JP2004101588A - 音声符号化方法及び音声符号化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブル(偶数代数的符号帳51,奇数代数的符号帳52)を設け、切替スイッチ処理部53でピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、最小歪みパルス組合せ探索処理部54で当該選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する音声符号化/復号化方法及び音声符号化/復号化装置である。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル移動体通信に必要不可欠なディジタル音声圧縮処理における音声符号化方法及び音声符号化装置に係り、特に代数的符号励振予測方式による符号化において、再生音声品質の劣化を極力抑えつつディジタル音声圧縮効率を向上して伝送情報を低減し、伝送効率を向上できる音声符号化方法及び音声符号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、世界各国で公衆移動体通信に用いられている音声符号化方式は、代数的符号励振予測方式(Algebraic Code Excitation Linear Prediction:ACELP)を基本方式としたものが主流である。
例として挙げるならば、ヨーロッパの移動電話ディジタル符号化の標準であるGSM(Global System for Mobile)で制定されているディジタル音声符号化方式は、AMR(Adaptive Multi−Rate)はACELPを基本方式としてビットレートを伝送路の状況に合わせて可変させる方式であり、またITU−T(International Telecommunications Union−Telecommunications Standards Sector)で標準化されているG.729も、ACELPを基本方式として利得量子化に共役構造を用いることで伝送路誤りへの耐性および再生音声品質を向上させた方式である。
【0003】
また、米国のディジタル移動電話のEFR(Enhanced Full Rate)もACELPを基本方式としたディジタル音声符号化方式である。
更に、2001年より日本でサービスを開始した第3世代におけるディジタル音声符号化方式もGSMで採用されているAMRを参考に制定された可変ビットレート方式であり基本方式はACELPである。
このように世界的に見て現在公衆移動体通信向けディジタル音声符号化の標準方式として採用されている方式は、そのほとんどがACELPを基本方式としている。
【0004】
ACELPは、フレーム毎に音声信号を分析し、CELPモデルで使用するパラメータである線形予測フィルタ係数(LPC係数)、適応符号帳及び固定符号帳のインデックス、利得を抽出し、これらのパラメータを符号化して送信する。そして、復号器においては、受信した上記パラメータを用いて励振信号や合成フィルタのパラメータを再構築し、励振信号を短期合成フィルタに通すことによって音声を再生し、ポストフィルタを通すことによって音声の品質が改善されるようになっている。短期合成フィルタは線形予測(LP)フィルタを基に構成され、長期すなわちピッチ合成フィルタはいわゆる適応符号帳を用いて実現される。
【0005】
ACELPは、CELPにおけるLPC(Linear Predictive Coding)フィルタを駆動する音源信号としてパルスの組み合わせを用いる方式であり、従来のCELP(Code Excited Linear Prediction)のように雑音励振源として予め符復号で既知の雑音符号帳を持たず、定められた音声バースト毎に定められた本数のパルスを、音声バースト区間中、隙間無く探索することで、より正確に駆動音源を生成する方式である。
【0006】
ACELPは、この代数的に駆動音源を生成する手法により、従来のCELPで用いられてきた雑音励振源探索と比較して、演算量を低減しながら、且つ品質の良い音声符号化を実現することが可能となった。
【0007】
例としてITU−T勧告G.729(以下、CS−ACELP:Conjugate Structure−Algebraic Code Excitation Linear Prediction:共役構造ACELP)の代数的符号帳探索処理の概要を以下に示す。
CS−ACELPはフレーム長10ms、サブフレーム長5msで構成されており、標本化周波数8kHzで、サブフレーム5ms(40サンプル)毎に駆動音源を4本のパルスで表現する。
CS−ACELPにおけるパルス候補位置を表1に示す。CS−ACELPでは、サブフレーム単位で40サンプルの位置0〜39を表1に示すように、パルスNo.1〜4のグループに割り振り、各グループの全サンプル(候補位置)点の総組み合わせ探索を実施し、ターゲット信号と比較して最小歪みを実現するパルス位置の組み合わせを選択する。
【0008】
【表1】
【0009】
表1に示すようにパルスNo.1〜3におけるパルス候補位置は8候補で、選択された位置のインデックス(0〜7)を3ビットで表すことができ、パルスNo.4についてはパルス候補位置が16候補であり、選択された位置のインデックス(0〜15)を4ビットで表すことができる。そして、これらに加えて各々のパルスの極性(±)を示す情報として各1bitが必要となる。
【0010】
よってCS−ACELP音声符号化における代数的符号帳探索の結果、最小歪みを実現するパルス位置の組み合わせを示す代数的符号帳分の情報(代数的符号)は、上記探索された各パルスの極性とインデックスで表され、17bit/5ms(サブフレーム)であり、フレーム単位に換算すると34bit/frameとなる。
【0011】
次に、従来行われてきたACELPのビットレート削減手法の一例について説明する。
一つ目のビットレート削減手法(第1のビットレート削減手法)として、パルスの本数を削減するという方法が考えられる。CS−ACELPにおいてサブフレーム中におけるパルス数(グループ)を4本から2本に削減すると考えると、1本のパルス候補位置は、例えば8候補(インデックスは3ビット)と32候補(インデックスは5ビット)の2種類が生じる(1本当たりのパルス候補位置は2のべき乗とならなければならないため)。これに加えて各パルスの極性にそれぞれ1bitが配分されるとして、合計で10bitとなりフレーム当たり20ビットとなるため、フレーム当たりの削減ビット数は34−20=14bitとなる。
【0012】
上記のようにパルスの本数を削減する従来技術としては、平成10年11月24日公開の特開平10−312198号「音声符号化方法」(出願人:日本電信電話株式会社、発明者:林 伸二他)がある。
この従来技術は、雑音成分ベクトルの符号化において、各フレームを構成する2つのサブフレームに対し、2つのパルス#0,#1で表し、パルス#0は、16個の取りうる位置を4ビットにより表し、パルス#1は、24個の取りうる位置を5ビットにより表すこととし、それぞれのパルスに対して1ビットの極性ビットを与え、サブフレーム当たり4+5+2=11ビットで雑音成分ベクトルを表す音声符号化方法であり、これにより、ビットレートを低減できるものである。(特許文献1参照)。
【0013】
二つ目のビットレート削減手法(第2のビットレート削減手法)として、パルス候補位置を省いてしまう方法が考えられ、例えば、パルス候補位置を1サンプルおきに配置する方法が考えられる。
パルス候補位置を1サンプルおきに配置すると、表1に示したCS−ACELPのパルス候補位置において、8候補のパルスは4候補(インデックスは2ビット)に、16候補のパルスは8候補(インデックスは3ビット)に削減できる。この方法による削減効果は、サブフレーム当たり17−13=4ビットなので、フレーム当たり8bitの削減効果となる。
【0014】
上述2種類の一般的な情報削減手法で、ある程度の削減効果は得られるが、第1のビットレート削減手法ではパルス数が減少することに起因して品質が大幅に劣化してしまうという問題点が生じることになる。
第1のビットレート削減手法は、ITU−T勧告G.729付属資料Dで用いられており、これによる再生音声品質の劣化は、パルス分散をフィルタリングで実現することによりある程度回避している。
【0015】
また、第2のビットレート削減手法では常に探索されないサンプルが生じることによる不正確な最小歪み探索に起因して品質が若干劣化してしまうという問題点が生じる。
第2のビットレート削減手法は、標準化された数種類の低ビットレート音声符号化(例:ITU−T勧告G.723.1ACELP、AMR−NBの低ビットレートコーデックモードなど)にも使用されており、ビットレート低下に伴う品質劣化の許容範囲としてそのまま用いられることが多い。
【0016】
また、その他にビット数を削減しながら音声品質の向上を図る従来技術としては、平成11年8月31日公開の特開平11−237899号「音源信号符号化装置及びその方法、並びに音源信号復号化装置及びその方法」(出願人:松下電器産業株式会社、発明者:江原 宏幸他)がある。
この従来技術は、複数種類の代数的符号帳を有する構成とし、ピッチピークの位置に応じて複数の代数的符号帳を切り替える音源信号符号化装置及びその方法、並びに音源信号復号化装置及びその方法音声符号化方法である。(特許文献2参照)。
【0017】
【特許文献1】
特開平10−312198号公報(第5頁、図6)
【特許文献2】
特開平11−237899号公報(第20頁〜第24頁、図22〜図26)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、全体のビットレートをより多く削減することを考えると、従来の2種類のビットレート削減手法を組み合わせて考える必要があり、それぞれの手法が抱える欠点が相乗効果を持って、より再生音声品質を低下させてしまうという問題点があった。
また、第2のビットレート削減手法の採用による品質劣化は許容されることが多いが、入力音声のピッチ周期値が小さい場合(女声や子供の声など)に劣化が顕著に観測されるという問題点があった。
【0019】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ACELPにおける代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる音声符号化/復号化方法及び音声符号化/復号化装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ACELP方式を用いた音声符号化方法であって、
パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、
候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、
ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索するものなので、
代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができるものである。
【0021】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、上記音声符号化方法において、
候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を奇数位置と偶数位置の2つに分割して、奇数位置を候補とする奇数候補位置テーブルと、偶数位置を候補とする偶数候補位置テーブルとを設け、
ピッチ周期値の整数部の値に基づいて、奇数候補位置テーブル又は偶数候補位置テーブルの何れかを選択するものなので、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができるものである。
【0022】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、本発明の音声符号化方法で符号化された音声符号化データについて復号する音声復号化方法であって、
パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成で、
符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルを保持し、
復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割パルス候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するものなので、
簡単な処理によって、情報量が削減された代数的符号帳情報からも、品質劣化を極力抑えた再生音声を生成できるものである。
【0023】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ACELP方式を用いた音声符号化装置であって、
パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、
代数的符号帳探索手段が、
候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、
ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、
選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する探索手段とを有する代数的符号帳探索手段であるとしているので、
代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができるものである。
【0024】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、上記音声符号化装置において、
複数の分割候補位置テーブルが、候補位置テーブルのパルス候補位置の中で、奇数位置を候補とする奇数候補位置テーブルと、偶数位置を候補とする偶数候補位置テーブルとからなり、
選択手段が、ピッチ周期値の整数部の値に基づいて、奇数候補位置テーブル又は偶数候補位置テーブルの何れかを選択する選択手段であるとしているので、
簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができるものである。
【0025】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、本発明の音声符号化装置で符号化された音声符号化データについて復号する音声復号化装置であって、
パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成手段を備え、
代数的符号帳ベクトル生成手段が、
符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、
復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、
選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段であるとしているので、
簡単な処理によって、情報量が削減された代数的符号帳情報からも、品質劣化を極力抑えた再生音声を生成できるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0027】
本発明に係る音声符号化/復号化方法は、符号化側の代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索するものであり、復号化側においても符号化側と同様の複数の分割候補位置テーブルを保持し、復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するなので、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができるものである。
【0028】
本発明に係る音声符号化装置は、代数的符号帳探索手段が、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する探索手段とを有するものであり、本発明に係る音声復号化装置は、代数的符号帳ベクトル生成手段が、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部とを有するものなので、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができるものである。
【0029】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1、図2、図6、図7の各部との対応を示すと、代数的符号帳探索手段は、固定符号帳探索部5に相当し、分割候補位置テーブルは、偶数代数的符号帳51、奇数代数的符号帳52,偶数代数的符号帳61,奇数代数的符号帳62に相当し、選択手段は、切替スイッチ処理部53,切替スイッチ処理部63に相当し、探索手段は、最小歪みパルス組合せ探索処理部54に相当し、代数的符号帳ベクトル生成手段が、固定符号ベクトル出力部33に相当し、ベクトル生成部が固定符号ベクトル生成部64に相当している。
【0030】
まず、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化装置の一般的な概略構成例について図1を使って説明する。図1は、本発明に係る音声符号化装置の概略構成ブロック図である。
【0031】
本実施の形態に係る音声符号化装置(本装置)は、図1に示すように、前処理部1と、LPC分析量子化補間処理部2と、聴覚重み付け処理部3と、適応符号帳探索部4と、固定符号帳探索部5と、利得算出部6と、LPC合成部7と、自乗誤差最小化部8と、多重化処理部9とから構成されている。
尚、図には示していないが、フレームタイミング、サブフレームタイミングに従って、各部の動作をトータルに制御するようなタイミング制御部が音声符号化装置全体を制御している。
【0032】
本装置の各部について簡単に説明する。
前処理部1は、信号のスケーリングと高域通過フィルタリングを行うものである。
LPC分析量子化補間処理部2は、1フレーム毎に線形予測(Linear Prediction:LP)分析を行ってLPフィルタ係数(LPC係数)の算出を行い、算出されたLPC係数を線スペクトル対(Linear Spectrum Pair:LSP)に変換して量子化し、LSP係数の符号(D)を出力すると共に、更に補間して、量子化及び補間結果に基づいて逆変換されたLPC係数を出力するものである。
【0033】
加算器20は、前処理が施された音声入力信号と、前フレームの再生音声信号との差分を取って、誤差信号を出力するものである。
聴覚重み付け処理部3は、入力される誤差信号に対し、サブフレーム単位でLPC係数を用いて聴覚重み付け処理(公知の技術)を行い、聴覚重み付け誤差信号を出力するものである。
【0034】
適応符号帳探索部4は、サブフレーム毎に、ピッチ周期成分を探索するもので、具体的には、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、過去の駆動音源信号に対してある遅延(ピッチ周期)だけさかのぼり、その点からサブフレーム長のサンプルを切り出して現サブフレームに充当し、これに基づいて作成された再生音声信号と入力音声信号との誤差が最小となるピッチ周期を検出し、検出されたピッチ周期の情報を適応符号(A)として自乗誤差最小化部8に出力すると共に、固定符号帳探索部5にも出力する。
また、検出されたピッチ周期を元に過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出し、適応符号ベクトルとして利得算出のために利得算出部6へ出力すると共に、過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0035】
固定符号帳探索部5は、サブフレーム毎に、ピッチ周期成分以外のランダムな成分(雑音成分とも言う)を探索するもので、入力音声信号から適応符号帳探索部4で検出されたピッチ周期及び後述する利得算出部6で算出された適応符号帳利得に基づく適応符号ベクトル寄与分を減算した目標信号(ターゲット信号)に対して雑音成分の探索を行う。
尚、適応符号ベクトルと固定符号ベクトルとの組合せも考慮した探索を行う場合には、ターゲット信号として、適応符号ベクトルと固定符号ベクトルを組み合わせて作られる駆動音源ベクトルから合成フィルタによって合成されるべきベクトルを用い、当該ターゲット信号に対して雑音成分の探索を行う。
【0036】
特に、ACELPでは、複数のパルスの組合せにより雑音成分を表し、予め定めた複数のパルスグループについて、各パルスグループ毎に予め限定して定めておいた複数個のパルス候補位置の中から、パルスグループ毎に1つのパルス位置の最適な組み合わせを探索する処理を行うものである。
【0037】
具体的には、予め定めた複数のパルスグループに関して、それぞれの候補位置を定めた固定符号帳(ACELPでは代数的符号帳ともいう、また、請求項では候補位置テーブル)を保持し、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、基本的には代数的符号帳の内容に基づいて、各グループから1つのパルス位置を選び、全てのパルス位置の候補に対して総組合せで探索処理を行う。
探索処理は、選択された各グループのパルスに極性を与え、パルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力し、当該固定符号ベクトルに基づいて作成された再生音声信号と上記目標信号との自乗誤差が最小化されるようなパルスの組合せを検出する処理である。
【0038】
そして、検出された誤差が最小化されるパルスの組合せについて、各パルスグループ毎に極性とパルス位置を表すテーブルのインデックスとで構成される代数的符号を、固定符号(B)として自乗誤差最小化部8に出力する。
また、検出されたパルスの組合せから成るパルス波形信号を固定符号ベクトル(ACELPでは、代数的符号帳ベクトルとも言う)とし、利得算出のために重み付けを行った重み付け固定符号ベクトルを利得算出部6へ出力すると共に、固定符号ベクトルを過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0039】
尚、本発明の固定符号帳探索部5では、予め定めた複数のパルスグループに関する候補位置の取り扱いと、自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、パルスの組合せ探索を行う方法が従来とは異なっているが、詳細は後述する。
【0040】
利得算出部6は、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、適応符号帳探索部4から入力される適応符号ベクトルと固定符号帳探索部5からの(重み付け)固定符号ベクトルより、入力音声と再生音声との重み付け平均自乗誤差を最小にする適応符号帳利得および固定符号帳利得を求め、利得符号として自乗誤差最小化部8に出力する。
また、検出された適応符号帳利得および固定符号帳利得を過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0041】
自乗誤差最小化部8は、聴覚重み付け処理部3で重み付けされた聴覚重み付け誤差信号を入力し、聴覚重み付け誤差を最小にするような各符号を探索するように適応符号帳探索部4、固定符号帳探索部5、利得算出部6に制御信号を出力し、各々における探索結果である聴覚重み付け誤差を最小とするような適応符号帳のインデックスである適応符号(A)、固定符号帳のインデックスである固定符号(B)、適応符号利得及び固定符号利得からなる利得符号(C)を受け取って、励振パラメータとして多重化処理部9に出力するものである。
【0042】
乗算器21は、適応符号帳探索部4から出力される適応符号化ベクトルと、利得算出部6から出力される適応符号利得との乗算を行うものである。
乗算器22は、固定符号帳探索部5から出力される固定符号化ベクトルと、利得算出部6から出力される固定符号利得との乗算を行うものである。
加算器23は、乗算器21から出力される適応符号化ベクトルと適応符号利得との乗算結果と、乗算器22から出力される固定符号化ベクトルと固定符号利得との乗算結果とを加算して、駆動音源信号を出力するものである。
【0043】
LPC合成部7は、LPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数、及び加算器23から出力される駆動音源信号により音声信号を再生し、符号化側における再生音声信号を出力するものである。
【0044】
多重化処理部9は、自乗誤差最小化部8からの適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータと、LPC分析量子化補間処理部2からのLSP係数の符号(D)とが多重化されてビットストリーム化され、音声符号化データとして送信するものである。
【0045】
次に、本実施の形態に係る音声符号化装置(本装置)の基本動作について図1を使って説明する。
本装置では、送信する音声信号が入力されると、前処理部1でスケーリング及び高域通過フィルタリングの前処理が施され、LPC分析量子化補間処理部2でLPC分析され、LSP係数に変換されて量子化され、補間されて、LPC係数とLSP係数の符号(D)とが出力され、LPC係数の符号(D)は、多重化処理部9に出力されて、適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータと共に多重化されて、ビットストリーム化されて音声符号化データとして送信される。
【0046】
一方、前処理部1から出力された前処理後の音声信号は、加算器20で1フレーム前の符号化側における再生音声信号との差分が取られて誤差信号が出力され、聴覚重み付け処理部3において、LPC分析量子化補間処理部2からのLPC係数を用いて誤差信号に聴覚重み付けが為され、聴覚重み付け誤差信号が自乗誤差最小化部8に入力される。
【0047】
自乗誤差最小化部8では、まず適応符号帳探索部4に対して聴覚重み付け誤差を最小にするようなピッチ周期の適応符号を探索する指示の制御信号(図では点線矢印)を出力し、適応符号帳探索部4で誤差信号が最小となるピッチ周期が検出され、検出されたピッチ周期の情報が適応符号(A)として自乗誤差最小化部8に出力される。また、検出されたピッチ周期を元に過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の信号を切り出した適応符号ベクトルが出力される。
【0048】
そして、自乗誤差最小化部8では、利得算出部6に対して適応符号の利得算出を指示する制御信号(図では点線矢印)が出力され、利得算出部6で、適応符号帳探索部4から出力される適応符号ベクトルより、適応符号帳利得が求められて出力される。
【0049】
次に、自乗誤差最小化部8では、通常、固定符号帳探索部5に対して入力音声信号から適応符号ベクトル寄与分を減算した目標信号に対して聴覚重み付け誤差を最小にするようなパルス位置を探索する指示の制御信号(図では点線矢印)を出力し、固定符号帳探索部5で誤差信号が最小となるパルスの組合せが探索され、その結果、誤差信号が最小となる組合せの各パルスについて、その極性とパルス位置(インデックス)を示す代数的符号が固定符号(B)として自乗誤差最小化部8に出力される。また、固定符号帳探索部5からは、誤差信号が最小となる組合せの各パルスを有するパルス波形信号が固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)として出力される。
【0050】
そして、自乗誤差最小化部8では、利得算出部6に対して固定符号の利得算出を指示する制御信号(図では点線矢印)が出力され、利得算出部6では、固定符号帳探索部5から入力される重み付け固定符号ベクトルより、固定符号帳利得が求められ、既に求めた適応符号帳利得と固定符号帳利得とが利得符号として自乗誤差最小化部8に出力される。
【0051】
上記動作の結果、自乗誤差最小化部8では、サブフレーム毎に聴覚重み付け誤差を最小化する適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータが決定されて多重化処理部9に出力され、多重化処理部9ではフレーム毎にLPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数と、サブフレーム毎に自乗誤差最小化部8から出力される励振信号パラメータが多重化されて、ビットストリーム化されて送信される。
【0052】
そして、サブフレームにおける励振信号パラメータが決定されると、適応符号帳探索部4からの適応符号ベクトルと利得算出部6からの適応符号帳利得とが乗算器21で乗算され、固定符号帳探索部5からの固定符号ベクトルと利得算出部6からの固定符号帳利得とが乗算器22で乗算され、乗算器21の乗算結果と乗算器22の乗算結果とが加算器23で加算されて、1サブフレーム前の駆動音源信号として出力される。
【0053】
駆動音源信号は、適応符号帳探索部4に入力されて、次のサブフレームのピッチ周期検出に用いられると共に、LPC合成部7に入力され、LPC合成部7でLPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数と駆動音源信号により音声信号を再生され、符号化側における再生音声信号として出力され、加算器20で入力音声信号との差分が取られるようになっている。
【0054】
上記図1を用いて説明した構成及び動作が、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化装置の一般的な構成及び動作であるが、本発明の特徴部分は、固定符号ベクトルの取得方法が従来のそれとは異なっている。
【0055】
具体的に説明すると、従来ACELP方式の音声符号化方法では、サブフレーム毎に表1に示したようなパルス候補位置に対して探索処理を行い、出力される固定符号ベクトルに基づいて作成された再生音声信号と目標信号との自乗誤差が最小化されるようなパルスの極性及びパルス位置を検出し、検出されたパルスの極性及びパルス位置に対応する複数のパルスから成るパルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力していたが、本発明では、グループ内のパルス候補位置を複数に分割した複数の分割候補位置テーブルを予め備え、適応符号帳探索部4から出力されるピッチ周期情報に基づいて当該複数の分割候補位置テーブルの中から選択される分割候補位置テーブルに対して探索処理を行うようになっている。
【0056】
その結果、パルス候補位置が複数に分割されているのに伴い、探索されたパルス位置を示すインデックスの情報ビット数は削減されることになる。
【0057】
即ち、図1の音声符号化装置の構成においては、固定符号帳探索部5の探索処理制御が従来とは異なっており、本発明の固定符号帳探索部5は、グループ内のパルス候補位置を複数に分割した複数の分割候補位置テーブルを予め備え、適応符号帳探索部4から出力されるピッチ周期情報に応じて当該複数の分割候補位置テーブルの中から選択されるパルス候補位置に対して探索処理を行うものである。
【0058】
そして、各パルスグループ毎に候補が少なくなることから、探索されたパルス位置を表すインデックスの情報ビットが削減され、固定符号帳探索部5から自乗誤差最小化部8に出力される自乗誤差が最小化されるようなパルスの極性及びパルス位置を示す情報(代数的符号)、即ち固定符号(B)のビット数が削減されることになり、自乗誤差最小化部8から多重化処理部9を介して送信される情報ビット数を削減することが可能である。
【0059】
ここで、本発明の音声符号化装置における固定符号帳探索部5の内部構成例について、図2を使って説明する。図2は、本発明の実施の形態の音声符号化装置における固定符号帳探索部5の内部構成を示すブロック図である。尚、図2では、パルス候補位置を2つに分割した場合の構成例を示している。
本発明の音声符号化装置における固定符号帳探索部5の内部は、図2に示すように、偶数代数的符号帳51と、奇数代数的符号帳52と、切替スイッチ処理部53と、最小歪みパルス組合せ探索処理部54とから構成されている。
尚、ここで、偶数代数的符号帳51と、奇数代数的符号帳52が、請求項の分割候補位置テーブルに相当する。
【0060】
固定符号帳探索部5の内部の各部について説明する。
偶数代数的符号帳51は、表1に示したCS−ACELPにおけるパルス候補位置に対して、各パルスとも偶数位置のみを候補としてテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置の情報を偶数パルス候補位置aとして出力するものである。
【0061】
【表2】
【0062】
奇数代数的符号帳52は、表1に示したCS−ACELPにおけるパルス候補位置に対して、奇数位置のみを候補としてテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置の情報を奇数パルス候補位置bとして出力するものである。
【0063】
【表3】
【0064】
切替スイッチ処理部53は、適応符号帳探索部4から出力されたピッチ周期情報(ピッチ周期値)cを入力し、入力されたピッチ周期値の整数部の値に応じて偶数代数的符号帳51からの偶数パルス候補位置a又は奇数代数的符号帳52からの奇数パルス候補位置bを切り替えて、パルス候補位置情報dとして出力するものである。
【0065】
具体的に切替スイッチ処理部53では、入力されたピッチ周期値cにおける整数部を求め、整数部が奇数か偶数かを判定し、もし偶数ならばスイッチを上方に切り替え、偶数代数的符号帳51から得られる偶数のみで構成される偶数パルス候補位置aがパルス候補位置情報dとして最小歪みパルス組合せ探索処理部54に入力され、奇数ならば奇数代数的符号帳52から得られる奇数のみで構成される奇数パルス候補位置bがパルス候補位置情報dとして最小歪みパルス組合せ探索処理部54に入力されるように切り替えるようになっている。
尚、ピッチ周期値cは、適応符号帳探索部4で整数部を求めて、整数部の値が切替スイッチ処理部53に入力されるようにしても構わない。
【0066】
最小歪みパルス組合せ探索処理部54は、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号eを入力し、切替スイッチ処理部53から入力されるパルス候補位置情報dに基づくパルス候補位置の全てのパルス組み合わせについて探索し、ターゲット信号と比較して最小の歪みを持つパルス組み合わせを検出して、検出された各パルスの極性と位置を表すインデックスから構成される代数的符号を出力すると共に、検出されたパルスの組合せから成るパルス波形信号を固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)として出力するものである。
【0067】
本発明の固定符号帳探索部5の動作について、図2を使って説明する。
本発明の固定符号帳探索部5では、適応符号帳探索部4から出力されたピッチ周期情報(ピッチ周期値)cが切替スイッチ処理部53に入力され、ピッチ周期情報(ピッチ周期値)の整数部の値が求められ、整数部が偶数ならば偶数代数的符号帳51からの偶数パルス候補位置aがパルス候補位置情報dとして最小歪みパルス組合せ探索処理部54に入力され、奇数ならば奇数代数的符号帳52からの奇数パルス候補位置bがパルス候補位置情報dとして最小歪みパルス組合せ探索処理部54に入力される。
【0068】
そして、最小歪みパルス組合せ探索処理部54において、切替スイッチ処理部53からのパルス候補位置情報dに基づくパルス候補位置の全てのパルス組み合わせについて探索し、入力されるターゲット信号と比較して最小の歪みを持つパルス組み合わせが検出されて、検出された各パルスの極性と位置を表すインデックスとが代数的符号として出力されると共に、検出されたパルスの組合せから成るパルス波形信号が固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)として出力されるようになっている。
【0069】
上記説明では、例としてピッチ周期情報の整数部が偶数の時には、偶数代数的符号帳51に保持された偶数配列のパルス候補位置を選択して探索を行い、奇数の時には、奇数代数的符号帳52に保持された偶数配列のパルス候補位置を選択して探索を行うように記述してきたが、逆に選択しても構わない。
【0070】
従来のCS−ACELPに対して、本発明の音声符号化方法及び音声符号化装置では、代数的符号のデータ量が軽減できることを、図3〜図5を用いて具体例で説明する。図3は、従来のCS−ACELPの場合の各パルスの候補位置を示す模式図であり、図4は、本発明の各パルスの候補位置を示す模式図であり、左側(A)が偶数候補、右側(B)が奇数候補を示している。また、図5は、代数的符号帳のパルス探索位置を表す模式図である。
【0071】
CS−ACELPの代数的符号帳は4チャンネルから構成され、各チャンネルからは振幅が+1か−1である1本のパルスが出力される。各チャンネルから出力されるパルスの位置には制限が加えられていて予め定められた範囲の位置にしかパルスが立てられる事はない。CS−ACELPでは40サンプル(5ms)のサブフレーム単位で励振信号の符号化が行われる。この1サブフレーム内の各サンプル点を表したのが図3(a)である。
【0072】
従来のCS−ACELPの代数的符号帳では、表1に示したように、この40サンプルの点を図3(b)〜(e)の4つのグループ(パルス番号1〜4)に分割する。
すなわち、先頭のサンプル点の番号を0として以下順番に1、2、3、…、39としたときに、図3(b)はサンプル点の番号が5で割り切れるもの、即ち0、5、10、…、35のサンプル点からなるグループを示している。
図3(c)は同様にサンプル点の番号を5で割った場合に1余るもの、即ち1、6、11、…、36のサンプル点から成るグループを示している。図3(d)も同様にサンプル点の番号を5で割った場合に2余るもの、即ち2、7、12、…、27のサンプル点から成るグループを示している。図3(e)も同様にサンプル点の番号を5で割った場合に3または4余るもの、即ち3、8、13、…、38および4、9、14、…、39のサンプル点から成るグループを示している。
【0073】
それに対して本発明の音声符号化装置では、図3に示した4つのグループ(パルス番号1〜4)のパルス候補位置を、偶数配置(表2)と奇数配置(表3)とに分割し、奇数配置では、図4(A)の(f)〜(i)に示すパルス位置について探索し、偶数配置では図4(B)の(j)〜(m)に示すパルス位置について探索する。
尚、図2の構成では、、図4(A)の(f)〜(i)に示すパルス位置の情報が奇数代数的符号帳52に保持され、図4(B)の(j)〜(m)に示すパルス位置の情報が偶数代数的符号帳51に保持されている。
【0074】
具体例として、適応符号帳探索部4からのピッチ周期値が奇数の場合であって、奇数代数的符号帳52が選択されて、図4(A)の(f)〜(i)に示すパルス位置について、各グループに含まれるサンプル点の中から1箇所を選んで振幅が+1か−1のパルスを立てて探索を行い、全ての組合せの中で、各パルスグループについて図5(b)〜(e)に太長線で示すパルス位置が歪みを最小にするパルス位置であることが検出されたなら、当該4本のパルスを合わせた図5(a)に示すパルス波形信号が最小歪みパルス組合せ探索処理部54から出力される固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)となる。
【0075】
また、この時、歪みを最小にするパルスの極性、及び位置を示す代数的符号としては、グループ1については極性がプラスでインデックスが1、グループ2については極性がプラスでインデックスが2、グループ3については極性がマイナスでインデックスが2、グループ4については極性がマイナスでインデックスが5として、自乗誤差最小化部8に出力されることになり、サブフレームについて、13ビットの代数的符号で表すことができる。
【0076】
ちなみに、図5に示したパルスの検出結果を、表1に示した従来のパルス候補構成で表すと、パルス1については極性がプラスでインデックスが3、パルス2については極性がプラスでインデックスが4、パルス3については極性がマイナスでインデックスが5、パルス4については極性がマイナスでインデックスが13として、自乗誤差最小化部8に出力されることになり、従来技術でも述べたようにサブフレームについて、17ビットの代数的符号で表すことになるので、従来のACELPに比べて、サブフレーム当たり17−13=4ビットの削減が為される。
【0077】
上記固定符号帳探索部5において、適応符号帳探索部4で検出されたピッチ周期情報の整数値が偶数であるか奇数であるかに応じて、偶数配置のパルス位置又は奇数配置のパルス位置の何れかを選択してパルスの組合せ探索を行い、探索結果のパルス位置に対応する配置(代数的符号帳)のインデックスが代数的符号となることにより、サブフレーム当たりの代数的符号のビット数が軽減されるので、送信する音声符号化データのビットレートを軽減することができ、また固定符号帳探索部5における固定符号帳探索の負荷を軽減することができる。
【0078】
そして、従来の第2のビットレート削減手法で説明したような、単純にパルス候補位置を省いてしまう方法では、常に探索されないパルス位置があったため、音声品質が劣化したが、本発明の音声符号化方法では、選択される分割候補位置が切り替わるために、常に探索されないパルス位置は存在しないため、音声品質の劣化を抑えることができる。
【0079】
上記説明したように本発明の音声符号化方法及び音声符号化装置では、フレームを構成する複数サブフレーム毎に、ピッチ周期情報の整数値が偶数であるか奇数であるかに応じて、偶数配置のパルス位置又は奇数配置のパルス位置の何れかを選択してパルスの組合せ探索処理を行い、その探索結果(パルス位置情報)に対応する選択された配置に基づくインデックスと極性とが代数的符号となり、何れの配置に基づいて探索されたインデックスであるかの情報は、音声符号化データに含まれない。
それに伴い、何れの配置に基づいて探索されたインデックスであるかの情報が含まれない音声符号化データを受けて、復号化する音声復号化方法及び音声復号化装置について説明する。
【0080】
本発明の音声復号化方法は、基本的には、符号化された励振信号パラメータの適応符号に基づく適応符号ベクトル及び固定符号に基づく固定符号ベクトルを取得し、適応符号ベクトル及び固定符号ベクトル及び符号化された励振信号パラメータに基づく適応符号利得及び固定符号利得とから駆動音源信号を生成し、駆動音源信号と線形予測フィルタ係数を用いて音声信号を再生するものであるが、本発明の特徴として、励振信号パラメータの固定符号(代数的符号)に基づいて固定符号(代数的符号帳)ベクトルを生成する方法が、音声符号化側と同様の複数の代数的符号帳を保持し、復号されたピッチ周期情報に基づいて代数的符号帳を選択し、選択された代数的符号帳に従って固定符号(代数的符号帳)ベクトルを取得するものである。
【0081】
次に、上記説明した本発明に係る代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化に対応する音声復号化装置の概略構成例について図6を使って説明する。図6は、本発明に係る音声復号化装置の概略構成ブロック図である。
本発明の音声復号化装置は、図6に示すように、分離部31と、適応符号ベクトル出力部32と、固定符号ベクトル出力部33と、利得ベクトル出力部34と、乗算器35と、乗算器36と、加算器37と、LPC合成部38と、ポストフィルタ39とから構成されている。
尚、図には示していないが、フレームタイミング、サブフレームタイミングに従って、各部の動作をトータルに制御するようなタイミング制御部が音声復号化装置全体を制御している。
【0082】
本発明の音声復号化装置の各部について簡単に説明する。
分離部31は、受信した音声符号化データを適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)、LSP係数の符号(D)に分離して出力するものである。
【0083】
適応符号ベクトル出力部32は、適応符号(A)を復号してピッチ周期を求め出力すると共に、ピッチ周期に基づき過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出し適応符号ベクトルとして出力するものである。
【0084】
固定符号ベクトル出力部33は、予め音声符号化側と同様の複数のパルスグループに関するパルス候補位置を記憶している固定符号帳(ACELPでは、代数的符号帳とも言う)を保持し、固定符号(B)に示されたパルス位置及び極性(±)の組み合わせに基づき、固定符号帳を用いてパルスを配置したパルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力するものである。
但し、本発明の固定符号ベクトル出力部33では、音声符号化側と同様の複数の固定符号帳を保持し、適応符号ベクトル出力部32からのピッチ周期情報に従って何れかの固定符号帳を選択し、選択された固定符号帳を用いて固定符号ベクトルを生成し出力する点が、従来とは異なっている。詳細は、後述する。
【0085】
利得ベクトル出力部34は、利得符号(C)に基づき適応符号帳利得及び固定符号帳利得を出力するものである。
【0086】
乗算器35は、適応符号ベクトル出力部32からの適応符号ベクトルに、利得ベクトル出力部34からの適応符号帳利得を乗算するものである。
乗算器36は、固定符号ベクトル出力部33からの固定符号ベクトルに利得ベクトル出力部34からの固定符号帳利得を乗算するものである。
加算器37は、乗算器35による乗算結果と、乗算器36による乗算結果とを加算して後述するLPC合成部38の駆動音源信号を出力するものである。
【0087】
LPC合成部38は、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数と加算器37から出力される駆動音源信号とにより音声信号を再生し、再生音声信号を出力するものである。
ポストフィルタ39は、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いて、LPC合成部38から出力される再生音声信号に対し、スペクトル整形等の処理を行い、音質が改善された再生音声を出力するものである。
【0088】
次に、本実施の形態に係る音声復号化装置の基本動作について図4を使って説明する。
本発明の音声復号化装置では、受信した音声符号化データが、分離部31で適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)、LSP係数の符号(D)に分離される。
【0089】
そして、適応符号(A)は、適応符号ベクトル出力部32で復号されてピッチ周期が求められ出力されると共に、ピッチ周期に基づき記憶されている過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出した適応符号ベクトルが出力される。
【0090】
一方、固定符号(B)は、固定符号ベクトル出力部33に入力され、固定符号(B)に示されたパルス位置及び極性(±)の組み合わせに基づきパルスを配置したパルス波形信号が固定符号ベクトルとして出力される。尚、詳細は、後述する。
【0091】
また、利得符号(C)は、利得ベクトル出力部34に入力されて適応符号帳利得及び固定符号帳利得が求められて出力される。
【0092】
そして、適応符号ベクトル出力部32からの適応符号ベクトルには乗算器35で利得ベクトル出力部34からの適応符号帳利得が乗算され、固定符号ベクトル出力部33からの固定符号ベクトルには乗算器36で利得ベクトル出力部34からの固定符号帳利得が乗算され、双方が加算器37により加算されてLPC合成部38の駆動音源信号として出力され、LPC合成部38に入力されると共に、適応符号ベクトル出力部32に入力されて過去の駆動音源信号として記憶される。
【0093】
加算器37から出力された駆動音源信号は、LPC合成部38で分離部31によって分離されたLSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いて音声信号が再生され、再生音声信号となり、ポストフィルタ39で、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いてスペクトル整形等の処理が行われ、音質が改善された再生音声が出力されるようになっている。
【0094】
上記図4を用いて説明した構成及び動作が、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声復号化装置の一般的な構成及び動作であるが、本発明の特徴部分は、励振パラメータ中の固定符号(代数的符号)が、グループ内のパルス候補位置が分割された複数の固定符号帳の内、選択された固定符号帳を用いて探索された固定符号であるので、それに伴い固定符号ベクトルの取得方法が従来のそれとは異なっている。
【0095】
具体的には、フレームを構成する複数サブフレーム毎に、適応符号ベクトル出力部32からのピッチ周期情報に従って、音声符号化側と同様に複数保持している固定符号帳の何れかの固定符号帳を選択し、選択された固定符号帳を用いて固定符号ベクトルを生成し出力するものである。
【0096】
まず、本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部構成例について、図7を使って説明する。図7は、本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部構成を示すブロック図である。尚、図7の構成は、図2で説明した音声符号化側の固定符号帳探索部5に対応する構成であり、パルス候補位置を2つに分割した場合の構成例を示している。
【0097】
本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部は、図7に示すように、偶数代数的符号帳61と、奇数代数的符号帳62と、切替スイッチ処理部63と、固定符号ベクトル生成部64とから構成されている。
【0098】
固定符号ベクトル出力部33の内部の各部について説明する。
偶数代数的符号帳61は、音声符号化装置側の偶数代数的符号帳51に対応し、表2に示した偶数位置のパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置の情報を偶数パルス候補位置aとして出力するものである。
奇数代数的符号帳62は、音声符号化装置側の奇数代数的符号帳52に対応し、表3に示した奇数位置のパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置の情報を奇数パルス候補位置bとして出力するものである。
【0099】
切替スイッチ処理部63は、適応符号ベクトル出力部32から出力されたピッチ周期情報(ピッチ周期値)cを入力し、入力されたピッチ周期値の整数部の値に応じて偶数代数的符号帳51からの偶数パルス候補位置a又は奇数代数的符号帳52からの奇数パルス候補位置bを切り替えて、パルス候補位置情報dとして出力するものである。
【0100】
具体的に切替スイッチ処理部63では、入力されたピッチ周期値cにおける整数部を求め、整数部が奇数か偶数かを判定し、もし偶数ならばスイッチを上方に切り替え、偶数代数的符号帳51から得られる偶数のみで構成される偶数パルス候補位置aがパルス候補位置情報dとして固定符号ベクトル生成部64に入力され、奇数ならば奇数代数的符号帳52から得られる奇数のみで構成される奇数パルス候補位置bがパルス候補位置情報dとして固定符号ベクトル生成部64に入力されるように切り替えるようになっている。
尚、ピッチ周期値cは、適応符号ベクトル出力部32で整数部を求めて、整数部の値が切替スイッチ処理部63に入力されるようにしても構わない。
【0101】
固定符号ベクトル生成部64は、分離部31からの固定符号(B)を入力し、固定符号(B)(代数的符号)で表されている各パルスの極性とインデックスに対応し、切替スイッチ処理部63から入力されるパルス候補位置情報dのパルス候補位置にパルスを立てた固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)を生成して出力するものである。
【0102】
本発明の固定符号ベクトル出力部33の動作について、図7を使って説明する。
本発明の固定符号ベクトル出力部33では、適応符号ベクトル出力部32から出力されたピッチ周期情報(ピッチ周期値)cが切替スイッチ処理部63に入力され、ピッチ周期情報(ピッチ周期値)の整数部の値が求められ、整数部が偶数ならば偶数代数的符号帳61からの偶数パルス候補位置aがパルス候補位置情報dとして固定符号ベクトル生成部64に入力され、奇数ならば奇数代数的符号帳62からの奇数パルス候補位置bがパルス候補位置情報dとして固定符号ベクトル生成部64に入力される。
【0103】
そして、固定符号ベクトル生成部64において、分離部31からの固定符号(B)で表されている各パルスの極性とインデックスに対応し、切替スイッチ処理部63から入力されるパルス候補位置情報dのパルス候補位置にパルスを立てた固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)を生成して出力されるようになっている。
【0104】
上記説明では、音声符号化側に合わせて、ピッチ周期情報の整数部が偶数の時には、偶数代数的符号帳51に保持された偶数配列のパルス候補位置を選択して探索を行い、奇数の時には、奇数代数的符号帳52に保持された偶数配列のパルス候補位置を選択して探索を行うように記述してきたが、音声符号化側が逆であれば、逆になる。
【0105】
上記図2,図7に示した構成例を用いた説明では、分割された代数的符号帳を2つ設けた例で説明したが、本発明は分割数を2に限定するものではなく、例えば、分割数を4にした場合には、表1に示したCS−ACELPのパルス候補位置における1,5列目からなる第1の代数的符号帳と、2,6列目からなる第2の代数的符号帳と、3,7列目からなる第3の代数的符号帳と、4,8列目からなる第4の代数的符号帳とを設ける。
【0106】
そして、切替スイッチ処理部53では、例えばピッチ周期情報の整数部が4の倍数の場合には、第1の代数的符号帳を選択し、4の倍数+1の場合には、第2の代数的符号帳を選択し、4の倍数+2の場合には、第3の代数的符号帳を選択し、4の倍数+3の場合には、第4の代数的符号帳を選択するように制御する。
【0107】
そして、当然のことながら、復号側においては、これに対応して、同様の4つの代数的符号帳を保持し、切替スイッチ処理部63では、切替スイッチ処理部53と同様の制御を行う。
【0108】
尚、伝送誤差により、符号化の際のピッチ周期情報と復号されたピッチ周期情報に誤差が発生し、例えば奇数/偶数が間違ったとしても、従来の第2のビットレート削減手法で説明したような、単純にパルス候補位置を省いてしまう方法に比べると、品質劣化は抑えられるものである。
【0109】
本発明の実施の形態に係るACELP方式を用いた音声符号化方法及び音声符号化装置によれば、固定符号帳探索部5で行う代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、切替スイッチ処理部53において、ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、最小歪みパルス組合せ探索処理部54で最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索するものなので、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0110】
また、本発明の実施の形態に係るACELP方式を用いた音声符号化方法及び音声符号化装置によれば、固定符号帳探索部5において、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を奇数位置と偶数位置の2つに分割して、奇数位置を候補とする奇数代数的符号帳52と、偶数位置を候補とする偶数代数的符号帳51とを設け、切替スイッチ処理部53においてピッチ周期値の整数部の値に基づいて、奇数代数的符号帳52又は偶数代数的符号帳51の何れかを選択するものなので、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0111】
本発明の実施の形態に係る音声符号化方法及び音声符号化装置に対応する音声復号化方法及び音声復号化装置によれば、固定符号ベクトル出力部33で行われる、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成で、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルを保持し、切替スイッチ処理部63において復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割パルス候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、固定符号ベクトル生成部64で符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するものなので、簡単な処理によって、情報量が削減された代数的符号帳情報からも、品質劣化を極力抑えた再生音声を生成でき、伝送効率を向上できる効果がある。
【0112】
また、本発明の実施の形態に係る音声復号化方法及び音声復号化装置によれば、固定符号ベクトル出力部33において、符号化で用いたものと同様の奇数代数的符号帳52と偶数代数的符号帳51とを設け、切替スイッチ処理部63において復号されたピッチ周期値の整数部の値に基づいて、奇数代数的符号帳62又は偶数代数的符号帳61の何れかを選択するものなので、簡単な処理によって、情報量が削減された代数的符号帳情報からも、品質劣化を極力抑えた再生音声を生成でき、伝送効率を向上できる効果がある。
【0113】
また、従来のCS−ACELPを用いた音声符号化/復号化方法に本発明を適用することにより必要となる追加処理は、概ね50ステップ程度と非常に少ない処理量であり、処理を複雑化することなく、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑えることができる効果がある。
【0114】
また、本発明を適用することにより従来の第2のビットレート削減手法で、これまではビットレート削減相当の劣化として許容されてきた品質劣化を回避し、かつビットレートの削減率は変わらない状態を確保できる効果がある。
【0115】
【発明の効果】
本発明によれば、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する音声符号化方法としているので、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0116】
本発明によれば、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を奇数位置と偶数位置の2つに分割して、奇数位置を候補とする奇数候補位置テーブルと、偶数位置を候補とする偶数候補位置テーブルとを設け、ピッチ周期値の整数部の値に基づいて、奇数候補位置テーブル又は偶数候補位置テーブルの何れかを選択する上記音声符号化方法としているので、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0117】
本発明によれば、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成で、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルを保持し、復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割パルス候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成する音声復号化方法としているので、簡単な処理によって、情報量が削減された代数的符号帳情報からも、品質劣化を極力抑えた再生音声を生成できるものである。
【0118】
本発明によれば、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、代数的符号帳探索手段が、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、ピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する探索手段とを有する代数的符号帳探索手段である音声符号化装置としているので、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0119】
本発明によれば、複数の分割候補位置テーブルが、候補位置テーブルのパルス候補位置の中で、奇数位置を候補とする奇数候補位置テーブルと、偶数位置を候補とする偶数候補位置テーブルとからなり、選択手段が、ピッチ周期値の整数部の値に基づいて、奇数候補位置テーブル又は偶数候補位置テーブルの何れかを選択する選択手段である上記音声符号化装置としているので、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0120】
本発明によれば、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成手段を備え、代数的符号帳ベクトル生成手段が、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、復号されたピッチ周期値に基づいて、複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段である音声復号化装置としているので、簡単な処理によって、情報量が削減された代数的符号帳情報からも、品質劣化を極力抑えた再生音声を生成でき、伝送効率を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る音声符号化装置の概略構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の音声符号化装置における固定符号帳探索部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】従来のCS−ACELPの場合の各パルスの候補位置を示す模式図である。
【図4】本発明の各パルスの候補位置を示す模式図である。
【図5】代数的符号帳のパルス探索位置を表す模式図である。
【図6】本発明に係る音声復号化装置の概略構成ブロック図である。
【図7】本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…前処理部、 2…LPC分析量子化補間処理部、 3…聴覚重み付け処理部、 4…適応符号帳探索部、 5…固定符号帳探索部、 6…利得算出部、 7…LPC合成部、 8…自乗誤差最小化部、 9…多重化処理部、 20…加算器、 21…乗算器、 22…乗算器、 23…加算器、 31…分離部、 32…適応符号ベクトル出力部、 33…固定符号ベクトル出力部、 34…利得ベクトル出力部、 35…乗算器、 36…乗算器、 37…加算器、 38…LPC合成部、 39…ポストフィルタ、 51…偶数代数的符号帳、 52…奇数代数的符号帳、 53…切替スイッチ処理部、 54…最小歪みパルス組合せ探索処理部、 61…偶数代数的符号帳、 62…奇数代数的符号帳、 63…切替スイッチ処理部、 64…固定符号ベクトル生成部
Claims (6)
- ACELP方式を用いた音声符号化方法であって、
パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、
前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、
ピッチ周期値に基づいて、前記複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索することを特徴とする音声符号化方法。 - 候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を奇数位置と偶数位置の2つに分割して、奇数位置を候補とする奇数候補位置テーブルと、偶数位置を候補とする偶数候補位置テーブルとを設け、
ピッチ周期値の整数部の値に基づいて、前記奇数候補位置テーブル又は前記偶数候補位置テーブルの何れかを選択することを特徴とする請求項1記載の音声符号化方法。 - 請求項1記載の音声符号化方法で符号化された音声符号化データについて復号する音声復号化方法であって、
パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成で、
符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルを保持し、
復号されたピッチ周期値に基づいて、前記複数の分割候補位置テーブルから1つの分割パルス候補位置テーブルを選択し、当該選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成することを特徴とする音声復号化方法。 - ACELP方式を用いた音声符号化装置であって、
パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、
前記代数的符号帳探索手段が、
前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、
ピッチ周期値に基づいて、前記複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する探索手段とを有する代数的符号帳探索手段であることを特徴とする音声符号化装置。 - 複数の分割候補位置テーブルが、候補位置テーブルのパルス候補位置の中で、奇数位置を候補とする奇数候補位置テーブルと、偶数位置を候補とする偶数候補位置テーブルとからなり、
選択手段が、ピッチ周期値の整数部の値に基づいて、前記奇数候補位置テーブル又は前記偶数候補位置テーブルの何れかを選択する選択手段であることを特徴とする請求項4記載の音声符号化装置。 - 請求項4記載の音声符号化装置で符号化された音声符号化データについて復号を行う音声復号化装置であって、
パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成手段を備え、
前記代数的符号帳ベクトル生成手段が、
符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、
復号されたピッチ周期値に基づいて、前記複数の分割候補位置テーブルから1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段であることを特徴とする音声復号化装置。
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