JP2004084093A - 吸水性布帛 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表地1及び裏地2の間に多数の糸条3からなる中間層を配して、表地1及び裏地2を接結点4において中間層7の糸条3と密に接合する。そして、接結点4により表地1及び裏地2を囲むように設けることで空隙5を備えた袋状構造6を形成する。表地、裏地の糸条に、多数の突出部8を形成した糸条を用いることで、こうした空隙5を容易に確保でき、空隙5で吸収された水分が保水されるため、従来に比べ格段に保水能力が向上し、一旦吸収された水分が漏出することを防止できる。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、オムツ、尿取りパッド、ベッドパッド等の衛生用品、湯上りマット、汗取りバンド等の生活用品に用いられる吸水性布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸水性布帛では、いかに速く液体を吸収するかという吸水性能と吸収した液体をいかに漏らさず保持するかという保水性能が基本的に重要なポイントとなる。また、オムツ等の衛生用品では、使い捨てオムツが用いられてきたが、近年環境問題へ関心が高まる中繰り返し使用できる布オムツが見直されてきており、布オムツを用いる場合、装着した状態で液体を吸収した後のベトツキ感の軽減、洗濯作業を効率化するための速乾性及び耐久性が、上述したポイントに加えてその性能を評価する上で重要なポイントとなる。
【0003】
例えば、特公昭62−35501号公報では、編地の一方の面が融着部分を散在せしめたほぼ芯鞘多層構造を有する合成繊維複合糸により構成され、他方の面が合成繊維マルチフィラメント糸の捲縮加工糸からなる2層構造編地であって、主として該合成繊維複合糸の最外層を形成するフィラメントの単糸繊度が、前期長繊維糸条を構成するフィラメントの単糸繊度よりも小であると共に、該2層構造編地中における該合成繊維複合糸による層を形成する編目の平均繊維密度係数が、該長繊維糸条のものよりも大であることを特徴とする吸水性編地が記載されており、複合糸は、芯鞘構造及び立体的融着構造により一般の長繊維糸条と比べて優れた保水性能を有し、又、木綿繊維からなる糸と比べて放水性に優れ、速乾性がある旨記載されている。
【0004】
また、特開平1−97255号公報では、保水シートの少なくとも片面に、複数の繊維糸条からなる布帛であって表面と裏面とが接結糸条で接結されており裏面を構成する糸条に比し表面を構成する糸条の単糸繊度が大である布帛を、裏面を保水シート側にして積層してなる衛生シート補助材が記載されており、このような積層構成にすることにより、顕著なキャピラリー効果が発現し、表面からの水分が素早く裏面に拡散され保水シート層で保水されると共に保水された水分が加圧下でも逆戻りし難い旨記載されている。
【0005】
また、特開平11−113945号公報では、吸水性に富む繊維と導水性に富む繊維を混紡した繊維からなる保水層と、導水性に富む繊維からなる表面層を重合すると共に、表面層を装着者への装着面としたことを特徴とする布製おむつが記載されており、***された尿などの水分は導水性に富む素材よりなる表面層を速やかに通過して保水層に達し、保水層では水分はまず導水性に富む繊維の作用により万遍なく拡散され、次いで吸水性に富む繊維の作用により保水されることとなって装着者が接触している表面層は乾燥して良好な装着感が実現される旨記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例示した従来の吸水性布帛では、極細繊維や保水性の高い特殊な複合糸により保水持たせているが、糸自体に水分を保水するためその保水量にはどうしても限界がある。例えば、大人用のオムツの場合一度に多量の水分が放出されるため、糸自体では限界量を越えて漏れてしまうことが避けられない。したがって、頻繁にオムツを交換するかまたは2重又は3重にオムツをしておくことが必要となる。
【0007】
そこで、こうした多量の水分を保水できるだけの量の繊維を用いることも考えられるが、その分保水層の厚さが厚くなってごわごわした肌触りとなり、また厚くなるため洗濯後の速乾性に影響が生じてしまう。なお、本発明者による実験では、保水を行う繊維量を増加してもそれに比例して保水量が増加するわけではなく、一定量で飽和する傾向になる。すなわち、表面の繊維に吸収された水分は内部に向かって導かれるわけではなく、一定の圧力下では、表面から所定の深さまで保水されると飽和状態なるものと思われる。したがって、保水層を構成する繊維量についても必要以上に増加することは避けなければならない。
【0008】
本発明者は、こうした多量に放出される水分に対応した保水構造として、糸自体の構造とともに布帛内の空隙が大きな役割を果たすことを知得した。すなわち、層構造の中に袋状の空隙を形成することで、この空隙の中に保水することが可能であり、こうした空隙を用いることで保水量を飛躍的に大きくすることができる。
【0009】
本発明は、こうした知見に基づいて、従来の吸水性布帛よりも保水性能が大幅に高められると共に、優れた吸水性及び速乾性を備えた吸水性布帛を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る吸水性布帛は、多数の突出部が形成された糸条を少なくとも一方向に用いて組織された表地及び裏地と、吸水性を有する糸条を多数配置した中間層とからなり、表地及び裏地が中間層を介して接結された多層構造の吸水性布帛であって、表地及び裏地は接結点において中間層の糸条と密に接合しているとともに、接結点により囲まれた表地及び裏地の部分が袋状とされていることを特徴とする。さらに、中間層の糸条は、多数の突出部が形成された糸条であることを特徴とする。そして、表地、裏地及び中間層を組織する糸条は、ポリエステル繊維又はポリ乳酸系繊維からなることを特徴とする。さらに、多数の突出部が形成された糸条は、意匠撚糸、壁撚糸及び駒撚糸のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0011】
上記のような構成を有することにより、接結点により囲まれた表地及び裏地の部分は袋状の構造とされており、表地及び裏地には、多数の突出部を形成した糸条が用いられているため、多数の突出部が中間層の糸条に接触して袋状構造に空隙が確保されるようになる。特に、オムツの場合装着している間に圧迫されて空隙が次第に潰され狭くなってくるが、こうした突出部を多数形成しておくことで空隙を確保しやすくなる。従来の保水層に用いられた繊維又は糸は、吸収性が優れているため水分の拡散スピードが速く、多量の水分が吸収されると保水層の端部から漏れが生じてしまうことがあったが、本発明のように、一旦袋状構造の空隙内に保水するようにすれば、従来のような糸自体の保水に比べ飛躍的に多くの水分を保水することが可能になるとともに、水分の拡散スピードも抑えられて漏れを抑止することができる。
【0012】
また、表地及び裏地に多数の突出部が形成された糸条を用いることで、表面に付着した水分は、突出部に導かれて袋状構造内に速やかに吸収される。従来のように、長繊維からなる糸条を用いた場合、表面に付着した水分は、糸条の方が空隙が狭いため、毛細管現象により糸条自体に吸収されて内部に導水されにくいが、突出部が形成されていることにより、糸条同士の間にも空隙が形成されやすくなり、袋状構造の内部に容易に導水されるようになる。したがって、表面に残留する水分が少なくなるとともに、表面に形成される多数の突出部により、表面のベトツキ感が改善される。
【0013】
従来の吸水性布帛に比べ、その乾燥重量はほとんど変わらずに保水性能を格段に高めることができ、また、空隙が多くなるため、速乾性の点からも優れたものとなっている。中間層の糸条として、多数の突出部が形成された糸条を用いることで、空隙がさらに広がり、空隙をより安定して確保することができる。
【0014】
そして、ポリエステル繊維を糸条に用いていることで、綿繊維に比べ軽量化することができ、速乾性の点からも綿繊維よりも優れたものとなる。また、厚みも従来の布帛とほとんど変わらないので、ごわごわした肌触りになることもない。布帛の再利用の観点からポリ乳酸系繊維を用いることで、リサイクル可能な優れた吸水性布帛とすることができる。
【0015】
多数の突出部が形成された糸条としては、意匠撚糸、壁撚糸及び駒撚糸のうちのいずれかであることが好ましい。こうした糸を用いると、表面にも突出部が形成されて、表地又は裏地の表面に多数の凹凸模様が生じる。凹凸模様は固形の***物が流動していく際の歯止めとして機能するため、装着している間に***物が流出することをある程度阻止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0017】
図1は、本発明に係る吸水性布帛に関する実施形態の緯糸方向に沿った断面図である。同様に図2は、経糸方向に沿った断面図である。表地1はポリエステル繊維からなる経糸と緯糸を織成し、裏地2も同様にポリエステル繊維からなる経糸と緯糸を織成して二重織の構造となっている。表地1と裏地2との間には、緯糸方向に沿ってポリエステル繊維からなる糸条3が多数配置されて中間層7を構成している。そして、所定間隔を置いて表地の緯糸が裏地の経糸に織り込まれ、裏地の緯糸が表地の経糸に織り込まれて接結点4が組織される。接結点4の部分では、表地1と裏地2が糸条3と密に接合されている。接結点4以外の部分では、表地1及び裏地2が袋状の構造6となり、空隙5が形成される。つまり、接結点4をこのように組織することにより、袋状構造6が形成されると共に、表地1及び裏地2と中間層7との間での接触が保持される。また、表地1、裏地2及び中間層7を組織する緯糸方向の糸条は、突起部8が多数形成されており、これら多数の突起部8が互いに接触し合うことで、空隙5が確保されるようになっている。もちろん、表地1及び裏地2のみ突起部8を形成することでも空隙5の確保は可能である。
【0018】
図3は、図1及び図2の吸水性布帛に関する組織図である。この例では、図4に示すようにキルティング状に接結点4が配置されており、接結点4で囲まれた表地1及び裏地2の部分6が袋織され、上述した空隙5が形成されている。
【0019】
表地1に水分が付着すると、表地1には、突出部8が多数形成されているため、隣接する糸条同士が突出部8で接触して空隙が形成されて水分が速やかに袋状構造6の内部に吸収される。したがって、表地1の表面には水分がほとんど残留せずベトツキ感は防止される。水分量が多い場合でも、空隙5内に十分な保水能力があるため、水分が漏出することはほとんどない。また、表地1及び裏地2の表面に表出した突出部8の凹凸模様は、固形の***物が流動していくことをある程度阻止することができる。
【0020】
本発明に用いるポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート繊維が最も好ましい。ポリエチレン繊維を用いることで、軽量化を図ることができ、洗濯時の乾燥時間も綿繊維に比べ短くて済む。さらに、リサイクルも可能なため、紙オムツのように廃棄物処理を行う必要もない。
【0021】
本発明に用いるポリ乳酸系繊維を構成するポリ乳酸系重合体は、熱可塑性脂肪族ポリエステルであって、ポリ(α−ヒドロキシ酸)を主たる繰り返し単位とする重合体で、例えば、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体等が挙げられる。
【0022】
また、布帛を組織する糸条は、長繊維糸及び紡績糸のいずれの形態でもよいが、長繊維糸のほうが強度の大きく、軽量化しやすい。洗濯回数が多くなると、紡績糸の場合には繊維の脱落による「やせ」が発生して、吸水性が劣化するが、長繊維糸の場合にはそうした問題が少なく、耐久性の上でも優れている。さらに、紡績糸の場合には、洗濯の際に微細な固形物が繊維の間に入り込み、布帛の色合いが次第に黒ずんでくることがあるが、長繊維糸の場合にはこうした問題も避けることができる。
【0023】
中間層を構成する糸条3の単繊維繊度は、表地1及び裏地2を構成する糸条の単繊維繊度以下であることが好ましい。糸条3の単繊維繊度が表地1及び裏地2を構成する糸条の単繊維繊度より小さい方が毛細管現象により糸条3に水分が吸収されやすくなり、表面のベトツキ感を有効に防止できる。糸条3の単繊維繊度は、好ましくは、1.5dtex以下とするとよく、水分をその表面張力により糸条3の内部に有効に保水することが可能になる。また、表地及び裏地を組織する糸条の単繊維繊度は、好ましくは、糸条3の単繊維繊度の1〜2倍の範囲がよい。すなわち、糸条3への水分の移動を速やかに行うためには、表地及び裏地の糸条の単繊維繊度は大きいほうがよいが、繊度が大きくなると布帛がごわごわした肌触りになるため、この範囲の繊度が適当である。
【0024】
上記実施形態では、経二重織でキルティング状の袋織により布帛を組織したが、経編により表地及び裏地を組織しても同様の袋状構造を構成することができる。また、これ以外にも袋状構造を構成できる多重の織編物であれば、本発明に係る吸水性布帛を組織することが可能である。
【0025】
また、突出部8を形成した糸としては、意匠撚糸以外にも壁撚り糸、駒撚り糸などが挙げられるが、水分を吸収する突出部を多数形成した糸であれば、どのような形態のものでもかまわない。
【0026】
【実施例】
(実施例)
表地及び裏地の経糸として190dtex/84フィラメントのポリエステル長繊維1本を撚糸したものを用い、緯糸としてループヤーンを形成した意匠撚糸を用いる。意匠撚糸は、芯糸として84dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維1本を撚糸したものを用い、花糸として84dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維3本を合撚したものを用い、押糸として84dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維1本を撚糸したものを用いた。リング意匠撚糸機を用いて、花糸の送り速度を芯糸の2.5倍とし、Z撚りで撚数を850T/Mとして撚糸した。芯糸の周囲にはランダムな位置に花糸が多数の突出したループを形成している。中間層に用いる糸条としては、ループヤーンを形成した意匠撚糸を用いる。意匠撚糸は、芯糸として84dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維1本を撚糸したものを用い、花糸として84dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維3本を合撚したものを用い、押糸として84dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維1本を撚糸したものを用いた。リング意匠撚糸機を用いて、花糸の送り速度を芯糸の2.5倍とし、Z撚りで撚数を850T/Mとして撚糸した。芯糸の周囲にはランダムな位置に花糸が多数の突出したループを形成している。製織工程では、経糸の糸密度69本/cm、緯糸の糸密度18本/cmとして表地及び裏地を織成し、中間層の糸条の糸密度を9本/cmとして表地と裏地の間に緯糸方向に配した。そして、図3の組織図に従い、キルティング状に接結点を構成した。製造された布帛は、目付410.2g/cm2で、厚さ1.716mmであった。
(比較例1)
経糸として、56dtex/72フィラメントのポリエステル長繊維4本を合撚したものを用い、緯糸として、56dtex/144フィラメントのポリエステル長繊維3本を合撚したものを用いて、経糸密度66本/インチ、緯糸密度76本/インチに設定し朱子織の経二重織で布帛を製織した。製造された布帛は、目付325.3g/cm2で、厚さ0.958mmであった。
(比較例2)
市販されている綿ドビー織布帛で、オムツ用に2枚重ねて縫製されたものを用いた。目付447.6g/cm2で、厚さ1.54mmであった。
【0027】
以上の例において製造された布帛について、自然抱水率及び単位面積吸水量を測定した結果をまとめたのが表1である。ここで、自然抱水率とは、ホームベース状に形成された所定の大きさの測定用布帛の乾燥重量Tと、測定用布帛を水槽に浸漬して十分吸水させて大気中に引き上げて水滴が落ちなくなったときの重量Twとを測定して、Tw/Tから算出する。また、単位面積吸水量は、TwからTを差し引いて測定用布帛全体の吸水量を算出し、測定用布帛の面積で割った数値である。いずれの数値も大きいほど保水能力が高いことを示している。
【表1】
【0028】
この結果から明らかなように、本発明の吸水性布帛は従来のものに比べ2倍近い保水能力を有している。特に、綿ドビー織布帛を2枚重ねたものに比べて、保水能力が格段に向上するとともに、目付が小さくなって軽量化されており、洗濯作業を効率的に行う上で優れたものになっている。また、水分を吸収した後のベトツキ感についても従来のものより改善されていた。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、接結点により囲まれた表地及び裏地の部分は袋状の構造とされており、表地及び裏地には、多数の突出部を形成した糸条が用いられているため、多数の突出部が中間層の糸条に接触して袋状構造に空隙が確保されるようになる。特に、オムツの場合装着している間に圧迫されて空隙が次第に潰され狭くなってくるが、こうした突出部を多数形成しておくことで空隙を確保しやすくなる。従来の保水層に用いられた繊維又は糸は、吸収性が優れているため水分の拡散スピードが速く、多量の水分が吸収されると保水層の端部から漏れが生じてしまうことがあったが、本発明のように、一旦袋状構造の空隙内に保水するようにすれば、従来のような糸自体の保水に比べ飛躍的に多くの水分を保水することが可能になるとともに、水分の拡散スピードも抑えられて漏れを抑止することができる。
【0030】
また、表地及び裏地に多数の突出部が形成された糸条を用いることで、表面に付着した水分は、突出部に導かれて袋状構造内に速やかに吸収される。従来のように、長繊維からなる糸条を用いた場合、表面に付着した水分は、糸条の方が空隙が狭いため、毛細管現象により糸条自体に吸収されて内部に導水されにくいが、突出部が形成されていることにより、糸条同士の間にも空隙が形成されやすくなり、袋状構造の内部に容易に導水されるようになる。したがって、表面に残留する水分が少なくなるとともに、表面に形成される多数の突出部により、表面のベトツキ感が改善される。
【0031】
従来の吸水性布帛に比べ、その乾燥重量はほとんど変わらずに保水性能を格段に高めることができ、また、空隙が多くなるため、速乾性の点からも優れたものとなっている。中間層の糸条として、多数の突出部が形成された糸条を用いることで、空隙がさらに広がり、空隙をより安定して確保することができる。
【0032】
そして、ポリエステル繊維を糸条に用いていることで、綿繊維に比べ軽量化することができ、速乾性の点からも綿繊維よりも優れたものとなる。また、厚みも従来の布帛とほとんど変わらないので、ごわごわした肌触りになることもない。布帛の再利用の観点からポリ乳酸系繊維を用いることで、リサイクル可能な優れた吸水性布帛とすることができる。
【0033】
多数の突出部が形成された糸条としては、意匠撚糸、壁撚糸及び駒撚糸のうちのいずれかであることが好ましい。こうした糸を用いると、表面にも突出部が形成されて、表地又は裏地の表面に多数の凹凸模様が生じる。凹凸模様は固形の***物が流動していく際の歯止めとして機能するため、装着している間に***物が流出することをある程度阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の経糸方向の断面図である。
【図2】本発明の実施形態の緯糸方向の断面図である。
【図3】本発明の実施形態の組織図である。
【図4】本発明の実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
1 表地
2 裏地
3 中間層の糸条
4 接結点
5 空隙
6 袋状構造部分
7 中間層
8 突出部
Claims (4)
- 多数の突出部が形成された糸条を経糸方向又は緯糸方向の少なくとも一方向に用いて組織された表地及び裏地と、吸水性を有する糸条を多数配置した中間層とからなり、表地及び裏地が中間層を介して接結された多層構造の吸水性布帛であって、表地及び裏地は接結点において中間層の糸条と密に接合しているとともに、接結点により囲まれた表地及び裏地の部分が袋状とされていることを特徴とする吸水性布帛。
- 前記中間層の糸条は、多数の突出部が形成された糸条であることを特徴とする請求項1に記載の吸水性布帛。
- 表地、裏地及び中間層を組織する糸条は、ポリエステル繊維又はポリ乳酸系繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水性布帛。
- 多数の突出部が形成された糸条は、意匠撚糸、壁撚糸及び駒撚糸のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の吸水性布帛。
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