JP2004092800A - 転動体保持スペーサ及びこれを用いた転がり運動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スペーサの倒れを無くし、かつ材料の選定及び寸法誤差に厳しく制限することが不要となる転がり運動装置に用いられる転動体保持スペーサを提供し、更にそれを用いて低コスト・低騒音・高負荷容量を有する転がり運動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】円筒状本体の相対面3,3に夫々転動体としての玉14を保持する保持部4,4を有し、円筒状本体2の外周に案内部5を有する転動体保持スペーサ1とする。この案内部5は、外周の相対向する位置に設けられている両鍔タイプ、あるいは外周の一部にのみ設けられている片鍔タイプとすることが考えられる。
【選択図】 図1
【解決手段】円筒状本体の相対面3,3に夫々転動体としての玉14を保持する保持部4,4を有し、円筒状本体2の外周に案内部5を有する転動体保持スペーサ1とする。この案内部5は、外周の相対向する位置に設けられている両鍔タイプ、あるいは外周の一部にのみ設けられている片鍔タイプとすることが考えられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置内に備えた玉転動溝に複数個組み込んだ転動体が転がり運動する装置において、その隣り合う転動体を保持する転動体保持スペーサ、及び、該転動体保持スペーサを用いた転がり運動装置に関する。なお、本明細書において転がり運動装置とは、転がり軸受、リニアガイド装置(直動案内軸受)、ボールねじなど、装置内に備えた軌道(軌道溝もしくはボール溝などの他の称呼も含む)に複数個の転動体が組み込まれ、夫々の転動体が転がり運動する装置全般をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、玉軸受などの転がり運動装置は、一対の軌道輪間に複数の玉が組み込まれると共に、夫々隣り合う玉間には転動体保持スペーサが介在され、該スペーサによって保持されつつ玉が転がり運動している。このスペーサとしては、従来、図18に示す円筒状外形を有するスペーサ100が知られている。
スペーサを使う玉軸受は、低騒音、潤滑性良好、低コストという特徴があり、特に大型・超大型玉軸受においては、製造設備の制限により、唯一造れる転動体の間隔体となっている。
一方、玉軸受の負荷能力を向上するため、できるだけより多くの玉を軸受に装着する。軸受ピッチ円径一定の条件においては、スペーサの厚みを薄くして、玉の数を増加する方法がよく利用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スペーサの厚みが薄いほど(厚みと外径の比が小さいほど)、回転中のスペーサの安定性が悪くなる。また、軸受回転中では、負荷圏と非負荷圏の存在や円周すきまの存在などにより、各転動体の間の間隔は一定ではなく、ある転動体200とその隣の転動体200間の間隔がスペーサ100の対角線より大きくなった場合、スペーサ100の倒れが起こることがある(図19)。
スペーサ100の倒れが発生すると、軸受のトルク値及びトルクの変動が大きくなり、状況によっては軸受の焼付きに導く虞れがある。
一方、温度変化及び潤滑剤の作用による寸法変化に鈍感する材料の選定やスペーサの出来上り寸法誤差を厳しく制限することなどはスペーサ倒れの発生に抑制作用があるが、どちらも限界があり、またコストのアップに繋がる。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑み、スペーサの倒れを無くし、かつ材料の選定及び寸法誤差に厳しく制限することが不要となる転がり運動装置に用いられる転動体保持スペーサを提供し、更にそれを用いて低コスト・低騒音・高負荷容量を有する転がり運動装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明がなした技術的手段は、円筒状本体の相対面に夫々転動体としての玉を保持する保持部を有し、円筒状本体の外周に案内部を有する転動体保持スペーサとする。この案内部は、外周の相対向する位置に設けられている両鍔タイプ、あるいは外周の一部にのみ設けられている片鍔タイプとすることが考えられる。
また、軌道に複数個の転動体を組み込み、隣り合う転動体と転動体との間に転動体保持スペーサを介在してなる転がり運動装置において、上記構成の転動体保持スペーサを採用することが好ましい。
この転がり運動装置としては、例えば、転がり軸受(玉軸受)、リニアガイド装置、ボールねじなどが適用される。
スペーサの外周案内部の母線形状は特に限定せず、例えば、直線でも、曲線でもよい。スペーサ外周案内部の厚み方向での断面母線形状は特に限定せず、直線でも、曲線でもよい。スペーサの内部に潤滑剤の流通を促進する貫通穴を設置してもよい。スペーサの内部案内保持部の形状は特に限定せず、形状により転動体と一個所で接触しても、二個所以上で接触してもよく、いずれも本発明の範囲内である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1乃至図6は転動体保持スペーサの一実施形態を示し、図7乃至図17は該転動体保持スペーサを使用した転がり運動装置としての玉軸受の一実施形態を示す。
尚、本実施形態は、本発明の説明にあたって開示される一実施形態にすぎず何等限定されるものではなく、本発明の範囲内において自由に変更可能である。
【0006】
まず、転動体保持スペーサの実施形態について説明する。
「第一実施形態」
図1は本発明転動体保持スペーサの第一実施形態を示す。
転動体保持スペーサ1は、転動体の直径よりも小径の短尺円筒状に本体2が形成され、隣り合う転動体を保持する保持部4,4が、本体2の相対面3,3に形成されている。そして、該本体2の外周に鍔状の案内部5が突状に設けられている。なお、本体2の全体形状はこのような短尺円筒状に限定されず本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
本実施形態では本体2の外周面相対向位置に案内部5,5が一対設けられている両鍔タイプとしている。
案内部5の突状形状は、特に限定されないが、例えば図7に示すような玉軸受に組み込まれる場合、外輪内径9と内輪外径12との間の空間に遊挿される程度の幅W1(軸受径方向幅)とされる。厚みW2も本体2の厚みと同一としているが、これに限定されず本体2の厚みより薄厚としてもよい。また、突出長さW3も特に限定はされないが、本発明の作用効果上適宜な長さが設定される。案内部5の幅W1方向、厚みW2方向及び突出長さW3方向での母線形状は本実施形態では直線であるが特に限定せず、曲線でもよい。すなわち、本実施形態では側面視四角形状であるが、側面視三角形などの他の多角形状や円形状(真円形状・楕円形状など)等任意であり限定はされない。なお、曲線の場合、外径側曲線と内径側曲線が、夫々異方向若しくは同一方向に湾曲しているもののいずれであってもよい。
【0007】
保持部4は、その形状により転動体14と1ヵ所で接触(図6(a))しても、2ヵ所以上で接触(図6(b))しても良く、いずれも本発明の範囲内である。転動体保持スペーサ1の案内方式は、特に限定されず、内輪案内でも、外輪案内でも、転動体案内でもよく、いずれも本発明の範囲内である。
転動体保持スペーサ1の材質としては、特に限定されず、例えば銀、黄銅、鉄、ステンレス鋼などの金属や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアミド66(ナイロン66)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、芳香族ポリイミド(PI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリエステル(LCP)および各種含ふっ素樹脂などの合成樹脂が本発明の範囲内で選ばれる。また含油樹脂を使っても良い。
なお、転がり軸受以外の転がり運動装置、例えばリニアガイド装置に組み込まれる場合には、レールおよびケーシングに、当該転動体保持スペーサ1の案内部5が遊挿可能にガイドされる溝を設けるものとする。なお、そのガイド空間は、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0008】
「第二実施形態」
図2は本発明転動体保持スペーサの第二実施形態を示す。
本実施形態は、鍔状の案内部5が片鍔タイプのである。本実施形態の転動体保持スペーサ1は、鍔状の案内部5を一個とした点以外は第一実施形態に示した転動体保持スペーサ1と同じである。
また、本実施形態の転動体保持スペーサ1を軸受内に組み込む場合、夫々の案内部5を全て同一方向に向けて組み込むか、交互若しくは任意方向に向けて組み込むものとする。
【0009】
「第三実施形態」
図3は本発明転動体保持スペーサの第三実施形態を示す。
本実施形態は、鍔状の案内部5の母線形状を円弧状に構成した実施の一形態である。転動体保持スペーサ1は、鍔状の案内部5の母線形状を円弧状とした点以外、基本的には第一実施形態の転動体保持スペーサ1と同様の両鍔タイプである。本実施形態の転動体保持スペーサ1を使用することにより、転動体保持スペーサ1の案内部5の外周は、第一実施形態よりさらに優れた潤滑状況を実現できる。なお、第二実施形態の転動体保持スペーサ1の鍔状の案内部5の母線形状を、本実施形態と同様に円弧状とすることも可能で本発明の範囲内である。
その他の構成および作用効果は第一実施形態と同様である。
【0010】
「第四実施形態」
図4は本発明転動体保持スペーサの第四実施形態を示す。
本実施形態は、鍔状の案内部5の厚みW2方向での断面母線形状を楕円状に構成した実施の一形態である。
転動体保持スペーサ1は、案内部5の厚みW2方向での断面母線形状を楕円状とした点以外、基本的には第一実施形態の転動体保持スペーサ1と同様の両鍔タイプである。なお、第二実施形態の転動体保持スペーサ1の案内部5の厚みW2方向での断面母線形状を、本実施形態と同様に楕円状とすることも可能で本発明の範囲内である。
その他の構成および作用効果は第一実施形態と同様である。
【0011】
「第五実施形態」
図5は、本発明転動体保持スペーサの第五実施形態を示す。
本実施形態は、本体2の中心部に潤滑剤の流通を促進する貫通穴6を設けた実施の一形態である。貫通穴6の穴径などは任意で本発明の範囲内で設計変更可能である。転動体保持スペーサ1は、このように貫通穴6を設けた点以外、基本的には第一実施形態の転動体保持スペーサ1と同様の両鍔タイプである。なお、第二実施形態の転動体保持スペーサ1、第三実施形態の転動体保持スペーサ1、若しくは第四実施形態の転動体保持スペーサ1のいずれかの本体2中心部に、本実施形態に示したような貫通穴6を設けるものとすることも勿論可能で本発明の範囲内である。
【0012】
次に、上述した転動体保持スペーサ1の利用形態の一例として、転がり玉軸受に組み込んだ本発明の実施の形態を以下に示す。
なお、本実施形態では、転動体保持スペーサの利用形態として転がり玉軸受をもって以下に説明するが、この転動体保持スペーサの利用形態はこれに限定解釈されるものではなく、組み込まれる転動体が転がり運動をする装置、例えばリニアガイド装置やボールねじに組み込むことも本発明の範囲内である。
【0013】
転がり玉軸受7は、軸受軌道輪(軸受外輪)8の内径9と、軸受軌道輪(軸受内輪)11の外径12間に形成される軌道溝10,13に、転動体保持スペーサ1を介して複数の転動体14,14…が組み込まれて構成されている。
軌道輪8,11のいずれか一方あるいは双方共が幅方向の中央で軸方向に二分割されているタイプや、いずれの軌道輪8,11も分割されていないタイプを用いることも本発明の範囲内で可能である。また、二分割タイプは、ボルト・リベット等で一体に組み立てられるものもある。さらに、軌道輪8,11はフランジ付きか否か限定されず、一方又は双方共にフランジ付きとすることも可能である。また、少なくともいずれか一方の軌道輪の軌道溝が、二つの軌道面から構成されているものでもよく本発明の範囲内で適宜選択される。二つの軌道面からなる場合、転動体14の半径よりも大きな半径の軌道面10a・10b,13a・13bにより形成されている。
各軌道溝の形状は、転動体14の転がりに適切な形状を有しているものであれば、断面アーチ状あるいはV字状等任意で、また曲線状あるいは直線状等のいずれであってもよく特に限定されるものではない。
転動体と軌道面との間における予圧の付与される状態は特に限定されず、すなわち、製造段階で予圧が付与されても付与されなくてもよくいずれも本発明の範囲内である。
これら軸受の軌道輪8,11と転動体14の材質としては、通常軸受鋼が用いられるが、使用環境に応じて、浸炭鋼、ステンレス鋼、M50などの耐熱鋼、セラミックス等が適宜選択される。ステンレス鋼の成分は特に限定されず、オステンナイト系ステンレス鋼でも、マルテンサイト系ステンレス鋼でも、析出硬化系ステンレス鋼でもよく本発明の範囲内で適宜選択可能である。また、セラミックス材の種類は特に限定されず、アルミナ系、ジルコニア系、窒化ケイ素系、炭化ケイ素系など構造用セラミックス材は選定可能である。
さらに、軌道輪8,11,転動体14はすべて同じ材質からなるものに限定されず、必要により、夫々異なる材質を使うことでも良く(ハイブリット)任意である。例えば、軌道輪8,11の材質を軸受鋼、転動体14の材質をセラミックスと選定することもできる。
軌道輪8,11,転動体14の表面処理については特に限定されず任意であり、浸炭,窒化など表面強化処理してもよい。また、軌道輪8,11,転動体14の表面被膜についても限定されず任意であり、被膜材としては金属、金属化合物やセラミック被膜などが適宜選択される。被膜は単一被膜でも、複合被膜でもよい。また、軸受の潤滑剤は特に限定されず、グリースでもオイルでも良い。
この本実施形態によれば、次のような作用効果を奏する。
転動体保持スペーサ1の倒れは、軸受内輪外径12と外輪内径9との間に設置された転動体保持スペーサ1の案内部5に制限されるため、軸受円周すきま及び転動体と転動体の間の間隔値と関係なくいつも転動体保持スペーサの倒れを防止することができる。
以下、具体的な実施の形態について説明する。なお、夫々に使用される各転動体保持スペーサ1については、上述した説明を援用し詳細は省略する。
【0014】
「第一実施形態」
図7は、本発明玉軸受の第一実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保持スペーサ1の第一実施形態を使用した深溝玉軸受の一例を示す。本実施形態では、外輪8,内輪11共に一体のものを使用するが、外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。
「第二実施形態」
図8は、本発明玉軸受の第二実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保スペーサ1の第一実施形態を使用したアンギュラ玉軸受の一例を示す。外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。
「第三実施形態」
図9は、本発明玉軸受の第三実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保持スペーサ1の第一実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。本実施形態では、外輪8に二分割されているタイプを用いるが、これに限定されるものではなく、内輪11を二分割するタイプ、あるいは外輪8,内輪11の双方共に二分割するタイプ又は双方共に二分割されていないタイプを用いるなど任意であり、外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。また、本実施形態では外輪8,内輪11の双方の軌道溝10,13にゴシックアーチ溝を採用する。また、本実施形態では、双方の軌道輪8,11の軌道溝10,13が二つの軌道面10a・10b,13a・13bから構成されているもので、夫々転動体14の半径よりも大きな半径の軌道面により形成されている。なお、少なくともいずれか一方の軌道輪の軌道溝が、二つの軌道面から構成されているものでもよく本発明の範囲内で適宜選択される。
「第四実施形態」
図10は、本発明玉軸受の第四実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保持スペーサ1の第一実施形態を使用した3点接触玉軸受の一例を示す。本実施形態では、外輪8に二分割されているタイプを用いるが、これに限定されるものではなく、内輪11を二分割するタイプ、あるいは外輪8,内輪11の双方共に二分割するタイプ又は双方共に二分割されていないタイプを用いるなど任意であり、外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。また、本実施形態では外輪8の軌道溝10にゴシックアーチ溝を採用する。
「第五実施形態」
図11は、本発明玉軸受の第五実施形態を示す。本実施形態は、図2に示す転動体保持スペーサ1の第二実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
本実施形態では、第二実施形態に示す片鍔タイプの転動体保持スペーサ1を、軸受外輪内径9と内輪外径12の間にて円周方向に複数個組み込む際に、夫々の鍔状の案内部5を同一方向に向けた状態(図面で向かって左側に揃えた状態)に配設した実施の一形態である。
「第六実施形態」
図12は、本発明玉軸受の第六実施形態を示す。本実施形態は、図3に示す転動体保持スペーサ1の第三実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
本実施形態の転動体保持スペーサ1を使用することにより、転動体保持スペーサ1の鍔状の案内部5の外周は、第一実施形態の転動体保持スペーサ1よりさらに優れた潤滑状況を実現できる。
「第七実施形態」
図13は、本発明玉軸受の第七実施形態を示す。本実施形態は、図4に示す転動体保持スペーサ1の第四実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
「第八実施形態」
図14は、本発明玉軸受の第八実施形態を示す。本実施形態は、図5に示す転動体保持スペーサ1の第五実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
「第九実施形態」
図15は、本発明玉軸受の第九実施形態を示す。
すなわち本実施形態は、図2に示す転動体保持スペーサ(片鍔タイプ)1の第二実施形態を、軸受外輪内径9と内輪外径12の間にて円周方向に複数個組み込む際に、夫々の鍔状の案内部5を両振り状態に配設した実施の一形態である。
「第十実施形態」
図16は、本発明玉軸受の第十実施形態を示す。
本実施形態は、本発明玉軸受の第三実施形態の軸受内輪外径12と外輪内径9に、図1に示す第一実施形態の転動体保持スペーサ1の鍔状の案内部5をガイドする溝15a,15bを設けた実施の一形態である。
本実施形態によれば、溝15a,15bによって形成されるガイド空間16は、その軸受軸方向長さW4を鍔状の案内部5の突状長さW3よりも僅かに長くすると共に、軸受径方向幅W5を鍔状の案内部5の軸受径方向幅W1よりも僅かに幅広状とする。なお、この溝15a,15bの形状は特に図示形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
また、本実施形態は、第三実施形態の玉軸受7を用いて説明したが、第一実施形態及び第二実施形態、第四実施形態乃至第九実施形態の玉軸受7にて本実施形態構成を採用することも可能である。
「第十一実施形態」
図17は本発明の第三実施形態の玉軸受構成に、密封板17を配設した実施の一形態を示した図である。
密封板17は接触シール若しくは非接触シール、あるいはシールに代えてシールドを用いることもできる。シール,シールドの材質は限定されないが、ニトリルゴムまたはステンレスが好ましい。なお、本実施形態では両側に密封板17,17を配設しているが、いずれか一方のみに密封板を配設することもできる。このように密封板を設ける場合、密封板配設スペースSが軸受内スペースで取られるため、軸受コンパクト化を図るには、軸受内スペースの広狭にもよるが、必要に応じて鍔状の案内部5の突出長さを長短調整する。
また、本実施形態は、第三実施形態の玉軸受7を用いて説明したが、第一実施形態及び第二実施形態、第四実施形態乃至第十実施形態の玉軸受7にて密封板構成を採用することも可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したため、転動体保持スペーサの外周に突設した鍔状の案内部が、例えば転がり運動装置の一つである転がり軸受における軸受内輪外径と外輪内径との間に保持されることとなる。このため、軸受円周すきま及び転動体と転動体の間の間隔値と関係なくいつもスペーサの倒れを防止することができ、転動体のスムース回転を実現することができる。
また、本発明転動体保持スペーサによれば、軸受内での倒れが完全になくなるので、スペーサ材料の選定及び寸法誤差に厳しく制限することが不要となり、コストの低減を実現できる。本発明転動体保持スペーサは軸受内での倒れが完全になくなったので、スペーサの厚みをより薄くすることが可能であり、より多くの転動体を装着することが可能である。
また、軸受のサイズが変わっても転動体の寸法が変わらなければ、同じスペーサが使えるので、特に大きいサイズの軸受の場合、コスト低減の効果が非常に大きい。さらに本発明の転動体保持スペーサは、従来の形のスペーサと同様に低騒音効果がある。
従って本発明により、低コスト・低騒音・高負荷容量という特性を有する玉軸受や、リニアガイド装置・ボールねじなどの転がり運動装置を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明転動体保持スペーサの一実施形態を示す斜視図。
【図2】第二実施形態を示す斜視図。
【図3】第三実施形態を示す斜視図。
【図4】第四実施形態を示す斜視図。
【図5】第五実施形態を示す斜視図。
【図6】転動体保持スペーサの保持部と転動体との接触状態を拡大して示す部分概略図で、(a)は接触箇所が一箇所の場合、(b)は接触箇所が二個所の場合を示す。
【図7】本発明玉軸受の第一実施形態を示す概略断面図。
【図8】本発明玉軸受の第二実施形態を示す概略断面図。
【図9】本発明玉軸受の第三実施形態を示す概略断面図。
【図10】本発明玉軸受の第四実施形態を示す概略断面図。
【図11】本発明玉軸受の第五実施形態を示す概略断面図。
【図12】本発明玉軸受の第六実施形態を示す概略断面図。
【図13】本発明玉軸受の第七実施形態を示す概略断面図。
【図14】本発明玉軸受の第八実施形態を示す概略断面図。
【図15】本発明玉軸受の第九実施形態を示す概略断面図。
【図16】本発明玉軸受の第十実施形態を示す概略断面図。
【図17】本発明玉軸受の第十一実施形態を示す概略断面図。
【図18】従来の転動体保持スペーサを示す斜視図。
【図19】従来技術においてスペーサ倒れの発生状態を示す概略図。
【符号の説明】
1:スペーサ
2:本体
3:相対面
4:保持部
5:案内部
7:玉軸受
14:玉
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置内に備えた玉転動溝に複数個組み込んだ転動体が転がり運動する装置において、その隣り合う転動体を保持する転動体保持スペーサ、及び、該転動体保持スペーサを用いた転がり運動装置に関する。なお、本明細書において転がり運動装置とは、転がり軸受、リニアガイド装置(直動案内軸受)、ボールねじなど、装置内に備えた軌道(軌道溝もしくはボール溝などの他の称呼も含む)に複数個の転動体が組み込まれ、夫々の転動体が転がり運動する装置全般をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、玉軸受などの転がり運動装置は、一対の軌道輪間に複数の玉が組み込まれると共に、夫々隣り合う玉間には転動体保持スペーサが介在され、該スペーサによって保持されつつ玉が転がり運動している。このスペーサとしては、従来、図18に示す円筒状外形を有するスペーサ100が知られている。
スペーサを使う玉軸受は、低騒音、潤滑性良好、低コストという特徴があり、特に大型・超大型玉軸受においては、製造設備の制限により、唯一造れる転動体の間隔体となっている。
一方、玉軸受の負荷能力を向上するため、できるだけより多くの玉を軸受に装着する。軸受ピッチ円径一定の条件においては、スペーサの厚みを薄くして、玉の数を増加する方法がよく利用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スペーサの厚みが薄いほど(厚みと外径の比が小さいほど)、回転中のスペーサの安定性が悪くなる。また、軸受回転中では、負荷圏と非負荷圏の存在や円周すきまの存在などにより、各転動体の間の間隔は一定ではなく、ある転動体200とその隣の転動体200間の間隔がスペーサ100の対角線より大きくなった場合、スペーサ100の倒れが起こることがある(図19)。
スペーサ100の倒れが発生すると、軸受のトルク値及びトルクの変動が大きくなり、状況によっては軸受の焼付きに導く虞れがある。
一方、温度変化及び潤滑剤の作用による寸法変化に鈍感する材料の選定やスペーサの出来上り寸法誤差を厳しく制限することなどはスペーサ倒れの発生に抑制作用があるが、どちらも限界があり、またコストのアップに繋がる。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑み、スペーサの倒れを無くし、かつ材料の選定及び寸法誤差に厳しく制限することが不要となる転がり運動装置に用いられる転動体保持スペーサを提供し、更にそれを用いて低コスト・低騒音・高負荷容量を有する転がり運動装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明がなした技術的手段は、円筒状本体の相対面に夫々転動体としての玉を保持する保持部を有し、円筒状本体の外周に案内部を有する転動体保持スペーサとする。この案内部は、外周の相対向する位置に設けられている両鍔タイプ、あるいは外周の一部にのみ設けられている片鍔タイプとすることが考えられる。
また、軌道に複数個の転動体を組み込み、隣り合う転動体と転動体との間に転動体保持スペーサを介在してなる転がり運動装置において、上記構成の転動体保持スペーサを採用することが好ましい。
この転がり運動装置としては、例えば、転がり軸受(玉軸受)、リニアガイド装置、ボールねじなどが適用される。
スペーサの外周案内部の母線形状は特に限定せず、例えば、直線でも、曲線でもよい。スペーサ外周案内部の厚み方向での断面母線形状は特に限定せず、直線でも、曲線でもよい。スペーサの内部に潤滑剤の流通を促進する貫通穴を設置してもよい。スペーサの内部案内保持部の形状は特に限定せず、形状により転動体と一個所で接触しても、二個所以上で接触してもよく、いずれも本発明の範囲内である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1乃至図6は転動体保持スペーサの一実施形態を示し、図7乃至図17は該転動体保持スペーサを使用した転がり運動装置としての玉軸受の一実施形態を示す。
尚、本実施形態は、本発明の説明にあたって開示される一実施形態にすぎず何等限定されるものではなく、本発明の範囲内において自由に変更可能である。
【0006】
まず、転動体保持スペーサの実施形態について説明する。
「第一実施形態」
図1は本発明転動体保持スペーサの第一実施形態を示す。
転動体保持スペーサ1は、転動体の直径よりも小径の短尺円筒状に本体2が形成され、隣り合う転動体を保持する保持部4,4が、本体2の相対面3,3に形成されている。そして、該本体2の外周に鍔状の案内部5が突状に設けられている。なお、本体2の全体形状はこのような短尺円筒状に限定されず本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
本実施形態では本体2の外周面相対向位置に案内部5,5が一対設けられている両鍔タイプとしている。
案内部5の突状形状は、特に限定されないが、例えば図7に示すような玉軸受に組み込まれる場合、外輪内径9と内輪外径12との間の空間に遊挿される程度の幅W1(軸受径方向幅)とされる。厚みW2も本体2の厚みと同一としているが、これに限定されず本体2の厚みより薄厚としてもよい。また、突出長さW3も特に限定はされないが、本発明の作用効果上適宜な長さが設定される。案内部5の幅W1方向、厚みW2方向及び突出長さW3方向での母線形状は本実施形態では直線であるが特に限定せず、曲線でもよい。すなわち、本実施形態では側面視四角形状であるが、側面視三角形などの他の多角形状や円形状(真円形状・楕円形状など)等任意であり限定はされない。なお、曲線の場合、外径側曲線と内径側曲線が、夫々異方向若しくは同一方向に湾曲しているもののいずれであってもよい。
【0007】
保持部4は、その形状により転動体14と1ヵ所で接触(図6(a))しても、2ヵ所以上で接触(図6(b))しても良く、いずれも本発明の範囲内である。転動体保持スペーサ1の案内方式は、特に限定されず、内輪案内でも、外輪案内でも、転動体案内でもよく、いずれも本発明の範囲内である。
転動体保持スペーサ1の材質としては、特に限定されず、例えば銀、黄銅、鉄、ステンレス鋼などの金属や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアミド66(ナイロン66)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、芳香族ポリイミド(PI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリエステル(LCP)および各種含ふっ素樹脂などの合成樹脂が本発明の範囲内で選ばれる。また含油樹脂を使っても良い。
なお、転がり軸受以外の転がり運動装置、例えばリニアガイド装置に組み込まれる場合には、レールおよびケーシングに、当該転動体保持スペーサ1の案内部5が遊挿可能にガイドされる溝を設けるものとする。なお、そのガイド空間は、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0008】
「第二実施形態」
図2は本発明転動体保持スペーサの第二実施形態を示す。
本実施形態は、鍔状の案内部5が片鍔タイプのである。本実施形態の転動体保持スペーサ1は、鍔状の案内部5を一個とした点以外は第一実施形態に示した転動体保持スペーサ1と同じである。
また、本実施形態の転動体保持スペーサ1を軸受内に組み込む場合、夫々の案内部5を全て同一方向に向けて組み込むか、交互若しくは任意方向に向けて組み込むものとする。
【0009】
「第三実施形態」
図3は本発明転動体保持スペーサの第三実施形態を示す。
本実施形態は、鍔状の案内部5の母線形状を円弧状に構成した実施の一形態である。転動体保持スペーサ1は、鍔状の案内部5の母線形状を円弧状とした点以外、基本的には第一実施形態の転動体保持スペーサ1と同様の両鍔タイプである。本実施形態の転動体保持スペーサ1を使用することにより、転動体保持スペーサ1の案内部5の外周は、第一実施形態よりさらに優れた潤滑状況を実現できる。なお、第二実施形態の転動体保持スペーサ1の鍔状の案内部5の母線形状を、本実施形態と同様に円弧状とすることも可能で本発明の範囲内である。
その他の構成および作用効果は第一実施形態と同様である。
【0010】
「第四実施形態」
図4は本発明転動体保持スペーサの第四実施形態を示す。
本実施形態は、鍔状の案内部5の厚みW2方向での断面母線形状を楕円状に構成した実施の一形態である。
転動体保持スペーサ1は、案内部5の厚みW2方向での断面母線形状を楕円状とした点以外、基本的には第一実施形態の転動体保持スペーサ1と同様の両鍔タイプである。なお、第二実施形態の転動体保持スペーサ1の案内部5の厚みW2方向での断面母線形状を、本実施形態と同様に楕円状とすることも可能で本発明の範囲内である。
その他の構成および作用効果は第一実施形態と同様である。
【0011】
「第五実施形態」
図5は、本発明転動体保持スペーサの第五実施形態を示す。
本実施形態は、本体2の中心部に潤滑剤の流通を促進する貫通穴6を設けた実施の一形態である。貫通穴6の穴径などは任意で本発明の範囲内で設計変更可能である。転動体保持スペーサ1は、このように貫通穴6を設けた点以外、基本的には第一実施形態の転動体保持スペーサ1と同様の両鍔タイプである。なお、第二実施形態の転動体保持スペーサ1、第三実施形態の転動体保持スペーサ1、若しくは第四実施形態の転動体保持スペーサ1のいずれかの本体2中心部に、本実施形態に示したような貫通穴6を設けるものとすることも勿論可能で本発明の範囲内である。
【0012】
次に、上述した転動体保持スペーサ1の利用形態の一例として、転がり玉軸受に組み込んだ本発明の実施の形態を以下に示す。
なお、本実施形態では、転動体保持スペーサの利用形態として転がり玉軸受をもって以下に説明するが、この転動体保持スペーサの利用形態はこれに限定解釈されるものではなく、組み込まれる転動体が転がり運動をする装置、例えばリニアガイド装置やボールねじに組み込むことも本発明の範囲内である。
【0013】
転がり玉軸受7は、軸受軌道輪(軸受外輪)8の内径9と、軸受軌道輪(軸受内輪)11の外径12間に形成される軌道溝10,13に、転動体保持スペーサ1を介して複数の転動体14,14…が組み込まれて構成されている。
軌道輪8,11のいずれか一方あるいは双方共が幅方向の中央で軸方向に二分割されているタイプや、いずれの軌道輪8,11も分割されていないタイプを用いることも本発明の範囲内で可能である。また、二分割タイプは、ボルト・リベット等で一体に組み立てられるものもある。さらに、軌道輪8,11はフランジ付きか否か限定されず、一方又は双方共にフランジ付きとすることも可能である。また、少なくともいずれか一方の軌道輪の軌道溝が、二つの軌道面から構成されているものでもよく本発明の範囲内で適宜選択される。二つの軌道面からなる場合、転動体14の半径よりも大きな半径の軌道面10a・10b,13a・13bにより形成されている。
各軌道溝の形状は、転動体14の転がりに適切な形状を有しているものであれば、断面アーチ状あるいはV字状等任意で、また曲線状あるいは直線状等のいずれであってもよく特に限定されるものではない。
転動体と軌道面との間における予圧の付与される状態は特に限定されず、すなわち、製造段階で予圧が付与されても付与されなくてもよくいずれも本発明の範囲内である。
これら軸受の軌道輪8,11と転動体14の材質としては、通常軸受鋼が用いられるが、使用環境に応じて、浸炭鋼、ステンレス鋼、M50などの耐熱鋼、セラミックス等が適宜選択される。ステンレス鋼の成分は特に限定されず、オステンナイト系ステンレス鋼でも、マルテンサイト系ステンレス鋼でも、析出硬化系ステンレス鋼でもよく本発明の範囲内で適宜選択可能である。また、セラミックス材の種類は特に限定されず、アルミナ系、ジルコニア系、窒化ケイ素系、炭化ケイ素系など構造用セラミックス材は選定可能である。
さらに、軌道輪8,11,転動体14はすべて同じ材質からなるものに限定されず、必要により、夫々異なる材質を使うことでも良く(ハイブリット)任意である。例えば、軌道輪8,11の材質を軸受鋼、転動体14の材質をセラミックスと選定することもできる。
軌道輪8,11,転動体14の表面処理については特に限定されず任意であり、浸炭,窒化など表面強化処理してもよい。また、軌道輪8,11,転動体14の表面被膜についても限定されず任意であり、被膜材としては金属、金属化合物やセラミック被膜などが適宜選択される。被膜は単一被膜でも、複合被膜でもよい。また、軸受の潤滑剤は特に限定されず、グリースでもオイルでも良い。
この本実施形態によれば、次のような作用効果を奏する。
転動体保持スペーサ1の倒れは、軸受内輪外径12と外輪内径9との間に設置された転動体保持スペーサ1の案内部5に制限されるため、軸受円周すきま及び転動体と転動体の間の間隔値と関係なくいつも転動体保持スペーサの倒れを防止することができる。
以下、具体的な実施の形態について説明する。なお、夫々に使用される各転動体保持スペーサ1については、上述した説明を援用し詳細は省略する。
【0014】
「第一実施形態」
図7は、本発明玉軸受の第一実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保持スペーサ1の第一実施形態を使用した深溝玉軸受の一例を示す。本実施形態では、外輪8,内輪11共に一体のものを使用するが、外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。
「第二実施形態」
図8は、本発明玉軸受の第二実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保スペーサ1の第一実施形態を使用したアンギュラ玉軸受の一例を示す。外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。
「第三実施形態」
図9は、本発明玉軸受の第三実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保持スペーサ1の第一実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。本実施形態では、外輪8に二分割されているタイプを用いるが、これに限定されるものではなく、内輪11を二分割するタイプ、あるいは外輪8,内輪11の双方共に二分割するタイプ又は双方共に二分割されていないタイプを用いるなど任意であり、外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。また、本実施形態では外輪8,内輪11の双方の軌道溝10,13にゴシックアーチ溝を採用する。また、本実施形態では、双方の軌道輪8,11の軌道溝10,13が二つの軌道面10a・10b,13a・13bから構成されているもので、夫々転動体14の半径よりも大きな半径の軌道面により形成されている。なお、少なくともいずれか一方の軌道輪の軌道溝が、二つの軌道面から構成されているものでもよく本発明の範囲内で適宜選択される。
「第四実施形態」
図10は、本発明玉軸受の第四実施形態を示す。本実施形態は、図1に示す転動体保持スペーサ1の第一実施形態を使用した3点接触玉軸受の一例を示す。本実施形態では、外輪8に二分割されているタイプを用いるが、これに限定されるものではなく、内輪11を二分割するタイプ、あるいは外輪8,内輪11の双方共に二分割するタイプ又は双方共に二分割されていないタイプを用いるなど任意であり、外輪8,内輪11,転動体(玉)14の構成については特に本実施形態では限定されるものはなく、本実施形態の範囲内で設計変更可能である。また、本実施形態では外輪8の軌道溝10にゴシックアーチ溝を採用する。
「第五実施形態」
図11は、本発明玉軸受の第五実施形態を示す。本実施形態は、図2に示す転動体保持スペーサ1の第二実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
本実施形態では、第二実施形態に示す片鍔タイプの転動体保持スペーサ1を、軸受外輪内径9と内輪外径12の間にて円周方向に複数個組み込む際に、夫々の鍔状の案内部5を同一方向に向けた状態(図面で向かって左側に揃えた状態)に配設した実施の一形態である。
「第六実施形態」
図12は、本発明玉軸受の第六実施形態を示す。本実施形態は、図3に示す転動体保持スペーサ1の第三実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
本実施形態の転動体保持スペーサ1を使用することにより、転動体保持スペーサ1の鍔状の案内部5の外周は、第一実施形態の転動体保持スペーサ1よりさらに優れた潤滑状況を実現できる。
「第七実施形態」
図13は、本発明玉軸受の第七実施形態を示す。本実施形態は、図4に示す転動体保持スペーサ1の第四実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
「第八実施形態」
図14は、本発明玉軸受の第八実施形態を示す。本実施形態は、図5に示す転動体保持スペーサ1の第五実施形態を使用した4点接触玉軸受の一例を示す。
「第九実施形態」
図15は、本発明玉軸受の第九実施形態を示す。
すなわち本実施形態は、図2に示す転動体保持スペーサ(片鍔タイプ)1の第二実施形態を、軸受外輪内径9と内輪外径12の間にて円周方向に複数個組み込む際に、夫々の鍔状の案内部5を両振り状態に配設した実施の一形態である。
「第十実施形態」
図16は、本発明玉軸受の第十実施形態を示す。
本実施形態は、本発明玉軸受の第三実施形態の軸受内輪外径12と外輪内径9に、図1に示す第一実施形態の転動体保持スペーサ1の鍔状の案内部5をガイドする溝15a,15bを設けた実施の一形態である。
本実施形態によれば、溝15a,15bによって形成されるガイド空間16は、その軸受軸方向長さW4を鍔状の案内部5の突状長さW3よりも僅かに長くすると共に、軸受径方向幅W5を鍔状の案内部5の軸受径方向幅W1よりも僅かに幅広状とする。なお、この溝15a,15bの形状は特に図示形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
また、本実施形態は、第三実施形態の玉軸受7を用いて説明したが、第一実施形態及び第二実施形態、第四実施形態乃至第九実施形態の玉軸受7にて本実施形態構成を採用することも可能である。
「第十一実施形態」
図17は本発明の第三実施形態の玉軸受構成に、密封板17を配設した実施の一形態を示した図である。
密封板17は接触シール若しくは非接触シール、あるいはシールに代えてシールドを用いることもできる。シール,シールドの材質は限定されないが、ニトリルゴムまたはステンレスが好ましい。なお、本実施形態では両側に密封板17,17を配設しているが、いずれか一方のみに密封板を配設することもできる。このように密封板を設ける場合、密封板配設スペースSが軸受内スペースで取られるため、軸受コンパクト化を図るには、軸受内スペースの広狭にもよるが、必要に応じて鍔状の案内部5の突出長さを長短調整する。
また、本実施形態は、第三実施形態の玉軸受7を用いて説明したが、第一実施形態及び第二実施形態、第四実施形態乃至第十実施形態の玉軸受7にて密封板構成を採用することも可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したため、転動体保持スペーサの外周に突設した鍔状の案内部が、例えば転がり運動装置の一つである転がり軸受における軸受内輪外径と外輪内径との間に保持されることとなる。このため、軸受円周すきま及び転動体と転動体の間の間隔値と関係なくいつもスペーサの倒れを防止することができ、転動体のスムース回転を実現することができる。
また、本発明転動体保持スペーサによれば、軸受内での倒れが完全になくなるので、スペーサ材料の選定及び寸法誤差に厳しく制限することが不要となり、コストの低減を実現できる。本発明転動体保持スペーサは軸受内での倒れが完全になくなったので、スペーサの厚みをより薄くすることが可能であり、より多くの転動体を装着することが可能である。
また、軸受のサイズが変わっても転動体の寸法が変わらなければ、同じスペーサが使えるので、特に大きいサイズの軸受の場合、コスト低減の効果が非常に大きい。さらに本発明の転動体保持スペーサは、従来の形のスペーサと同様に低騒音効果がある。
従って本発明により、低コスト・低騒音・高負荷容量という特性を有する玉軸受や、リニアガイド装置・ボールねじなどの転がり運動装置を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明転動体保持スペーサの一実施形態を示す斜視図。
【図2】第二実施形態を示す斜視図。
【図3】第三実施形態を示す斜視図。
【図4】第四実施形態を示す斜視図。
【図5】第五実施形態を示す斜視図。
【図6】転動体保持スペーサの保持部と転動体との接触状態を拡大して示す部分概略図で、(a)は接触箇所が一箇所の場合、(b)は接触箇所が二個所の場合を示す。
【図7】本発明玉軸受の第一実施形態を示す概略断面図。
【図8】本発明玉軸受の第二実施形態を示す概略断面図。
【図9】本発明玉軸受の第三実施形態を示す概略断面図。
【図10】本発明玉軸受の第四実施形態を示す概略断面図。
【図11】本発明玉軸受の第五実施形態を示す概略断面図。
【図12】本発明玉軸受の第六実施形態を示す概略断面図。
【図13】本発明玉軸受の第七実施形態を示す概略断面図。
【図14】本発明玉軸受の第八実施形態を示す概略断面図。
【図15】本発明玉軸受の第九実施形態を示す概略断面図。
【図16】本発明玉軸受の第十実施形態を示す概略断面図。
【図17】本発明玉軸受の第十一実施形態を示す概略断面図。
【図18】従来の転動体保持スペーサを示す斜視図。
【図19】従来技術においてスペーサ倒れの発生状態を示す概略図。
【符号の説明】
1:スペーサ
2:本体
3:相対面
4:保持部
5:案内部
7:玉軸受
14:玉
Claims (9)
- 円筒状本体の相対面に夫々転動体としての玉を保持する保持部を有し、円筒状本体の外周に案内部を有することを特徴とする転動体保持スペーサ。
- 案内部は、外周の相対向する位置に設けられている両鍔タイプとしたことを特徴とする請求項1に記載の転動体保持スペーサ。
- 案内部は、外周の一部にのみ設けられている片鍔タイプとしたことを特徴とする請求項1に記載の転動体保持スペーサ。
- 軌道に複数個の転動体を組み込み、隣り合う転動体と転動体との間に転動体保持スペーサを介在してなる装置であって、該転動体保持スペーサが、円筒状本体の相対面に夫々転動体としての玉を保持する保持部を有し、円筒状本体の外周に案内部を有することを特徴とする転がり運動装置。
- 案内部は、外周の相対向する位置に設けられている両鍔タイプとしたことを特徴とする請求項4に記載の転がり運動装置。
- 案内部は、外周の一部にのみ設けられている片鍔タイプとしたことを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受装置。
- 玉軸受であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の転がり運動装置。
- リニアガイド装置であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の転がり運動装置。
- ボールねじであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の転がり運動装置。
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JP2002255292A JP2004092800A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 転動体保持スペーサ及びこれを用いた転がり運動装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011012769A (ja) * | 2009-07-02 | 2011-01-20 | Jtekt Corp | アンギュラ玉軸受及びアンギュラ玉軸受用セパレータ |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002255292A patent/JP2004092800A/ja active Pending
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