JP2004084880A - 機械の送り装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バックラッシの発生を回避させることが可能であり、設置スペースの制限もほとんど受けずに既存の装置に対して容易に適用が可能な機械の送り装置を提供する。
【解決手段】送り装置11は、回転軸線O周りを回転可能に基台13に支持されている送りねじ21と、テーブル17に設けられ送りねじ21に螺合するナット23とを備える。さらに、送りねじ21に対してナット23を送りねじ21の回転軸線O方向に常時一定の力で付勢する定荷重ばね33が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】送り装置11は、回転軸線O周りを回転可能に基台13に支持されている送りねじ21と、テーブル17に設けられ送りねじ21に螺合するナット23とを備える。さらに、送りねじ21に対してナット23を送りねじ21の回転軸線O方向に常時一定の力で付勢する定荷重ばね33が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基台上を移動体が移動する機械の送り装置に関し、基台に支持した送りねじと移動体に設けられたナットとを螺合させ、送りねじまたはナットの回転によって移動体を移動させる機械の送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
位置決め可能な送り装置は、工作機械や製造機械など様々な機械において使用されている。こうした位置決め可能な送り装置には様々なものがあるが、最も簡単な機構のものとしては、移動体に設けられたナットと送りねじとを単に組み合わせたものが挙げられる。
【0003】
ところが、このような単にナットと送りねじとを組み合わせたものは、バックラッシ量が大きく、位置決め精度が悪いので、高精度の送りを要する用途にはあまり適していない。
【0004】
このため、高精度の送りを要する用途では、いわゆるボールねじが使用されることが多い。ボールねじは、送りねじのねじ山とナットのねじ山とを一致させて嵌挿し、互いのねじ溝によって形成される空間にボールを配置して送りねじとナットとをボールを介して螺合させるようにしたものであり、ボールが送りねじのねじ溝とナットのねじ溝の両者とガタを生じさせることなく係合することにより、バックラッシの発生を防止するようにしている。
【0005】
このようなボールねじを使用しても送りねじ又はナットの溝及びボールの寸法の製造誤差のために、ボールと溝とのガタを完全になくすことはできず、僅かなバックラッシが発生する。
【0006】
また、最初は僅かであったバックラッシ量も、ボールねじを使用し続けると、ボールとねじ溝との間の摩擦によりボール及びねじ溝に摩耗が生じ、増加していく。このような経年的なバックラッシ量の増加は、特に送り装置が工作機械で使用されている場合に、加工精度を悪化させる要因となり、頻繁なボールねじの交換を要求する。
【0007】
このようなバックラッシの問題を解消するものとして、以下のような従来技術が挙げられる。
【0008】
特開平2−38741号公報に開示のバックラッシレス送りねじは、送りねじに螺合するナットを送りねじの長手軸線方向に2つに分割して、分割したナットの間に皿ばねを挿入することにより、互いを送りねじの長手軸線方向に離間又は接近させる方向に押圧するようにし、送りねじとナットとの間に生じるバックラッシを抑制するようにしている。
【0009】
特開平1−274943号公報に開示の移動テーブルの駆動装置は、ボールを介して送りねじに螺合する2つのナットの間に圧電素子からなる調整可能な間座を挿入することにより、2つのナットに送りねじの長手軸線方向に離間又は接近させる方向の予圧を与え、送りねじに発生するバックラッシを除去するようにしている。
【0010】
また、特開昭63−196346号公報に開示のサーボ機構は、一端をテーブルに止着されたロープをベッドに軸支されたプーリに巻き回して垂下させ、ロープの他端にカウンタウエイトを止着し、ベッド上を移動するテーブルにカウンタウエイトで偏荷重を作用させ一方向に付勢することにより、テーブルの位置の変動量すなわちバックラッシを低減させるようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−38741号公報や特開平1−274943号公報に記載の機構では、ボールねじ及びボールの摩耗による経年変化によってボールとねじ溝とのガタが増加したときに、バックラッシの発生を防止するに十分な予圧を付与できるように、皿ばね又は間座の予圧の再調整若しくはボールねじの交換が必要となる。また、既存のボールねじなどを使用した送り装置に適用するためには、移動体に取り付けられているナットを2つに分割しなくてはならず、大幅な構造の変更が必要となるという欠点がある。
【0012】
また、特開昭63−196346号公報に記載のようにカウンタウエイトを用いる場合には、移動体の移動に伴ってカウンタウエイトも上下に移動するため、カウンタウエイトが少なくとも移動体と等しい距離だけ移動することを可能とさせる上下方向スペースを確保する必要があり、設置スペースに関する問題が発生する。また、カウンタウエイトが上下運動するために、移動体が高速移動する場合には適用が困難である。
【0013】
よって、本発明は、上記従来技術に存する問題を解消して、バックラッシの発生を回避させることが可能であり、設置スペースの制限もほとんど受けずに既存の装置に対して容易に適用が可能な機械の送り装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的に鑑み、定荷重ばねを用いて、機械の送り装置の送りねじに対して移動体に設けられたナットを常時一定の力で付勢し、ナットと送りねじと間に生じるガタの影響をなくし、バックラッシの発生を抑制するようにする。
【0015】
すなわち、本発明は、基台上を移動体が移動する機械の送り装置において、前記基台に支持した送りねじ及び前記移動体に設けられ前記送りねじに螺合したナットを有する送り手段と、前記送りねじに対して前記ナットを前記送りねじの軸線方向に一定の力で常時付勢する定荷重ばねと、を具備した機械の送り装置を提供する。
【0016】
上記機械の送り装置では、前記送り手段は、前記送りねじとナットとがボールを介して螺合するボールねじで成ることが好ましい。
【0017】
移動体には定荷重ばねによって常時一定の向きに一定の力が作用しているので、ボールと送りねじの溝又はナットの溝との間にガタが存在していても、ナットは、ボールを介して送りねじと係合した状態で、常に、送りねじに対して可能な限り定荷重ばねの力の作用方向側に移動している。したがって、送りねじまたはナットを回転させることにより移動体を送りねじの回転軸線方向に移動させるときに、バックラッシが発生することはない。
【0018】
また、定荷重ばねは、送りねじに対してナットを常時一定の力で付勢するが、移動体が移動するときにカウンタウエイトのように上下方向に移動することがなく、移動体の移動に伴って送りねじの回転軸線に沿って伸縮するだけなので、付加的なスペースをほとんど必要とすることがない。
【0019】
さらに、本発明は、ボールねじなどを用いた従来技術の送り装置に対して定荷重ばねを付加しただけの構造であるので、例えば、定荷重ばねの一端を基台に固定し、他端を移動体又はナットに固定すれば、本発明の機械の送り装置を実施できるので、従来技術の送り装置に容易に適用することができ、複雑な構造の変更を伴うこともない。
【0020】
本発明の送り装置にボールねじを使用する場合、ねじ溝とボールとの間の摩擦による両者の摩耗に起因してガタが発生しても、定荷重ばねを用いることによってバックラッシの発生を防止することができるので、ボールねじの寿命を引き延ばすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の機械の送り装置の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
図1を参照すると、基台13の上面に、平行に延びる2本の案内レール15(図1では1本のみが示されている)が設けられており、移動体としてのテーブル17の下面に取り付けられているガイド19がこの案内レール15に沿って案内され、テーブル17が基台13上を移動できるようになっている。さらに、このテーブル17を案内レール15に沿って移動させるための送り装置11が基台13上に設けられている。
【0023】
この送り装置11は、案内レール15と概略平行に延びる送りねじ21と、テーブル17に設けられており送りねじ21に螺合するナット23とを備えており、送りねじ21は、その両端部を基台13の送りねじ支持部13aにより軸受25を介して支持されている。
【0024】
また、基台13の外側部には、正逆両方向に回転可能な駆動モータ27のためのモータブラケット29が取り付けられている。駆動モータ27は、その回転軸線が送りねじ21の回転軸線Oと一致するように配置されており、その回転シャフト27aがカップリング31を介して送りねじ21の一端に連結されている。
【0025】
こうした構成により、駆動モータ27を作動させ、送りねじ21を正逆両方向に回転させることで、テーブル17がナット23を介して案内レール15に沿って送りねじ21の回転軸線O方向に往復移動するようになっている。
【0026】
ここで、送りねじ21を基台13に固定し、テーブル17に設けられたナット23をベルト駆動機構等で回転させ、テーブル17を移動させることもできる。このときナット23はテーブル17に対して回転可能に支持されるのは言うまでもない。
【0027】
図1に示されている実施形態では、送りねじ21とナット23でいわゆるボールねじを形成している。すなわち、送りねじ21のねじ山とナット23のねじ山とが一致するようにナット23に送りねじ21を嵌挿し、互いのねじ溝によって形成される空間にボールを配置して送りねじ21とナット23とをボールを介して螺合させるようになっている。
【0028】
このようなボールねじを使用した送り装置11は、送りねじ21及びナット23のねじ溝に適合した大きさのボールを介して送りねじ21とナット23とを螺合させているので、バックラッシがほとんど発生しないという特徴を有している。しかしながら、製造の際の寸法許容誤差などからボールとねじ溝とのガタを完全になくすことはできず、バックラッシの発生を完全に回避させることはできない。また、摩擦により、送りねじ21及びナット23のねじ溝とボールとに摩耗が生じるので、使用に伴ってバックラッシ量が増加していき、送り精度を悪化させていく。
【0029】
そこで、本発明の送り装置11は、定荷重ばね33をさらに備え、送りねじ21に対してナット23を送りねじ21の回転軸線O方向に常時一定の力で付勢するようにしている。この定荷重ばね33は、端部の変位とばね力との関係が直線的である線ばねと異なり、端部の変位の長短に関係なく常に一定のばね力、すなわち引張力を作用させるものである。例えば定荷重ばね33としては、サンコースプリング社製の商品名「コンストン」等がある。このコンストンが図2に詳細に示されている。図2に示されている定荷重ばね33は、内端をドラム35に固定しドラム35の周りに一定の曲率で巻き付けられた長尺の板ばねであり、外端を引っ張ることで、ドラム35を軸37周りに回転させ板ばね39を引き出すと、元の形状に戻ろうとする一定の力が外端に作用する。
【0030】
図1に示されている実施形態では、このような定荷重ばね33のドラム35の軸37が基台13に固定されており、定荷重ばね33の外端が取付ブラケット41を介してテーブル17の端部に結合されている。したがって、定荷重ばね33は、テーブル17の移動時のテーブル17の位置と無関係に、テーブル17を介してナット23に対して一定の力を作用させ、送りねじ21に対してナット23をドラム35の設置位置に向かって常時付勢する。
【0031】
なお、定荷重ばね33でも、実際には、引張力が板ばね39の外端をドラム35から引っ張り出した長さと比例する範囲が狭いながらも存在する。このため、テーブル17の移動可能な範囲においてテーブル17が最も定荷重ばね33のドラム35側に位置するときに、板ばね39の外端が所定長さを越えてドラム35から引っ張り出され、外端に一定の引張力が作用するようになっているように定荷重ばね33のドラム35の設置位置を定める。このようにすれば、定荷重ばね33がテーブル17に与える作用力の大きさは、テーブル17の位置に依存することがなくなり、送り装置11の送り精度に悪影響を与えることがなくなる。
【0032】
以上のような構成により、送り装置11としてボールねじを使用している場合でも僅かに発生し得るバックラッシを完全に防止することが可能となる。さらに、長期にわたる使用により、送りねじ21及びナット23のねじ溝とボールとが摩耗してガタが生じても、ナット23は送りねじ21に対して常に定荷重ばね33のドラム35側に付勢されているので、バックラッシが発生することもなくなる。
【0033】
しがたって、このような送り装置11を特に工作機械に使用すれば、送り装置11の送り精度が向上するので、加工精度の向上を図ることが可能となると共に、ボールねじの経年劣化による交換の頻度を減少させることができる。
【0034】
また、本発明の機械の送り装置11は、定荷重ばね33を除いて、従来の一般的な機械の送り装置と同様の構成を有しているので、既存の機械の送り装置に上述したように定荷重ばね33を付加するだけで、バックラッシの発生を防止する。したがって、本発明の機械の送り装置11は、特開平2−38741号公報や特開平1−274943号公報に開示されているようにナットを2つに分割するといった大幅な構造の変更を必要とせず、定荷重ばね33の付加という簡単な構造変更のみで、送り精度を向上させることができる利点を有している。
【0035】
さらに、特開平2−38741号公報や特開平1−274943号公報に開示されている送り装置では、2つに分割したナットにそれぞれ力を作用させる皿ばね又は圧電素子からなる間座が2つのナットの間に設置される必要があるので、ばねの劣化や圧電素子の故障が発生した場合、その交換が困難であるのに対して、本発明の送り装置11で用いる定荷重ばね33はナット23の外部に設けられているので、交換が容易であるという利点も有する。
【0036】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明の機械の送り装置11を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示されている実施形態では、定荷重ばね33がテーブル17に結合されているが、ナット23に結合されてもよいことはもちろんである。また、本発明は、ボールねじに限定して適用されるものではなく、単に送りねじ21とナットとを組み合わせた簡単な送り装置に対しても適用可能である。この場合でも、定荷重ばね33の作用で送りねじに対してナットを常時一定方向に一定の力で付勢しているので、送りねじとナットとをボールを介さずに係合させているにも係わらず、バックラッシが発生することはない。また本発明は、送りねじとナットを用い、基台に対して移動体を移動させるあらゆる送り装置に適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、工作機械などの機械で使用する送りねじとナットとを用いた送り装置において、定荷重ばねにより送りねじに対してナットを常時一定方向に一定の力で付勢しているので、送りねじとナットとの係合にガタが存在してもバックラッシの発生が防止される。この結果、送り装置の送り精度が向上し、特に送り装置が工作機械で使用されている場合には、加工精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機械の送り装置の実施形態の断面図である。
【図2】図1の送り装置で使用されている定荷重ばねの斜視図である。
【符号の説明】
11…送り装置
13…基台
17…テーブル
21…送りねじ
23…ナット
33…定荷重ばね
【発明の属する技術分野】
本発明は、基台上を移動体が移動する機械の送り装置に関し、基台に支持した送りねじと移動体に設けられたナットとを螺合させ、送りねじまたはナットの回転によって移動体を移動させる機械の送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
位置決め可能な送り装置は、工作機械や製造機械など様々な機械において使用されている。こうした位置決め可能な送り装置には様々なものがあるが、最も簡単な機構のものとしては、移動体に設けられたナットと送りねじとを単に組み合わせたものが挙げられる。
【0003】
ところが、このような単にナットと送りねじとを組み合わせたものは、バックラッシ量が大きく、位置決め精度が悪いので、高精度の送りを要する用途にはあまり適していない。
【0004】
このため、高精度の送りを要する用途では、いわゆるボールねじが使用されることが多い。ボールねじは、送りねじのねじ山とナットのねじ山とを一致させて嵌挿し、互いのねじ溝によって形成される空間にボールを配置して送りねじとナットとをボールを介して螺合させるようにしたものであり、ボールが送りねじのねじ溝とナットのねじ溝の両者とガタを生じさせることなく係合することにより、バックラッシの発生を防止するようにしている。
【0005】
このようなボールねじを使用しても送りねじ又はナットの溝及びボールの寸法の製造誤差のために、ボールと溝とのガタを完全になくすことはできず、僅かなバックラッシが発生する。
【0006】
また、最初は僅かであったバックラッシ量も、ボールねじを使用し続けると、ボールとねじ溝との間の摩擦によりボール及びねじ溝に摩耗が生じ、増加していく。このような経年的なバックラッシ量の増加は、特に送り装置が工作機械で使用されている場合に、加工精度を悪化させる要因となり、頻繁なボールねじの交換を要求する。
【0007】
このようなバックラッシの問題を解消するものとして、以下のような従来技術が挙げられる。
【0008】
特開平2−38741号公報に開示のバックラッシレス送りねじは、送りねじに螺合するナットを送りねじの長手軸線方向に2つに分割して、分割したナットの間に皿ばねを挿入することにより、互いを送りねじの長手軸線方向に離間又は接近させる方向に押圧するようにし、送りねじとナットとの間に生じるバックラッシを抑制するようにしている。
【0009】
特開平1−274943号公報に開示の移動テーブルの駆動装置は、ボールを介して送りねじに螺合する2つのナットの間に圧電素子からなる調整可能な間座を挿入することにより、2つのナットに送りねじの長手軸線方向に離間又は接近させる方向の予圧を与え、送りねじに発生するバックラッシを除去するようにしている。
【0010】
また、特開昭63−196346号公報に開示のサーボ機構は、一端をテーブルに止着されたロープをベッドに軸支されたプーリに巻き回して垂下させ、ロープの他端にカウンタウエイトを止着し、ベッド上を移動するテーブルにカウンタウエイトで偏荷重を作用させ一方向に付勢することにより、テーブルの位置の変動量すなわちバックラッシを低減させるようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−38741号公報や特開平1−274943号公報に記載の機構では、ボールねじ及びボールの摩耗による経年変化によってボールとねじ溝とのガタが増加したときに、バックラッシの発生を防止するに十分な予圧を付与できるように、皿ばね又は間座の予圧の再調整若しくはボールねじの交換が必要となる。また、既存のボールねじなどを使用した送り装置に適用するためには、移動体に取り付けられているナットを2つに分割しなくてはならず、大幅な構造の変更が必要となるという欠点がある。
【0012】
また、特開昭63−196346号公報に記載のようにカウンタウエイトを用いる場合には、移動体の移動に伴ってカウンタウエイトも上下に移動するため、カウンタウエイトが少なくとも移動体と等しい距離だけ移動することを可能とさせる上下方向スペースを確保する必要があり、設置スペースに関する問題が発生する。また、カウンタウエイトが上下運動するために、移動体が高速移動する場合には適用が困難である。
【0013】
よって、本発明は、上記従来技術に存する問題を解消して、バックラッシの発生を回避させることが可能であり、設置スペースの制限もほとんど受けずに既存の装置に対して容易に適用が可能な機械の送り装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的に鑑み、定荷重ばねを用いて、機械の送り装置の送りねじに対して移動体に設けられたナットを常時一定の力で付勢し、ナットと送りねじと間に生じるガタの影響をなくし、バックラッシの発生を抑制するようにする。
【0015】
すなわち、本発明は、基台上を移動体が移動する機械の送り装置において、前記基台に支持した送りねじ及び前記移動体に設けられ前記送りねじに螺合したナットを有する送り手段と、前記送りねじに対して前記ナットを前記送りねじの軸線方向に一定の力で常時付勢する定荷重ばねと、を具備した機械の送り装置を提供する。
【0016】
上記機械の送り装置では、前記送り手段は、前記送りねじとナットとがボールを介して螺合するボールねじで成ることが好ましい。
【0017】
移動体には定荷重ばねによって常時一定の向きに一定の力が作用しているので、ボールと送りねじの溝又はナットの溝との間にガタが存在していても、ナットは、ボールを介して送りねじと係合した状態で、常に、送りねじに対して可能な限り定荷重ばねの力の作用方向側に移動している。したがって、送りねじまたはナットを回転させることにより移動体を送りねじの回転軸線方向に移動させるときに、バックラッシが発生することはない。
【0018】
また、定荷重ばねは、送りねじに対してナットを常時一定の力で付勢するが、移動体が移動するときにカウンタウエイトのように上下方向に移動することがなく、移動体の移動に伴って送りねじの回転軸線に沿って伸縮するだけなので、付加的なスペースをほとんど必要とすることがない。
【0019】
さらに、本発明は、ボールねじなどを用いた従来技術の送り装置に対して定荷重ばねを付加しただけの構造であるので、例えば、定荷重ばねの一端を基台に固定し、他端を移動体又はナットに固定すれば、本発明の機械の送り装置を実施できるので、従来技術の送り装置に容易に適用することができ、複雑な構造の変更を伴うこともない。
【0020】
本発明の送り装置にボールねじを使用する場合、ねじ溝とボールとの間の摩擦による両者の摩耗に起因してガタが発生しても、定荷重ばねを用いることによってバックラッシの発生を防止することができるので、ボールねじの寿命を引き延ばすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の機械の送り装置の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
図1を参照すると、基台13の上面に、平行に延びる2本の案内レール15(図1では1本のみが示されている)が設けられており、移動体としてのテーブル17の下面に取り付けられているガイド19がこの案内レール15に沿って案内され、テーブル17が基台13上を移動できるようになっている。さらに、このテーブル17を案内レール15に沿って移動させるための送り装置11が基台13上に設けられている。
【0023】
この送り装置11は、案内レール15と概略平行に延びる送りねじ21と、テーブル17に設けられており送りねじ21に螺合するナット23とを備えており、送りねじ21は、その両端部を基台13の送りねじ支持部13aにより軸受25を介して支持されている。
【0024】
また、基台13の外側部には、正逆両方向に回転可能な駆動モータ27のためのモータブラケット29が取り付けられている。駆動モータ27は、その回転軸線が送りねじ21の回転軸線Oと一致するように配置されており、その回転シャフト27aがカップリング31を介して送りねじ21の一端に連結されている。
【0025】
こうした構成により、駆動モータ27を作動させ、送りねじ21を正逆両方向に回転させることで、テーブル17がナット23を介して案内レール15に沿って送りねじ21の回転軸線O方向に往復移動するようになっている。
【0026】
ここで、送りねじ21を基台13に固定し、テーブル17に設けられたナット23をベルト駆動機構等で回転させ、テーブル17を移動させることもできる。このときナット23はテーブル17に対して回転可能に支持されるのは言うまでもない。
【0027】
図1に示されている実施形態では、送りねじ21とナット23でいわゆるボールねじを形成している。すなわち、送りねじ21のねじ山とナット23のねじ山とが一致するようにナット23に送りねじ21を嵌挿し、互いのねじ溝によって形成される空間にボールを配置して送りねじ21とナット23とをボールを介して螺合させるようになっている。
【0028】
このようなボールねじを使用した送り装置11は、送りねじ21及びナット23のねじ溝に適合した大きさのボールを介して送りねじ21とナット23とを螺合させているので、バックラッシがほとんど発生しないという特徴を有している。しかしながら、製造の際の寸法許容誤差などからボールとねじ溝とのガタを完全になくすことはできず、バックラッシの発生を完全に回避させることはできない。また、摩擦により、送りねじ21及びナット23のねじ溝とボールとに摩耗が生じるので、使用に伴ってバックラッシ量が増加していき、送り精度を悪化させていく。
【0029】
そこで、本発明の送り装置11は、定荷重ばね33をさらに備え、送りねじ21に対してナット23を送りねじ21の回転軸線O方向に常時一定の力で付勢するようにしている。この定荷重ばね33は、端部の変位とばね力との関係が直線的である線ばねと異なり、端部の変位の長短に関係なく常に一定のばね力、すなわち引張力を作用させるものである。例えば定荷重ばね33としては、サンコースプリング社製の商品名「コンストン」等がある。このコンストンが図2に詳細に示されている。図2に示されている定荷重ばね33は、内端をドラム35に固定しドラム35の周りに一定の曲率で巻き付けられた長尺の板ばねであり、外端を引っ張ることで、ドラム35を軸37周りに回転させ板ばね39を引き出すと、元の形状に戻ろうとする一定の力が外端に作用する。
【0030】
図1に示されている実施形態では、このような定荷重ばね33のドラム35の軸37が基台13に固定されており、定荷重ばね33の外端が取付ブラケット41を介してテーブル17の端部に結合されている。したがって、定荷重ばね33は、テーブル17の移動時のテーブル17の位置と無関係に、テーブル17を介してナット23に対して一定の力を作用させ、送りねじ21に対してナット23をドラム35の設置位置に向かって常時付勢する。
【0031】
なお、定荷重ばね33でも、実際には、引張力が板ばね39の外端をドラム35から引っ張り出した長さと比例する範囲が狭いながらも存在する。このため、テーブル17の移動可能な範囲においてテーブル17が最も定荷重ばね33のドラム35側に位置するときに、板ばね39の外端が所定長さを越えてドラム35から引っ張り出され、外端に一定の引張力が作用するようになっているように定荷重ばね33のドラム35の設置位置を定める。このようにすれば、定荷重ばね33がテーブル17に与える作用力の大きさは、テーブル17の位置に依存することがなくなり、送り装置11の送り精度に悪影響を与えることがなくなる。
【0032】
以上のような構成により、送り装置11としてボールねじを使用している場合でも僅かに発生し得るバックラッシを完全に防止することが可能となる。さらに、長期にわたる使用により、送りねじ21及びナット23のねじ溝とボールとが摩耗してガタが生じても、ナット23は送りねじ21に対して常に定荷重ばね33のドラム35側に付勢されているので、バックラッシが発生することもなくなる。
【0033】
しがたって、このような送り装置11を特に工作機械に使用すれば、送り装置11の送り精度が向上するので、加工精度の向上を図ることが可能となると共に、ボールねじの経年劣化による交換の頻度を減少させることができる。
【0034】
また、本発明の機械の送り装置11は、定荷重ばね33を除いて、従来の一般的な機械の送り装置と同様の構成を有しているので、既存の機械の送り装置に上述したように定荷重ばね33を付加するだけで、バックラッシの発生を防止する。したがって、本発明の機械の送り装置11は、特開平2−38741号公報や特開平1−274943号公報に開示されているようにナットを2つに分割するといった大幅な構造の変更を必要とせず、定荷重ばね33の付加という簡単な構造変更のみで、送り精度を向上させることができる利点を有している。
【0035】
さらに、特開平2−38741号公報や特開平1−274943号公報に開示されている送り装置では、2つに分割したナットにそれぞれ力を作用させる皿ばね又は圧電素子からなる間座が2つのナットの間に設置される必要があるので、ばねの劣化や圧電素子の故障が発生した場合、その交換が困難であるのに対して、本発明の送り装置11で用いる定荷重ばね33はナット23の外部に設けられているので、交換が容易であるという利点も有する。
【0036】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明の機械の送り装置11を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示されている実施形態では、定荷重ばね33がテーブル17に結合されているが、ナット23に結合されてもよいことはもちろんである。また、本発明は、ボールねじに限定して適用されるものではなく、単に送りねじ21とナットとを組み合わせた簡単な送り装置に対しても適用可能である。この場合でも、定荷重ばね33の作用で送りねじに対してナットを常時一定方向に一定の力で付勢しているので、送りねじとナットとをボールを介さずに係合させているにも係わらず、バックラッシが発生することはない。また本発明は、送りねじとナットを用い、基台に対して移動体を移動させるあらゆる送り装置に適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、工作機械などの機械で使用する送りねじとナットとを用いた送り装置において、定荷重ばねにより送りねじに対してナットを常時一定方向に一定の力で付勢しているので、送りねじとナットとの係合にガタが存在してもバックラッシの発生が防止される。この結果、送り装置の送り精度が向上し、特に送り装置が工作機械で使用されている場合には、加工精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機械の送り装置の実施形態の断面図である。
【図2】図1の送り装置で使用されている定荷重ばねの斜視図である。
【符号の説明】
11…送り装置
13…基台
17…テーブル
21…送りねじ
23…ナット
33…定荷重ばね
Claims (2)
- 基台上を移動体が移動する機械の送り装置において、
前記基台に支持した送りねじ及び前記移動体に設けられ前記送りねじに螺合したナットを有する送り手段と、
前記送りねじに対して前記ナットを前記送りねじの軸線方向に一定の力で常時付勢する定荷重ばねと、
を具備したことを特徴とする機械の送り装置。 - 前記送り手段は、前記送りねじとナットとがボールを介して螺合するボールねじで成る請求項1に記載の機械の送り装置。
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004084880A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008095862A (ja) * | 2006-10-12 | 2008-04-24 | Yamatake Corp | 移動機構 |
JP2010112501A (ja) * | 2008-11-07 | 2010-05-20 | Canon Inc | 駆動装置 |
KR101167630B1 (ko) | 2012-02-13 | 2012-07-20 | (주)엠에프에스 | 반도체 자재 이송용 홀더 어셈블리 |
JP2013062005A (ja) * | 2011-09-13 | 2013-04-04 | Nec Embedded Products Ltd | アクセッサ移動装置およびアクセッサ移動方法 |
-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002249217A patent/JP2004084880A/ja active Pending
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