JP2004090696A - インホイールモータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】中空形状のモータを弾性体及び/または減衰機構を介して足回り部品に取付けて成るインホイールモータシステムに対し、有効な防水・防塵対策を施して、インホイールモータシステムの信頼性を向上させる。
【解決手段】モータの非回転側ケース3aを、緩衝機構10を介してナックル5に結合し、モータの回転側ケース3bとホイール2とをフレキシブルカップリング20により結合して成るインホイールモータシステムにおいて、軸に垂直な方向の断面形状が波形である第1の環状ダストブーツ30により、上記モータ3とホイール2間に形成される空隙部を外部から遮断して、上記空隙部への石や塵芥等の侵入を防止するとともに、第2の環状ダストブーツ40により、上記フレキシブルカップリング20の内周側に隔壁を形成して、飛び石によるカップリング部の変形や直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】モータの非回転側ケース3aを、緩衝機構10を介してナックル5に結合し、モータの回転側ケース3bとホイール2とをフレキシブルカップリング20により結合して成るインホイールモータシステムにおいて、軸に垂直な方向の断面形状が波形である第1の環状ダストブーツ30により、上記モータ3とホイール2間に形成される空隙部を外部から遮断して、上記空隙部への石や塵芥等の侵入を防止するとともに、第2の環状ダストブーツ40により、上記フレキシブルカップリング20の内周側に隔壁を形成して、飛び石によるカップリング部の変形や直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイレクトドライブホイールを駆動輪とする車両において用いられるインホイールモータシステムに関するもので、特に、モータを弾性体及び/または減衰機構を介して足回り部品に取付けて成るインホイールモータシステムの防水・防塵機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車などのモータによって駆動される車両においてはモータを車輪に内蔵するインホイールモータシステムが採用されつつある。ところで、従来のインホイールモータは、例えば、特許第2676025号公報(図8)や、特表平9−506236号公報(図9(a))、あるいは、特開平10−305735号公報(図9(b))に開示されているように、モータ部(70,80,90)が車両の足回りを構成する部品の一つであるアップライトまたはナックルと呼ばれる部品(71,83,93)に接続するスピンドル軸(71J,84)に固定され、モータロータ(70R,80R,94a)及びホイール(72,81,94)が回転可能な構造となっている。
一般に、足回りにバネ等のサスペンション機構を備えた車両においては、ホイールやナックル、サスペンションアームといったバネ下に相当する部品の質量、いわゆるバネ下質量が大きい程、凹凸路を走行したときにタイヤ接地力の変動が増大し、ロードホールディング性が悪化することが知られている。
【0003】
一方、電気自動車などのモータによって駆動される車両においては、スペース効率や駆動力の伝達効率の高さから、モータを車輪に内蔵するインホイールモータが採用されることがある。しかしながら、従来のインホイールモータは、上記のように、モータステータ部が車両の足回りを構成する部品の一つである、アップライトまたはナックルと呼ばれる部品に接続するスピンドル軸に回転可能に固定されるため、上記のバネ下質量がインホイールモータの分だけ増加し、その結果、タイヤ接地力変動が増大し、ロードホールディング性が悪化してしまうといった問題点があった。
【0004】
そこで、上記のような問題を解決するため、図10に示すような、ステータ3Sを支持する非回転側ケース3aを、直動ガイド11を介して互いに車両の上下方向に作動方向が限定され、かつ、車両の上下方向に作動するバネ12及びダンパー13により結合された2枚のプレート14,15を備えた緩衝機構10を介してナックル5に対して弾性支持するとともに、ロータ3Rを支持する回転側ケース3bとホイール2とを、複数枚の中空円盤状のプレート21〜23を作動方向が互いに直交するように配置された直動ガイド24,25を用いて連結したフレキシブルカップリング20により結合する構成のインホイールモータシステムが考えられる。
上記構成のインホイールモータシステムでは、モータ3を車両の足回り部品に対してフローティングマウントして、モータ3自身をダイナミックダンパーのウエイトとして作用させることができるので、不整路走行時の接地性能、乗り心地性能をともに向上させることができるとともに、上記フレキシブルカップリング20により、モータ軸とホイール軸がどの方向にも偏心可能に結合されるので、モータ3からホイール2へのトルクを効率よく伝達させることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記方法では、モータ3は構造上、足回り部品とは別々に上下振動することになるため、モータ3とホイール2との間にはある程度の空隙が必要になる。このため、車両が砂利道等を走行した場合、このような空隙部に砂利等が入り込むと、モータ3がホイール2内で振動したりするなど、モータ3を傷める恐れがある。また、上記フレキシブルカップリング20が円滑に動作するためには、飛び石によるカップリング部(直動ガイド24,25及びその周辺の中空円盤状のプレート21〜23)の変形や、直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止する必要がある。
また、モータ3と足回り部品とは別々に動くことになるため、モータ軸と車軸用のベアリングを別々に設ける必要があるが、上記モータ3のように、中空モータを使用する場合には、モータ用ベアリング3jは大きくなり、回転時の速度が高くなる。そのため、通常の小径のベアリングのシールに使われているようなダストシールが使用できず、水溜まりを通過する場合など、モータ3内に水が浸入してモータ3を傷める危険がある。
そこで、上記のような、モータ3と足回り部品とが別々に上下振動する中空形状のモータを有するインホイールモータシステムに適用可能な防水・防塵機構の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、中空形状のモータを弾性体及び/または減衰機構を介して足回り部品に取付けて成るインホイールモータシステムに対して有効な防水・防塵対策を施し、上記インホイールモータシステムの信頼性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、車輪部に設けられた中空形状のダイレクトドライブモータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に弾性支持し、上記モータの回転側ケースとホイールとをフレキシブルカップリングにより結合させて、上記モータをダイナミックダンパーとして機能させた、モータと足回り部品とが別々に上下振動する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記モータとホイールとの間に1個あるいは複数個の伸縮自在な環状のダストブーツを設けて、上記モータとホイール間に形成される空隙を外部から遮断するようしたことを特徴とするものである。これにより、上記空隙への石や塵芥等の侵入を防止できるので、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載のインホイールモータシステムは、モータの回転側ケースの上記フレキシブルカップリングが装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイールの上記端部に対向する端部との間に、上記環状のダストブーツを装着したものである。
また、請求項3に記載のインホイールモータシステムは、上記フレキシブルカップリングのカップリング部を外部から遮断するための環状のダストブーツを設けたものである。
【0009】
請求項4に記載のインホイールモータシステムは、上記環状のダストブーツの軸に垂直な方向の断面形状を波形としたものである。
請求項5に記載のインホイールモータシステムは、上記環状のダストブーツのホイール側装着部の近傍に、複数の孔部を設けたものである。
【0010】
また、請求項6に記載のインホイールモータシステムは、車輪部に設けられた中空形状のダイレクトドライブモータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に弾性支持したインホイールモータシステムにおいて、上記回転側ケースと非回転側ケースとを連結するモータベアリングの外側に、モータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を設けて、上記モータ内への水の浸入を防止するようにしたもので、これにより、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることが可能となる。
【0011】
請求項7に記載のインホイールモータシステムは、モータベアリングの外側に取付けられたベアリング固定カバー内に中空部を設け、この中空部に上記中空円盤状の隔壁を収納するようにしたもので、これにより、コンパクトな構成の防水機構を実現することが可能となる。
請求項8に記載のインホイールモータシステムは、上記中空円盤状の隔壁と回転側のベアリング固定カバーとの径方向の隙間を、上記中空円盤状の隔壁と非回転側のベアリング固定カバーとの径方向の隙間よりも大きくしたもので、これにより、モータの回転側ケースの回転を滑らかにすることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
なお、以下の説明中、従来例と共通する部分については、同一符号を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係わるインホイールモータシステムの構成を示す図で、同図において、1はタイヤ、2はリム2aとホイールディスク2bとから成るホイール、3は半径方向に対して内側に設けられた非回転側ケース3aに固定されたモータステータ(以下、ステータという)3Sと、半径方向に対して外側に設けられ、軸受け3jを介して上記非回転側ケース3aに対して回転可能に接合された回転側ケース3bに固定されたモータロータ(以下、ロータという)3Rとを備えたアウターロータ型のインホイールモータである。
4はホイール2とその回転軸において連結されたハブ部、5はサスペンションアーム6に連結された、車両の足回り部品であるナックル、7はショックアブソーバ等から成るサスペンション部材、8は上記ハブ部4に装着されたブレーキディスクから成る制動装置で、10はモータの非回転側ケース3aを上記サスペンションアーム6に弾性支持するための緩衝機構、20はモータの回転側ケース3bとホイール2とを結合するフレキシブルカップリングである。
また、30はモータの回転側ケース3bの上記フレキシブルカップリング20が装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイール2の上記端部に対向する端部との間に装着された第1の環状ダストブーツ、40は上記回転側ケース3bの上記フレキシブルカップリング20が装着されている側の端部と、ホイール2の上記端面に対向する端部との間に、上記フレキシブルカップリング20を収納するように装着された第2の環状ダストブーツである。
【0014】
図2は緩衝機構10の一構成例を示す図である。この緩衝機構10は、直動ガイド11を介して互いに車両の上下方向に作動方向が限定され、かつ、車両の上下方向に作動するバネ12及びダンパー13により結合された2枚のプレート14,15を備えたもので、具体的には、サスペンションアーム6側に位置するプレート15の4隅に、車両の上下方向に伸縮する4個のバネ12を取付け、その内側に車両の上下方向に伸縮する2個のダンパー13を取付けるとともに、上記プレート14,15を、プレートの中心に対して対称な位置に配置された4個の直動ガイド11により結合するものである。なお、16はバネ受け部で、17はダンパー取付け部である。
これにより、上記インホイールモータ3を足回り部品に対してフローティングマウントして、上記モータ自身をダイナミックダンパーのウエイトとして作用させることができるので、不整路走行時の接地性能、乗り心地性能を向上させることができる。
【0015】
また、図3はフレキシブルカップリング20の一構成例を示す図で、このフレキシブルカップリング20は、複数枚の中空円盤状のプレート21〜23と、中央の中空円盤状のプレート22の表裏に、作動方向が互いに直交するように配置された直動ガイド24,25とを備えている。詳細には、ホイール2側に位置するプレート21のホイール2とは反対側の面に、180°間隔で取付けられたガイド部材24a,24aと、中間のプレート22の上記プレート21側に取付けられ、上記ガイド部材24a,24aに係合するガイドレール24b,24bとから成る直動ガイド24により中空円盤状のプレート21,22を結合し、上記プレート22の裏面側で、上記ガイドレール24b,24bを90度回転させた方向に180°間隔で取付けられたガイドレール25b,25bと、モータ3側のプレート23の上記プレート22側に取付けられ、上記ガイドレール25b,25bに係合するガイド部材25a,25aとから成る直動ガイド25により中空円盤状のプレート22,23を結合するもので、これにより、モータ軸とホイール軸がどの方向にも偏心可能に結合されるので、回転側ケース3bからホイール2へのトルクを効率よく伝達させることが可能となる。
【0016】
上記のような、モータがダイナミックダンパー機能を有する構成のインホイールモータシステムにおいては、モータ軸は車軸と別々に径方向に揺動可能となるので、図4に示すように、モータ3とホイール2との間に空隙部Sを設ける必要がある。そこで、本例では、モータの回転側ケース3bのサスペンションアーム6側、すなわち、上記フレキシブルカップリング20が装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイール2の上記端部に対向する端部との間に、軸に垂直な方向の断面形状が波形である、略中空円盤形状の第1の環状ダストブーツ30を装着して、隔壁を形成し、上記空隙部Sを外部から遮断するようにしている。これにより、上記空隙部Sへの石や塵芥等の侵入を防止することができるので、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
また、上記第1の環状ダストブーツ30の、軸に垂直な方向の断面形状を波形とすることにより、上記第1の環状ダストブーツ30の径方向の剛性を下げることができるので、ホイール2内でのモータ3の動きをよりスムーズにすることができる。更に、本例では、上記第1の環状ダストブーツ30のホイール2側の装着部近傍に、複数の穴30sを設けて、万一、上記空隙部Sに水が浸入した場合でも、走行中の遠心力で上記水を上記穴30sから外部に排出することができるようにした。
【0017】
また、本例では、図1及び図4に示すように、フレキシブルカップリング20の、ホイールディスク2b側にある中空円盤状のプレート21と、モータ側にある中空円盤状のプレート23のとの間で、上記直動ガイド24,25よりも内周側に、軸に垂直な方向の断面形状が波形である、略中空円盤形状の第2の環状ダストブーツ40を装着し、この第2の環状ダストブーツ40により、上記フレキシブルカップリング20のカップリング部(直動ガイド24,25及びその周辺の中空円盤状のプレート21〜23)を外部から遮断するようにしている。
すなわち、上記第2の環状ダストブーツ40により上記フレキシブルカップリング20の直動ガイド24,25の内周側に隔壁を形成することにより、飛び石による上記カップリング部の変形及び直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止することができるので、上記フレキシブルカップリング20を円滑に動作させることができ、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
また、上記第2の環状ダストブーツ40についても、軸に垂直な方向の断面形状を波形とすることにより、上記第2の環状ダストブーツ40の径方向の剛性を下げることができるので、フレキシブルカップリング20の動きをよりスムーズにすることができる。
【0018】
このように、本実施の形態1によれば、モータの非回転側ケース3aを、緩衝機構10を介してナックル5に結合し、モータの回転側ケース3aとホイール2とをフレキシブルカップリング20により結合したインホイールモータシステムにおいて、軸に垂直な方向の断面形状が波形である第1の環状ダストブーツ30により、上記モータ3とホイール2間に形成される空隙部Sを外部から遮断して、上記空隙部Sへの石や塵芥等の侵入を防止するとともに、第2の環状ダストブーツ40により上記フレキシブルカップリング20の内周側に隔壁を形成して、飛び石によるカップリング部の変形や直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止して、上記フレキシブルカップリング20を円滑に動作させるようにしたので、インホイールモータシステムの信頼性を格段に向上させることができる。
【0019】
実施の形態2.
図5は、本実施の形態2に係わるインホイールモータシステムの構成を示す図で、同図において、1はタイヤ、2はホイール、3は半径方向に対して内側に設けられた非回転側ケース3aに固定されたステータ3Sと、半径方向に対して外側に設けられ、軸受け3jを介して上記非回転側ケース3aに対して回転可能に接合された回転側ケース3bに固定されたロータ3Rとを備えたアウターロータ型のインホイールモータ、4はハブ部、5はナックル、6はサスペンションアーム、7はサスペンション部材、8は制動装置、10はモータの非回転側ケース3aを上記サスペンションアーム6に弾性支持する緩衝機構、20はモータの回転側ケース3bとホイール2とを結合するフレキシブルカップリング、50は上記モータ3の軸方向の隙間を塞ぐように設けられた防水手段である。
この防水手段50は、図6に示すように、モータの軸受け3jの外側に取付けられたベアリング固定カバー51,52の互いに対向する面に、階段状(2段)の切欠き部51k,52kを設けるとともに、上記切欠き部51k,52kのベアリング固定カバー51,52の外周側に、それぞれ蓋部材51p,52pを取付けて中空部53を形成し、この中空部53内にモータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を構成する樹脂リング54を収納することにより構成される。
【0020】
これにより、図7(a)に示すように、モータ3の運転時(回転時)には、モータ3の発熱によりモータ3内部の温度が上昇するため、外気圧に対してモータ内圧が高くなり、上記樹脂リング54はモータ軸方向外側、すなわち、上記蓋部材51p,52p側へ移動するので、車両がある程度水深のある水溜りを通過した場合でも、圧力差によりモータ3内への水の浸入を防ぐことができる。
ところで、モータ3の回転時には、上記樹脂リング54が回転側とともに回転すると、その遠心力により樹脂リング54が拡張し、回転側ケース3bのベアリング固定カバー51に押付られるため、樹脂リング54のモータ軸方向の動きが阻害される恐れがある。そこで、本例では、モータ3の回転時には、上記樹脂リング54が回転側とともに回転しないように、上記樹脂リング54を、上記樹脂リング54と回転側のベアリング固定カバー51との径方向の隙間を、上記樹脂リング54と非回転側のベアリング固定カバー52との径方向の隙間よりも大きくし、上記樹脂リング54が軸方向にスムーズに動けるようにしている。
また、車両が水溜りで停車した場合には、図7(b)に示すように、上記蓋部材51p,52pの隙間から水が浸入するが、上記樹脂リング54は、その圧力によりモータ軸方向内側に移動して上記ベアリング固定カバー51,52で形成されるロータ−ステータ間の隙間を塞ぐため、モータ3内への水の浸入を防ぐことができる。
【0021】
このように本実施の形態2では、モータの軸受け3jの外側に取付けられたベアリング固定カバー51,52の互いに対向する面に、階段状の切欠き部51k,52kを設けるとともに、上記切欠き部51k,52kのベアリング固定カバー51,52の外周側に、それぞれ蓋部材51p,52pを取付けて中空部53を形成し、この中空部53内にモータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を構成する樹脂リング54を収納して防水手段50を設け、上記モータ3の軸方向の隙間を塞ぐようにしたので、上記インホイールモータ3のように、中空形状のモータを使用する場合でも、モータ3内への水の浸入を防ぐことができ、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
【0022】
なお、上記実施の形態1,2では、ステータ3Sを支持する非回転側ケース3aを、車両の上下方向に作動するバネ12及びダンパー13により結合され、直動ガイド11により互いに車両の上下方向に作動方向が限定された2枚のプレート14,15を備えた緩衝機構10を介してナックル5に対して弾性支持した構成のインホイールモータシステムに対する防水・防塵対策について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、車輪部に設けられたダイレクトドライブモータと足回り部品とが別々に上下振動する中空形状のモータを有する構成のインホイールモータシステムであれば適用可能であることはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、モータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に懸架し、上記モータの回転側ケースとホイールとをフレキシブルカップリングで結合した、モータがダイナミックダンパー機能を有する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記中空形状のモータとホイール間に形成される空隙を外部から遮断する伸縮自在な環状のダストブーツを設けることにより、上記モータとホイール間に形成される空隙部を外部から遮断するようにしたので、上記空隙部への石や塵芥等の侵入を防止することができ、インホイールモータシステムの信頼性を格段に向上させることができる。
また、モータベアリングの外側に、モータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を備えた防水手段を設けたので、上記のような中空形状のモータを使用する場合でも、モータ内への水の浸入を防ぐことができ、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるインホイールモータシステムの構成を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態1に係わる緩衝機構の一構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態1に係わるフレキシブルカップリングの一構成例を示す図である。
【図4】環状ダストブーツの取付け状態の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係わるインホイールモータシステムの構成を示す縦断面図である。
【図6】本実施の形態2に係わる防水手段の詳細を示す図である。
【図7】本実施の形態2に係わる樹脂リングの動作を示す図である。
【図8】従来のインホイールモータの構成を示す図である。
【図9】従来のインホイールモータの構成を示す図である。
【図10】モータがダイナミックダンパー機能を有する構成のインホイールモータシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 タイヤ、2 ホイール、2a リム、2b ホイールディスク、
3 インホイールモータ、3R モータロータ、3S モータステータ、
3a 非回転側ケース、3j 軸受け、3b 回転側ケース、4 ハブ部、
5 ナックル、6 サスペンションアーム、7 サスペンション部材、
8 制動装置、10 緩衝機構、11 直動ガイド、12 バネ、
13 ダンパー、14 モータ取付けプレート、15 ナックル取付けプレート、16 バネ受け部、17 ダンパー取付け部、
20 フレキシブルカップリング、21〜23 中空円盤状のプレート、
24,25 直動ガイド、30 第1の環状ダストブーツ、
30s 穴、40 第2の環状ダストブーツ、50 防水手段、
51,52 ベアリング固定カバー、51k,52k 切欠き部、
51p,52p 蓋部材、53 中空部、54 樹脂リング、S 空隙部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイレクトドライブホイールを駆動輪とする車両において用いられるインホイールモータシステムに関するもので、特に、モータを弾性体及び/または減衰機構を介して足回り部品に取付けて成るインホイールモータシステムの防水・防塵機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車などのモータによって駆動される車両においてはモータを車輪に内蔵するインホイールモータシステムが採用されつつある。ところで、従来のインホイールモータは、例えば、特許第2676025号公報(図8)や、特表平9−506236号公報(図9(a))、あるいは、特開平10−305735号公報(図9(b))に開示されているように、モータ部(70,80,90)が車両の足回りを構成する部品の一つであるアップライトまたはナックルと呼ばれる部品(71,83,93)に接続するスピンドル軸(71J,84)に固定され、モータロータ(70R,80R,94a)及びホイール(72,81,94)が回転可能な構造となっている。
一般に、足回りにバネ等のサスペンション機構を備えた車両においては、ホイールやナックル、サスペンションアームといったバネ下に相当する部品の質量、いわゆるバネ下質量が大きい程、凹凸路を走行したときにタイヤ接地力の変動が増大し、ロードホールディング性が悪化することが知られている。
【0003】
一方、電気自動車などのモータによって駆動される車両においては、スペース効率や駆動力の伝達効率の高さから、モータを車輪に内蔵するインホイールモータが採用されることがある。しかしながら、従来のインホイールモータは、上記のように、モータステータ部が車両の足回りを構成する部品の一つである、アップライトまたはナックルと呼ばれる部品に接続するスピンドル軸に回転可能に固定されるため、上記のバネ下質量がインホイールモータの分だけ増加し、その結果、タイヤ接地力変動が増大し、ロードホールディング性が悪化してしまうといった問題点があった。
【0004】
そこで、上記のような問題を解決するため、図10に示すような、ステータ3Sを支持する非回転側ケース3aを、直動ガイド11を介して互いに車両の上下方向に作動方向が限定され、かつ、車両の上下方向に作動するバネ12及びダンパー13により結合された2枚のプレート14,15を備えた緩衝機構10を介してナックル5に対して弾性支持するとともに、ロータ3Rを支持する回転側ケース3bとホイール2とを、複数枚の中空円盤状のプレート21〜23を作動方向が互いに直交するように配置された直動ガイド24,25を用いて連結したフレキシブルカップリング20により結合する構成のインホイールモータシステムが考えられる。
上記構成のインホイールモータシステムでは、モータ3を車両の足回り部品に対してフローティングマウントして、モータ3自身をダイナミックダンパーのウエイトとして作用させることができるので、不整路走行時の接地性能、乗り心地性能をともに向上させることができるとともに、上記フレキシブルカップリング20により、モータ軸とホイール軸がどの方向にも偏心可能に結合されるので、モータ3からホイール2へのトルクを効率よく伝達させることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記方法では、モータ3は構造上、足回り部品とは別々に上下振動することになるため、モータ3とホイール2との間にはある程度の空隙が必要になる。このため、車両が砂利道等を走行した場合、このような空隙部に砂利等が入り込むと、モータ3がホイール2内で振動したりするなど、モータ3を傷める恐れがある。また、上記フレキシブルカップリング20が円滑に動作するためには、飛び石によるカップリング部(直動ガイド24,25及びその周辺の中空円盤状のプレート21〜23)の変形や、直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止する必要がある。
また、モータ3と足回り部品とは別々に動くことになるため、モータ軸と車軸用のベアリングを別々に設ける必要があるが、上記モータ3のように、中空モータを使用する場合には、モータ用ベアリング3jは大きくなり、回転時の速度が高くなる。そのため、通常の小径のベアリングのシールに使われているようなダストシールが使用できず、水溜まりを通過する場合など、モータ3内に水が浸入してモータ3を傷める危険がある。
そこで、上記のような、モータ3と足回り部品とが別々に上下振動する中空形状のモータを有するインホイールモータシステムに適用可能な防水・防塵機構の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、中空形状のモータを弾性体及び/または減衰機構を介して足回り部品に取付けて成るインホイールモータシステムに対して有効な防水・防塵対策を施し、上記インホイールモータシステムの信頼性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、車輪部に設けられた中空形状のダイレクトドライブモータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に弾性支持し、上記モータの回転側ケースとホイールとをフレキシブルカップリングにより結合させて、上記モータをダイナミックダンパーとして機能させた、モータと足回り部品とが別々に上下振動する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記モータとホイールとの間に1個あるいは複数個の伸縮自在な環状のダストブーツを設けて、上記モータとホイール間に形成される空隙を外部から遮断するようしたことを特徴とするものである。これにより、上記空隙への石や塵芥等の侵入を防止できるので、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載のインホイールモータシステムは、モータの回転側ケースの上記フレキシブルカップリングが装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイールの上記端部に対向する端部との間に、上記環状のダストブーツを装着したものである。
また、請求項3に記載のインホイールモータシステムは、上記フレキシブルカップリングのカップリング部を外部から遮断するための環状のダストブーツを設けたものである。
【0009】
請求項4に記載のインホイールモータシステムは、上記環状のダストブーツの軸に垂直な方向の断面形状を波形としたものである。
請求項5に記載のインホイールモータシステムは、上記環状のダストブーツのホイール側装着部の近傍に、複数の孔部を設けたものである。
【0010】
また、請求項6に記載のインホイールモータシステムは、車輪部に設けられた中空形状のダイレクトドライブモータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に弾性支持したインホイールモータシステムにおいて、上記回転側ケースと非回転側ケースとを連結するモータベアリングの外側に、モータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を設けて、上記モータ内への水の浸入を防止するようにしたもので、これにより、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることが可能となる。
【0011】
請求項7に記載のインホイールモータシステムは、モータベアリングの外側に取付けられたベアリング固定カバー内に中空部を設け、この中空部に上記中空円盤状の隔壁を収納するようにしたもので、これにより、コンパクトな構成の防水機構を実現することが可能となる。
請求項8に記載のインホイールモータシステムは、上記中空円盤状の隔壁と回転側のベアリング固定カバーとの径方向の隙間を、上記中空円盤状の隔壁と非回転側のベアリング固定カバーとの径方向の隙間よりも大きくしたもので、これにより、モータの回転側ケースの回転を滑らかにすることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
なお、以下の説明中、従来例と共通する部分については、同一符号を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係わるインホイールモータシステムの構成を示す図で、同図において、1はタイヤ、2はリム2aとホイールディスク2bとから成るホイール、3は半径方向に対して内側に設けられた非回転側ケース3aに固定されたモータステータ(以下、ステータという)3Sと、半径方向に対して外側に設けられ、軸受け3jを介して上記非回転側ケース3aに対して回転可能に接合された回転側ケース3bに固定されたモータロータ(以下、ロータという)3Rとを備えたアウターロータ型のインホイールモータである。
4はホイール2とその回転軸において連結されたハブ部、5はサスペンションアーム6に連結された、車両の足回り部品であるナックル、7はショックアブソーバ等から成るサスペンション部材、8は上記ハブ部4に装着されたブレーキディスクから成る制動装置で、10はモータの非回転側ケース3aを上記サスペンションアーム6に弾性支持するための緩衝機構、20はモータの回転側ケース3bとホイール2とを結合するフレキシブルカップリングである。
また、30はモータの回転側ケース3bの上記フレキシブルカップリング20が装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイール2の上記端部に対向する端部との間に装着された第1の環状ダストブーツ、40は上記回転側ケース3bの上記フレキシブルカップリング20が装着されている側の端部と、ホイール2の上記端面に対向する端部との間に、上記フレキシブルカップリング20を収納するように装着された第2の環状ダストブーツである。
【0014】
図2は緩衝機構10の一構成例を示す図である。この緩衝機構10は、直動ガイド11を介して互いに車両の上下方向に作動方向が限定され、かつ、車両の上下方向に作動するバネ12及びダンパー13により結合された2枚のプレート14,15を備えたもので、具体的には、サスペンションアーム6側に位置するプレート15の4隅に、車両の上下方向に伸縮する4個のバネ12を取付け、その内側に車両の上下方向に伸縮する2個のダンパー13を取付けるとともに、上記プレート14,15を、プレートの中心に対して対称な位置に配置された4個の直動ガイド11により結合するものである。なお、16はバネ受け部で、17はダンパー取付け部である。
これにより、上記インホイールモータ3を足回り部品に対してフローティングマウントして、上記モータ自身をダイナミックダンパーのウエイトとして作用させることができるので、不整路走行時の接地性能、乗り心地性能を向上させることができる。
【0015】
また、図3はフレキシブルカップリング20の一構成例を示す図で、このフレキシブルカップリング20は、複数枚の中空円盤状のプレート21〜23と、中央の中空円盤状のプレート22の表裏に、作動方向が互いに直交するように配置された直動ガイド24,25とを備えている。詳細には、ホイール2側に位置するプレート21のホイール2とは反対側の面に、180°間隔で取付けられたガイド部材24a,24aと、中間のプレート22の上記プレート21側に取付けられ、上記ガイド部材24a,24aに係合するガイドレール24b,24bとから成る直動ガイド24により中空円盤状のプレート21,22を結合し、上記プレート22の裏面側で、上記ガイドレール24b,24bを90度回転させた方向に180°間隔で取付けられたガイドレール25b,25bと、モータ3側のプレート23の上記プレート22側に取付けられ、上記ガイドレール25b,25bに係合するガイド部材25a,25aとから成る直動ガイド25により中空円盤状のプレート22,23を結合するもので、これにより、モータ軸とホイール軸がどの方向にも偏心可能に結合されるので、回転側ケース3bからホイール2へのトルクを効率よく伝達させることが可能となる。
【0016】
上記のような、モータがダイナミックダンパー機能を有する構成のインホイールモータシステムにおいては、モータ軸は車軸と別々に径方向に揺動可能となるので、図4に示すように、モータ3とホイール2との間に空隙部Sを設ける必要がある。そこで、本例では、モータの回転側ケース3bのサスペンションアーム6側、すなわち、上記フレキシブルカップリング20が装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイール2の上記端部に対向する端部との間に、軸に垂直な方向の断面形状が波形である、略中空円盤形状の第1の環状ダストブーツ30を装着して、隔壁を形成し、上記空隙部Sを外部から遮断するようにしている。これにより、上記空隙部Sへの石や塵芥等の侵入を防止することができるので、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
また、上記第1の環状ダストブーツ30の、軸に垂直な方向の断面形状を波形とすることにより、上記第1の環状ダストブーツ30の径方向の剛性を下げることができるので、ホイール2内でのモータ3の動きをよりスムーズにすることができる。更に、本例では、上記第1の環状ダストブーツ30のホイール2側の装着部近傍に、複数の穴30sを設けて、万一、上記空隙部Sに水が浸入した場合でも、走行中の遠心力で上記水を上記穴30sから外部に排出することができるようにした。
【0017】
また、本例では、図1及び図4に示すように、フレキシブルカップリング20の、ホイールディスク2b側にある中空円盤状のプレート21と、モータ側にある中空円盤状のプレート23のとの間で、上記直動ガイド24,25よりも内周側に、軸に垂直な方向の断面形状が波形である、略中空円盤形状の第2の環状ダストブーツ40を装着し、この第2の環状ダストブーツ40により、上記フレキシブルカップリング20のカップリング部(直動ガイド24,25及びその周辺の中空円盤状のプレート21〜23)を外部から遮断するようにしている。
すなわち、上記第2の環状ダストブーツ40により上記フレキシブルカップリング20の直動ガイド24,25の内周側に隔壁を形成することにより、飛び石による上記カップリング部の変形及び直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止することができるので、上記フレキシブルカップリング20を円滑に動作させることができ、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
また、上記第2の環状ダストブーツ40についても、軸に垂直な方向の断面形状を波形とすることにより、上記第2の環状ダストブーツ40の径方向の剛性を下げることができるので、フレキシブルカップリング20の動きをよりスムーズにすることができる。
【0018】
このように、本実施の形態1によれば、モータの非回転側ケース3aを、緩衝機構10を介してナックル5に結合し、モータの回転側ケース3aとホイール2とをフレキシブルカップリング20により結合したインホイールモータシステムにおいて、軸に垂直な方向の断面形状が波形である第1の環状ダストブーツ30により、上記モータ3とホイール2間に形成される空隙部Sを外部から遮断して、上記空隙部Sへの石や塵芥等の侵入を防止するとともに、第2の環状ダストブーツ40により上記フレキシブルカップリング20の内周側に隔壁を形成して、飛び石によるカップリング部の変形や直動ガイド24,25への塵芥の侵入等を防止して、上記フレキシブルカップリング20を円滑に動作させるようにしたので、インホイールモータシステムの信頼性を格段に向上させることができる。
【0019】
実施の形態2.
図5は、本実施の形態2に係わるインホイールモータシステムの構成を示す図で、同図において、1はタイヤ、2はホイール、3は半径方向に対して内側に設けられた非回転側ケース3aに固定されたステータ3Sと、半径方向に対して外側に設けられ、軸受け3jを介して上記非回転側ケース3aに対して回転可能に接合された回転側ケース3bに固定されたロータ3Rとを備えたアウターロータ型のインホイールモータ、4はハブ部、5はナックル、6はサスペンションアーム、7はサスペンション部材、8は制動装置、10はモータの非回転側ケース3aを上記サスペンションアーム6に弾性支持する緩衝機構、20はモータの回転側ケース3bとホイール2とを結合するフレキシブルカップリング、50は上記モータ3の軸方向の隙間を塞ぐように設けられた防水手段である。
この防水手段50は、図6に示すように、モータの軸受け3jの外側に取付けられたベアリング固定カバー51,52の互いに対向する面に、階段状(2段)の切欠き部51k,52kを設けるとともに、上記切欠き部51k,52kのベアリング固定カバー51,52の外周側に、それぞれ蓋部材51p,52pを取付けて中空部53を形成し、この中空部53内にモータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を構成する樹脂リング54を収納することにより構成される。
【0020】
これにより、図7(a)に示すように、モータ3の運転時(回転時)には、モータ3の発熱によりモータ3内部の温度が上昇するため、外気圧に対してモータ内圧が高くなり、上記樹脂リング54はモータ軸方向外側、すなわち、上記蓋部材51p,52p側へ移動するので、車両がある程度水深のある水溜りを通過した場合でも、圧力差によりモータ3内への水の浸入を防ぐことができる。
ところで、モータ3の回転時には、上記樹脂リング54が回転側とともに回転すると、その遠心力により樹脂リング54が拡張し、回転側ケース3bのベアリング固定カバー51に押付られるため、樹脂リング54のモータ軸方向の動きが阻害される恐れがある。そこで、本例では、モータ3の回転時には、上記樹脂リング54が回転側とともに回転しないように、上記樹脂リング54を、上記樹脂リング54と回転側のベアリング固定カバー51との径方向の隙間を、上記樹脂リング54と非回転側のベアリング固定カバー52との径方向の隙間よりも大きくし、上記樹脂リング54が軸方向にスムーズに動けるようにしている。
また、車両が水溜りで停車した場合には、図7(b)に示すように、上記蓋部材51p,52pの隙間から水が浸入するが、上記樹脂リング54は、その圧力によりモータ軸方向内側に移動して上記ベアリング固定カバー51,52で形成されるロータ−ステータ間の隙間を塞ぐため、モータ3内への水の浸入を防ぐことができる。
【0021】
このように本実施の形態2では、モータの軸受け3jの外側に取付けられたベアリング固定カバー51,52の互いに対向する面に、階段状の切欠き部51k,52kを設けるとともに、上記切欠き部51k,52kのベアリング固定カバー51,52の外周側に、それぞれ蓋部材51p,52pを取付けて中空部53を形成し、この中空部53内にモータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を構成する樹脂リング54を収納して防水手段50を設け、上記モータ3の軸方向の隙間を塞ぐようにしたので、上記インホイールモータ3のように、中空形状のモータを使用する場合でも、モータ3内への水の浸入を防ぐことができ、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
【0022】
なお、上記実施の形態1,2では、ステータ3Sを支持する非回転側ケース3aを、車両の上下方向に作動するバネ12及びダンパー13により結合され、直動ガイド11により互いに車両の上下方向に作動方向が限定された2枚のプレート14,15を備えた緩衝機構10を介してナックル5に対して弾性支持した構成のインホイールモータシステムに対する防水・防塵対策について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、車輪部に設けられたダイレクトドライブモータと足回り部品とが別々に上下振動する中空形状のモータを有する構成のインホイールモータシステムであれば適用可能であることはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、モータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に懸架し、上記モータの回転側ケースとホイールとをフレキシブルカップリングで結合した、モータがダイナミックダンパー機能を有する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記中空形状のモータとホイール間に形成される空隙を外部から遮断する伸縮自在な環状のダストブーツを設けることにより、上記モータとホイール間に形成される空隙部を外部から遮断するようにしたので、上記空隙部への石や塵芥等の侵入を防止することができ、インホイールモータシステムの信頼性を格段に向上させることができる。
また、モータベアリングの外側に、モータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を備えた防水手段を設けたので、上記のような中空形状のモータを使用する場合でも、モータ内への水の浸入を防ぐことができ、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるインホイールモータシステムの構成を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態1に係わる緩衝機構の一構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態1に係わるフレキシブルカップリングの一構成例を示す図である。
【図4】環状ダストブーツの取付け状態の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係わるインホイールモータシステムの構成を示す縦断面図である。
【図6】本実施の形態2に係わる防水手段の詳細を示す図である。
【図7】本実施の形態2に係わる樹脂リングの動作を示す図である。
【図8】従来のインホイールモータの構成を示す図である。
【図9】従来のインホイールモータの構成を示す図である。
【図10】モータがダイナミックダンパー機能を有する構成のインホイールモータシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 タイヤ、2 ホイール、2a リム、2b ホイールディスク、
3 インホイールモータ、3R モータロータ、3S モータステータ、
3a 非回転側ケース、3j 軸受け、3b 回転側ケース、4 ハブ部、
5 ナックル、6 サスペンションアーム、7 サスペンション部材、
8 制動装置、10 緩衝機構、11 直動ガイド、12 バネ、
13 ダンパー、14 モータ取付けプレート、15 ナックル取付けプレート、16 バネ受け部、17 ダンパー取付け部、
20 フレキシブルカップリング、21〜23 中空円盤状のプレート、
24,25 直動ガイド、30 第1の環状ダストブーツ、
30s 穴、40 第2の環状ダストブーツ、50 防水手段、
51,52 ベアリング固定カバー、51k,52k 切欠き部、
51p,52p 蓋部材、53 中空部、54 樹脂リング、S 空隙部。
Claims (8)
- 車輪部に設けられた中空形状のダイレクトドライブモータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に弾性支持し、上記モータの回転側ケースとホイールとをフレキシブルカップリングにより結合して成るインホイールモータシステムにおいて、上記モータとホイールとの間に1個あるいは複数個の伸縮自在な環状のダストブーツを設け、上記モータとホイール間に形成される空隙を外部から遮断するようにしたことを特徴とするインホイールモータシステム。
- モータの回転側ケースの上記フレキシブルカップリングが装着されている側とは反対側の端部と、上記ホイールの上記端部に対向する端部との間に、上記環状のダストブーツを装着したことを特徴とする請求項1に記載のインホイールモータシステム。
- 上記フレキシブルカップリングのカップリング部を外部から遮断するための環状のダストブーツを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインホイールモータシステム。
- 上記環状のダストブーツの軸に垂直な方向の断面形状を波形としたことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載のインホイールモータシステム。
- 上記環状のダストブーツのホイール側装着部の近傍に、複数の孔部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4に記載のインホイールモータシステム。
- 車輪部に設けられた中空形状のダイレクトドライブモータの非回転側ケースを、弾性体及び/または減衰機構を介してバネ下部品に弾性支持したインホイールモータシステムにおいて、上記回転側ケースと非回転側ケースとを連結するモータベアリングの外側に、モータ軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を設けたことを特徴とするインホイールモータシステム。
- モータベアリングの外側に取付けられたベアリング固定カバー内に中空部を設け、この中空部に上記中空円盤状の隔壁を収納するようにしたことを特徴とする請求項6に記載のインホイールモータシステム。
- 上記中空円盤状の隔壁と回転側のベアリング固定カバーとの径方向の隙間を、上記中空円盤状の隔壁と非回転側のベアリング固定カバーとの径方向の隙間よりも大きくしたことを特徴とする請求項7に記載のインホイールモータシステム。
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