JP2004084701A - 短繊維含有硬質芯材を有するホース - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法安定性、耐熱性に優れ、さらに軽量で、廃棄処理が容易で、しかも切断容易で施工性も良好なゴムホースまたは樹脂ホースを提供すること。
【解決手段】螺旋状硬質芯材と軟質管肉部からなり、かつ、この硬質芯材中に短繊維が実質的に縦方向に配列して存在することを特徴とするホース。
【選択図】 図1
【解決手段】螺旋状硬質芯材と軟質管肉部からなり、かつ、この硬質芯材中に短繊維が実質的に縦方向に配列して存在することを特徴とするホース。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、短繊維を含有した硬質芯材を有するホースに関し、特に寸法安定性の優れたホースを連続して製造出来、かつ、耐熱性に優れ、さらに廃棄処理が容易なゴムホースまたは樹脂ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、螺旋状硬質芯材と軟質管肉部から成るホースを成形する際には、押出成形した軟質のゴムまたは樹脂製のストリップ(帯状体)を成形機(マンドレル)に筒状に巻き、硬質芯材を帯状体の重ね合わ部の間に、または帯状体の外側または内側に入るように、押出し成形し、ホースを製造している。このとき巻き付け径と後で冷却する位置を調整して、ホースの径をコントロールしているが、冷却時の体積収縮が大きい材料(例:ボリプロピレン樹脂)を芯材に使用した場合には、ホースの径がより小さくなるため、別途これを防ぐ専用の装置が必要になる。とくに、ゴムホースの場合は、マンドレル上でゴムの加硫を行うために冷却が加硫終了後になり、ホースの径のコントロールがより困難になる。このためゴムホースの径のコントロールするために、ワイヤーを芯材の中に挿入し、このワイヤーで芯材の収縮を防止し、ホース径の安定化をはかっている。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、冷却時の体積変化の大きい材料を急冷すると芯材の形状が変化し、安定成形が難し くなる。また、ワイヤー等を使用するとホースが重くなり、取り扱いが困難になり、またワイヤを使用しているため切断は容易でないし廃棄処理も容易ではない。
本発明は、これらの従来技術の欠点を解消したものであり、寸法安定性、耐熱性に優れ、さらに軽量で、廃棄処理が容易で、しかも切断容易で施工性の良好なホースを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、螺旋状硬質芯材と軟質管肉部からなり、かつ、この硬質芯材中に短繊維が実質的に縦方向に配列して存在することを特徴とするホースを提供することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、硬質芯材中に短繊維が実質的に縦方向に配列していることは、上記本発明の目的達成のために重要である。ここで短繊維が実質的に縦方向に配列しているとは、短繊維の全部またはほとんどが芯材の縦方向に対して平行にまたはほぼ平行に配列している状態をいう。このような状態を形成する方法としては、たとえば短繊維(例えばガラス繊維)を硬質芯材用樹脂にブレンドし、これを押出成形時に押出ダイス出口で5〜40%の延伸加工(引き落とし)を施す方法が、好適な方法として挙げられる。このような延伸加工を施すことにより、短繊維は実質的に縦方向に配列するのみならず、芯材用樹脂も縦方向に配向することから本発明の目的がより好適に達成される。
【0006】
短繊維は硬質芯材中に全量に対し3〜20重量%含有することが好適であり、5〜10重量%含有することが最適である。短繊維としては、ガラス繊維が最良であるが、その他の無機繊維、有機繊維を使用することもできる。有機繊維としては、ビニルアルコール系樹脂繊維(ビニロンなど)、ポリアミド系繊維、ポリエステル系樹脂繊維、ポリオレフイン系樹脂繊維(ポリピロピレン系繊維など)が挙げられる。硬質芯材中に存在する短繊維の長さは、たとえばガラス繊維の場合は0.1〜1mm程度が好適であり、最適には0.2〜0.8mmである。ガラス繊維以外の繊維、たとえば有機繊維(ビニルアルコール系樹脂繊維等)の場合は、硬質芯材中に存在する短繊維の長さは上記のガラス繊維の長さでも良いし、これより長くても良い。また短繊維の径は5〜15ミクロンが好適であり、5〜12ミクロンが最適である。短繊維面形は円形、半円形、楕円形、矩形、その他の異形断面、いずれでもよい。
【0007】
硬質芯材用樹脂としては、ポリオレフイン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、その他の熱可塑性硬質樹脂があげられるが、ポリオレフイン系樹脂が好適である。ここで硬質とは、管肉部の軟質材料よりも硬質であることを意味する。
【0008】
このような硬質芯材をホースの円周方向に螺旋状に巻き付けることにより、ホース円周方向に芯材樹脂と短繊維が連続して配列結束した芯材を有するホースが得られる。ホースの円周方向に配列結束された短繊維が芯材冷却時の芯材樹脂の収縮を阻害して、芯材の収縮を抑え、ホースの径の収縮を防止することができ、ホース径の寸法安定化が図られる。
また、従来のワイヤーを使用した芯材の場合は、ワイヤーのドラム巻きごとのバッチ方式でしかホースの生産ができないが、本発明の短繊維を使用した芯材の場合は、連続押出成形が可能なためにホースの連続生産が可能になる。
【0009】
本発明において、硬質芯材用樹脂に短繊維をブレンドする方法としては、硬質芯材用樹脂に短繊維を混練したペレット(マスターバッチ)を使用する方法が好適である。短繊維を硬質芯材用樹脂に直接ブレンドする方法もあるが、この場合は均一混練が難しいため、混練を容易にするため、または樹脂と短繊維との接着を助けるため、結束剤等の調整剤を添加することが好ましい。
本発明においては、樹脂に短繊維をブレンドすることにより、安定成形が可能な溶融物が得られ、さらにそれを押出した後冷却した時に芯材の収縮が抑えられるために、ホースの径変化の少ない寸法安定性の極めて良好なホースが得られ、さらに芯材は高温時においても剛性の低下が少ないため、耐熱性の優れたホースが得られる。また、芯材にワイヤーを挿入する必要がないため、切断が容易で施工性が良好であり、さらにホース使用後に粉砕、嵩減らしが簡単に出来、廃棄処理が極めて容易である。
【0010】
本発明において、管肉部を形成する軟質材料としては、軟質の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂エラストマー、ゴムが挙げられるが、このうち熱可塑性樹脂エラストマー、ゴムが好適である。熱可塑性樹脂エラストマーとしては、スチレン系樹脂エラストマー、オレフイン系樹脂エラストマーなどが挙げられ、ゴムとしてはエチレン−プロピレン系共重合体ゴム(EPM、EPDMなど)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBRなど)、ニトリルゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。
【0011】
本発明のホースは、代表的には次のような方法により得られる。
▲1▼ 管肉部用の軟質材料を帯状体にしてマンドレル上に押出しながら、同時に硬質芯材用樹脂を押出し5〜40%の延伸加工を施し、これを帯状体の重ね合わせ部の間に入るように、または帯状体の外側または内側に来るように、螺旋状に押出し、その後、冷却してホースを製造する方法。
▲2▼ 硬質芯材用樹脂を押出し5〜40%延伸加工して、硬質芯材を製造する。一方管肉部用の軟質材料を帯状体にしてマンドレル上に押出しながら、先に製造した硬質芯材を、帯状体の重ね合わせ部の間に入るように、または帯状体の外側または内側に来るように、螺旋状に巻いて、帯状体と硬質芯材とを接着し、その後冷却してホースを製造する方法。
上記の製法において、帯状体としてゴムを使用する場合は、押出し後加硫を行った後に冷却される。
【0012】
【実施例】
次に、本発明の実施例をあげて説明する。
実施例1
図1は、本発明の一例を示す側面図(一部縦断面を含む)であり、芯材1はガラス短繊維(繊維長さ10mm、繊維径9ミクロン、繊維断面 楕円形)を混練した熱可塑性ポリプロピレン樹脂(以後PPと表記する)、のマスターバッチのペレットをブレンドして、全量に対してガラス繊維が7重量%含有したPP、軟質管肉部2は合成ゴム(EPDM)であり、ホースのサイズ(内径)は100φである。
【0013】
サイズ100φのホース内径は通常100.8mmを基準として成形する。まず、ゴム帯状体(幅32mm)をマンドレル上に、ゴム帯状体の重ね合わせ部の幅が16mmになるように巻き付け、連続して押出しゴムを加熱加硫し、ゴムの加硫後に冷却して、ホースを成形した。
一方、PPにガラス繊維を混入したマスターバッチをPPペレットに混練しこれを押出加工時に約10%の延伸加工(引き落とし)を施し、これを上記のゴム帯状体の重ねあわせ部の外側に入るように螺旋状に押出し、ホースを成形した。芯材中にガラス繊維が実質的に縦方向に配列しているため、PP芯材の収縮は抑えられ、ホース内径が100.8mmで、寸法安定性は良好であった。芯材の断面は上方半円下方逆三角形であり、断面径はおよそ幅10mm×高さ7 mmであった。また芯材中に存在するガラス繊維の長さは、ガラス繊維が混練、延伸加工時に切断されたため、0.3〜0.6mmであった。
また、本実施例のホースは、短繊維を含有しないPP芯材を使用したホースに比べ、ホースの押しつぶし圧力(25℃で、ホース外径を50%扁平にしたときの荷重)では、約3割の向上が見られ、また負圧(0.1MPa)時のホース耐熱性(ホース偏平等の変形が無く、使用に問題が無い温度)では60℃から100℃に以上に向上した。また、短繊維を含有しないPP芯材を使用したホースは、PP芯の収縮の影響でホース内径は99mm以下になり、安定成形が困難であった。
【0014】
比較例1
図2は、従来のホースの一例を示す側面図(一部縦断面図を含む)であり、PP製芯材3はワイヤー5が挿入されており、ガラス短繊維は添加されておらず、軟質管肉部4は合成ゴム(EPDM)であり、ホースのサイズ(内径)は100φ(内径100.8mm)である。このホースは、ワイヤーでPP芯の収縮を抑え、目標の寸法・形状に加工しているが、重く、さらに容易に切断できないので、施工性は悪い。
また、実施例1では、ワイヤーを使用しないガラス繊維含有PP芯を使用しているため、芯材の連続押出成形が可能で、ホースの連続押出生産が可能であったが、比較例1のワイヤー入りホースではワイヤーのドラム巻きの交換が必要なため、ドラム巻き毎のバッチ方式でしか生産できない。
【0015】
実施例2
軟質管肉部に熱可塑性スチレン系エラストマー{スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水添物(SEBS)}、硬質芯材にポリエチレン樹脂(PE)を使用した樹脂ホースの場合について説明する。
樹脂ホースも実施例1のゴムホースと同様に、管肉部を形成する軟質材料を押出成形したストリップ(帯状体)をマンドレルに筒状に巻き、同時にガラス短繊維を10重量%含有する硬質芯材用樹脂を押出し、10%の延伸加工を施した後、これを帯状体の重ねあわせ部の間に入るように螺旋状に押出し、その後急冷してホースを成形した。このとき巻き付け径と冷却する位置を調整して、ホースの径をコントロールした。冷却は、実施例1のゴムホースのような加硫が不必要なために、マンドレル上で早期に行うことができた。
また本実施例では、芯材中にガラス繊維が実質的に縦方向に配列しているため、PE芯材の収縮は抑えられ、ホース内径が100.8mm、ホース内面も凹凸の無いフラットなホースが容易に、しかも安定して得られた。また芯材中に存在するガラス繊維の長さは、ガラス繊維が混練、延伸加工時に切断されたため、0.3〜0.6mmであった。
【0016】
比較例2
実施例2において、芯材としてガラス短繊維含有PEの代わりに、ガラス短繊維を含有しないPEを使用する以外は、実施例2と同様の方法でホースを得た。その結果、急冷によってPE芯の形状が変形(すなわち、冷却がホース表面進み、内部の冷却が遅れるために冷却による収縮が芯材の表面と内部が不均一になり、ホース内部に垂れ下がった形状の芯材に変化)し、ホース内面はこの影響で凹凸が大きくなり、好ましいホースは得られなかった。
このために、ホースを急冷しないで徐冷し、芯材の収縮を均一になるように成形すれば、上記問題は解決するが、ホース内径が小さくなり、これを防ぐためには、別途装置が必要になる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の短繊維補強体を含有した硬質芯材を有するホースは、寸法安定性、耐熱性に優れ、さらに軽量で、廃棄処理が容易で、しかも切断容易で施工性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す短繊維補強体を含有した硬質芯材を有するホースの側面図(一部縦断面を含む)である。
【図2】従来のワイヤー投入のホースの側面図(一部縦断面を含む)である。
【符号の説明】
1 短繊維(ガラス繊維)を含有した硬質芯材
2 軟質管肉部
3 硬質芯材(短繊維無添加品)
4 軟質管肉部
5 ワイヤー
【発明の属する技術分野】
本発明は、短繊維を含有した硬質芯材を有するホースに関し、特に寸法安定性の優れたホースを連続して製造出来、かつ、耐熱性に優れ、さらに廃棄処理が容易なゴムホースまたは樹脂ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、螺旋状硬質芯材と軟質管肉部から成るホースを成形する際には、押出成形した軟質のゴムまたは樹脂製のストリップ(帯状体)を成形機(マンドレル)に筒状に巻き、硬質芯材を帯状体の重ね合わ部の間に、または帯状体の外側または内側に入るように、押出し成形し、ホースを製造している。このとき巻き付け径と後で冷却する位置を調整して、ホースの径をコントロールしているが、冷却時の体積収縮が大きい材料(例:ボリプロピレン樹脂)を芯材に使用した場合には、ホースの径がより小さくなるため、別途これを防ぐ専用の装置が必要になる。とくに、ゴムホースの場合は、マンドレル上でゴムの加硫を行うために冷却が加硫終了後になり、ホースの径のコントロールがより困難になる。このためゴムホースの径のコントロールするために、ワイヤーを芯材の中に挿入し、このワイヤーで芯材の収縮を防止し、ホース径の安定化をはかっている。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、冷却時の体積変化の大きい材料を急冷すると芯材の形状が変化し、安定成形が難し くなる。また、ワイヤー等を使用するとホースが重くなり、取り扱いが困難になり、またワイヤを使用しているため切断は容易でないし廃棄処理も容易ではない。
本発明は、これらの従来技術の欠点を解消したものであり、寸法安定性、耐熱性に優れ、さらに軽量で、廃棄処理が容易で、しかも切断容易で施工性の良好なホースを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、螺旋状硬質芯材と軟質管肉部からなり、かつ、この硬質芯材中に短繊維が実質的に縦方向に配列して存在することを特徴とするホースを提供することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、硬質芯材中に短繊維が実質的に縦方向に配列していることは、上記本発明の目的達成のために重要である。ここで短繊維が実質的に縦方向に配列しているとは、短繊維の全部またはほとんどが芯材の縦方向に対して平行にまたはほぼ平行に配列している状態をいう。このような状態を形成する方法としては、たとえば短繊維(例えばガラス繊維)を硬質芯材用樹脂にブレンドし、これを押出成形時に押出ダイス出口で5〜40%の延伸加工(引き落とし)を施す方法が、好適な方法として挙げられる。このような延伸加工を施すことにより、短繊維は実質的に縦方向に配列するのみならず、芯材用樹脂も縦方向に配向することから本発明の目的がより好適に達成される。
【0006】
短繊維は硬質芯材中に全量に対し3〜20重量%含有することが好適であり、5〜10重量%含有することが最適である。短繊維としては、ガラス繊維が最良であるが、その他の無機繊維、有機繊維を使用することもできる。有機繊維としては、ビニルアルコール系樹脂繊維(ビニロンなど)、ポリアミド系繊維、ポリエステル系樹脂繊維、ポリオレフイン系樹脂繊維(ポリピロピレン系繊維など)が挙げられる。硬質芯材中に存在する短繊維の長さは、たとえばガラス繊維の場合は0.1〜1mm程度が好適であり、最適には0.2〜0.8mmである。ガラス繊維以外の繊維、たとえば有機繊維(ビニルアルコール系樹脂繊維等)の場合は、硬質芯材中に存在する短繊維の長さは上記のガラス繊維の長さでも良いし、これより長くても良い。また短繊維の径は5〜15ミクロンが好適であり、5〜12ミクロンが最適である。短繊維面形は円形、半円形、楕円形、矩形、その他の異形断面、いずれでもよい。
【0007】
硬質芯材用樹脂としては、ポリオレフイン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、その他の熱可塑性硬質樹脂があげられるが、ポリオレフイン系樹脂が好適である。ここで硬質とは、管肉部の軟質材料よりも硬質であることを意味する。
【0008】
このような硬質芯材をホースの円周方向に螺旋状に巻き付けることにより、ホース円周方向に芯材樹脂と短繊維が連続して配列結束した芯材を有するホースが得られる。ホースの円周方向に配列結束された短繊維が芯材冷却時の芯材樹脂の収縮を阻害して、芯材の収縮を抑え、ホースの径の収縮を防止することができ、ホース径の寸法安定化が図られる。
また、従来のワイヤーを使用した芯材の場合は、ワイヤーのドラム巻きごとのバッチ方式でしかホースの生産ができないが、本発明の短繊維を使用した芯材の場合は、連続押出成形が可能なためにホースの連続生産が可能になる。
【0009】
本発明において、硬質芯材用樹脂に短繊維をブレンドする方法としては、硬質芯材用樹脂に短繊維を混練したペレット(マスターバッチ)を使用する方法が好適である。短繊維を硬質芯材用樹脂に直接ブレンドする方法もあるが、この場合は均一混練が難しいため、混練を容易にするため、または樹脂と短繊維との接着を助けるため、結束剤等の調整剤を添加することが好ましい。
本発明においては、樹脂に短繊維をブレンドすることにより、安定成形が可能な溶融物が得られ、さらにそれを押出した後冷却した時に芯材の収縮が抑えられるために、ホースの径変化の少ない寸法安定性の極めて良好なホースが得られ、さらに芯材は高温時においても剛性の低下が少ないため、耐熱性の優れたホースが得られる。また、芯材にワイヤーを挿入する必要がないため、切断が容易で施工性が良好であり、さらにホース使用後に粉砕、嵩減らしが簡単に出来、廃棄処理が極めて容易である。
【0010】
本発明において、管肉部を形成する軟質材料としては、軟質の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂エラストマー、ゴムが挙げられるが、このうち熱可塑性樹脂エラストマー、ゴムが好適である。熱可塑性樹脂エラストマーとしては、スチレン系樹脂エラストマー、オレフイン系樹脂エラストマーなどが挙げられ、ゴムとしてはエチレン−プロピレン系共重合体ゴム(EPM、EPDMなど)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBRなど)、ニトリルゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。
【0011】
本発明のホースは、代表的には次のような方法により得られる。
▲1▼ 管肉部用の軟質材料を帯状体にしてマンドレル上に押出しながら、同時に硬質芯材用樹脂を押出し5〜40%の延伸加工を施し、これを帯状体の重ね合わせ部の間に入るように、または帯状体の外側または内側に来るように、螺旋状に押出し、その後、冷却してホースを製造する方法。
▲2▼ 硬質芯材用樹脂を押出し5〜40%延伸加工して、硬質芯材を製造する。一方管肉部用の軟質材料を帯状体にしてマンドレル上に押出しながら、先に製造した硬質芯材を、帯状体の重ね合わせ部の間に入るように、または帯状体の外側または内側に来るように、螺旋状に巻いて、帯状体と硬質芯材とを接着し、その後冷却してホースを製造する方法。
上記の製法において、帯状体としてゴムを使用する場合は、押出し後加硫を行った後に冷却される。
【0012】
【実施例】
次に、本発明の実施例をあげて説明する。
実施例1
図1は、本発明の一例を示す側面図(一部縦断面を含む)であり、芯材1はガラス短繊維(繊維長さ10mm、繊維径9ミクロン、繊維断面 楕円形)を混練した熱可塑性ポリプロピレン樹脂(以後PPと表記する)、のマスターバッチのペレットをブレンドして、全量に対してガラス繊維が7重量%含有したPP、軟質管肉部2は合成ゴム(EPDM)であり、ホースのサイズ(内径)は100φである。
【0013】
サイズ100φのホース内径は通常100.8mmを基準として成形する。まず、ゴム帯状体(幅32mm)をマンドレル上に、ゴム帯状体の重ね合わせ部の幅が16mmになるように巻き付け、連続して押出しゴムを加熱加硫し、ゴムの加硫後に冷却して、ホースを成形した。
一方、PPにガラス繊維を混入したマスターバッチをPPペレットに混練しこれを押出加工時に約10%の延伸加工(引き落とし)を施し、これを上記のゴム帯状体の重ねあわせ部の外側に入るように螺旋状に押出し、ホースを成形した。芯材中にガラス繊維が実質的に縦方向に配列しているため、PP芯材の収縮は抑えられ、ホース内径が100.8mmで、寸法安定性は良好であった。芯材の断面は上方半円下方逆三角形であり、断面径はおよそ幅10mm×高さ7 mmであった。また芯材中に存在するガラス繊維の長さは、ガラス繊維が混練、延伸加工時に切断されたため、0.3〜0.6mmであった。
また、本実施例のホースは、短繊維を含有しないPP芯材を使用したホースに比べ、ホースの押しつぶし圧力(25℃で、ホース外径を50%扁平にしたときの荷重)では、約3割の向上が見られ、また負圧(0.1MPa)時のホース耐熱性(ホース偏平等の変形が無く、使用に問題が無い温度)では60℃から100℃に以上に向上した。また、短繊維を含有しないPP芯材を使用したホースは、PP芯の収縮の影響でホース内径は99mm以下になり、安定成形が困難であった。
【0014】
比較例1
図2は、従来のホースの一例を示す側面図(一部縦断面図を含む)であり、PP製芯材3はワイヤー5が挿入されており、ガラス短繊維は添加されておらず、軟質管肉部4は合成ゴム(EPDM)であり、ホースのサイズ(内径)は100φ(内径100.8mm)である。このホースは、ワイヤーでPP芯の収縮を抑え、目標の寸法・形状に加工しているが、重く、さらに容易に切断できないので、施工性は悪い。
また、実施例1では、ワイヤーを使用しないガラス繊維含有PP芯を使用しているため、芯材の連続押出成形が可能で、ホースの連続押出生産が可能であったが、比較例1のワイヤー入りホースではワイヤーのドラム巻きの交換が必要なため、ドラム巻き毎のバッチ方式でしか生産できない。
【0015】
実施例2
軟質管肉部に熱可塑性スチレン系エラストマー{スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水添物(SEBS)}、硬質芯材にポリエチレン樹脂(PE)を使用した樹脂ホースの場合について説明する。
樹脂ホースも実施例1のゴムホースと同様に、管肉部を形成する軟質材料を押出成形したストリップ(帯状体)をマンドレルに筒状に巻き、同時にガラス短繊維を10重量%含有する硬質芯材用樹脂を押出し、10%の延伸加工を施した後、これを帯状体の重ねあわせ部の間に入るように螺旋状に押出し、その後急冷してホースを成形した。このとき巻き付け径と冷却する位置を調整して、ホースの径をコントロールした。冷却は、実施例1のゴムホースのような加硫が不必要なために、マンドレル上で早期に行うことができた。
また本実施例では、芯材中にガラス繊維が実質的に縦方向に配列しているため、PE芯材の収縮は抑えられ、ホース内径が100.8mm、ホース内面も凹凸の無いフラットなホースが容易に、しかも安定して得られた。また芯材中に存在するガラス繊維の長さは、ガラス繊維が混練、延伸加工時に切断されたため、0.3〜0.6mmであった。
【0016】
比較例2
実施例2において、芯材としてガラス短繊維含有PEの代わりに、ガラス短繊維を含有しないPEを使用する以外は、実施例2と同様の方法でホースを得た。その結果、急冷によってPE芯の形状が変形(すなわち、冷却がホース表面進み、内部の冷却が遅れるために冷却による収縮が芯材の表面と内部が不均一になり、ホース内部に垂れ下がった形状の芯材に変化)し、ホース内面はこの影響で凹凸が大きくなり、好ましいホースは得られなかった。
このために、ホースを急冷しないで徐冷し、芯材の収縮を均一になるように成形すれば、上記問題は解決するが、ホース内径が小さくなり、これを防ぐためには、別途装置が必要になる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の短繊維補強体を含有した硬質芯材を有するホースは、寸法安定性、耐熱性に優れ、さらに軽量で、廃棄処理が容易で、しかも切断容易で施工性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す短繊維補強体を含有した硬質芯材を有するホースの側面図(一部縦断面を含む)である。
【図2】従来のワイヤー投入のホースの側面図(一部縦断面を含む)である。
【符号の説明】
1 短繊維(ガラス繊維)を含有した硬質芯材
2 軟質管肉部
3 硬質芯材(短繊維無添加品)
4 軟質管肉部
5 ワイヤー
Claims (5)
- 螺旋状硬質芯材と軟質管肉部からなり、かつ、この硬質芯材に短繊維が実質的に縦方向に配列して存在することを特徴とするホース。
- 短繊維が、硬質芯材の全量に対し3〜20重量%含有する請求項1記載のホース。
- 短繊維が、ガラス繊維である請求項1または2記載のホース。
- 硬質芯材が、ポリオレフイン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のホース。
- 硬質芯材が、押出成形時に5〜40%延伸加工を施して得た螺旋状硬質芯材である請求項1〜4のいずれかに記載のホース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002242936A JP2004084701A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 短繊維含有硬質芯材を有するホース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002242936A JP2004084701A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 短繊維含有硬質芯材を有するホース |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004084701A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015102128A (ja) * | 2013-11-22 | 2015-06-04 | 積水化学工業株式会社 | 多層管 |
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2002
- 2002-08-23 JP JP2002242936A patent/JP2004084701A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015102128A (ja) * | 2013-11-22 | 2015-06-04 | 積水化学工業株式会社 | 多層管 |
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