バー15に印加される電圧の変動を示す特性であるが、スラリー12を供給しないとき(乾状態)には、検出バー15の回路の抵抗は無限大になって電圧は初期電圧V1 を保っている。ところが、スラリー12を供給すると、これが直接検出バー15に降りかかろうとするが、これをカバー14の上板14bで遮っている。しかし、ワイヤ4にかかったスラリー12は、検出バー15の上を通過するときに多少は検出バー15に滴ることもあるから、これで抵抗値は下がって電圧は作動電圧V2 に落ちる。更に、導電体であるワイヤ4が断線して検出バー15に接触すると、抵抗値は更に下がって検出電圧V3 に低下する。
【0018】
これを可能にするため、ボビン6の駆動軸等にはアースされた回転コネクタ等21を取り付けておき、断線したワイヤ4が検出バー15に接触すると、印加電圧に基づく電流が検出バー15からワイヤ4に流れるようにしておく。このとき、導電性のある水溶性スラリー12を使用することは、上記した電圧降下に一層寄与することになる。従って、電圧検知器20がこの検出電圧V3 を検出すると、断線と判断して装置の停止等、しかるべき回避動作をとることになる。
【0019】
これにおいて、本例では、ワイヤ列5の下方伸延部5bを水平にしており、且つ、カバー14の長さを極力長くしているから、ワイヤ4にかかったスラリー12の脱落が促進されて検出バー15に滴る事態が少ない。従って、初期電圧V1 から作動電圧V2 に低下する電圧降下量Vd が小さく、この反動として作動電圧V2 から検出電圧V3 に下がる電圧降下量Vs が大きい。このことは、即ち、断線を検知する幅が大きいことになり、検出精度が高く、誤検出が少ないといった効果がある。尚、検出バー15を複数設けると、断線したワイヤ4が一つの検出バー15から外れても、他の検出バー15には接触している状態を保てるから、検出漏れが少ない。
【0020】
【発明の効果】
以上、本発明によると、検出バーにのみ電圧を印加しておき、この電圧の降下を検知することで、断線を検出できるから、簡単な電気的装備でよくなるとともに、長時間に亘って検出が可能である。加えて、スラリーの降りかかりによる検出バーの抵抗値を下げない工夫によって検出精度が高く、誤検出が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示すワイヤソーの要部の側面断面図である。
【図2】本発明の一例を示すワイヤソーの要部の横断面図である。
【図3】本発明の一例を示す断線検出装置の電圧降下の特性である。
【符号の説明】
2 前方巻掛けローラ
3 後方巻掛けローラ
4 ワイヤ
5 ワイヤ列
5a 〃 の上方伸延部
5b 〃 の下方伸延部
8 ワーク
12 スラリー
14 カバー
15 検出バー
Claims (5)
- 複数の巻掛けローラにワイヤを多列に巻き掛けてワイヤ列を形成し、ワイヤ列に水溶性のスラリーを供給しながらワークをワイヤ列に押し付けて多数のウェハに切断するワイヤソーにおいて、ワイヤをアースするとともに、ワイヤ列を中に取り込むカバーをワイヤ列に沿って取り付ける一方、カバーに、ワイヤ列に交差する形で導電体の検出バーを、これに電圧を印加してワイヤ列の下方に位置させて絶縁して取り付け、ワイヤの断線による検出バーへの接触に基づく電圧降下を検知してワイヤの断線を検出することを特徴とするワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
- 巻掛けローラが前後二つ設けられていてワイヤ列がほぼ水平の上方伸延部と下方伸延部を形成するものであり、ワークが上方伸延部に押し付けられ、カバーが下方伸延部に取り付けられるものである請求項1のワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
- カバーが二つの巻掛けローラ間をほぼ埋める長さで設けられており、検出バーがその中央部に取り付けられている請求項2のワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
- 検出バーが複数設けられている請求項1又は2のワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
- 上方伸延部の中央をアイドルローラで支持し、ワークをその両側に配した請求項2〜4いずれかのワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置。
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JP2002282719A JP2004114249A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | ワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002282719A JP2004114249A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | ワイヤソーにおけるワイヤ断線検出装置 |
Publications (1)
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---|---|
JP2004114249A true JP2004114249A (ja) | 2004-04-15 |
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Family Applications (1)
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