JP2004104237A - 伝送遅延時間測定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で、伝送区間における伝送信号の伝送遅延時間を測定できるようにする。
【解決手段】放送局100AのTS−TEST信号生成装置102にてGPS受信機101から得られる1pps信号の周期タイミングとフレーム先頭との時間差が1pps信号の時間長とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で一意に決まるTSを生成してOFDM変調装置103にてTSをOFDM信号に変調させ、受信側測定装置200Aの遅延測定装置205により受信したTSから単位期間内のフレームを特定し、その特定フレームとGPS受信機201から得られる1pps信号の周期タイミングとの時間差を測定する。以後、遅延測定装置205では、測定した時間差と、既知の時間差との差分を求めることで、OFDM信号の遅延時間を求める。
【選択図】 図1
【解決手段】放送局100AのTS−TEST信号生成装置102にてGPS受信機101から得られる1pps信号の周期タイミングとフレーム先頭との時間差が1pps信号の時間長とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で一意に決まるTSを生成してOFDM変調装置103にてTSをOFDM信号に変調させ、受信側測定装置200Aの遅延測定装置205により受信したTSから単位期間内のフレームを特定し、その特定フレームとGPS受信機201から得られる1pps信号の周期タイミングとの時間差を測定する。以後、遅延測定装置205では、測定した時間差と、既知の時間差との差分を求めることで、OFDM信号の遅延時間を求める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によるデジタル放送等のOFDM信号を伝送する場合に、伝送区間におけるOFDM信号の伝送遅延を測定するための伝送遅延時間測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、地上波におけるデジタルテレビジョン放送の標準方式(ISDB−T)が決定され、実用化に向けて種々の開発が進められている。特に、欧州と日本においては直交周波数分割多重(以下、OFDMという)方式が伝送方式として採用されることが決定され、特に欧州においては規格化が完了し実用レベルに達している。このOFDM方式は、広帯域信号を互いに直交する多数の搬送波(以下、キャリアという)で伝送することにより、地上テレビジョン放送において必須の伝送条件であるマルチパス伝搬路における耐遅延干渉特性を改善できる等の特徴がある。
【0003】
ところで、地上デジタルテレビジョン放送にあっては、互いに離れた複数の地点に設置された送信局または中継局からOFDM信号を送信する単一周波数網(SFN:Single Frequency Network)を構成することが予定されている。この場合、受信側で複数局からのOFDM信号を受信すると、各信号間で遅延が生じることがある。このため、受信側において、各OFDM信号の遅延量を許容範囲内に抑えるために、該遅延量を正確に測定する必要が生じる。
【0004】
図3は、伝送遅延量を測定するためのシステム構成を示すブロック図である。
図3において、符号11は基準信号として基準時刻、基準クロックを生成する基準信号源で、この基準信号源11で生成される基準信号は、TS−TEST信号生成装置12、OFDM変調装置13、遅延部14、伝送部15、基準OFDM変調装置16及び基準伝送部17に供給され、それぞれの信号処理に供される。
【0005】
TS−TEST信号生成装置12は、基準信号に基づいて測定用のTS(トランスポートストリーム、以下TS−TEST信号と称する)を生成するもので、その出力はOFDM変調装置13及び基準OFDM変調装置16に送られる。OFDM変調装置13は、TS−TEST信号生成装置12の出力を所定モードのサブキャリアに順次割り当て、IFFT(逆高速フーリエ変換)処理により周波数領域から時間軸領域に変換してOFDM信号を生成するもので、ここで得られたOFDM信号は遅延部14で直交変調、周波数変換等の信号処理による遅延が与えられた後、伝送部15を介して受信側の加算部18に供給される。
【0006】
また、基準OFDM変調装置16で生成された基準OFDM信号は、基準伝送部17を介して加算部18に供給される。加算部18は、OFDM信号と基準OFDM信号とを加算し、その加算結果をスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置19に出力する。スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置19は、加算部18の加算出力をスペクトラム分析し、この分析結果に基づいてOFDM信号の遅延時間を測定する。
【0007】
しかしながら、上記構成では、遅延量が既知のOFDM変調装置13が必ず必要な点、基準OFDM変調装置16とスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置19とが場所として離れている場合に、基準OFDM変調装置16への入力信号を基準伝送部17が既知の遅延量となる地点まで伝送し、基準側のトータルの遅延量を既知とする必要が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、地上デジタルテレビジョン放送において、従来では伝送区間におけるOFDM信号の遅延時間を測定するための有効な手段がなかった。 そこで、この発明の目的は、簡易な構成で、伝送区間における伝送信号の伝送遅延時間を容易に測定し得る伝送遅延時間測定システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。
(1)送信側で変調部にてフレーム構造の伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側で伝送路からの変調信号を受信し復調部にて復調出力する伝送システムに用いられ、送信側は、伝送信号のフレーム長とは異なる時間長の一定周期の基準信号を取得する第1の基準信号取得手段と、この第1の基準信号取得手段で取得された基準信号と伝送信号のフレーム長との最小公倍数に相当する期間を単位期間とし、この単位期間内でフレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、基準信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号を生成して変調部に供給する伝送信号生成手段とを備え、受信側は、第1の基準信号取得手段で取得される基準信号と同一の基準信号を取得する第2の基準信号取得手段と、復調部によって得られる伝送信号から単位期間とその単位期間内のフレームを特定するフレーム特定手段と、このフレーム特定手段で特定された単位期間内の各フレーム先頭と第2の基準信号取得手段で得られる基準信号の周期タイミングとの時間差を測定する測定手段と、この測定手段で測定された時間差と伝送信号の生成時に得られる既知の時間差との差分を演算することで伝送遅延時間を求める演算手段とを備えるようにしたものである。
【0010】
(1)の発明によれば、送信側で基準信号とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で基準信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号が生成され、この伝送信号が変調部によって変調され、この変調信号が伝送路を介して受信側に送出される。受信側では送信側と同一タイミングの基準信号が取得されるとともに、伝送路からの変調信号を復調部により復調された伝送信号の単位期間とその単位期間内のフレームが特定され、この特定された単位期間内の各フレーム先頭と基準信号の周期タイミングとの時間差が測定される。以後、測定された時間差つまり伝送路の遅延を含む時間差と、伝送信号の生成時に得られる既知の時間差との差分を求めることで、送信側から受信側へ伝送される伝送信号の遅延時間が求められる。従って、特別な測定器を用いることなく、受信側では送信側と同一の基準信号を取得し、伝送信号の単位期間内のフレームを特定するだけで、容易に伝送信号の伝送遅延時間を測定することができる。
【0011】
(2)第1及び第2の基準信号取得手段は、衛星測位システムの衛星から送られる信号に基づいて基準信号を生成することを特徴とする。
(2)の発明によれば、送信側と受信側において、GPS(Global Positioning System)といった既知の衛星測位システムを利用して、互いに同じ基準信号を得ることができ、これにより基準信号取得に関する信頼性を向上させることができる。
【0012】
(3)送信側で変調部にてフレーム構造の伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側で伝送路からの変調信号を受信する伝送システムに用いられ、送信側は、伝送信号のフレーム長とは異なる時間長の基準クロックで計時される基準時刻情報を取得する第1の基準時刻情報取得手段と、この第1の基準時刻情報取得手段で取得された基準時刻情報と伝送信号のフレーム長との最小公倍数に相当する期間を単位期間とし、この単位期間内でフレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、基準時刻情報の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号を生成して変調部に供給する第1の伝送信号生成手段とを備え、受信側は、第1の基準時刻情報取得手段で取得される基準時刻情報と同一の基準時刻情報を取得する第2の基準時刻情報取得手段と、この第2の基準時刻情報取得手段で取得された基準時刻情報を用いて第1の伝送信号生成手段で生成される伝送信号と同一の伝送信号を生成する第2の伝送信号生成手段と、この第2の伝送信号生成手段で生成された伝送信号を変調し、この変調出力を遅延量が既知の基準伝送路に通して出力する基準変調信号出力手段と、伝送路からの変調信号と基準変調信号出力手段で得られる信号とを合成し、その合成信号をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、伝送遅延時間を測定する測定手段とを備えるようにしたものである。
【0013】
(3)の発明によれば、送信側で基準時刻情報とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で基準時刻情報の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号が生成され、この伝送信号が変調部によって変調され、この変調信号が伝送路を介して受信側に送出される。受信側では送信側と同一の基準時刻情報が取得されるとともに、この基準時刻情報を利用して送信側で得られる伝送信号が生成され、この伝送信号を変調し遅延量が既知の基準伝送路を通すことにより変調信号に等しい基準変調信号が生成される。以後、伝送路を介して得られる変調信号と基準伝送路を介して得られる基準変調信号とを合成し、この合成信号をスペクトラム上あるいは遅延プロファイル上で観測することにより、送信側から受信側へ伝送される変調信号の遅延時間が求められる。従って、上記(1)で得られる作用効果と同様に、特別な測定器を用いることなく、受信側では既知の遅延量が与えられる基準変調信号を生成するだけで、容易に伝送路における伝送遅延時間を測定することができ、これにより上記(1)に比して、伝送遅延時間を精度良く求めることができ、さらに遅延時間の測定に際し時刻情報の取得が不要となる分、処理負荷を軽減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる伝送遅延時間測定システムを適用した、地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、GはGPS衛星であり、放送局100A及び受信側測定装置200AはそれぞれGPS衛星Gからの1pps信号を受信するためのGPS受信機101,201を備えている。
放送局100は、TS−TEST信号生成装置102、OFDM変調装置103、送信装置104及び送信アンテナ105を備える。
【0016】
TS−TEST信号生成装置102は、GPS受信機101から1pps信号を取込み、この1pps信号の時間長とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で、フレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、1pps信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まるTS(Transport Stream)を生成し、このTSをOFDM変調装置103に供給する。OFDM変調装置103は、入力されたTSをOFDM信号に変調する。ここで得られたOFDM信号は送信装置104で電力増幅されて送信アンテナ105から所定の領域に向けて送出される。
一方、受信側測定装置200Aにおいて、受信アンテナ202及び受信装置203は、上記放送局100AからのOFDM信号を受信し、この受信信号をOFDM復調装置204に出力する。
【0017】
OFDM復調装置204は、入力された受信信号を上記TSに復調し、このTSを遅延測定装置205に出力する。遅延測定装置205は、1pps信号をGPS受信機201の出力から取得し、OFDM復調装置204によって得られるTSから単位期間とその単位期間内のフレームを特定し、この特定された単位期間内の各フレーム先頭と1pps信号の周期タイミングとの時間差を測定する。以後、測定された時間差とTS−TEST信号生成装置102によるTSの生成時に得られる既知の時間差との差分を求めることで、放送局100Aから受信側測定装置200Aへ伝送されるOFDM信号の伝送遅延時間を求める。
【0018】
上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
1pps信号(一定の倍率の場合も含む)とフレーム同期との時間的関係は、1pps信号の時間長である1秒とフレーム同期の時間長との最小公倍数の時間内でフレームごとに異なる時間差をもつ。そこで、TS−TEST信号生成装置102では、上記単位期間内で各フレーム先頭と1pps信号の周期タイミングとの時間差が一意に決められるTSを生成し、OFDM変調装置103に出力する。OFDM変調装置103は、TS−TEST信号生成装置102からのTSをOFDM信号に変調する。
【0019】
そして、OFDM変調装置103の出力は、送信装置104及び送信アンテナ105を介して受信側測定装置200Aに送信される。受信側測定装置200Aでは、受信しOFDM復調装置204で復調した伝送信号を遅延測定装置205に入力する。遅延測定装置205では、入力信号に含まれる特定フレーム(例えば単位期間内の3番目のフレーム)が検出されるとともに、その検出時の1pps信号がGPS受信機201の出力から得られ、この検出時の1pps信号と特定フレームとの時間差が遅延時間分ずれて測定される。このずれ量は、伝送遅延量に相当するため、これにより伝送遅延時間が測定可能となる。
【0020】
以上のように上記第1の実施形態では、放送局100AのTS−TEST信号生成装置102にてGPS受信機101から得られる1pps信号の周期タイミングとフレーム先頭との時間差が1pps信号の時間長とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で一意に決まるTSを生成してOFDM変調装置103にてTSをOFDM信号に変調させ、受信側測定装置200Aの遅延測定装置205により受信したTSから単位期間内のフレームを特定し、その特定フレームとGPS受信機201から得られる1pps信号の周期タイミングとの時間差を測定する。以後、遅延測定装置205では、測定した時間差と、既知の時間差との差分を求めることで、放送局100Aから受信側測定装置200Aへ伝送されるOFDM信号の遅延時間を求めるようにしている。
【0021】
従って、特別な測定器を用いることなく、受信側測定装置200Aでは受信信号から単位期間内のフレームを特定するだけで、フレーム同期と1pps信号との時間的関係を利用して容易にOFDM信号の伝送遅延時間を測定することができる。
また、上記第1の実施形態によれば、放送局100A及び受信側測定装置200Aで、GPS衛星Gからの1pps信号を受信して互いに同じ1pps信号を基準とすることができ、これにより時刻情報取得に関する信頼性を向上させることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、この発明の第2の実施形態に係わる伝送遅延時間測定システムを適用した、地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図である。図2において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
放送局100Bにおいて、GPS受信機101はGPS衛星Gからの1pps信号に基づいて基準時刻、基準クロックを生成する。このうち、基準クロックは、TS−TEST信号生成装置102、OFDM変調装置103及び送信装置104に供給され、それぞれの信号処理に供される。
【0024】
一方、受信側測定装置200Bにおいて、GPS受信機201はGPS衛星Gからの1pps信号に基づいて基準時刻、基準クロックを生成する。このうち、基準クロックは、TS−TEST信号生成装置206、基準OFDM変調装置207及び基準伝送部208に供給され、それぞれの信号処理に供される。また、基準時刻は、上記GPS受信機101で得られる基準時刻と同一のものとする
TS−TEST信号生成装置206は、GPS受信機201から基準時刻及び基準クロックを取込み、この基準時刻に基づき1pps信号の時間長とフレーム同期との最小公倍数に相当する単位期間内で、1pps信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まるTSを生成し、このTSを基準OFDM変調装置207に供給する。基準OFDM変調装置207は、入力されたTSを基準OFDM信号に変調する。ここで得られた基準OFDM信号は、基準伝送部208を介して加算部209に供給される。なお、基準伝送部208は、既知の遅延量を有する。そこで、この遅延量は例えば上記送信装置104の処理時間と上記受信装置203の処理時間とに合わせるようにすれば、送信アンテナ105から受信アンテナ202までの伝搬遅延時間のみを測定することが可能になる。
【0025】
加算部209は、受信装置203から得られるOFDM信号と、基準伝送部208を介して得られる基準OFDM信号とを加算し、その加算結果をスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210に出力する。スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210は、加算部209の加算出力をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、送信装置104、送信アンテナ105、受信アンテナ202及び受信装置203を経由したOFDM信号の遅延時間を測定する。
【0026】
上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
すなわち、OFDM変調装置103と測定側となるスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210が場所として離れていたとしても、TS−TEST信号生成装置102,206では、GPS衛星Gからの1pps信号に基づく同じシーケンスで信号が生成される。このため、基準OFDM変調装置207には、OFDM変調装置103と同じ内容の信号を入力することが可能となり、これにより本系統、つまり送信装置104、送信アンテナ105、受信アンテナ202、受信装置203経由のOFDM信号について遅延量の測定が可能となる。ただし、TS−TEST信号生成装置102,206は、同じタイミングで信号を生成する必要がある。
【0027】
スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210では、加算部209の加算出力をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、本系統のOFDM信号の伝送遅延時間を測定する。この場合、遅延時間があると、その遅延時間に対する各キャリアの回転量が異なるので、本系統のOFDM信号と基準OFDM信号とを合成すると各キャリアごとに合成ベクトルの向き、大きさに違いが生じることが観測される。この違いは、本系統のOFDM信号の遅延量に相当するため、この遅延量からOFDM変調装置103の処理時間を除く本系統のOFDM信号の伝送遅延時間を測定することが可能となる。
【0028】
以上のように上記第2の実施形態では、放送局100BのTS−TEST信号生成装置102にて1pps信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まるTSを生成しOFDM変調装置103にてTSをOFDM信号に変調させるともに、受信側測定装置200BのTS−TEST信号生成装置206にて上記TS−TEST信号生成装置102で得られるTSを生成し、このTSを基準OFDM変調装置207に対し基準OFDM信号に変調させて、その変調された基準OFDM信号を遅延量が既知の基準伝送部208に通して加算部209に出力する。そして、加算部209では、OFDM変調装置103で生成され、放送局100Bから受信側測定装置200Bへ伝搬されたOFDM信号を入力し、このOFDM信号と基準OFDM信号とを加算してスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210に出力する。以後、スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210は、加算部209の加算出力をスペクトラム上あるいは遅延プロファイル上で観測することにより、OFDM変調装置103の処理時間を除く、放送局100Bから受信側測定装置200BへのOFDM信号の伝搬時間を測定するようにしている。
【0029】
従って、上記第1の実施形態で得られる作用効果と同様に、特別な測定器を用いることなく、遅延量が既知の基準伝送部208を伝送する基準OFDM信号を利用してOFDM変調装置103の処理時間を除いたOFDM信号の伝搬に要する遅延時間のみを測定できるため、伝送遅延時間を精度良く求めることができる。
また、上記第2の実施形態によれば、スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210において、遅延時間の測定に際して、1pps信号の取得が不要となる分、処理負荷を軽減できる。
【0030】
なお、上記第2の実施形態において、遅延時間が1フレーム以下であることが予めわかっている場合には、時刻のトリガーがTS−TEST信号生成装置102,206に同時に入力され、生成シーケンスが同じであるならば、測定対象系となるOFDM信号中にフレーム単位の既知の遅延量を含ませるようにしても、同様に、OFDM信号の伝送遅延時間を測定することができる。
【0031】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、地上デジタル放送システムの場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1秒とフレーム同期の時間長との最小公倍数の時間内でフレームごとに異なる時間差をもつ伝送信号を取り扱うものについても適用可能である。この場合、受信側で特定フレームを観測するだけで、伝送信号の伝送遅延時間を容易に測定することができる。
【0032】
その他、放送局及び受信側測定装置の構成や種類、遅延時間測定方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、簡易な構成で、伝送区間における伝送信号の伝送遅延時間を容易に測定し得る伝送遅延時間測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】この発明の第2の実施形態に係る地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図。
【図3】従来考えられていた伝送遅延量を測定するためのシステム構成の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
100A,100B…放送局、
101,201…GPS受信機、
102,206…TS−TEST信号生成装置、
103…OFDM変調装置、
104…送信装置、
105…送信アンテナ、
200A,200B…受信側測定装置、
202…受信アンテナ、
203…受信装置、
204…OFDM復調装置、
205…遅延測定装置、
207…基準OFDM変調装置、
208…基準伝送部、
209…加算部、
210…スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置、
G…GPS衛星。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によるデジタル放送等のOFDM信号を伝送する場合に、伝送区間におけるOFDM信号の伝送遅延を測定するための伝送遅延時間測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、地上波におけるデジタルテレビジョン放送の標準方式(ISDB−T)が決定され、実用化に向けて種々の開発が進められている。特に、欧州と日本においては直交周波数分割多重(以下、OFDMという)方式が伝送方式として採用されることが決定され、特に欧州においては規格化が完了し実用レベルに達している。このOFDM方式は、広帯域信号を互いに直交する多数の搬送波(以下、キャリアという)で伝送することにより、地上テレビジョン放送において必須の伝送条件であるマルチパス伝搬路における耐遅延干渉特性を改善できる等の特徴がある。
【0003】
ところで、地上デジタルテレビジョン放送にあっては、互いに離れた複数の地点に設置された送信局または中継局からOFDM信号を送信する単一周波数網(SFN:Single Frequency Network)を構成することが予定されている。この場合、受信側で複数局からのOFDM信号を受信すると、各信号間で遅延が生じることがある。このため、受信側において、各OFDM信号の遅延量を許容範囲内に抑えるために、該遅延量を正確に測定する必要が生じる。
【0004】
図3は、伝送遅延量を測定するためのシステム構成を示すブロック図である。
図3において、符号11は基準信号として基準時刻、基準クロックを生成する基準信号源で、この基準信号源11で生成される基準信号は、TS−TEST信号生成装置12、OFDM変調装置13、遅延部14、伝送部15、基準OFDM変調装置16及び基準伝送部17に供給され、それぞれの信号処理に供される。
【0005】
TS−TEST信号生成装置12は、基準信号に基づいて測定用のTS(トランスポートストリーム、以下TS−TEST信号と称する)を生成するもので、その出力はOFDM変調装置13及び基準OFDM変調装置16に送られる。OFDM変調装置13は、TS−TEST信号生成装置12の出力を所定モードのサブキャリアに順次割り当て、IFFT(逆高速フーリエ変換)処理により周波数領域から時間軸領域に変換してOFDM信号を生成するもので、ここで得られたOFDM信号は遅延部14で直交変調、周波数変換等の信号処理による遅延が与えられた後、伝送部15を介して受信側の加算部18に供給される。
【0006】
また、基準OFDM変調装置16で生成された基準OFDM信号は、基準伝送部17を介して加算部18に供給される。加算部18は、OFDM信号と基準OFDM信号とを加算し、その加算結果をスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置19に出力する。スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置19は、加算部18の加算出力をスペクトラム分析し、この分析結果に基づいてOFDM信号の遅延時間を測定する。
【0007】
しかしながら、上記構成では、遅延量が既知のOFDM変調装置13が必ず必要な点、基準OFDM変調装置16とスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置19とが場所として離れている場合に、基準OFDM変調装置16への入力信号を基準伝送部17が既知の遅延量となる地点まで伝送し、基準側のトータルの遅延量を既知とする必要が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、地上デジタルテレビジョン放送において、従来では伝送区間におけるOFDM信号の遅延時間を測定するための有効な手段がなかった。 そこで、この発明の目的は、簡易な構成で、伝送区間における伝送信号の伝送遅延時間を容易に測定し得る伝送遅延時間測定システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。
(1)送信側で変調部にてフレーム構造の伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側で伝送路からの変調信号を受信し復調部にて復調出力する伝送システムに用いられ、送信側は、伝送信号のフレーム長とは異なる時間長の一定周期の基準信号を取得する第1の基準信号取得手段と、この第1の基準信号取得手段で取得された基準信号と伝送信号のフレーム長との最小公倍数に相当する期間を単位期間とし、この単位期間内でフレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、基準信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号を生成して変調部に供給する伝送信号生成手段とを備え、受信側は、第1の基準信号取得手段で取得される基準信号と同一の基準信号を取得する第2の基準信号取得手段と、復調部によって得られる伝送信号から単位期間とその単位期間内のフレームを特定するフレーム特定手段と、このフレーム特定手段で特定された単位期間内の各フレーム先頭と第2の基準信号取得手段で得られる基準信号の周期タイミングとの時間差を測定する測定手段と、この測定手段で測定された時間差と伝送信号の生成時に得られる既知の時間差との差分を演算することで伝送遅延時間を求める演算手段とを備えるようにしたものである。
【0010】
(1)の発明によれば、送信側で基準信号とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で基準信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号が生成され、この伝送信号が変調部によって変調され、この変調信号が伝送路を介して受信側に送出される。受信側では送信側と同一タイミングの基準信号が取得されるとともに、伝送路からの変調信号を復調部により復調された伝送信号の単位期間とその単位期間内のフレームが特定され、この特定された単位期間内の各フレーム先頭と基準信号の周期タイミングとの時間差が測定される。以後、測定された時間差つまり伝送路の遅延を含む時間差と、伝送信号の生成時に得られる既知の時間差との差分を求めることで、送信側から受信側へ伝送される伝送信号の遅延時間が求められる。従って、特別な測定器を用いることなく、受信側では送信側と同一の基準信号を取得し、伝送信号の単位期間内のフレームを特定するだけで、容易に伝送信号の伝送遅延時間を測定することができる。
【0011】
(2)第1及び第2の基準信号取得手段は、衛星測位システムの衛星から送られる信号に基づいて基準信号を生成することを特徴とする。
(2)の発明によれば、送信側と受信側において、GPS(Global Positioning System)といった既知の衛星測位システムを利用して、互いに同じ基準信号を得ることができ、これにより基準信号取得に関する信頼性を向上させることができる。
【0012】
(3)送信側で変調部にてフレーム構造の伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側で伝送路からの変調信号を受信する伝送システムに用いられ、送信側は、伝送信号のフレーム長とは異なる時間長の基準クロックで計時される基準時刻情報を取得する第1の基準時刻情報取得手段と、この第1の基準時刻情報取得手段で取得された基準時刻情報と伝送信号のフレーム長との最小公倍数に相当する期間を単位期間とし、この単位期間内でフレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、基準時刻情報の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号を生成して変調部に供給する第1の伝送信号生成手段とを備え、受信側は、第1の基準時刻情報取得手段で取得される基準時刻情報と同一の基準時刻情報を取得する第2の基準時刻情報取得手段と、この第2の基準時刻情報取得手段で取得された基準時刻情報を用いて第1の伝送信号生成手段で生成される伝送信号と同一の伝送信号を生成する第2の伝送信号生成手段と、この第2の伝送信号生成手段で生成された伝送信号を変調し、この変調出力を遅延量が既知の基準伝送路に通して出力する基準変調信号出力手段と、伝送路からの変調信号と基準変調信号出力手段で得られる信号とを合成し、その合成信号をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、伝送遅延時間を測定する測定手段とを備えるようにしたものである。
【0013】
(3)の発明によれば、送信側で基準時刻情報とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で基準時刻情報の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号が生成され、この伝送信号が変調部によって変調され、この変調信号が伝送路を介して受信側に送出される。受信側では送信側と同一の基準時刻情報が取得されるとともに、この基準時刻情報を利用して送信側で得られる伝送信号が生成され、この伝送信号を変調し遅延量が既知の基準伝送路を通すことにより変調信号に等しい基準変調信号が生成される。以後、伝送路を介して得られる変調信号と基準伝送路を介して得られる基準変調信号とを合成し、この合成信号をスペクトラム上あるいは遅延プロファイル上で観測することにより、送信側から受信側へ伝送される変調信号の遅延時間が求められる。従って、上記(1)で得られる作用効果と同様に、特別な測定器を用いることなく、受信側では既知の遅延量が与えられる基準変調信号を生成するだけで、容易に伝送路における伝送遅延時間を測定することができ、これにより上記(1)に比して、伝送遅延時間を精度良く求めることができ、さらに遅延時間の測定に際し時刻情報の取得が不要となる分、処理負荷を軽減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる伝送遅延時間測定システムを適用した、地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、GはGPS衛星であり、放送局100A及び受信側測定装置200AはそれぞれGPS衛星Gからの1pps信号を受信するためのGPS受信機101,201を備えている。
放送局100は、TS−TEST信号生成装置102、OFDM変調装置103、送信装置104及び送信アンテナ105を備える。
【0016】
TS−TEST信号生成装置102は、GPS受信機101から1pps信号を取込み、この1pps信号の時間長とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で、フレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、1pps信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まるTS(Transport Stream)を生成し、このTSをOFDM変調装置103に供給する。OFDM変調装置103は、入力されたTSをOFDM信号に変調する。ここで得られたOFDM信号は送信装置104で電力増幅されて送信アンテナ105から所定の領域に向けて送出される。
一方、受信側測定装置200Aにおいて、受信アンテナ202及び受信装置203は、上記放送局100AからのOFDM信号を受信し、この受信信号をOFDM復調装置204に出力する。
【0017】
OFDM復調装置204は、入力された受信信号を上記TSに復調し、このTSを遅延測定装置205に出力する。遅延測定装置205は、1pps信号をGPS受信機201の出力から取得し、OFDM復調装置204によって得られるTSから単位期間とその単位期間内のフレームを特定し、この特定された単位期間内の各フレーム先頭と1pps信号の周期タイミングとの時間差を測定する。以後、測定された時間差とTS−TEST信号生成装置102によるTSの生成時に得られる既知の時間差との差分を求めることで、放送局100Aから受信側測定装置200Aへ伝送されるOFDM信号の伝送遅延時間を求める。
【0018】
上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
1pps信号(一定の倍率の場合も含む)とフレーム同期との時間的関係は、1pps信号の時間長である1秒とフレーム同期の時間長との最小公倍数の時間内でフレームごとに異なる時間差をもつ。そこで、TS−TEST信号生成装置102では、上記単位期間内で各フレーム先頭と1pps信号の周期タイミングとの時間差が一意に決められるTSを生成し、OFDM変調装置103に出力する。OFDM変調装置103は、TS−TEST信号生成装置102からのTSをOFDM信号に変調する。
【0019】
そして、OFDM変調装置103の出力は、送信装置104及び送信アンテナ105を介して受信側測定装置200Aに送信される。受信側測定装置200Aでは、受信しOFDM復調装置204で復調した伝送信号を遅延測定装置205に入力する。遅延測定装置205では、入力信号に含まれる特定フレーム(例えば単位期間内の3番目のフレーム)が検出されるとともに、その検出時の1pps信号がGPS受信機201の出力から得られ、この検出時の1pps信号と特定フレームとの時間差が遅延時間分ずれて測定される。このずれ量は、伝送遅延量に相当するため、これにより伝送遅延時間が測定可能となる。
【0020】
以上のように上記第1の実施形態では、放送局100AのTS−TEST信号生成装置102にてGPS受信機101から得られる1pps信号の周期タイミングとフレーム先頭との時間差が1pps信号の時間長とフレーム長との最小公倍数に相当する単位期間内で一意に決まるTSを生成してOFDM変調装置103にてTSをOFDM信号に変調させ、受信側測定装置200Aの遅延測定装置205により受信したTSから単位期間内のフレームを特定し、その特定フレームとGPS受信機201から得られる1pps信号の周期タイミングとの時間差を測定する。以後、遅延測定装置205では、測定した時間差と、既知の時間差との差分を求めることで、放送局100Aから受信側測定装置200Aへ伝送されるOFDM信号の遅延時間を求めるようにしている。
【0021】
従って、特別な測定器を用いることなく、受信側測定装置200Aでは受信信号から単位期間内のフレームを特定するだけで、フレーム同期と1pps信号との時間的関係を利用して容易にOFDM信号の伝送遅延時間を測定することができる。
また、上記第1の実施形態によれば、放送局100A及び受信側測定装置200Aで、GPS衛星Gからの1pps信号を受信して互いに同じ1pps信号を基準とすることができ、これにより時刻情報取得に関する信頼性を向上させることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、この発明の第2の実施形態に係わる伝送遅延時間測定システムを適用した、地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図である。図2において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
放送局100Bにおいて、GPS受信機101はGPS衛星Gからの1pps信号に基づいて基準時刻、基準クロックを生成する。このうち、基準クロックは、TS−TEST信号生成装置102、OFDM変調装置103及び送信装置104に供給され、それぞれの信号処理に供される。
【0024】
一方、受信側測定装置200Bにおいて、GPS受信機201はGPS衛星Gからの1pps信号に基づいて基準時刻、基準クロックを生成する。このうち、基準クロックは、TS−TEST信号生成装置206、基準OFDM変調装置207及び基準伝送部208に供給され、それぞれの信号処理に供される。また、基準時刻は、上記GPS受信機101で得られる基準時刻と同一のものとする
TS−TEST信号生成装置206は、GPS受信機201から基準時刻及び基準クロックを取込み、この基準時刻に基づき1pps信号の時間長とフレーム同期との最小公倍数に相当する単位期間内で、1pps信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まるTSを生成し、このTSを基準OFDM変調装置207に供給する。基準OFDM変調装置207は、入力されたTSを基準OFDM信号に変調する。ここで得られた基準OFDM信号は、基準伝送部208を介して加算部209に供給される。なお、基準伝送部208は、既知の遅延量を有する。そこで、この遅延量は例えば上記送信装置104の処理時間と上記受信装置203の処理時間とに合わせるようにすれば、送信アンテナ105から受信アンテナ202までの伝搬遅延時間のみを測定することが可能になる。
【0025】
加算部209は、受信装置203から得られるOFDM信号と、基準伝送部208を介して得られる基準OFDM信号とを加算し、その加算結果をスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210に出力する。スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210は、加算部209の加算出力をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、送信装置104、送信アンテナ105、受信アンテナ202及び受信装置203を経由したOFDM信号の遅延時間を測定する。
【0026】
上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
すなわち、OFDM変調装置103と測定側となるスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210が場所として離れていたとしても、TS−TEST信号生成装置102,206では、GPS衛星Gからの1pps信号に基づく同じシーケンスで信号が生成される。このため、基準OFDM変調装置207には、OFDM変調装置103と同じ内容の信号を入力することが可能となり、これにより本系統、つまり送信装置104、送信アンテナ105、受信アンテナ202、受信装置203経由のOFDM信号について遅延量の測定が可能となる。ただし、TS−TEST信号生成装置102,206は、同じタイミングで信号を生成する必要がある。
【0027】
スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210では、加算部209の加算出力をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、本系統のOFDM信号の伝送遅延時間を測定する。この場合、遅延時間があると、その遅延時間に対する各キャリアの回転量が異なるので、本系統のOFDM信号と基準OFDM信号とを合成すると各キャリアごとに合成ベクトルの向き、大きさに違いが生じることが観測される。この違いは、本系統のOFDM信号の遅延量に相当するため、この遅延量からOFDM変調装置103の処理時間を除く本系統のOFDM信号の伝送遅延時間を測定することが可能となる。
【0028】
以上のように上記第2の実施形態では、放送局100BのTS−TEST信号生成装置102にて1pps信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まるTSを生成しOFDM変調装置103にてTSをOFDM信号に変調させるともに、受信側測定装置200BのTS−TEST信号生成装置206にて上記TS−TEST信号生成装置102で得られるTSを生成し、このTSを基準OFDM変調装置207に対し基準OFDM信号に変調させて、その変調された基準OFDM信号を遅延量が既知の基準伝送部208に通して加算部209に出力する。そして、加算部209では、OFDM変調装置103で生成され、放送局100Bから受信側測定装置200Bへ伝搬されたOFDM信号を入力し、このOFDM信号と基準OFDM信号とを加算してスペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210に出力する。以後、スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210は、加算部209の加算出力をスペクトラム上あるいは遅延プロファイル上で観測することにより、OFDM変調装置103の処理時間を除く、放送局100Bから受信側測定装置200BへのOFDM信号の伝搬時間を測定するようにしている。
【0029】
従って、上記第1の実施形態で得られる作用効果と同様に、特別な測定器を用いることなく、遅延量が既知の基準伝送部208を伝送する基準OFDM信号を利用してOFDM変調装置103の処理時間を除いたOFDM信号の伝搬に要する遅延時間のみを測定できるため、伝送遅延時間を精度良く求めることができる。
また、上記第2の実施形態によれば、スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置210において、遅延時間の測定に際して、1pps信号の取得が不要となる分、処理負荷を軽減できる。
【0030】
なお、上記第2の実施形態において、遅延時間が1フレーム以下であることが予めわかっている場合には、時刻のトリガーがTS−TEST信号生成装置102,206に同時に入力され、生成シーケンスが同じであるならば、測定対象系となるOFDM信号中にフレーム単位の既知の遅延量を含ませるようにしても、同様に、OFDM信号の伝送遅延時間を測定することができる。
【0031】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、地上デジタル放送システムの場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1秒とフレーム同期の時間長との最小公倍数の時間内でフレームごとに異なる時間差をもつ伝送信号を取り扱うものについても適用可能である。この場合、受信側で特定フレームを観測するだけで、伝送信号の伝送遅延時間を容易に測定することができる。
【0032】
その他、放送局及び受信側測定装置の構成や種類、遅延時間測定方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、簡易な構成で、伝送区間における伝送信号の伝送遅延時間を容易に測定し得る伝送遅延時間測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】この発明の第2の実施形態に係る地上デジタル放送システムの概略構成を示すブロック図。
【図3】従来考えられていた伝送遅延量を測定するためのシステム構成の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
100A,100B…放送局、
101,201…GPS受信機、
102,206…TS−TEST信号生成装置、
103…OFDM変調装置、
104…送信装置、
105…送信アンテナ、
200A,200B…受信側測定装置、
202…受信アンテナ、
203…受信装置、
204…OFDM復調装置、
205…遅延測定装置、
207…基準OFDM変調装置、
208…基準伝送部、
209…加算部、
210…スペクトラムアナライザ/遅延プロファイル測定装置、
G…GPS衛星。
Claims (4)
- 送信側で変調部にてフレーム構造の伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側で前記伝送路からの変調信号を受信し復調部にて復調出力する伝送システムに用いられ、
前記送信側は、
前記伝送信号のフレーム長とは異なる時間長の一定周期の基準信号を取得する第1の基準信号取得手段と、
この第1の基準信号取得手段で取得された基準信号と前記伝送信号のフレーム長との最小公倍数に相当する期間を単位期間とし、この単位期間内でフレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、基準信号の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号を生成して前記変調部に供給する伝送信号生成手段とを備え、
前記受信側は、
前記第1の基準信号取得手段で取得される基準信号と同一の基準信号を取得する第2の基準信号取得手段と、
前記復調部によって得られる前記伝送信号から前記単位期間とその単位期間内のフレームを特定するフレーム特定手段と、
このフレーム特定手段で特定された単位期間内の各フレーム先頭と前記第2の基準信号取得手段で得られる基準信号の周期タイミングとの時間差を測定する測定手段と、
この測定手段で測定された時間差と前記伝送信号の生成時に得られる既知の時間差との差分を演算することで伝送遅延時間を求める演算手段とを備えることを特徴とする伝送遅延時間測定システム。 - 前記第1及び第2の基準信号取得手段は、衛星測位システムの衛星から送られる信号に基づいて基準信号を生成することを特徴とする請求項1記載の伝送遅延時間測定システム。
- 送信側で変調部にてフレーム構造の伝送信号を変調して伝送路へ送出し、受信側で前記伝送路からの変調信号を受信する伝送システムに用いられ、
前記送信側は、
前記伝送信号のフレーム長とは異なる時間長の基準クロックで計時される基準時刻情報を取得する第1の基準時刻情報取得手段と、
この第1の基準時刻情報取得手段で取得された基準時刻情報と前記伝送信号のフレーム長との最小公倍数に相当する期間を単位期間とし、この単位期間内でフレーム毎に互いに異なるように周期的に変化して、基準時刻情報の周期タイミングと各フレーム先頭との時間差が一意に決まる伝送信号を生成して前記変調部に供給する第1の伝送信号生成手段とを備え、
前記受信側は、
前記第1の基準時刻情報取得手段で取得される基準時刻情報と同一の基準時刻情報を取得する第2の基準時刻情報取得手段と、
この第2の基準時刻情報取得手段で取得された基準時刻情報を用いて前記第1の伝送信号生成手段で生成される伝送信号と同一の伝送信号を生成する第2の伝送信号生成手段と、
この第2の伝送信号生成手段で生成された伝送信号を変調し、この変調出力を遅延量が既知の基準伝送路に通して出力する基準変調信号出力手段と、
前記伝送路からの変調信号と前記基準変調信号出力手段で得られる信号と合成し、その合成信号をスペクトラム上または遅延プロファイル上で観測することにより、伝送遅延時間を測定する測定手段とを備えることを特徴とする伝送遅延時間測定システム。 - 前記第1及び第2の基準時刻情報取得手段は、衛星測位システムの衛星から送られる信号に基づいて基準時刻情報を生成することを特徴とする請求項3記載の伝送遅延時間測定システム。
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- 2002-09-05 JP JP2002260180A patent/JP2004104237A/ja active Pending
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