JP2004091508A - ゴム組成物の混合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】充填剤および/または補強剤を多量に配合したゴム組成物において、充填剤および/または補強剤を短時間で効率よく混合することのできるゴム組成物の混合方法の提供。
【解決手段】原料ゴム100質量部に対し、ゴム用補強剤および/またはゴム用充填剤(以下ゴム用補強剤という)を80質量部以上、および、ゴム用軟化剤および/またはゴム用可塑剤(以下ゴム用軟化剤という)を含有するゴム組成物を密閉式混合機で製造する方法であって、密閉式混合機に、原料ゴムと、ゴム用軟化剤の一部または全部を同時又は逐次に投入し、同時にまたはその後ゴム用補強剤の一部または全部を投入し、原料ゴムとゴム用補強剤とゴム用軟化剤とを混合する、ゴム組成物の混合方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム組成物の混合方法に関し、詳しくは、原料ゴムにゴム用補強剤および/またはゴム用充填剤が効率よく充填(混合)されるゴム組成物の混合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築機械等に用いられる油圧ホースには、軽量化、細径化が強く要求されており、この実現手段として、ホース内管ゴムの薄肉化が考えられる。
しかしながら、従来のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)系内管ゴム組成物では、未加硫ゴムの流動性が大きく、ゴム加硫初期に(加硫誘導期)にゴムの粘度が低下して、外圧等によって流動し、肉厚の薄い部分ができるなどゴム厚さの変動を起こし易いため、単純に内管ゴムの肉厚を薄肉化した場合には、ホース内管ゴムの外側に編みこむ補強層のわずかなずれや、ホース内管ゴムの肉厚の寸法変動に対する安全率が低下し、加硫時の加圧による内圧負荷、補強層の締付力およびゴムの熱膨張などの作用により、肉厚寸法の薄い部分ができ(寸法変動)、さらに極度に肉厚の薄い部分では、ホースの使用時に内圧の負荷による応力に抗しきれず、当該部分が破壊し、内管のゴム層に補強層まで貫通する穴(ピンホール)があき、作動油が流出するという問題があった。このため、これまでホース内管ゴムの薄肉化の実現が困難であった。
この問題の改善を狙って、配合処方による改善策が種々提案されているが、ゴム組成物の特性とホース内管ゴムの肉厚寸法の変動との関係が十分に解明されていないため、いずれも満足できる結果を得るにはいたっていない。
【0003】
上記問題の解決策のひとつに、ホース内管ゴム用のゴム組成物に補強剤を多量に配合するという方法が考えられる。これは、ゴム組成物に補強剤を多量に配合し、混合することにより、バウンドラバー(カーボンゲル)の生成量を増大させ、加硫時のゴム組成物の流動性を低下させ、これにより、補強層の位置が多少ずれても、内管ゴム層の寸法変動を防止するというものである。
【0004】
従来、このようなゴム組成物の混合では、原料ゴムと補強剤とを高せん断速度下、高温、高粘度の状態(高せん断応力)で混合することで、バウンドラバー生成量がより増大すると考えられてきた。しかしながら、このような混合では混合時間が増加し、生産効率が悪くなる問題があることも知られていた。さらに、高温での混合時間が長くなれば、原料ゴムの種類によっては、原料ゴムの分子鎖切断等の劣化が無視できない程大きくなる場合もあった。
【0005】
ところで、軟化剤や可塑剤は、ゴムを可塑化、低粘度化して、補強剤等の配合剤のゴム中での分散性を向上させる一方、せん断応力を低下させ、バウンドラバー生成量を減少させると考えられてきた。そこで、ゴムに補強剤等と軟化剤や可塑剤を配合するゴム組成物の混合では、まず原料ゴムと補強剤とを、ゴムの腰が強い状態(高せん断応力)で混練し、補強剤の混練が行われた後、即ちBIT(Black incorporation time)以後に一括ないし数分割して軟化剤や可塑剤を投入、混練する方法が、一般的に行われてきた。原料ゴムが極度に硬い場合等の特別な場合を除いては、軟化剤や可塑剤を、補強剤より先に添加することや、あるいは同時に添加することは、カーボンブラックの分散やバウンドラバーの生成を阻害し、混合効率を低下させると考えられてきた。
【0006】
従って、ホース内管ゴムの薄肉化を実現するために、ホース内管ゴム用のゴム組成物に補強剤を多量に配合するという方法を採ると、このような高充填配合系では、従来の混合方法では、ゴムの混合開始時からカーボンブラックがゴムに取り込まれるまでの時間(BIT;Black incorporation time)が非常に長く、混合加工性および生産性が悪いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、ゴム用補強剤を多量に配合したゴム組成物において、ゴム用補強剤を短時間で効率よく混合することのできるゴム組成物の混合方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討した結果、ゴム用補強剤および/またはゴム用充填剤(以下、補強剤ともいう)を多量に配合したゴム組成物において、ゴム用軟化剤および/またはゴム用可塑剤(以下、軟化剤ともいう)が、ゴムを可塑化してゴム中での補強剤等の配合剤の分散性を向上させるという効果を有するばかりでなく、補強剤を湿潤させ、ゴムとの混合加工性を向上させ、BITまでの時間を顕著に短縮する効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、 原料ゴム100質量部に対し、ゴム用補強剤および/またはゴム用充填剤(以下ゴム用補強剤ともいう)を80質量部以上、および、ゴム用軟化剤および/またはゴム用可塑剤(以下ゴム用軟化剤ともいう)を含有するゴム組成物を密閉式混合機で製造する方法であって、
密閉式混合機に、原料ゴムと、ゴム用軟化剤の一部または全部を同時又は逐次に投入し、同時にまたはその後ゴム用補強剤の一部または全部を投入し、原料ゴムとゴム用補強剤とゴム用軟化剤とを混合する、ゴム組成物の混合方法を提供する。
【0010】
前記原料ゴムが、アクリロニトリル量が20〜45質量%、100℃におけるムーニー粘度が50以上のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムであり、前記ゴム用補強剤が、粒子径が26〜100nm、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積(CTAB)が100[m3 /g]以下のカーボンブラックであり、前記ゴム用軟化剤の含有量が4〜20質量部であり、かつ、カーボンブラックとの含有量比([ゴム用軟化剤]/[カーボンブラック])が質量比で0.01以上0.18以下であるのが好ましい。
【0011】
前記ゴム組成物がホース内管ゴム用ゴム組成物として用いられるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物の混合方法(以下、本発明の混合方法という)の特徴は、ゴムに補強剤を充填する際に、軟化剤も充填することである。このようにすることにより、BITを顕著に短縮したものである。
また、本発明の混合方法は、密閉式混合機によるゴム組成物の混合方法である。
【0013】
本発明において、BIT(Black incorporation time)とは、密閉式混合機の電力−時間曲線において、未加硫ゴム(原料ゴム)中にカーボンブラックを投入後、第2ピーク(カーボンブラックを投入することにより電力が急激に上昇し、その後、一旦低下した後再度上昇−低下して生じる2番目のピーク)までの時間をいい、カーボンブラックがゴムに取り込まれる(混入・ 一体化する)時間を表す。カーボンブラックの分散終了の目安である。BITは、混合機のモーターにかかる電力の値を測定することにより求められる。
【0014】
さらに、具体的に説明すると、まず、ゴムをローターで素練すると、ゴムが小さな塊にちぎられていき、ついで補強剤を配合すると、電力が急激に上昇する。補強剤はゴムの小さな塊にまぶされ、さらに、ゴムの塊は小さくちぎられていくと、電力が低下し始める。
ついで、ゴムと補強剤がぬれあって、混合機内の圧力により補強剤がゴムに圧入され始めると、再び電力が上昇し始める。更に混練が進み、ゴム中に補強剤が取り込まれると電力は低下し始める。この電力が一旦低下した後、ゴムに補強剤が取り込まれ、再びわずかに電力が上昇し低下して小さなピークを生じる。
【0015】
このわずかなピークが、補強剤のゴム中への分散の終了を意味し、補強剤の投入からこの点までの時間を、BIT(Black incorporationtime)という。BITが長ければ、ゴムに補強剤が取り込まれ混合分散するための時間が長くかかるということを意味する。
【0016】
以下に、本発明の混合方法について説明する。
一般に密閉式混合機での混合では、混合機の中に原料ゴムや補強剤が充填され、ついでラムを摺動させてフローティングウェイトが下り混合機内が密閉され、十分に加圧された状態で、混合が効果的に行われる。また、通常、原料ゴムをある程度素練してから、軟化剤・補強剤等の配合剤を投入する。ここで、投入とは、密閉式混合機内に投入して無加圧状態でそのまま、または必要により切り返しを行う状態をいい、混合とは混合機中での加圧下での混合または混練をいう。
本発明の混合方法では、ゴムを混合するローターのせん断速度は、特に限定しないが、50〜500s−1が好ましく、100〜200s−1がより好ましい。この範囲であると、効率良く混練が行われるという理由で好ましい。
ここでせん断速度とは、密閉式混合機のロータの先端が描く円の円周に、ロータの1秒間の回転数を掛けて得られる積を先端の間隔で除して計算される。即ちせん断速度は、先端の間隔で先端の速度を割った値である。
また、混合温度は、特に限定しないが、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましい。
【0017】
ついで、本発明の混合方法においては、フローティングウェイトを上げ、ゴムの充填されている混合機内に、補強剤とともに軟化剤を投入する。補強剤の充填に際し、軟化剤も混合機に投入することにより、補強剤を軟化剤により湿潤させ、ゴムと補強剤との混合の効率を向上させ、BITまでの時間を顕著に短縮することができる。
【0018】
フローティングウェイトが上がって混合機が密閉されていない間は、混合機内が加圧されず、この状態でローターを回転させても、ゴムと配合剤を混ぜるだけで、配合剤はゴムに圧入され混練されてはいかない。従って、フローティングウェイトが上がっている間に投入するかぎりは、補強剤、軟化剤、これらを同時に混合機に投入しても、また、どちらを先に混合機に投入してもよい。
フローティングウェイトが上がっている間に投入するかぎりは、補強剤、軟化剤、それぞれの配合量全量を、1回で混合機に投入してもよいし、それぞれ複数回に分けて投入してもよい。
【0019】
補強剤の原料ゴムへの配合量は、原料ゴム100質量部に対し、80質量部以上である。補強剤の配合量が80質量部未満では、得られるゴム組成物のバウンドラバー生成量が十分でなく、流動防止効果が十分ではない。従って、ホース内管ゴムの薄肉化にともなうピンホールの発生が防止できない。補強剤の配合量は使用するカーボンブラックの種類によって異なるが、80〜150質量部が好ましい。
【0020】
補強剤の充填に際し、混合機に投入する軟化剤の配合量は、原料ゴム100質量部に対し、4〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。さらにカーボンブラックとの配合量比([ゴム用軟化剤]/[カーボンブラック])が質量比で0.01以上0.18以下であるのが好ましく、0.05〜0.15であるのがより好ましい。この範囲内であれば、ゴムと混合機のローターの間でオイルスリップも起こらず、また、BITを顕著に短縮することができる。
【0021】
補強剤および軟化剤と共に、本発明の目的を損なわない範囲で、通常、ゴム組成物に配合されるゴム用配合剤、例えば、老化防止剤、ステアリン酸等の通常のゴムに使用される配合剤を必要に応じて配合してもよい。
【0022】
ついで、ラムを押し下げてフローティングウェイトを下ろし、混合機内を密閉し加圧して混合を続ける。
混合機内に、補強剤とともに軟化剤を投入、混合すると、軟化剤により、混合機のモーターにかかる電力は初め低下するが、その後再び上昇する。そこで、ゴムを可塑化させたり、配合剤の分散を助け、圧延、押出し等の加工性の向上のために、ふたたびフローティングウェイトを上げて、さらに軟化剤を投入してもよい。以降、繰り返し軟化剤を添加してもよい。
【0023】
ゴム組成物に補強剤が充填される際に配合される軟化剤以外の、後添加される軟化剤の量は、ゴムの物性、硬さ、ゴム組成物の加工性等を考慮して適宜決めることが出来るが、ゴム組成物に、補強剤と共に、および、後添加で配合される軟化剤の合計量は、原料ゴム100質量部に対し、30質量部以下が好ましく、3〜25質量部がより好ましい。上記範囲より多いと、得られるゴム組成物の表面に軟化剤が滲出してくるため好ましくない。
【0024】
混合中、ラムを上げて、フローティングウェイトを上げ、混合機の密閉状態を破ると、ゴムを大きく反転させることができる。すなわち、それまでローターにより一定の方向に流動していたゴムの流れを切り返すことができる。そのため、混合時にラムを上げるのは、混合の効率を上げることが出来好ましい。
【0025】
モーターにかかる電力の変化から、補強剤の分散終了を意味する電力の発生を確認し、補強剤がゴムに完全に取り込まれてゴム組成物が塊になったら、混合を終了し、ゴム組成物を混合機より取り出してよい。
混合機に充填されるゴム、補強剤、軟化剤、その他の配合剤の量により、BITは異なるが、混合の生産性から、BITが短い方が、より好ましい。
【0026】
次に、本発明の混合方法に用いられる各原料成分について説明する。
本発明の混合方法に用いられる原料ゴムは、建設機械等の油圧ホース等のホース内管を製造するのに好適なゴムが好ましく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンープロピレン(−ジエン)共重合ゴム(EP(D)M)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、水素化NBR、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム/塩化ビニル樹脂ポリブレンド(NBR/PVC)、等が例示される。
これらの中でも、耐油性に優れることより、NBRが好ましい。
NBRとしては、アクリロニトリル量が20〜45質量%であるのが好ましく、25〜40質量%であるのがより好ましい。また、JIS K 6300に基づき100℃にて測定したムーニー粘度(ML1+4 ;100℃)が、50以上であるのが好ましく、60〜85であるのがより好ましい。ムーニー粘度が50未満であると、NBRが補強剤と十分に結合することができず、加硫時のゴムの吹き出しを防止することが出来ない。
【0027】
本発明の混合方法に用いることの出来るゴム用補強剤としては、一般に、ゴム組成物に配合される補強剤を用いることが出来、例えば、カーボンブラック、ホワイトカーボン(シリカ)等が挙げられる。
また、本発明の混合方法に用いることの出来るゴム用充填剤としては、一般に、ゴム組成物に配合される充填剤を用いることが出来、例えば、重質炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、焼成クレー、マイカ、珪藻土等が挙げられる。
本発明では、以上のゴム用補強剤および/またはゴム用充填剤を総称してゴム用補強剤と記載する。
【0028】
これらのゴム用補強剤、ゴム用充填剤の中でも、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、粒子径が26〜100nmであるのが好ましい。粒子径が26nm未満であると、得られる未加硫ゴム組成物が硬くなりすぎ、押出し性が不良となる。
また、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積(CTAB)が100[m3 /g]以下であるのが好ましい。なお、CTAB比表面積の測定方法は、ASTM−D3765−80による。
粒子径、および、CTABが上記範囲内であるカーボンブラックは、補強作用に優れ、得られるゴム組成物が耐摩耗性、引張強度に優れ、高モジュラスを示す。
このようなカーボンブラックとしては、ASTMによるカーボンブラックの分類で、FEF、GPF、SRF等が挙げられる。
【0029】
本発明の混合方法に用いることの出来るゴム用軟化剤としては、一般に、ゴム組成物に配合される軟化剤を用いることが出来、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系等のプロセスオイル、ひまし油、綿実油、アマニ油、なたね油、大豆油、パーム油等の植物油、ロジン等が挙げられる。
【0030】
本発明の混合方法に用いることの出来るゴム用可塑剤としては、一般に、ゴム組成物に配合される可塑剤を用いることが出来、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート等のフタル酸エステル系、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ−(ブトキシエトキシエチル)アジペート等のアジピン酸エステル系、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル系、トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート等のリン酸エステル系等の合成可塑剤が挙げられる。
ゴムとしてNBRを用いる場合は、相溶性という理由から、上記の可塑剤を用いるのが好ましい。
本発明では、以上のゴム用軟化剤および/またはゴム用可塑剤を総称してゴム用軟化剤と記載する。
【0031】
補強剤として上述の特性を有するカーボンブラックを配合する場合、軟化剤の配合量は、カーボンブラックとの配合量比([ゴム用軟化剤および/またはゴム用可塑剤]/[カーボンブラック])で0.18以下(質量比)であるのが好ましく、0.04〜0.16であるのがより好ましい。この範囲であれば、ゴムと混合機の壁面やローターとの間でオイルスリップが起こることなく、十分にゴム組成物の混合が行える。
【0032】
上記本発明の混合方法により得られるゴム組成物は、ゴム中に補強剤が十分に取り込まれ、ゴムと補強剤とが結合している。ゴムと補強剤が結合すると、加硫時にゴム組成物がある程度の硬さをもつことが出来、加圧加硫時のゴム組成物の吹き出しを防止できる。
ゴムに補強剤が取り込まれ分散すると、補強剤はその表面活性のために、ゴムと化学的あるいは物理的に結合して、溶剤に対し膨潤するが完全には溶解しない結合体(バウンドラバー、あるいはカーボンゲルともいう)を作る。従って、このバウンドラバー量を測ることにより、ゴムと結合した補強剤の量を評価することが出来る。
【0033】
バウンドラバー量の測り方は、未加硫ゴムを裁断し、その質量を測定後、風袋質量既知の金網(150メッシュ)製の試料カゴに入れ、カゴごと、トルエン中に24時間、静かに浸漬する。その後、カゴを取り出し、トルエン不溶分(カーボンゲル)を充分乾燥させ、その質量を測定する。未加硫ゴム質量中のゴムポリマー質量(未加硫ゴム質量にゴム含有率を乗じた質量)に対する不溶分中のゴムポリマー質量(不溶分からカーボンブラック等のトルエン不溶分を除いた質量)の割合(%)を求めた。すなわち、ゴムと補強剤とが相互作用した部分(バウンドラバー)は、溶剤に溶けずに金網の上に残る。バウンドラバーとはなっていないゴムと補強剤は、ゴムは溶剤に溶け出し、補強剤は金網を通って沈殿する。金網の上に残ったゴム組成物の量を測ることにより、バウンドラバー量を測定することができる。
【0034】
本発明の混合方法で得られるゴム組成物のバウンドラバー量は、15質量%以上が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、25〜50質量%がさらに好ましい。
【0035】
また、本発明の混合方法により得られるゴム組成物の加硫時の流動性は、ホース内管ゴムの、ピンホールの発生を防止するという観点から、適度に低いことが好ましい。
ゴム組成物の加硫時の流動性の測定は、以下の方法により測定することが出来る。
ゴムを流し込むための長さ(L)15mm、直径(D)1.5mmの細管(オリフィス)を有するチャンバーとチャンバー内に充填した未加硫ゴム組成物を加圧できるシリンダーとオリフィスを通して流出したゴムを保持するキャビティーを有する、加硫用の金型(モールド)を用意する。オリフィスを予め150℃に加熱しておき、40gの未加硫ゴム組成物をチャンバーに充填して、150℃、圧力1.5MPaの条件で20分シリンダー内に保持し、試験中にチャンバーからオリフィスを通して、キャビティー内に流出し、加硫されるゴムの質量を測定して(比重が異なる場合は体積を評価する。)値が小さいほど、流動性が小となり良好である。
【0036】
また、ゴム組成物を150℃で30分間加硫したシートを用い、JIS K 6251に規定されている方法に準じて測定した100%モジュラスが、10MPa以上であるのが好ましく、13〜16MPaであるのがより好ましい。引張強さは、17MPa以上であるのが好ましく、19MPa以上であるのがより好ましい。
また、JIS K 6253に規定されている方法に準じて測定したJIS A硬度が、75〜95が好ましく、80〜90がより好ましい。この範囲であれば、得られるゴム組成物を用いて製造したホースが、ホースをかしめる金具によってへたりにくい。
【0037】
本発明のゴム組成物の混合方法は、上記構成を採ることにより、多量の補強剤を含有するゴム組成物の混合時間を大幅に短縮することができる。従って、混合作業性を向上することが出来、生産性が高い。
本発明のゴム組成物の混合方法により得られるゴム組成物は、多量の補強剤を含有するため、加硫時にゴム組成物がある程度の硬さを有し、それにより、薄肉化しても、製造時にピンホールの発生を防止することができる。該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムは、軽量化、細径化が可能であり、高モジュラスで、ホースの内管ゴムとして好適である。
本発明のゴム組成物の混合方法は、建設機械の油圧ホース等として用いられるスリムホースなどのホース内管ゴム用ゴム組成物の混合方法として好適である。
【0038】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<カーボン配合量と、可塑剤添加の評価>
(実施例1〜2、比較例1〜8)
下記第1表に記載の化合物を下記第1表に記載の組成比(単位は質量部)で、以下に記載の混合仕様に従って、容量3リットルのラボ用密閉式混合機に投入し、混合した。ローターの回転数は60rpm、せん断速度は184(s−1)、混合機温度は、50℃程度とした。電力−時間曲線よりBITを測定し、得られたゴム組成物についてバウンドラバー量を測定した、バウンドラバー量の測定には、ゴム組成物を浸漬する溶剤としてトルエンを用いた。結果を第1表に示す。
比較例1〜5では、可塑剤をカーボンブラック投入時に投入せず、カーボンブラック投入から2分後に投入した。これに対し比較例6〜8、実施例1〜2では、カーボンブラック投入時に可塑剤を投入した。
表中の混合仕様は該当する作業の開始が0分00秒から測定した時刻であったことを示す。
【0039】
<混合仕様>
(比較例1〜5)
(1)混合機にゴムを投入し1分間素練りをする。
(2)カーボンブラック、可塑剤以外のその他の配合剤を投入し2分混合する。
(3)可塑剤を投入し、そのまま10秒ほどラムを上げ続け、ゴム組成物を切り返してから、ラムを下げ、さらに1分間混合する。
(4)混合開始から4分後に、混合物を混合機より取り出す。
【0040】
(比較例6〜8、実施例1〜2)
(1)混合機にゴムを投入し1分間素練りをする。
(2)カーボンブラック、可塑剤、その他の配合剤を投入し2分混合する。
(3)ラムを上げることによりゴム組成物を切り返してから、ラムを下げ、さらに1分間混合する。
(4)混合開始から4分後に、混合物を混合機より取り出す。
【0041】
【表1】
Figure 2004091508
【0042】
図1に、比較例1〜5(−◆−)と、比較例6〜8および実施例1〜2(−●−)において得られた結果を、カーボンブラック配合量(原料ゴム100質量部に対する量[質量部])を横軸に、BIT[秒]を縦軸にとり、グラフとして示す。
【0043】
<BITに対する可塑剤添加量の効果の評価>
(実施例3〜10、比較例9〜10)
下記第2表に記載の化合物を下記第2表に記載の組成比(単位は質量部)で、実施例1と同様の混合仕様に従って、密閉式混合機に投入し、混合した。ローターのせん断速度、混合温度は、実施例1と同様とした。BITを測定し、得られたゴム組成物のバウンドラバー量を測定した。結果を第2表に示す。
比較例9、実施例3〜6では、カーボンブラックの配合量を、原料ゴム100質量部に対し80質量部とした。比較例10、実施例7〜10では、カーボンブラックの配合量を、原料ゴム100質量部に対し100質量部とした。
【0044】
図2に、比較例9、実施例3〜6(−●−)と、比較例10、実施例7〜10(−◆−)において得られた結果を、可塑剤配合量(原料ゴム100質量部に対する量[質量部])を横軸に、BIT[秒]を縦軸にとり、グラフとして示す。
比較例9、実施例3〜6(−●−)の結果から、特に、カーボンブラックの配合量が多い(100質量部)場合に、可塑剤を少量、同時添加することで、BITが顕著に短縮されることがわかる。
【0045】
【表2】
Figure 2004091508
【0046】
<表中の各成分>
ゴム:NBR(アクリロニトリル含有量29.0%、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)78)、日本ゼオン社製、Nipol 1043
補強剤(CB):GPF級カーボンブラック、東海カーボン社製、シーストV
老化防止剤(RD):2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、住友化学工業社製、アンチゲンRD−G
可塑剤(DOP):フタル酸ジオクチル、チッソ社製、商品名D.O.P
促進剤(TT):テトラメチルチウラムジサルファイド、三新化学工業社製、 サンセラーTT−PO
促進剤(CZ):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、三新化学工業社製、サンセラーCM−PO
【0047】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物の混合方法によれば、多量の補強剤を含有し、加硫時にある程度の硬さを有してピンホールを生じにくいゴム組成物を、短時間で製造することができる。
ゴムとして特定の組成と物性を持つNBR、補強剤として特定の種類のカーボンブラックを用い、カーボンブラックとともに配合する軟化剤量を特定範囲内の量とすると、本発明のゴム組成物の混合方法により、耐油性、耐ガス透過性、モジュラス、引張強度に優れるゴム組成物が得られる。
本発明のゴム組成物の混合方法により得られるゴム組成物は、油圧ホース等のホース内管ゴムとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンブラック配合量を横軸に、BITを縦軸にとり、ゴムにカーボンブラックを充填するに際し、可塑剤を添加した場合と添加しない場合の、BITに対する効果の差を示したグラフである。
【図2】軟化剤の配合量を横軸に、BITを縦軸にとり、ゴムにカーボンブラックを充填するに際し、添加する可塑剤量の、BITに対する効果の差を示したグラフである。

Claims (3)

  1. 原料ゴム100質量部に対し、ゴム用補強剤および/またはゴム用充填剤(以下ゴム用補強剤という)を80質量部以上、および、ゴム用軟化剤および/またはゴム用可塑剤(以下ゴム用軟化剤という)を含有するゴム組成物を密閉式混合機で製造する方法であって、
    密閉式混合機に、原料ゴムと、ゴム用軟化剤の一部または全部を同時又は逐次に投入し、同時にまたはその後ゴム用補強剤の一部または全部を投入し、原料ゴムとゴム用補強剤とゴム用軟化剤とを混合する、ゴム組成物の混合方法。
  2. 前記原料ゴムが、アクリロニトリル量が20〜45質量%、100℃におけるムーニー粘度が50以上のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムであり、前記ゴム用補強剤が、粒子径が26〜100nm、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積(CTAB)が100[m3 /g]以下のカーボンブラックであり、前記ゴム用軟化剤の含有量が4〜20質量部であり、かつ、カーボンブラックとの含有量比([ゴム用軟化剤]/[カーボンブラック])が質量比で0.01以上0.18以下である請求項1に記載のゴム組成物の混合方法。
  3. 前記ゴム組成物がホース内管ゴム用ゴム組成物である請求項1または2に記載のゴム組成物の混合方法。
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