JP2004098266A - 研磨砥石及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨力を向上させることができる研磨砥石及びその製造方法を提供する。
【解決手段】研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、研磨材組成物中の研磨材粒子は磁場が印加されることにより一定方向に配向されている。研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種がより好ましい。研磨砥石は、研磨材組成物に磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させ、研磨材組成物を固化して成形することにより製造される。
【選択図】 図1
【解決手段】研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、研磨材組成物中の研磨材粒子は磁場が印加されることにより一定方向に配向されている。研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種がより好ましい。研磨砥石は、研磨材組成物に磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させ、研磨材組成物を固化して成形することにより製造される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス、セラミックス、金属等の素材で構成される精密部品の研削加工や精密仕上げ等に使用される研磨砥石及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、研磨力を向上させることができる研磨砥石及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ヘッド、磁気テープ、磁気ディスク、半導体基板、ディスプレイ用ガラス基板、単結晶デバイス、光ファイバー、光学レンズ、カラーフィルター等の精密部品の表面を平滑に研磨するために、結合剤中に研磨材粒子を分散させた研磨砥石が使用されている。これらの研磨砥石には、研磨力、研磨精度、生産性、耐久性等が要求され、従来より、特定の研磨材粒子や結合剤を使用したり、研磨砥石の加工方法を工夫するなど様々な改良処方が提案されている。
【0003】
従来の研磨砥石は、板状アルミナ粒子とエポキシ樹脂等のバインダー樹脂との混合物をプレス加工又は高速回転させることにより、プレス加工時の圧力又は遠心力によって板状アルミナ粒子を一定方向に配向させて製造されるアルミナ質砥石が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このアルミナ質砥石は、板状アルミナ粒子によって被研磨面を研磨するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−190725号公報(第2−3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1においては、プレス加工時の圧力や遠心力の機械的な作用によって板状アルミナ粒子を一定方向に配向させるために、板状アルミナ粒子の配向性が十分ではないという問題があった。よって、板状アルミナ粒子が例えば研磨方向に対して直交方向に配向される割合が十分ではないために、研磨力が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、研磨力を向上させることができる研磨砥石及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、研磨材組成物中の研磨材粒子は磁場が印加されることにより一定方向に配向されているものである。
【0008】
請求項2に記載の発明の研磨砥石は、請求項1に記載の発明において、前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体である。
請求項3に記載の発明の研磨砥石は、請求項2に記載の発明において、前記研磨材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種である。
【0009】
請求項4に記載の発明の研磨砥石の製造方法は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物に磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させ、研磨材組成物を固化して成形するものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の研磨砥石の製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体である。
請求項6に記載の発明の研磨砥石の製造方法は、請求項5に記載の発明において、前記研磨材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、磁場が印加されることにより研磨材粒子が一定方向に配向されているものである。
【0012】
研磨材粒子は、被研磨面を研磨するために含有される。研磨材粒子の材質の具体例としては、酸化亜鉛、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、非強磁性酸化鉄等の酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、カーボランダム、石英、ベーマタイト、コランダム、エメリー、ルビー、サファイア、トリポリ、ザクロ石、ガ−ネット、珪石、窒化アルミニウム、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン、ケイソウ土、ドロマイト等が挙げられる。これらは単独で含有してもよいし、二種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0013】
これらの中でも、配向制御を容易にするために、磁気異方性を有する非強磁性体が好ましく、磁化率が負の反磁性体がより好ましい。ここで、強磁性体は、正の磁化率が大きく研磨材粒子が連結してしまうために研磨材粒子を配向させるのが困難になり、研磨力及び研磨精度の低下を招く。磁気異方性は、結晶構造における方位毎の磁化率の差等によって表される。このため、研磨材粒子の材質の結晶系としては、a軸とc軸の格子定数の差が大きいために磁化率の差が大きく、よって磁気異方性が高いために、立方晶系以外のものが好ましく、六方晶系又は斜方晶系がより好ましい。
【0014】
さらに、配向制御を容易に行うとともに研磨力を向上させるために、方向によって形状が異なる形状異方性と、方向によって研磨能力が異なる研磨異方性との少なくとも一方を有するものが好ましい。この場合、研磨能力の高い箇所が研磨砥石の表面側に位置するように研磨材粒子を配向させることにより、研磨力を向上させることができる。
【0015】
磁気異方性を有する非強磁性体の具体例としては、酸化亜鉛、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、非強磁性酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド等が挙げられる。これらの中でも、硬度がモース硬度で6以上と高いとともに配向制御をより容易にするために、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種が好ましい。これらは粒子形状が針状、鱗片状、板状、棒状、柱状、三角柱状、直方体状、リョウ面体構造等の異型結晶構造であり、磁気異方性を有している。
【0016】
研磨材粒子の平均粒子径は好ましくは0.005〜200μmである。0.005μm未満では研磨力の低下を招く。一方、200μmを超えると研磨精度の低下を招く。
【0017】
研磨材砥石中の研磨材粒子の含有量は好ましくは1〜80重量%である。1重量%未満では、研磨材粒子の含有量が低いために研磨力の低下を招く。一方、80重量%を超えると、研磨力が高くなりすぎるために研磨精度の低下を招く。
【0018】
結合剤は、研磨材粒子同士を結合することによって、研磨砥石から研磨材粒子が脱落するのを抑制するために含有される。結合剤としては従来の研磨砥石で使用されている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用される。これらの具体例としては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル系重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン系樹脂、ナイロン−シリコーン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース及びセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリカーボネート樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコールと高分子量ジオールとトリフェニルメタントリイソシアネートとの混合物、ポリイミド樹脂、ポリベンズアゾール樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0019】
研磨砥石中の結合剤の含有量は、研磨材粒子100重量部に対して好ましくは5〜400重量部である。5重量部未満では、結合剤の含有量が低いために研磨材粒子が研磨砥石から脱落するおそれがある。一方、400重量部を超えてもそれ以上研磨材粒子同士の結合力を高めることができないとともに、研磨砥石の製造コストが嵩みやすい。研磨材組成物は、研磨材粒子及び結合剤を主成分として含有している。即ち、研磨砥石中における研磨材粒子及び結合剤の含有量の合計は、研磨砥石としての機能を十分に発揮させるために好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
【0020】
研磨材組成物は、研磨材粒子及び結合剤を混合、分散及び混練して調製される。その場合、研磨材組成物には研磨材粒子及び結合剤を容易に混合、分散及び混練するために、その他の添加成分として水や有機溶剤等の溶剤を含有させてもよい。有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、スチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素系、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独で含有してもよいし、二種以上を組み合わせて含有してもよいが、任意の比率で二種以上を組み合わせて含有するのが好ましい。
【0021】
研磨材組成物中の溶剤の含有量は、研磨材組成物の合計固形分100重量部に対して20〜20000重量部が好ましい。20重量部未満では溶剤の含有量が低いために研磨材粒子及び結合剤を混合、分散及び混練するのが困難になる。一方、20000重量部を超えると、溶剤の含有量が高いために、研磨砥石を成形するときに揮散させる溶剤の量が多くなって成形に時間がかかるとともに、研磨砥石の厚みむらが大きくなるおそれがある。
【0022】
研磨材組成物は、溶剤以外のその他の添加成分として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、着色剤等を含有してもよい。ここで、研磨砥石の製造後には研磨砥石から溶剤は揮散され、研磨砥石中には残存しない。研磨砥石中のその他の添加成分の含有量は研磨砥石の常法に従って決定されるが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
【0023】
本実施形態の研磨材組成物はシート状、フィルム状、ブロック状等の種々の形状に成形され、ガラス、セラミックス、金属等の素材で構成される精密部品の研削加工や精密仕上げ等に使用される。精密部品の具体例としては、磁気ヘッド、磁気テープ、磁気ディスク、半導体基板、ディスプレイ用ガラス基板、単結晶デバイス、光ファイバー、光学レンズ、カラーフィルター等が挙げられる。
【0024】
さて、例えば直方体形状の研磨砥石を製造するときには、まず各成分を混合、分散及び混練して研磨材組成物を調製する。このとき、各成分の添加順序や温度等は適宜設定することができ、混合、分散及び混練の方法は特に制限されない。さらに、研磨材組成物を調製するときに、真空脱泡や加圧脱泡処理を施してもよい。ここで、各成分を混合、分散及び混練する装置の具体例としては、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、アトライター、高速インペラー、分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、超音波分散機等が挙げられる。
【0025】
図1に示すように、例えば研磨材粒子12として鱗片状(六角板状)結晶のαアルミナを用い、研磨材粒子12を研磨砥石11の厚み方向(図1におけるZ軸方向)に配向させるときには、図2(a)に示すように、金型13内部のキャビティ13aに研磨材組成物14を充填する。このキャビティ13aは、直方体形状をなす研磨砥石の形状に対応するように形成されている。次いで、金型13を挟んで左方のN極から右方のS極に直線状の磁力線15が発生するように金型13の両側に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の面内方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の厚み方向に配向させる。
【0026】
このとき、αアルミナの結晶構造において、鱗片面に垂直なc軸方向の磁化率は鱗片面方向(a軸及びb軸)の磁化率に比べて大きい。このため、αアルミナは、その結晶構造のc軸方向が磁力線15に対して平行をなすとともに鱗片面方向が磁力線15に対して直交をなす、即ち鱗片状結晶が磁力線15に対して直交をなすように配向される。
【0027】
一方、研磨材粒子として鱗片状のαアルミナを研磨砥石の面内方向(図1におけるX軸方向、Y軸方向等)に配向させるときには、図2(b)に示すように、金型13を挟んで上方のN極から下方のS極に直線状の磁力線15が発生するように金型13の上下に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の厚み方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の面内方向に配向させる。
【0028】
また、研磨材粒子として柱状結晶のβ窒化ケイ素を用いるときには、上述のαアルミナと同様にその結晶構造のc軸方向が磁力線に対して平行をなすとともにa、b軸方向が磁力線に対して直交をなす、即ち柱状結晶が磁力線に対して直交をなすように配向される。
【0029】
研磨材粒子として六方晶結晶の窒化ホウ素や炭化ケイ素を用いるときには、それらの結晶構造においてa、b軸方向の磁化率はc軸方向の磁化率に比べて大きい。このため、窒化ホウ素及び炭化ケイ素は、それらの結晶構造のa、b軸方向が磁力線15に対して平行をなすとともにc軸方向が磁力線15に対して直交をなすようにそれぞれ配向される。次いで、研磨材組成物14が金型13のキャビティ13aに充填された状態で加熱処理等の乾燥処理を施して溶剤を揮散させ、研磨材組成物14を固化することにより研磨砥石を製造する。
【0030】
さらに、固化された研磨砥石を、例えば800〜1000℃で加熱処理し、焼結させた研磨砥石を製造することもできる。このような焼結研磨砥石を製造する際は、結合剤としては、通常の焼結砥石で用いられるポリビニルアルコール等を使用することが好ましい。
【0031】
また、フィルム状の研磨砥石を製造するときには、上述と同様にして研磨材組成物を調製した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持体上に塗布する。このとき、支持体に塗布の前処理として予めコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理(EB処理)、カップリング剤処理、接着性を向上させるための塗布処理、下塗処理、加熱処理、防塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理等を施してもよい。研磨材組成物を支持体上に塗布する装置の具体例としてはドクターコーター等が挙げられる。
【0032】
例えば研磨材粒子として鱗片状のαアルミナを研磨砥石の厚み方向に配向させるときには、図3(a)に示すように、支持体17を挟んで左方のN極から右方のS極に直線状の磁力線15が発生するように支持体17の両側に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の面内方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の厚み方向に配向させる。
【0033】
一方、研磨材粒子12として鱗片状のαアルミナを研磨砥石の面内方向に配向させるときには、図3(b)に示すように、支持体17を挟んで上方のN極から下方のS極に直線状の磁力線15が発生するように支持体17の上下に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の厚み方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の面内方向に配向させる。
【0034】
磁場の磁束密度は好ましくは1〜15テスラ(T)、より好ましくは2〜15T、さらに好ましくは5〜15Tである。1T未満では研磨材粒子の配向が不十分となって研磨砥石の研磨力及び研磨精度の低下を招く。一方、15Tを超えると、磁場の磁束密度を向上させるために装置が大型化し、製造コストが嵩み、その製造コストに見合う研磨材粒子の配向を得ることが困難になる。そして、上述と同様にして乾燥処理を施して研磨材組成物14を固化した後、支持体17から剥離することにより研磨砥石を製造する。
【0035】
得られた研磨砥石を用いて例えば単結晶デバイスを研磨するときには、単結晶デバイス表面に研磨砥石表面を接触させて研磨する。このとき、研磨砥石中の研磨材粒子を一定方向、例えば研磨方向に対して交差方向又は直交方向に配向させることにより、研磨力を向上させることができる。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態の研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成されている。そして、磁場が印加されることにより、研磨材粒子が一定方向に配向されている。ここで、各研磨材粒子には均一に磁場が作用されるために、従来技術である機械的な作用によって研磨材粒子を一定方向に配向させる方法に比べて配向させる力を各研磨材粒子に均一に加えることができ、各研磨材粒子を確実にそれぞれ配向させることができる。
【0037】
このため、研磨材粒子を例えば研磨方向に対して交差方向又は直交方向に配向させることにより、研磨砥石の研磨力を向上させることができる。よって、研磨効率を向上させることにより生産性を向上させることができる。さらに、研磨材粒子12の配向方向が統一されることにより、被研磨面は常に同じ研磨力で研磨される。このため、研磨精度を向上させることができる。
【0038】
・ 前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種がより好ましい。この場合、磁気異方性に基づいて配向を制御することができる。
【0039】
・ 本実施形態の研磨砥石の製造方法においては、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物に永久磁石等の磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させる。そして、乾燥処理を施して研磨材組成物を固化して成形することにより研磨砥石を製造する。よって、研磨砥石を容易に製造することができるとともに、研磨材粒子を一定方向に容易に配向させることができるために、製造される研磨砥石の研磨力を容易に向上させることができる。
【0040】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態の研磨砥石及びその製造方法において、金型13又は支持体17を挟んで一対の永久磁石16を配設するときには、金型13又は支持体17の片側のみに永久磁石16を配設してもよいし、永久磁石16を電磁石、超電導磁石、コイル等に変更してもよい。
【0041】
・ 前記実施形態の研磨砥石及びその製造方法において、一対の永久磁石16を、研磨材組成物14の面内方向に対して斜め方向に直線状に延びる磁力線15が発生するように配設してもよい。この場合、研磨材粒子12を研磨材組成物14の面内方向に対して斜め方向に配向させることができる。ここで、研磨材粒子の結晶構造において、磁化率の大きい結晶軸方向は磁力線15と平行をなすので、研磨材粒子12の各結晶構造及び研磨面の研磨特性に対応させて磁場を印加する方向を設定することにより、研磨材粒子12を任意の方向に配向させることができる。
【0042】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2)
実施例1においては、まずペイントシェーカーに、研磨材粒子としての平均粒子径10μmの鱗片状(六角板状)のαアルミナ粒子100重量部と、結合剤としての液状エポキシ樹脂100重量部とを投入し、8時間混合及び分散させて研磨材組成物を調製した。次いで、研磨材組成物を金型の直方体形状をなすキャビティに充填した後に金型を超電導磁石のボア内に入れ、研磨材組成物の面内方向に対して平行方向に磁束密度10Tの磁場を3時間印加した後、150℃で1時間加熱処理して研磨材組成物を硬化させて直方体形状の研磨砥石を得た。
【0043】
そして、研磨砥石の断面を電子顕微鏡で観察するとともに、得られた研磨砥石上で荷重60g、毎分600回でガラス棒スライダーを回転させ、ガラス棒の磨耗量で研磨力を評価した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は115mgであった。
【0044】
実施例2においては、ペイントシェーカーに、研磨材粒子としての平均粒子径15μmの炭化ケイ素粒子100重量部と、結合剤としてのウレタン樹脂100重量部とを投入し、6時間混合及び分散させて研磨材組成物を調製した。ここで、炭化ケイ素粒子の形状は不定形であった。そして、加熱処理温度を90℃とするとともに実施例1と同様にして研磨砥石を得た後、研磨力を評価するとともにX線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は150mgであった。
【0045】
比較例1においては、実施例1と同様にして研磨材組成物を調製した後、研磨用組成部物を金型の直方体形状をなすキャビティに充填した。次いで、磁場を印加せずに150℃で1時間加熱処理して研磨材組成物を硬化させて研磨砥石を得た。そして、研磨砥石の断面を電子顕微鏡で観察するとともに、実施例1と同様にして研磨力を評価した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は70mgであった。
【0046】
比較例2においては、実施例2と同様にして研磨材組成物を調製した後、加熱処理温度を90℃とするとともに比較例1と同様にして研磨砥石を得た。そして、実施例1と同様にして研磨力を評価するとともに、X線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は90mgであった。
【0047】
実施例1においては、電子顕微鏡で研磨砥石の断面を観察した結果、研磨材粒子が研磨砥石の厚み方向に配向されていた。実施例2においては、X線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した結果、研磨材粒子が研磨砥石の面内における一定方向に配向されていた。そして、実施例1及び実施例2においては、磨耗量の結果より研磨力が優れた結果となった。
【0048】
一方、比較例1においては、磁場が印加されていないために、電子顕微鏡で研磨砥石の断面を観察した結果、研磨材粒子は重力によって研磨砥石の面内においてランダムに分散していた。そして、研磨材粒子が一定方向に配向されていないために実施例1に比べて磨耗量が低く、研磨力が劣る結果となった。比較例2においては、X線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した結果、研磨材粒子はランダムに分散していた。そして、比較例1と同様に研磨材粒子が一定方向に配向されていないために実施例2に比べて磨耗量が低く、研磨力が劣る結果となった。
【0049】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)前記研磨材粒子は、形状異方性と研磨異方性との少なくとも一方を有しいている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨砥石。この構成によれば、研磨材粒子の配向を容易に制御することができる。
【0050】
(2)前記研磨材組成物は、さらに溶剤を含有する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の研磨砥石の製造方法。この構成によれば、研磨材組成物を容易に調製することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の研磨砥石によれば、研磨力を向上させることができる。
【0052】
請求項2に記載の発明の研磨砥石によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、磁気異方性に基づいて配向を制御することができる。
請求項3に記載の発明の研磨砥石によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、硬度の高い研磨材粒子によって研磨力をより向上させることができる。
【0053】
請求項4に記載の発明の研磨砥石の製造方法によれば、研磨材粒子と結合剤とが配合された研磨砥石を容易に製造することができ、得られた研磨砥石は研磨力に優れている。
【0054】
請求項5に記載の発明の研磨砥石の製造方法によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、磁気異方性に基づいて配向を制御することができる。
請求項6に記載の発明の研磨砥石の製造方法によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、硬度の高い研磨材粒子によって研磨力をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の研磨砥石を示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は研磨砥石の製造方法に用いられる装置を示す概念図。
【図3】(a)及び(b)は研磨砥石の製造方法に用いられる装置を示す概念図。
【符号の説明】
11…研磨砥石、12…研磨材粒子、14…研磨材組成物、16…磁場発生手段としての永久磁石。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス、セラミックス、金属等の素材で構成される精密部品の研削加工や精密仕上げ等に使用される研磨砥石及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、研磨力を向上させることができる研磨砥石及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ヘッド、磁気テープ、磁気ディスク、半導体基板、ディスプレイ用ガラス基板、単結晶デバイス、光ファイバー、光学レンズ、カラーフィルター等の精密部品の表面を平滑に研磨するために、結合剤中に研磨材粒子を分散させた研磨砥石が使用されている。これらの研磨砥石には、研磨力、研磨精度、生産性、耐久性等が要求され、従来より、特定の研磨材粒子や結合剤を使用したり、研磨砥石の加工方法を工夫するなど様々な改良処方が提案されている。
【0003】
従来の研磨砥石は、板状アルミナ粒子とエポキシ樹脂等のバインダー樹脂との混合物をプレス加工又は高速回転させることにより、プレス加工時の圧力又は遠心力によって板状アルミナ粒子を一定方向に配向させて製造されるアルミナ質砥石が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このアルミナ質砥石は、板状アルミナ粒子によって被研磨面を研磨するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−190725号公報(第2−3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1においては、プレス加工時の圧力や遠心力の機械的な作用によって板状アルミナ粒子を一定方向に配向させるために、板状アルミナ粒子の配向性が十分ではないという問題があった。よって、板状アルミナ粒子が例えば研磨方向に対して直交方向に配向される割合が十分ではないために、研磨力が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、研磨力を向上させることができる研磨砥石及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、研磨材組成物中の研磨材粒子は磁場が印加されることにより一定方向に配向されているものである。
【0008】
請求項2に記載の発明の研磨砥石は、請求項1に記載の発明において、前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体である。
請求項3に記載の発明の研磨砥石は、請求項2に記載の発明において、前記研磨材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種である。
【0009】
請求項4に記載の発明の研磨砥石の製造方法は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物に磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させ、研磨材組成物を固化して成形するものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の研磨砥石の製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体である。
請求項6に記載の発明の研磨砥石の製造方法は、請求項5に記載の発明において、前記研磨材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、磁場が印加されることにより研磨材粒子が一定方向に配向されているものである。
【0012】
研磨材粒子は、被研磨面を研磨するために含有される。研磨材粒子の材質の具体例としては、酸化亜鉛、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、非強磁性酸化鉄等の酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、カーボランダム、石英、ベーマタイト、コランダム、エメリー、ルビー、サファイア、トリポリ、ザクロ石、ガ−ネット、珪石、窒化アルミニウム、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン、ケイソウ土、ドロマイト等が挙げられる。これらは単独で含有してもよいし、二種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0013】
これらの中でも、配向制御を容易にするために、磁気異方性を有する非強磁性体が好ましく、磁化率が負の反磁性体がより好ましい。ここで、強磁性体は、正の磁化率が大きく研磨材粒子が連結してしまうために研磨材粒子を配向させるのが困難になり、研磨力及び研磨精度の低下を招く。磁気異方性は、結晶構造における方位毎の磁化率の差等によって表される。このため、研磨材粒子の材質の結晶系としては、a軸とc軸の格子定数の差が大きいために磁化率の差が大きく、よって磁気異方性が高いために、立方晶系以外のものが好ましく、六方晶系又は斜方晶系がより好ましい。
【0014】
さらに、配向制御を容易に行うとともに研磨力を向上させるために、方向によって形状が異なる形状異方性と、方向によって研磨能力が異なる研磨異方性との少なくとも一方を有するものが好ましい。この場合、研磨能力の高い箇所が研磨砥石の表面側に位置するように研磨材粒子を配向させることにより、研磨力を向上させることができる。
【0015】
磁気異方性を有する非強磁性体の具体例としては、酸化亜鉛、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、非強磁性酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド等が挙げられる。これらの中でも、硬度がモース硬度で6以上と高いとともに配向制御をより容易にするために、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種が好ましい。これらは粒子形状が針状、鱗片状、板状、棒状、柱状、三角柱状、直方体状、リョウ面体構造等の異型結晶構造であり、磁気異方性を有している。
【0016】
研磨材粒子の平均粒子径は好ましくは0.005〜200μmである。0.005μm未満では研磨力の低下を招く。一方、200μmを超えると研磨精度の低下を招く。
【0017】
研磨材砥石中の研磨材粒子の含有量は好ましくは1〜80重量%である。1重量%未満では、研磨材粒子の含有量が低いために研磨力の低下を招く。一方、80重量%を超えると、研磨力が高くなりすぎるために研磨精度の低下を招く。
【0018】
結合剤は、研磨材粒子同士を結合することによって、研磨砥石から研磨材粒子が脱落するのを抑制するために含有される。結合剤としては従来の研磨砥石で使用されている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用される。これらの具体例としては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル系重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン系樹脂、ナイロン−シリコーン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース及びセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリカーボネート樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコールと高分子量ジオールとトリフェニルメタントリイソシアネートとの混合物、ポリイミド樹脂、ポリベンズアゾール樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0019】
研磨砥石中の結合剤の含有量は、研磨材粒子100重量部に対して好ましくは5〜400重量部である。5重量部未満では、結合剤の含有量が低いために研磨材粒子が研磨砥石から脱落するおそれがある。一方、400重量部を超えてもそれ以上研磨材粒子同士の結合力を高めることができないとともに、研磨砥石の製造コストが嵩みやすい。研磨材組成物は、研磨材粒子及び結合剤を主成分として含有している。即ち、研磨砥石中における研磨材粒子及び結合剤の含有量の合計は、研磨砥石としての機能を十分に発揮させるために好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
【0020】
研磨材組成物は、研磨材粒子及び結合剤を混合、分散及び混練して調製される。その場合、研磨材組成物には研磨材粒子及び結合剤を容易に混合、分散及び混練するために、その他の添加成分として水や有機溶剤等の溶剤を含有させてもよい。有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、スチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素系、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独で含有してもよいし、二種以上を組み合わせて含有してもよいが、任意の比率で二種以上を組み合わせて含有するのが好ましい。
【0021】
研磨材組成物中の溶剤の含有量は、研磨材組成物の合計固形分100重量部に対して20〜20000重量部が好ましい。20重量部未満では溶剤の含有量が低いために研磨材粒子及び結合剤を混合、分散及び混練するのが困難になる。一方、20000重量部を超えると、溶剤の含有量が高いために、研磨砥石を成形するときに揮散させる溶剤の量が多くなって成形に時間がかかるとともに、研磨砥石の厚みむらが大きくなるおそれがある。
【0022】
研磨材組成物は、溶剤以外のその他の添加成分として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、着色剤等を含有してもよい。ここで、研磨砥石の製造後には研磨砥石から溶剤は揮散され、研磨砥石中には残存しない。研磨砥石中のその他の添加成分の含有量は研磨砥石の常法に従って決定されるが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
【0023】
本実施形態の研磨材組成物はシート状、フィルム状、ブロック状等の種々の形状に成形され、ガラス、セラミックス、金属等の素材で構成される精密部品の研削加工や精密仕上げ等に使用される。精密部品の具体例としては、磁気ヘッド、磁気テープ、磁気ディスク、半導体基板、ディスプレイ用ガラス基板、単結晶デバイス、光ファイバー、光学レンズ、カラーフィルター等が挙げられる。
【0024】
さて、例えば直方体形状の研磨砥石を製造するときには、まず各成分を混合、分散及び混練して研磨材組成物を調製する。このとき、各成分の添加順序や温度等は適宜設定することができ、混合、分散及び混練の方法は特に制限されない。さらに、研磨材組成物を調製するときに、真空脱泡や加圧脱泡処理を施してもよい。ここで、各成分を混合、分散及び混練する装置の具体例としては、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、アトライター、高速インペラー、分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、超音波分散機等が挙げられる。
【0025】
図1に示すように、例えば研磨材粒子12として鱗片状(六角板状)結晶のαアルミナを用い、研磨材粒子12を研磨砥石11の厚み方向(図1におけるZ軸方向)に配向させるときには、図2(a)に示すように、金型13内部のキャビティ13aに研磨材組成物14を充填する。このキャビティ13aは、直方体形状をなす研磨砥石の形状に対応するように形成されている。次いで、金型13を挟んで左方のN極から右方のS極に直線状の磁力線15が発生するように金型13の両側に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の面内方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の厚み方向に配向させる。
【0026】
このとき、αアルミナの結晶構造において、鱗片面に垂直なc軸方向の磁化率は鱗片面方向(a軸及びb軸)の磁化率に比べて大きい。このため、αアルミナは、その結晶構造のc軸方向が磁力線15に対して平行をなすとともに鱗片面方向が磁力線15に対して直交をなす、即ち鱗片状結晶が磁力線15に対して直交をなすように配向される。
【0027】
一方、研磨材粒子として鱗片状のαアルミナを研磨砥石の面内方向(図1におけるX軸方向、Y軸方向等)に配向させるときには、図2(b)に示すように、金型13を挟んで上方のN極から下方のS極に直線状の磁力線15が発生するように金型13の上下に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の厚み方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の面内方向に配向させる。
【0028】
また、研磨材粒子として柱状結晶のβ窒化ケイ素を用いるときには、上述のαアルミナと同様にその結晶構造のc軸方向が磁力線に対して平行をなすとともにa、b軸方向が磁力線に対して直交をなす、即ち柱状結晶が磁力線に対して直交をなすように配向される。
【0029】
研磨材粒子として六方晶結晶の窒化ホウ素や炭化ケイ素を用いるときには、それらの結晶構造においてa、b軸方向の磁化率はc軸方向の磁化率に比べて大きい。このため、窒化ホウ素及び炭化ケイ素は、それらの結晶構造のa、b軸方向が磁力線15に対して平行をなすとともにc軸方向が磁力線15に対して直交をなすようにそれぞれ配向される。次いで、研磨材組成物14が金型13のキャビティ13aに充填された状態で加熱処理等の乾燥処理を施して溶剤を揮散させ、研磨材組成物14を固化することにより研磨砥石を製造する。
【0030】
さらに、固化された研磨砥石を、例えば800〜1000℃で加熱処理し、焼結させた研磨砥石を製造することもできる。このような焼結研磨砥石を製造する際は、結合剤としては、通常の焼結砥石で用いられるポリビニルアルコール等を使用することが好ましい。
【0031】
また、フィルム状の研磨砥石を製造するときには、上述と同様にして研磨材組成物を調製した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持体上に塗布する。このとき、支持体に塗布の前処理として予めコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理(EB処理)、カップリング剤処理、接着性を向上させるための塗布処理、下塗処理、加熱処理、防塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理等を施してもよい。研磨材組成物を支持体上に塗布する装置の具体例としてはドクターコーター等が挙げられる。
【0032】
例えば研磨材粒子として鱗片状のαアルミナを研磨砥石の厚み方向に配向させるときには、図3(a)に示すように、支持体17を挟んで左方のN極から右方のS極に直線状の磁力線15が発生するように支持体17の両側に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の面内方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の厚み方向に配向させる。
【0033】
一方、研磨材粒子12として鱗片状のαアルミナを研磨砥石の面内方向に配向させるときには、図3(b)に示すように、支持体17を挟んで上方のN極から下方のS極に直線状の磁力線15が発生するように支持体17の上下に一対の永久磁石16を配設する。即ち、研磨材組成物14の厚み方向に磁場を印加し、研磨材粒子を研磨材組成物14の面内方向に配向させる。
【0034】
磁場の磁束密度は好ましくは1〜15テスラ(T)、より好ましくは2〜15T、さらに好ましくは5〜15Tである。1T未満では研磨材粒子の配向が不十分となって研磨砥石の研磨力及び研磨精度の低下を招く。一方、15Tを超えると、磁場の磁束密度を向上させるために装置が大型化し、製造コストが嵩み、その製造コストに見合う研磨材粒子の配向を得ることが困難になる。そして、上述と同様にして乾燥処理を施して研磨材組成物14を固化した後、支持体17から剥離することにより研磨砥石を製造する。
【0035】
得られた研磨砥石を用いて例えば単結晶デバイスを研磨するときには、単結晶デバイス表面に研磨砥石表面を接触させて研磨する。このとき、研磨砥石中の研磨材粒子を一定方向、例えば研磨方向に対して交差方向又は直交方向に配向させることにより、研磨力を向上させることができる。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態の研磨砥石は、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成されている。そして、磁場が印加されることにより、研磨材粒子が一定方向に配向されている。ここで、各研磨材粒子には均一に磁場が作用されるために、従来技術である機械的な作用によって研磨材粒子を一定方向に配向させる方法に比べて配向させる力を各研磨材粒子に均一に加えることができ、各研磨材粒子を確実にそれぞれ配向させることができる。
【0037】
このため、研磨材粒子を例えば研磨方向に対して交差方向又は直交方向に配向させることにより、研磨砥石の研磨力を向上させることができる。よって、研磨効率を向上させることにより生産性を向上させることができる。さらに、研磨材粒子12の配向方向が統一されることにより、被研磨面は常に同じ研磨力で研磨される。このため、研磨精度を向上させることができる。
【0038】
・ 前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種がより好ましい。この場合、磁気異方性に基づいて配向を制御することができる。
【0039】
・ 本実施形態の研磨砥石の製造方法においては、研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物に永久磁石等の磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させる。そして、乾燥処理を施して研磨材組成物を固化して成形することにより研磨砥石を製造する。よって、研磨砥石を容易に製造することができるとともに、研磨材粒子を一定方向に容易に配向させることができるために、製造される研磨砥石の研磨力を容易に向上させることができる。
【0040】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態の研磨砥石及びその製造方法において、金型13又は支持体17を挟んで一対の永久磁石16を配設するときには、金型13又は支持体17の片側のみに永久磁石16を配設してもよいし、永久磁石16を電磁石、超電導磁石、コイル等に変更してもよい。
【0041】
・ 前記実施形態の研磨砥石及びその製造方法において、一対の永久磁石16を、研磨材組成物14の面内方向に対して斜め方向に直線状に延びる磁力線15が発生するように配設してもよい。この場合、研磨材粒子12を研磨材組成物14の面内方向に対して斜め方向に配向させることができる。ここで、研磨材粒子の結晶構造において、磁化率の大きい結晶軸方向は磁力線15と平行をなすので、研磨材粒子12の各結晶構造及び研磨面の研磨特性に対応させて磁場を印加する方向を設定することにより、研磨材粒子12を任意の方向に配向させることができる。
【0042】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2)
実施例1においては、まずペイントシェーカーに、研磨材粒子としての平均粒子径10μmの鱗片状(六角板状)のαアルミナ粒子100重量部と、結合剤としての液状エポキシ樹脂100重量部とを投入し、8時間混合及び分散させて研磨材組成物を調製した。次いで、研磨材組成物を金型の直方体形状をなすキャビティに充填した後に金型を超電導磁石のボア内に入れ、研磨材組成物の面内方向に対して平行方向に磁束密度10Tの磁場を3時間印加した後、150℃で1時間加熱処理して研磨材組成物を硬化させて直方体形状の研磨砥石を得た。
【0043】
そして、研磨砥石の断面を電子顕微鏡で観察するとともに、得られた研磨砥石上で荷重60g、毎分600回でガラス棒スライダーを回転させ、ガラス棒の磨耗量で研磨力を評価した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は115mgであった。
【0044】
実施例2においては、ペイントシェーカーに、研磨材粒子としての平均粒子径15μmの炭化ケイ素粒子100重量部と、結合剤としてのウレタン樹脂100重量部とを投入し、6時間混合及び分散させて研磨材組成物を調製した。ここで、炭化ケイ素粒子の形状は不定形であった。そして、加熱処理温度を90℃とするとともに実施例1と同様にして研磨砥石を得た後、研磨力を評価するとともにX線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は150mgであった。
【0045】
比較例1においては、実施例1と同様にして研磨材組成物を調製した後、研磨用組成部物を金型の直方体形状をなすキャビティに充填した。次いで、磁場を印加せずに150℃で1時間加熱処理して研磨材組成物を硬化させて研磨砥石を得た。そして、研磨砥石の断面を電子顕微鏡で観察するとともに、実施例1と同様にして研磨力を評価した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は70mgであった。
【0046】
比較例2においては、実施例2と同様にして研磨材組成物を調製した後、加熱処理温度を90℃とするとともに比較例1と同様にして研磨砥石を得た。そして、実施例1と同様にして研磨力を評価するとともに、X線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した。その結果、5分間経過後のガラス棒の磨耗量は90mgであった。
【0047】
実施例1においては、電子顕微鏡で研磨砥石の断面を観察した結果、研磨材粒子が研磨砥石の厚み方向に配向されていた。実施例2においては、X線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した結果、研磨材粒子が研磨砥石の面内における一定方向に配向されていた。そして、実施例1及び実施例2においては、磨耗量の結果より研磨力が優れた結果となった。
【0048】
一方、比較例1においては、磁場が印加されていないために、電子顕微鏡で研磨砥石の断面を観察した結果、研磨材粒子は重力によって研磨砥石の面内においてランダムに分散していた。そして、研磨材粒子が一定方向に配向されていないために実施例1に比べて磨耗量が低く、研磨力が劣る結果となった。比較例2においては、X線回析によって研磨材粒子の配向状態を観察した結果、研磨材粒子はランダムに分散していた。そして、比較例1と同様に研磨材粒子が一定方向に配向されていないために実施例2に比べて磨耗量が低く、研磨力が劣る結果となった。
【0049】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)前記研磨材粒子は、形状異方性と研磨異方性との少なくとも一方を有しいている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨砥石。この構成によれば、研磨材粒子の配向を容易に制御することができる。
【0050】
(2)前記研磨材組成物は、さらに溶剤を含有する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の研磨砥石の製造方法。この構成によれば、研磨材組成物を容易に調製することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の研磨砥石によれば、研磨力を向上させることができる。
【0052】
請求項2に記載の発明の研磨砥石によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、磁気異方性に基づいて配向を制御することができる。
請求項3に記載の発明の研磨砥石によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、硬度の高い研磨材粒子によって研磨力をより向上させることができる。
【0053】
請求項4に記載の発明の研磨砥石の製造方法によれば、研磨材粒子と結合剤とが配合された研磨砥石を容易に製造することができ、得られた研磨砥石は研磨力に優れている。
【0054】
請求項5に記載の発明の研磨砥石の製造方法によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、磁気異方性に基づいて配向を制御することができる。
請求項6に記載の発明の研磨砥石の製造方法によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、硬度の高い研磨材粒子によって研磨力をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の研磨砥石を示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は研磨砥石の製造方法に用いられる装置を示す概念図。
【図3】(a)及び(b)は研磨砥石の製造方法に用いられる装置を示す概念図。
【符号の説明】
11…研磨砥石、12…研磨材粒子、14…研磨材組成物、16…磁場発生手段としての永久磁石。
Claims (6)
- 研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物により形成され、研磨材組成物中の研磨材粒子は磁場が印加されることにより一定方向に配向されていることを特徴とする研磨砥石。
- 前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体である請求項1に記載の研磨砥石。
- 前記研磨材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の研磨砥石。
- 研磨材粒子及び結合剤を含有する研磨材組成物に磁場発生手段によって磁場を一定方向に印加して研磨材粒子を配向させ、研磨材組成物を固化して成形することを特徴とする研磨砥石の製造方法。
- 前記研磨材粒子は磁気異方性を有する非強磁性体である請求項4に記載の研磨砥石の製造方法。
- 前記研磨材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドより選ばれる少なくとも一種である請求項5に記載の研磨砥石の製造方法。
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