JP2004112096A - 移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラム - Google Patents
移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004112096A JP2004112096A JP2002268957A JP2002268957A JP2004112096A JP 2004112096 A JP2004112096 A JP 2004112096A JP 2002268957 A JP2002268957 A JP 2002268957A JP 2002268957 A JP2002268957 A JP 2002268957A JP 2004112096 A JP2004112096 A JP 2004112096A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- synchronization
- determination
- determining
- reception
- detected
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Synchronisation In Digital Transmission Systems (AREA)
- Mobile Radio Communication Systems (AREA)
- Detection And Prevention Of Errors In Transmission (AREA)
Abstract
【課題】同期外れの判定を通信種別に応じてさらに適切に行えるようにして、スループットの向上と呼切断率の低減を可能にする。
【解決手段】通信種別判定機能12aを新たに備え、受信された最新の20個のTBにおいてCRCがすべて伝送誤りとなり、かつその直前の160msec の先行期間にTBがまったく受信されなかった場合には、上記通信種別判定機能12aによる通信種別の判定結果を参照する。そして、現在使用中の通信種別がパケット通信の場合には、同期外れ(Out−of−Sync)と判定しないようにしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】通信種別判定機能12aを新たに備え、受信された最新の20個のTBにおいてCRCがすべて伝送誤りとなり、かつその直前の160msec の先行期間にTBがまったく受信されなかった場合には、上記通信種別判定機能12aによる通信種別の判定結果を参照する。そして、現在使用中の通信種別がパケット通信の場合には、同期外れ(Out−of−Sync)と判定しないようにしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば無線アクセス方式ととしてCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用した移動通信システムで使用される移動通信端末とその制御モジュール及び同期外れ判定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA方式を採用した移動通信システムでは、基地局と移動通信端末との間で個別チャネル(DCH:Dedicated Channel)を使用して情報通信が行われる。その際移動通信端末では、通信に先立ち個別チャネルに対し同期判定(In−Sync)処理が実行され、また通信開始後においては同期外れ(Out−of−Sync)の判定処理が実行される。
【0003】
例えば、W−CDMA方式を採用する移動通信システムの移動通信端末では、3GPP TS25.214 V4.1.0(2001−6) 4.3.1.2 Downlink Synchronisation primitivesに規定されるように、同期判定及び同期外れの検出を2つのフェーズにより行っている。
【0004】
(1)First Phase
First Phaseは、上位レイヤにより下り個別チャネルの確立が確認されてから、160msec 後まで続く。First PhaseではIn−Sync 判定のみを行い、Out−of−Sync判定とその報告は行わない。
In−Syncの判定処理は、DPCCH(Dedicated Physical Control Channel)の受信品質(Quality)が160msecの期間に亘り連続してしきい値Qin より良好な場合に、in−sync と判定して上位レイヤに通知する。
【0005】
(2)Second Phase
Second Phaseは、上位レイヤにより個別チャネルのリンク確立が確認されてから160msec 後に開始される。
【0006】
[Out−of−Sync判定]
Out−of−Syncの判定処理は、下記の条件(a)と(b)のいずれかを満たした場合((a) or (b))にOut−of−Syncと判定する。
(a) DPCCH の受信品質(Quality)が160msecの期間に亘り連続してしきい値Qoutより劣化したとき。
(b) 受信したTrCH(Transport Channel)において、受信された最新の20個のTB(Transport Brock)のCRC(Cyclic Redundancy Check)がすべてエラー(b−1)となり、かつ上記TBを受信する直前の160msecの期間に受信したTBのCRCがすべてエラー(b−2)のとき。
但し、(b) の条件はGuided Detectionを使用せず、No TFCIの場合は満たす必要はない。また、(b) の条件はTBを受信していない場合は満たす必要はない。
【0007】
[In−Sync判定]
In−Sync の判定処理は、以下の条件(a)、(b)の両方を満たした場合((a) and (b))にIn−Sync と判定される。
(a) DPCCHの受信品質(Quality)が160msec の期間に亘り連続してしきい値Qinより良好のとき。
(b) 受信したTrCHにおいて、現在のフレームにおけるTTI(Transmission TimeInterval)、つまり無線インタフェース上にレイヤ1によりTrasport Block Setが転送される時間間隔内において、最低1つのTBが伝送エラー無し(CRC−OK)として受信されたとき。
但し、(b) の条件はGuided Detectionを使用せず、No TFCIの場合には満たす必要がない、また(b) の条件はTBを受信していない場合は満たす必要はない。
【0008】
【非特許文献】
3GPP TS25.214 V4.1.0(2001−6) 4.3.1.2 Downlink Synchronisation primitives
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような同期外れ検出方式を採用した移動通信端末には、次のような解決すべき課題があった。
【0010】
すなわち、回線交換系の通信種別(ベアラ)であるテレビ電話通信やAMR(Adaptive Multi Rate)符号化方式を使用した音声通信では基地局からTBが連続的に送信されるのに対して、パケット通信ではTBが間欠的に送信される場合がある。このため、例えばパケット受信中の同期外れの判定を上記Second Phase のOut−of−Sync判定の条件(b) に従って行うと、160msec の期間に亘りパケットの受信がなかった後で、複数の無線フレームで受信されたTBがフェージング等による瞬間的なBLER(Block Error Rate)の劣化の影響により連続して伝送エラーあり(CRC−NG)になると、この時点で即時Out−of−Syncと判定されてしまう。
【0011】
特に、高い伝送レート(例えば384kbps )でパケットを受信する場合には、1無線フレーム(10ms)当たり最大12個のTBが多重される。この場合、160msec の期間以上に亘りTBの受信がない状態が続いた後で、高々2無線フレーム(20msec)の期間に受信されたデータ(24個のTB)がCRC−NGになっただけで、即時Out−Of−Syncと判定されてしまう。
【0012】
3GPPに準拠した移動通信システムでは、一旦Out−Of−Syncと判定されると、同期判定処理が実行されてIn−Sync と判定されるまで、移動通信端末は最短でも160msecの期間は基地局への送信を停止する。このような場合、移動通信端末から基地局へ制御データ(例えばRLC−AckやTCP−Ack)を送信できなくなり、結果的にパケット受信のスループットが低下してしまう。また、呼が切断され易くなって通信接続率の低下、延いてはデータ伝送効率の劣化を招く。
【0013】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、同期外れの判定を通信種別に応じてより適切に行えるようにし、これにより不必要な同期判定処理を減らして送信停止期間を無くすことで、受信スループットの向上と呼切断率の低減を可能とし、データ伝送効率の向上を図った移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、個別チャネル受信中に伝送誤りを有するデータブロックが第1の数以上受信されたか否かを判定する第1の誤り判定手段と、この第1の誤り判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合に、当該データブロックに先行する所定の期間にデータブロックの受信の有無と伝送誤りの有無を判定する第2の誤り判定手段とに加え、上記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する通信種別判定手段を新たに備える。そして、この通信種別判定手段の判定結果と、上記各誤り判定手段の判定結果とに基づいて、同期外れの有無を判定するようにしたものである。
【0015】
具体的には、あるタイミングで伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出され、かつ当該タイミングに先行する所定期間に伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが検出された場合には、通信種別にかかわらず同期外れと判定する。これに対し、あるタイミングで伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されても、当該タイミングに先行する所定期間にデータブロックの受信がなかった場合には、通信種別の判定結果を参照して同期外れの有無を判定する。すなわち、判定結果がパケット通信の場合には同期外れではないと判定する。
【0016】
したがってこの発明によれば、データブロックの伝送誤りだけでなく、通信種別がデータを連続的に伝送する回線交換型の通信であるか或いはデータを間欠的に伝送するパケット通信であるかを考慮して、同期外れの有無が判定される。このため、パケット通信を行っている状態で、一定期間以上データブロックの受信がない状態が続いた後で受信されたデータブロックが偶然に伝送誤りとなったような場合には、これを即時同期外れと判定しないようにすることができる。
【0017】
先に述べたように移動通信システムには、移動通信端末で一旦同期外れが検出されると、同期判定処理により同期が再確立されたことが検出されるまで、送信動作を停止するように定められたシステムがある。この種のシステムの移動通信端末では、パケット伝送中に同期外れが頻発するとその都度同期判定処理のためにデータ送信動作が停止され、この結果パケット通信のスループットの低下と呼切断率の増加を招き非常に好ましくない。
【0018】
これに対し本発明では、パケット通信の場合には安易に同期外れと判定されないようになるので、パケット通信のスループットを高く保持することができ、かつ呼切断の発生を低減して通信接続率、延いてはデータ伝送効率を高く保つことができる。
【0019】
一方、通信種別がパケット通信の場合であっても、また回線交換型の通信の場合であっても、あるタイミングで伝送誤りを有する一定数以上のデータブロックが検出され、かつ先行する所定期間でも同様に伝送誤りを有するデータブロックが検出されていた場合には、即時同期外れと認定される。このため、真の同期外れについては見逃すことなく確実かつ迅速に判定することができる。
【0020】
また、個別チャネルの受信中に、当該個別チャネルにより伝送される特定のデータの受信品質を検出し、この検出された受信品質が予め設定した期間に亘り連続してしきい値以下に低下した場合には、先に述べた通信種別と伝送誤りに基づく同期外れの判定結果にかかわらず同期外れと判定する。このようにすることで、個別チャネルの受信品質が一定期間以上に亘り劣化した場合には、伝送誤りの判定に頼ることなく即時同期外れと判定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係わる移動通信端末の一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0022】
図示しない基地局から送信された無線信号は、アンテナ1で受信されたのち送受信モジュールRUに入力される。送受信モジュールRUは、アンテナ共用器(DUP)2と、受信回路(RX)3と、周波数シンセサイザ(SYN)4と、送信回路(TX)5とから構成される。受信回路3は、アンテナ共用器(DUP)2を介して入力された無線信号を、周波数シンセサイザ4から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波信号に周波数変換する。そして、この中間周波信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、上記周波数シンセサイザ4から発生される局部発振信号の周波数は、主制御部12から発生される周波数制御信号SYCによって指示される。
【0023】
上記受信ベースバンド信号は、ベースバンドユニットBUのCDMA信号処理部6に入力される。CDMA信号処理部6はRAKE受信機を備える。RAKE受信機では、上記受信ベースバンド信号に含まれるマルチパスの受信信号がそれぞれ拡散符号により逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理されたマルチパスの受信信号は位相を合わされたのち相互に合成される。この結果、所定の伝送フォーマットの受信データが得られる。そして、この受信データは制御データとユーザデータとに分離され、制御データは主制御部12に、一方ユーザデータは圧縮伸長処理部(以後コンパンダと称する)7にそれぞれ入力される。
【0024】
コンパンダ7は、上記CDMA信号処理部6から出力されたユーザデータを多重分離部によりメディアごとに分離する。そして、この分離された各メディアのデータに対しそれぞれ復号処理を行う。例えばユーザデータにオーディオデータが含まれていれば、このオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また、ユーザデータにビデオデータが含まれていれば、このビデオデータをビデオコーデックにより復号する。これらの復号処理により得られたディジタルオーディオ信号は、PCM(Pulse Code Modulation)符号処理部(以後PCMコーデックと称する)8に、またディジタルビデオ信号は主制御部12にそれぞれ入力される。さらに、ユーザデータに電子メール等のテキストデータが含まれている場合には、このテキストデータはコンパンダ7から主制御部12に入力される。
【0025】
PCMコーデック8は、コンパンダ7から出力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号処理してアナログオーディオ信号を出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器9にて増幅されたのちスピーカ10から拡声出力される。
【0026】
主制御部12は、上記コンパンダ7から出力されたディジタルビデオ信号を、ビデオメモリを利用して表示部15のLCD表示器に表示する。また主制御部12は、インターネット上のサイトからダウンロードされたウェブデータや、電子メール等のテキストデータを、記憶部13の受信データ記憶エリアに一旦保存すると共に、LCD表示器に表示する。なお、留守番モードが設定されている場合には、主制御部12は上記コンパンダ7において復号処理する前のオーディオデータ及びビデオデータを取り込んで、これらのデータを記憶部13の留守番記録エリアに記憶させる。
【0027】
一方、マイクロホン11に入力された話者の音声信号は、送話増幅器18により適正レベルまで増幅されたのち、PCMコーデック8によりPCM符号化処理が施され、ディジタルオーディオ信号となってコンパンダ7に入力される。また、図示しないカメラにより撮像されたビデオ信号は、主制御部12によりディジタル化されてコンパンダ7に入力される。なお、主制御部12において作成された電子メール等のテキストデータも、主制御部12からコンパンダ7に入力される。
【0028】
コンパンダ7は、AMR方式に従い送話音声信号の符号化処理を行う。すなわち、PCMコーデック8から出力されたディジタルオーディオ信号より入力音声のエネルギ量を検出し、この検出結果に基づいて送信データレートを決定する。そして、上記ディジタルオーディオ信号を上記送信データレートに応じたフォーマットの信号に符号化し、これによりオーディオデータを生成する。また、主制御部12から出力されたディジタルビデオ信号を符号化してビデオデータを生成する。そして、これらの音声データ及び画像データを多重分離部で所定の伝送フォーマットに従いパケット化し、この送信データをCDMA信号処理部6へ出力する。なお、主制御部12から電子メール等のテキストデータが出力された場合にも、このテキストデータを上記送信データに多重化する。
【0029】
CDMA信号処理部6は、上記コンパンダ7から出力された送信ユーザデータと、主制御部12から出力された送信制御データを、拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理することで多重する。そして、その多重化された送信データを送受信モジュールRUの送信回路(TX)5へ供給する。送信回路5は、上記CDMA信号処理部6から供給された送信データを、例えばQPSK方式等のディジタル変調方式を使用して変調する。そして、このディジタル変調により生成された送信信号を、周波数シンセサイザ4から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換する。そして、主制御部12により指示される送信電力レベルとなるように上記無線信号を高周波増幅する。この増幅された無線信号は、アンテナ共用器2を介してアンテナ1に供給され、このアンテナ1から接続中の基地局へ向けて送信される。
【0030】
入力部14には、ダイヤルキーに加え、送信キー、終了キー、電源キー、音量調節キー、モード指定キー等の機能キーが設けられている。また表示部15には、先に述べたLCD表示器に加えLEDが設けられている。LCD表示器には、上記送受信ビデオデータやメールデータの他に、電話帳の情報や通信相手ユーザが使用する端末の電話番号、送受信履歴、自端末の動作状態等も表示される。またLEDは、着信の報知やバッテリ16の充電状態を表示するために使用される。なお、17は電源回路であり、バッテリ16の出力をもとに所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0031】
ところで、上記CDMA信号処理部6には受信状態監視部61が設けてある。この受信状態監視部61は、受信信号について無線フレーム(10msec)ごとにDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)の受信レベル(受信品質)の測定を行う。DPCCHは、パイロットシンボルや送信電力の閉ループ制御のための制御データTPCbit等を伝送するための物理制御チャネルである。
【0032】
またそれと共に受信状態監視部61は、無線フレーム(10msec)ごとに、TrCH(Transport Channel)として受信されるTB(Transport Brock)の数をカウントすると共に、受信されたTBのCRC(Cyclic Redundancy Check)をもとに伝送誤りの有無を検出する。そして、上記DPCCHの受信レベルの測定値、受信したTBの数とその伝送誤りの有無の検出結果を、受信状態の検出情報としてテーブルにまとめ、この検出テーブルを主制御部12に通知する。
【0033】
主制御部12はマイクロプロセッサを備える。そして、この発明に係わる新たな制御機能として、通信種別判定機能12aと、伝送誤り判定機能12bと、同期外れ判定機能12cとを備えている。なお、これらの各判定機能12a,12b,12cはいずれもプログラムを上記マイクロプロセッサに実行させることにより実現される。
【0034】
通信種別判定機能12aは、基地局との間で個別チャネル(DCH:Dedicated Channel)を使用して通信を行う際に、通信リンク確立時にこの通信の種別つまりベアラを判定する。判定対象のベアラとしては、パケット通信と非パケット通信とがある。パケット通信は、例えばインターネット上のサイトからウェブデータをダウンロードする場合や、電子メールを送受信する場合に使用される。これに対し非パケット通信は、例えばAMR方式を使用する音声電話通信やテレビ電話通信等の回線交換系の通信を使用する場合に使用される。
【0035】
伝送誤り判定機能12bは、上記CDMA信号処理部6の受信状態監視部61から通知された検出テーブルの内容、つまり受信したTBの数と伝送誤りの有無の検出結果をもとに、無線フレームごとにTBの受信の有無と伝送誤りを有するTBの有無をそれぞれ判定する。そして、最新の無線フレームの判定結果と、この最新フレームに対し先行する所定の期間(例えば160msec )分に相当する16個の無線フレームの判定結果を、判定テーブルに保存する。この判定テーブルに保存された判定結果は、新たな無線フレームの判定結果が得られるごとに更新する。
【0036】
同期外れ判定機能12cは、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果と、上記受信状態監視部61から通知された検出テーブルの記憶情報と、上記伝送誤り判定機能12bにより作成された判定テーブルの記憶情報とに基づいて、次の複数の判定処理を実行する。
(1)受信されたDPCCHのQualityをしきい値Qoutと比較し、DPCCHの受信品質(Quality)が所定期間(例えば160msec )連続してしきい値Qoutより劣化した時点で、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果及び上記判定テーブルの記憶情報にかかわらず、同期外れ(Out−of−Sync)と判定する。
【0037】
(2)受信中のTrCHについて、受信された最新の20個のTBのCRCがすべてエラーとなり、かつその直前の160msec の期間に受信されたTBのCRCがすべてエラーの場合に、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果にかかわらず、同期外れ(Out−of−Sync)と判定する。
【0038】
(3)受信中のTrCHについて、受信された最新の20個のTBにおいてCRCがすべてエラーとなり、かつその直前の160msec の期間にTBがまったく受信されなかった場合には、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果を参照する。そして、ベアラの判定結果がパケット通信の場合には、同期外れ(Out−of−Sync)ではないと判定する。
【0039】
次に、以上のように構成された移動通信端末による個別チャネルの同期外れ判定動作を説明する。図2及び図3はその制御手順と制御内容を示すフローチャート、図4及び図5は検出テーブル及び判定テーブルの構成を示す図、図6乃至図8は動作説明に使用するタイミング図である。
【0040】
いま仮に、インターネット上のサイトからウェブデータのダウンロードを開始したとする。この状態でCDMA信号処理部6の受信状態監視部61では、受信信号の無線フレーム(10msec)ごとにDPCCHの受信レベル(受信品質)が測定される。またそれと共に、TrCHごとに受信したTBの数がカウントされ、さらに受信されたTBのCRCをもとに伝送誤りの有無が検出される。なお、このときTrCHには、ともに論理チャネルからなる制御用のDCCHとデータ用のDTCHとが多重化されている。このため、上記受信TBの数のカウント及びCRCによる伝送誤りの有無の検出は、上記DCCH及びDTCHの各々について行われる。そして、上記DPCCHの受信レベルの測定値、受信したTBの数とその伝送誤りの有無の検出結果が、1無線フレーム分の受信状態を表す情報として検出テーブルにまとめられ、主制御部12に通知される。
【0041】
図4にこの検出テーブルの一例を示す。この例では、DCCHのTBが最大で1個、DTCHのTBが最大で12個受信される場合を示している。
【0042】
なお、パケット通信ではDTCHは1個のTrCHにより伝送されるので、図4ではこの1個のTrCHによるDTCHの受信状態を表す検出情報を記憶している。これは、DTCHが同じく1個のTrCHにより伝送されるテレビ電話通信の場合も同様である。また、AMR方式を使用する音声通信の場合には、DTCHを伝送するためにClass A、Class B、Class Cの3つのTrCHが使用される。しかし、CRC判定はClass Aについてのみ行われるので、この場合も検出テーブルに記憶するDTCHに係わる検出情報はTrCH1個分でよいことになる。一方、マルチコールによる通信(例えばAMRによる音声通信+パケット通信+DCCH)の場合には、AMRのCRC判定をClass Aのみとすると、DTCHのTrCH数は2個必要であり、検出テーブルにはこれら2個のTrCHのDTCHに係わる検出情報が記憶される。
【0043】
また、DCCHは4無線フレーム(40msec)に1回しか受信されない。このため、無線フレームの周期(10msec)で検出テーブルを作成する場合には、無線フレームごとにDCCHの有効/無効を表示する必要がある。そこで、検出テーブルにはDCCH情報有効無効フラグが用意されている。さらに、DTCHについても、AMR方式を使用する音声通信や、テレビ電話通信、パケット等の各ベアラにて規定されているTTI周期でしか有効な情報が通知されない。このため、その判定用にDTCH情報有効無効フラグが用意されている。
【0044】
なお、高レートのパケット通信(384kbps)の場合には、1TTIが10msecであり、無線フレーム長(10msec)と同じである。したがって、最大伝送レートして384kbpsを使用するW−CDMA方式によるパケット通信サービスでは、1TTIあたりに多重されるTB数は最大で12個であり、検出テーブルは図4に示した構成となる。但し、将来的に384kbpsよりも高い伝送レートのパケット通信サービスが開始され、1TTI当たりのTB数が増えることも予想される。このような場合には、検出テーブルにおけるDTCHのCRC結果の数及びDTCHの受信TB数の上限値を1TTI当たりのTB数に応じて増やせばよい。
【0045】
さて、そうして受信された最新の無線フレームに対応する検出テーブルが得られると、主制御部12は次のように同期外れの判定処理を実行する。なお、カウンタC1及びC2の値はベアラ確立時に0に初期化されているものとする。
【0046】
すなわち、図2に示すように、先ずステップS1により最新の無線フレームの検出テーブルからDPCCHの受信レベル(受信品質)を読み出す。そして、このDPCCHの受信品質(DPCCH−QUALITY)を、予め設定した同期外れ用しきい値Qoutと比較し、DPCCHの受信品質がしきい値Qout以下であるか否かをステップS2で判定する。この比較の結果、DPCCHの受信レベルがしきい値Qout以下であれば、ステップS3にてカウンタC1をインクリメントする。これに対しDPCCHの受信レベルがしきい値Qoutより大きい場合には、ステップS4にてカウンタC1を「0」に初期化する。カウンタC1は、DPCCHの受信レベルが160msecの期間連続してしきい値Qout以下に低下したことを検出するために使用される。
【0047】
主制御部12は、ステップS5において、上記カウンタC1の値が160msecの期間に相当する「16」に達したか否かを判定する。そして、カウンタC1の値が「16」に達した場合には、ステップS6に移行してここでOut Of Sync通知処理を行う。Out Of Sync通知処理とは、カウンタC1,C2を「0」に初期化すると共に、送受信モジュールRU及びCDMA信号処理部6に対し指示を与え、これにより一定期間送信データの送信を停止して同期判定処理を実行させる処理である。このOut Of Sync通知処理を終了すると、主制御部12は図3に示すステップS7及びステップS8に移行し、ここで図5に示す判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0048】
更新処理とは、図2と図3で示した一連のOut Of Sync検出処理の終了時に、図5で示した時刻「10msec前」乃至「160msec前」の情報をそれぞれ時刻「20msec前」乃至「170msec前」の情報としてコピーした後に、受信状態監視部61からその無線フレームにて通知された図4の情報から、その無線フレームにて1つでもTBを受信したか否かの情報(TB受信フラグ)とCRC−OKのTBが1つで受信したか否かの情報(CRC−OKフラグ)を得て、時刻「10msec前」の情報として保持することを意味する。
【0049】
一方、上記ステップS5においてカウンタC1の値が「16」未満だったとする。この場合主制御部12は、まだOut Of Sync検出の条件を満たしていないと判断して、受信されたTBのCRC結果に基づくOut Of Syncの判定処理を次のように実行する。
【0050】
すなわち、主制御部12は、先ずステップS9において、最新の無線フレームに対応する検出テーブルからDCCH情報有効無効フラグ、DCCHの受信TB数、DTCH情報有効無効フラグ、及びDTCHの受信TB数を読み出し、現無線フレームにてTBの受信があったか否かを判定する。TBの受信がない場合には、前述したステップS7,S8へと進み、図5に示す判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0051】
これに対しTBの受信があった場合には、主制御部12はステップS10により、検出テーブルのDCCH及びDTCHのCRC結果を参照することで、現無線フレームにてCRC−OKのTBが一つでも受信されたか否かを判定する。そして、CRC−OKのTBが一つでも受信された場合には、ステップS11にてカウンタC2を「0」に初期化する。一方、CRC−OKのTBが一つも受信されなかった場合には、ステップS12によりカウンタC2の値を図4の検出テーブルに示す「DTCHのCRC結果[1]」から連続してCRC−NGで受信したTB数分だけインクリメントする。この例では、説明を簡略化する為に、DCCHのTBは全く受信しない場合を想定するものとし、DTCHのCRC結果のみカウントするもととする。カウンタC2は、受信されたTBのCRC−NGの連続数を検出するために使用するものである。
【0052】
続いて主制御部12は、図3に示すステップS13に移行し、ここでカウンタC2の値が「20」になったか否かを、つまり受信されたTBが20個連続してCRC−NGとなったか否かを判定する。カウンタC2の値が「20」未満の場合には、前述したステップS7,S8へと進み、ここで判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0053】
これに対しカウンタC2の値が「20」の場合には、ステップS14へと進む。ステップS14では、ベアラがパケット通信であるか否か判定する。なお、このベアラの判定は、ベアラ確立時に取得されているベアラ種別をもとに行う。このベアラ種別の判定の結果、いま確立されているベアラがパケット通信でない場合には、ステップS16にて直前の160msecの先行期間において受信されたTBの中にCRC−OKのTBがあったか否かを、判定テーブル中の時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値から判定する。パケット384kbpsの場合は、1無線フレーム(10msec)あたり12TB多重されているので、2無線フレームのTBが全てCRC−OK となった場合を想定すると、CRC−NGを連続20TB検出するには、20msec必要である。その為、判定テーブルの時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値をチェックする必要がある。
【0054】
この判定の結果、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つもなかった場合には、ステップS17に移行してここでOut Of Sync通知処理を実行する。これに対し、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つでもあった場合、つまり時刻20msec前から170msec前までのCRC−OKフラグがすべて「0」でない場合には、Out Of Syncと判定せずに、ステップS7,S8に移行して判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0055】
一方、確立されているベアラがパケット通信だったとする。この場合主制御部12は、ステップS15により、直前の160msecの先行期間において受信されたTBの数を、図5に示す判定テーブルに記憶されている時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値から求める。そして、直前の160msecの先行期間にTBが受信されていなかった場合、つまり図5の判定テーブルにおける時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグがすべて「0」の場合には、Out Of Syncと判定せずに、ステップS7,S8へと進み、判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0056】
このベアラに基づく判定処理手順の追加により、パケット受信時に「受信した最新の20個のTBのCRCがすべてエラー」が成り立った場合でも、その直前の160msecの先行期間においてTBをまったく受信していないときには、Out−of−Syncと判定しないようになる。
【0057】
このため、高い伝送レートでパケットを間欠受信している最中に、瞬間的なBLERの劣化が発生した場合でも、これを即時Out−Of−Syncと判定する不具合を防止することができる。この結果、Out−Of−Syncと判定されるごとに行われる移動通信端末の不必要な送信停止を無くすことができ、これによりパケット受信のスループットを向上させることができる。また、パケット通信中の呼切断率も少なくして、通信接続率を高く保持することができる。
【0058】
一方、上記ステップS15において、連続する20個のTBがすべてCRC−NGとなったとしても、その直前の160msecの先行期間に1以上のTBが受信されていた場合には、主制御部12はこの受信したTBのCRC判定結果を判定するためにステップS16へと進む。そして、ステップS16により、直前の160msecの先行期間において受信されたTBの中にCRC−OKのTBがあったか否かを、判定テーブル中の時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値から判定する。
【0059】
この判定の結果、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つもなかった場合には、ステップS17に移行してここでOut Of Sync通知処理を実行する。これに対し、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つでもあった場合、つまり時刻20msec前から170msec前までのCRC−OKフラグがすべて「0」でない場合には、Out Of Syncと判定せずに、ステップS7,S8に移行して判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0060】
図6乃至図8は、384kbpsの伝送レートでパケットを受信する場合の、受信品質(DPCCH_QUALITY)と受信TBのCRC判定結果の時間的推移を示したものであり、横軸は時間、縦軸はDPCCH_QUALITYを示している。またQoutは、DPCCH_QUALITYによるOut Of Sync判定のためのしきい値を示している。
【0061】
さらに、時間軸上に図示した白四角は、1TTIにて受信したTB(パケット384kbpsの場合は最大12TB)がすべてCRC−OKの場合を示しており、またハッチングを付した四角は、1TTIにて受信したTBがすべてCRC−NGの場合を示している。
【0062】
なお、ここでは説明を簡略化するために、1TTIにて受信したTBにCRC−OKとCRC−NGとが混在する例は記載していない。しかし、図2のステップS12により連続CRC−NGの数をカウンタC2でカウントアップし、さらに図3に示すステップS13により連続CRC−NGの回数が20回に達したか否かを判定する処理がある。このため、上記したように1TTIにて受信したTBにCRC−OKとCRC−NGとが混在する場合でも、問題なく処理することができる。
【0063】
図6は、一定期間(160msec)以上に亘りパケットが受信されない状態が続いた後で、2無線フレームで受信されたTBがフェージング等の影響によりすべて伝送誤りとなった場合の動作を示すものである。
【0064】
従来技術では、図3のステップS13から、ステップS14,S15を省いて、直接ステップS16,S17が実行される。このため、図6に記載の時刻t1にて高々2無線フレーム(20ms)の期間に受信したTBがCRC−NGとなっただけで、即時Out Of Syncと判定されてしまう。一旦Out Of Syncと判定されると、3GPPの仕様では同期判定処理が実行されてIn Syncと判定されるまで最短で160msecの期間送信が停止される。したがって、この送信停止期間に受信されたパケットに対するRLCレベルの応答やTCPレベルの応答を送信できなくなってしまい、パケット受信のスループットの低下が避けられなかった。
【0065】
これに対しこの発明の実施形態では、図3に示すステップS14によりベアラがパケット通信であると判定された場合には、時刻t1の無線フレームにて連続して20個のTBでCRC−NGが検出されても、直前の160msecの期間に受信TBがない場合には、これをOut Of Syncと判定しない。このため、送信停止も行われなくなり、この結果パケット受信のスループットを低下させることがなくなる。
【0066】
一方、パケットが160msec以上の間隔で間欠的に受信され、そのすべてがCRC−NGだった場合には、CRC結果によるOut Of Syncの判定ができないことになる。しかし、例えばコンテンツデータのダウンロードを行うパケット通信サービスにおいて、そのようなケースは稀である。また、仮にそのようなケースがあったとしても、DPCCHの受信品質(DPCCH_QUALITY)に基づくOut Of Syncの判定が行われるので、問題はない。図8はこの場合のOut Of Sync判定動作を説明する図である。
【0067】
すなわち、図8に示すように時刻t1から数十ms後にパケットの受信品質の劣化が発生したとする。この場合、時刻t3にてDPCCH_QUALITY値がしきい値Qout値を下回る。そして、その時点から160msec後の時刻t4になると、図2のステップS5によりOut Of Syncの判定がなされる。つまり、受信されたTBのCRC−NGの数によるOut Of Sync判定が行えないような場合でも、DPCCHの受信品質に基づくOut Of Syncの判定が行われるので、Out Of Syncの見過ごし等の不具合はまったく生じない。
【0068】
また、図7では、同様に時刻t1から数十msec後にパケットの受信品質の劣化が発生した場合に、この時点t3から160msec以内の時刻t2において2TTI(24TB)にわたり連続してCRC−NGが検出され、かつ直前の160msecの期間に受信されたTBがすべてCRC−NG(時刻t1にて受信したTB)だった場合には、この時刻t2にてCRC結果に基づくOut Of Syncの判定が行われる。したがって、この場合には、パケットの受信品質(DPCCH_QUALITY)の劣化が発生した時点t3から160msecが経過するまで待つことなく、CRC結果に基づくOut Of Sync判定が行われる。
【0069】
以上述べたようにこの実施形態では、通信種別判定機能12aを新たに備え、受信された最新の20個のTBにおいてCRCがすべて伝送誤りとなり、かつその直前の160msec の先行期間にTBがまったく受信されなかった場合には、上記通信種別判定機能12aによる通信種別の判定結果を参照する。そして、現在使用中の通信種別がパケット通信の場合には、同期外れ(Out−of−Sync)と判定しないようにしている。
【0070】
したがって、実質的に不必要な同期判定処理が実行されてその間に送信が停止されることが無くなり、これによりパケット受信のスループットの低下を防止して、例えばコンテンツデータのダウンロード時間を短縮することができる。特に、伝送レートの高いパケット通信において、パケットデータが間欠的に受信されている状態で瞬間的なBLERの劣化が発生しても、これが即時Out−Of−Syncと判定されないようにすることができる。このため、Out−Of−Syncの判定による移動通信端末からの送信を停止する時間を無くすこともでき、結果的にパケット受信のスループットを向上させることができる。また、パケット通信中の呼切断率を少なくすることができる。
【0071】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、3GPPの仕様に準拠したW−CDMA方式の移動通信端末を例にとって説明した。しかし、個別チャネル(DCH)の受信品質や受信データのCRC−NG数に基づいてOut Of Syncの判定を行う機能を備えた移動通信端末であれば、他の如何なる無線通信方式を採用した移動通信端末にもこの発明は適用可能である。
【0072】
また前記実施形態では、先に述べた判定条件(1)〜(3)のように、受信されたTBのCRCの判定結果をもとに同期外れ(Out−of−Sync)を判定すると共に、受信されたDPCCHのQualityが所定期間(例えば160msec )連続してしきい値Qout以下に劣化した場合にもOut−of−Syncを判定するようにした。しかし、3GPPの仕様に準拠する必要性のないシステムでは、DPCCHのQualityの判定結果を使用せずに、つまり上記判定条件(1)を使用せずに、受信されたTBのCRCの判定結果、つまり判定条件(2),(3)のみによりOut−of−Syncを判定するようにしてもよい。
【0073】
その他、移動通信端末の回路構成、受信品質検出手段や伝送誤り検出判定手段の構成、同期外れ判定手段による同期外れ判定手順やその内容などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、個別チャネル受信中の第1の期間に伝送誤りを有するデータブロックが第1の数以上受信されたか否かを判定する誤り判定手段と、上記第1の期間に先行する第2の期間に伝送誤りを有するデータブロックが第2の数以上受信されたか否かを判定する誤り判定手段とに加え、上記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する通信種別の判定手段を新たに備える。そして、この通信種別の判定結果と、上記誤り判定手段の各判定結果とに基づいて、同期外れの有無を判定するようにしている。
【0075】
したがってこの発明によれば、同期外れの判定を通信種別に応じてより適切に行うことができ、これにより不必要な同期判定処理の実行を減らして、送信停止期間を無くすことができ、スループットの向上と呼切断率の低減を可能にし、データ伝送効率の向上を図ることができる移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係わる移動通信端末の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定手順とその内容の前半部分を示すフローチャート。
【図3】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定手順とその内容の後半部分を示すフローチャート。
【図4】受信状態検出テーブルの構成の一例を示す図。
【図5】データブロックの受信の有無と伝送誤りの有無を最新無線フレーム受信時刻から160msecの先行期間に亘って記憶する判定テーブルの構成の一例を示す図。
【図6】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定動作を説明するためのタイミング図。
【図7】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定動作を説明するためのタイミング図。
【図8】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定動作を説明するためのタイミング図。
【符号の説明】
BU…ベースバンドモジュール
RU…送受信モジュール
1…アンテナ
2…アンテナ共用器(DUP)
3…受信回路(RX)
4…周波数シンセサイザ(SYN)
5…送信回路(TX)
6…CDMA信号処理部
7…圧縮伸長処理部(コンパンダ)
8…PCM符号処理部(PCMコーデック)
9…受話増幅器
10…スピーカ
11…マイクロホン
12…制御部
12a…通信種別判定機能
12b…伝送誤り判定機能
12c…同期外れ判定機能
13…記憶部
14…入力部
15…表示部
16…バッテリ
17…電源回路
18…送話増幅器
61…受信状態監視部
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば無線アクセス方式ととしてCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用した移動通信システムで使用される移動通信端末とその制御モジュール及び同期外れ判定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA方式を採用した移動通信システムでは、基地局と移動通信端末との間で個別チャネル(DCH:Dedicated Channel)を使用して情報通信が行われる。その際移動通信端末では、通信に先立ち個別チャネルに対し同期判定(In−Sync)処理が実行され、また通信開始後においては同期外れ(Out−of−Sync)の判定処理が実行される。
【0003】
例えば、W−CDMA方式を採用する移動通信システムの移動通信端末では、3GPP TS25.214 V4.1.0(2001−6) 4.3.1.2 Downlink Synchronisation primitivesに規定されるように、同期判定及び同期外れの検出を2つのフェーズにより行っている。
【0004】
(1)First Phase
First Phaseは、上位レイヤにより下り個別チャネルの確立が確認されてから、160msec 後まで続く。First PhaseではIn−Sync 判定のみを行い、Out−of−Sync判定とその報告は行わない。
In−Syncの判定処理は、DPCCH(Dedicated Physical Control Channel)の受信品質(Quality)が160msecの期間に亘り連続してしきい値Qin より良好な場合に、in−sync と判定して上位レイヤに通知する。
【0005】
(2)Second Phase
Second Phaseは、上位レイヤにより個別チャネルのリンク確立が確認されてから160msec 後に開始される。
【0006】
[Out−of−Sync判定]
Out−of−Syncの判定処理は、下記の条件(a)と(b)のいずれかを満たした場合((a) or (b))にOut−of−Syncと判定する。
(a) DPCCH の受信品質(Quality)が160msecの期間に亘り連続してしきい値Qoutより劣化したとき。
(b) 受信したTrCH(Transport Channel)において、受信された最新の20個のTB(Transport Brock)のCRC(Cyclic Redundancy Check)がすべてエラー(b−1)となり、かつ上記TBを受信する直前の160msecの期間に受信したTBのCRCがすべてエラー(b−2)のとき。
但し、(b) の条件はGuided Detectionを使用せず、No TFCIの場合は満たす必要はない。また、(b) の条件はTBを受信していない場合は満たす必要はない。
【0007】
[In−Sync判定]
In−Sync の判定処理は、以下の条件(a)、(b)の両方を満たした場合((a) and (b))にIn−Sync と判定される。
(a) DPCCHの受信品質(Quality)が160msec の期間に亘り連続してしきい値Qinより良好のとき。
(b) 受信したTrCHにおいて、現在のフレームにおけるTTI(Transmission TimeInterval)、つまり無線インタフェース上にレイヤ1によりTrasport Block Setが転送される時間間隔内において、最低1つのTBが伝送エラー無し(CRC−OK)として受信されたとき。
但し、(b) の条件はGuided Detectionを使用せず、No TFCIの場合には満たす必要がない、また(b) の条件はTBを受信していない場合は満たす必要はない。
【0008】
【非特許文献】
3GPP TS25.214 V4.1.0(2001−6) 4.3.1.2 Downlink Synchronisation primitives
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような同期外れ検出方式を採用した移動通信端末には、次のような解決すべき課題があった。
【0010】
すなわち、回線交換系の通信種別(ベアラ)であるテレビ電話通信やAMR(Adaptive Multi Rate)符号化方式を使用した音声通信では基地局からTBが連続的に送信されるのに対して、パケット通信ではTBが間欠的に送信される場合がある。このため、例えばパケット受信中の同期外れの判定を上記Second Phase のOut−of−Sync判定の条件(b) に従って行うと、160msec の期間に亘りパケットの受信がなかった後で、複数の無線フレームで受信されたTBがフェージング等による瞬間的なBLER(Block Error Rate)の劣化の影響により連続して伝送エラーあり(CRC−NG)になると、この時点で即時Out−of−Syncと判定されてしまう。
【0011】
特に、高い伝送レート(例えば384kbps )でパケットを受信する場合には、1無線フレーム(10ms)当たり最大12個のTBが多重される。この場合、160msec の期間以上に亘りTBの受信がない状態が続いた後で、高々2無線フレーム(20msec)の期間に受信されたデータ(24個のTB)がCRC−NGになっただけで、即時Out−Of−Syncと判定されてしまう。
【0012】
3GPPに準拠した移動通信システムでは、一旦Out−Of−Syncと判定されると、同期判定処理が実行されてIn−Sync と判定されるまで、移動通信端末は最短でも160msecの期間は基地局への送信を停止する。このような場合、移動通信端末から基地局へ制御データ(例えばRLC−AckやTCP−Ack)を送信できなくなり、結果的にパケット受信のスループットが低下してしまう。また、呼が切断され易くなって通信接続率の低下、延いてはデータ伝送効率の劣化を招く。
【0013】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、同期外れの判定を通信種別に応じてより適切に行えるようにし、これにより不必要な同期判定処理を減らして送信停止期間を無くすことで、受信スループットの向上と呼切断率の低減を可能とし、データ伝送効率の向上を図った移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、個別チャネル受信中に伝送誤りを有するデータブロックが第1の数以上受信されたか否かを判定する第1の誤り判定手段と、この第1の誤り判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合に、当該データブロックに先行する所定の期間にデータブロックの受信の有無と伝送誤りの有無を判定する第2の誤り判定手段とに加え、上記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する通信種別判定手段を新たに備える。そして、この通信種別判定手段の判定結果と、上記各誤り判定手段の判定結果とに基づいて、同期外れの有無を判定するようにしたものである。
【0015】
具体的には、あるタイミングで伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出され、かつ当該タイミングに先行する所定期間に伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが検出された場合には、通信種別にかかわらず同期外れと判定する。これに対し、あるタイミングで伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されても、当該タイミングに先行する所定期間にデータブロックの受信がなかった場合には、通信種別の判定結果を参照して同期外れの有無を判定する。すなわち、判定結果がパケット通信の場合には同期外れではないと判定する。
【0016】
したがってこの発明によれば、データブロックの伝送誤りだけでなく、通信種別がデータを連続的に伝送する回線交換型の通信であるか或いはデータを間欠的に伝送するパケット通信であるかを考慮して、同期外れの有無が判定される。このため、パケット通信を行っている状態で、一定期間以上データブロックの受信がない状態が続いた後で受信されたデータブロックが偶然に伝送誤りとなったような場合には、これを即時同期外れと判定しないようにすることができる。
【0017】
先に述べたように移動通信システムには、移動通信端末で一旦同期外れが検出されると、同期判定処理により同期が再確立されたことが検出されるまで、送信動作を停止するように定められたシステムがある。この種のシステムの移動通信端末では、パケット伝送中に同期外れが頻発するとその都度同期判定処理のためにデータ送信動作が停止され、この結果パケット通信のスループットの低下と呼切断率の増加を招き非常に好ましくない。
【0018】
これに対し本発明では、パケット通信の場合には安易に同期外れと判定されないようになるので、パケット通信のスループットを高く保持することができ、かつ呼切断の発生を低減して通信接続率、延いてはデータ伝送効率を高く保つことができる。
【0019】
一方、通信種別がパケット通信の場合であっても、また回線交換型の通信の場合であっても、あるタイミングで伝送誤りを有する一定数以上のデータブロックが検出され、かつ先行する所定期間でも同様に伝送誤りを有するデータブロックが検出されていた場合には、即時同期外れと認定される。このため、真の同期外れについては見逃すことなく確実かつ迅速に判定することができる。
【0020】
また、個別チャネルの受信中に、当該個別チャネルにより伝送される特定のデータの受信品質を検出し、この検出された受信品質が予め設定した期間に亘り連続してしきい値以下に低下した場合には、先に述べた通信種別と伝送誤りに基づく同期外れの判定結果にかかわらず同期外れと判定する。このようにすることで、個別チャネルの受信品質が一定期間以上に亘り劣化した場合には、伝送誤りの判定に頼ることなく即時同期外れと判定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係わる移動通信端末の一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0022】
図示しない基地局から送信された無線信号は、アンテナ1で受信されたのち送受信モジュールRUに入力される。送受信モジュールRUは、アンテナ共用器(DUP)2と、受信回路(RX)3と、周波数シンセサイザ(SYN)4と、送信回路(TX)5とから構成される。受信回路3は、アンテナ共用器(DUP)2を介して入力された無線信号を、周波数シンセサイザ4から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波信号に周波数変換する。そして、この中間周波信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、上記周波数シンセサイザ4から発生される局部発振信号の周波数は、主制御部12から発生される周波数制御信号SYCによって指示される。
【0023】
上記受信ベースバンド信号は、ベースバンドユニットBUのCDMA信号処理部6に入力される。CDMA信号処理部6はRAKE受信機を備える。RAKE受信機では、上記受信ベースバンド信号に含まれるマルチパスの受信信号がそれぞれ拡散符号により逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理されたマルチパスの受信信号は位相を合わされたのち相互に合成される。この結果、所定の伝送フォーマットの受信データが得られる。そして、この受信データは制御データとユーザデータとに分離され、制御データは主制御部12に、一方ユーザデータは圧縮伸長処理部(以後コンパンダと称する)7にそれぞれ入力される。
【0024】
コンパンダ7は、上記CDMA信号処理部6から出力されたユーザデータを多重分離部によりメディアごとに分離する。そして、この分離された各メディアのデータに対しそれぞれ復号処理を行う。例えばユーザデータにオーディオデータが含まれていれば、このオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また、ユーザデータにビデオデータが含まれていれば、このビデオデータをビデオコーデックにより復号する。これらの復号処理により得られたディジタルオーディオ信号は、PCM(Pulse Code Modulation)符号処理部(以後PCMコーデックと称する)8に、またディジタルビデオ信号は主制御部12にそれぞれ入力される。さらに、ユーザデータに電子メール等のテキストデータが含まれている場合には、このテキストデータはコンパンダ7から主制御部12に入力される。
【0025】
PCMコーデック8は、コンパンダ7から出力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号処理してアナログオーディオ信号を出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器9にて増幅されたのちスピーカ10から拡声出力される。
【0026】
主制御部12は、上記コンパンダ7から出力されたディジタルビデオ信号を、ビデオメモリを利用して表示部15のLCD表示器に表示する。また主制御部12は、インターネット上のサイトからダウンロードされたウェブデータや、電子メール等のテキストデータを、記憶部13の受信データ記憶エリアに一旦保存すると共に、LCD表示器に表示する。なお、留守番モードが設定されている場合には、主制御部12は上記コンパンダ7において復号処理する前のオーディオデータ及びビデオデータを取り込んで、これらのデータを記憶部13の留守番記録エリアに記憶させる。
【0027】
一方、マイクロホン11に入力された話者の音声信号は、送話増幅器18により適正レベルまで増幅されたのち、PCMコーデック8によりPCM符号化処理が施され、ディジタルオーディオ信号となってコンパンダ7に入力される。また、図示しないカメラにより撮像されたビデオ信号は、主制御部12によりディジタル化されてコンパンダ7に入力される。なお、主制御部12において作成された電子メール等のテキストデータも、主制御部12からコンパンダ7に入力される。
【0028】
コンパンダ7は、AMR方式に従い送話音声信号の符号化処理を行う。すなわち、PCMコーデック8から出力されたディジタルオーディオ信号より入力音声のエネルギ量を検出し、この検出結果に基づいて送信データレートを決定する。そして、上記ディジタルオーディオ信号を上記送信データレートに応じたフォーマットの信号に符号化し、これによりオーディオデータを生成する。また、主制御部12から出力されたディジタルビデオ信号を符号化してビデオデータを生成する。そして、これらの音声データ及び画像データを多重分離部で所定の伝送フォーマットに従いパケット化し、この送信データをCDMA信号処理部6へ出力する。なお、主制御部12から電子メール等のテキストデータが出力された場合にも、このテキストデータを上記送信データに多重化する。
【0029】
CDMA信号処理部6は、上記コンパンダ7から出力された送信ユーザデータと、主制御部12から出力された送信制御データを、拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理することで多重する。そして、その多重化された送信データを送受信モジュールRUの送信回路(TX)5へ供給する。送信回路5は、上記CDMA信号処理部6から供給された送信データを、例えばQPSK方式等のディジタル変調方式を使用して変調する。そして、このディジタル変調により生成された送信信号を、周波数シンセサイザ4から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換する。そして、主制御部12により指示される送信電力レベルとなるように上記無線信号を高周波増幅する。この増幅された無線信号は、アンテナ共用器2を介してアンテナ1に供給され、このアンテナ1から接続中の基地局へ向けて送信される。
【0030】
入力部14には、ダイヤルキーに加え、送信キー、終了キー、電源キー、音量調節キー、モード指定キー等の機能キーが設けられている。また表示部15には、先に述べたLCD表示器に加えLEDが設けられている。LCD表示器には、上記送受信ビデオデータやメールデータの他に、電話帳の情報や通信相手ユーザが使用する端末の電話番号、送受信履歴、自端末の動作状態等も表示される。またLEDは、着信の報知やバッテリ16の充電状態を表示するために使用される。なお、17は電源回路であり、バッテリ16の出力をもとに所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0031】
ところで、上記CDMA信号処理部6には受信状態監視部61が設けてある。この受信状態監視部61は、受信信号について無線フレーム(10msec)ごとにDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)の受信レベル(受信品質)の測定を行う。DPCCHは、パイロットシンボルや送信電力の閉ループ制御のための制御データTPCbit等を伝送するための物理制御チャネルである。
【0032】
またそれと共に受信状態監視部61は、無線フレーム(10msec)ごとに、TrCH(Transport Channel)として受信されるTB(Transport Brock)の数をカウントすると共に、受信されたTBのCRC(Cyclic Redundancy Check)をもとに伝送誤りの有無を検出する。そして、上記DPCCHの受信レベルの測定値、受信したTBの数とその伝送誤りの有無の検出結果を、受信状態の検出情報としてテーブルにまとめ、この検出テーブルを主制御部12に通知する。
【0033】
主制御部12はマイクロプロセッサを備える。そして、この発明に係わる新たな制御機能として、通信種別判定機能12aと、伝送誤り判定機能12bと、同期外れ判定機能12cとを備えている。なお、これらの各判定機能12a,12b,12cはいずれもプログラムを上記マイクロプロセッサに実行させることにより実現される。
【0034】
通信種別判定機能12aは、基地局との間で個別チャネル(DCH:Dedicated Channel)を使用して通信を行う際に、通信リンク確立時にこの通信の種別つまりベアラを判定する。判定対象のベアラとしては、パケット通信と非パケット通信とがある。パケット通信は、例えばインターネット上のサイトからウェブデータをダウンロードする場合や、電子メールを送受信する場合に使用される。これに対し非パケット通信は、例えばAMR方式を使用する音声電話通信やテレビ電話通信等の回線交換系の通信を使用する場合に使用される。
【0035】
伝送誤り判定機能12bは、上記CDMA信号処理部6の受信状態監視部61から通知された検出テーブルの内容、つまり受信したTBの数と伝送誤りの有無の検出結果をもとに、無線フレームごとにTBの受信の有無と伝送誤りを有するTBの有無をそれぞれ判定する。そして、最新の無線フレームの判定結果と、この最新フレームに対し先行する所定の期間(例えば160msec )分に相当する16個の無線フレームの判定結果を、判定テーブルに保存する。この判定テーブルに保存された判定結果は、新たな無線フレームの判定結果が得られるごとに更新する。
【0036】
同期外れ判定機能12cは、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果と、上記受信状態監視部61から通知された検出テーブルの記憶情報と、上記伝送誤り判定機能12bにより作成された判定テーブルの記憶情報とに基づいて、次の複数の判定処理を実行する。
(1)受信されたDPCCHのQualityをしきい値Qoutと比較し、DPCCHの受信品質(Quality)が所定期間(例えば160msec )連続してしきい値Qoutより劣化した時点で、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果及び上記判定テーブルの記憶情報にかかわらず、同期外れ(Out−of−Sync)と判定する。
【0037】
(2)受信中のTrCHについて、受信された最新の20個のTBのCRCがすべてエラーとなり、かつその直前の160msec の期間に受信されたTBのCRCがすべてエラーの場合に、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果にかかわらず、同期外れ(Out−of−Sync)と判定する。
【0038】
(3)受信中のTrCHについて、受信された最新の20個のTBにおいてCRCがすべてエラーとなり、かつその直前の160msec の期間にTBがまったく受信されなかった場合には、上記通信種別判定機能12aによるベアラの判定結果を参照する。そして、ベアラの判定結果がパケット通信の場合には、同期外れ(Out−of−Sync)ではないと判定する。
【0039】
次に、以上のように構成された移動通信端末による個別チャネルの同期外れ判定動作を説明する。図2及び図3はその制御手順と制御内容を示すフローチャート、図4及び図5は検出テーブル及び判定テーブルの構成を示す図、図6乃至図8は動作説明に使用するタイミング図である。
【0040】
いま仮に、インターネット上のサイトからウェブデータのダウンロードを開始したとする。この状態でCDMA信号処理部6の受信状態監視部61では、受信信号の無線フレーム(10msec)ごとにDPCCHの受信レベル(受信品質)が測定される。またそれと共に、TrCHごとに受信したTBの数がカウントされ、さらに受信されたTBのCRCをもとに伝送誤りの有無が検出される。なお、このときTrCHには、ともに論理チャネルからなる制御用のDCCHとデータ用のDTCHとが多重化されている。このため、上記受信TBの数のカウント及びCRCによる伝送誤りの有無の検出は、上記DCCH及びDTCHの各々について行われる。そして、上記DPCCHの受信レベルの測定値、受信したTBの数とその伝送誤りの有無の検出結果が、1無線フレーム分の受信状態を表す情報として検出テーブルにまとめられ、主制御部12に通知される。
【0041】
図4にこの検出テーブルの一例を示す。この例では、DCCHのTBが最大で1個、DTCHのTBが最大で12個受信される場合を示している。
【0042】
なお、パケット通信ではDTCHは1個のTrCHにより伝送されるので、図4ではこの1個のTrCHによるDTCHの受信状態を表す検出情報を記憶している。これは、DTCHが同じく1個のTrCHにより伝送されるテレビ電話通信の場合も同様である。また、AMR方式を使用する音声通信の場合には、DTCHを伝送するためにClass A、Class B、Class Cの3つのTrCHが使用される。しかし、CRC判定はClass Aについてのみ行われるので、この場合も検出テーブルに記憶するDTCHに係わる検出情報はTrCH1個分でよいことになる。一方、マルチコールによる通信(例えばAMRによる音声通信+パケット通信+DCCH)の場合には、AMRのCRC判定をClass Aのみとすると、DTCHのTrCH数は2個必要であり、検出テーブルにはこれら2個のTrCHのDTCHに係わる検出情報が記憶される。
【0043】
また、DCCHは4無線フレーム(40msec)に1回しか受信されない。このため、無線フレームの周期(10msec)で検出テーブルを作成する場合には、無線フレームごとにDCCHの有効/無効を表示する必要がある。そこで、検出テーブルにはDCCH情報有効無効フラグが用意されている。さらに、DTCHについても、AMR方式を使用する音声通信や、テレビ電話通信、パケット等の各ベアラにて規定されているTTI周期でしか有効な情報が通知されない。このため、その判定用にDTCH情報有効無効フラグが用意されている。
【0044】
なお、高レートのパケット通信(384kbps)の場合には、1TTIが10msecであり、無線フレーム長(10msec)と同じである。したがって、最大伝送レートして384kbpsを使用するW−CDMA方式によるパケット通信サービスでは、1TTIあたりに多重されるTB数は最大で12個であり、検出テーブルは図4に示した構成となる。但し、将来的に384kbpsよりも高い伝送レートのパケット通信サービスが開始され、1TTI当たりのTB数が増えることも予想される。このような場合には、検出テーブルにおけるDTCHのCRC結果の数及びDTCHの受信TB数の上限値を1TTI当たりのTB数に応じて増やせばよい。
【0045】
さて、そうして受信された最新の無線フレームに対応する検出テーブルが得られると、主制御部12は次のように同期外れの判定処理を実行する。なお、カウンタC1及びC2の値はベアラ確立時に0に初期化されているものとする。
【0046】
すなわち、図2に示すように、先ずステップS1により最新の無線フレームの検出テーブルからDPCCHの受信レベル(受信品質)を読み出す。そして、このDPCCHの受信品質(DPCCH−QUALITY)を、予め設定した同期外れ用しきい値Qoutと比較し、DPCCHの受信品質がしきい値Qout以下であるか否かをステップS2で判定する。この比較の結果、DPCCHの受信レベルがしきい値Qout以下であれば、ステップS3にてカウンタC1をインクリメントする。これに対しDPCCHの受信レベルがしきい値Qoutより大きい場合には、ステップS4にてカウンタC1を「0」に初期化する。カウンタC1は、DPCCHの受信レベルが160msecの期間連続してしきい値Qout以下に低下したことを検出するために使用される。
【0047】
主制御部12は、ステップS5において、上記カウンタC1の値が160msecの期間に相当する「16」に達したか否かを判定する。そして、カウンタC1の値が「16」に達した場合には、ステップS6に移行してここでOut Of Sync通知処理を行う。Out Of Sync通知処理とは、カウンタC1,C2を「0」に初期化すると共に、送受信モジュールRU及びCDMA信号処理部6に対し指示を与え、これにより一定期間送信データの送信を停止して同期判定処理を実行させる処理である。このOut Of Sync通知処理を終了すると、主制御部12は図3に示すステップS7及びステップS8に移行し、ここで図5に示す判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0048】
更新処理とは、図2と図3で示した一連のOut Of Sync検出処理の終了時に、図5で示した時刻「10msec前」乃至「160msec前」の情報をそれぞれ時刻「20msec前」乃至「170msec前」の情報としてコピーした後に、受信状態監視部61からその無線フレームにて通知された図4の情報から、その無線フレームにて1つでもTBを受信したか否かの情報(TB受信フラグ)とCRC−OKのTBが1つで受信したか否かの情報(CRC−OKフラグ)を得て、時刻「10msec前」の情報として保持することを意味する。
【0049】
一方、上記ステップS5においてカウンタC1の値が「16」未満だったとする。この場合主制御部12は、まだOut Of Sync検出の条件を満たしていないと判断して、受信されたTBのCRC結果に基づくOut Of Syncの判定処理を次のように実行する。
【0050】
すなわち、主制御部12は、先ずステップS9において、最新の無線フレームに対応する検出テーブルからDCCH情報有効無効フラグ、DCCHの受信TB数、DTCH情報有効無効フラグ、及びDTCHの受信TB数を読み出し、現無線フレームにてTBの受信があったか否かを判定する。TBの受信がない場合には、前述したステップS7,S8へと進み、図5に示す判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0051】
これに対しTBの受信があった場合には、主制御部12はステップS10により、検出テーブルのDCCH及びDTCHのCRC結果を参照することで、現無線フレームにてCRC−OKのTBが一つでも受信されたか否かを判定する。そして、CRC−OKのTBが一つでも受信された場合には、ステップS11にてカウンタC2を「0」に初期化する。一方、CRC−OKのTBが一つも受信されなかった場合には、ステップS12によりカウンタC2の値を図4の検出テーブルに示す「DTCHのCRC結果[1]」から連続してCRC−NGで受信したTB数分だけインクリメントする。この例では、説明を簡略化する為に、DCCHのTBは全く受信しない場合を想定するものとし、DTCHのCRC結果のみカウントするもととする。カウンタC2は、受信されたTBのCRC−NGの連続数を検出するために使用するものである。
【0052】
続いて主制御部12は、図3に示すステップS13に移行し、ここでカウンタC2の値が「20」になったか否かを、つまり受信されたTBが20個連続してCRC−NGとなったか否かを判定する。カウンタC2の値が「20」未満の場合には、前述したステップS7,S8へと進み、ここで判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0053】
これに対しカウンタC2の値が「20」の場合には、ステップS14へと進む。ステップS14では、ベアラがパケット通信であるか否か判定する。なお、このベアラの判定は、ベアラ確立時に取得されているベアラ種別をもとに行う。このベアラ種別の判定の結果、いま確立されているベアラがパケット通信でない場合には、ステップS16にて直前の160msecの先行期間において受信されたTBの中にCRC−OKのTBがあったか否かを、判定テーブル中の時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値から判定する。パケット384kbpsの場合は、1無線フレーム(10msec)あたり12TB多重されているので、2無線フレームのTBが全てCRC−OK となった場合を想定すると、CRC−NGを連続20TB検出するには、20msec必要である。その為、判定テーブルの時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値をチェックする必要がある。
【0054】
この判定の結果、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つもなかった場合には、ステップS17に移行してここでOut Of Sync通知処理を実行する。これに対し、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つでもあった場合、つまり時刻20msec前から170msec前までのCRC−OKフラグがすべて「0」でない場合には、Out Of Syncと判定せずに、ステップS7,S8に移行して判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0055】
一方、確立されているベアラがパケット通信だったとする。この場合主制御部12は、ステップS15により、直前の160msecの先行期間において受信されたTBの数を、図5に示す判定テーブルに記憶されている時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値から求める。そして、直前の160msecの先行期間にTBが受信されていなかった場合、つまり図5の判定テーブルにおける時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグがすべて「0」の場合には、Out Of Syncと判定せずに、ステップS7,S8へと進み、判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0056】
このベアラに基づく判定処理手順の追加により、パケット受信時に「受信した最新の20個のTBのCRCがすべてエラー」が成り立った場合でも、その直前の160msecの先行期間においてTBをまったく受信していないときには、Out−of−Syncと判定しないようになる。
【0057】
このため、高い伝送レートでパケットを間欠受信している最中に、瞬間的なBLERの劣化が発生した場合でも、これを即時Out−Of−Syncと判定する不具合を防止することができる。この結果、Out−Of−Syncと判定されるごとに行われる移動通信端末の不必要な送信停止を無くすことができ、これによりパケット受信のスループットを向上させることができる。また、パケット通信中の呼切断率も少なくして、通信接続率を高く保持することができる。
【0058】
一方、上記ステップS15において、連続する20個のTBがすべてCRC−NGとなったとしても、その直前の160msecの先行期間に1以上のTBが受信されていた場合には、主制御部12はこの受信したTBのCRC判定結果を判定するためにステップS16へと進む。そして、ステップS16により、直前の160msecの先行期間において受信されたTBの中にCRC−OKのTBがあったか否かを、判定テーブル中の時刻20msec前から170msec前までのTB受信フラグの値から判定する。
【0059】
この判定の結果、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つもなかった場合には、ステップS17に移行してここでOut Of Sync通知処理を実行する。これに対し、直前の160msecの先行期間に受信されたTBの中にCRC−OKのTBが一つでもあった場合、つまり時刻20msec前から170msec前までのCRC−OKフラグがすべて「0」でない場合には、Out Of Syncと判定せずに、ステップS7,S8に移行して判定テーブルのTB受信フラグとCRC−OKフラグの更新処理を行う。
【0060】
図6乃至図8は、384kbpsの伝送レートでパケットを受信する場合の、受信品質(DPCCH_QUALITY)と受信TBのCRC判定結果の時間的推移を示したものであり、横軸は時間、縦軸はDPCCH_QUALITYを示している。またQoutは、DPCCH_QUALITYによるOut Of Sync判定のためのしきい値を示している。
【0061】
さらに、時間軸上に図示した白四角は、1TTIにて受信したTB(パケット384kbpsの場合は最大12TB)がすべてCRC−OKの場合を示しており、またハッチングを付した四角は、1TTIにて受信したTBがすべてCRC−NGの場合を示している。
【0062】
なお、ここでは説明を簡略化するために、1TTIにて受信したTBにCRC−OKとCRC−NGとが混在する例は記載していない。しかし、図2のステップS12により連続CRC−NGの数をカウンタC2でカウントアップし、さらに図3に示すステップS13により連続CRC−NGの回数が20回に達したか否かを判定する処理がある。このため、上記したように1TTIにて受信したTBにCRC−OKとCRC−NGとが混在する場合でも、問題なく処理することができる。
【0063】
図6は、一定期間(160msec)以上に亘りパケットが受信されない状態が続いた後で、2無線フレームで受信されたTBがフェージング等の影響によりすべて伝送誤りとなった場合の動作を示すものである。
【0064】
従来技術では、図3のステップS13から、ステップS14,S15を省いて、直接ステップS16,S17が実行される。このため、図6に記載の時刻t1にて高々2無線フレーム(20ms)の期間に受信したTBがCRC−NGとなっただけで、即時Out Of Syncと判定されてしまう。一旦Out Of Syncと判定されると、3GPPの仕様では同期判定処理が実行されてIn Syncと判定されるまで最短で160msecの期間送信が停止される。したがって、この送信停止期間に受信されたパケットに対するRLCレベルの応答やTCPレベルの応答を送信できなくなってしまい、パケット受信のスループットの低下が避けられなかった。
【0065】
これに対しこの発明の実施形態では、図3に示すステップS14によりベアラがパケット通信であると判定された場合には、時刻t1の無線フレームにて連続して20個のTBでCRC−NGが検出されても、直前の160msecの期間に受信TBがない場合には、これをOut Of Syncと判定しない。このため、送信停止も行われなくなり、この結果パケット受信のスループットを低下させることがなくなる。
【0066】
一方、パケットが160msec以上の間隔で間欠的に受信され、そのすべてがCRC−NGだった場合には、CRC結果によるOut Of Syncの判定ができないことになる。しかし、例えばコンテンツデータのダウンロードを行うパケット通信サービスにおいて、そのようなケースは稀である。また、仮にそのようなケースがあったとしても、DPCCHの受信品質(DPCCH_QUALITY)に基づくOut Of Syncの判定が行われるので、問題はない。図8はこの場合のOut Of Sync判定動作を説明する図である。
【0067】
すなわち、図8に示すように時刻t1から数十ms後にパケットの受信品質の劣化が発生したとする。この場合、時刻t3にてDPCCH_QUALITY値がしきい値Qout値を下回る。そして、その時点から160msec後の時刻t4になると、図2のステップS5によりOut Of Syncの判定がなされる。つまり、受信されたTBのCRC−NGの数によるOut Of Sync判定が行えないような場合でも、DPCCHの受信品質に基づくOut Of Syncの判定が行われるので、Out Of Syncの見過ごし等の不具合はまったく生じない。
【0068】
また、図7では、同様に時刻t1から数十msec後にパケットの受信品質の劣化が発生した場合に、この時点t3から160msec以内の時刻t2において2TTI(24TB)にわたり連続してCRC−NGが検出され、かつ直前の160msecの期間に受信されたTBがすべてCRC−NG(時刻t1にて受信したTB)だった場合には、この時刻t2にてCRC結果に基づくOut Of Syncの判定が行われる。したがって、この場合には、パケットの受信品質(DPCCH_QUALITY)の劣化が発生した時点t3から160msecが経過するまで待つことなく、CRC結果に基づくOut Of Sync判定が行われる。
【0069】
以上述べたようにこの実施形態では、通信種別判定機能12aを新たに備え、受信された最新の20個のTBにおいてCRCがすべて伝送誤りとなり、かつその直前の160msec の先行期間にTBがまったく受信されなかった場合には、上記通信種別判定機能12aによる通信種別の判定結果を参照する。そして、現在使用中の通信種別がパケット通信の場合には、同期外れ(Out−of−Sync)と判定しないようにしている。
【0070】
したがって、実質的に不必要な同期判定処理が実行されてその間に送信が停止されることが無くなり、これによりパケット受信のスループットの低下を防止して、例えばコンテンツデータのダウンロード時間を短縮することができる。特に、伝送レートの高いパケット通信において、パケットデータが間欠的に受信されている状態で瞬間的なBLERの劣化が発生しても、これが即時Out−Of−Syncと判定されないようにすることができる。このため、Out−Of−Syncの判定による移動通信端末からの送信を停止する時間を無くすこともでき、結果的にパケット受信のスループットを向上させることができる。また、パケット通信中の呼切断率を少なくすることができる。
【0071】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、3GPPの仕様に準拠したW−CDMA方式の移動通信端末を例にとって説明した。しかし、個別チャネル(DCH)の受信品質や受信データのCRC−NG数に基づいてOut Of Syncの判定を行う機能を備えた移動通信端末であれば、他の如何なる無線通信方式を採用した移動通信端末にもこの発明は適用可能である。
【0072】
また前記実施形態では、先に述べた判定条件(1)〜(3)のように、受信されたTBのCRCの判定結果をもとに同期外れ(Out−of−Sync)を判定すると共に、受信されたDPCCHのQualityが所定期間(例えば160msec )連続してしきい値Qout以下に劣化した場合にもOut−of−Syncを判定するようにした。しかし、3GPPの仕様に準拠する必要性のないシステムでは、DPCCHのQualityの判定結果を使用せずに、つまり上記判定条件(1)を使用せずに、受信されたTBのCRCの判定結果、つまり判定条件(2),(3)のみによりOut−of−Syncを判定するようにしてもよい。
【0073】
その他、移動通信端末の回路構成、受信品質検出手段や伝送誤り検出判定手段の構成、同期外れ判定手段による同期外れ判定手順やその内容などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、個別チャネル受信中の第1の期間に伝送誤りを有するデータブロックが第1の数以上受信されたか否かを判定する誤り判定手段と、上記第1の期間に先行する第2の期間に伝送誤りを有するデータブロックが第2の数以上受信されたか否かを判定する誤り判定手段とに加え、上記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する通信種別の判定手段を新たに備える。そして、この通信種別の判定結果と、上記誤り判定手段の各判定結果とに基づいて、同期外れの有無を判定するようにしている。
【0075】
したがってこの発明によれば、同期外れの判定を通信種別に応じてより適切に行うことができ、これにより不必要な同期判定処理の実行を減らして、送信停止期間を無くすことができ、スループットの向上と呼切断率の低減を可能にし、データ伝送効率の向上を図ることができる移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係わる移動通信端末の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定手順とその内容の前半部分を示すフローチャート。
【図3】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定手順とその内容の後半部分を示すフローチャート。
【図4】受信状態検出テーブルの構成の一例を示す図。
【図5】データブロックの受信の有無と伝送誤りの有無を最新無線フレーム受信時刻から160msecの先行期間に亘って記憶する判定テーブルの構成の一例を示す図。
【図6】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定動作を説明するためのタイミング図。
【図7】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定動作を説明するためのタイミング図。
【図8】図1に示した移動通信端末による同期外れ判定動作を説明するためのタイミング図。
【符号の説明】
BU…ベースバンドモジュール
RU…送受信モジュール
1…アンテナ
2…アンテナ共用器(DUP)
3…受信回路(RX)
4…周波数シンセサイザ(SYN)
5…送信回路(TX)
6…CDMA信号処理部
7…圧縮伸長処理部(コンパンダ)
8…PCM符号処理部(PCMコーデック)
9…受話増幅器
10…スピーカ
11…マイクロホン
12…制御部
12a…通信種別判定機能
12b…伝送誤り判定機能
12c…同期外れ判定機能
13…記憶部
14…入力部
15…表示部
16…バッテリ
17…電源回路
18…送話増幅器
61…受信状態監視部
Claims (10)
- 個別チャネルの受信中に当該個別チャネルに対する同期外れを判定する機能を備えた移動通信端末において、
前記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する第1の判定手段と、
前記個別チャネルの受信中に、伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合に、当該データブロックに先行する所定の期間にデータブロックが受信されたか否かを判定する第3の判定手段と、
前記先行する所定の期間に伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが検出されたか否かを判定する第4の判定手段と、
前記第1乃至第4の判定手段による各判定結果に基づいて、前記受信中の個別チャネルに対する同期外れの有無を判定する第1の同期外れ判定手段とを具備したことを特徴とする移動通信端末。 - 前記第1の同期外れ判定手段は、
前記第2の判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定され、かつ前記第4の判定手段により伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合には、前記第1の判定手段による通信種別の判定結果にかかわらず同期外れと判定する手段と、
前記第2の判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出され、かつ前記第3の判定手段により前記所定の先行期間にデータブロックが受信されなかったと判定された場合には、前記第1の判定手段による通信種別の判定結果に基づき、判定結果がパケット通信の場合には同期外れではないと判定する手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。 - 前記個別チャネルの受信中に、当該個別チャネルにより伝送される特定の信号の受信品質を検出し、この検出された受信品質が予め設定した期間にわたり連続してしきい値以下に低下した場合に、前記第1の同期外れ判定手段の判定結果にかかわらず同期外れと判定する第2の同期外れ判定手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の移動通信端末。
- 前記第2、第3及び第4の判定手段は、前記個別チャネルの1フレームごとに、受信されたデータブロックの数と伝送誤りの有無を検出してその検出結果を記憶する第1の記憶テーブルと、この第1の記憶テーブルに記憶された検出結果をもとに、前記1フレームごとのデータブロックの受信の有無と伝送誤りを有するデータブロックの有無をそれぞれ判定し、この判定結果を最新のフレームのものから前記所定の先行期間分に相当するフレームのものまで記憶する第2の記憶テーブルとを備え、
前記第1の同期外れ判定手段は、前記第2の記憶テーブルの記憶情報をもとに同期外れの有無を判定することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。 - 個別チャネルに対し同期を確立してデータを受信する送受信モジュールの動作を制御する機能を有する、移動通信端末の制御モジュールであって、
前記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する第1の判定手段と、
前記個別チャネルの受信中に、伝送誤りを有する第1の数以上データブロックが前記送受信モジュールにおいて検出されたか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合に、当該データブロックに先行する所定の期間にデータブロックが前記送受信モジュールにおいて受信されたか否かを判定する第3の判定手段と、
前記先行する所定の期間に、伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが前記送受信モジュールにおいて検出されたか否かを判定する第4の判定手段と、
前記第1乃至第4の判定手段による各判定結果に基づいて、前記受信中の個別チャネルの同期外れの有無を判定する第1の同期外れ判定手段とを具備したことを特徴とする移動通信端末の制御モジュール。 - 前記第1の同期外れ判定手段は、
前記第2の判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定され、かつ前記第4の判定手段により伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合には、前記第1の判定手段による通信種別の判定結果にかかわらず同期外れと判定する手段と、
前記第2の判定手段により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出され、かつ前記第3の判定手段により前記先行する所定の期間にデータブロックが受信されなかったと判定された場合には、前記第1の判定手段による通信種別の判定結果に基づき、判定結果がパケット通信の場合には同期外れではないと判定する手段とを備えることを特徴とする請求項5記載の移動通信端末の制御モジュール。 - 前記送受信モジュールが、個別チャネルの受信中に当該個別チャネルにより伝送される特定の信号の受信品質を検出する検出手段を備えている場合に、
前記検出手段の検出結果を監視し、前記検出された受信品質が予め設定した期間にわたり連続してしきい値以下に低下した場合に、前記第1の同期外れ判定手段の判定結果にかかわらず同期外れと判定する第2の同期外れ判定手段を、さらに具備することを特徴とする請求項5又は6記載の移動通信端末の制御モジュール。 - 個別チャネルに対し同期を確立してデータを受信する送受信モジュールの動作をコンピュータにより制御する移動通信端末で使用される同期判定プログラムであって、
前記個別チャネルを使用する通信の種別を判定する第1の処理と、
前記個別チャネルの受信中に、伝送誤りを有する第1の数以上データブロックが前記送受信モジュールにおいて検出されたか否かを判定する第2の処理と、
前記第2の処理により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合に、当該データブロックに先行する所定の期間にデータブロックが前記送受信モジュールにおいて受信されたか否かを判定する第3の処理と、
前記先行する所定の期間に、伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが前記送受信モジュールにおいて検出されたか否かを判定する第4の処理と、
前記第1乃至第4の処理による各判定結果に基づいて、前記受信中の個別チャネルの同期外れの有無を判定する第5の処理とを、
前記コンピュータに実行させる同期判定プログラム。 - 前記第5の処理は、
前記第2の処理により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出されたと判定され、かつ前記第4の処理により伝送誤りを有する第2の数以上のデータブロックが検出されたと判定された場合には、前記第1の処理による通信種別の判定結果にかかわらず同期外れと判定する処理と、
前記第2の処理により伝送誤りを有する第1の数以上のデータブロックが検出され、かつ前記第3の処理により前記先行する所定の期間にデータブロックが受信されなかったと判定された場合には、前記第1の処理による通信種別の判定結果に基づき、判定結果がパケット通信の場合には同期外れではないと判定する処理とを、
前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8記載の同期判定プログラム。 - 前記送受信モジュールが、個別チャネルの受信中に当該個別チャネルにより伝送される特定の信号の受信品質を検出する検出手段を備えている場合に、
前記検出手段の検出結果を監視し、前記検出された受信品質が予め設定した期間にわたり連続してしきい値以下に低下した場合に、前記第5の処理の判定結果にかかわらず同期外れと判定する第6の処理を、
前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項8又は9記載の同期判定プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268957A JP2004112096A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268957A JP2004112096A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004112096A true JP2004112096A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32267030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002268957A Pending JP2004112096A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004112096A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008537852A (ja) * | 2005-02-14 | 2008-09-25 | アイピーワイヤレス,インコーポレイテッド | 無線ネットワークにおける電波リンク品質の判別 |
JP2010183124A (ja) * | 2009-01-08 | 2010-08-19 | Ntt Docomo Inc | 試験方法及び試験装置 |
JP2015195632A (ja) * | 2008-09-22 | 2015-11-05 | インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド | Drxモードにおけるlte無線リンク障害判定のための方法および装置 |
WO2020065779A1 (ja) * | 2018-09-26 | 2020-04-02 | 株式会社Nttドコモ | ユーザ装置 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002268957A patent/JP2004112096A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008537852A (ja) * | 2005-02-14 | 2008-09-25 | アイピーワイヤレス,インコーポレイテッド | 無線ネットワークにおける電波リンク品質の判別 |
JP4809372B2 (ja) * | 2005-02-14 | 2011-11-09 | ワイヤレス テクノロジー ソリューションズ エルエルシー | 無線ネットワークにおける電波リンク品質の判別 |
JP2015195632A (ja) * | 2008-09-22 | 2015-11-05 | インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド | Drxモードにおけるlte無線リンク障害判定のための方法および装置 |
JP2010183124A (ja) * | 2009-01-08 | 2010-08-19 | Ntt Docomo Inc | 試験方法及び試験装置 |
JP4597242B2 (ja) * | 2009-01-08 | 2010-12-15 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 試験方法及び試験装置 |
WO2020065779A1 (ja) * | 2018-09-26 | 2020-04-02 | 株式会社Nttドコモ | ユーザ装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN101288243B (zh) | 在多载波无线***中建立附加反向链路载波 | |
US8208402B2 (en) | Changing a radio access configuration between a terminal and a network | |
RU2295842C2 (ru) | Способ и система для максимизирования продолжительности работы в режиме ожидания во время контролирования канала управления | |
KR100956531B1 (ko) | 패킷 데이터 시스템용의 효율적인 멀티캐스팅 | |
US7688799B2 (en) | Mobile terminal, wireless relay apparatus, and mobile communication system | |
EP2015526A2 (en) | Downlink packet data convergence protocol behaviour during handover | |
JP2005065302A (ja) | 無線通信システムの機能強化されたコール回復 | |
KR20070122463A (ko) | Mbms 셀 재구성 방법 | |
JP2003116162A (ja) | 移動通信端末装置及びシステム選択方法 | |
EP1973356A2 (en) | Discontinuous reception operation for constant data rate service | |
US8374097B2 (en) | Fast DRX for DL speech transmission in wireless networks | |
EP1303158B1 (en) | Handover with fall-back to initial communication channel on handover failure | |
JP4336760B2 (ja) | ダイバーシティ受信機およびアンテナ切り替え制御方法 | |
US7979208B2 (en) | Mobile terminal with position measurement function | |
JP5426574B2 (ja) | Hspaを介した回線交換データの送信 | |
RU2396712C2 (ru) | Изменение настройки радиосвязи между терминалом и сетью | |
JP2008048175A (ja) | 移動通信端末及び移動通信システム | |
WO2012016205A1 (en) | Method and apparatus for improved mbms capacity and link management through robust and performance optimal soft combining | |
JP2004112096A (ja) | 移動通信端末とその制御モジュール及び同期判定プログラム | |
JP4826629B2 (ja) | 移動通信端末、該移動通信端末に用いられる同期判定回路、制御方法、及び同期判定制御プログラム | |
JP4223773B2 (ja) | 無線通信端末 | |
JP2005110179A (ja) | 受信装置、送受信装置及びその装置の制御方法 | |
JP4613646B2 (ja) | 携帯端末及び携帯端末におけるアンテナ切換制御方法 | |
JP2004236350A (ja) | 断続信号を扱う無線通信装置 | |
US9161383B2 (en) | Discontinuous transmission CDMA system |