JP2004089881A - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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Hiroshi Tanada
棚田 浩
Keisuke Tashiro
田代 圭介
Hirokuni Seto
瀬戸 博邦
Kenji Morimoto
守本 健児
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Abstract

【課題】エンジンからの排ガスを浄化する装置に関し、簡素な構成により、耐熱性を向上できるとともに、エンジンの冷態始動時における排ガス中のHCを効率良く浄化できるようにする。
【解決手段】エンジン30の排気通路31上流部31aに、Pd−Rh系の触媒成分を主体として形成された三元触媒層1と、SiとAlとからなるβ型ゼオライトを含むHC吸着層2とをそなえ、β型ゼオライト中のAlの量を増加させるとAlによるHCの吸着性能が向上する特性と、β型ゼオライトが昇温されるとAlが多いほどβ型ゼオライトの組成が崩れて吸着性能が低下する特性とに着目して、昇温されてもβ型ゼオライトの組成の崩れが少なくHC吸着層2の吸着性能が高くなる領域内に上記のSi/Alの組成比を設定する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンからの排ガスを浄化する装置に関し、特に、冷態始動時における排ガス中のHCを浄化するのに用いて好適の、排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に示すように、従来、MPI(Multi Point Injection)エンジン等のガソリンエンジンにおいて、エンジンから排出される有害物質(一酸化炭素CO,炭化水素HC,窒素酸化物NOx等)を酸化又は還元して、より無害な物質に変換する三元触媒(TWC:Three Way Catalyst)1が、エンジン30の排気通路31の上流部(例えば、排気マニホールド)31aにフロント触媒(MCC:Manifold Catalytic
Converter)として設けられているものがある。
【0003】
また、上記の有害物質のうち、特に、冷態始動時に多量に排出されるHC(炭化水素)を低減するために、HCを吸着して浄化するHCトラップ触媒2が、床下触媒(UCC:Under−floor Catalytic Converter)として三元触媒1の後段に設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図8に示す従来の排気ガス浄化装置において、HCトラップ触媒2を用いてHCの浄化を行なう場合には、HCが、HCトラップ触媒2によりトラップ(吸着)された後、HCトラップ触媒から脱離する時の浄化性能が重要である。
【0005】
通常、HCトラップ触媒2の雰囲気を酸素存在下にすれば、HCトラップ触媒2から脱離した後のHCの浄化性能を高めることができるため、図9に示すように、エンジンの燃焼モードをストイキオモードからリーンモードにして空燃比(A/F)を上げ(図9中に示す符号d)、雰囲気中の酸素量を増加させることにより(図9中に示す符号a)、HCを浄化すること(HC排出量を低減すること)ができる(図9中に示す符号c)。
【0006】
しかしながら、燃焼モードをリーンモードにして酸素量を増加させると、NOx還元反応が低下するため、NOx排出量が増大してしまう(図9中に示す符号b)。
つまり、図10に示すように、酸素を供給していくと、MCCの三元触媒1では、HCの浄化に限界が生じる一方(図10では、HC量の40%しか浄化できないことを示している)、UCCのHCトラップ触媒2では、HC排出量は低減するが、NOx排出量が増大してしまう。このため、NOx排出量を許容できる程度にしか酸素を供給することができなく、多量なHCの浄化が困難であった。
【0007】
また、特開平9−85056号公報には、排気系の上流側に、ゼオライトからなるHC吸着剤と、白金Pt−ロジウムRh系の触媒成分を主体とする三元触媒とを有する触媒前段部を配設するとともに、排気系の下流側にHC吸着剤とHC浄化触媒とを有する触媒後段部を配設し、エンジンの始動直後に排出された排気ガス中のHC成分が触媒前段部に設けられたHC吸着剤または触媒後段部に設けられたHC吸着剤に吸着された後、これらのHC吸着剤が所定温度に加熱された時点で脱離したHC成分が触媒前段部の三元触媒または触媒後段部のHC浄化触媒により浄化される技術が開示されている。
【0008】
しかしながら、HC吸着剤を排気系の上流側に設ける場合、HC吸着剤の耐熱性が重要となる。
また、HC浄化のためには、HC吸着剤を、どのような材料をどのように組み合わせるか、また、触媒コンバータの容量に対してHC吸着剤をどの程度の量担持させればよいか、等に着目すれば、浄化性能の向上を期待できる。
【0009】
本発明は、上述のような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成により、耐熱性を向上できるとともに、エンジンの冷態始動時における排ガス中のHCを効率良く浄化できるようにした、排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の排ガス浄化装置(請求項1)は、該エンジンの排気通路上流部に介装され、複数のセル孔が形成された担体と、該セル孔に担持され、パラジウム−ロジウム系の触媒成分を主体として形成された三元触媒層と、該セル孔に担持され、シリカとアルミナとからなるβ型ゼオライトを含み、該排ガス中のHCを吸着するHC吸着層とをそなえ、該β型ゼオライト中の該アルミナの量を増加させると該アルミナによる該HCの吸着性能が向上する特性と、該β型ゼオライトが昇温されると該アルミナが多いほど該β型ゼオライトの組成が崩れて該吸着性能が低下する特性とに着目して、昇温されても該β型ゼオライトの組成の崩れが少なく該HC吸着層の該吸着性能が高くなる領域内に上記のシリカ/アルミナの組成比を設定することを特徴としている。なお、上記担体を、例えば、排気マニホールドに介装するのが好ましい。
【0011】
このとき、該HC吸着層が、該セル孔の内周面に形成され、該三元触媒層が、該HC吸着層表面に積層されていることが好ましい(請求項2)。
また、上記のシリカ/アルミナの組成比が、100〜1500程度に設定されていることが好ましく(請求項3)、より好ましくは、1000程度であるのが良い。
【0012】
さらに、該β型ゼオライトの量が多いと脱離速度が遅くなりHC浄化性能が向上する一方、熱容量が増加するため昇温が遅くなり該浄化性能の低下を招くという相反する特性に着目して、該浄化性能が高くなる領域に該β型ゼオライトの量を設定することが好ましい(請求項4)
この場合、該HC吸着層が、90g/l〜130g/l程度の該β型ゼオライトで構成されていることが好ましく(請求項5)、より好ましくは、100g/l程度含んでいるのが良い。
【0013】
そして、該担体が、前段部と後段部との2つに分割されるとともに、該前段部のセル密度が、該後段部のセル密度よりも高く構成されていることが好ましい(請求項6)。
また、該エンジンの冷態時に、点火時期のリタード又は触媒昇温用の燃料噴射を行なうことが好ましい(請求項7)。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図7は本発明の一実施形態としての排ガス浄化装置を示すもので、図1はその模式的な構成図、図2はその三元触媒層及びHC吸着層の積層構造を示す断面図、図3はその温度とHC脱離量又はHC浄化率との関係を示すグラフ、図4はMCC温度,O量,NOx量,HC量,A/F(空燃比)と時間との関係を示すグラフ、図5はそのHC吸着層のSi/Al組成比とFTP(C/T)におけるNMHC排出低減率との関係を示すグラフ、図6はそのHC吸着剤量とFTP(C/T)におけるNMHC排出低減率との関係を示すグラフ、図7はそのMCCを前段部と後段部とに分割した場合の模式的な構成図である。
【0015】
図1に示すように、本排ガス浄化装置は、エンジン本体30に接続された排気通路31の上流部(ここでは、排気マニホールド)31aに介装された近接触媒(MCC)10と、排気通路31の下流部31bに介装された床下触媒(UCC)20とをそなえて構成されている。
MCC10のキャタリストケース内部には、多数のセル孔を有する担体が装備され、この担体内には、パラジウムPd−ロジウムRh系の触媒成分を主体とする三元触媒(TWC)と、シリカSiとアルミナAlとからなるβ型ゼオライトを含み、排ガス中のHCを吸着するHC吸着剤とが担持されている。β型ゼオライトを採用した理由は後述する。
【0016】
図2に示すように、HC吸着剤は、HC吸着層2として担体3の各セル孔3aの内周面に形成されており、このHC吸着層2の表面には、三元触媒が三元触媒層1として積層形成されている。
なお、UCC20は、三元触媒又はHCトラップ触媒として構成され、エンジンの冷態時にはMCC10により浄化し、エンジンの暖気が完了したら主としてUCC20により浄化するようになっているが、本発明においては、このUCC20は省略してもよい。
【0017】
ところで、図3に示すように、HC吸着層2からHCが脱離を開始する温度は約70℃〜150℃と低いのに比べ、三元触媒層1の活性化温度(ライトオフ)は約250℃〜350℃と高いため、HC吸着層2から脱離したHCは、三元触媒層1が活性化するまでは浄化(酸化)されないので、そのまま排出されてしまうことになる。
【0018】
HC吸着層2から脱離したHCをできるだけ多く浄化するためには、HC吸着層2からのHC脱離開始温度と三元触媒層1の活性化温度との差を小さくすることが有効であるが、これには限度がある。
そこで、HC吸着層2からHCが脱離を開始する温度から、三元触媒層1が脱離したHCを浄化する温度までをできるだけ短時間に昇温させれば、即ち、三元触媒層1の昇温速度を高速化すれば、HCの浄化を促進させることができる。なお、三元触媒層1の活性化温度は、三元触媒層1の固有の特性であり、昇温速度に影響を受けないため、三元触媒層1の昇温速度を高速化しても三元触媒層1に悪影響はない。
【0019】
このような点に着目して、本排ガス浄化装置では、従来UCCで用いられていたHC吸着剤を、三元触媒が配設されているMCC10に併合することで、三元触媒層1の昇温速度が高速になるようにしている。
つまり、三元触媒層1をUCC20位置に配設した場合、図3中ラインAで示すように、三元触媒層1はゆっくりと昇温するため、三元触媒層1が活性化した時点で、既に約90%のHCがHC吸着層2から脱離して排出されてしまうが、三元触媒層1をMCC10位置に配設した場合、図3中ラインBで示すように、三元触媒層1は速やかに昇温するため、三元触媒層1が活性化した時点でも、約20%のHCしかHC吸着層2から脱離していない。即ち、三元触媒層1を排気通路30の上流部31aに配置して、三元触媒層1を速やかに昇温させれば、三元触媒層1で処理されずに排出されるHCを大幅に削減できる。
【0020】
したがって、本排ガス浄化装置では、三元触媒層1をHC吸着層2とともにMCC10に配設して、三元触媒層1の昇温速度を上げることができ、三元触媒層1を速やかに活性化させて、HC吸着層2から脱離したHCの多くを三元触媒層1により浄化処理するようになっている。
また、HCはゼオライト構造中のAlに吸着し易いという特性から、HC吸着層2を形成するβ型ゼオライトのAlの量を増加させるほど(Si/Alの組成比を小さくするほど)、HC吸着層2の吸着性能が向上することがわかった。
【0021】
さらに、HC吸着層2がエンジン排ガスにより高温にさらされた場合、HC吸着層2に含まれるAlの量が多いほど(Si/Alの組成比が小さいほど)、HC吸着層2(即ち、β型ゼオライト)の組成が崩れて、HCに対するHC吸着層2の吸着性能が低下することもわかった。
このように、HC吸着層2の吸着性能が向上すれば、より多くのHCを吸着できるため、HCの排出量を低減することができるが、多量のAlが含まれた状態でHC吸着層2がエンジン排ガス中で高温にさらされた場合には、HC吸着層2の吸着性能が低下してしまう。
【0022】
そこで、本排ガス浄化装置にかかるHC吸着層2ではエンジン排ガス中で高温で使用されてもHC吸着層2の組成の崩れが少なく、HC吸着層2の吸着性能が高くなる領域内に上記のSi/Alの組成比を設定している。なお、後述する実施例で説明するが、Si/Alの組成比が100〜1500程度に設定されることが好ましいことが実験結果からわかった。
【0023】
また、HCの吸着量はβ型ゼオライトの量に比例するが、β型ゼオライトの量が少ないと、HC吸着層2から脱離するHCの脱離速度が速くなるという特性、及び、β型ゼオライトの量が多いと、HC吸着層2から脱離するHCの脱離速度が遅くなるとともに熱容量が増加して昇温作用が低下するという特性が実験結果からわかった。
【0024】
ところで、HCの脱離速度が速いと、三元触媒層1が活性化する前にHCがHC吸着層2から脱離するため、多量のHCが浄化されずに排出されてしまうことになる。一方、HCの脱離速度が遅いと、三元触媒層1が活性化する前にHCはHC吸着層2から少量しか脱離しなく、三元触媒層1が活性化した後に多量のHCがHC吸着層2から脱離しはじめるため、浄化効率が上がるがゼオライト量が多いと、熱容量が増加して昇温速度が遅くなってしまう。
【0025】
そこで、上記のSi/Alの組成比の最適化に加えて、本排ガス浄化装置にかかるHC吸着層2では、熱容量が許容範囲を超えない程度にβ型ゼオライトの量を設定している。なお、後述する実施例で説明するが、HC吸着層2を、90g/l〜130g/l程度のβ型ゼオライトで構成するのが好ましいことが実験結果からわかった。
【0026】
また、担体3を、前段部と後段部との2つに分割し、前段部のセル密度を後段部のセル密度よりも高く設定することにより、三元触媒層1の昇温を高速にして浄化性能を向上できることがわかった。
【0027】
本発明の一実施形態としての排ガス浄化装置は、上述のように構成されているので、三元触媒層1をHC吸着層2とともにMCC10位置に配設することにより、三元触媒層1の昇温速度を高速化し、図4に示すように、HCの吸着と脱離とを短時間で完結させることができる。
【0028】
また、MCC10にHC吸着剤を配設することで、従来MCCの三元触媒により消費されていた酸素を、HC吸着剤から脱離したHCにも十分に供給することが可能となり、効率良くHCを浄化することができる。
また、MCC10の三元触媒層1を排除しても、UCC又はFCC(MCCとUCCとの間に介装される触媒)の位置ではエンジン排ガスによる触媒の昇温はエンジンからの距離に相関して遅くなり、エンジン水温の上昇とともに、エンジンのA/F制御は安定域(F/Bゾーン)に移行し、HCの脱離開始時期に強制的なリーン化が必要となり、NOx量低減に制限される。
【0029】
以下、本排ガス浄化装置にかかるHC吸着層及び三元触媒層の作製方法及びその評価結果について説明する。
1.HC吸着層の作製
水中に、目的の吸着剤(ここでは、FER型,MFI型,β型の3種類のゼオライトを用いる)と、SiOゾルとして吸着剤重量の10wt%のSiOとを混合して、50wt%の水中分散水溶液をボールミルにより分散混合を実施し、HC吸着層のスラリーを調製した。
その後、このスラリーをコージライト製ハニカム(1L)に目的重量を付着させて乾燥した後、空気中にて500℃で焼成してHC吸着層2を形成した。
【0030】
2.三元触媒層の作製
目的の貴金属の塩をγ−アルミナとともに、ボールミルにより粉砕混合を実施し、固形分として50wt%のスラリーを調製した。
その後、HC吸着層2を被覆したコージライト製ハニカムに目的重量を付着させて乾燥した後、HC吸着層2と同様に、空気中にて500℃で焼成して三元触媒層1を形成した。
【0031】
3.熱処理
HC吸着層2及び三元触媒1を形成した後、エンジン30にて、リーン(A/F=23)及びリッチ(A/F=13)の雰囲気中において触媒中心温度950℃で40時間処理を行なった。
【0032】
4.評価
排気量2400ccのエンジン搭載車を用いてFTP(LA−4)モードを走行し、MMC位置にHC吸着剤を有していない三元触媒とHC吸着剤を有する触媒を同じUCCを用いてC/T(bag1)のNMHCの排出量を相対比較し、改良触媒の効果を示した。
【0033】
次に、本排ガス浄化装置の比較例について説明する。
ここでは、三元触媒層1及びHC吸着層2とを有するMCCの下流側に、白金Pt−ロジウムRh系の触媒成分を主体とする床下触媒(UCC)が設けられた場合について説明するが、特に、このUCCを設けなくとも、本排ガス浄化装置の効果は十分に得られるものである。なお、このUCCの仕様は、担体容量1L,セル密度4mil/600cell,Pt/Rh=1.5/0.5である。
【0034】
表1は、MCCにHC吸着層2を用いない場合のNMHC排出量を基準0として、FER型,MFI型,β型のそれぞれのゼオライトからなるHC吸着剤を用いた場合におけるNMHC排出低減率(又は、HC浄化率)を示すものである。なお、ここでは、点火リタードによる昇温制御を行なっていない。
【0035】
【表1】
Figure 2004089881
【0036】
表1に示すように、β型ゼオライトからなるHC吸着剤を用いた場合のNMHC排出低減率が10%となり、FER型又はMFI型のゼオライトからなるHC吸着剤を用いた場合よりも高いことが示された。
次に、HC吸着層2にβ形ゼオライトからなるHC吸着剤を用い、β型ゼオライト中のSi成分とAl成分との割合を変化させて、NMHC排出低減率を調べた。この結果を表2に示す。なお、表2中のSi/Alの組成比とNMHC排出低減率との関係を図5に示す。
【0037】
【表2】
Figure 2004089881
【0038】
表2及び図5に示すように、Si/Al=1000付近の時のNMHC排出低減率が18%で一番大きいことがわかる。また、Si/Alが1000よりも小さくなると(即ち、Si量が減少又はAl量が増加していくと)、NMHC排出低減率が小さくなっていき、Si/Alが1000よりも大きくなると(即ち、Si量が増加又はAl量が減少していくと)、NMHC排出低減率が小さくなっていくことが示された。
【0039】
このように、NMHC排出低減率を大きくするためには(HC浄化率を高めるためには)、β型ゼオライトのSi/Alの組成比が、100〜1500程度であることが好ましい。また、より好ましくは、1000程度であるのが良い。
次に、Si/Al=1000のβ型ゼオライトからなるHC吸着剤を用い、担体に担持させるHC吸着剤の量を、50g/L,100g/L,150g/Lと変化させてNMHC排出低減率を調べた。この結果を表3に示す。なお、表3中のHC吸着剤量(β型ゼオライトの量)とNMHC排出低減率との関係を図6に示す。
【0040】
【表3】
Figure 2004089881
【0041】
表3及び図6に示すように、HC吸着剤量が100g/Lの時のNMHC排出低減率が18%で一番高いことが示された。
NMHC排出低減率を上げるには、HC吸着剤量を増加し、且つ、熱容量を小さくすることが重要であるため、バランスをとって、ここでは、HC吸着剤量100g/Lが最適な値であるといえる。
【0042】
そこで、次に、100g/LのHC吸着剤量を用い、三元触媒1の種類を、パラジウムPd−ロジウムRh系の触媒成分を主体とした場合と、白金Pt−ロジウムPh系の触媒成分を主体とした場合とにおけるNMHC排出低減率を調べた。この結果を表4に示す。なお、Rhに対するPd及びPtの混合比がそれぞれ異なるが、これは、Pd又はPtを用いて最適な三元触媒1を作製する場合の代表的な混合比を示している。
【0043】
【表4】
Figure 2004089881
【0044】
表4に示すように、Pd−Rh系の触媒成分を主体とした三元触媒層1を用いた場合のNMHC排出低減率が18%となり、Pt−Ph系の触媒成分を主体とした三元触媒層1を用いた場合よりも大幅にNMHC排出低減率が高いことが示された。つまり、ゼオライトの化学吸着特性は、オレフィン等の不飽和炭化水素の吸着が支配的であることより、このオレフィン系の参加に優れるPdが吸着・脱離酸化に優れていることがわかる。このように、三元触媒層1には、Pd−Rh系の触媒成分を主体とすることが好ましい。
【0045】
次に、▲1▼担体容量1Lで担体セル密度4.3mil/600cellとした場合、▲2▼担体容量1Lで担体セル密度2.5mil/900cellとした場合、また、例えば図7に示すように、▲3▼担体を前段部0.4Lと後段部0.6Lとに分割し、どちらの担体セル密度も4.3mil/600cellにした場合、▲4▼担体を前段部0.4Lと後段部0.6Lとに分割し、どちらの担体セル密度も2.5mil/900cellにした場合、▲5▼担体を前段部0.4Lと後段部0.6Lとに分割し、前段部を担体セル密度2.5mil/900cellとし、後段部を担体セル密度4.3mil/600cellとした場合、▲6▼担体を前段部0.4Lと後段部0.6Lとに分割し、前段部を担体セル密度4.3mil/600cellとし、後段部を担体セル密度2.5mil/900cellとした場合、におけるNMHC排出低減率について調べた。この結果を表5に示す。
【0046】
【表5】
Figure 2004089881
【0047】
表5に示すように、▲1▼の場合と▲2▼の場合とを比較すると、担体セル密度を2.5mil/900cellにした場合(即ち、担体セル密度を大きくした場合)のNMHC排出低減率が21%で、担体セル密度を4.3mil/600cellにした場合よりも高くなることが示された。これは、セル密度が大きくなるほど、HC吸着層2の表面積が増加するので、HCを吸着し易くなるからである。
【0048】
このように、担体セル密度を大きくすることでNMHC排出の低減率を高めることができる。
また、▲3▼の場合と▲4▼の場合とを比較すると、担体の前段部及び後段部をセル密度4.3mil/600cellにするよりも、セル密度2.5mil/900cellにした方(▲4▼の場合)が、NMHC排出低減率が高くなることが示された。
【0049】
また、▲5▼の場合と▲6▼の場合とを比較すると、担体の前段部をセル密度2.5mil/900cellとし、後段部をセル密度4.3mil/600cellとした方(▲5▼の場合)が、NMHC排出低減率が高くなることが示された。
このように、担体を前段部と後段部とに分割した場合には、後段部よりも前段部のセル密度が大きくなるように構成することで、NMHC排出低減率を高める(浄化を促進する)ことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、三元触媒層1を速やかに昇温させるために、エンジン制御を併用することも好ましい。つまり、点火時期をリタードさせることや、筒内噴射エンジンにおいてエンジン出力に影響を及ぼさない膨張行程噴射による燃焼熱によって、三元触媒層1及びHC吸着層2を直接昇温させるようにしても良く、この制御により、HC吸着層2の昇温をより促進することが可能であり、これにより、HCの浄化性能を向上できる。
【0051】
また、MCC10のHC吸着層2の温度を計測することによりHCの脱離完了を検知した後、昇温制御を停止するようにしても良い。また、このとき、HC脱離の相関性が高いMCC出口温度を計測することが好ましい。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の排ガス浄化装置(請求項1〜7)によれば、MCC位置に三元触媒層とHC吸着層とをそなえるという簡素な構成により、エンジンの冷態始動時における排ガス(特に、HC)を効率良く浄化できる。
また、HC吸着層の耐熱性能を確保しながら、吸着性能を向上できるので、NMHC排出低減率を高めて浄化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置の三元触媒層及びHC吸着層の積層構造を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置の温度とHC脱離量及びHC浄化率との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置におけるMCC温度,O量,NOx量,HC量,A/F(空燃比)と時間との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置のHC吸着剤のSi/Al組成比とFTP(C/T)におけるNMHC排出低減率との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置のHC吸着剤量とFTP(C/T)におけるNMHC排出低減率との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化装置のMCCを前段部と後段部とに分割した場合の模式的な構成図である。
【図8】従来の排ガス浄化装置を示す模式的な構成図である。
【図9】従来の排ガス浄化装置におけるMCC温度,O量,NOx量,HC量,A/F(空燃比)と時間との関係を示すグラフである。
【図10】従来の排ガス浄化装置にかかるNOxとHCとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 三元触媒,三元触媒層
2 HC吸着剤,HC吸着層
3 担体
4 セル孔
10 MCC
20 UCC
30 エンジン本体
31 排気通路
31a 排気通路の上流部
31b 排気通路の下流部

Claims (7)

  1. 該エンジンの排気通路上流部に介装され、複数のセル孔が形成された担体と、
    該セル孔に担持され、パラジウム−ロジウム系の触媒成分を主体として形成された三元触媒層と、
    該セル孔に担持され、シリカとアルミナとからなるβ型ゼオライトを含み、該排ガス中のHCを吸着するHC吸着層とをそなえ、
    該β型ゼオライト中の該アルミナの量を増加させると該アルミナによる該HCの吸着性能が向上する特性と、該β型ゼオライトが昇温されると該アルミナが多いほど該β型ゼオライトの組成が崩れて該吸着性能が低下する特性とに着目して、昇温されても該β型ゼオライトの組成の崩れが少なく該HC吸着層の該吸着性能が高くなる領域内に上記のシリカ/アルミナの組成比を設定する
    ことを特徴とする、排ガス浄化装置。
  2. 該HC吸着層が、該セル孔の内周面に形成され、該三元触媒層が、該HC吸着層表面に積層されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の排ガス浄化装置。
  3. 上記のシリカ/アルミナの組成比が、100〜1500程度に設定されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の排ガス浄化装置。
  4. 該β型ゼオライトの量が多いと脱離速度が遅くなりHC浄化性能が向上する一方、熱容量が増加するため昇温が遅くなり該浄化性能の低下を招くという相反する特性に着目して、該浄化性能が高くなる領域に該β型ゼオライトの量を設定する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の排ガス浄化装置。
  5. 該HC吸着層が、90g/l〜130g/l程度の該β型ゼオライトで構成されている
    ことを特徴とする、請求項4記載の排ガス浄化装置。
  6. 該担体が、前段部と後段部との2つに分割されるとともに、該前段部のセル密度が、該後段部のセル密度よりも高く構成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の排ガス浄化装置。
  7. 該エンジンの冷態時に、点火時期のリタード又は触媒昇温用の燃料噴射を行なう
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の排ガス浄化装置。
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