JP2004095908A - アライメント調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系の構成を複雑にすることなく、基板をマスクに対して精密に位置合せすることのできるアライメント調整装置を提供する。
【解決手段】アライメント調整装置は、マスク50に対してウエハ(基板)40を位置合せするための斜方検出型の基板位置検出用カメラ(光学系)203bを備えている。前記マスクは、複数のずれ検出点を特定可能なずれ検出用マーク58、59を備え、前記基板位置検出用光学系に対する前記複数のずれ検出点の位置を、それぞれ検出することによって、前記光学系に対する前記マスクの法線を軸とした回転方向のずれθを検出する。
【選択図】 図5
【解決手段】アライメント調整装置は、マスク50に対してウエハ(基板)40を位置合せするための斜方検出型の基板位置検出用カメラ(光学系)203bを備えている。前記マスクは、複数のずれ検出点を特定可能なずれ検出用マーク58、59を備え、前記基板位置検出用光学系に対する前記複数のずれ検出点の位置を、それぞれ検出することによって、前記光学系に対する前記マスクの法線を軸とした回転方向のずれθを検出する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造工程におけるパターン露光やイオン注入などを行う際に、被処理基板とマスクとの位置合せを行うアライメント調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マスクを用いて基板にパターンを露光したり、部分的にイオン注入を行ったりする場合には、基板とマスクとの位置合せが不可欠である。このようなマスクと基板との位置合せを行う一方法として、カメラと画像処理系とを組み合わせたものがある。これは、基板のウエハマークとマスクのマスクマーク(例えば、窓)とをカメラで観察し、読み取った画像を画像処理して位置ずれを検出し、この検出結果に基づいて基板とマスクの各マークが一致するように基板とマスクとを相対的に移動して位置合せ(アライメント調整)を行うものである。
【0003】
この検出に際し、各マークをマスクに対して垂直な方向から観察する場合と、斜め方向から観察する場合とがあるが、前者は観察のためのカメラの光学系が露光領域に入り込むので、露光やイオン注入の際には光学系を待避させることが必要となる。後者はマスク面に対して光軸が斜めになるようにカメラの光学系を配置することができるので、該光学系が露光光を遮らないように配置することが可能となる。このため、露光中に光学系(カメラ)を待避させる必要がなく、露光中も各マークを観察することができる。このような斜方検出法による位置検出方法は、例えば特開平9−139333号公報に開示されている。
【0004】
光学系とマスクは、光学系の視野にマスクのマークが入るような位置関係にあることが必要である。そこで、例えば、マスクに形成されたプリアライメントマークと呼ばれるものを用いて、光学系に対するマスクの位置決めが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光学系の視野にマスクのマークが入っていても、基板をマスクに対して位置合せする際に、検出誤差が生じる場合がある。その原因としては、斜方検出による像歪など種々のものが考えられるが、検出精度を向上させるための解決策は、現状では十分に得られていない。
【0006】
本発明は、光学系の構成を複雑にすることなく、基板をマスクに対して精密に位置合せすることのできるアライメント調整装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、光学系に対して、マスクがその法線を軸とした回転方向にずれていると、基板をマスクに対して位置合せする際に、検出誤差が生じることを見出し、本発明に至った。
【0008】
(1)本発明は、マスクに対して基板を位置合せするための斜方検出型の基板位置検出用光学系を備えたアライメント調整装置であって、前記マスクは、複数のずれ検出点を特定可能なずれ検出用マークを備え、前記基板位置検出用光学系に対する前記複数のずれ検出点の位置を、それぞれ検出することによって、前記光学系に対する前記マスクの法線を軸とした回転方向のずれを検出する。
【0009】
これにより、基板位置検出用光学系に対するマスクの回転方向のずれを、簡単な構成で精密に測定することができ、正確な位置合せをすることが可能になる。
【0010】
(2)上記アライメント調整装置において、前記複数のずれ検出点は、前記基板位置検出用光学系によって検出されることが望ましい。基板位置の検出とずれの検出を同じ光学系によって行うので、精密な測定ができ、装置構成を簡単にすることができる。
【0011】
(3)上記アライメント調整装置において、前記基板位置検出用光学系は、前記複数のずれ検出点のうち一方を検出した後、当該光学系の光軸を含む垂直面に沿って移動することで、他方のずれ検出点を検出することが望ましい。複数のずれ検出点を同一の検出装置で検出することで、より精度の高い測定をすることができる。
【0012】
(4)上記アライメント調整装置において、前記ずれ検出用マークは、前記マスクのメンブレン内に設けられていることが望ましい。メンブレン内に設けられることで、マスクパターンとの位置合せを正確且つ容易にすることができる。
【0013】
(5)上記アライメント調整装置において、前記マスク及び基板の間の距離(G)と、前記マスクの法線に対する前記光学系の光軸の角度(α)と、前記回転方向のずれ(θ)と、に基づいて、前記光学系を用いたマスクに対する基板位置の検出誤差(O)を算出することが望ましい。検出誤差を算出することで、検出データに基づく補正値を容易に算出することができる。
【0014】
(6)上記アライメント調整装置において、前記マスク及び基板の間の距離(G)と、前記マスクの法線に対する前記光学系の光軸の角度(α)と、に基づいて、前記光学系によるマスク上のフォーカス位置と基板上のフォーカス位置との距離(L)を算出し、当該距離(L)と、前記回転方向のずれ(θ)と、に基づいて、前記光学系を用いたマスクに対する基板位置の検出に生ずる誤差(O)を算出することが望ましい。
【0015】
(7)上記アライメント調整装置において、前記ずれ検出点の検出は、前記マスクが前記基板上に配置された状態で行うことが望ましい。位置合せ時に行うことで、より正確に測定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<1.アライメント調整装置の全体構成>
図1は、本発明のアライメント調整装置が使用される半導体製造装置1の例を示している。
【0017】
半導体製造装置1は、概略、処理対象となる複数のウエハ(基板)を格納するワーク室11、プロセスに使用する複数のマスクを格納するマスク室12、ウエハの向きを揃えるプリアライメント室13、ウエハ露光やイオン注入を行うプロセス室14、ロボットアームを配置して各室間のウエハの搬送を行うローダ室15、ローダ室15と各室相互間の遮蔽を行って製造装置1内の真空度を保つゲートバルブ16等によって構成される。プロセス室14内には、ウエハに塗布された感光膜への露光、ウエハへのイオン注入、ドライエッチング等を行うプロセス装置20が配置されている。
【0018】
<2.プロセス装置の構成>
図2は、プロセス装置20の例として露光装置を示している。この露光装置は、ウエハ40を載置するウエハステージ201、マスク50を静電力で保持する静電チャック202、ウエハ40のウエハマークやマスク50のマスクマークを観察する複数の測定ユニット203、露光光線を発生する露光光発生部204、アライメント調整や露光の制御を行う制御部205を含んで構成される。
【0019】
ウエハステージ201は、図示のX軸及びY軸方向におけるステップ送りと、X軸、Y軸及びZ軸方向への微調整と各軸周りの微調整、Z軸方向での粗調整が可能なウエハの載置台である。ウエハステージ201は、制御部205によって駆動されて、ウエハ40とマスク50との相対的な位置を決定する。
【0020】
<3.ウエハの構成>
図3は、ウエハ40の一部を拡大して示した平面図である。例えば、シリコン基板であるウエハの表面には、例えば、30mm×30mm程度のパターン領域41が、マトリクス状に多数配置されている。各パターン領域41間には後のチップ切り出しのための、例えば、数十ミクロン幅の隔離領域42が格子状に形成されている。
【0021】
この隔離領域42内の適当な場所に1つの領域につき3つのウエハマーク43〜45が、シリコン酸化膜によって予め線状に形成されている。図示の例では、ウエハマーク43はY軸方向に、ウエハマーク44はX軸方向に、ウエハマーク45はX、Y各軸に対して45°の方向に、形成されている。ウエハマーク43〜45を構成するシリコン酸化膜は、酸化の際に体積を増してウエハ面から少し***しており、測定ユニット203によって観察可能となっている。
【0022】
<4.マスクの構成>
図4は、マスク50を説明する説明図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は図(a)のA−A線における断面図である。
【0023】
マスク50はステンシルマスクであり、外形が円形状で相対的に厚手の周縁部51、この周縁部より内側の領域に形成された相対的に薄手のメンブレン部52を備えている。
【0024】
周縁部51には、プリアライメント用の切欠き部、及びプロセス室14での粗調整用のグローバルアライメントマーク57を有している。切欠き部及びグローバルアライメントマーク57は、マスクマーク54乃至56が測定ユニット203の視野に入るよう位置決めするためのものである。
【0025】
メンブレン部52は、中央部にマスクパターン部53を備えている。メンブレン部52のうちマスクパターン部53の周囲には、ウエハ上のウエハマーク43乃至45に対応する位置に、それぞれマスクマーク(貫通孔)54乃至56が形成されている。
【0026】
メンブレン部52のうちマスクパターン部53の周囲には、更にずれ検出用マーク58、59が描画されている。各マークは、例えば長さ100μm、幅5μm程度の棒状の形を有し、ずれ検出点を特定可能になっている。これら2つの棒状のマーク58、59は、一直線上の異なる位置に並べられている。ずれ検出用マーク58、59は、メンブレン部52内に設けられるので、マスクパターンの描画と同時に形成できる。従って、ずれ検出用マーク58、59の位置精度が高く、ずれ検出誤差を極めて小さくすることができる。
【0027】
マスク50は、例えば、シリコンを素材とした直径4インチ、周縁部の厚さ0.5mm、メンブレン部の厚さ10μmである。
【0028】
図5は、図4のマスクの変形例を示す平面図である。このマスク50aには、図4のマスク50と同様に、周縁部51a、メンブレン部52aを有し、マスクパターン部53a、マスクマーク54a乃至56a、切欠き部及びグローバルアライメントマーク57a、57bを有している。図4のずれ検出用マーク58、59のような角度検出専用のマークが描画されていない点と、マスクマーク54a、55aがマスクパターン部53aの一辺に沿って配置されている点は、図4と異なっている。図5のマスク50aは、マスクマーク54a、55aを後述の角度検出用にも、用いることができるようになっている。
【0029】
<5.光学系の構成>
図6は、測定ユニット203の構成例を示している。測定ユニット203は、例えば、ハロゲンランプやLEDによる照明光源203a及びカメラ203bによって構成される。照明光源203aの光軸とカメラ203bの光軸とが、マスク50面の法線に対して左右対称となるように配置されている。これにより、照明光源203aから出射した照明光がウエハマーク43及びマスク50で反射してカメラ203bへの入射光となる。また、照明光源203aの光軸及びカメラ203bの光軸を含む平面は、ウエハマーク43が延びる方向と、略平行となっている。
【0030】
カメラ203bは、例えば、結像光学系とCCDとによって構成されている。図示しないが、制御部205はグローバルアライメント用マーク57を観察することによってステージの位置を粗調整し、これにより、ウエハ40のウエハマーク43、44、45がそれぞれマスクマーク54、55、56内に位置するようにする。更に、制御部205はカメラ203bによってマスクの窓(マスクマーク)54、55、56とウエハマーク43、44、45とを同時に観察し、各マスクマークの中央にウエハ40の対応するウエハマークが存在するようにステージ201を微調整する。
【0031】
<6.回転方向のずれ角度θの検出>
図7は、測定用光学系に対するマスクの回転方向のずれ角度を検出する方法の説明図である。ずれ角度の検出は、制御部205による制御及び演算により行われる。ここでは主として、図4のマスク50の回転方向のずれ角度を、ずれ検出用マーク58及び59により検出する方法について説明するが、図5のマスク50aでも、同様の方法でマスクマークを用いて検出することができる。また、ここでは、斜方検出を行うカメラ203bは、アライメント調整装置の座標系におけるYZ平面に平行な光軸を持つものとする。マスク50は、ずれ検出用マーク58及び59がY方向に間隔を空けて配置されるように粗調整されるが、本実施形態では、なおも生じる微小なずれ角度を検出する。
【0032】
図7(a)によると、カメラ203bの視野23は、ずれ検出用マーク58、59の何れか1つが入る程度の大きさである。まず、マスク50に形成された一方のずれ検出用マーク58を、カメラ203bで観察し、そのXY方向の位置を記憶する。次に、カメラ203bをY方向に駆動する。マスク50は、ずれ検出用マーク58及び59がY方向に配置されるようにプリアライメントされているので、プリアライメントに多少の誤差はあっても、ずれ検出用マーク59をカメラの視野23に入れることができる。ずれ検出用マーク59がカメラの視野に入ったら、そのX方向及びY方向の位置を記憶する。ずれ検出用マーク58、59の位置は、カメラ203bの視野内のどこに、マーク58、59が見えているかによって、検出することができる。
【0033】
特に、カメラの光軸に平行なYZ平面の法線方向(X方向)の位置を、精密に測定することが重要である。従って、ずれ検出用マーク58、59は、X方向の幅が狭い棒状の形に描画されている。図5のマスク50aのマスクマーク54a、55aを用いて回転方向のずれ角を検出する場合には、マスクマーク54a、55aの各辺のうちY軸に平行な片側の一辺を基準にするのが好ましい。
【0034】
このようにして測定、記憶されたずれ検出用マーク58、59(あるいはマスクマーク54a、55aのY軸に平行な一辺)のXY方向の位置に基づき、これらマーク58、59間のY方向の距離Hと、X方向のずれDを算出することができる。マスクの法線を軸とした回転方向のずれ角度θは、図7(b)を参照して、
tanθ=D/H
の関係より算出することができる。
【0035】
なお、位置合せ用の光学系と別個にずれ角度検出用の装置を設けても良いが、本実施形態のように、位置合せ用の光学系をそのままずれ角度検出に使用することが望ましい。同じ光学系を用いることにより、検出精度を確保することができるとともに、装置内の省スペースを実現することができる。
【0036】
本実施形態では1つのカメラ203bをY方向に駆動させることでずれ検出用マーク58、59を検出するので、カメラの光軸にずれが生じることがなく、精密な測定が可能となっている。但しこれに限らず、ずれ検出用マーク58、59の検出を、Y方向に並べて配置された別々のカメラを用いて行ってもよい。
【0037】
また、ずれ検出用マーク58、59の検出は、マスク50がウエハ40上に配置されてから行うことが望ましい。これによって、より精密な計測を行うことが可能である。
【0038】
<7.ウエハ位置の検出>
<7−1.ウエハ位置の検出方法の概要>
図8は、マスクに対するウエハの位置関係の検出方法を説明する図である。カメラ203bの視野23を、強調のため大きく図示している。
【0039】
図8に示すように、カメラ203bの視野23には、マスクマーク54〜56の何れか1つ、この図ではマスクマーク54が、視野に入るようになっている。カメラ203bから見ると、マスクマーク54の開口を通して、下方のウエハ40の表面とこれに形成されたウエハマーク43が見える。
【0040】
照明光源203aからの光は図8の上方から照射しているので、マスクマーク54内に見えているウエハ40の上部には、幅Sを有する影47が見える。
【0041】
マスクマーク54の中心からのウエハマーク43の偏差ΔXと、影47の幅Sに基づいて求められるマスク表面とウエハの距離(後述G)と、マスクマーク55、56についての同様の測定結果に基づいて、マスク50とウエハ40の位置合せをすることができる。しかし、測定用光学系に対するマスクの回転方向のずれ角度θが存在する場合、上記の方法だけでは正確な偏差ΔXを導くことはできない。
【0042】
<7−2.補正の必要性>
図9及び図10は、回転方向のずれ角度θに基づく補正について説明する図である。特に図9は、個々のマスクマークをカメラ203bから見た図、図10は、図9のB−B’線断面図である。マスク50は、カメラ203bの光軸に対して角度θのずれを有している。
【0043】
まず、マスクマーク54の中心位置を求めるために、マスクマーク54の両端の位置を検出する。マスク50の表面は、鏡面又はこれに準じる光反射面となっており、マスクマーク54の両端は、ウエハ40上の影47が背景にあれば識別することができるが、影47が背景にない部分では識別することができない。従って、カメラ203bは、マスクマーク54の左右両端位置を検出するために、マスクマーク54のうち、影47が背景にある部分にピントが合うようにする。例えば、マスクマークの左右両端に位置する点LP及びRPは、カメラ203bから同一の距離にあるので、両者同時にピントを合わせ、マスクマーク54の左右両端位置を検出することができる。カメラ203bはマスク50に対してY方向に傾斜した位置に設けられているので、この状態でマスク上にカメラのピントが合うのは、左右両端の検出位置LP及びRPを結んだ直線(フォーカスライン)MLの部分だけとなる。
【0044】
一方、ウエハ上のウエハマーク43の位置も検出する必要がある。この場合、精密な測定をするためには、カメラから見て、マスクマークの左右両端の検出位置LP及びRPと同じ距離にある点を、検出する必要がある。カメラからの距離が異なると、ピントが合わないからである。図10によると、カメラ203bから見てマスク上のフォーカスラインMLと同じ距離にあるのは、MLよりY方向にかなりずれた、符号WLで示す位置にある。従って、ウエハマーク43の位置を正確に測定できるのは、図9のウエハマーク検出位置WPである。
【0045】
測定されたウエハマーク検出位置WPのX座標及びマスクマーク左端検出位置LPのX座標の差LHと、ウエハマーク検出位置WPのX座標及びマスクマーク右端検出位置RPのX座標の差RHとを比較することにより、マスクマーク54とウエハマーク43の位置関係がわかる。
【0046】
しかしながら、カメラの向きに対してマスク50がその法線を軸とした回転方向に角度θのずれがある場合、上記カメラを用いて検出される位置関係には、図9にオフセット量Oで示される誤差が生じる。実際、図9の例ではマスクマーク54のほぼ中央にウエハマーク43が配置されているが、上記算出されたLHとRHは、かなり異なる長さになっている。オフセット量Oが生じないようにするには、カメラから見てマスク上のフォーカスラインMLと同一方向にある点WP’で、ウエハマーク43を検出することが考えられる。しかし、前述のように点WP’ではウエハ上にピントが合わないし、影47の部分は暗いのでカメラ203bによる検出は困難である。
【0047】
かかるオフセット量Oが生じることが避けられないならば、マスクの回転方向のずれ角度θに基づいてオフセット量Oを算出することによって、上記LHとRHを補正する必要がある。
【0048】
<7−3.オフセット量Oの算出>
まず、影47をカメラ203bから見た幅Sを算出する。そのためには、マスクマーク54の上端MEのY座標の測定値と、このMEよりY方向の下方における影47の端部SEのY座標の測定値との差を求める。MEとSEは何れも、上記ML及びWLほどカメラ203bのピントが合う位置にあるわけではないので、算出される幅Sの値は、ある程度の誤差をもっている。
【0049】
次に、ウエハからマスク表面までの距離Gを求める。カメラ203bの光軸はマスクの法線に対して角度αの傾きを有するから、図10より、
2Gsinα=S
である。よって、距離Gは、
G=S/(2sinα)
である。例えばα=30°と設定すればG=Sとなり、直感的に距離Gを把握しやすく便利である。なお、図10の符号50’は、マスク50の鏡像である。
【0050】
次に、マスクでのフォーカスラインMLと、ウエハでのフォーカスラインWLとの距離Lを求める。図10より、
L=G/sinα
である。
【0051】
次に、距離Lから、オフセット量Oを求める。図9より、
O=Ltanθ
である。以上により、ずれ角度θに起因するオフセット量Oを求めることができる。
【0052】
<7−4.偏差ΔXの算出>
オフセット量Oが求められたら、これをもとに、各マスクマークの中心に対するウエハマークの偏差ΔXを算出する。
【0053】
まず、上述<7−2.>で述べた方法により、マスクマーク両端のX座標とウエハマークのX座標との差LH、RHをそれぞれ求める。オフセット量Oを求める過程で、マスク上のフォーカスラインMLとウエハ上のフォーカスラインWLの距離Lが算出されているので、マスクマークの両端検出位置LP及びRPから、ウエハマーク検出位置WPを認識することも容易である。
【0054】
距離LH、RHが求められたら、オフセット量Oにより補正されたマスクマーク54の中心からの偏差ΔXは、
ΔX=(LH−RH)/2−O
により求めることができる。
【0055】
<8.ステージの調整>
残りのマスクマーク55、56についても、同様にウエハマーク43の位置LH、RHを求め、オフセット量Oに基づいて、LH、RHを補正してマスクマークの中心からの偏差ΔXを求める。また、マスク表面とウエハの距離Gを求める。
【0056】
残りのマスクマーク55、56での計算で用いるオフセット量Oは、マスクマーク55、56での計測においても、それぞれ改めて求めることが望ましい。これは、マスクの回転方向のずれ角度θが同じでも、マスク表面とウエハの距離Gの値によって、フォーカス位置MLとWLの距離Lが異なるからである。但し、マスクマーク54で求めるオフセット量Oと共通のものを用いても良い。
【0057】
こうして測定された各マスクマークでの中心からのウエハマーク43の偏差ΔXと、各マスクマークとウエハの距離Gとに基づき、ウエハを搭載したステージを微調整する。これによりウエハとマスク間の距離を均等にし、ウエハとマスクのパターン位置を正確に合わせる。
【0058】
この後、露光装置204を作動させて(感光材料を塗布した)ウエハ40に潜像を形成し、現像、エッチングなどを行ってウエハ40に所望のパターンを形成する。イオン注入の場合にも、同様のプロセスによってウエハ40とマスク50間のアライメント調整を行うことができる。
【0059】
なお、本実施形態を適用可能なずれ角度θの範囲は特に限定されず、光軸に対し、マスクの法線を軸とした±5°くらいのずれ角度θがあってもよい。この程度のずれ角があっても、オフセット量Oに基づき偏差ΔXを正確に算出できるため、ウエハ位置を正確に位置合せすることができる。かかるずれ角度θが生じるように、マスク50を意図的に配置してもよい。
【0060】
また、ずれ角度θに基づく処理は、オフセット量Oを求めて補正された偏差ΔXを求めるものに限定されず、マスク50の回転機構(図示せず)を設けても良い。すなわち、ずれ角度θに基づき、マスク50をその法線まわりに回転させることによって、ずれ角度を解消しても良い。
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な構成で、基板をマスクに対して精密に位置合せすることのできるアライメント調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアライメント調整装置が使用される半導体製造装置の例を示す概念図である。
【図2】上記半導体製造装置に備えられる露光装置を示す概念図である。
【図3】上記露光装置にて露光されるウエハの一部を示す拡大平面図である。
【図4】上記露光装置に用いられるマスクの説明図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は図(a)のA−A線断面図である。
【図5】図4の変形例によるマスクを示す平面図である。
【図6】上記露光装置に備えられる測定ユニットの構成例を示す概念図である。
【図7】測定用光学系に対するマスクの回転方向のずれ角度を検出する方法の説明図である。
【図8】マスクに対するウエハの位置関係の検出方法を説明する図である。
【図9】回転方向のずれ角度θに基づく補正の方法を説明する図である。
【図10】図9のB−B’線断面図である。
【符号の説明】
20…プロセス装置、40…ウエハ(基板)、43〜45…ウエハマーク、47…影、50…マスク、52…メンブレン部、54〜56…マスクマーク、57…グローバルアライメントマーク、58・59…ずれ検出用マーク、203…測定ユニット、203a…照明光源、203b…カメラ、23…カメラの視野、204…露光光発生部、205…制御部、θ…ずれ角度、G…ウエハとマスク表面の距離、α…検出光の入射角、O…オフセット量、ML…マスク上のフォーカスライン、WL…ウエハ上のフォーカスライン、L…MLとWLの距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造工程におけるパターン露光やイオン注入などを行う際に、被処理基板とマスクとの位置合せを行うアライメント調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マスクを用いて基板にパターンを露光したり、部分的にイオン注入を行ったりする場合には、基板とマスクとの位置合せが不可欠である。このようなマスクと基板との位置合せを行う一方法として、カメラと画像処理系とを組み合わせたものがある。これは、基板のウエハマークとマスクのマスクマーク(例えば、窓)とをカメラで観察し、読み取った画像を画像処理して位置ずれを検出し、この検出結果に基づいて基板とマスクの各マークが一致するように基板とマスクとを相対的に移動して位置合せ(アライメント調整)を行うものである。
【0003】
この検出に際し、各マークをマスクに対して垂直な方向から観察する場合と、斜め方向から観察する場合とがあるが、前者は観察のためのカメラの光学系が露光領域に入り込むので、露光やイオン注入の際には光学系を待避させることが必要となる。後者はマスク面に対して光軸が斜めになるようにカメラの光学系を配置することができるので、該光学系が露光光を遮らないように配置することが可能となる。このため、露光中に光学系(カメラ)を待避させる必要がなく、露光中も各マークを観察することができる。このような斜方検出法による位置検出方法は、例えば特開平9−139333号公報に開示されている。
【0004】
光学系とマスクは、光学系の視野にマスクのマークが入るような位置関係にあることが必要である。そこで、例えば、マスクに形成されたプリアライメントマークと呼ばれるものを用いて、光学系に対するマスクの位置決めが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光学系の視野にマスクのマークが入っていても、基板をマスクに対して位置合せする際に、検出誤差が生じる場合がある。その原因としては、斜方検出による像歪など種々のものが考えられるが、検出精度を向上させるための解決策は、現状では十分に得られていない。
【0006】
本発明は、光学系の構成を複雑にすることなく、基板をマスクに対して精密に位置合せすることのできるアライメント調整装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、光学系に対して、マスクがその法線を軸とした回転方向にずれていると、基板をマスクに対して位置合せする際に、検出誤差が生じることを見出し、本発明に至った。
【0008】
(1)本発明は、マスクに対して基板を位置合せするための斜方検出型の基板位置検出用光学系を備えたアライメント調整装置であって、前記マスクは、複数のずれ検出点を特定可能なずれ検出用マークを備え、前記基板位置検出用光学系に対する前記複数のずれ検出点の位置を、それぞれ検出することによって、前記光学系に対する前記マスクの法線を軸とした回転方向のずれを検出する。
【0009】
これにより、基板位置検出用光学系に対するマスクの回転方向のずれを、簡単な構成で精密に測定することができ、正確な位置合せをすることが可能になる。
【0010】
(2)上記アライメント調整装置において、前記複数のずれ検出点は、前記基板位置検出用光学系によって検出されることが望ましい。基板位置の検出とずれの検出を同じ光学系によって行うので、精密な測定ができ、装置構成を簡単にすることができる。
【0011】
(3)上記アライメント調整装置において、前記基板位置検出用光学系は、前記複数のずれ検出点のうち一方を検出した後、当該光学系の光軸を含む垂直面に沿って移動することで、他方のずれ検出点を検出することが望ましい。複数のずれ検出点を同一の検出装置で検出することで、より精度の高い測定をすることができる。
【0012】
(4)上記アライメント調整装置において、前記ずれ検出用マークは、前記マスクのメンブレン内に設けられていることが望ましい。メンブレン内に設けられることで、マスクパターンとの位置合せを正確且つ容易にすることができる。
【0013】
(5)上記アライメント調整装置において、前記マスク及び基板の間の距離(G)と、前記マスクの法線に対する前記光学系の光軸の角度(α)と、前記回転方向のずれ(θ)と、に基づいて、前記光学系を用いたマスクに対する基板位置の検出誤差(O)を算出することが望ましい。検出誤差を算出することで、検出データに基づく補正値を容易に算出することができる。
【0014】
(6)上記アライメント調整装置において、前記マスク及び基板の間の距離(G)と、前記マスクの法線に対する前記光学系の光軸の角度(α)と、に基づいて、前記光学系によるマスク上のフォーカス位置と基板上のフォーカス位置との距離(L)を算出し、当該距離(L)と、前記回転方向のずれ(θ)と、に基づいて、前記光学系を用いたマスクに対する基板位置の検出に生ずる誤差(O)を算出することが望ましい。
【0015】
(7)上記アライメント調整装置において、前記ずれ検出点の検出は、前記マスクが前記基板上に配置された状態で行うことが望ましい。位置合せ時に行うことで、より正確に測定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<1.アライメント調整装置の全体構成>
図1は、本発明のアライメント調整装置が使用される半導体製造装置1の例を示している。
【0017】
半導体製造装置1は、概略、処理対象となる複数のウエハ(基板)を格納するワーク室11、プロセスに使用する複数のマスクを格納するマスク室12、ウエハの向きを揃えるプリアライメント室13、ウエハ露光やイオン注入を行うプロセス室14、ロボットアームを配置して各室間のウエハの搬送を行うローダ室15、ローダ室15と各室相互間の遮蔽を行って製造装置1内の真空度を保つゲートバルブ16等によって構成される。プロセス室14内には、ウエハに塗布された感光膜への露光、ウエハへのイオン注入、ドライエッチング等を行うプロセス装置20が配置されている。
【0018】
<2.プロセス装置の構成>
図2は、プロセス装置20の例として露光装置を示している。この露光装置は、ウエハ40を載置するウエハステージ201、マスク50を静電力で保持する静電チャック202、ウエハ40のウエハマークやマスク50のマスクマークを観察する複数の測定ユニット203、露光光線を発生する露光光発生部204、アライメント調整や露光の制御を行う制御部205を含んで構成される。
【0019】
ウエハステージ201は、図示のX軸及びY軸方向におけるステップ送りと、X軸、Y軸及びZ軸方向への微調整と各軸周りの微調整、Z軸方向での粗調整が可能なウエハの載置台である。ウエハステージ201は、制御部205によって駆動されて、ウエハ40とマスク50との相対的な位置を決定する。
【0020】
<3.ウエハの構成>
図3は、ウエハ40の一部を拡大して示した平面図である。例えば、シリコン基板であるウエハの表面には、例えば、30mm×30mm程度のパターン領域41が、マトリクス状に多数配置されている。各パターン領域41間には後のチップ切り出しのための、例えば、数十ミクロン幅の隔離領域42が格子状に形成されている。
【0021】
この隔離領域42内の適当な場所に1つの領域につき3つのウエハマーク43〜45が、シリコン酸化膜によって予め線状に形成されている。図示の例では、ウエハマーク43はY軸方向に、ウエハマーク44はX軸方向に、ウエハマーク45はX、Y各軸に対して45°の方向に、形成されている。ウエハマーク43〜45を構成するシリコン酸化膜は、酸化の際に体積を増してウエハ面から少し***しており、測定ユニット203によって観察可能となっている。
【0022】
<4.マスクの構成>
図4は、マスク50を説明する説明図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は図(a)のA−A線における断面図である。
【0023】
マスク50はステンシルマスクであり、外形が円形状で相対的に厚手の周縁部51、この周縁部より内側の領域に形成された相対的に薄手のメンブレン部52を備えている。
【0024】
周縁部51には、プリアライメント用の切欠き部、及びプロセス室14での粗調整用のグローバルアライメントマーク57を有している。切欠き部及びグローバルアライメントマーク57は、マスクマーク54乃至56が測定ユニット203の視野に入るよう位置決めするためのものである。
【0025】
メンブレン部52は、中央部にマスクパターン部53を備えている。メンブレン部52のうちマスクパターン部53の周囲には、ウエハ上のウエハマーク43乃至45に対応する位置に、それぞれマスクマーク(貫通孔)54乃至56が形成されている。
【0026】
メンブレン部52のうちマスクパターン部53の周囲には、更にずれ検出用マーク58、59が描画されている。各マークは、例えば長さ100μm、幅5μm程度の棒状の形を有し、ずれ検出点を特定可能になっている。これら2つの棒状のマーク58、59は、一直線上の異なる位置に並べられている。ずれ検出用マーク58、59は、メンブレン部52内に設けられるので、マスクパターンの描画と同時に形成できる。従って、ずれ検出用マーク58、59の位置精度が高く、ずれ検出誤差を極めて小さくすることができる。
【0027】
マスク50は、例えば、シリコンを素材とした直径4インチ、周縁部の厚さ0.5mm、メンブレン部の厚さ10μmである。
【0028】
図5は、図4のマスクの変形例を示す平面図である。このマスク50aには、図4のマスク50と同様に、周縁部51a、メンブレン部52aを有し、マスクパターン部53a、マスクマーク54a乃至56a、切欠き部及びグローバルアライメントマーク57a、57bを有している。図4のずれ検出用マーク58、59のような角度検出専用のマークが描画されていない点と、マスクマーク54a、55aがマスクパターン部53aの一辺に沿って配置されている点は、図4と異なっている。図5のマスク50aは、マスクマーク54a、55aを後述の角度検出用にも、用いることができるようになっている。
【0029】
<5.光学系の構成>
図6は、測定ユニット203の構成例を示している。測定ユニット203は、例えば、ハロゲンランプやLEDによる照明光源203a及びカメラ203bによって構成される。照明光源203aの光軸とカメラ203bの光軸とが、マスク50面の法線に対して左右対称となるように配置されている。これにより、照明光源203aから出射した照明光がウエハマーク43及びマスク50で反射してカメラ203bへの入射光となる。また、照明光源203aの光軸及びカメラ203bの光軸を含む平面は、ウエハマーク43が延びる方向と、略平行となっている。
【0030】
カメラ203bは、例えば、結像光学系とCCDとによって構成されている。図示しないが、制御部205はグローバルアライメント用マーク57を観察することによってステージの位置を粗調整し、これにより、ウエハ40のウエハマーク43、44、45がそれぞれマスクマーク54、55、56内に位置するようにする。更に、制御部205はカメラ203bによってマスクの窓(マスクマーク)54、55、56とウエハマーク43、44、45とを同時に観察し、各マスクマークの中央にウエハ40の対応するウエハマークが存在するようにステージ201を微調整する。
【0031】
<6.回転方向のずれ角度θの検出>
図7は、測定用光学系に対するマスクの回転方向のずれ角度を検出する方法の説明図である。ずれ角度の検出は、制御部205による制御及び演算により行われる。ここでは主として、図4のマスク50の回転方向のずれ角度を、ずれ検出用マーク58及び59により検出する方法について説明するが、図5のマスク50aでも、同様の方法でマスクマークを用いて検出することができる。また、ここでは、斜方検出を行うカメラ203bは、アライメント調整装置の座標系におけるYZ平面に平行な光軸を持つものとする。マスク50は、ずれ検出用マーク58及び59がY方向に間隔を空けて配置されるように粗調整されるが、本実施形態では、なおも生じる微小なずれ角度を検出する。
【0032】
図7(a)によると、カメラ203bの視野23は、ずれ検出用マーク58、59の何れか1つが入る程度の大きさである。まず、マスク50に形成された一方のずれ検出用マーク58を、カメラ203bで観察し、そのXY方向の位置を記憶する。次に、カメラ203bをY方向に駆動する。マスク50は、ずれ検出用マーク58及び59がY方向に配置されるようにプリアライメントされているので、プリアライメントに多少の誤差はあっても、ずれ検出用マーク59をカメラの視野23に入れることができる。ずれ検出用マーク59がカメラの視野に入ったら、そのX方向及びY方向の位置を記憶する。ずれ検出用マーク58、59の位置は、カメラ203bの視野内のどこに、マーク58、59が見えているかによって、検出することができる。
【0033】
特に、カメラの光軸に平行なYZ平面の法線方向(X方向)の位置を、精密に測定することが重要である。従って、ずれ検出用マーク58、59は、X方向の幅が狭い棒状の形に描画されている。図5のマスク50aのマスクマーク54a、55aを用いて回転方向のずれ角を検出する場合には、マスクマーク54a、55aの各辺のうちY軸に平行な片側の一辺を基準にするのが好ましい。
【0034】
このようにして測定、記憶されたずれ検出用マーク58、59(あるいはマスクマーク54a、55aのY軸に平行な一辺)のXY方向の位置に基づき、これらマーク58、59間のY方向の距離Hと、X方向のずれDを算出することができる。マスクの法線を軸とした回転方向のずれ角度θは、図7(b)を参照して、
tanθ=D/H
の関係より算出することができる。
【0035】
なお、位置合せ用の光学系と別個にずれ角度検出用の装置を設けても良いが、本実施形態のように、位置合せ用の光学系をそのままずれ角度検出に使用することが望ましい。同じ光学系を用いることにより、検出精度を確保することができるとともに、装置内の省スペースを実現することができる。
【0036】
本実施形態では1つのカメラ203bをY方向に駆動させることでずれ検出用マーク58、59を検出するので、カメラの光軸にずれが生じることがなく、精密な測定が可能となっている。但しこれに限らず、ずれ検出用マーク58、59の検出を、Y方向に並べて配置された別々のカメラを用いて行ってもよい。
【0037】
また、ずれ検出用マーク58、59の検出は、マスク50がウエハ40上に配置されてから行うことが望ましい。これによって、より精密な計測を行うことが可能である。
【0038】
<7.ウエハ位置の検出>
<7−1.ウエハ位置の検出方法の概要>
図8は、マスクに対するウエハの位置関係の検出方法を説明する図である。カメラ203bの視野23を、強調のため大きく図示している。
【0039】
図8に示すように、カメラ203bの視野23には、マスクマーク54〜56の何れか1つ、この図ではマスクマーク54が、視野に入るようになっている。カメラ203bから見ると、マスクマーク54の開口を通して、下方のウエハ40の表面とこれに形成されたウエハマーク43が見える。
【0040】
照明光源203aからの光は図8の上方から照射しているので、マスクマーク54内に見えているウエハ40の上部には、幅Sを有する影47が見える。
【0041】
マスクマーク54の中心からのウエハマーク43の偏差ΔXと、影47の幅Sに基づいて求められるマスク表面とウエハの距離(後述G)と、マスクマーク55、56についての同様の測定結果に基づいて、マスク50とウエハ40の位置合せをすることができる。しかし、測定用光学系に対するマスクの回転方向のずれ角度θが存在する場合、上記の方法だけでは正確な偏差ΔXを導くことはできない。
【0042】
<7−2.補正の必要性>
図9及び図10は、回転方向のずれ角度θに基づく補正について説明する図である。特に図9は、個々のマスクマークをカメラ203bから見た図、図10は、図9のB−B’線断面図である。マスク50は、カメラ203bの光軸に対して角度θのずれを有している。
【0043】
まず、マスクマーク54の中心位置を求めるために、マスクマーク54の両端の位置を検出する。マスク50の表面は、鏡面又はこれに準じる光反射面となっており、マスクマーク54の両端は、ウエハ40上の影47が背景にあれば識別することができるが、影47が背景にない部分では識別することができない。従って、カメラ203bは、マスクマーク54の左右両端位置を検出するために、マスクマーク54のうち、影47が背景にある部分にピントが合うようにする。例えば、マスクマークの左右両端に位置する点LP及びRPは、カメラ203bから同一の距離にあるので、両者同時にピントを合わせ、マスクマーク54の左右両端位置を検出することができる。カメラ203bはマスク50に対してY方向に傾斜した位置に設けられているので、この状態でマスク上にカメラのピントが合うのは、左右両端の検出位置LP及びRPを結んだ直線(フォーカスライン)MLの部分だけとなる。
【0044】
一方、ウエハ上のウエハマーク43の位置も検出する必要がある。この場合、精密な測定をするためには、カメラから見て、マスクマークの左右両端の検出位置LP及びRPと同じ距離にある点を、検出する必要がある。カメラからの距離が異なると、ピントが合わないからである。図10によると、カメラ203bから見てマスク上のフォーカスラインMLと同じ距離にあるのは、MLよりY方向にかなりずれた、符号WLで示す位置にある。従って、ウエハマーク43の位置を正確に測定できるのは、図9のウエハマーク検出位置WPである。
【0045】
測定されたウエハマーク検出位置WPのX座標及びマスクマーク左端検出位置LPのX座標の差LHと、ウエハマーク検出位置WPのX座標及びマスクマーク右端検出位置RPのX座標の差RHとを比較することにより、マスクマーク54とウエハマーク43の位置関係がわかる。
【0046】
しかしながら、カメラの向きに対してマスク50がその法線を軸とした回転方向に角度θのずれがある場合、上記カメラを用いて検出される位置関係には、図9にオフセット量Oで示される誤差が生じる。実際、図9の例ではマスクマーク54のほぼ中央にウエハマーク43が配置されているが、上記算出されたLHとRHは、かなり異なる長さになっている。オフセット量Oが生じないようにするには、カメラから見てマスク上のフォーカスラインMLと同一方向にある点WP’で、ウエハマーク43を検出することが考えられる。しかし、前述のように点WP’ではウエハ上にピントが合わないし、影47の部分は暗いのでカメラ203bによる検出は困難である。
【0047】
かかるオフセット量Oが生じることが避けられないならば、マスクの回転方向のずれ角度θに基づいてオフセット量Oを算出することによって、上記LHとRHを補正する必要がある。
【0048】
<7−3.オフセット量Oの算出>
まず、影47をカメラ203bから見た幅Sを算出する。そのためには、マスクマーク54の上端MEのY座標の測定値と、このMEよりY方向の下方における影47の端部SEのY座標の測定値との差を求める。MEとSEは何れも、上記ML及びWLほどカメラ203bのピントが合う位置にあるわけではないので、算出される幅Sの値は、ある程度の誤差をもっている。
【0049】
次に、ウエハからマスク表面までの距離Gを求める。カメラ203bの光軸はマスクの法線に対して角度αの傾きを有するから、図10より、
2Gsinα=S
である。よって、距離Gは、
G=S/(2sinα)
である。例えばα=30°と設定すればG=Sとなり、直感的に距離Gを把握しやすく便利である。なお、図10の符号50’は、マスク50の鏡像である。
【0050】
次に、マスクでのフォーカスラインMLと、ウエハでのフォーカスラインWLとの距離Lを求める。図10より、
L=G/sinα
である。
【0051】
次に、距離Lから、オフセット量Oを求める。図9より、
O=Ltanθ
である。以上により、ずれ角度θに起因するオフセット量Oを求めることができる。
【0052】
<7−4.偏差ΔXの算出>
オフセット量Oが求められたら、これをもとに、各マスクマークの中心に対するウエハマークの偏差ΔXを算出する。
【0053】
まず、上述<7−2.>で述べた方法により、マスクマーク両端のX座標とウエハマークのX座標との差LH、RHをそれぞれ求める。オフセット量Oを求める過程で、マスク上のフォーカスラインMLとウエハ上のフォーカスラインWLの距離Lが算出されているので、マスクマークの両端検出位置LP及びRPから、ウエハマーク検出位置WPを認識することも容易である。
【0054】
距離LH、RHが求められたら、オフセット量Oにより補正されたマスクマーク54の中心からの偏差ΔXは、
ΔX=(LH−RH)/2−O
により求めることができる。
【0055】
<8.ステージの調整>
残りのマスクマーク55、56についても、同様にウエハマーク43の位置LH、RHを求め、オフセット量Oに基づいて、LH、RHを補正してマスクマークの中心からの偏差ΔXを求める。また、マスク表面とウエハの距離Gを求める。
【0056】
残りのマスクマーク55、56での計算で用いるオフセット量Oは、マスクマーク55、56での計測においても、それぞれ改めて求めることが望ましい。これは、マスクの回転方向のずれ角度θが同じでも、マスク表面とウエハの距離Gの値によって、フォーカス位置MLとWLの距離Lが異なるからである。但し、マスクマーク54で求めるオフセット量Oと共通のものを用いても良い。
【0057】
こうして測定された各マスクマークでの中心からのウエハマーク43の偏差ΔXと、各マスクマークとウエハの距離Gとに基づき、ウエハを搭載したステージを微調整する。これによりウエハとマスク間の距離を均等にし、ウエハとマスクのパターン位置を正確に合わせる。
【0058】
この後、露光装置204を作動させて(感光材料を塗布した)ウエハ40に潜像を形成し、現像、エッチングなどを行ってウエハ40に所望のパターンを形成する。イオン注入の場合にも、同様のプロセスによってウエハ40とマスク50間のアライメント調整を行うことができる。
【0059】
なお、本実施形態を適用可能なずれ角度θの範囲は特に限定されず、光軸に対し、マスクの法線を軸とした±5°くらいのずれ角度θがあってもよい。この程度のずれ角があっても、オフセット量Oに基づき偏差ΔXを正確に算出できるため、ウエハ位置を正確に位置合せすることができる。かかるずれ角度θが生じるように、マスク50を意図的に配置してもよい。
【0060】
また、ずれ角度θに基づく処理は、オフセット量Oを求めて補正された偏差ΔXを求めるものに限定されず、マスク50の回転機構(図示せず)を設けても良い。すなわち、ずれ角度θに基づき、マスク50をその法線まわりに回転させることによって、ずれ角度を解消しても良い。
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な構成で、基板をマスクに対して精密に位置合せすることのできるアライメント調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアライメント調整装置が使用される半導体製造装置の例を示す概念図である。
【図2】上記半導体製造装置に備えられる露光装置を示す概念図である。
【図3】上記露光装置にて露光されるウエハの一部を示す拡大平面図である。
【図4】上記露光装置に用いられるマスクの説明図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は図(a)のA−A線断面図である。
【図5】図4の変形例によるマスクを示す平面図である。
【図6】上記露光装置に備えられる測定ユニットの構成例を示す概念図である。
【図7】測定用光学系に対するマスクの回転方向のずれ角度を検出する方法の説明図である。
【図8】マスクに対するウエハの位置関係の検出方法を説明する図である。
【図9】回転方向のずれ角度θに基づく補正の方法を説明する図である。
【図10】図9のB−B’線断面図である。
【符号の説明】
20…プロセス装置、40…ウエハ(基板)、43〜45…ウエハマーク、47…影、50…マスク、52…メンブレン部、54〜56…マスクマーク、57…グローバルアライメントマーク、58・59…ずれ検出用マーク、203…測定ユニット、203a…照明光源、203b…カメラ、23…カメラの視野、204…露光光発生部、205…制御部、θ…ずれ角度、G…ウエハとマスク表面の距離、α…検出光の入射角、O…オフセット量、ML…マスク上のフォーカスライン、WL…ウエハ上のフォーカスライン、L…MLとWLの距離
Claims (7)
- マスクに対して基板を位置合せするための斜方検出型の基板位置検出用光学系を備えたアライメント調整装置であって、
前記マスクは、複数のずれ検出点を特定可能なずれ検出用マークを備え、
前記基板位置検出用光学系に対する前記複数のずれ検出点の位置を、それぞれ検出することによって、前記光学系に対する前記マスクの法線を軸とした回転方向のずれを検出する、アライメント調整装置。 - 請求項1において、
前記複数のずれ検出点は、前記基板位置検出用光学系によって検出される、アライメント調整装置。 - 請求項2において、
前記基板位置検出用光学系は、前記複数のずれ検出点のうち一方を検出した後、当該光学系の光軸を含む垂直面に沿って移動することで、他方のずれ検出点を検出する、アライメント調整装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか一項において、
前記ずれ検出用マークは、前記マスクのメンブレン内に設けられている、アライメント調整装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項において、
前記マスク及び基板の間の距離と、前記マスクの法線に対する前記光学系の光軸の角度と、前記回転方向のずれと、に基づいて、前記光学系を用いたマスクに対する基板位置の検出誤差を算出する、アライメント調整装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項において、
前記マスク及び基板の間の距離と、前記マスクの法線に対する前記光学系の光軸の角度と、に基づいて、前記光学系によるマスク上のフォーカス位置と基板上のフォーカス位置との距離を算出し、
前記マスク上のフォーカス位置と基板上のフォーカス位置との距離と、前記回転方向のずれと、に基づいて、前記光学系を用いたマスクに対する基板位置の検出に生ずる誤差を算出する、アライメント調整装置。 - 請求項1乃至請求項6の何れか一項において、
前記ずれ検出点の検出は、前記マスクが前記基板上に配置された状態で行う、アライメント調整装置。
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Cited By (3)
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US7781750B2 (en) | 2003-08-27 | 2010-08-24 | Carl Zeiss Smt Ag | Oblique mirror-type normal-incidence collector system for light sources, particularly EUV plasma discharge sources |
JP2014137420A (ja) * | 2013-01-15 | 2014-07-28 | Adtec Engineeng Co Ltd | Itoパターン露光装置 |
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-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002256080A patent/JP2004095908A/ja active Pending
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