JP2004089155A - タンパク質水溶液の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウイルス等の不純物をタンパク質水溶液から濾過することにより除去するに際し、従来の方法に比較して、タンパク質水溶液の濾過速度及び透過率が向上した方法を提供する。
【解決手段】タンパク質水溶液を膜により濾過する祭に、タンパク質水溶液をDNaseで処理した後、あるいは処理しつつ濾過する方法

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明の利用分野は医薬・医療の分野におけるタンパク質水溶液の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬・医療の分野で、目的物であるタンパク質に不純物が混入した場合には、ウイルス性肝炎等の疾病に罹患する恐れがある(K. Yamaguchi et al. J. Electron. Microsc. 40, 337(1991))。よって、不純物、特に感染性ウイルスが不活化ないし除去された安全性の高い医薬・医療用タンパク質が希求されている。
【0003】
不純物を実質的に含まない有用タンパク質を得る方法としては、その製造段階で該タンパク質を含む水溶液を加熱処理、放射線照射、クロマトグラム処理、溶剤及び界面活性剤による処理(いわゆるSD法)、膜分離等で処理する方法が知られている(S. Harada et al. J. Clin. Microbiol. , 22, 908 (1985))。しかしながら、膜分離を除く上記の方法は目的とする有用タンパク質を変性・失活させて回収率の低下、変性物による危険性の増加を招いたり、不活化のために加えた界面活性剤等の薬品の除去ないしは無害化が容易でなかったり、不純物の充分な除去効果が得られないなどの問題点を有している(B. Horowitz et al., Transfusion, 25, 516 (1985))。
【0004】
一方、膜分離法は、膜構造中に存在する細孔と通過すべき有用タンパク質と阻止すべき粒子(例えばウイルス)の相対的な大きさの差により、物理的にこれら粒子を分離して、結果的に不純物を除去する、いわゆる size exclusion 原理によっている。従って有用タンパク質の変性・失活の恐れがなく、また不活化のために薬品を添加することもないのでその除去・無害化も不要である。このため、医薬・医療の分野における有用タンパク質の精製用途において、膜分離の利用が広がっている。
【0005】
しかし、size exclusion原理によれば、除去対象粒子としての不純物の効果的除去と、回収対象粒子としてのタンパク質の効率的な膜透過・回収は二律背反の現象となりがちである。すなわち、除去対象粒子の除去を効果的ならしめようとして膜の細孔の大きさを小さく設定すると、回収対象粒子の膜透過が抑制され、濾過効率すなわち、濾過速度及び透過率(ふるい係数)が低下する。一方、回収対象粒子の膜透過・回収を効率的ならしめようと膜の細孔の大きさを大きく設定すると、除去対象粒子の除去効果を犠牲にすることになる。また、一般に濾過時間の経過に従って、濾過効率を示すこれらのパラメーターは悪化してくる。その理由は、濾過の継続に従って、溶質による細孔の閉塞が発生するためである。この点においても、粒子の大きさと細孔の大きさの相対的関係が影響を及ぼす。不純物の高い除去効果を維持しながら、短時間で、高い透過率で回収対象粒子としてのタンパク質を濾過しようとすれば、膜面積の増大が必要となり、精製コストが増大する。
【0006】
これらの問題を解決する手段として、膜による分離すなわち濾過に供する前段階で、通過すべき粒子の大きさを減じる方法が考案されている。例えば、後者に関しては、特表平10−502074 には、「少なくとも1種の高分子を含む溶液をウイルス濾過する方法であって、該溶液の総塩含有量が約0.2 M 〜関係塩による該溶液の飽和状態の範囲であることを特徴とする前記方法」が開示されている。塩濃度を高めることにより、濾過効率が向上するのは、タンパク質粒子自体の大きさの収縮、タンパク質粒子同士及びまたはタンパク質と膜との相互作用が減少するためと考えられる。ただし、特表平10−502074において、上記効果を奏する塩濃度は0.2M以上、さらに0.8〜1.5Mの範囲が特に好ましいとしているように、生理的に等張な塩濃度を大きく上回る塩濃度が必要とされている。このため静脈注射あるいは筋肉注射により人体に投与する医薬品の場合は、濾過後に透析等によって塩濃度を生理的等張濃度まで低減させる操作が必須である。また、塩濃度を高めていくと、塩析によりタンパク質の溶解度が低下し、逆効果となる可能性もある。
【0007】
また、典型的なタンパク質水溶液中には、ppbオーダーのDNAが不純物として含有しており、このDNAとタンパク質との複合体が膜透過における透過流量の減少を引き起していることが動的光散乱法並びに蛍光分光光度法を用いて明らかにされている(A. Higuchi et al., J. Membrane Sci., 186, 9 (2001)).この改善策として、タンパク質水溶液中の DNA並びにRNAの濃度を低減させた後に、膜濾過を行なってタンパク質水溶液を精製する方法が報告されている(特開平2000−319294)。しかしながら、この方法では、タンパク質水溶液中のDNA並びにRNAの濃度を低減するための前処理に多大な時間がかかってしまい、たとえウイルス等不純物除去の膜濾過時間が低減したとしてもトータルとしての不純物処理精製時間は長くなり、本末転倒した方法であった。
【0008】
従って、種々のタンパク質水溶液から不純物を、膜濾過により、高い効率すなわち高い濾過速度及び透過率で、安全に、分離・除去する方法が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
医薬・医療の分野において、タンパク質水溶液から濾過により、ウイルス等の不純物を除去する手段として、膜濾過法は目的とするタンパク質の変性・失活がないため、回収率が高く、他の精製法に比し、優れた方法であるが、不純物の効果的な除去と目的とするタンパク質の濾過効率、すなわち高い濾過速度及び透過率との両立が困難である。本発明の課題はタンパク質水溶液中の不純物として含有するDNAを一部切断することにより、タンパク質ーDNA複合体を解離させて、タンパク質中に混在しているウイルス等の不純物の効果的な除去を維持しつつ、かつ、高い濾過効率を得る方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は濾過すべきタンパク質水溶液中に不純物として含有するDNAをDNaseを用いることにより、優先的にDNAを切断させることによりタンパク質ーDNA複合体を解離させて、膜濾過における目詰まりを低減させて、タンパク質水溶液の膜濾過を行なうことを特徴とするタンパク質水溶液精製方法である。タンパク質水溶液中のタンパク質ーDNA複合体を解離させて、濾過効率を向上させるために、特開平2000−319294ではDNA濃度の低減を主に膜濾過法で行なうことを提言している。しかしながら、本発明者は、DNA濃度を低減させなくとも、DNA鎖をDNaseで処理してDNA鎖を短くすることにより、タンパク質水溶液中のタンパク質ーDNA複合体を解離させることが可能であることを実証するに至り、本発明を考案するに至った。
また、本発明は膜濾過により除去すべき対象が主にウイルスであることを特徴とするタンパク質水溶液精製方法である。
【0011】
本発明で用いられるDNaseは、タンパク質水溶液中に溶解していても、胆体に固定化されていても、あるいは膜に固定化されていても良く、DNaseの形状には無関係である。
本発明で用いられるタンパク質の起源は本発明の使用には無関係である。従って、ヒト、動物、植物由来の遺伝子組み替え又は細胞融合技術を使って培養細胞で生産されたあらゆるタンパク質、さらには天然に生産されたタンパク質である。
本発明でいうタンパク質を例示すれば、血漿タンパク質、血清タンパク質、血液凝固第VIII因子、同第IX因子、ヘモグロビン、フィブリノーゲン、アンチトロンビンIII、免疫ガンマグロブリン、アルブミン、インターフェロン、アポリポ蛋白質、細胞成長増殖因子、細胞外マトリックス、細胞接着因子及び成長ホルモンがあげられる。
本発明で言うタンパク質水溶液とは水を除いた構成成分のうち、タンパク質が10%以上含有する水溶液を意味している。従って、ヒト並びに動物由来の血漿、血清もこの範疇である。
本発明でいう膜濾過による除去対象となる不純物は感染性ウイルス、細菌、真菌、原虫類、伝達性海綿状脳症病原因子である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる濾過膜は1μm以下好ましくは100nm以下の平均孔径を有する精密濾過膜(Micro−filtration membrane)、限外濾過膜(Ultra−filtration membrane)、ウイルス除去膜等である。
本発明に用いる濾過膜の素材は、水溶性溶液を濾過できる物であれば、いかなる素材でも良い。例えば、セルロース、セルロースアセテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ナイロン等であるが、これに限定されるものではない。その中でも、セルロースを素材としたものは親水性であることから、水溶液の透過速度が高く、タンパク質の吸着が少なく、その透過に適しており望ましい。
【0013】
タンパク質水溶液からのウイルス等の不純物分離用途に用いられる濾過膜を例示すれば、旭化成株式会社製の Planova 35N、Planova 20N  及びPlanova 15N(いずれも素材は再生セルロース), 旭化成株式会社製のポリスルホン中空糸膜(例えば、SI−1膜)、Millipore 社製の Viresolve 70, Viresolve 180(いずれも素材はポリフッ化ビニリデン)、住友電工社製のフロロポア膜(素材は4フッ化エチレン)、コーニングコスター社製ニュクリポァー膜(素材はポリカーボネート)などがあげられる。
本発明に用いる濾過膜の形態は、平膜、中空糸膜、スパイラル膜、プリーツ状膜等いかなる形態を有していてもよい。また、濾過の形式は dead end 方式、tangential flow 方式のいずれでも適用可能である。
【0014】
本発明に適したタンパク質水溶液の濃度は種類によって異なるが、例えば、ガンマグロブリン溶液の場合、0.05〜10%である。好ましくは3%〜8%である。10%以下であるのはそれ以上の濃度では、ガンマグロブリン分子同士の会合が高まり、本発明を用いても濾過が非常に困難になるためである。一般にグロブリン溶液の濃度は高ければ高いほどDNAが介在した会合の可能性も高くなり、DNAータンパク質複合体の解離による透過効率向上の効果が現れやすいので好ましい。
本発明を実施する際のタンパク質水溶液の温度及びpHはタンパク質が変性しない範囲であることが望ましい。例えば、ガンマグロブリン溶液の場合、通常、溶液の温度は2℃〜40℃でpHは約7〜8の範囲が望ましい。
【0015】
溶液中のDNAの測定に関しては、従来PCR法、紫外線可視分光光度法、蛍光法が使われてきた。 PCR法においては、その検出限界は例えばλファージDNAの場合、約10ppmである(バイオ総合カタログ 1997/1998 vol.1 遺伝子工学、D−17, 宝酒造株式会社)。また 、紫外線可視分光度法においては1.0ppm程度とされている(A. Higuchi et al. J. Membrane Sci.,116,191(1996))。また、エチレンブロマイド(インターカレート剤)を用いた蛍光測定法では、約0.1ppmである。しかし、蛍光プローブ(BEACON V2165, DNA QUANTITATION KIT、 宝酒造株式会社製)を用いた蛍光測定法では、検出限界を0.5ppb以下にすることが可能である(R. Bolger et al. Biotechniques, 23,532(1997))。
【0016】
タンパク質の産生は生体ないしは細胞により行われるので、通常、精製前の生物由来高分子タンパク質水溶液には、DNAが不可避的に含有されている。
例えば、シグマ社製凍結乾燥ガンマグロブリン(G−5009、牛由来)を緩衝液に溶解し、5000ppm (0.5%) の水溶液を調製し、この時のDNA濃度を測定したところ、LotによりDNA濃度は異なったが、8〜25±2ppbであった(A. Higuchi et al., J. Membrane Sci., in press)。また、Life Technologies社製凍結ガンマグロブリン(197−7000、牛由来)を溶解して得た5%溶液中のDNA濃度を測定したところ、37±4ppbであった。
【0017】
タンパク質水溶液中のタンパク質ーDNA複合体を解離させるために、DNAを切断しなくてはならない。このために用いられるDNaseとしては、エンドヌクレアーゼあるいはエキソヌクレアーゼに分類されるいずれのDNaseでもよい。またDNAをランダムに切断するMicrococcal nuclease、DNase I (Deoxyribonuclease I)、DNase II (Deoxyribonuclease II)等もこの範疇である。また、DNA中の特異的塩基配列部位で切断する制限エンドヌクレアーゼであるAcc1、Acc2、Acc3、Acy1、Afl2、Age1、Alu1、Alw 44 1(ApaL 1)、Apa1、Ase1、Ava 1、Ava2、Axy1、Bal1、Bam H1、Bcl1、Bgl1、Hpa I、Hind III、EcoR I等いずれもこの範疇である。これらのうち、比較的安価で汎用性であるMicrococcal nucleaseは本特許の実施するに当たり取り扱いやすいDNaseである。
【0018】
タンパク質水溶液をDNaseで処理する方法として、(1)DNaseを直接タンパク質水溶液に添加して撹拌放置する方法、(2)DNaseを胆体に固定化して、このDNase固定化胆体をタンパク質水溶液中に投入して撹拌放置する方法、さらに(3)膜上にDNaseを固定化して、濾過とともにタンパク質水溶液をDNase処理する方法が考えられる。
【0019】
(1)のDNaseを直接タンパク質水溶液に添加して撹拌放置する方法においては、本発明においては、DNase濃度を0.001unit/100 mlから1000unit/100 mlの濃度で処理することが適切である。あまり酵素濃度が低いと処理時間が長く要するようになり、また酵素濃度が高くなるとタンパク質水溶液中にDNaseという不純物が増大してしまうので、0.1unit/100 mlから10unit/100 mlの濃度のDNaseで処理することが好ましい。また、処理温度は酵素が機能し、かつ変性しない2℃〜50℃で30秒から24時間処理することが適切である。長期時間処理は、前処理時間が長くなるために本発明の趣旨と異なってくるために、1分から1時間程度の処理時間が好ましい。
【0020】
2)のDNaseを胆体に固定化して、このDNase固定化胆体をタンパク質水溶液中に投入して撹拌放置する方法においては、DNaseを胆体上に固定化されたDNase固定化胆体をタンパク質水溶液中に投入してDNase処理を2℃〜50℃で30秒から24時間処理を行なう。長期時間処理は、前処理時間が長くなるために本発明の趣旨と異なってくるために、1分から1時間程度の処理時間が好ましい。また、処理温度は酵素が機能し、かつ変性しない2℃〜50℃が好ましい。
DNase固定化用の胆体として、ポリスチレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート等より調製されたカラムビーズ、並びにポリエステル、セルロース、ナイロン等より調製された不織布または布、さらに、セルロース、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリイミド等より調製された膜等、DNaseが水溶液中で不容化されていれば、いかなる形式でも良い。DNaseの胆体化反応としては、カルボジイミド法(住田秀司ら、高分子論文集、43, 665 (1986))あるいは、スクシンイミド法(H. Kitano et al., J. Am. Chem. Soc., 111, 6809 (1989)) を用いることが可能であるが、これらの方法にとらわれるものではない。
また、DNaseの胆体への固定化法として、物理吸着法でも良いが、一部のDNaseが水溶液中に流出することが考えられるために上記(1)の効果もこの場合には含まれることになる。
【0021】
3)の膜上にDNaseを固定化して、濾過とともにタンパク質水溶液をDNase処理する方法では、DNaseを膜上に固定化されたDNase固定化膜を調製した後に、タンパク質水溶液をDNase固定化膜に透過させればよい。この時の処理温度は酵素が機能し、かつ変性しない2℃〜50℃が好ましい。
DNase固定化用の膜の素材は、水溶性溶液を濾過できる物であれば、いかなる素材でも良い。例えば、セルロース、セルロースアセテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ナイロン等であるが、これに限定されるものではない。その中でも、ウイルス除去膜を用いた場合には、タンパク質水溶液の前処理とともにウイルス除去双方を行なうために本発明では好ましい。同様に、ウイルス除去以外にも、本発明の主眼点である本濾過用の不純物濾過膜上にDNaseを固定化した場合には、タンパク質水溶液の前処理とともに不純物除去双方を行なうために本発明では好ましい。しかしながら、DNase固定化膜を用いてタンパク質水溶液を処理(透過)させた後に、不純物濾過を膜を用いて行なっても本発明の範疇である。
【0022】
本発明に従って、タンパク質水溶液をDNase処理した後、適切に選択された膜を用いて膜濾過を行えば、効果的な不純物除去と同時に、従来の方法に比し、著しく効率的な濾過が実現される。また、不純物濾過用膜上に、DNaseを固定化した場合には、タンパク質水溶液の前処理無しに効果的な不純物除去と同時に、従来の方法に比し、著しく効率的な濾過が実現される。
DNAを含有するタンパク質水溶液を膜濾過する場合、DNAの介在により、タンパク質が会合し、その粒子サイズが大きくなり、膜細孔を通過しにくくなるため、濾過効率すなわち濾過速度、透過率が低下する。また、濾過を継続すると、時間の経過に伴い、膜表面及び膜内部の細孔が閉塞していき、濾過効率は通常さらに低下するが、会合によるタンパク質ーDNA複合体の巨大化により、この傾向が加速される。DNase処理を行なうことによりタンパク質ーDNA複合体を低減させた後、膜濾過することにより、これらの現象を解消することができる。
【0023】
【実施例】
次に実施例によってこの発明をさらに具体的に説明する。
【実施例1】
ガンマグロブリン(シグマ社製、G−5009、牛由来)をトリスアミノメタン塩酸塩(5 mM/l)/エチレンジアミン−4酢酸−2ナトリウム(0.5mM/l)緩衝液に溶解し、酢酸を添加してpH8.0の 5000ppmガンマグロブリン水溶液を調製した。
このガンマグロブリン水溶液 3mlに、Beacon DNA Quantitation Kit (V2165、Pan Vera Corporation製、宝酒造株式会社より購入)中の蛍光プローブを30μl添加した。励起波長 485nm,蛍光波長 530nm(日本分光製、分光蛍光光度計FP−777使用)の条件で、ガンマグロブリン水溶液中のDNA濃度を、DNAにインターカレートされた蛍光プローブの蛍光強度より定量した。この時のDNA濃度は、25±2ppbであった。このガンマグロブリン水溶液200 mlを37℃に保温した後に、Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製)3U添加させて、恒温槽中で1時間緩やかに震盪撹拌させた。調製したガンマグロブリン水溶液のDNA濃度を測定した所、24±2ppbであった。このガンマグロブリン水溶液をウイルス除去用フィルター、PLANOVA 35N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液を5 gづつ採取して、透過液No.を1から順に番号を振った。この透過液に対するガンマグロブリンの透過率並びに透過速度を測定した。ここで、ガンマグロブリンの透過率は以下のように定義した。
透過率 (%)=((透過液中のガンマグロブリン濃度)/(原液中のガンマグロブリン濃度))×100
これらの結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 2004089155
【0025】
【比較例1】
実施例1と同様にして、DNase未処理の5000ppmガンマグロブリン水溶液(pH8.0)を調製した。さらに、実施例1と同様にしてガンマグロブリン水溶液をウイルス除去用フィルター、PLANOVA 35N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液を5 gづつ採取して、透過液No.を1から順に番号を振った。この透過液に対するガンマグロブリンの透過率並びに透過速度を測定した。この結果を表2に示す。透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度は、0.011±0.002m/mdayであり、実施例1の透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度に比べて、1/42と著しく減少していた。また、ガンマグロブリンの透過率は、実施例1に比べて、いずれの透過液採取後においても、20%〜40%減少していた。
【0026】
【表2】
Figure 2004089155
【0027】
【実施例2】
酵素処理条件を変化させた以外は実施例1と同様の実験を行なった。酵素処理条件(酵素の種類、酵素処理濃度、処理時間、処理温度)並びに透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度と透過率を表3に示す。ここで、M.Naseは、Microccocal nuclease(Worthington Biochemical 社製)を意味し、DNase Iは、Pierce Biotechnology Inc.製(コード番号89835)の酵素を用いた。いずれの場合も、DNase処理後のガンマグロブンリン水溶液中には、10ppb以上のDNAが含有していた。透過液50g採取後における比較例1(表2)並びに表3中の実験1(DNase未処理)の値と比較すると、ガンマグロブリン水溶液をDNase処理することにより、透過速度並びに透過率が共に向上していた。
【0028】
【表3】
Figure 2004089155
【0029】
【実施例3】
実施例1と同様に、ガンマグロブリン水溶液を調製し、さらにDNase処理を行なった。このガンマグロブリン水溶液を、a)ウイルス除去用フィルター、PLANOVA 15N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)、b)PLANOVA 75N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)、c)精密濾過膜、フロロポア膜(FP−100、平膜、孔径1.0μm、膜面積 17.3cm、住友電工社製)、d)精密濾過膜、ニュクリポァー膜(111105、平膜、孔径0.1μm、膜面積 17.3cm、コーニングコスター社製)並びにe)限外濾過膜、SI−1(ポリスルホン製、中空糸膜、長さ1m、旭化成株式会社製)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度並びに透過率を表4に示す。
【0030】
【表4】
Figure 2004089155
【0031】
【比較例2】
実施例1と同様にして、DNase未処理の5000ppmガンマグロブリン水溶液(pH8.0)を調製した。さらに、実施例3と同様にしてガンマグロブリン水溶液を、a)ウイルス除去用フィルター、PLANOVA 15N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)、b)PLANOVA 75N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)、c)精密濾過膜、フロロポア膜(FP−100、平膜、孔径1.0μm、膜面積 17.3cm、住友電工社製)、d)精密濾過膜、ニュクリポァー膜(111105、平膜、孔径0.1μm、膜面積 17.3cm、コーニングコスター社製)並びにe)限外濾過膜、SI−1(ポリスルホン製、中空糸膜、長さ1m、旭化成株式会社製)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度並びに透過率を表5に示す。
透過液50g採取後における実施例3(表4)の値と比較すると、ガンマグロブリン水溶液をDNase処理することにより、いずれの膜を用いても透過速度が共に向上していた。
【0032】
【表5】
Figure 2004089155
【0033】
【実施例4】
8wt%濃度のガンマグロブリン水溶液を調製した以外は、実施例1と同様な実験を行なった。この時のDNA濃度は400±30ppbであった。透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度は、DNase未処理の8wt%濃度のガンマグロブリン水溶液を用いて測定した透過速度より235倍向上していた。
【0034】
【実施例5】
500ppmの濃度のガンマグロブリン水溶液を調製した以外は、実施例1と同様な実験を行なった。透過液50g採取後におけるガンマグロブリン水溶液の透過速度は、DNase未処理の500ppm濃度のガンマグロブリン水溶液を用いて測定した透過速度より11倍向上していた。
【0035】
【実施例6】
血液凝固因子IX水溶液(Pharmacia AB社製、Nanotiv、ヒト血漿由来)200 mlを37℃に保温した後に、Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製)3U添加させて、恒温槽中で1時間緩やかに震盪撹拌させた。調製した血液凝固因子IX水溶液のDNA濃度を測定した所、7±2ppbであった。この血液凝固因子IX水溶液をウイルス除去用フィルター、Viresolve/180 (ミリポア社製、有効膜面積1/3ft)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後における血液凝固因子IX水溶液の透過速度は、DNase未処理の血液凝固因子IX水溶液を用いて測定した透過速度より4.8倍向上していた。
【0036】
【実施例7】
ヒト血清アルブミン4wt%水溶液(Pharmacia AB社製)200 mlを37℃に保温した後に、Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製)3U添加させて、恒温槽中で1時間緩やかに震盪撹拌させた。調製したヒト血清アルブミン水溶液のDNA濃度を測定した所、43±2ppbであった。このヒト血清アルブミン水溶液をウイルス除去用フィルター、Viresolve/180 (ミリポア社製、有効膜面積1/3ft)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後における血液凝固因子IX水溶液の透過速度は、DNase未処理のヒト血清アルブミン水溶液を用いて測定した透過速度より56.3倍向上していた。
【0037】
【実施例8】
アンチトロンビン(ATIII)水溶液(Pharmacia AB社製、ATenativ、ヒト血漿由来)200 mlを37℃に保温した後に、Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製)3U添加させて、恒温槽中で1時間緩やかに震盪撹拌させた。調製したアンチトロンビン水溶液のDNA濃度を測定した所、9±2ppbであった。このアンチトロンビン水溶液をウイルス除去用フィルター、Viresolve/180 (ミリポア社製、有効膜面積1/3ft)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後におけるアンチトロンビンIX水溶液の透過速度は、DNase未処理の血液凝固因子IX水溶液を用いて測定した透過速度より6.2倍向上していた。
【0038】
【実施例9】
ウイルス除去用フィルター、PLANOVA 35N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)へのDNaseの固定化を行なった。すなわち、pH10.5に調製した10mg/mlのCNBr水溶液をPLANOVA 35N膜中にマイクロチューブポンプ(MP−3N、東京理化器械社製)を用いて60分間、25℃で循環させた。60分経過した後、0.1mol/l炭酸水素ナトリウム水溶液でPLANOVA 35N膜を洗浄した。次にマイクロチューブポンプを用いて、pH9.1に調製したエタノールアミン溶液を60分間、25℃でPLANOVA 35N膜中に循環させた。このCNBr活性化PLANOVA 35N膜を0.5mol/lの塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて超純水で洗浄を行なった。ヒドラジン1水和物50mlに超純水150mlを溶解させたヒドラジン水溶液をCNBr活性化PLANOVA 35N膜中にマイクロチューブポンプを用いて10時間、25℃で循環させた。10時間後、このNH基導入PLANOVA 35N膜を超純水で洗浄した。二塩化ズベジミン酸ジメチル0.0082gを200mlの超純水に溶解させたpH10の水溶液をNH基導入PLANOVA 35N膜中にマイクロチューブポンプを用いて30分間、25℃で循環させた。超純水で二塩化ズベジミン酸ジメチル処理済みPLANOVA 35N膜を洗浄した後に、200mlのpH8.5の1000unitDNase(Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製))水溶液をマイクロチューブポンプを用いて18時間、25℃で循環させた。その後、超純水でDNase固定化PLANOVA 35N膜を洗浄した。DNase固定化PLANOVA 35N膜に固定されたDNase量を水溶液中の既知量のDNaseによるDNAの分解量と比較検討したところ、11unit/0.001m量がDNase固定化PLANOVA 35N膜上にDNaseが固定化されていることが確認された。
DNase固定化PLANOVA 35Nを用いた以外は、比較例1と同様な実験を行なった。透過液50g採取後における透過速度は比較例1より47%向上しており、ガンマグロブリンの透過率は比較例1より16%向上していた。
【0039】
【実施例10】
乾燥ポリスルホン中空糸膜(SI−1、公称分画分子量6000、旭化成株式会社製)を100%のエタノール溶液に1時間浸漬させた。その後、50%エタノール+50%ヘキサン溶液中に中空糸を1時間浸漬させた。さらに、100%ヘキサン溶液中に中空糸を1時間浸漬させた。上記処理により、中空糸膜に含有するグリセリンを除去した。
上記ポリスルホン中空糸膜(3m)をクロロジメチルエーテル(東京化成工業製、7.72g)、塩化第2スズ(和光純薬製、25g)、ヘキサン(和光純薬、228ml)の混合溶液中(上記試薬のモル比は、5:5:90)に浸漬させ、28℃で、6時間反応させた。このクロロメチル化ポルスルホン中空糸膜は、赤外吸収スペクトルより760cm−1にC−Cl結合に基づく赤外吸収が観察された。また、上記で調製したクロロメチル化ポルスルホン中空糸膜を重水素化クロロホルムに溶解させてH−NMRスペクトルを測定した。H−NMRスペクトルよりクロロメチル基のメチレン部位のプロトンに基づくピークが4.5ppmに観察された。元素分析より、ポリスルホンの繰り返し構造単位当たり0.43個のクロロメチル基が導入されていることを確認した。
次にクロロメチル化ポルスルホン中空糸膜をエチレンジアミン溶液200ml中に浸漬させ、20分間穏やかに攪拌しながらエチレンジアミン化反応を行った。エチレンジアミン化ポリスルホン中空糸膜は、赤外吸収スペクトルより3300cm−1にNH基に基づく赤外吸収が観察された。また、H−NMRスペクトルより4.5ppmに観察されたクロロメチル基のメチレン部位のプロトンに基づくピークがほぼ消失していた。エチレンジアミン化ポリスルホン中空糸膜のイオン交換容量よりポリスルホンの繰り返し構造単位当たり0.06個のエチレンジアミン基が導入されていることを確認した。
二塩化ズベジミン酸ジメチル0.0082gを200mlの超純水に溶解させたpH10の水溶液中にエチレンジアミン化ポリスルホン中空糸膜を、30分間、25℃の条件下で浸漬させた。超純水で二塩化ズベジミン酸ジメチル処理済みポリスルホン中空糸膜を洗浄した後に、200mlのpH8.5の1000unitDNase(Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製))水溶液中に18時間、25℃の条件下で浸漬させた。その後、超純水でDNase固定化ポリスルホン中空糸膜を洗浄した。DNase固定化ポリスルホン中空糸膜に固定されたDNase量を水溶液中の既知量のDNaseによるDNAの分解量と比較検討したところ、4unit/0.001m量のDNaseがDNase固定化ポリスルホン中空糸膜上に固定化されていることが確認された。
DNase固定化ポリスルホン中空糸膜を用いた以外は、比較例1と同様な実験を行なった。透過液50g採取後における透過速度はDNaseが固定化されていないポリスルホン中空糸膜より23%向上しており、ガンマグロブリンの透過率は比較例1より7%向上していた。
【0040】
【実施例11】
0.2M NaHCOと0.5M NaClを含有するpH8.3の水溶液10mlに100unitのDNase(Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製))を溶解させた。このDNase水溶液をリガンド固定化用カップリング担体(HiTrap NHS−activated HP column、アマシャムファルマシアバイオテク株式会社製)に注入して、1時間室温で放置した。その後、ブロッキング水溶液(Block Ace 4倍希釈液、UK−B80、大日本製薬株式会社)を50ml上記調製カラムに流した。酵素固定化率は、85%であることが、カラム流出液中の酵素濃度より算出された。
比較例1と同様にして、DNase未処理の5000ppmガンマグロブリン水溶液(pH8.0)を調製した。このガンマグロブリン水溶液をDNase固定化カラム中に1ml/minの速度で流した。次に、カラム処理ガンマグロブリン水溶液を実施例1と同様にしてウイルス除去用フィルター、PLANOVA 35N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後における透過速度は比較例1と比較して、58倍上昇しており、ガンマグロブリンの透過率は比較例1より18%向上していた。
【0041】
【実施例12】
ポリエステル製不織布0.5gをクロロジメチルエーテル(東京化成工業製、7.72g)、塩化第2スズ(和光純薬製、25g)、ヘキサン(和光純薬、228ml)の混合溶液中(上記試薬のモル比は、5:5:90)に浸漬させ、28℃、6時間反応させて、クロロメチル化ポリエステル不織布を調製した。次にクロロメチル化ポリエステル不織布をエチレンジアミン溶液200ml中に浸漬させ、20分間穏やかに攪拌しながらエチレンジアミン化反応を行った。その後、超純水でエチレンジアミン化ポリエステル不織布を洗浄した。
二塩化ズベジミン酸ジメチル0.0082gを200mlの超純水に溶解させたpH10の水溶液中にエチレンジアミン化ポリエステル不織布を、30分間、25℃の条件下で浸漬させた。超純水で二塩化ズベジミン酸ジメチル処理済みポリエステル不織布を洗浄した後に、200mlのpH8.5の1000unitDNase(Microccocal nuclease (Worthington Biochemical 社製))水溶液中に18時間、25℃の条件下で浸漬させた。その後、超純水でDNase固定化ポリエステル不織布を洗浄した。DNase固定化ポリエステル不織布に固定されたDNase量を水溶液中の既知量のDNaseによるDNAの分解量と比較検討したところ、20unit/0.001m量がDNase固定化ポリエステル不織布上にDNaseが固定化されていることが確認された。
比較例1で調製したガンマグロブリン水溶液をDNase固定化ポリエステル不織布に30分接触させた。その後、実施例1と同様にしてガンマグロブリン水溶液をウイルス除去用フィルター、PLANOVA 35N (旭化成株式会社製、有効膜面積0.001m)を用いて圧力0.3気圧、25℃の条件下で、デッドエンド法による濾過を行なった。透過液50g採取後における透過速度は比較例1と比較して、34倍上昇しており、ガンマグロブリンの透過率は比較例1より15%向上していた。
【0042】
【実施例13】
実施例1におけるガンマグロブリン水溶液に、ブタ日本脳炎ウイルスを加え、実施例1に従って、50gの溶液(原液)を濾過し、透過液を採取した。これを実験Aとする。比較例1におけるガンマグロブリン水溶液に、ブタ日本脳炎ウイルスを加え、比較例1に従って、50gの溶液(原液)を濾過し、透過液を採取した。これを実験Bとする。濾過前の水溶液(原液)は実験A及び実験Bのいずれについても、その中のウイルスの感染力価はいずれも8.2logであった。Microccocal nuclease処理した実験Aの透過液中のウイルス感染力価を分析したところ、ウイルス除去率は5.5であった。また、Microccocal nuclease処理していない実験Bの透過液中のウイルス感染力価を分析してウイルス除去率を求めたところ、5.8であった。ここで、ウイルス除去率(LRV)は、下記の定義によった。
LRV = −log((透過液中のウイルス感染力価)/(原液中のウイルス感染力価))
上記の結果はウイルス安全性に関する規制当局のガイドラインを充分満たすものであり、本発明によっても、従来の方法と同様に高効率でのウイルス除去が可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、タンパク質水溶液をDNaseで処理することにより、ウイルス等の不純物をタンパク質水溶液から除去するに際し、従来の方法に比較して、タンパク質水溶液の濾過速度及び透過率が向上し、これにより、生産効率が向上し、製造コストが低減できる。

Claims (3)

  1. 濾過すべきタンパク質水溶液を0.001unit/100 mlから1000unit/100 mlの濃度のDNaseで処理した後、あるいは処理しながら膜濾過することを特徴とするタンパク質水溶液の精製方法
  2. 濾過すべきタンパク質水溶液をDNase固定化胆体を用いて処理した後、膜濾過することを特徴とする請求項1記載のタンパク質水溶液の精製方法
  3. 濾過すべきタンパク質水溶液をDNase固定化膜を用いて処理しつつ、膜濾過することを特徴とする請求項1記載のタンパク質水溶液の精製方法
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