JP2004113966A - 生分解性空気清浄用フィルター - Google Patents

生分解性空気清浄用フィルター Download PDF

Info

Publication number
JP2004113966A
JP2004113966A JP2002282760A JP2002282760A JP2004113966A JP 2004113966 A JP2004113966 A JP 2004113966A JP 2002282760 A JP2002282760 A JP 2002282760A JP 2002282760 A JP2002282760 A JP 2002282760A JP 2004113966 A JP2004113966 A JP 2004113966A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biodegradable
nonwoven fabric
fiber
filter
air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002282760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4009514B2 (ja
Inventor
Kinji Shioda
塩田 欽司
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurashiki Textile Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kurashiki Textile Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurashiki Textile Manufacturing Co Ltd filed Critical Kurashiki Textile Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2002282760A priority Critical patent/JP4009514B2/ja
Publication of JP2004113966A publication Critical patent/JP2004113966A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4009514B2 publication Critical patent/JP4009514B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Filtering Materials (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】生分解性であり、ダスト捕集効率及び捕集容量に優れ、かつ形態保持性に優れた多層不織布からなる空気清浄用フィルターの提供。
【解決手段】支持基材層と表層から構成される多層不織布からなる空気清浄用フィルターにおいて、支持基材層は、(A)繊維径が1デシテックス以上5デシテックス未満の生分解性繊維5〜50重量%、(B)繊維径5デシテックス以上40デシテックス未満の生分解性繊維95〜50重量%の混合繊維と生分解性樹脂バインダーとから構成される不織布であり、表層は、生分解性樹脂の長繊維不織布からなることを特徴とする生分解性空気清浄用フィルター。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性繊維の多層不織布からなる生分解性空気清浄用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主としてクリーンルームおよびビル空調などの分野で室内を循環させる空気をろ過し、室内空気を清浄化する目的で使用されていた空気清浄用フルターは、最近の自動車の増加や環境汚染の拡大に伴い、自動車室内および一般家庭などにおいてエアフィルター、キャビンフィルター等として普及してきている。
【0003】
また、近年、家電製品等のリサイクル化、ゴミの分別収集が望まれている中では、使い捨ての小さな部品であっても使用後の処分についても検討が望まれるようになってきている。従来、使用後のエアフィルター等は、焼却処理したり、埋め立てるなどの方法により処理されており、また、焼却処理する場合は、多額の費用が必要となると同時に焼却処理による排煙等の環境問題があった。一方、産業廃棄物として埋め立てゴミとされた場合には、ポリエステル、ポリオレフィンからなるものは、自己分解性がないか、極めて低く、半永久的にその形状を保ち続けてしまうため、限りなく広い廃棄場が必要となるが、近い将来はその廃棄場がなくなるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するものとして、生分解性プラスチックスを含有する繊維からなる不織布を用いる空気清浄用フィルターが公開されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。しかしながら、生分解性繊維自身の耐熱性、ヤング率が低いこと等に影響され、従来のポリエステル主体の中性能フィルターと同様な性質が得られず、ダスト捕集容量及び捕集効率の点で問題があったり、ジグザグ折り、プリーツ折り等にした場合の形態保持性に問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−314520号公報
【特許文献2】
特開平10−202025号公報
【特許文献3】
特開平11−104416号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、生分解性であり、ダスト捕集効率及び捕集容量に優れ、かつ形態保持性に優れた多層不織布からなる空気清浄用フィルターを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、生分解性樹脂材料のみからなる基材支持層及び表層からなる多層不織布を用いることにより、生分解性で、ダスト捕集効率及び捕集容量を改良した空気清浄用フィルターが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、支持基材層と表層から構成される多層不織布からなる空気清浄用フィルターにおいて、支持基材層は、(A)繊維径が1デシテックス以上5デシテックス未満の生分解性繊維5〜50重量%、(B)繊維径5デシテックス以上40デシテックス未満の生分解性繊維95〜50重量%の混合繊維と生分解性樹脂バインダーとから構成される不織布であり、表層は、生分解性樹脂の長繊維不織布からなることを特徴とする生分解性空気清浄用フィルターが提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、上記支持基材層が、生分解性混合繊維をカーディングによりカードウエブを作成後、生分解性樹脂バインダーを付着させて加熱処理した不織布からなることを特徴とする第1の発明に記載の生分解性空気清浄用フィルターが提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、上記長繊維不織布が、平均繊維径10〜50μmのスパンボンド法不織布であることを特徴とする第1又は2の発明に記載の生分解性空気清浄用フィルターが提供される。
【0011】
また、本発明の第4の発明によれば、上記支持基材層と表層が生分解性ホットメルト接着剤で接合されてなることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の生分解性空気清浄用フィルターが提供される。
【0012】
また、本発明の第5の発明によれば、生分解性樹脂がポリ乳酸系重合体であることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の生分解性空気清浄用フィルターが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の空気清浄用フィルターは、生分解性樹脂を用い、表層として長繊維不織布を、支持基材層として異なる繊維径の混合繊維からなる不織布を用いて構成した生分解性多層不織布からなる。以下に、各構成について詳細に説明する。
【0014】
(1)生分解性樹脂
本発明の空気清浄用フィルターで用いる生分解性樹脂は、ポリ乳酸系重合体が好ましい。本発明に用いるポリ乳酸系重合体としては、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体の中から選ばれるいずれかの重合体あるいはこれらのブレンド体が好ましい。
【0015】
ポリ乳酸系重合体として、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)のようなホモポリマーを用いる場合には、特に、製糸工程での製糸性の改善と得られる繊維並びに長繊維不織布の柔軟性の向上を目的として可塑剤を添加することが望ましい。この場合の可塑剤としては、トリアセチレン、乳酸オリゴマー、ジオクチルフタレート等が用いられ、1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%添加するのが良い。
【0016】
ポリ乳酸系重合体の融点は、100℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは、120℃以上である。例えば、ポリ乳酸のホモポリマーであるポリ(L−乳酸)やポリ(D−乳酸)の融点は約180℃であるが、光学純度が低くなるとともに結晶化が低下し、融点降下が大きくなる傾向にある。光学純度は、耐熱性や生分解性に影響する要因になる。したがって、ポリ乳酸系重合体として前記コポリマーを用いる場合には、コポリマーの融点が120℃以上となるようにモノマー成分の共重合量比を決定することが好ましく、本発明においては、光学純度が90%以上のポリ乳酸を用いることが好ましい。
【0017】
本発明に用いるポリ乳酸系重合体の数平均分子量は、50,000〜120,000が好ましく、より好ましくは70,000〜90,000である。この範囲のものを用いることが、得られる繊維特性の点や長繊維不織布製造時の製糸性の点で好ましい。
【0018】
また、ポリ乳酸系重合体として乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合におけるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシカプリル酸等が挙げられ、これらの中でも特にヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸が分解性能およびコストの点から好ましい。
【0019】
本発明に用いる重合体には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、顔料、着色剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤その他公知の添加剤や充填剤を本発明の生分解性不織布の性能を損なわない程度に配合、混合して用いることができる。
【0020】
(2)支持基材層
本発明の多層不織布における支持基材層は、エアー中の比較的大きい粒子を捕集し、形状を保持するための役割を果たすものであり、生分解性繊維の2種類以上の異なる繊維径の混合繊維と生分解性樹脂バインダーとから構成される不織布である。
【0021】
2種類以上の異なる繊維径の生分解性繊維とは、(A)繊維径が1デシテックス以上5デシテックス未満の生分解性繊維5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%と、(B)繊維径5デシテックス以上40デシテックス未満の生分解性繊維95〜50重量%、好ましくは90〜60重量%との混合繊維からなり、(A)、(B)それぞれが、さらに2種類以上の繊維径を有する混合繊維であっても良い。繊維径を不均一にすることにより、支持基材層不織布の剛性、プリーツ加工性が向上する。
【0022】
支持基材層を構成する不織布の目付重量は、30〜200g/mが好ましく、より好ましくは40〜150g/mである。目付重量が30g/m未満では、剛性が低く、プリーツ加工性が悪く、200g/mを超えると、厚みが上がり、プリーツ加工した時、構造圧損が上がり好ましくない。
また、支持基材層を構成する不織布の通気度は、好ましくは30〜600cc/cm/secであり、より好ましくは50〜500cc/cm/secである。通気度が30cc/cm/sec未満では、支持基材層での圧力損失が高過ぎ、600cc/cm/secを超えると支持基材層での効率、剛性、プリーツ性が低下する。
さらに、支持基材層を構成する不織布の厚みは、0.1〜5.0mmが好ましく、より好ましくは0.3〜2.0mmである。厚みが0.1mm未満では、柔らかくプリーツ加工性が得られず、5.0mmを超えると、構造圧損が上昇し好ましくない。
【0023】
本発明で用いる支持基材層不織布は、上記の物性を満足するものであれば、どのような方法で製造されたものであってもよいが、混合繊維からケミカルボンド法又はサーマルボンド法等によって得られる不織布が好ましい。また、この不織布は、処理空気の流入面から流出面への密度勾配処理を行った不織布であっても良い。
例えば、生分解性混合繊維をエアー搬送にてカード機に供給し、カーディングにより開繊及びウエブ形成を行う。次に、ウエブのニードルパンチ処理を行い密度勾配型カードウエブを得る。得られたカードウエブに生分解性樹脂バインダーを付着させて、乾燥処理して支持基材層不織布を得ることができる。
【0024】
ここで、上記カーディングにおいては、生分解性繊維の機械捲縮が伸びないよう、シリンダーの回転数は、好ましくは100〜1000rpmであり、より好ましくは300〜500rpmである。また、ワーカー、ストリッパーの回転数は、好ましくは10〜500rpmであり、より好ましくは100〜200rpmである。得られたウエブは、ボトムラチースに対してクロスに2〜22枚を積層して得られる。
【0025】
また、上記ニードルパンチによる密度勾配の形成は、打数が5〜200打/cm、深度が−20〜+10mm、好ましくは±5mmで行うことによりウエブ片面の繊維密度を高めることができる。なお、密度勾配の不織布は、ローラーカード2〜4台を使用し、1〜2台のカードで細い生分解性繊維を紡出し、残りのカード1〜2台で太い生分解性繊維を紡出し各ウエブを積層して得ることもできる。
【0026】
さらに、ニードルパンチ等で処理されたウエブには、生分解性バインダーを付着させる。生分解性繊維と生分解性バインダーの重量比率は、30:70〜80:20であることが好ましい。繊維とバインダーとの重量比が上記範囲外で、繊維の割合が大きくなると剛性が低くなりプリーツ加工時の構造圧損が上がり好ましくなく、バインダーの割合が大きくなるとダストの目詰まりが早くなる。生分解性バインダーの付着は、ウエブを生分解性樹脂溶液に浸漬して付着させる方法、生分解性樹脂を発泡倍率4〜30倍に発泡させた発泡樹脂をウエブ表面にナイフコーティングし、コーティング面の反対側よりサクションして生分解性樹脂をウエブに塗布する方法を用いることができる。なお、浸漬法においては、生分解性樹脂溶液は、樹脂粘度を10〜100cpsに調整し、マングロールの圧力は、3〜300Paに調整して行うのが好ましい。
【0027】
上記乾燥処理は、バインダー樹脂をコーティングした不織布に生分解性繊維の融点以下の温度で、ドライヤーで乾燥処理を行うのが好ましい。生分解性繊維の融点以下の温度で乾燥するには、風量を最大限確保するため、ドライヤーのファンの4pの場合の回転数を1200rpm以下として、熱風の熱量による収縮を抑えるようにするのが好ましい。また、多段式乾燥炉を有するドライヤーを使用する場合は、ドライヤーを出た状態で常温まで冷却してから巻き取るようにする必要がある。乾燥熱を持っている状態でテンションを掛けると、幅方向の寸法および厚みの所定寸法の確保が困難になる。乾燥後の巻き取りは、軸巻き又はサーフェイス巻で行い、巻の直前へテンションをコントロールするロールを配備して巻き取るのが好ましい。
【0028】
(3)表層
本発明の多層不織布の表層は、主に微粒子を捕集する機能を果たす層であって、上記生分解性樹脂を用いた長繊維不織布、特にスパンボンド不織布を用いる。
スパンボンド不織布は、従来公知の製造方法によって製造される。例えば、上述のポリ乳酸系重合体を加熱溶融して紡糸口金から吐出させ、得られた紡出糸状を従来公知の横型吹付けや環状吹付けなどの冷却装置を用いて冷却し、その後エアーサッカーなどの吸引装置にて牽引細化する。引き続き、吸引装置から排出された糸状群を開繊させた後、スクリーンからなるコンベアのような移動堆積装置に堆積させてウエブとする。次いで、この移動堆積装置上に形成されたウエブに加熱されたエンボスロールまたは超音波融着装置などの部分熱圧着装置を用いて部分的に熱圧着を施すことによりスパンボンド長繊維不織布を得ることができる。
【0029】
本発明の表層で用いるスパンボンド不織布は、次の物性を有していることが好ましい。
平均繊維径は、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは15〜30μmである。重量目付は、好ましくは5〜100g/mであり、より好ましくは10〜50g/mである。通気度は、好ましくは5〜100cc/cm/secであり、より好ましくは10〜80cc/cm/secである。厚みは、好ましくは0.1〜5.0mmであり、より好ましくは0.3〜3.0mmである。それぞれの値が上記範囲外では、希望する初期圧損及び希望する効率が得られない。
【0030】
また、本発明の表層としてのスパンボンド不織布は、上記の物性の範囲を有するものであれば、多層体であってもよい。スパンボンド不織布の多層体は、積層一体化して積層体を形成できる方法であれば、どのような方法であっても良く、特に制限されない。例えば、加熱加圧により両不織布を融着させる方法、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤等の接着剤によって接着する方法等を用いることができる。
【0031】
また、スパンボンド不織布は、微粒子を捕集する機能を向上させるために、エレクトレット化処理をしたものを用いてもよい。エレクトレット化不織布を用いるのは、静電気力によって微細な粉塵を効率良く捕集することができるためであり、このエレクトレット化は、不織布をアースされた電極上を走行させ、この上から針電極又はワイヤー電極に高電圧を印加することによってコロナ放電を行い達成される。このエレクトレット化の程度は、不織布の表面電荷密度を2×10−10クーロン/cm以上の電荷密度とするのが好ましい。この表面電荷密度が2×10−10クーロン/cm未満であると、空気中の粉塵等の分離捕集性能が劣るようになるため好ましくない。表面電荷密度が5×10−10クーロン/cm以上であると、空気中の粉塵等の分離捕集性能が著しく高まるため好ましく用いられる。
なお、本発明の多層フィルターにおいては、表層の不織布にエレクトレット化処理を行い、しかるのちに支持基材を貼り合わせた後に、フィルター全体をエレクトレット化処理を行っても良い。
【0032】
(4)多層不織布の製造
本発明の空気清浄用フィルターに用いる多層不織布は、上記表層用不織布と支持基材用不織布を積層して製造される。積層方法は、生分解性ホットメルト樹脂で接着する方法、超音波エンボス接着法、スプレーラミネート法等の一般に用いられている常法により得られる。
【0033】
上記生分解性ホットメルト樹脂は、上記生分解性樹脂からなるホットメルトパウダーで、該パウダーには燐系難燃剤を練り込んだ接着性パウダーとして用いるのが好ましい。
【0034】
本発明の生分解性空気清浄用フィルターに用いる多層不織布は、上記のようにして製造されるが、フィルターとして用いる際に、プリーツ加工、ユニット加工をして使用される場合が多い。プリーツ加工時の成形加工性が優れていると同時に、使用時に空気抵抗を受ける際フィルター基材が変形を受けるとユニットの構造圧損が増すため、これに耐える剛軟度が必要であり、高い剛軟度を有していることが好ましい。
【0035】
フィルター自体の厚みは0.4〜7.0mmが好ましく、通気度は5〜500cc/cm/secが好ましく、剛軟度は500〜2000mmg/fが好ましく、線速度が5.3cm/sec時の圧力損失は5〜50Paが好ましい。
【0036】
以上のような物性を有する本発明の生分解性多層不織布からなる空気清浄用フィルターは、生分解性を有すると共に、ダスト捕集率、形態保持性に優れ、キャビンフィルター、ビル空調用フィルター、一般産業用フィルター、HEPA/ULPAのプレフィルター、空気清浄器用フィルター等として用いることができる。
【0037】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明する。なお、物性の測定は以下の方法を用いて行った。
(1)繊維径:試験片の任意な5箇所を電子顕微鏡で5枚の写真撮影を行い、1枚の写真につき20本の繊維の直径を測定し、これら5枚の写真について行い、合計100本の繊維径を平均して求めた。
(2)目付重量:試料長さ方向より、100×100mmの試験片を採取し、水分平衡状態の重さを測定し、1m当たりに換算して求めた。
(3)厚み:試料長さ方向より、100×100mmの試験片を採取し、ダイヤルシックネスゲージで測定した。
(4)通気度:試料長さ方向より、100×100mmの試験片を採取し、JIS L 1096に準拠し、フラジール型試験機を用いて測定した。
(5)剛軟度:JIS−L−1913、ガーレー法に準拠して測定した。
(6)圧力損失:TSI社製フィルターテスターMODEL8130を用い、その内蔵する差圧計にて、0.3μmのNaCl粒子の試験用粉塵含有空気の通過前後の線速度が5.3cm/sec時の圧力を測定し、その差圧を求めた。
(7)捕集効率(NaCl効率):TSI社製フィルターテスターMODEL8130を用い、0.3μmのNaCl粒子の試験用粉塵含有空気を線速度が5.3cm/secとなる流量で通過させ光散乱光量積算方式により、通過前通過後の粉塵濃度を同時に連続的に測定した。
【0038】
実施例1
ポリ乳酸系重合体からなる繊維(ユニチカテラマック;ユニチカ株式会社製)の繊維径1.7デシテックスの繊維40重量%と繊維径11デシテックスの繊維60重量%の混合繊維からカードウエブを得、ニードルパンチ処理後、繊維と同じ樹脂をバインダーとして用い、繊維:バインダー=54/46(重量比)になるように浸漬法にてバインダーを塗布し、乾燥処理して支持基材用ケミカルボンド不織布を得た。得られた不織布の目付重量は90g/mであり、厚みは1.0mmであった。
また、上記と同じポリ乳酸系重合体を用い、スパンボンド法により、平均繊維径が15μm、目付重量50g/mの表層用スパンボンド不織布を得た。
上記の支持基材用不織布と表層用不織布をリン系難燃剤を含有したポリ乳酸系重合体製接着剤を用い接着して、生分解性空気清浄用フィルターを得、得られた生分解性空気清浄用フィルターの物性及びフィルター性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例2
ポリ乳酸系重合体からなる繊維(ユニチカテラマック;ユニチカ株式会社製)の繊維径1.7デシテックスの繊維30重量%と繊維径11デシテックスの繊維70重量%の混合繊維を用いる以外は、実施例1と同様にして生分解性空気清浄用フィルターを得た。得られた生分解性空気清浄用フィルターの物性及びフィルター性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
実施例3
ポリ乳酸系重合体からなる繊維(ユニチカテラマック;ユニチカ株式会社製)の繊維径1.7デシテックスの繊維20重量%、繊維径6.6デシテックスの繊維60重量%、及び繊維径11デシテックスの繊維20重量%の混合繊維を用いる以外は、実施例1と同様にして生分解性空気清浄用フィルターを得た。得られた生分解性空気清浄用フィルターの物性及びフィルター性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
比較例1
支持基材層のポリ乳酸系重合体の代わりにポリエステル繊維を用い、表層のポリ乳酸系重合体の代わりにポリプロピレンを用い、接着剤のポリ乳酸系接着剤の代わりに難燃性EVAを用いる以外は、実施例1と同様にして空気清浄用フィルターを得た。得られた空気清浄用フィルターの物性及びフィルター性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0042】
比較例2
支持基材層のポリ乳酸系重合体の代わりにポリエステル繊維を用い、表層のポリ乳酸系重合体の代わりにポリプロピレンを用い、接着剤のポリ乳酸系接着剤の代わりに難燃性EVAを用いる以外は、実施例2と同様にして空気清浄用フィルターを得た。得られた空気清浄用フィルターの物性及びフィルター性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
比較例3
支持基材層のポリ乳酸系重合体の代わりにポリエステル繊維を用い、表層のポリ乳酸系重合体の代わりにポリプロピレンを用い、接着剤のポリ乳酸系接着剤の代わりに難燃性EVAを用いる以外は、実施例3と同様にして空気清浄用フィルターを得た。得られた空気清浄用フィルターの物性及びフィルター性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004113966
【0045】
表1から明らかなように、本発明の生分解性樹脂のみからなる多層フィルター(実施例1〜3)は、ポリプロピレンスパンボンド不織布とポリエステル主体の不織布支持層からなる現行の多層フィルター(比較例1〜3)と同様な性能を有している。
【0046】
【発明の効果】
本発明の生分解性空気清浄用フィルターは、表層と基材支持層の多層不織布からなるフィルターとし、その構成材料を全て生分解性樹脂にすることにより、生分解性繊維自身の耐熱性、ヤング率が低い欠点を克服して従来のポリエステル主体と同様な性質を持った中性能フィルターとすることができ、特に、ダスト捕集容量及び捕集効率に優れ、ジグザグ折り、プリーツ折り等にした場合の形態保持性に優れ、ビル空調用フィルター、一般産業用フィルター、キャビンフィルター用として有用である。

Claims (5)

  1. 支持基材層と表層から構成される多層不織布からなる空気清浄用フィルターにおいて、支持基材層は、(A)繊維径が1デシテックス以上5デシテックス未満の生分解性繊維5〜50重量%、(B)繊維径5デシテックス以上40デシテックス未満の生分解性繊維95〜50重量%の混合繊維と生分解性樹脂バインダーとから構成される不織布であり、表層は、生分解性樹脂の長繊維不織布からなることを特徴とする生分解性空気清浄用フィルター。
  2. 上記支持基材層が、生分解性混合繊維をカーディングによりカードウエブを作成後、生分解性樹脂バインダーを付着させて加熱処理した不織布からなることを特徴とする請求項1に記載の生分解性空気清浄用フィルター。
  3. 上記長繊維不織布が、平均繊維径10〜50μmのスパンボンド法不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性空気清浄用フィルター。
  4. 上記支持基材層と表層が生分解性ホットメルト接着剤で接合されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性空気清浄用フィルター。
  5. 生分解性樹脂がポリ乳酸系重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性空気清浄用フィルター。
JP2002282760A 2002-09-27 2002-09-27 生分解性空気清浄用フィルター Expired - Fee Related JP4009514B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002282760A JP4009514B2 (ja) 2002-09-27 2002-09-27 生分解性空気清浄用フィルター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002282760A JP4009514B2 (ja) 2002-09-27 2002-09-27 生分解性空気清浄用フィルター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004113966A true JP2004113966A (ja) 2004-04-15
JP4009514B2 JP4009514B2 (ja) 2007-11-14

Family

ID=32276823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002282760A Expired - Fee Related JP4009514B2 (ja) 2002-09-27 2002-09-27 生分解性空気清浄用フィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4009514B2 (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006063473A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Sawada Menko:Kk 生分解性難燃性不織布及びフィルター
JP2007098356A (ja) * 2005-10-07 2007-04-19 Ambic Co Ltd 複合プリーツフィルター
JP2007105685A (ja) * 2005-10-17 2007-04-26 Japan Vilene Co Ltd 生分解性エアクリーナー用濾材
WO2008140384A1 (en) * 2007-05-16 2008-11-20 Dinair Development Ab A use of a material as a filter base material. a method for fabricating a filter base material, a filter base material and a filter
JP2009189994A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材
JP2009233513A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材
CN113939352A (zh) * 2019-05-28 2022-01-14 斯瓦蒙卢森堡公司 具有孔的褶皱聚合物片材
WO2022071165A1 (ja) 2020-09-29 2022-04-07 日東電工株式会社 光学部材、その製造方法、および配光素子
WO2022091806A1 (ja) 2020-10-29 2022-05-05 日東電工株式会社 ホワイトボードフィルム、ホワイトボードおよび覗き見防止システム
WO2022176659A1 (ja) 2021-02-19 2022-08-25 日東電工株式会社 光学積層体および光学装置
WO2022176660A1 (ja) 2021-02-19 2022-08-25 日東電工株式会社 光学積層体、光学装置および光学積層体の製造方法
WO2022260080A1 (ja) 2021-06-09 2022-12-15 日東電工株式会社 照明装置用導光部材および照明装置
WO2022264930A1 (ja) 2021-06-17 2022-12-22 日東電工株式会社 照明装置用導光部材および照明装置
WO2023276704A1 (ja) 2021-06-29 2023-01-05 日東電工株式会社 発光装置用導光部材および発光装置
EP4265433A2 (en) 2022-03-31 2023-10-25 Nitto Denko Corporation Writing board set and peeking prevention system

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4510551B2 (ja) * 2004-08-26 2010-07-28 株式会社澤田棉行 生分解性難燃性不織布及びフィルター
JP2006063473A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Sawada Menko:Kk 生分解性難燃性不織布及びフィルター
JP2007098356A (ja) * 2005-10-07 2007-04-19 Ambic Co Ltd 複合プリーツフィルター
JP2007105685A (ja) * 2005-10-17 2007-04-26 Japan Vilene Co Ltd 生分解性エアクリーナー用濾材
WO2008140384A1 (en) * 2007-05-16 2008-11-20 Dinair Development Ab A use of a material as a filter base material. a method for fabricating a filter base material, a filter base material and a filter
JP2009189994A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材
JP2009233513A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材
EP3976223A4 (en) * 2019-05-28 2023-04-26 SWM Luxembourg PLEATED POLYMERIC SHEET WITH APERTURES
CN113939352A (zh) * 2019-05-28 2022-01-14 斯瓦蒙卢森堡公司 具有孔的褶皱聚合物片材
WO2022071165A1 (ja) 2020-09-29 2022-04-07 日東電工株式会社 光学部材、その製造方法、および配光素子
WO2022091806A1 (ja) 2020-10-29 2022-05-05 日東電工株式会社 ホワイトボードフィルム、ホワイトボードおよび覗き見防止システム
WO2022176659A1 (ja) 2021-02-19 2022-08-25 日東電工株式会社 光学積層体および光学装置
WO2022176660A1 (ja) 2021-02-19 2022-08-25 日東電工株式会社 光学積層体、光学装置および光学積層体の製造方法
WO2022260080A1 (ja) 2021-06-09 2022-12-15 日東電工株式会社 照明装置用導光部材および照明装置
WO2022264930A1 (ja) 2021-06-17 2022-12-22 日東電工株式会社 照明装置用導光部材および照明装置
WO2023276704A1 (ja) 2021-06-29 2023-01-05 日東電工株式会社 発光装置用導光部材および発光装置
EP4265433A2 (en) 2022-03-31 2023-10-25 Nitto Denko Corporation Writing board set and peeking prevention system

Also Published As

Publication number Publication date
JP4009514B2 (ja) 2007-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5696919B2 (ja) ナノウェブとスクリムの耐久性積層物
JP5539877B2 (ja) 改良されたプリーツ付きナノウェブ構造体
CN101983097B (zh) 具有改善的容尘量和改善的高湿度环境抗性的空气过滤介质
EP2142275B1 (en) Bag house filters
JP4009514B2 (ja) 生分解性空気清浄用フィルター
KR101691670B1 (ko) 열 안정화된 백 하우스 필터 및 매체
US9186608B2 (en) Process for forming a high efficiency nanofiber filter
CN111263835B (zh) 混纤无纺布及其制造方法、层叠体及滤材
KR20090031911A (ko) 고효율 hvac 필터
JP2016535180A (ja) 溶融紡糸処理、溶融紡糸不織布繊維ウェブ、及び関連する濾材
CA2495810A1 (en) High efficiency ashrae filter media
JP2013503979A (ja) ナノ繊維及びナノ繊維ウェブを形成するための装置、システム並びに方法
JP7177394B2 (ja) 複合構造体、その製造方法及びその複合構造体を含む濾材
KR20200033669A (ko) 나노 섬유 시트를 포함하는 정전 필터용 여과재 및 이의 제조방법
JP2022530806A (ja) ポリアミドナノファイバー層を含むろ過媒体
JP2003260321A (ja) エアフィルター
JP2007038211A (ja) フィルタエレメント、その製造方法及び使用方法
JP4069057B2 (ja) 高性能エアフィルタ
JP2004105829A (ja) 空気清浄用フィルター
TW202035115A (zh) 用於空氣過濾之多層可生物降解複合物
JP3675686B2 (ja) 空気清浄用フィルター
JP2003299924A (ja) プリーツ型フィルター材
JP6627525B2 (ja) 混繊不織布
KR20200034518A (ko) 나노 섬유 필터 및 그 제조 방법
JP4906675B2 (ja) エアフィルター用不織布および空気清浄用フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050905

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070814

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070903

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130907

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140907

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees