JP2004087098A - 光学素子、光ヘッド、球面収差補正方法および光記録再生装置 - Google Patents

光学素子、光ヘッド、球面収差補正方法および光記録再生装置 Download PDF

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Hidehiko Wada
和田 秀彦
Yasuhiro Tanaka
田中 康弘
Hideki Hayashi
林 秀樹
Sadao Mizuno
水野 定夫
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Abstract

【課題】取り込み効率が高くリム強度の高い光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子は、中心軸線と、前記中心軸線に対して横方向に延びる第1の曲面表面と、前記中心軸線に対して横方向に延びる第2の曲面表面と、前記第1の曲面表面と前記第2の曲面表面との間に延びる外周面とを有し、光が前記第1の曲面表面に入射し、前記第2の曲面表面から出射するまでに受ける屈折により、前記第2の曲面表面から出射する出射光の光強度分布と前記第1の表面へ入射する入射光の光強度分布とが互いに異なる光学素子において、前記入射光の中心強度に対する周辺強度の比であるリム強度に対する前記出射光のリム強度の割合であるリム強度改善率Rが1.07以上1.5以下である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報処理又は光通信等に用いられる光学素子、光ヘッド、球面収差補正方法および光記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)は、コンパクトディスク(CD)の約6倍の記録密度によってディジタル情報を記録できることから、大容量の光記録媒体として注目されている。しかしながら、情報の大容量化に伴い更なる高密度な光記録媒体が要望されている。ここで、DVD(波長660ナノメータ(nm)、開口数(NA)0.6)よりも高密度化を達成するには、光源の波長をより短くし、対物レンズのNAをより大きくすることが必要となる。例えば405ナノメータ(nm)の青色レーザーを使用してNA0.85の対物レンズを使用するとDVDの5倍の記録密度が達成される。また、光記録媒体の記録層を2層にすれば記録容量は更に2倍になる。
【0003】
しかしながら、上記した青色レーザーを用いた高密度光記録媒体は記録容量を上げるために、トラックピッチがかなり狭くなっている。このため、トラッキング誤差信号を安定なものにするためには光記録媒体に照射する光の中心強度に対する周辺強度の比であるリム強度を大きくする必要がある。リム強度を大きくするためには、光源から出射される光の中央部のみを使用することで可能となるが、光源から出射される光の利用効率(取り込み効率)が下がるため、光記録媒体に情報を記録するためには出力が大きい光源を用いなければならない。また、多層の光記録媒体に情報を記録するためには更に大きな光量を出力できる光源が必要となる。しかしながら、出力の大きい光源は寿命に問題があり、また、歩留まりが悪い。そこで、取り込み効率が高くてもリム強度が大きくなるような光学素子が特開平11−258544号公報に提案されている。
【0004】
図10は、従来の光学素子90の構成を説明するための図である。光学素子90は、中心軸線82に対して略垂直な面に沿って、光が入射する側に形成された第1の曲面表面83と、光が出射する側に形成された第2の曲面表面84と、第1の曲面表面83と第2の曲面表面84とをつなぐように中心軸線82に平行な方向に沿って形成された外周面85とを有している。さらに、図10は従来の光学素子90を屈折して通る多数の光線の光路が、複数の折れ線によって示されている。光学素子90は、等方性屈折率を有する透明な材料(例えば硝子)によって構成されている。
【0005】
このように構成された光学素子90の動作を説明する。第1の曲面表面83に入射した入射光は、第1の曲面表面83における屈折により、光学素子90内の一部の領域においては発散し、光学素子90内の他の領域においては収束する。このため、入射光の光強度分布とは異なった光強度分布によって、出射光は第2の曲面表面84を通って出射する。
【0006】
具体的には、領域Zにおいては光学素子90を通る光線の光路は互いに平行に延びている。領域Zの内側の中心領域Xにおいては光線が発散する。そして、領域Zの外側の周辺領域Yにおいては光線が収束するようになっている。
【0007】
従って、図10の左端に示されるガウス型光強度分布W91に示されるように、中心部にある強度の高い光線は光学素子90を通ることにより発散して光学素子90を出射するときに強度が低くなる。ガウス型光強度分布W91において周辺部にある強度の低い光線は光学素子90を通ることにより収束して強度が高くなる。こうしてガウス型光強度分布W91を有する入射光は光学素子90を通過することによって全体として均一な光強度分布W92を有する出射光に変換される。
【0008】
このように構成された光学素子90を光ヘッドに搭載すれば、取り込み効率を大きく上げることができ、かつリム強度を上げることができるので、高密度な光記録媒体に対しても安定なトラッキング誤差信号を得ることができ、更に出射光量の小さい光源を用いることが可能となる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−258544号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成された光学素子90は、光ヘッドへの取り付け精度が非常に厳しいものとなるため、光ヘッドの組み立てが困難となり、また、光ヘッドの信頼性が大きな問題となる。このことについて詳細に述べる。
【0011】
光源の広がり角度を25度とし、光源から出射された光を取り込んで平行光に変換するコリメータレンズの焦点距離を6.7ミリメートル(mm)とし、光学素子に入射する入射光の直径を2.84ミリメートル(mm)とし、光学素子90の中心の厚さを1.5ミリメートル(mm)としたとき、リム強度を52%から100%に変換するための第1の曲面表面83と第2の曲面表面84との形状を設計する。そして、この条件に合う光学素子を光ヘッドに取り付ける場合、取り付け精度の関係で0.1度程度光学素子90が傾くおそれがあり得る。
【0012】
上記条件に基づいて設計された光学素子90が0.1度傾いた場合を計算すると3次のコマ収差が350mλも発生するので、光ヘッドを組み立てることができなくなる。また、完全に調整して光学素子が傾かないように組み立てたとしても、0.1度で大きな収差が発生するので光ヘッドの信頼性を確保することができない。
【0013】
さらに、光学素子90そのものの第1の曲面表面83と第2の曲面表面84との間のディセンターについても問題がある。この光学素子90を成型によって作製する場合、成型のための金型の精度の関係で5マイクロメータ(μm)のディセンターが発生するおそれがある。そこで、この光学素子90の第1の曲面表面83と第2の曲面表面84との間のディセンターが5マイクロメータ(μm)生じたときには、100mλのコマ収差が発生するので光学素子90を光ヘッドに搭載することができず、光学素子90の歩留まりも非常に悪いものとなる。
【0014】
本発明の目的は、取り込み効率が高くリム強度の高い光学素子、光ヘッド、球面収差補正方法および光記録再生装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学素子は、中心軸線と、前記中心軸線に対して横方向に延びる第1の曲面表面と、前記中心軸線に対して横方向に延びる第2の曲面表面と、前記第1の曲面表面と前記第2の曲面表面との間に延びる外周面とを有し、光が前記第1の曲面表面に入射し、前記第2の曲面表面から出射するまでに受ける屈折により、前記第2の曲面表面から出射する出射光の光強度分布と前記第1の表面へ入射する入射光の光強度分布とが互いに異なる光学素子において、前記入射光の中心強度に対する周辺強度の比であるリム強度に対する前記出射光のリム強度の割合であるリム強度改善率Rが1.07以上1.5以下であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る光ヘッドは、光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う光ヘッドであって、光を出射する光源と、前記光源から出射された前記光を前記光記録媒体に集光する対物レンズとを備えており、本発明に係る光学素子が前記光源と前記対物レンズとの間に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る球面収差補正方法は、本発明に係る光ヘッドを使用した球面収差補正方法であって、前記光記録媒体の基材厚の標準値からずれを検出する工程と、前記検出された基材厚のずれに基づいて、前記球面収差を補正するように前記光学素子と前記接合レンズとの間の間隔を変更する工程とを包含することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る光記録再生装置は、本発明に係る光ヘッドと、前記光ヘッドによって生成されたフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とに基づいて、前記光記録媒体上の所望のトラック上に前記光が集光するように、前記光ヘッドに設けられた対物レンズの位置を制御する処理回路とを具備することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本実施の形態に係る光学素子においては、入射光の中心強度に対する周辺強度の比であるリム強度に対する出射光のリム強度の割合であるリム強度改善率Rが1.07以上1.5以下になっている。このため、光学素子が傾いたときに発生する収差および第1の曲面表面と第2の曲面表面にディセンターが生じたときに発生する収差を70mλ以下に抑えることができる。その結果、光学素子の歩留まりが向上し、光ヘッドに搭載した場合、光ヘッドの歩留まりが向上し信頼性が向上する。
【0020】
この実施の形態では、前記第1の曲面表面の中心位置と前記第2の曲面表面の中心位置との間の距離(中心厚さ)をd(mm)としたとき、d≧54・R −221・R +304・R −138・Rなる関係式を満足することが好ましい。これにより、光学素子が傾いたときに発生する収差や第1の曲面表面と第2の曲面表面にディセンターが生じたときに発生する収差を70mλ以下に抑えることができる。このため、光学素子の歩留まりが向上し、光ヘッドに搭載した場合、光ヘッドの歩留まりが向上し信頼性が向上する。
【0021】
本実施の形態に係る光ヘッドにおいては、本実施の形態に係る光学素子が光源と対物レンズとの間に配置されている。このため、光学素子が傾いたときに発生する収差および第1の曲面表面と第2の曲面表面にディセンターが生じたときに発生する収差を70mλ以下に抑えることができる。その結果、光ヘッドに搭載した光学素子の歩留まりが向上し、光ヘッドの歩留まりが向上し信頼性が向上する。
【0022】
この実施の形態では、前記光記録媒体の基材厚が標準値からずれることによって発生する球面収差を補正するために設けられた球面収差補正手段をさらに具備することが好ましい。これにより、球面収差が補正されるので、安定した再生信号や制御信号が得られ、安定した記録および再生が可能となる。
【0023】
前記光学素子に対して所定の間隔を空けて配置されたレンズをさらに具備しており、前記球面収差補正手段は、前記レンズと、前記光学素子と、前記球面収差を補正するために前記光学素子と前記レンズとの間の間隔を変更する間隔変更手段とによって構成されていることが好ましい。これにより、球面収差補正手段がリム強度改善機能を有しているので、トラッキング誤差信号が安定し、さらに機能を兼用しているので光ヘッドの小型化に向く。
【0024】
前記レンズは、前記光学素子によって発散光にされた光を平行光に変換することが好ましい。これにより、リム強度改善機能を有する光学素子は、前記レンズよりも光源側に配置されるので、球面収差を補正するために光学素子とレンズとの間隔を変えたときにリム強度改善率が変化しない。
【0025】
前記光源から出射された前記光をビーム整形するために前記光学素子と前記光源との間に配置されたビーム整形光学素子をさらに具備することが好ましい。これにより、光学素子が中心対称になるので光学素子の歩留まりが上がり、光ヘッドの低コスト化につながる。また、光ヘッドに本発明の光学素子を回転方向については関係なく組み込めるので光ヘッドの歩留まりがあがる。また、本発明の光学素子の回転方向には光ヘッドの特性は依存しないので信頼性が向上する。
【0026】
前記光学素子における前記第1の曲面表面の中心位置と前記第2の曲面表面の中心位置との間の距離(中心厚さ)をd(mm)としたとき、d≧54・R −221・R +304・R −138・Rなる関係式を満足することが好ましい。これにより、光学素子が傾いたときに発生する収差や第1の曲面表面と第2の曲面表面にディセンターが生じたときに発生する収差を70mλ以下に抑えることができる。このため、光学素子の歩留まりが向上し、光ヘッドに搭載した場合、光ヘッドの歩留まりが向上し信頼性が向上する。
【0027】
前記レンズは、前記光学素子側に配置された凸レンズと、前記対物レンズ側に配置され、アッベ数が前記凸レンズのアッベ数よりも小さい凹レンズとを含んでいることが好ましい。これにより、球面収差補正手段を構成できる上に色収差を補正することが可能となる。また、光学素子の透過効率が高いので、光源の光量の利用効率が高い。
【0028】
前記球面収差補正手段は、拡大系になっていることが好ましい。球面収差補正のために正レンズ群と負レンズ群の間隔を変えたときにリム強度改善率が変化しないからである。
【0029】
前記球面収差補正手段は、色収差補正機能を有していることが好ましい。光ヘッドを小型化することができるからである。
【0030】
前記光学素子と前記レンズとの少なくとも一方は、色収差補正機能を有していることが好ましい。光学素子とレンズとのいずれか一方が色収差補正機能を有していれば、光の色収差を補正することができるからである。
【0031】
前記球面収差補正手段は、前記光学素子と、前記光学素子に対して所定の間隔を空けて配置された回折型レンズと、前記球面収差を補正するために前記光学素子と前記回折型レンズとの間の間隔を変更する間隔変更手段とによって構成されていることが好ましい。これにより可動部の重量が軽くなりレンズを可動するメカ部が簡易なものとなり、また、動かすために流す電流が少なくてすむので省エネルギー化に向く。
【0032】
前記回折型レンズは、前記光学素子によって発散光にされた光を平行光に変換することが好ましい。これにより、リム強度改善機能を有する光学素子は、回折型レンズよりも光源側に配置されるので、球面収差を補正するために光学素子と回折型レンズとの間隔を変えたときにリム強度改善率が変化しない。
【0033】
色収差補正機能を有する色収差補正素子をさらに備えていることが好ましい。これにより、色収差がなくなり、再生から記録や記録から再生への切り替え時に発生するデフォーカスがなくなり安定した記録や再生が可能となる。
【0034】
前記対物レンズのNAは、0.7以上になっていることが好ましい。これにより、高密度な光記録媒体を記録再生できる光ヘッドが実現できる。
【0035】
前記光源から出射される前記光の波長は、380ナノメータ(nm)以上420ナノメータ(nm)以下になっていることが好ましい。これにより、高密度な光記録媒体を記録再生できる光ヘッドが実現できる。
【0036】
前記光記録媒体の基材厚の標準値からずれを検出するずれ検出手段をさらに備えることが好ましい。これにより、基準値からのずれを学習せずに即座に検出できるので光ヘッドの制御が早い。
【0037】
前記光学素子に対して所定の間隔を空けて配置されたレンズと、前記光記録媒体の基材厚の標準値からずれを検出するずれ検出手段とをさらに備えており、前記球面収差補正手段は、前記レンズと、前記光学素子と、前記検出された基材厚のずれに基づいて、前記球面収差を補正するように前記レンズと前記光学素子との間の間隔を変更する間隔変更手段とによって構成されていることが好ましい。これにより、球面収差補正を行うことができ、安定した記録や再生が可能となる。
【0038】
本実施の形態に係る球面収差補正方法においては、検出された基材厚のずれに基づいて、球面収差を補正するように光学素子とレンズとの間の間隔を変更する。これにより、球面収差補正を行うことができ、安定した記録や再生が可能となる。
【0039】
間隔を変更する工程は、光学素子とレンズとの間の間隔を変更するためにレンズを移動させることが好ましい。光学素子は傾きに対して非常に敏感なので、レンズを動かすことによって安定した球面収差補正が可能となるからである。
【0040】
本実施の形態に係る光記録再生装置においては、本実施の形態に係る光ヘッドが設けられている。これにより、トラッキング誤差信号が安定なものとなり、信頼性の高い光記録媒体に情報を記録再生することができる光記録再生装置が構成できる。さらに、光ヘッドが小型化に向いているので光記録再生装置の小型化に向いている。
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0042】
図1は、本実施の形態に係る光ヘッド100の構成を示すブロック図である。光ヘッド100は、光源1を備えている。光源1は、光記録媒体8に形成された記録層に対し、記録再生用のコヒーレント光を出射する。コヒーレント光の波長は、380ナノメータ(nm)以上420ナノメータ(nm)以下である。光源1は、例えばGaN系の半導体レーザー素子(波長405ナノメータ(nm))によって構成されている。
【0043】
光源1から出射されたコヒーレント光は、コリメータレンズ2によって平行光に変換されてビーム整形光学素子3へ入射する。ビーム整形光学素子3は、コリメータレンズ2によって変換された平行光の広がり角度の小さい光を拡大し、広がり角度の大きい光をそのまま透過させる。
【0044】
コリメータレンズ2を通り抜けた平行光は、ほぼ50%の透過率とほぼ50%の反射率とを有するビームスプリッタ4を通り抜ける。ビームスプリッタ4を通り抜けた平行光は、光学素子5へ入射する。
【0045】
入射した平行光は、光学素子5によりリム強度が変換され、更に発散光にされ、接合レンズ6により平行光にされ、対物レンズ7により光記録媒体8上に集光される。
【0046】
次に、光記録媒体8から反射された光は、対物レンズ7を透過し、接合レンズ6および光学素子5を透過し、ビームスプリッタ4によって反射され、集光レンズ9により光検出器10に集光される。光検出器10は、集光された光に基づいて光記録媒体8上における光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号を出力し、また光の照射位置を示すトラッキング誤差信号を出力する。ここで、フォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とは周知の技術により、たとえば非点収差法とプッシュプル法等に基づいて検出される。
【0047】
図示していないフォーカス制御手段はフォーカス誤差信号に基づき常に光が合焦状態で光記録媒体8上に集光されるように対物レンズ7の位置をその光軸方向に沿って制御する。また図示していないトラッキング制御手段は、トラッキング誤差信号に基づき、光が光記録媒体8上の所望のトラックに集光されるように対物レンズ7の位置を制御する。また、光検出器10からは光記録媒体8に記録された情報をも得ている。
【0048】
図2は、本実施の形態に係る光ヘッド100に設けられた光学素子5の構成を説明するための図である。光学素子5は、中心軸線82に対して横方向に延びる第1の曲面表面21と、中心軸線82に対して横方向に延びる第2の曲面表面22と、中心軸線82に平行な方向に沿って第1の曲面表面21と第2の曲面表面22との間に延びる外周面23とを有している。光学素子5は、コリメータレンズ2によって平行光にされた光を発散光にし、更にリム強度を変換する。光学素子5は、等方性屈折率を有する透明な材料(例えば硝子)によって構成されている。
【0049】
第1の曲面表面21に入射した入射光は、第1の曲面表面21における屈折により、第1の曲面表面21における一部の領域においては発散し、第1の曲面表面21における他の領域においては収束する。それによって入射光は、入射光のガウス型光強度分布W1とは異なったガウス型光強度分布W2によって第2の曲面表面22から発散光として出射される。
【0050】
本実施の形態に係る光学素子5は、従来の技術で前述した光学素子90と異なり、ガウス型光強度分布W1を有する入射光は光学素子5によって光学系で使われる範囲内の光に対してはリム強度が入射光よりも大きくなったガウス型光強度分布W2を有する出射光に変換する。
【0051】
また、リム強度改善率(本実施の形態に係る光学素子4に入射する前のリム強度に対する光学素子4を出射した後の光のリム強度の割合)が1.07以下の場合は、第1の曲面表面21の形状は前述した光学素子90と異なりすべて凹レンズ形状になっており、外周部にいくにしたがって凹レンズ効果が小さくなる形状になっている。リム強度改善率をさらに大きくするためには外周部の形状を、収束する凸レンズ効果を持たせる形状にすることになる。以上述べたように本実施の形態に係る光学素子5は、外周部にいくに従って出射光の光束密度を高くするものである。
【0052】
図3は、光学素子5の第1の曲面表面21と第2曲面表面22との非球面データを示す図である。ここで、光学素子5を構成するレンズの面形状(以下、「サグ」という)は以下の式で表される。
【0053】
Z=(c×r)/(1+(1−(1+k)×c2×r1/2)+a1×r+a2×r+a3×r+a4×r+a5×r10
ここで、
c(=1/R):曲率
R:曲率半径
k:円錐定数
r:半径位置
Z:サグ
a1〜a8:非球面係数 (a1=0)
である。
【0054】
図3に示すような非球面データに基づいて形成した光学素子5の第1の曲面表面21と第2曲面表面22の形状(サグ)を図4(a)および図4(b)に示す。図4(a)は光学素子100の第1の曲面表面21のザグ量と中心からの距離との関係を示すグラフであり、図4(b)は第2の曲面表面22のザグ量と中心からの距離との関係を示すグラフである。
【0055】
図4(a)に示すように、リム強度改善率が1.5、1.3および1.1の場合は、第1の曲面表面21の中心部分では凹レンズが形成されており、外周部では凸レンズが形成されている。そして、リム強度改善率が1.05および1.07の場合は第1の曲面表面21の中心部分と外周部とのいずれにおいても常に凹レンズが形成されている。また、リム強度改善率が大きければ大きいほど、第1の曲面表面21の中心部分における凹レンズ効果が大きくなっており、また外周部における凸レンズ効果も大きくなっている。
【0056】
図5は、光学素子5のリム強度改善率と光学素子5が0.1度傾いたときに発生する収差との間の関係を示すグラフである。以下、リム強度の変換量とこれを実現する光学素子5が傾いたときに発生する収差との間の関係について述べる。ここで、計算するための条件は光源1の広がり角度を25度とし、光源1から出射された光を取り込んで平行光にするコリメータレンズ2の焦点距離を6.7ミリメートル(mm)とし、光学素子5に入射する入射光の直径を2.84ミリメートル(mm)とし、光学素子5における第1の曲面表面21の中心位置と第2の曲面表面22の中心位置との間の間隔(中心厚さ)を1.5ミリメートル(mm)とする。この条件の時、リム強度は52%に相当している。
【0057】
ここで、0.1度傾いたときの収差を対象にしているのは、光ヘッド100に本実施の形態に係る光学素子5を搭載する場合に、0.1度の傾きずれが発生するおそれがあるからである。また、本実施の形態に係る光学素子5の中心位置の厚さが5ミリメートル(mm)の場合も検討すると、図3と同じ結果が得られた。従って、傾きに対しては光学素子5の中心位置の厚さは影響を与えないことが判った。
【0058】
ここで、対物レンズ7によって光記録媒体8に光を集光するためには70mλ以下の収差に抑える必要があるため、図5に示すように本実施の形態に係る光学素子5によるリム強度改善率は1.5以下にする必要があることが判る。
【0059】
上記では光学素子5だけで光の絞り性能に関するマーシャルの基準である収差70mλをすべて使ってしまっているが、光ヘッドは他に多くの光学素子を有しており、それらの光学素子すべてに作成上の誤差から生じる収差および光ヘッドの取り付け誤差によって生じる収差があるので、光学素子5の傾きには30mλ以下の収差を配分する方が現実的である。従って、図5より、リム強度改善率を1.2以下にすることが現実的であってより好ましい。
【0060】
この収差とリム強度改善率との間の関係は本実施の形態で述べた光学素子5について計算したが、平行光入射で平行光出射の場合でもほぼ同様の関係が得られる。ここで、リム強度を求める位置は対物レンズ7に入射する光の直径(これは、対物レンズ7のNAと焦点距離で決まる)が本実施の形態に係る光学素子5の入射面に投影された直径の端の位置である。
【0061】
図6は、光学素子5の中心厚さと、光学素子5の第1の曲面表面21と第2の曲面表面22とが5マイクロメートル(μm)ディセンターしたときに発生する収差との間の関係を示すグラフである。以下、光学素子5の中心厚さと光学素子5の第1の曲面表面21と第2の曲面表面22とのディセンターと間の関係について述べる。
【0062】
ここで、5マイクロメートル(μm)のディセンターが発生したときに生じる収差を対象にしているのは本実施の形態に係る光学素子5を成型により作製する場合に、成型のための金型の公差等により5マイクロメートル(μm)のディセンターが発生するおそれがあるからである。ここで、対物レンズ7によって光記録媒体8に光を集光するためには70mλ以下の収差に抑える必要がある。
【0063】
そこで、図6より各リム強度改善率において70mλ以下にするための中心厚さを求め、プロットすると図7に示されるグラフになる。曲線C1は、リム強度改善率が1.05であるときの光学素子5の中心厚さと収差との間の関係を示している。曲線C2はリム強度改善率が1.1であるときの光学素子5の中心厚さと収差との間の関係を示しており、曲線C3はリム強度改善率が1.15であるときの光学素子5の中心厚さと収差との間の関係を示しており、曲線C4はリム強度改善率が1.3であるときの光学素子5の中心厚さと収差との間の関係を示している。曲線C1は、リム強度改善率が1.5であるときの光学素子5の中心厚さと収差との間の関係を示している。
【0064】
図7は、光学素子5のリム強度改善率と、光学素子5の第1の曲面表面21と第2の曲面表面22とが5マイクロメートル(μm)ディセンターしたときに発生する収差が70mλになるときの中心厚さとの間の関係を示すグラフである。
【0065】
図7に示す関係より、本実施の形態に係る光学素子5の中心厚さをdミリメートル(mm)とし、リム強度改善率をRとして以下の(式1)を満足すれば70mλ以下の収差にすることができる。
【0066】
d ≧ 54・R −221・R +304・R −138・R  (式1)
この関係は本実施の形態で述べた光学素子5について計算したが、平行光入射で平行光出射の場合でもほぼ同様の関係が得られる。
【0067】
次に、本実施の形態に係る光学素子5を作製するための硝材について述べる。光学素子5は負レンズとして使用しているため、アッベ数が小さい硝材(例えばアッベ数が45以下の硝材)を用いると、この光学素子5そのものでも色収差補正機能を有することができる。また、本実施の形態に係る光学素子5の曲面表面は非球面となるため、成型によって作る必要がある。そこで、成型が可能(ガラス転移点が600度以下)であって、アッベ数の小さい硝材、例えばVC89(SUMITA OPTICAL GLASS INC.製)(アッベ数:40.8)によって光学素子5を構成することが好ましい。
【0068】
次に、リム強度改善率の必要量について述べる。光ヘッド100において安定したトラッキング誤差信号を得るためにはリム強度が60%以上必要である。このリム強度を確保するためには光源1から出射される光のうちの利用量(取り込み効率)を40%以下にする必要がある(ガウス型光強度分布の光の場合、利用する光の光量は100%からリム強度を減じたものになる)。また、光ヘッド100には多くの光学部品が搭載されており、これらの反射損出等を考えると対物レンズ7から出射される光はさらに80%程度になるため、リム強度を60%にするためには光源1から出射される光のうちの30%しか使用できない。
【0069】
ここで、光記録媒体8に形成された記録層に信号を記録するために15ミリワット(mW)以上の光量が必要となる場合、光源1の光量は最低でも50ミリワット(mW)以上出力できる光源が必要となる。しかしながら、現在では入手可能な青色半導体レーザーの出力は45ミリワット(mW)が最高であるため、リム強度を60%に確保しながら取り込み効率を40%から44%にする必要がある。言い換えれば取り込み効率を40%から44%にしたまま、リム強度を56%から60%に改善する必要がある。すなわち、リム強度改善率を1.07以上にすることが望ましい。
【0070】
また、上記したようにリム強度改善率は1.07以上必要であるが、若干のマージンを有していないと、対物レンズ7に埃が付着したために出射される光が初期状態よりも少なくなった場合に全く対応ができない。そこで、リム強度改善率は、ある程度のマージンを考慮して、1.1以上であることがより好ましい。
【0071】
本実施の形態に係る光学素子5を通り抜けた光は、接合レンズ6によって平行光に変換される。接合レンズ6は、再生動作から記録動作に切り替わったときにおいて光源1の波長が変化したときに発生する色収差を補正する機能も有している。
【0072】
再生動作から記録動作に切り替わったときには、光源1から出射される光の光量が変わる。このとき、波長が瞬時に変わるため対物レンズ7によって光記録媒体8に集光されていた光がデフォーカスし、球面収差が発生することになる。すなわち色収差が発生する。このようなデフォーカスはフォーカス制御によって追従して抑えることができないくらい瞬時に起こり、また、球面収差も球面収差補正手段によって追従して補正できないくらい瞬時に起こるので、光学系によって色収差を補正しておく必要がある。
【0073】
そこで、球面収差補正手段の正レンズ群に色収差補正機能を持たせるため、正レンズ群が接合レンズ6によって構成されている。ここで、接合レンズ6の凸レンズ部6aはアッベ数の大きい(例えば50以上)硝材によって構成し、接合レンズ6の凹レンズ部6bはアッベ数の小さい(例えば30以下)硝材によって構成する。
【0074】
波長が短くなると屈折率が大きく変化するため色収差の発生量が大きくなる。ここで、405ナノメータ(nm)の波長、NA0.85となる対物レンズ7を単レンズで設計した場合、1ナノメータ(nm)あたり0.35マイクロメートル(μm)程度のデフォーカスが起こる。このデフォーカスを補正するためには、凸レンズ部6aをアッベ数55.4の硝材によって構成し、凹レンズ部6bをアッベ数25.5の硝材によって構成することで上記した色収差を補正することが可能であった。また、アッベ数の小さい硝材の屈折率を1.7以上にしないとレンズの曲率半径が小さくなるためレンズ作製における公差が厳しくなる。
【0075】
本実施の形態では球面収差補正手段を構成する正レンズ群に色収差補正機能を持たせているので色収差補正手段を別途有する必要がないため、光学系が簡易なものとなり、光ヘッドの小型化が可能となる。
【0076】
次に、球面収差補正手段について述べる。球面収差補正手段は、接合レンズ6と、光学素子5と、球面収差を補正するように接合レンズ6と光学素子5との間の間隔を変更する間隔変更部11とによって構成されている。球面収差補正手段は拡大系(入射される平行光が拡大された平行光になって出射されている系)になっている。このことについて述べる。光ヘッド100には、光記録媒体8の基材厚の標準値からのずれを検出するずれ検出部12が設けられている。光記録媒体8の厚さが標準値からずれたときに発生する球面収差の補正方法は正レンズ群と負レンズ群との間の間隔を変えることである。ここで対物レンズ7の有効径は開口(NA)が一定のため、球面収差補正手段に入射される光の対物レンズ7に対する投影直径(以下「対物レンズ投影直径」と称する)が変化することになる。この変化量はリム強度の変化に対応するので大きな変化は好ましくない。
【0077】
ここで、縮小系によって球面収差補正手段を構成すると球面収差補正手段に入射される光の対物レンズ投影直径は大きく変わることになり、拡大系では変化量が小さくなるので拡大系を用いることが望ましい。
【0078】
また、上記したように球面収差を補正するためには間隔変更部11によってレンズ間隔を変えることが必要であるが、レンズを動かすと、レンズが傾く場合がある。ここで、本実施の形態に係る光学素子5は傾きに対し非常に敏感であるため、球面収差を補正するときは光学素子5は動かさず、間隔変更部11によって接合レンズ6を動かす方が有利である。また、同様にレンズを動かすと光源1から遠い側のレンズに入射する直径が変わるので、リム強度補正機能を有する本実施の形態に係る光学素子5が光源1側に配置されていることが好ましい。当然ながら、色消し機能を有するレンズを負レンズ群とし、本実施の形態に係る光学素子5を正レンズ群として、球面収差を補正する時に可動する側を負レンズ群とすることは可能である。
【0079】
次に、本実施の形態に係る球面収差補正方法について述べる。まず光記録媒体8の基材厚が標準値からどの程度ずれているかをずれ検出部12によって検出する。この検出方法としては光記録媒体8の記録もしくは再生前に学習方法に基づいてあらかじめ検出することができる。また、他の検出方法としては特開2000−171346号公報で述べられている。この他の検出方法は、光記録媒体からの反射光の光軸に近い側の第1の光ビームと、第1の光ビームよりも外側の第2の光ビームとの2つの焦点位置に基づいて球面収差を検出する方法である。
【0080】
さらに特開平10−334575号公報にさらに他の検出方法が述べられている。具体的には、光源と、光源から出射された光を光記録媒体(測定対象物)に照射する第1の光学系と、光記録媒体からの反射光を受光素子に導く第2の光学系とを含む。ここで、光源はレーザー、LEDあるいはランプを含み、第1及び第2の光学系は凸レンズあるいは凸レンズと凹レンズの組み合わせにより構成される。
【0081】
この構成を用いると、基材厚に応じて受光素子から出力される信号が異なり、基材厚に関する信号が得られる。学習によって基材厚の標準値からのずれをずれ検出部12が検出した場合は、基材厚が標準値からずれたときに発生する球面収差を補正するために必要な本実施の形態に係る光学素子5と接合レンズ6との間の間隔は設計上決まっているので、間隔変更部11がどちらかのレンズを必要量だけ動かせば球面収差を補正することができる。
【0082】
また、基材厚に関する信号が得られている場合は、その信号を基材厚が標準値である時に得られる信号となるように本実施の形態に係る光学素子5と接合レンズ6との間の間隔を間隔変更部11によって変えればよい。
【0083】
ここで、レンズ間隔を変えるために本実施の形態に係る光学素子5もしくは接合レンズ6を間隔変更部11によって動かすことになるが、上記した理由により光学素子5ではなく接合レンズ6を間隔変更部11によって動かすことが好ましい。
【0084】
次に、リム強度改善機能を持たせた光学素子5の位置について述べる。記録を行う光ヘッド100では光記録媒体8に集光する光をできるだけリム強度が均一な光にすることが望ましい。しかしながら、光源1から出射される光は光源の広がり角度が光源1の端面に平行な方向と垂直な方向とで異なるため、光記録媒体8に集光される光のリム強度が不均一になっている。そこで、本実施の形態に係る光ヘッド100にはビーム整形光学素子3が搭載されており、光源1の広がり角度の小さい光を広げ、広がり角度の大きい光はそのまま透過するようにしてリム強度を均一化している。本実施の形態に係る光学素子5をビーム整形光学素子3よりも光源側に配置する場合は、リム強度改善率をビーム整形光学素子3によって拡大された方向とそのまま透過する方向とで変えるこ
とにより実現可能である。
【0085】
以上のように、リム強度改善機能を有する光学素子5のリム強度改善率及び中心厚さを制限することで光学素子の歩留まりを上げることが可能となり、また、リム強度を改善した光ヘッド100を構成するために本実施の形態に係る光学素子5を光ヘッド100に搭載する場合、上記制限を加えることで光ヘッドの組み立て歩留まりが上がり、信頼性が高くなる。また、リム強度補正機能を有する光学素子5を用いて球面収差補正手段を構成しているので光ヘッド100の簡素化及び小型化に向く。更に、球面収差補正手段が色収差補正機能をも有しているので光ヘッドの更なる簡素化及び小型化に向く。
【0086】
しかしながら、この場合はリム強度改善率をビーム整形光学素子3によって拡大された方向とそのまま透過する方向とで変える必要があるため、第1の曲面表面21と第2の曲面表面22との形状が中心回転対称では無くなり、このような光学素子5を作製する場合、第1の曲面表面21と第2の曲面表面22との回転ずれをかなりの精度で合わせる必要がある。成型の工程において第1の曲面表面21と第2の曲面表面22との回転ずれをなくすのは非常に難しく、光学素子の歩留まりが下がることになる。
【0087】
一方、ビーム整形光学素子3と対物レンズ7との間に配置されるリム強度改善機能を有する光学素子5では、リム強度改善率をビーム整形光学素子3によって拡大された方向とそのまま透過する方向とで変える必要はないので、上述の制約はない。このため、光学素子5を製造しやすくなる。従って、本実施の形態に係る光ヘッド100では本実施の形態に係る光学素子5を用いて球面収差補正手段を構成している。
【0088】
以上のように本実施の形態によれば、入射光の中心強度に対する周辺強度の比であるリム強度に対する出射光のリム強度の割合であるリム強度改善率Rが1.07以上1.5以下になっている。このため、光学素子5が傾いたときに発生する収差および第1の曲面表面21と第2の曲面表面22にディセンターが生じたときに発生する収差を70mλ以下に抑えることができる。その結果、光学素子5の歩留まりが向上し、光ヘッド100に搭載した場合、光ヘッド100の歩留まりが向上し信頼性が向上する。
【0089】
なお、本実施の形態ではリム強度改善機能と色収差補正機能とを別々のレンズによって行っている例を示した。しかしながら本発明はこれに限定されない。図8に示すように、リム強度変換部と色収差補正部とを一体にしたレンズを用いてもよい。図8に示すレンズは、リム強度を変換するために形成されたレンズ61と、レンズ61を構成する硝材のアッベ数と異なるアッベ数の硝材によって形成されたレンズ62とを有している。
【0090】
本実施の形態に係る光学素子5は、レンズ61とレンズ62とを接合することによって構成してもよい。この光学素子5を負レンズ群として球面収差補正手段に用いると、正レンズ群は単純な平凸レンズでよい。この平凸レンズを動かして球面収差補正を行うので、可動部の重量が軽くなる。このため、レンズを可動するメカ部が簡易なものとなり、また、動かすために流す電流が少なくてすむので省エネルギー化に向く。
【0091】
また、本実施の形態では色収差補正手段としてアッベ数の異なるレンズを接合した接合レンズ6を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されない。接合レンズ6は、回折型レンズであっても良い。この場合は可動部の重量が軽くなるので、回折型レンズを可動するメカ部が簡易なものとなる。また、回折型レンズを動かすために流す電流が少なくてすむので省エネルギー化に向く。
【0092】
さらに本実施の形態では光源1に半導体レーザーを用いているので、記録と再生を切り替える際に波長変動が生じるため、色収差補正手段が必要であるが、近赤外半導体レーザーと擬位相整合方式の分極反転型導波路デバイスとによって構成された第2高調波発生ブルーレーザー(SHG光源)を光源1に用いると、波長変動が生じないので色収差補正手段が必要なく光ヘッドの簡素化が可能となる。
【0093】
さらに本実施の形態では対物レンズ7に単レンズを用いているが、高いNAを有する組レンズを用いてもよい。
【0094】
さらに本実施の形態では無限系の光ヘッドを使用する例を示したが、コリメータレンズを用いない有限系の光ヘッドを使用してもよい。
【0095】
さらに本実施の形態では無偏光光学系の光ヘッドを使用する例を示したが、上述の光ヘッドに更に1/4波長板を設け、ビームスプリッタを偏光ビームスプリッタとした偏光光学系の光ヘッドを使用してもよい。
【0096】
さらに本実施の形態ではビーム整形光学素子3を有している例を示したが、ビーム整形光学素子3が設けられていない光ヘッドにおいても本発明に係る光学素子が有用であることは言うまでもない。
【0097】
さらに本実施の形態ではリム強度改善機能を有する光学素子5によって球面収差補正手段を構成しているが、上記制限を有している光学素子5と球面収差補正手段とを別体として光ヘッドに搭載しても何ら問題はない。
【0098】
また、この場合、例えば、色収差補正素子である接合レンズと1つの凹レンズとによって球面収差補正手段を構成することになるが、この場合は接合レンズではないレンズを動かすことによって球面収差を補正することが有利である。この理由を以下に述べる。
【0099】
球面収差は1つのレンズを動かしてレンズ間隔を変えることによって補正することができる。また、光記録媒体の厚さは1トラック内でも変化しているため、1トラック内における厚さの変化に追従することができるようにレンズを動かす必要がある。そこで、動かす方のレンズの重量は、制御の観点から軽い方が望ましい。また、レンズを動かすために外部から加える信号により可動部の温度が上昇する。ここで、接合レンズは例えば、UV硬化樹脂によって接着されているため、温度が上昇すると、接合レンズそのものの収差が悪化して、光ヘッドの特性が劣化する。これらの理由により、リム強度補正素子を用いないで球面収差補正手段を構成する場合は接合レンズではない方のレンズを動かす方がよい。
【0100】
図9は、本実施の形態に係る光学ヘッド100を備えた光記録再生装置200の構成を示すブロック図である。図1を参照して前述した光学ヘッド100の構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0101】
光記録再生装置200は、光ヘッド100と、光記録媒体8を回転させるために設けられたモータ72と、光ヘッド100によって生成されたフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とに基づいて、光記録媒体8上の所望のトラック上に光が集光するように、光ヘッド100に設けられた対物レンズ7の位置を制御するために設けられた処理回路73とを備えている。
【0102】
このように構成された光記録再生装置200の動作を説明する。まず、光記録再生装置200に光記録媒体8がセットされると、処理回路73はモータ72を回転させる信号を出力してモータ72を回転させる。次に、処理回路73は、光ヘッド100に設けられた光源1を駆動して光を出射させる。そして、光源1から出射された光は、光記録媒体8によって反射され、光ヘッド100に設けられた光検出器10へ入射する。光検出器10は、光記録媒体8上における光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号と、光の照射位置を示すトラッキング誤差信号とを処理回路73に出力する。これらの信号に基づき、処理回路73は対物レンズ7の位置を制御する信号を出力し、これによって光源1から出射された光を光記録媒体8上の所望のトラック上に集光させる。また、処理回路73は、光検出器10から出力される信号に基づいて、光記録媒体8に記録されている情報を再生する。
【0103】
以上のように光記録再生装置200は本実施の形態に係る光ヘッド100を備えているため、トラッキング誤差信号が安定なものとなる。このため、光記録媒体8に情報を記録再生することができる信頼性の高い光記録再生装置200を得ることが可能となる。さらに、光ヘッド100が小型化に向いているので光記録再生装置200も小型化することができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づく他の実施の形態に適用することができる。
【0105】
また、上記実施の形態では、光のみによって情報を記録する光記録媒体について述べたが、光および磁気によって情報を記録する光記録媒体についても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0106】
また、上記実施の形態では、光記録媒体が光ディスクである場合について説明したが、カード状の光記録媒体など、類似の機能を実現する光学的情報記録再生装置に適用することができる。
【0107】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、取り込み効率が高くリム強度の高い光学素子、光ヘッド、球面収差補正方法および光記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る光ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る光ヘッドに設けられた光学素子の構成を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に係る光学素子の第1の曲面表面と第2曲面表面の非球面データを示す図である。
【図4】(a)は本実施の形態に係る光学素子の第1の曲面表面のザグ量と中心からの距離との関係を示すグラフであり、
(b)は第2の曲面表面のザグ量と中心からの距離との関係を示すグラフである。
【図5】本実施の形態に係る光学素子のリム強度改善率と光学素子が0.1度傾いたときに発生する収差との間の関係を示すグラフである。
【図6】本実施の形態に係る光学素子の中心厚さと光学素子の第1の曲面表面と第2の曲面表面がと5マイクロメートル(μm)ディセンターしたときに発生する収差との間の関係を示すグラフである。
【図7】本実施の形態に係る光学素子のリム強度改善率と光学素子の第1の曲面表面と第2の曲面表面とが5μmディセンターしたときに発生する収差が70mλになるときの中心厚さとの間の関係を示すグラフである。
【図8】本実施の形態に係る他の光学素子の構成を説明するための図である。
【図9】本実施の形態に係る光学ヘッドを備えた光記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の光学素子の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光源
2 コリメータレンズ
3 ビーム整形光学素子
4 ビームスプリッタ
5 本発明の光学素子
6 接合レンズ
7 対物レンズ
8 光記録媒体
9 集光レンズ
10 光検出器
72 モータ
73 処理回路

Claims (22)

  1. 中心軸線と、
    前記中心軸線に対して横方向に延びる第1の曲面表面と、
    前記中心軸線に対して横方向に延びる第2の曲面表面と、
    前記第1の曲面表面と前記第2の曲面表面との間に延びる外周面とを有し、
    光が前記第1の曲面表面に入射し、前記第2の曲面表面から出射するまでに受ける屈折により、前記第2の曲面表面から出射する出射光の光強度分布と前記第1の表面へ入射する入射光の光強度分布とが互いに異なる光学素子において、
    前記入射光の中心強度に対する周辺強度の比であるリム強度に対する前記出射光のリム強度の割合であるリム強度改善率Rが1.07以上1.5以下であることを特徴とする光学素子。
  2. 前記第1の曲面表面の中心位置と前記第2の曲面表面の中心位置との間の距離(中心厚さ)をd(mm)としたとき、
    d≧54・R −221・R +304・R −138・R
    なる関係式を満足する、請求項1記載の光学素子。
  3. 光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う光ヘッドであって、
    光を出射する光源と、
    前記光源から出射された前記光を前記光記録媒体に集光する対物レンズとを備えており、
    請求項1記載の光学素子が前記光源と前記対物レンズとの間に配置されていることを特徴とする光ヘッド。
  4. 前記光記録媒体の基材厚が標準値からずれることによって発生する球面収差を補正するために設けられた球面収差補正手段をさらに具備する、請求項3記載の光学ヘッド。
  5. 前記光学素子に対して所定の間隔を空けて配置されたレンズをさらに具備しており、
    前記球面収差補正手段は、前記レンズと、前記光学素子と、前記球面収差を補正するために前記光学素子と前記レンズとの間の間隔を変更する間隔変更手段とによって構成されている、請求項4記載の光学ヘッド。
  6. 前記レンズは、前記光学素子によって発散光にされた光を平行光に変換する、請求項5記載の光学ヘッド。
  7. 前記光源から出射された前記光をビーム整形するために前記光学素子と前記光源との間に配置されたビーム整形光学素子をさらに具備する、請求項3記載の光学ヘッド。
  8. 前記光学素子における前記第1の曲面表面の中心位置と前記第2の曲面表面の中心位置との間の距離(中心厚さ)をd(mm)としたとき、
    d≧54・R −221・R +304・R −138・R
    なる関係式を満足する、請求項3記載の光学ヘッド。
  9. 前記レンズは、前記光学素子側に配置された凸レンズと、前記対物レンズ側に配置され、アッベ数が前記凸レンズのアッベ数よりも小さい凹レンズとを含んでいる、請求項5記載の光学ヘッド。
  10. 前記球面収差補正手段は、拡大系になっている、請求項4記載の光学ヘッド。
  11. 前記球面収差補正手段は、色収差補正機能を有している、請求項4記載の光学ヘッド。
  12. 前記光学素子と前記レンズとの少なくとも一方は、色収差補正機能を有している、請求項5記載の光学ヘッド。
  13. 前記球面収差補正手段は、前記光学素子と、前記光学素子に対して所定の間隔を空けて配置された回折型レンズと、前記球面収差を補正するために前記光学素子と前記回折型レンズとの間の間隔を変更する間隔補正手段とによって構成されている、請求項4記載の光学ヘッド。
  14. 前記回折型レンズは、前記光学素子によって発散光にされた光を平行光に変換する、請求項13記載の光学ヘッド。
  15. 色収差補正機能を有する色収差補正素子をさらに備えている、請求項3記載の光学ヘッド。
  16. 前記対物レンズのNAは、0.7以上になっている、請求項3記載の光学ヘッド。
  17. 前記光源から出射される前記光の波長は、380ナノメータ(nm)以上420ナノメータ(nm)以下になっている、請求項3記載の光学ヘッド。
  18. 前記光記録媒体の基材厚の標準値からずれを検出するずれ検出手段をさらに備える、請求項4記載の光学ヘッド。
  19. 前記光学素子に対して所定の間隔を空けて配置されたレンズと、
    前記光記録媒体の基材厚の標準値からずれを検出するずれ検出手段とをさらに備えており、
    前記球面収差補正手段は、前記レンズと、前記光学素子と、前記検出された基材厚のずれに基づいて、前記球面収差を補正するように前記レンズと前記光学素子との間の間隔を変更する間隔変更手段とによって構成されている、請求項4記載の光学ヘッド。
  20. 請求項5に記載の光ヘッドを使用した球面収差補正方法であって、
    前記光記録媒体の基材厚の標準値からずれを検出する工程と、
    前記検出された基材厚のずれに基づいて、前記球面収差を補正するように前記光学素子とレンズとの間の間隔を変更する工程とを包含することを特徴とする球面収差補正方法。
  21. 前記間隔を変更する工程は、前記光学素子とレンズとの間の間隔を変更するために前記レンズを移動させる、請求項20記載の球面収差補正方法。
  22. 請求項3記載の光ヘッドと、
    前記光ヘッドによって生成されたフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とに基づいて、前記光記録媒体上の所望のトラック上に前記光が集光するように、前記光ヘッドに設けられた対物レンズの位置を制御するために設けられた処理回路とを具備することを特徴とする光記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004097818A1 (ja) * 2003-04-25 2006-07-13 コニカミノルタオプト株式会社 光ピックアップ装置

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