JP2004085843A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】被写体の動体判定を正確かつ速やかに行なうことのできるカメラを提供する。
【解決手段】撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有する構成としている。
【選択図】図6
【解決手段】撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有する構成としている。
【選択図】図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の光学機器に関し、特に自動焦点調節装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カメラの自動焦点調節装置において、撮影レンズの異なる射出瞳領域を通過した被写体からの光束を、一対のラインセンサ上に結合させ、被写体像を光電変換して得られた一対の像信号の相対位置変位量である像ずれ量を相関演算によって求めることにより、被写体の焦点はずれ量であるデフォーカス量(撮影レンズの結像位置と撮影動作を行なうべき撮影レンズの像面位置との差)を検出して、これに基づいて撮影レンズの駆動を行なう自動焦点調節方法が広く知られている。
またその多くは、静止している被写体の撮影に適したワンショットモードと、移動する被写体の撮影に適したサーボモードを持っている。
【0003】
ワンショットモードでは一般的に、図6に示すように、横軸に時間を縦軸にデフォーカス量をとると、レンズ駆動停止中のみならずレンズ駆動中にも連続してデフォーカス量の検出を行いレンズ駆動量の更新を行なうオーバラップ制御を行っている。
【0004】
これは、まず第1にデフォーカス量が大きいほど、得られる被写体像そのものがボケるので十分な検出精度が得られないという理由による。また、第2にデフォーカス量が大きいほど、像ずれ量も大きくなるので得られる被写体像はラインセンサ上の端の方へ現われ、さらにはラインセンサからはみ出すことになってしまうという理由による。さらに、第3に実際に撮影レンズを駆動するためには、デフォーカス量からレンズ駆動量へ変換しなければならないが、公知のとおりこの2つの量は非線形の関係にあるので、デフォーカス量が大きいほど正確なレンズ駆動量を得ることが難しくなるという理由もある。
【0005】
これらの問題を解決するために、オーバラップ制御をすることで、合焦位置に正確に撮影レンズを駆動させ、デフォーカス量が所定量以下となった場合に合焦としている。
【0006】
ところで、デフォーカス量の検出には、ラインセンサへの電荷蓄積のため被写体輝度やコントラストに応じた時間がかかる。よって、図9に示すようにオーバラップ制御を行なう場合には、単純に得られたデフォーカス量によってレンズ駆動量の更新を行なうのではなく、電荷蓄積の中心からレンズ駆動量の更新が行われるまでの空走量を考慮しなければならない。空走量を求めるには、電荷蓄積の中心となる時刻でのレンズ位置を得る必要がある。
【0007】
しかしながら、電荷蓄積にかかる時間は被写体に依存するので、図9に示すように、撮影レンズが等速度もしくは等速度とみなせる状態で駆動しているときに限って、電荷蓄積の開始と終了時のレンズ位置の平均を電荷蓄積中心でのレンズ位置とするのが一般的である。また、図6と同じように横軸に時間を縦軸にレンズ位置をとると、図7に示すように、横軸に時間を縦軸にデフォーカス量とレンズ位置を足したものである像面位置をとると図8のようになる。この図が示すとおり、被写体が静止している場合に得られる像面位置はほぼ直線となる。ここで完全な直線とならないのは、デフォーカス量の検出誤差や、先述したとおり、デフォーカス量が大きいほど十分な検出精度や正確なレンズ駆動量を得ることが難しくなるためである。
【0008】
また、サーボモードでは、図10に示すように、連続してデフォーカス量の検出とレンズ駆動を交互に行なう。ワンショットモードと同様に、横軸に時間を縦軸にレンズ位置をとると図11に示すように、横軸に時間を縦軸に像面位置をとると図12のようになる。この図が示すとおり、被写体が移動している場合に得られる像面位置はほぼ単調に増加している。ここで完全な単調増加とならないのは、ワンショットモードと同様の理由に加え、被写体自身が必ずしも単調に移動していない場合にも起こり得る。
【0009】
サーボモードにおいてはさらに、過去複数回の像面位置の変化を、時刻による所定の関数となみし、その関数を求めることで撮影レンズの動体予測駆動を行っている。これは、ミラー可動式の一眼レフカメラは構成上ミラーがダウンしていないとデフォーカス量検出を行なうことができない。その一方で、ミラーがアップしていないと露光ができない。
【0010】
すなわち、最後の焦点検出から露光が開始されるまでにはある一定量以上のレリーズタイムラグがある。動体予測駆動では、最後の焦点検出時のデフォーカス量に動体予測補正量を加えたレンズ駆動を露光前までに完了することで、最後の焦点検出から露光が開始されるまでのレリーズタイムラグ間の被写体の移動を見越して合焦させることができる。
【0011】
図12を例にすると、合焦状態後の焦点検出が3回行われている。この3点を通る2次曲線を予測関数としてもよいし、最新の2点をだけを求めて1次直線によって予測してもよい、さらには、この3点から最小2乗法によって統計的に予測式を求めてもよい。
【0012】
過去複数回の像面位置の変化から、どのような予測式が最適であるかについては、既に様々な提案がなされている。本出願人においても、特開2001−021794号公報において開示しており、また実際に広く実施されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ワンショットモードとサーボモードの選択方法としては、カメラのスイッチによって手動で切り替えるか、オートモードと呼ばれる上記2つのモードを被写体の状況に応じて自動的に切り替えるモードを設けるのが一般的である。撮影する被写体が動体か静止しているかわからない場合や、撮影操作に不慣れな初心者の場合には、オートモードである方が好ましい。
【0014】
オートモードで重要となるのは、ワンショットモードとサーボモードの切り替えをいかに正確にかつ速やかに行なうかである。
【0015】
この点に着目した構成となっている第1の従来例として、図13に示すように、まずワンショットモードで合焦させ、その後、撮影レンズを固定したままでデフォーカス量の検出を複数回行い、連続的にデフォーカス量が変化する場合には被写体を動体とみなしてサーボモードへ移行させる「動体判定モード」をワンショットモードとサーボモードの間に入れる方法がある。
【0016】
この方法は、撮影レンズが停止しているときに、かつ合焦状態であるときに動体判定を開始するので確実に動体判定を行なうことができる。しかしながら、電車のような急激に接近する被写体や、緩やかではあるが撮影レンズの至近端付近で近づいてくる子供のような被写体の場合には、単位時間あたりに変化するデフォーカス量が大きく、ワンショットモードではいつまでも合焦状態とはならないため、いつまでも経ってもレリーズできなくなる問題がある。また、たとえ合焦状態になったとしても、動体判定はレンズが停止している状態で行なうために、デフォーカス量の検出を複数回行なっている間や、動体と判定して撮影レンズを再び駆動し終えるまでの間は被写体には追従していない。さらに、被写体に追従し始めても、上述したように、動体予測駆動を行なうまでには過去複数回のデフォーカス量の検出が必要となるので、無視できない相当の時間、レリーズしてもピントが甘くなってしまう状態が続く。
【0017】
上述のような第1の方法の問題点を改善した第2の従来例として、ワンショットモードの途中で撮影レンズを所定回数以上駆動しても合焦に至らない場合には、被写体を動体とみなしサーボモードへ移行させる方法がある。この方法は、被写体が静止している場合には、所定回数以内のレンズ駆動で合焦に至るという保証が必要になる。しかしながら、オーバラップ制御を行なう場合には、撮影レンズ駆動中にも駆動量の更新を行なうので、所定回数以内での合焦を保証するのは困難であり、かなり大きめの回数を見積もっておくか、もしくはオーバラップ制御中のレンズ駆動はカウントしないようにする必要がある。また、オーバラップ制御の有無に関わらず、デフォーカス量の検出誤差やレンズの停止精度によっては、合焦位置近傍を撮影レンズが行ったり来たりするハンチングが発生し、被写体が静止していても動体と誤判定する可能性がある。
【0018】
いずれにしても、誤まることなく動体を判定するためにはかなり時間を要することになる。また、判定している間、ワンショットモードを繰り返しているだけなので、たとえレリーズしたとしてもピントの甘い写真となる。
【0019】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、被写体の動体判定を正確かつ速やかに行なうことのできるカメラを提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願発明では、撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有する構成としている。
【0021】
このように、十分な検出精度が得られるデフォーカス量の範囲内で、かつ像面位置の変化によって被写体が動体であるか否かを判定するため、正確な動体判定を行なうことができる。また、従来のような所定回数以上撮影レンズを駆動しても合焦に至らない場合に動体と判定する方式等に比べ、複数回のデフォーカス量の検出とこのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を行なうだけでよいため、従来よりも速やかな動体判定を行なうことができる。
【0022】
ここで、上述した動体判定手段は、少なくとも3回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した少なくとも3つの像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する構成であることが好ましい。
【0023】
なお、複数の像面位置を演算するためのそれぞれのデフォーカス量の検出およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を所定時間以上の間隔をあけて行なうようにしてもよい。
【0024】
また、上述した動体判定手段は、撮影被写体が動体であるか否かの判定に、それぞれの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻を用いる構成であってもよい。
【0025】
上述した動体判定手段は、例えば像面位置の変化量が所定量以上のとき像面位置の変化があると判定する構成とすることもできる。このようにすれば、デフォーカス量検出手段によるデフォーカス量の検出値に多少の誤差があったとしても、被写体が動体であるか否かの判定に有効な十分な変化量を基準として判定を行なうことで、正確な動体判定を行なうことができる。
【0026】
なお、動体判定手段により被写体が動体ではないと判定したときには合焦モードを静止した被写体の撮影に適した静止モードに、被写体が動体であると判定したときには合焦モードを動体の撮影に適した動体モードに自動的に切り替える撮影モード切替手段を有し、撮影モード切替手段は、静止モードでの撮影途中であっても、動体判定手段により被写体が動体であると判定された場合には、動体モードに切り替える構成とすることが好ましい。このようにすれば、移動する被写体に対しても、迅速且つ正確に動体判定を行なうことで、合焦モードを適切に切り替えることができ、十分な合焦性能・追従性能を発揮することができるカメラを提供することができる。
【0027】
この他、演算した複数の像面位置とこれらの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻に基づいて将来の像面位置を予測する像面位置予測手段を有し、静止モード時において得た像面位置および検出時刻の一部あるいは全てに基づいて動体モード時における像面位置の予測を行なう構成としてもよい。このような構成とすることにより、移動する被写体への十分な合焦性能を発揮するカメラを提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である自動焦点調節装置およびこれを備えた光学機器について詳細に説明する。
【0029】
図1は本実施形態による光学機器の一例である交換レンズ式一眼レフカメラの構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
同図において、1は撮影レンズユニットLにおける全ての演算および制御を行なうレンズMPU(マイクロプロセッシングユニット)、2は撮影レンズを駆動するためのレンズ駆動ユニット、3はレンズ位置検出ユニット、4は自動焦点調節に必要な光学情報を記憶するための光学情報テーブルである。
【0031】
また、実際の撮影レンズユニットにおいては、絞りを駆動するための絞り駆動ユニット等が必要であるが、本実施形態では関係ないので説明を省略する。これら1から4によって撮影レンズユニットLは構成される。
【0032】
撮影レンズユニットLは、同図中央の点線で示されるマウント部を介して、カメラ本体Cと接続される。5はカメラ本体における全ての演算および制御を行なうカメラMPU(マイクロプロセッシングユニット)であり、マウントの信号線を介してレンズMPU1と接続され、レンズMPU1に対してレンズの動作状態やレンズ位置の取得,レンズ駆動,および撮影レンズユニット(交換レンズ)ごとに固有の光学情報の取得等を行なうことができる。
【0033】
6はデフォーカス量検出ユニット、7はシャッタ駆動ユニット、8はフィルム給送ユニットであり、9はカメラの諸設定(シャッタ速度、絞り値、撮影モード等)を行なうためのダイヤルユニットである。
【0034】
これらカメラMPU5およびデフォーカス量検出ユニット6がデフォーカス量検出手段としての役割を有する。また、カメラMPU5が記憶手段,動体判定手段,計時手段,像面位置演算手段,および像面位置予測手段としての役割を有している。
【0035】
SW1はレリーズボタンの第1ストローク操作(半押し)によりオンし、自動焦点動作を行なう。SW2はレリーズボタンの第2ストローク操作(全押し)によりオンし、レリーズ動作を行なう。
【0036】
ダイヤルユニット9を操作することで種々撮影モードを設定することができるが、本実施形態では、本発明に係るワンショットモードとサーボモードを自動的に切り替えるオートモードについて、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
SW1がオンされるとステップ#101へ進みオートモード処理を開始する。まず、ステップ#102のワンショットモード処理へ進む。ワンショットモード処理の詳細については、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、ステップ#201からステップ#202へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていればステップ#214へ進み処理を抜ける。SW1がオンされていれば、ステップ#203へ進み、レンズ位置検出ユニット3からレンズ位置を表すレンズ位置情報の取得を行なう。これはカメラMPU5からレンズMPU1へ通信することによって行われる。このとき、カメラMPU5に内蔵されるタイマによってその検出時刻を取得しておく。
【0039】
次に、ステップ#204において電荷蓄積を行なう。電荷蓄積終了後、ステップ#205において、再びレンズ位置とその検出時刻を取得する。
【0040】
自動焦点調節に必要となるデフォーカス量は、撮影レンズの光軸を挟む異なる2つの領域を通過する被写体光束から形成される2つの像の像ずれ量から計算される。具体的には、これら2つの像の光束はハーフミラーとなっているメインミラーMを通過し、その後ろにあるサブミラーSによって反射され、不図示の焦点検出光学系によってデフォーカス量検出ユニット6に導かれる。デフォーカス量検出ユニット6は光電変換素子であり、カメラMPU5はステップ#206でこれら2像の信号を読み出し、相関演算を施すことによって像ずれ量を計算する。
【0041】
また、レンズから自動焦点調節に必要となる像ずれ量あたりのデフォーカス量や、1パルスあたりのデフォーカス量等の光学情報の取得を、カメラMPU5はレンズMPU1へ通信することによって行なう。具体的には、レンズMPU1は光学情報テーブル4を参照することで自動焦点調節に必要な情報をカメラMPU5へ送信する。これらの情報から、像ずれ量からデフォーカス量、さらには、撮影レンズへの駆動波形であるところのフォーカスパルス数(レンズ駆動量)を求める。先述したとおり、デフォーカス量と実際のレンズ駆動量は非線形の関係にあるので、デフォーカス量に応じた関数で近似し、その係数を撮影レンズの光学情報テーブル4に持たせている。
【0042】
合焦に必要なレンズ駆動量はこのようにして求められるが、ステップ#207において、まず現時点において合焦であるか否かを判定し、合焦であればステップ#214へ進み処理を抜ける。そうでなければ、#208へ進み、レンズ位置とその検出時刻の取得、およびオーバラップ制御の駆動量の補正を行なう。
【0043】
これは上述したように、オーバラップ制御を行なう場合には、単純に得られたデフォーカス量によってレンズ駆動を行なうのではなく、電荷蓄積の中心からレンズ駆動量の更新が行われるまでの空走量を考慮しなければならない。よって、ステップ#203と#204のレンズ位置の平均を電荷蓄積中心でのレンズ位置とし、この位置から#208でのレンズ位置までの変位に相当するフォーカスパルス数を空走量として、レンズ駆動量から引く。なお、当然のことながら、オーバラップ制御でない場合には、ステップ#203から#208での間のレンズ位置に変化がないため空走量は0となり補正は行われない。
【0044】
最終的なレンズ駆動量が求まると、ステップ#209へ進み、レンズ駆動を行なう。その後、ステップ#210において、ステップ#206で求めたオーバラップ補正する前のレンズ駆動量とステップ#208で求めた電荷蓄積中心でのレンズ位置を足すことによって求められる像面位置と、その検出時刻(#203と#205で取得しておいた時刻の平均)を、デフォーカス量が±5mm以下の場合に限り、カメラMPU5のメモリへ記憶する。
【0045】
カメラMPU5には過去複数回の像面位置が記憶されており、この像面位置が単調に増加もしくは減少している場合には、被写体は動体とみなす。逆に、そうでない場合には、像面位置は振動しているか、これはデフォーカス量の検出誤差によるものとして、被写体は静止しているとみなす。なお、ここでいう単調な増加とは過去複数回の像面位置が減少することなく増加してゆく状態を意味し、単調な減少とは過去複数回の像面位置が増加することなく減少してゆく状態を意味している。
【0046】
ステップ#211でこの判定を行い、動体であればステップ#214へ進み処理を抜ける。そうでない場合には、ステップ#212へ進む。ステップ#212では、オーバラップ制御可能か否かを判定する。この判定は電荷蓄積時間から、または、レンズMPU1とカメラMPU5が定期的に通信により交換している動作状態から、またはレンズ位置情報とその検出時刻(或いはこのレンズ位置情報に対応するデフォーカス量の検出時刻)の時刻変化から判定する。
【0047】
具体的には、電荷蓄積時間が十分に短いときには、空走量自体も無視できるほど小さくなるので、オーバラップ制御が可能である。また、レンズの駆動速度が最高速であるときには、撮影レンズが等速度とみなせる状態で駆動しているので、オーバラップ制御が可能である。さらには、ステップ#203,#205および#208においてレンズ位置とその検出時刻を取得しているので、その時刻変化がほぼ直線であれば、オーバラップ制御が可能である。
【0048】
ステップ#212において、オーバラップ制御が可能であると判定された場合には、ステップ#202へ戻りオーバラップ制御を行なう。そうでない場合には、ステップ#213へ進み、レンズが停止しているか判定する。レンズが停止していれば、ステップ#202へ戻り通常の自動焦点調節を行なう。レンズが停止していなければ、ステップ#212へ戻り、オーバラップ制御が可能かの判定と、レンズが停止しているかの判定を繰り返す。
【0049】
図2のオートモード処理に戻って、ステップ#102においてワンショットモード処理を終えると、ステップ#103へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていれば、ステップ#110へ進み処理を終了する。オンされていれば、ステップ#104へ進む。ステップ#104では、ステップ#102のワンショットモード処理で動体と判定されていれば、ステップ#108のサーボモード処理へ進む。そうでなれば、ステップ#105の動体判定モードへ進む。動体判定モード処理の詳細については、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、ステップ#301からステップ#302へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていればステップ#308へ進み処理を抜ける。オンされていれば、ステップ#303へ進み、レンズ位置の取得とその検出時刻を取得する。
【0051】
次に、ステップ#304において電荷蓄積を行なう。電荷蓄積終了後、ステップ#305において、像信号の読み出し,相関演算,デフォーカス量演算,およびレンズ駆動量演算を行なう。最終的なレンズ駆動量が求まると、ステップ#306へ進み、像面位置とその検出時刻を、デフォーカス量が±5mm以下のときに限り、カメラMPU5のメモリへ記憶する。
【0052】
カメラMPU5には過去複数回の像面位置が記憶されており、この像面位置が単調に増加もしくは減少している場合には、被写体は動体とみなす。逆に、そうでない場合には、被写体は静止しているとみなす。
【0053】
ステップ#307でこの判定を行い、動体であればステップ#308へ進み処理を抜ける。そうでない場合には、ステップ#302へ戻り、SW1がオフされたか動体と判定されるまで、ステップ#302から#307までの処理を繰り返す。
【0054】
図2のオートモード処理に戻って、ステップ#105において動体判定モード処理を終えると、ステップ#106へ進み、SW1がオンされているか否かを判定する。ここで、SW1がオフされていれば、ステップ#110へ進み処理を終了する。オンされていれば、ステップ#107へ進む。ステップ#107では、ステップ#105の動体判定モード処理で動体と判定されていれば、ステップ#108のサーボモード処理へ進む。そうでなれば、ステップ#105の動体判定モードへ戻る。サーボモード処理の詳細については、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、ステップ#401からステップ#402へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていればステップ#412へ進み処理を抜ける。オンされていれば、ステップ#403へ進み、レンズ位置の取得とその検出時刻を取得する。
【0056】
次に、ステップ#404において電荷蓄積を行なう。電荷蓄積終了後、ステップ#405において、像信号の読み出し,相関演算,デフォーカス量演算,およびレンズ駆動量演算を行なう。レンズ駆動量が求まると、ステップ#406へ進み、像面位置とその検出時刻をカメラMPU5のメモリへ記憶する。
【0057】
続いて、ステップ#407において、合焦であるかを判定し、合焦であればステップ#412へ進み処理を抜ける。そうでなければ、#408へ進み動体予測可能か判定する。
【0058】
動体予測可能であれば、ステップ#409でレンズ駆動量を動体予測量に従って補正してからステップ#410へ進む。動体予測不可能であれば、そのままステップ#410へ進む。
【0059】
ステップ#410でレンズ駆動を行なうと、ステップ#411へ進み、レンズが停止しているか判定する。レンズが停止していなければ、ステップ#411へ戻り、レンズが停止するまで判定を繰り返す。レンズが停止していれば、ステップ#402へ戻りSW1がオフされるまでサーボモード処理を繰り返す。
【0060】
図2のオートモード処理に戻って、ステップ#108においてサーボモード処理を終えると、ステップ#109へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていれば、ステップ#110へ進み処理を終了する。オンされていれば、ステップ#108へ戻りSW1がオフされるまでサーボモード処理を繰り返す。
【0061】
なお、本実施形態では、ステップ#204,#304および#404において、電荷蓄積を繰り返し行なう場合、必要に応じて、カメラMPU5に内蔵されるタイマによって、デフォーカス量の検出が100ms以上の時間間隔となるようなウエイトが入る。すなわち、複数の像面位置を演算するためのそれぞれのデフォーカス量の検出およびこれらのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報の取得を所定時間以上の間隔をあけて行なう。
【0062】
これは、本実施形態では、動体の判定において、像面位置が単調に増加もしくは減少している場合に被写体を動体とみなしているが、検出するデフォーカス量の時間間隔があまりに短い場合には、たとえ被写体が移動していても像面位置が単調に変化しない場合があるためである。
【0063】
また、ステップ#210,#306,および#406において、記憶する像面位置の数は余裕があればいくらでも記憶しておいてよいが、記憶容量には限りがあるので、デフォーカス量が±5mm以下の像面位置の中から最新の6回を記憶しておくものとする。また、像面位置は過去2点以上あれば、単調に増加しているか減少しているかを判定できるが、あまりに少ない場合には、誤判定の可能性があるので過去6回の像面位置が記憶された時点から動体の判定を行なう。
【0064】
動体の誤判定を行なうことなく、デフォーカス量の検出時間間隔だけを短くしたい場合には、像面位置を記憶する際にその検出時刻も合わせて記憶しているので、例えば、十分に多い数の像面位置とその検出時刻を記憶しておいて、最新の像面位置から100ms以上の時間間隔となるように順に6点を選び出して、その6点で動体の判定を行ってもよい。例えば、本実施形態の方法と組み合わせて、デフォーカス量の検出が50ms以上の時間間隔となるようなウエイトを入れておき、過去12回の像面位置を記憶して、そのうちの最新の像面位置から1つ置きに順に6点を選び出してもよい。また、デフォーカス量の検出には無視できない量の誤差が含まれるので、例えば上述の像面位置の変化量が所定量以上のとき像面位置の変化があると判定してもよい。例えば、隣接像面位置の変位量が0.050mm以上で、かつ過去6点の像面位置が単調に変化している場合に動体であると判定してもよい。このようにすれば、デフォーカス量検出手段によるデフォーカス量の検出値に多少の誤差があったとしても、被写体が動体であるか否かの判定に有効な十分な変化量を基準として判定を行なうことで、正確な動体判定を行なうことができる。
【0065】
本実施形態では、動体の判定に用いる像面位置とその検出時刻のデータは、サーボモードでの動体予測に用いる像面位置とその検出時刻のデータと共有している。また、ステップ#408の動体予測可能かの判定も、像面位置とその検出時刻のデータが過去6回分まで記憶されているどうかによって判定している。動体予測においても、像面位置とその検出時刻が過去2点以上あれば行なうことが可能ではあるが、あまりに少ない場合には、誤まった予測をする可能性がある。よって、像面位置とその検出時刻のデータが過去6回分まで記憶された時点から、そのデータを用いて、最小2乗法によって統計的に動体予測を行なう。最小2乗法による統計的な動体予測そのものについては、本出願人により特開2001−021794号公報において開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0066】
上記構成においては、デフォーカス量が所定量以下となり、かつ像面位置が単調に変化していると判定されたときに、被写体を動体と判定している。このような構成としたことで、デフォーカス量が所定量以下の検出誤差が少ない状態でのみ判定を行なうので、正確に動体を判定することができる。
【0067】
また、オートモードにおいて、ワンショットモード中に動体を判定することができ、かつ、動体判定モードを介さずにワンショットモード中にサーボモードへ切り替えている。これにより、速やかに動体を判定することができるので、移動する被写体への追従性が高まる。
【0068】
さらには、ワンショットモード中に得られている像面位置とその検出時刻のデータの一部あるいは全てをサーボモードでの動体予測のデータとして用いるので、速やかに動体予測を行なうことができ、どのような状況でレリーズされても十分な合焦性能を発揮することができる。
【0069】
ここで、上述した複数の像面位置としては、例えば少なくとも3回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した少なくとも3つの像面位置であってもよい。
【0070】
上述した本実施形態では、光学機器の一例として、フィルム式一眼レフカメラについて説明したが、これに限られるものではなく、デジタル一眼レフカメラ等の他の光学機器にも適用可能であることは言うまでもない。
【0071】
また、ここでは撮影レンズユニットLがカメラ本体Cに対して着脱可能な構成となっているが、これに限られるものではなく、撮影レンズユニットLとカメラ本体Cとが一体となった構成であっても同様な効果を奏することができる。
【0072】
以上のように、本発明の実施形態であるカメラは、撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有する構成となっている。
【0073】
このように、十分な検出精度が得られるデフォーカス量の範囲内で、かつ像面位置の変化によって被写体が動体であるか否かを判定するため、正確な動体判定を行なうことができる。また、従来のような所定回数以上撮影レンズを駆動しても合焦に至らない場合に動体と判定する方式に比べ、複数回のデフォーカス量の検出とこのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を行なうだけでよいため、従来よりも速やかな動体判定を行なうことができる。
【0074】
なお、上述のように動体判定手段により被写体が動体ではないと判定したときには合焦モードを静止した被写体の撮影に適したワンショットモード(静止モード)に、被写体が動体であると判定したときには合焦モードを動体の撮影に適したサーボモード(動体モード)に自動的に切り替える撮影モード切替手段を有し、撮影モード切替手段は、ワンショットモードでの撮影途中であっても、動体判定手段により被写体が動体であると判定された場合には、サーボモードに切り替える構成としたことで、移動する被写体に対しても、迅速且つ正確に動体判定を行なうことで、合焦モードを適切に切り替えることができ、十分な合焦性能・追従性能を発揮することができる。
【0075】
また、演算した複数の像面位置とこれらの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻に基づいて将来の像面位置を予測する像面位置予測手段を有し、ワンショットモード時において得た像面位置および検出時刻の一部あるいは全てに基づいてサーボモード時における像面位置の予測を行なう構成することで、移動する被写体への十分な合焦性能を発揮することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本願各発明によれば、被写体の動体判定を正確かつ速やかに行なうことのできるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラの機能ブロック図である。
【図2】同実施形態に係るオートモードの動作を示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係るワンショットモードの動作を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態に係る動体判定モードの動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係るサーボモードの動作を示すフローチャートである。
【図6】ワンショットモードにおける時刻とデフォーカス量の関係を示す図である。
【図7】ワンショットモードにおける時刻とレンズ位置の関係を示す図である。
【図8】ワンショットモードにおける時刻と像面位置の関係を示す図である。
【図9】ワンショットモードにおけるオーバラップ制御を説明するための図である。
【図10】サーボモードにおける時刻とデフォーカス量の関係を示す図である。
【図11】サーボモードにおける時刻とレンズ位置の関係を示す図である。
【図12】サーボモードにおける時刻と像面位置の関係を示す図である。
【図13】動体判定モードにおける時刻とレンズ位置の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 レンズMPU
2 レンズ駆動ユニット
3 レンズ位置検出ユニット
4 光学情報テーブル
5 カメラMPU
6 デフォーカス量検出ユニット
7 シャッタ駆動ユニット
8 フィルム給送ユニット
9 ダイヤルユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の光学機器に関し、特に自動焦点調節装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カメラの自動焦点調節装置において、撮影レンズの異なる射出瞳領域を通過した被写体からの光束を、一対のラインセンサ上に結合させ、被写体像を光電変換して得られた一対の像信号の相対位置変位量である像ずれ量を相関演算によって求めることにより、被写体の焦点はずれ量であるデフォーカス量(撮影レンズの結像位置と撮影動作を行なうべき撮影レンズの像面位置との差)を検出して、これに基づいて撮影レンズの駆動を行なう自動焦点調節方法が広く知られている。
またその多くは、静止している被写体の撮影に適したワンショットモードと、移動する被写体の撮影に適したサーボモードを持っている。
【0003】
ワンショットモードでは一般的に、図6に示すように、横軸に時間を縦軸にデフォーカス量をとると、レンズ駆動停止中のみならずレンズ駆動中にも連続してデフォーカス量の検出を行いレンズ駆動量の更新を行なうオーバラップ制御を行っている。
【0004】
これは、まず第1にデフォーカス量が大きいほど、得られる被写体像そのものがボケるので十分な検出精度が得られないという理由による。また、第2にデフォーカス量が大きいほど、像ずれ量も大きくなるので得られる被写体像はラインセンサ上の端の方へ現われ、さらにはラインセンサからはみ出すことになってしまうという理由による。さらに、第3に実際に撮影レンズを駆動するためには、デフォーカス量からレンズ駆動量へ変換しなければならないが、公知のとおりこの2つの量は非線形の関係にあるので、デフォーカス量が大きいほど正確なレンズ駆動量を得ることが難しくなるという理由もある。
【0005】
これらの問題を解決するために、オーバラップ制御をすることで、合焦位置に正確に撮影レンズを駆動させ、デフォーカス量が所定量以下となった場合に合焦としている。
【0006】
ところで、デフォーカス量の検出には、ラインセンサへの電荷蓄積のため被写体輝度やコントラストに応じた時間がかかる。よって、図9に示すようにオーバラップ制御を行なう場合には、単純に得られたデフォーカス量によってレンズ駆動量の更新を行なうのではなく、電荷蓄積の中心からレンズ駆動量の更新が行われるまでの空走量を考慮しなければならない。空走量を求めるには、電荷蓄積の中心となる時刻でのレンズ位置を得る必要がある。
【0007】
しかしながら、電荷蓄積にかかる時間は被写体に依存するので、図9に示すように、撮影レンズが等速度もしくは等速度とみなせる状態で駆動しているときに限って、電荷蓄積の開始と終了時のレンズ位置の平均を電荷蓄積中心でのレンズ位置とするのが一般的である。また、図6と同じように横軸に時間を縦軸にレンズ位置をとると、図7に示すように、横軸に時間を縦軸にデフォーカス量とレンズ位置を足したものである像面位置をとると図8のようになる。この図が示すとおり、被写体が静止している場合に得られる像面位置はほぼ直線となる。ここで完全な直線とならないのは、デフォーカス量の検出誤差や、先述したとおり、デフォーカス量が大きいほど十分な検出精度や正確なレンズ駆動量を得ることが難しくなるためである。
【0008】
また、サーボモードでは、図10に示すように、連続してデフォーカス量の検出とレンズ駆動を交互に行なう。ワンショットモードと同様に、横軸に時間を縦軸にレンズ位置をとると図11に示すように、横軸に時間を縦軸に像面位置をとると図12のようになる。この図が示すとおり、被写体が移動している場合に得られる像面位置はほぼ単調に増加している。ここで完全な単調増加とならないのは、ワンショットモードと同様の理由に加え、被写体自身が必ずしも単調に移動していない場合にも起こり得る。
【0009】
サーボモードにおいてはさらに、過去複数回の像面位置の変化を、時刻による所定の関数となみし、その関数を求めることで撮影レンズの動体予測駆動を行っている。これは、ミラー可動式の一眼レフカメラは構成上ミラーがダウンしていないとデフォーカス量検出を行なうことができない。その一方で、ミラーがアップしていないと露光ができない。
【0010】
すなわち、最後の焦点検出から露光が開始されるまでにはある一定量以上のレリーズタイムラグがある。動体予測駆動では、最後の焦点検出時のデフォーカス量に動体予測補正量を加えたレンズ駆動を露光前までに完了することで、最後の焦点検出から露光が開始されるまでのレリーズタイムラグ間の被写体の移動を見越して合焦させることができる。
【0011】
図12を例にすると、合焦状態後の焦点検出が3回行われている。この3点を通る2次曲線を予測関数としてもよいし、最新の2点をだけを求めて1次直線によって予測してもよい、さらには、この3点から最小2乗法によって統計的に予測式を求めてもよい。
【0012】
過去複数回の像面位置の変化から、どのような予測式が最適であるかについては、既に様々な提案がなされている。本出願人においても、特開2001−021794号公報において開示しており、また実際に広く実施されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ワンショットモードとサーボモードの選択方法としては、カメラのスイッチによって手動で切り替えるか、オートモードと呼ばれる上記2つのモードを被写体の状況に応じて自動的に切り替えるモードを設けるのが一般的である。撮影する被写体が動体か静止しているかわからない場合や、撮影操作に不慣れな初心者の場合には、オートモードである方が好ましい。
【0014】
オートモードで重要となるのは、ワンショットモードとサーボモードの切り替えをいかに正確にかつ速やかに行なうかである。
【0015】
この点に着目した構成となっている第1の従来例として、図13に示すように、まずワンショットモードで合焦させ、その後、撮影レンズを固定したままでデフォーカス量の検出を複数回行い、連続的にデフォーカス量が変化する場合には被写体を動体とみなしてサーボモードへ移行させる「動体判定モード」をワンショットモードとサーボモードの間に入れる方法がある。
【0016】
この方法は、撮影レンズが停止しているときに、かつ合焦状態であるときに動体判定を開始するので確実に動体判定を行なうことができる。しかしながら、電車のような急激に接近する被写体や、緩やかではあるが撮影レンズの至近端付近で近づいてくる子供のような被写体の場合には、単位時間あたりに変化するデフォーカス量が大きく、ワンショットモードではいつまでも合焦状態とはならないため、いつまでも経ってもレリーズできなくなる問題がある。また、たとえ合焦状態になったとしても、動体判定はレンズが停止している状態で行なうために、デフォーカス量の検出を複数回行なっている間や、動体と判定して撮影レンズを再び駆動し終えるまでの間は被写体には追従していない。さらに、被写体に追従し始めても、上述したように、動体予測駆動を行なうまでには過去複数回のデフォーカス量の検出が必要となるので、無視できない相当の時間、レリーズしてもピントが甘くなってしまう状態が続く。
【0017】
上述のような第1の方法の問題点を改善した第2の従来例として、ワンショットモードの途中で撮影レンズを所定回数以上駆動しても合焦に至らない場合には、被写体を動体とみなしサーボモードへ移行させる方法がある。この方法は、被写体が静止している場合には、所定回数以内のレンズ駆動で合焦に至るという保証が必要になる。しかしながら、オーバラップ制御を行なう場合には、撮影レンズ駆動中にも駆動量の更新を行なうので、所定回数以内での合焦を保証するのは困難であり、かなり大きめの回数を見積もっておくか、もしくはオーバラップ制御中のレンズ駆動はカウントしないようにする必要がある。また、オーバラップ制御の有無に関わらず、デフォーカス量の検出誤差やレンズの停止精度によっては、合焦位置近傍を撮影レンズが行ったり来たりするハンチングが発生し、被写体が静止していても動体と誤判定する可能性がある。
【0018】
いずれにしても、誤まることなく動体を判定するためにはかなり時間を要することになる。また、判定している間、ワンショットモードを繰り返しているだけなので、たとえレリーズしたとしてもピントの甘い写真となる。
【0019】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、被写体の動体判定を正確かつ速やかに行なうことのできるカメラを提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願発明では、撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有する構成としている。
【0021】
このように、十分な検出精度が得られるデフォーカス量の範囲内で、かつ像面位置の変化によって被写体が動体であるか否かを判定するため、正確な動体判定を行なうことができる。また、従来のような所定回数以上撮影レンズを駆動しても合焦に至らない場合に動体と判定する方式等に比べ、複数回のデフォーカス量の検出とこのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を行なうだけでよいため、従来よりも速やかな動体判定を行なうことができる。
【0022】
ここで、上述した動体判定手段は、少なくとも3回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した少なくとも3つの像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する構成であることが好ましい。
【0023】
なお、複数の像面位置を演算するためのそれぞれのデフォーカス量の検出およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を所定時間以上の間隔をあけて行なうようにしてもよい。
【0024】
また、上述した動体判定手段は、撮影被写体が動体であるか否かの判定に、それぞれの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻を用いる構成であってもよい。
【0025】
上述した動体判定手段は、例えば像面位置の変化量が所定量以上のとき像面位置の変化があると判定する構成とすることもできる。このようにすれば、デフォーカス量検出手段によるデフォーカス量の検出値に多少の誤差があったとしても、被写体が動体であるか否かの判定に有効な十分な変化量を基準として判定を行なうことで、正確な動体判定を行なうことができる。
【0026】
なお、動体判定手段により被写体が動体ではないと判定したときには合焦モードを静止した被写体の撮影に適した静止モードに、被写体が動体であると判定したときには合焦モードを動体の撮影に適した動体モードに自動的に切り替える撮影モード切替手段を有し、撮影モード切替手段は、静止モードでの撮影途中であっても、動体判定手段により被写体が動体であると判定された場合には、動体モードに切り替える構成とすることが好ましい。このようにすれば、移動する被写体に対しても、迅速且つ正確に動体判定を行なうことで、合焦モードを適切に切り替えることができ、十分な合焦性能・追従性能を発揮することができるカメラを提供することができる。
【0027】
この他、演算した複数の像面位置とこれらの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻に基づいて将来の像面位置を予測する像面位置予測手段を有し、静止モード時において得た像面位置および検出時刻の一部あるいは全てに基づいて動体モード時における像面位置の予測を行なう構成としてもよい。このような構成とすることにより、移動する被写体への十分な合焦性能を発揮するカメラを提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である自動焦点調節装置およびこれを備えた光学機器について詳細に説明する。
【0029】
図1は本実施形態による光学機器の一例である交換レンズ式一眼レフカメラの構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
同図において、1は撮影レンズユニットLにおける全ての演算および制御を行なうレンズMPU(マイクロプロセッシングユニット)、2は撮影レンズを駆動するためのレンズ駆動ユニット、3はレンズ位置検出ユニット、4は自動焦点調節に必要な光学情報を記憶するための光学情報テーブルである。
【0031】
また、実際の撮影レンズユニットにおいては、絞りを駆動するための絞り駆動ユニット等が必要であるが、本実施形態では関係ないので説明を省略する。これら1から4によって撮影レンズユニットLは構成される。
【0032】
撮影レンズユニットLは、同図中央の点線で示されるマウント部を介して、カメラ本体Cと接続される。5はカメラ本体における全ての演算および制御を行なうカメラMPU(マイクロプロセッシングユニット)であり、マウントの信号線を介してレンズMPU1と接続され、レンズMPU1に対してレンズの動作状態やレンズ位置の取得,レンズ駆動,および撮影レンズユニット(交換レンズ)ごとに固有の光学情報の取得等を行なうことができる。
【0033】
6はデフォーカス量検出ユニット、7はシャッタ駆動ユニット、8はフィルム給送ユニットであり、9はカメラの諸設定(シャッタ速度、絞り値、撮影モード等)を行なうためのダイヤルユニットである。
【0034】
これらカメラMPU5およびデフォーカス量検出ユニット6がデフォーカス量検出手段としての役割を有する。また、カメラMPU5が記憶手段,動体判定手段,計時手段,像面位置演算手段,および像面位置予測手段としての役割を有している。
【0035】
SW1はレリーズボタンの第1ストローク操作(半押し)によりオンし、自動焦点動作を行なう。SW2はレリーズボタンの第2ストローク操作(全押し)によりオンし、レリーズ動作を行なう。
【0036】
ダイヤルユニット9を操作することで種々撮影モードを設定することができるが、本実施形態では、本発明に係るワンショットモードとサーボモードを自動的に切り替えるオートモードについて、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
SW1がオンされるとステップ#101へ進みオートモード処理を開始する。まず、ステップ#102のワンショットモード処理へ進む。ワンショットモード処理の詳細については、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、ステップ#201からステップ#202へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていればステップ#214へ進み処理を抜ける。SW1がオンされていれば、ステップ#203へ進み、レンズ位置検出ユニット3からレンズ位置を表すレンズ位置情報の取得を行なう。これはカメラMPU5からレンズMPU1へ通信することによって行われる。このとき、カメラMPU5に内蔵されるタイマによってその検出時刻を取得しておく。
【0039】
次に、ステップ#204において電荷蓄積を行なう。電荷蓄積終了後、ステップ#205において、再びレンズ位置とその検出時刻を取得する。
【0040】
自動焦点調節に必要となるデフォーカス量は、撮影レンズの光軸を挟む異なる2つの領域を通過する被写体光束から形成される2つの像の像ずれ量から計算される。具体的には、これら2つの像の光束はハーフミラーとなっているメインミラーMを通過し、その後ろにあるサブミラーSによって反射され、不図示の焦点検出光学系によってデフォーカス量検出ユニット6に導かれる。デフォーカス量検出ユニット6は光電変換素子であり、カメラMPU5はステップ#206でこれら2像の信号を読み出し、相関演算を施すことによって像ずれ量を計算する。
【0041】
また、レンズから自動焦点調節に必要となる像ずれ量あたりのデフォーカス量や、1パルスあたりのデフォーカス量等の光学情報の取得を、カメラMPU5はレンズMPU1へ通信することによって行なう。具体的には、レンズMPU1は光学情報テーブル4を参照することで自動焦点調節に必要な情報をカメラMPU5へ送信する。これらの情報から、像ずれ量からデフォーカス量、さらには、撮影レンズへの駆動波形であるところのフォーカスパルス数(レンズ駆動量)を求める。先述したとおり、デフォーカス量と実際のレンズ駆動量は非線形の関係にあるので、デフォーカス量に応じた関数で近似し、その係数を撮影レンズの光学情報テーブル4に持たせている。
【0042】
合焦に必要なレンズ駆動量はこのようにして求められるが、ステップ#207において、まず現時点において合焦であるか否かを判定し、合焦であればステップ#214へ進み処理を抜ける。そうでなければ、#208へ進み、レンズ位置とその検出時刻の取得、およびオーバラップ制御の駆動量の補正を行なう。
【0043】
これは上述したように、オーバラップ制御を行なう場合には、単純に得られたデフォーカス量によってレンズ駆動を行なうのではなく、電荷蓄積の中心からレンズ駆動量の更新が行われるまでの空走量を考慮しなければならない。よって、ステップ#203と#204のレンズ位置の平均を電荷蓄積中心でのレンズ位置とし、この位置から#208でのレンズ位置までの変位に相当するフォーカスパルス数を空走量として、レンズ駆動量から引く。なお、当然のことながら、オーバラップ制御でない場合には、ステップ#203から#208での間のレンズ位置に変化がないため空走量は0となり補正は行われない。
【0044】
最終的なレンズ駆動量が求まると、ステップ#209へ進み、レンズ駆動を行なう。その後、ステップ#210において、ステップ#206で求めたオーバラップ補正する前のレンズ駆動量とステップ#208で求めた電荷蓄積中心でのレンズ位置を足すことによって求められる像面位置と、その検出時刻(#203と#205で取得しておいた時刻の平均)を、デフォーカス量が±5mm以下の場合に限り、カメラMPU5のメモリへ記憶する。
【0045】
カメラMPU5には過去複数回の像面位置が記憶されており、この像面位置が単調に増加もしくは減少している場合には、被写体は動体とみなす。逆に、そうでない場合には、像面位置は振動しているか、これはデフォーカス量の検出誤差によるものとして、被写体は静止しているとみなす。なお、ここでいう単調な増加とは過去複数回の像面位置が減少することなく増加してゆく状態を意味し、単調な減少とは過去複数回の像面位置が増加することなく減少してゆく状態を意味している。
【0046】
ステップ#211でこの判定を行い、動体であればステップ#214へ進み処理を抜ける。そうでない場合には、ステップ#212へ進む。ステップ#212では、オーバラップ制御可能か否かを判定する。この判定は電荷蓄積時間から、または、レンズMPU1とカメラMPU5が定期的に通信により交換している動作状態から、またはレンズ位置情報とその検出時刻(或いはこのレンズ位置情報に対応するデフォーカス量の検出時刻)の時刻変化から判定する。
【0047】
具体的には、電荷蓄積時間が十分に短いときには、空走量自体も無視できるほど小さくなるので、オーバラップ制御が可能である。また、レンズの駆動速度が最高速であるときには、撮影レンズが等速度とみなせる状態で駆動しているので、オーバラップ制御が可能である。さらには、ステップ#203,#205および#208においてレンズ位置とその検出時刻を取得しているので、その時刻変化がほぼ直線であれば、オーバラップ制御が可能である。
【0048】
ステップ#212において、オーバラップ制御が可能であると判定された場合には、ステップ#202へ戻りオーバラップ制御を行なう。そうでない場合には、ステップ#213へ進み、レンズが停止しているか判定する。レンズが停止していれば、ステップ#202へ戻り通常の自動焦点調節を行なう。レンズが停止していなければ、ステップ#212へ戻り、オーバラップ制御が可能かの判定と、レンズが停止しているかの判定を繰り返す。
【0049】
図2のオートモード処理に戻って、ステップ#102においてワンショットモード処理を終えると、ステップ#103へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていれば、ステップ#110へ進み処理を終了する。オンされていれば、ステップ#104へ進む。ステップ#104では、ステップ#102のワンショットモード処理で動体と判定されていれば、ステップ#108のサーボモード処理へ進む。そうでなれば、ステップ#105の動体判定モードへ進む。動体判定モード処理の詳細については、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、ステップ#301からステップ#302へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていればステップ#308へ進み処理を抜ける。オンされていれば、ステップ#303へ進み、レンズ位置の取得とその検出時刻を取得する。
【0051】
次に、ステップ#304において電荷蓄積を行なう。電荷蓄積終了後、ステップ#305において、像信号の読み出し,相関演算,デフォーカス量演算,およびレンズ駆動量演算を行なう。最終的なレンズ駆動量が求まると、ステップ#306へ進み、像面位置とその検出時刻を、デフォーカス量が±5mm以下のときに限り、カメラMPU5のメモリへ記憶する。
【0052】
カメラMPU5には過去複数回の像面位置が記憶されており、この像面位置が単調に増加もしくは減少している場合には、被写体は動体とみなす。逆に、そうでない場合には、被写体は静止しているとみなす。
【0053】
ステップ#307でこの判定を行い、動体であればステップ#308へ進み処理を抜ける。そうでない場合には、ステップ#302へ戻り、SW1がオフされたか動体と判定されるまで、ステップ#302から#307までの処理を繰り返す。
【0054】
図2のオートモード処理に戻って、ステップ#105において動体判定モード処理を終えると、ステップ#106へ進み、SW1がオンされているか否かを判定する。ここで、SW1がオフされていれば、ステップ#110へ進み処理を終了する。オンされていれば、ステップ#107へ進む。ステップ#107では、ステップ#105の動体判定モード処理で動体と判定されていれば、ステップ#108のサーボモード処理へ進む。そうでなれば、ステップ#105の動体判定モードへ戻る。サーボモード処理の詳細については、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、ステップ#401からステップ#402へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていればステップ#412へ進み処理を抜ける。オンされていれば、ステップ#403へ進み、レンズ位置の取得とその検出時刻を取得する。
【0056】
次に、ステップ#404において電荷蓄積を行なう。電荷蓄積終了後、ステップ#405において、像信号の読み出し,相関演算,デフォーカス量演算,およびレンズ駆動量演算を行なう。レンズ駆動量が求まると、ステップ#406へ進み、像面位置とその検出時刻をカメラMPU5のメモリへ記憶する。
【0057】
続いて、ステップ#407において、合焦であるかを判定し、合焦であればステップ#412へ進み処理を抜ける。そうでなければ、#408へ進み動体予測可能か判定する。
【0058】
動体予測可能であれば、ステップ#409でレンズ駆動量を動体予測量に従って補正してからステップ#410へ進む。動体予測不可能であれば、そのままステップ#410へ進む。
【0059】
ステップ#410でレンズ駆動を行なうと、ステップ#411へ進み、レンズが停止しているか判定する。レンズが停止していなければ、ステップ#411へ戻り、レンズが停止するまで判定を繰り返す。レンズが停止していれば、ステップ#402へ戻りSW1がオフされるまでサーボモード処理を繰り返す。
【0060】
図2のオートモード処理に戻って、ステップ#108においてサーボモード処理を終えると、ステップ#109へ進み、SW1がオンされているか判定する。ここで、SW1がオフされていれば、ステップ#110へ進み処理を終了する。オンされていれば、ステップ#108へ戻りSW1がオフされるまでサーボモード処理を繰り返す。
【0061】
なお、本実施形態では、ステップ#204,#304および#404において、電荷蓄積を繰り返し行なう場合、必要に応じて、カメラMPU5に内蔵されるタイマによって、デフォーカス量の検出が100ms以上の時間間隔となるようなウエイトが入る。すなわち、複数の像面位置を演算するためのそれぞれのデフォーカス量の検出およびこれらのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報の取得を所定時間以上の間隔をあけて行なう。
【0062】
これは、本実施形態では、動体の判定において、像面位置が単調に増加もしくは減少している場合に被写体を動体とみなしているが、検出するデフォーカス量の時間間隔があまりに短い場合には、たとえ被写体が移動していても像面位置が単調に変化しない場合があるためである。
【0063】
また、ステップ#210,#306,および#406において、記憶する像面位置の数は余裕があればいくらでも記憶しておいてよいが、記憶容量には限りがあるので、デフォーカス量が±5mm以下の像面位置の中から最新の6回を記憶しておくものとする。また、像面位置は過去2点以上あれば、単調に増加しているか減少しているかを判定できるが、あまりに少ない場合には、誤判定の可能性があるので過去6回の像面位置が記憶された時点から動体の判定を行なう。
【0064】
動体の誤判定を行なうことなく、デフォーカス量の検出時間間隔だけを短くしたい場合には、像面位置を記憶する際にその検出時刻も合わせて記憶しているので、例えば、十分に多い数の像面位置とその検出時刻を記憶しておいて、最新の像面位置から100ms以上の時間間隔となるように順に6点を選び出して、その6点で動体の判定を行ってもよい。例えば、本実施形態の方法と組み合わせて、デフォーカス量の検出が50ms以上の時間間隔となるようなウエイトを入れておき、過去12回の像面位置を記憶して、そのうちの最新の像面位置から1つ置きに順に6点を選び出してもよい。また、デフォーカス量の検出には無視できない量の誤差が含まれるので、例えば上述の像面位置の変化量が所定量以上のとき像面位置の変化があると判定してもよい。例えば、隣接像面位置の変位量が0.050mm以上で、かつ過去6点の像面位置が単調に変化している場合に動体であると判定してもよい。このようにすれば、デフォーカス量検出手段によるデフォーカス量の検出値に多少の誤差があったとしても、被写体が動体であるか否かの判定に有効な十分な変化量を基準として判定を行なうことで、正確な動体判定を行なうことができる。
【0065】
本実施形態では、動体の判定に用いる像面位置とその検出時刻のデータは、サーボモードでの動体予測に用いる像面位置とその検出時刻のデータと共有している。また、ステップ#408の動体予測可能かの判定も、像面位置とその検出時刻のデータが過去6回分まで記憶されているどうかによって判定している。動体予測においても、像面位置とその検出時刻が過去2点以上あれば行なうことが可能ではあるが、あまりに少ない場合には、誤まった予測をする可能性がある。よって、像面位置とその検出時刻のデータが過去6回分まで記憶された時点から、そのデータを用いて、最小2乗法によって統計的に動体予測を行なう。最小2乗法による統計的な動体予測そのものについては、本出願人により特開2001−021794号公報において開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0066】
上記構成においては、デフォーカス量が所定量以下となり、かつ像面位置が単調に変化していると判定されたときに、被写体を動体と判定している。このような構成としたことで、デフォーカス量が所定量以下の検出誤差が少ない状態でのみ判定を行なうので、正確に動体を判定することができる。
【0067】
また、オートモードにおいて、ワンショットモード中に動体を判定することができ、かつ、動体判定モードを介さずにワンショットモード中にサーボモードへ切り替えている。これにより、速やかに動体を判定することができるので、移動する被写体への追従性が高まる。
【0068】
さらには、ワンショットモード中に得られている像面位置とその検出時刻のデータの一部あるいは全てをサーボモードでの動体予測のデータとして用いるので、速やかに動体予測を行なうことができ、どのような状況でレリーズされても十分な合焦性能を発揮することができる。
【0069】
ここで、上述した複数の像面位置としては、例えば少なくとも3回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した少なくとも3つの像面位置であってもよい。
【0070】
上述した本実施形態では、光学機器の一例として、フィルム式一眼レフカメラについて説明したが、これに限られるものではなく、デジタル一眼レフカメラ等の他の光学機器にも適用可能であることは言うまでもない。
【0071】
また、ここでは撮影レンズユニットLがカメラ本体Cに対して着脱可能な構成となっているが、これに限られるものではなく、撮影レンズユニットLとカメラ本体Cとが一体となった構成であっても同様な効果を奏することができる。
【0072】
以上のように、本発明の実施形態であるカメラは、撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有する構成となっている。
【0073】
このように、十分な検出精度が得られるデフォーカス量の範囲内で、かつ像面位置の変化によって被写体が動体であるか否かを判定するため、正確な動体判定を行なうことができる。また、従来のような所定回数以上撮影レンズを駆動しても合焦に至らない場合に動体と判定する方式に比べ、複数回のデフォーカス量の検出とこのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を行なうだけでよいため、従来よりも速やかな動体判定を行なうことができる。
【0074】
なお、上述のように動体判定手段により被写体が動体ではないと判定したときには合焦モードを静止した被写体の撮影に適したワンショットモード(静止モード)に、被写体が動体であると判定したときには合焦モードを動体の撮影に適したサーボモード(動体モード)に自動的に切り替える撮影モード切替手段を有し、撮影モード切替手段は、ワンショットモードでの撮影途中であっても、動体判定手段により被写体が動体であると判定された場合には、サーボモードに切り替える構成としたことで、移動する被写体に対しても、迅速且つ正確に動体判定を行なうことで、合焦モードを適切に切り替えることができ、十分な合焦性能・追従性能を発揮することができる。
【0075】
また、演算した複数の像面位置とこれらの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻に基づいて将来の像面位置を予測する像面位置予測手段を有し、ワンショットモード時において得た像面位置および検出時刻の一部あるいは全てに基づいてサーボモード時における像面位置の予測を行なう構成することで、移動する被写体への十分な合焦性能を発揮することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本願各発明によれば、被写体の動体判定を正確かつ速やかに行なうことのできるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラの機能ブロック図である。
【図2】同実施形態に係るオートモードの動作を示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係るワンショットモードの動作を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態に係る動体判定モードの動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係るサーボモードの動作を示すフローチャートである。
【図6】ワンショットモードにおける時刻とデフォーカス量の関係を示す図である。
【図7】ワンショットモードにおける時刻とレンズ位置の関係を示す図である。
【図8】ワンショットモードにおける時刻と像面位置の関係を示す図である。
【図9】ワンショットモードにおけるオーバラップ制御を説明するための図である。
【図10】サーボモードにおける時刻とデフォーカス量の関係を示す図である。
【図11】サーボモードにおける時刻とレンズ位置の関係を示す図である。
【図12】サーボモードにおける時刻と像面位置の関係を示す図である。
【図13】動体判定モードにおける時刻とレンズ位置の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 レンズMPU
2 レンズ駆動ユニット
3 レンズ位置検出ユニット
4 光学情報テーブル
5 カメラMPU
6 デフォーカス量検出ユニット
7 シャッタ駆動ユニット
8 フィルム給送ユニット
9 ダイヤルユニット
Claims (7)
- 撮影レンズのデフォーカス量を検出するデフォーカス量検出手段と、
前記検出したデフォーカス量およびこのデフォーカス量に対応する撮影レンズのレンズ位置情報に基づいて像面位置を演算する像面位置演算手段と、
複数回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した複数の像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定する動体判定手段とを有することを特徴とするカメラ。 - 前記動体判定手段は、少なくとも3回検出した所定量以下のデフォーカス量およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報に基づいて演算した少なくとも3つの像面位置が単調に変化しているときには、被写体が動体であると判定することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記複数の像面位置を演算するためのそれぞれのデフォーカス量の検出およびこれらのデフォーカス量に対応するレンズ位置情報の取得を所定時間以上の間隔をあけて行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
- 前記動体判定手段は、撮影被写体が動体であるか否かの判定に、それぞれの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカメラ。
- 前記動体判定手段は、像面位置の変化量が所定量以上のとき像面位置の変化があると判定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカメラ。
- 前記動体判定手段により被写体が動体ではないと判定したときには合焦モードを静止した被写体の撮影に適した静止モードに、被写体が動体であると判定したときには合焦モードを動体の撮影に適した動体モードに自動的に切り替える撮影モード切替手段を有し、
前記撮影モード切替手段は、静止モードでの撮影途中であっても、前記動体判定手段により被写体が動体であると判定された場合には、動体モードに切り替えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカメラ。 - 前記演算した複数の像面位置とこれらの像面位置を演算するためのレンズ位置情報およびデフォーカス量の検出時刻に基づいて将来の像面位置を予測する像面位置予測手段を有し、
前記静止モード時において得た前記像面位置および検出時刻の一部あるいは全てに基づいて前記動体モード時における像面位置の予測を行なうことを特徴する請求項1から6のいずれかに記載のカメラ。
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