JP2004099683A - 全芳香族ポリエステルならびにその製造方法 - Google Patents
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- PMKIBFSLEIXEHU-UHFFFAOYSA-N CC(CC1)C(C)CC1C(C)(C)C Chemical compound CC(CC1)C(C)CC1C(C)(C)C PMKIBFSLEIXEHU-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全芳香族ポリエステルの製造に関する。さらに詳しくは、非晶性でありかつ耐熱安定性に優れた全芳香族ポリエステル、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、耐熱性が高く機械的強度の優れたエンジニアリングプラスチックに対する要求性能が高まっている。耐熱性の非晶性エンジニアリングプラスチックの1つとして、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールに由来するポリエステルである非晶性全芳香族ポリエステル(以下「ポリアリレート」と称することがある)がよく知られている。
【0003】
例えば、芳香族ジオールとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノール類を用い芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸とイソフタル酸を用いて合成された非晶性ポリアリレートは、比較的バランスのとれた特性を有しており、各種の用途に用いられている。
【0004】
このようなポリアリレート耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法安定性に優れ、加えて透明であるためにその成形品は電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く応用されている事も良く知られている。しかし、近年、かかる用途分野において、軽量化の要求に伴いより一層の部品の薄肉化が求められ、アクリル樹脂やポリカーボネートはもとより2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレートでも耐熱性が十分でなかった。このような事情から耐熱性の高いポリマーが求められている。
【0005】
ポリアリレートの耐熱性を向上させる試みとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに変えて、種々のビスフェノール類を用いるか、あるいは共重合したポリアリレートがある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0006】
また、酸成分をテレフタル酸とイソフタル酸から種々のナフタレンジカルボン酸に変えて、耐熱性を向上させようとしているものもある(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照。)。
【0007】
これらの非晶性全芳香族ポリエステルの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物と芳香族ジオールとの界面縮重合法が工業化されている。しかしながら、この界面縮重合法で反応溶媒として通常用いられている塩化メチレンは、環境、衛生上の問題がある化学物質であり、その取り扱いには十分な注意が必要である。しかし、その沸点が40℃と非常に低いためポリアリレートの製造時に使用した塩化メチレンを完全にリサイクルできる閉鎖系にすることは設備面で難しく、また多大な費用がかかるという問題点、蒸発した塩化メチレンが環境面、衛生面に悪影響を及ぼすという問題点も有する。
【0008】
そこで、これらのポリアリレートを溶融重合法によって製造する方法が検討されている(例えば、特許文献8参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特公平4−50324号公報(第2−3頁)
【特許文献2】
特開昭57−192432号公報(第4−6頁)
【特許文献3】
特開平2−233720号公報(第1−5、8頁、表1)
【特許文献4】
特開平6−329769号公報(第2−5頁、表1)
【特許文献5】
特開平6−122757号公報(第2−3頁、表1)
【特許文献6】
特開平2−255719号公報(第2−5頁、表1)
【特許文献7】
特開平9−124781号公報(第2−6頁、表1)
【特許文献8】
特開平7−133345号公報(第3−6頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐熱安定性に優れる全芳香族ポリエステルおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記の目的は下記式(I)
【0012】
【化5】
【0013】
(上記式(I)中のR1、R2、R3、R4は、同一または異なり、水素原子またはメチル基を示す。Aは炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わし、Xは、
【0014】
【化6】
【0015】
とから、100〜0モル%の割合で選択される)
で表される繰り返し単位から実質的になり、固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶液(重量比60/40)を溶媒として1.2g/dl濃度、35℃で測定)が0.3dl/g以上であることを特徴とする全芳香族ポリエステルによって達成される。
【0016】
本発明の全芳香族ポリエステルは、本発明の下記の製造方法によって工業的に有利に製造できる。本発明の方法において用いられる芳香族ジオール成分は下記式(II)及び/あるいは(III)
【0017】
【化7】
【0018】
(R1、R2、R3、R4は、同一または異なり、水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるものである。
【0019】
本芳香族ジオール成分は環状テルペン1分子にフェノール類2分子を付加反応させて得られる化合物である。このような化合物としては、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン等が挙げられ、これらのうち、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタンが好ましい。これらの芳香族ジオール成分は必要に応じて、1種あるいは2種以上含有させることができる。
【0020】
一方、本発明の方法で用いられる芳香族ジカルボン酸ジアリールエステル成分(b)は下記式(IV)
【0021】
【化8】
【0022】
(Aは炭素数6〜20の2価の芳香族基である。2個のR5は、それぞれ、互いに同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、エステル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、あるいは炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる。)
で表されるものである。
【0023】
上記式(IV)中のAは芳香核の水素の一部または全部が塩素、臭素等のハロゲン原子あるいは炭素数1〜3の低級アルキル基等で置換されていてもよい。具体的にはフェニレン基、ナフチレン基、ジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルインダン基等の炭素数6〜20の二価の芳香族基である。
【0024】
このような芳香族ジカルボン酸ジアリールエステルとしては、例えば、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、メチルテレフタル酸ジフェニル、メチルイソフタル酸ジフェニル、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジフェニル、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジフェニル、ジフェニルジカルボン酸ジフェニル、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジフェニル、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジフェニル、テレフタル酸ジ(p−トリル)、イソフタル酸ジ(p−トリル)、メチルテレフタル酸ジ(p−トリル)、メチルイソフタル酸ジ(p−トリル)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジ(p−トリル)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジ(p−トリル)、ジフェニルジカルボン酸ジ(p−トリル)、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジ(p−トリル)、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジ(p−トリル)、テレフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、イソフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、メチルテレフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、メチルイソフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ジフェニルジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、テレフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、イソフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、メチルテレフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、メチルイソフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ジフェニルジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、テレフタル酸ジナフチル、イソフタル酸ジナフチル、メチルテレフタル酸ジナフチル、メチルイソフタル酸ジナフチル、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジナフチル、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジナフチル、ジフェニルジカルボン酸ジナフチル、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジナフチル、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジナフチル等を挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸ジアリールエステルは必要に応じて、1種あるいは2種以上含有させることができる。これらのジアリールエステル基は芳香核を構成する水素原子の一部または全部が塩素、臭素等のハロゲン原子あるいは炭素数1〜3の低級アルキル基等で置換されていてもよい。また、これらのアリールエステル基は1種類のアリールエステル基で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
これらの化合物の溶融縮重合は好ましくは触媒の存在下に実施される。かかる触媒としては、通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。このような化合物としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、ケイ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、チタン化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類およびジルコニウム化合物類,含窒素塩基性化合物などが挙げられる。この中でもアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましく用いられる。
【0026】
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えばこれらの金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、水素化ホウ素塩、ステアリン酸塩、安息香酸およびビスフェノールとの塩等を挙げることができる。
【0027】
アルカリ金属化合物の具体的な例としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ルビジウム、ステアリン酸セシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ルビジウム、安息香酸セシウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ルビジウム、リン酸水素二セシウム、ビスフェノールAの二リチウム塩、二ナトリウム塩、二カリウム塩、二ルビジウム塩、二セシウム塩、フェノールの二リチウム塩、二ナトリウム塩、二カリウム塩、二ルビジウム塩、および二セシウム塩等が挙げられる。
【0028】
また、アルカリ土類金属化合物の具体的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウムおよびステアリン酸バリウム等を挙げることができる。
【0029】
これらの触媒の使用量は特に制限はないが、アルカリ金属化合物および/あるいはアルカリ土類金属化合物の場合は芳香族ジオール成分1モルに対して0.001モル%〜0.1モル%とすることが好ましい。0.001モル%より少ないと該アルカリ(土類)金属化合物の触媒としての効果が不十分となる。また、0.1モル%より多いと得られるポリマーの物性が低下することがあり好ましくない。より好ましくは0.005モル%〜0.8モル%である。
【0030】
本発明の製造方法で製造される全芳香族ポリエステルを含めポリアリレートは一般に高粘度、高融点のため溶融重合が困難とされている。これらの問題を改善する方法の1つとして、特開昭58−27717号公報にあるようなポリエステルを製造する方法おいて生成するポリエステルと非反応性でかつ分子内にハロゲンを含有しない芳香族イミド化合物の存在下で重合反応を行う技術を適用することも可能である。例えば、イソホロンビスフタルイミドやN,N’−ヘキサメチレンビスフタルイミドなどのような芳香族イミド化合物を可塑剤として使うことができる。
【0031】
加熱縮重合する際の重合温度は、200〜400℃とすることが好ましい。ここで重合温度とは、重合後期あるいはその終了時における反応系の温度を意味する。重合温度が200℃より低いと、ポリマーの溶融粘度が高くなるため高重合度のポリマーを得ることが困難な場合があり、また400℃よりも高いと、ポリマー劣化等が生じやすくなることがある。
【0032】
本発明の製造方法では、重合反応温度の初期は比較的低温とし、これを徐々に昇温して最終的に上記重合温度にすることが好ましい。この際の初期重合反応の重合温度は、好ましくは180〜300℃である。
【0033】
この重合反応は常圧下もしくは減圧下で実施されるが、初期重合反応時は常圧下とし、徐々に減圧とすることが好ましい。また、常圧時には反応系は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。重合反応時間は特に制限はないが、およそ0.2〜10時間程度である。
【0034】
上記の如き方法によれば、本発明の前記新規重合体が得られる。用途や必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などの添加剤を配合することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の全芳香族ポリエステルの機械特性を保持したまま、耐熱性に優れた非晶性の全芳香族ポリエステルを得ることができる。本発明の全芳香族ポリエステルは耐熱性、透明性等を有し、自動車用ライトカバー、電子部材等の成形品に好適に用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、本発明において物性評価に用いた方法は以下の通りである。
(1)固有粘度測定
測定は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、1.2g/dlの濃度で、温度35℃で測定した。
(2)ガラス転移温度
測定は、DSC(TA Instruments製2920型)を用い、10℃/minの昇温速度にて測定した。
(3)ジクロロメタン溶解性
得られた全芳香族ポリエステルを18重量%の濃度でジクロロメタンに溶解し、溶液の状態を目視で観察した。
(4)引張強度
(3)で得られた溶液を用い、厚み約50μmの溶液キャストフィルムを作成した。このフィルムについてJIS K7127に基づいて引張強度を測定した。
【0037】
[実施例1]
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン(YP−90:ヤスハラケミカル(株))97.2g、テレフタル酸ジフェニルエステル28.9g、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジフェニルエステル78.1g、4−ジメチルアミノピリジン0.073g、炭酸セシウム0.195g、イソホロンビスフタルイミド135gを撹拌装置および窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、反応容器中を窒素雰囲気とした後、常圧下200℃で反応を開始した。30分後常圧のまま240℃に昇温し、同温度にてフェノールの留出を確認した後、系内を徐々に減圧した。反応開始から1時間後、原料が均一に溶解していることを確認した。
【0038】
その後さらに、昇温、減圧し、反応開始から3時間後、系内の最終到達温度を280℃、真空度を約0.5mmHgとした。同条件下にて3時間重合を行い、非晶性の全芳香族ポリエステルを得た。このとき昇華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは淡黄色透明であった。
【0039】
冷却後、得られたポリマーを粉砕し、ジクロロメタン2700gに溶解した後、激しく攪拌している大量のアセトン中にそのジクロロメタン溶液を投入し、ポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別・乾燥し、耐熱性全芳香族ポリエステルが得られた。
【0040】
得られたポリマーについてそれぞれ前述した評価を行った。ポリマーの還元粘度は、0.62、ガラス転移温度は287℃であった。また、ジクロロメタンに対する溶解性は完全溶解であり、キャストフィルムによる引張強度は81MPaであった。
【0041】
[実施例2、3]
表1に示した原料を用い、実施例1と同様にして全芳香族ポリエステルを得た。得られた全芳香族ポリエステルの物性を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例4]
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン68.0g、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン29.2g、テレフタル酸ジフェニルエステル96.4g、4−ジメチルアミノピリジン0.073g、炭酸セシウム0.195g、イソホロンビスフタルイミド135gを撹拌装置および窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、反応容器中を窒素雰囲気とした後、常圧下200℃で反応を開始した。30分後常圧のまま240℃に昇温し、同温度にてフェノールの留出を確認した後、系内を徐々に減圧した。反応開始から1時間後、原料が均一に溶解していることを確認した。
【0044】
その後さらに、昇温、減圧し、反応開始から3時間後、系内の最終到達温度を280℃、真空度を約0.5mmHgとした。同条件下にて3時間重合を行い、非晶性の全芳香族ポリエステルを得た。このとき昇華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは淡黄色透明であった。
【0045】
冷却後、得られたポリマーを粉砕し、ジクロロメタン2700gに溶解した後、激しく攪拌している大量のアセトン中にそのジクロロメタン溶液を投入し、ポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別・乾燥し、耐熱性全芳香族ポリエステルが得られた。得られたポリマーについてそれぞれ前述した評価を行った。ポリマーの還元粘度は、0.60、ガラス転移温度は230℃であった。また、ジクロロメタンに対する溶解性は完全溶解であり、キャストフィルムによる引張強度は58MPaであった。
【0046】
[実施例5,6]
表2に示した原料を用い、実施例4と同様にして同様にして全芳香族ポリエステルを得た。得られた全芳香族ポリエステルの物性を表2に示した。
【0047】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全芳香族ポリエステルの製造に関する。さらに詳しくは、非晶性でありかつ耐熱安定性に優れた全芳香族ポリエステル、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、耐熱性が高く機械的強度の優れたエンジニアリングプラスチックに対する要求性能が高まっている。耐熱性の非晶性エンジニアリングプラスチックの1つとして、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールに由来するポリエステルである非晶性全芳香族ポリエステル(以下「ポリアリレート」と称することがある)がよく知られている。
【0003】
例えば、芳香族ジオールとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノール類を用い芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸とイソフタル酸を用いて合成された非晶性ポリアリレートは、比較的バランスのとれた特性を有しており、各種の用途に用いられている。
【0004】
このようなポリアリレート耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法安定性に優れ、加えて透明であるためにその成形品は電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く応用されている事も良く知られている。しかし、近年、かかる用途分野において、軽量化の要求に伴いより一層の部品の薄肉化が求められ、アクリル樹脂やポリカーボネートはもとより2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレートでも耐熱性が十分でなかった。このような事情から耐熱性の高いポリマーが求められている。
【0005】
ポリアリレートの耐熱性を向上させる試みとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに変えて、種々のビスフェノール類を用いるか、あるいは共重合したポリアリレートがある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0006】
また、酸成分をテレフタル酸とイソフタル酸から種々のナフタレンジカルボン酸に変えて、耐熱性を向上させようとしているものもある(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照。)。
【0007】
これらの非晶性全芳香族ポリエステルの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物と芳香族ジオールとの界面縮重合法が工業化されている。しかしながら、この界面縮重合法で反応溶媒として通常用いられている塩化メチレンは、環境、衛生上の問題がある化学物質であり、その取り扱いには十分な注意が必要である。しかし、その沸点が40℃と非常に低いためポリアリレートの製造時に使用した塩化メチレンを完全にリサイクルできる閉鎖系にすることは設備面で難しく、また多大な費用がかかるという問題点、蒸発した塩化メチレンが環境面、衛生面に悪影響を及ぼすという問題点も有する。
【0008】
そこで、これらのポリアリレートを溶融重合法によって製造する方法が検討されている(例えば、特許文献8参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特公平4−50324号公報(第2−3頁)
【特許文献2】
特開昭57−192432号公報(第4−6頁)
【特許文献3】
特開平2−233720号公報(第1−5、8頁、表1)
【特許文献4】
特開平6−329769号公報(第2−5頁、表1)
【特許文献5】
特開平6−122757号公報(第2−3頁、表1)
【特許文献6】
特開平2−255719号公報(第2−5頁、表1)
【特許文献7】
特開平9−124781号公報(第2−6頁、表1)
【特許文献8】
特開平7−133345号公報(第3−6頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐熱安定性に優れる全芳香族ポリエステルおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記の目的は下記式(I)
【0012】
【化5】
【0013】
(上記式(I)中のR1、R2、R3、R4は、同一または異なり、水素原子またはメチル基を示す。Aは炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わし、Xは、
【0014】
【化6】
【0015】
とから、100〜0モル%の割合で選択される)
で表される繰り返し単位から実質的になり、固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶液(重量比60/40)を溶媒として1.2g/dl濃度、35℃で測定)が0.3dl/g以上であることを特徴とする全芳香族ポリエステルによって達成される。
【0016】
本発明の全芳香族ポリエステルは、本発明の下記の製造方法によって工業的に有利に製造できる。本発明の方法において用いられる芳香族ジオール成分は下記式(II)及び/あるいは(III)
【0017】
【化7】
【0018】
(R1、R2、R3、R4は、同一または異なり、水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるものである。
【0019】
本芳香族ジオール成分は環状テルペン1分子にフェノール類2分子を付加反応させて得られる化合物である。このような化合物としては、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン等が挙げられ、これらのうち、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタンが好ましい。これらの芳香族ジオール成分は必要に応じて、1種あるいは2種以上含有させることができる。
【0020】
一方、本発明の方法で用いられる芳香族ジカルボン酸ジアリールエステル成分(b)は下記式(IV)
【0021】
【化8】
【0022】
(Aは炭素数6〜20の2価の芳香族基である。2個のR5は、それぞれ、互いに同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、エステル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、あるいは炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる。)
で表されるものである。
【0023】
上記式(IV)中のAは芳香核の水素の一部または全部が塩素、臭素等のハロゲン原子あるいは炭素数1〜3の低級アルキル基等で置換されていてもよい。具体的にはフェニレン基、ナフチレン基、ジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルインダン基等の炭素数6〜20の二価の芳香族基である。
【0024】
このような芳香族ジカルボン酸ジアリールエステルとしては、例えば、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、メチルテレフタル酸ジフェニル、メチルイソフタル酸ジフェニル、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジフェニル、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジフェニル、ジフェニルジカルボン酸ジフェニル、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジフェニル、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジフェニル、テレフタル酸ジ(p−トリル)、イソフタル酸ジ(p−トリル)、メチルテレフタル酸ジ(p−トリル)、メチルイソフタル酸ジ(p−トリル)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジ(p−トリル)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジ(p−トリル)、ジフェニルジカルボン酸ジ(p−トリル)、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジ(p−トリル)、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジ(p−トリル)、テレフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、イソフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、メチルテレフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、メチルイソフタル酸ジ(p−クロロフェニル)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ジフェニルジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジ(p−クロロフェニル)、テレフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、イソフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、メチルテレフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、メチルイソフタル酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ジフェニルジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジ(2−メトキシカルボニルフェニル)、テレフタル酸ジナフチル、イソフタル酸ジナフチル、メチルテレフタル酸ジナフチル、メチルイソフタル酸ジナフチル、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジナフチル、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジナフチル、ジフェニルジカルボン酸ジナフチル、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジナフチル、ジフェニルスルホンジカルボン酸ジナフチル等を挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸ジアリールエステルは必要に応じて、1種あるいは2種以上含有させることができる。これらのジアリールエステル基は芳香核を構成する水素原子の一部または全部が塩素、臭素等のハロゲン原子あるいは炭素数1〜3の低級アルキル基等で置換されていてもよい。また、これらのアリールエステル基は1種類のアリールエステル基で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
これらの化合物の溶融縮重合は好ましくは触媒の存在下に実施される。かかる触媒としては、通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。このような化合物としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、ケイ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、チタン化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類およびジルコニウム化合物類,含窒素塩基性化合物などが挙げられる。この中でもアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましく用いられる。
【0026】
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えばこれらの金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、水素化ホウ素塩、ステアリン酸塩、安息香酸およびビスフェノールとの塩等を挙げることができる。
【0027】
アルカリ金属化合物の具体的な例としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ルビジウム、ステアリン酸セシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ルビジウム、安息香酸セシウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ルビジウム、リン酸水素二セシウム、ビスフェノールAの二リチウム塩、二ナトリウム塩、二カリウム塩、二ルビジウム塩、二セシウム塩、フェノールの二リチウム塩、二ナトリウム塩、二カリウム塩、二ルビジウム塩、および二セシウム塩等が挙げられる。
【0028】
また、アルカリ土類金属化合物の具体的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウムおよびステアリン酸バリウム等を挙げることができる。
【0029】
これらの触媒の使用量は特に制限はないが、アルカリ金属化合物および/あるいはアルカリ土類金属化合物の場合は芳香族ジオール成分1モルに対して0.001モル%〜0.1モル%とすることが好ましい。0.001モル%より少ないと該アルカリ(土類)金属化合物の触媒としての効果が不十分となる。また、0.1モル%より多いと得られるポリマーの物性が低下することがあり好ましくない。より好ましくは0.005モル%〜0.8モル%である。
【0030】
本発明の製造方法で製造される全芳香族ポリエステルを含めポリアリレートは一般に高粘度、高融点のため溶融重合が困難とされている。これらの問題を改善する方法の1つとして、特開昭58−27717号公報にあるようなポリエステルを製造する方法おいて生成するポリエステルと非反応性でかつ分子内にハロゲンを含有しない芳香族イミド化合物の存在下で重合反応を行う技術を適用することも可能である。例えば、イソホロンビスフタルイミドやN,N’−ヘキサメチレンビスフタルイミドなどのような芳香族イミド化合物を可塑剤として使うことができる。
【0031】
加熱縮重合する際の重合温度は、200〜400℃とすることが好ましい。ここで重合温度とは、重合後期あるいはその終了時における反応系の温度を意味する。重合温度が200℃より低いと、ポリマーの溶融粘度が高くなるため高重合度のポリマーを得ることが困難な場合があり、また400℃よりも高いと、ポリマー劣化等が生じやすくなることがある。
【0032】
本発明の製造方法では、重合反応温度の初期は比較的低温とし、これを徐々に昇温して最終的に上記重合温度にすることが好ましい。この際の初期重合反応の重合温度は、好ましくは180〜300℃である。
【0033】
この重合反応は常圧下もしくは減圧下で実施されるが、初期重合反応時は常圧下とし、徐々に減圧とすることが好ましい。また、常圧時には反応系は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。重合反応時間は特に制限はないが、およそ0.2〜10時間程度である。
【0034】
上記の如き方法によれば、本発明の前記新規重合体が得られる。用途や必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などの添加剤を配合することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の全芳香族ポリエステルの機械特性を保持したまま、耐熱性に優れた非晶性の全芳香族ポリエステルを得ることができる。本発明の全芳香族ポリエステルは耐熱性、透明性等を有し、自動車用ライトカバー、電子部材等の成形品に好適に用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、本発明において物性評価に用いた方法は以下の通りである。
(1)固有粘度測定
測定は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、1.2g/dlの濃度で、温度35℃で測定した。
(2)ガラス転移温度
測定は、DSC(TA Instruments製2920型)を用い、10℃/minの昇温速度にて測定した。
(3)ジクロロメタン溶解性
得られた全芳香族ポリエステルを18重量%の濃度でジクロロメタンに溶解し、溶液の状態を目視で観察した。
(4)引張強度
(3)で得られた溶液を用い、厚み約50μmの溶液キャストフィルムを作成した。このフィルムについてJIS K7127に基づいて引張強度を測定した。
【0037】
[実施例1]
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン(YP−90:ヤスハラケミカル(株))97.2g、テレフタル酸ジフェニルエステル28.9g、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジフェニルエステル78.1g、4−ジメチルアミノピリジン0.073g、炭酸セシウム0.195g、イソホロンビスフタルイミド135gを撹拌装置および窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、反応容器中を窒素雰囲気とした後、常圧下200℃で反応を開始した。30分後常圧のまま240℃に昇温し、同温度にてフェノールの留出を確認した後、系内を徐々に減圧した。反応開始から1時間後、原料が均一に溶解していることを確認した。
【0038】
その後さらに、昇温、減圧し、反応開始から3時間後、系内の最終到達温度を280℃、真空度を約0.5mmHgとした。同条件下にて3時間重合を行い、非晶性の全芳香族ポリエステルを得た。このとき昇華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは淡黄色透明であった。
【0039】
冷却後、得られたポリマーを粉砕し、ジクロロメタン2700gに溶解した後、激しく攪拌している大量のアセトン中にそのジクロロメタン溶液を投入し、ポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別・乾燥し、耐熱性全芳香族ポリエステルが得られた。
【0040】
得られたポリマーについてそれぞれ前述した評価を行った。ポリマーの還元粘度は、0.62、ガラス転移温度は287℃であった。また、ジクロロメタンに対する溶解性は完全溶解であり、キャストフィルムによる引張強度は81MPaであった。
【0041】
[実施例2、3]
表1に示した原料を用い、実施例1と同様にして全芳香族ポリエステルを得た。得られた全芳香族ポリエステルの物性を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例4]
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン68.0g、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン29.2g、テレフタル酸ジフェニルエステル96.4g、4−ジメチルアミノピリジン0.073g、炭酸セシウム0.195g、イソホロンビスフタルイミド135gを撹拌装置および窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、反応容器中を窒素雰囲気とした後、常圧下200℃で反応を開始した。30分後常圧のまま240℃に昇温し、同温度にてフェノールの留出を確認した後、系内を徐々に減圧した。反応開始から1時間後、原料が均一に溶解していることを確認した。
【0044】
その後さらに、昇温、減圧し、反応開始から3時間後、系内の最終到達温度を280℃、真空度を約0.5mmHgとした。同条件下にて3時間重合を行い、非晶性の全芳香族ポリエステルを得た。このとき昇華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは淡黄色透明であった。
【0045】
冷却後、得られたポリマーを粉砕し、ジクロロメタン2700gに溶解した後、激しく攪拌している大量のアセトン中にそのジクロロメタン溶液を投入し、ポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別・乾燥し、耐熱性全芳香族ポリエステルが得られた。得られたポリマーについてそれぞれ前述した評価を行った。ポリマーの還元粘度は、0.60、ガラス転移温度は230℃であった。また、ジクロロメタンに対する溶解性は完全溶解であり、キャストフィルムによる引張強度は58MPaであった。
【0046】
[実施例5,6]
表2に示した原料を用い、実施例4と同様にして同様にして全芳香族ポリエステルを得た。得られた全芳香族ポリエステルの物性を表2に示した。
【0047】
【表2】
Claims (2)
- 下記式(II)あるいは(III)
で示される芳香族ジオール成分と、下記式(IV)
で示される芳香族ジカルボン酸ジアリールエステル成分とを、溶融反応せしめ、固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶液(重量比60/40)を溶媒として1.2g/dl濃度、35℃で測定)が0.3dl/g以上であることを特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法。
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