JP2004083790A - 感圧接着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットプリンター適性に優れ、特に印字のにじみが少なく、印字の耐水性に優れ、かつ親展葉書用紙等としての接着性、再剥離性(感圧接着面同士を強圧で接着でき、手で一度剥離した後には接着面同士を圧着しても接着しない特性)を満足する感圧接着シートを提供する。
【解決手段】基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有し、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、その接着剤層同士は剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する層であり、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることを特徴とする感圧接着シート。
【選択図】なし
【解決手段】基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有し、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、その接着剤層同士は剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する層であり、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることを特徴とする感圧接着シート。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三つ折りもしくは二つ折り葉書やカード等の各種システムに用いられる感圧接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、郵便法の改正に伴い必要情報を記録したシートを二つ折り、または三つ折りに折り畳み、親展性を持つ葉書システムが実用化され普及している。このような親展性を持つ葉書の基材シートに設けられた接着剤層は常温、常圧では接着性がなく、接着剤層同士を対向させた状態で500Kg/cm2程度に加圧することにより接着性を示し、且つ接着後は再剥離することが可能な接着剤層を有する感圧接着シート(以下、代表的な例である親展葉書用紙ともいう)が使用される。
【0003】
親展葉書用紙は特開平7−276858号公報、特開平9−71758号公報に記載されているように接着剤層面に葉書として定形事項を印刷した後、同層に宛名や個人情報等の秘密にしたい情報をレーザープリンターで印字し、秘密情報が外部から見えないように接着剤層同士が対向するように折り畳み、ドライシーラーで加圧積層して親展葉書となる。親展葉書は受取人が該接着剤層を元のように剥離することにより情報を見ることができ、一旦剥離すると常温、常圧では該接着剤層面は接着性がないので剥離前の状態にはならない葉書である。このような親展葉書用紙には接着剤として自己接着性に優れる天然ゴムあるいはその変性物が使用されてきたが、酸素、紫外線を含む光、オゾン、熱等によりゴム成分の二重結合の破壊が進行し、接着力等の経時的な低下が著しく、使用期限が設定されている等、使用し難いものであった。
そこで、特開2001−277414号公報には、親展葉書用紙の印刷適性、フォーム加工適性、接着力安定性を改善するため、ゴムラテックスにガラス転移温度0〜90℃の有機高分子化合物を配合することが提案されているが、塗工層の表面強度は向上するものの、接着力の経時的な低下を抑制する効果は不十分なものであった。また、特開2002−20711号公報には、親展葉書用紙を製造する際に使用する再剥離性接着剤の機械安定性、塗工適性を改善するため、天然ゴム誘導体、充填剤に部分ケン化型ポリビニルアルコールを配合することが提案されているが、バインダー成分としてポリビニルアルコールが単独で使用されており、塗工層のウェット強度が十分ではなく、圧着時の接着剤層剥がれやオフセット印刷適性に劣るものであった。
【0004】
当初、上記のような親展葉書用紙の加工は、親展葉書用紙にオフセット印刷機で定形印刷、レーザープリンターで印字、ドライシーラーで圧着し、発送されていたが、近年では、印字方式がレーザープリンター方式から高速で大量に処理することの出来る乾燥設備を備えたインクジェットプリンター方式に変化しつつある。
【0005】
インクジェット方式は、種々の方式によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像、文字等の記録を行うものである。通常、記録シートには印字ドットの濃度が高いこと、色調が明るく鮮やかであること、色の沈みがないこと、インクの吸収が早くて印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりせず、横方向への拡散の少ないことが要求されている。
【0006】
インクジェットプリンターは一般にアニオン系染料インクを使用しているため、通常の親展葉書用紙に印字すると印字の耐水性、インクの乾燥性が悪く、水により流れ落ちてしまったり、地汚れを起したりしていた。また、印字面を接着した後、剥離する際に、反対面に印字が転写してしまうという転写性の問題もあった。
【0007】
そのため親展葉書用紙をインクジェット印字対応用紙にするため、基材シートと接着剤層の間にカチオン性の化合物の下塗り層を設けたり、接着剤層に、カチオン性コロイダルシリカ、又はカチオン性の化合物を含有せしめる等の改良が検討されているが、接着剤層の機能を保ちつつ、インクジェット記録適性を付与することは困難であった。
【0008】
また、特開平9−39378号公報には、感圧接着剤層に4級アンモニウム塩あるいは3級アミノ基を有するカチオン性化合物を配合した感圧接着シートが提案されているが、配合するカチオン性化合物によって接着剤中に含まれる感圧接着剤が不安定となり、加圧時に十分な接着力、或いは再剥離性が得られない等の不都合が生じていた。さらに、特開平9−71758号公報には、疑似接着剤に弱カチオン性のポリアミド系樹脂を配合した感圧接着シートが提案されているが、インクジェットインクの定着能力が低く、インクジェット記録画像の十分な耐水性が得られない。
また、印字の耐水性、非転写性、オフセット印刷時のオフセット版汚染を改善するため、変性天然ゴムに両性高分子を配合した再剥離性接着剤が提案されているが、接着剤層の表面強度が十分ではなく、オフセット印刷時にブランケットパイリングを起したり、印字の耐水性も不十分なものであった。
【0009】
上記課題はインクジェット記録用のインクを耐水性のある顔料系インクに変更することで解決したと思われていたが、顔料系インクは高速印字を行うとインクの流動性が悪く、染料系インクに比べて比較的乾燥しやすいため、ノズル詰まりが頻繁に発生する等の問題があり、その対策としてライン速度を染料系インクと比較して1/3〜1/4程度で印字しており、高速インクジェットプリンターの性能が充分発揮されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インクジェットプリンター適性(印字のにじみがなく、印字の耐水性、非転写性、インク乾燥性に優れ)、オフセット印刷適性に優れ(ブランケットパイリングがないこと)、かつ親展葉書用紙等としての接着性、再剥離性(感圧接着面同士を強圧で接着でき、手で一度剥離した後には接着面同士を圧着しても接着しない特性)を満足する感圧接着シートを安価に提供することにある。
【0011】
【発明が解決しようとする手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、天然ゴム誘導体系樹脂である接着剤に、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有せしめ、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角を100°以下に調整することにより、インクジェット適性と親展葉書用紙としての接着適性を両立させた感圧接着シートを得ることが出来た。
【0012】
本発明は下記の態様を含む。
[1]基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有し、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、その接着剤層同士は剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する層であり、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることを特徴とする感圧接着シート。
[2]天然ゴム誘導体系樹脂が、天然ゴムにメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種の不飽和モノマーをグラフト重合した樹脂である[1]に記載された感圧接着シート。
【0013】
[3]インク定着剤が1分子中にカチオン基とアニオン基を含有する両性化合物である[1]と[2]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
[4]接着力コントロール剤が、平均粒子径6μm以上、比表面積300m2/g以上、細孔容積1ml/g以上のゲル法によって製造された非晶質シリカである[1]〜[3]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
【0014】
[5]接着剤層が、さらにポリビニルアルコールを含有する[1]〜[4]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
[6]ポリビニルアルコールが、けん化度90モル%以下、重合度1000以下である[5]に記載された感圧接着シート。
[7]接着剤層が、さらにアクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂から選択される少なくとも1種を含有する[1]〜[6]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
[8]接着剤層が、インクジェット記録層である[1]〜[7]のいずれかに記載の感圧接着シート。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる感圧接着シートは、基材シートの少なくとも一方の面に設けられた接着剤層が、加圧する前の常温、常圧では接着性を示さず、且つ、接着剤層同士を対向させた状態で、500Kg/cm2程度に加圧処理をすることにより接着でき、その接着面は手で剥離可能である接着剤層(この面を再剥離面とも言う)を有する。一度剥離すると接着剤層同士を重ねて手で圧着しても接着しない。即ち、▲1▼基材シートの片面にのみ、再剥離性を有する接着剤層表面(以下、再剥離面とも称する)を形成する構成、▲2▼基材シートの両面に再剥離性を有する接着剤層(再剥離面)を形成する構成、▲3▼基材シートの片面に再剥離性の接着剤層(再剥離面)を設け、他の面に再剥離性のない面(以下、永久接着面とも称する)とする構成等が含まれる。
【0016】
なお、再剥離面、永久接着面ともに、常温、常圧では接着性を示さず、ドライシーラー等で500Kg/cm2程度(300Kg/cm2〜700Kg/cm2)に加圧積層することにより接着するが、このような接着剤層は、接着剤と接着力コントロール剤の配合量などで接着力を調節する。例えば、再剥離面に、秘密を必要とする情報を設けた後、その情報が隠れるようにシートを折り畳み、或いは別のシートを重ね合わせ、再剥離性の接着剤層同士が対向するようにして加圧処理することにより、内部に情報を持つ積層シート(例えば親展葉書、くじ等)となる。
【0017】
本発明は、接着剤層中に天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含み、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることに大きな特徴がある。
【0018】
上記接着剤層を塗工した本発明の感圧接着シートは、接着剤層表面に水(4μl)を滴下し、10秒後の接触角(ASTM D 5725)が100°以下であることが非常に重要である。因みに、接触角が100°を越えると、インクジェットプリンターで使用されるインクの濡れが悪くなり、インクドットがあまり広がらず、印字濃度が低下したり、インクの乾燥性が低下してしまう。接触角は好ましくは95°以下、より好ましくは90°以下で、下限は特にないが10°以上が好ましい。この接触角を調節する方法としては、接着剤(圧着した葉書等の剥離力を付与する材料)、インク定着剤、接着力コントロール剤等の種類、配合量、塗布量、乾燥条件、表面平滑性を適切な範囲に適宜調節することになる。特に、接着剤層への親水性高分子を配合することもでき、例えば、ポリビニルアルコール、インク定着剤の配合量を増加させると、接触角が低下し、印字濃度を高くすることができるので好ましい。
【0019】
本発明に用いる接着剤は、天然ゴム誘導体系樹脂であれば特に限定されないが、天然ゴムにメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種以上の不飽和モノマーをグラフト重合した樹脂が好ましい。特に、天然ゴムの固形分100質量部にメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種以上の不飽和モノマーを10〜40質量部グラフト重合した天然ゴム誘導体が、接着力の安定性や耐ブロッキング性に優れるため好ましい。
【0020】
次に、再剥離面の接着剤層中の接着剤配合量は、好ましくは固形分質量が5〜40質量%程度である。5質量%未満の場合、接着剤層の接着強度が弱くなる恐れがあり、40質量%を越えると、接着剤層中の接着力コントロール剤の1種である顔料を被覆してしまいインク吸収性が低下し、インクジェット適性が低下する恐れがある。
一方、永久接着面の接着剤配合量は、好ましくは固形分質量で30〜60質量%程度である。因みに30質量%未満では再剥離性を示してしまう恐れがあり、60質量%を越えるとブロッキングが生じ易くなる恐れがある。
【0021】
本発明に用いるインク定着剤としては、インクジェットプリンターで使用されているアニオン性のインクを定着する機能を有する化合物であれば特に限定されず、カチオン基および/またはカチオン基と成り得る官能基を有する化合物(即ち、カチオン性化合物)や1分子中にカチオン基および/またはカチオン基と成りうる官能基とアニオン基および/またはアニオン基と成り得る官能基の両方を含有する両性化合物が挙げられる。特に、カチオン性化合物としては1級アミノ基またはその付加塩類、2級アミノ基またはその付加塩類、3級アミノ基またはその付加塩類、4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸エステルの1級アミン類およびその付加塩類、ジアリルアミン、ジアリルアミン付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの2級アミン類およびその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの
3級アミン類およびその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステル類およびそのピリジニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステルのN−置換ピリジニウム塩類、ビニルピリジン類およびそのピリジニウム塩類等が挙げられる。また、両性化合物のアニオン基および/またはアニオン基と成り得る官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩などであり、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、マレイン酸のハーフエステルなどのカルボキシル基とエチレン性二重結合を有するモノマー類およびその塩類、スチレンスルホン酸などのスルホ基とエチレン性二重結合を有するモノマー類およびその塩類、(メタ)アクリル酸オキシエチルアミドフォスフェートなどを例示することができる。なお、塩類の対カチオンはアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン類などが好ましく、特にアンモニウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオンが好ましい。
これらを表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
なかでも、両性化合物が好ましく、両性ポリマーがより好ましい。本発明において両性ポリマーとは、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーを必須成分として含むモノマー重合物であって、他の共重合可能なモノマーを含んで成ってもよいモノマー混合物を共重合することによって得られる両性ポリマーをいい、アニオン基及びカチオン基を同時に含有するポリマーである。
【0024】
インク定着剤をポリマーとして使用する場合、該ポリマー中に占めるカチオン基および/またはカチオン基と成り得る官能基を有するモノマーの割合は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。上限は特になく100質量%に限りなく近くてもよい(カチオン性化合物)。重合反応は上記カチオン基および/またはカチオン基と成り得る官能基を有する化合物を含む水溶液に共重合可能なその他のモノマー(以後その他のモノマー(*1)とも称する)を連続的に添加することによって行われる。添加速度は等速でも非等速でも良く、添加時間は通常3〜20時間の範囲である。重合反応にあたっては、濃度が1〜80質量%となるようにするのが好ましく、5〜50質量%となるようにするのがより好ましい。
【0025】
ここで、インク定着剤を構成するその他のモノマー(*1)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレン、プロピレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0026】
なお、重合の際には重合開始剤を用いるのが好ましく、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、2,2’−ジアミジノ−2,2’−アゾプロパンジ塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物が例示できる。
また、公知のレドックス系開始剤、例えば過硫酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムまたは3級アミンとの組合せ等を用いることもできる。重合開始剤はカチオン性モノマーを含む水溶液に予め添加しておいてもよいし、その他のモノマー(*1)と同時に、連続的に系中へ添加していってもよい。
【0027】
重合は、通常10〜100℃、好ましくは40〜90℃で、3〜20時間程度行われる。この重合反応は窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気中で行うのが好ましい。本発明では、このような重合反応を行うにあたって、反応系に次亜リン酸またはその塩を重合度調整剤として存在させることが好ましい。次亜リン酸はHPH2O2で表される一塩基酸であり、遊離酸のほか、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等が使用できる。また水和物であっても差し支えない。これらの次亜リン酸およびその塩は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上組合せて用いることもできる。
【0028】
次亜リン酸またはその塩の使用量は、使用するモノマーの合計モル数を基準として、0.01〜3モル%の範囲が好ましく、さらには0.02〜2モル%の範囲がより好ましい。次亜リン酸またはその塩を添加するにあたっては、重合開始剤と同様にカチオン性化合物を含む水溶液に予め添加しておいてもよいし、その他のモノマー(*1)と同時に、連続的に系中へ添加していってもよい。
【0029】
さらに本発明の重合反応においては、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸等、あるいはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩を必要に応じて用いることができる。すなわち、金属イオン、特に遷移金属イオンが、重合系内に共存あるいは混入するような場合、これらのイオンは、得られる水溶性共重合体の好ましからざる粘度低下を引き起こすため、こういう阻害因子を除く目的で、キレート剤を重合系内に添加するのも有効である。
【0030】
キレート剤を用いる場合、その使用量は特に限定されないが、その効果を有効に発揮させるためには、使用する全モノマー質量を基準として、50ppm以上用いるのが好ましい。キレート剤の量の上限は任意であり、悪影響の出ない範囲で相当量用いることができるが、経済性等を考慮すると、使用する全モノマー質量を基準として、5000ppm程度までで充分である。
【0031】
キレート剤を用いる場合も、重合開始剤や次亜リン酸またはその塩と同様に、カチオン性化合物を含む水溶液に予め添加しておいてもよいし、その他のモノマー(*1)と同時に、連続的に系中へ添加していってもよい。
好ましいインク定着剤の形態は、有機溶媒溶液や水性エマルションであってもよいが、通常、水溶液の形態である。
インク定着剤の水性エマルションは、乳化重合により得ることができる。乳化重合では、通常、重合安定性を付与するために界面活性剤が使用されるが、該界面活性剤は接着力を低下させる原因となるため、必要最小限の使用が好ましい。また、接着力を低下させないため、界面活性剤を用いない方法によりインク定着剤の水性エマルションを製造することもできる。このような方法としては、例えば、有機溶媒中でモノマーを重合した後、水を必要量投入し、その後重合に使用した有機溶媒を例えば減圧留去等により除去し、水性エマルションを得る転相乳化法が挙げられる。
【0032】
本発明に用いるインク定着剤の配合量は、接着剤層固形分に対して1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。因みに、配合量が1質量%未満であると、接着力が強くなり過ぎ、インクジェット印字した後、圧着し、再剥離すると非印字面に印字が転写したり、耐水性およびインク吸収性が十分でなくなる恐れがあり、配合量が70質量%を越えると、加圧処理の際の接着力が低下し、感圧接着シートとしての機能が損なわれる恐れがあり、また印字の密着性や印字の耐水性も劣る傾向になる。
【0033】
接着力コントロール剤としては、無機及び有機顔料等が使用できる。例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミニウム、小麦デンプン(糊化していないもの)、シリカ、アルミナ、γ−アルミナ、コロイダルシリカ、プラスチックピグメント、またポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。その中でも、小麦デンプン、シリカ等が接着力やインクジエット適性のコントロールに適しており、好適に用いられる。
【0034】
本発明に用いるシリカは、特に限定されないが、珪酸ソーダを原料としてその水溶液を中和してシリカを析出させる、いわゆる「湿式法」のうち酸性領域(好ましくはpH3〜4)で反応を行う「ゲル法」によって製造されたものが好ましい。その中でも、コールターカウンター法で測定される平均粒子径6μm以上、JIS K 5101に準じて測定される比表面積300m2/g以上、細孔容積1ml/g以上のものが特に好ましい。上限は特にないが2.0ml/g程度である。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸、塩酸などの鉱酸を接触させて中和し、シリカのヒドロゲルを生成させ、30分以上放置してゲルに転化させて得られる。比表面積が大きく、密な凝集構造をとり、インクジェット記録におけるインク乾燥性が優れる。
シリカはその一次粒子が集まって、連続的に網目のような微細孔を形成するが、この微細孔の内側に各種物質を吸着するとともに、本発明では接着力コントロール剤としての役目も担う。該接着剤層のインク吸収性はシリカの微細孔によるインクの吸着に影響されるため、比表面積の大きなシリカを用いることが好ましい。シリカの好ましい比表面積は300m2/g以上であり、上限は特にないが例えば1000m2/gである。より好ましくは300〜500m2/gである。比表面積300m2/g未満ではインクとの接触面積が小さくなるために、シリカ内部への吸収速度が遅くなり、インク吸収性が低下する恐れがある。
また、シリカの平均粒子径は塗工層の表面強度をアップするため、6μm以上であることが好ましい。平均粒子径が6μm未満であると、塗工層の表面強度が不足し、オフセット印刷時にブランケットパイリングが発生する恐れがある。上限は特にないが25μm程度でよい。
【0035】
また、小麦デンプンはブロッキング防止の目的でスペーサー的に使われる。シリカはインク受容性に優れるので、印刷適性、インクジェット記録適性を改善するので好ましい。フッ素系樹脂はインクの滲みを防止する効果が高い。
さらに酸化チタンは隠蔽効果が高く、シリカと混合することにより隠蔽効果が高くなる。接着力コントロール剤は、このような無機又は有機顔料を併用することが好ましい。なお、無機又は有機顔料の粒径としては1〜50μm程度のものが好ましい。接着力コントロール剤には加圧下で接着剤層面が接着し、一度剥離した後には接着しないように調整する効果がある。
【0036】
基材シートと接着剤層との密着性を向上させるためにバインダー樹脂(印刷の際の表面強度を付与する材料)を配合することもできる。ここで、バインダー樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酸化デンプン等のデンプン類(糊化したもの)等、特に限定されないが、塗工層の表面強度を向上させるため、スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂が好ましい。
【0037】
なお、三つ折りに折り畳むタイプの葉書(以下、三つ折り葉書ともいう)の場合、永久接着面の接着剤層も葉書の表面を形成することがあるので、その接着剤層中にもインク定着剤を含有させ、インクジェット記録適性を付与することが好ましい。
【0038】
更に、接着剤層には、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、デンプン(糊化したもの)、変性デンプン(糊化したもの)、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル系共重合体、ウレタン系共重合体等の親水性高分子を配合すると、接着剤層と基材との密着性やカチオン性化合物との混和性が改善されるので好ましい。特に、ポリビニルアルコールは、インクジェットインクの非転写性が良好となるため、好ましい。なかでも、けん化度90モル%以下、重合度1000以下であるポリビニルアルコールが特に好ましい。けん化度が90モル%を越えるとインクジェットインクの非転写性が悪化したり、オフセット印刷時のブランケットへの用紙の貼付きが酷くなる恐れがある。また、重合度が1000を越えると、カラーの粘度が上昇し過ぎたり、接着力が低下し過ぎる恐れがある。
【0039】
親水性高分子を配合する場合、接着剤層固形分の20質量%以下にすることが好ましい。20質量%を超えての配合は、塗液の粘度上昇および接着性が低下する恐れがある。
【0040】
なお、接着剤層には、添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、カチオン性、ノニオン性または両性の界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、特開平5−295335号公報(接着性、再剥離性、耐ブロッキング性、印刷適性、水性インキ受理性、表面の風合い等の特性を兼ね備えたコールドシール接着剤組成物を提供する。ゴムラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとを混合してなる接着剤ベースか、アクリル変性ゴムラテックスからなる接着剤ベースと、充填剤とを主成分とし、上記接着剤ベース100質量部に対し上記充填剤が5〜90質量部含有されているコールドシール接着剤組成物。保護コロイド系接着剤を用いる理由は、▲1▼保護コロイドによる親水基の導入によって得られる組成物の紙面へのアンカーリング性が向上する、▲2▼保護コロイドのガラス転移温度が高いので表面硬度が硬くなって耐ブロッキング性が向上する、▲3▼塗膜表面が乾燥時に造膜不良を起こしてフィルム化せず、インキ受理性や印刷適性が向上するものであり、上記保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンは、モノマー組成を調整することにより、その最低造膜温度が90℃以上となるように設定することが好適であると記載されている)に記載の最低造膜温度90℃以上の樹脂などが適量配合できる。
【0041】
本発明に用いる基材シートについては特に限定するものではないが、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙等の紙類、合成紙、合成樹脂フィルム、金属箔、不織布等を用いられることがあり、これらは積層されたり、表面処理されたりしたものを用いてもよい。その中でも、紙類が安価なため好ましく使用される。勿論、紙類には古紙パルプを含んでいても良く、抄紙方法等も特に限定するものではない。
【0042】
また、接着剤層塗工後の巻き取りにおいて、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.37−81法に規定される巻硬さの偏差が5Kgf・m以下であることが好ましい。巻硬さの偏差の最大値が5Kgf・mを超えると、接着剤層を塗工した際、不必要な紙の変形が起こり、左右で紙の寸法が異なり、このような巻き取りを、フォーム印刷機を使って高速印刷すると、シワが発生したり、見当ズレが発生する等トラブルの原因となることがある。
【0043】
基材シートの表面に塗布する場合、塗工方法としては特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。その中でも、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター等が好ましい。塗工量としては2〜30g/m2の範囲であるが、好ましくは3〜15g/m2の範囲である。
【0044】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は特に明示のない限り質量部及び質量%である。
【0045】
【実施例】
実施例1
〔再剥離性接着剤層の形成〕
上質紙104.7g/m2(OKH90,王子製紙社製)の片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり10g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。
【0046】
〔永久接着性接着剤層の形成〕
上記再剥離面用塗料を塗工した上質紙の反対面に、以下の配合の永久接着面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり10g/m2塗工し、熱風乾燥機で100℃の温度にて1分間乾燥し感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0047】
実施例2
再剥離面用塗料組成でカチオン性化合物をジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体に代えて、1級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるポリアリルアミン・塩酸塩(PAA−HCl−10L,日東紡績社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0048】
実施例3
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0049】
実施例4
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0050】
実施例5
実施例1で調製した再剥離面用塗料を用いて、上質紙の両面に塗工した以外は、実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0051】
実施例6
両性高分子を下記のようにして重合した。4質量部のアクリル酸、96質量部のメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを900質量部の蒸留水に加え、攪拌しつつ1質量部の2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリドを添加した後、80℃に加熱して3時間反応させた。
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0052】
実施例7
両性高分子を下記のようにして重合した。7質量部のアクリル酸、88質量部のメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、5質量部のアクリルアミドを900質量部の蒸留水に加え、攪拌しつつ1質量部の2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリドを添加した後、80℃に加熱して3時間反応させた。
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例6と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0053】
比較例1(特開平9−39378の実施例1に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0054】
比較例2(特開平9−58118の実施例1に相当)
長網抄紙機で抄造した坪量115g/m2の支持体にカチオン性樹脂としてジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物(ポリフィクス601,昭和高分子社製)を乾燥付着量で0.8g/m2、燐酸エステル化澱粉(MS#4600,日本食品化工社製)を乾燥付着量で1.2g/m2となるようオンマシンのサイズプレス装置を用いて表裏に付着させ、マシンカレンダー処理を行って支持体を作成した。
その支持体の一面に下記配合の感圧接着剤をエアーナイフコーターを用いて10g/m2の割合で塗布、乾燥し感圧接着シートを得た。
【0055】
比較例3
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0056】
比較例4(特開2001−277414の実施例1に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0057】
比較例5(特開2002−20711に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0058】
比較例6(特開2001−49213に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0059】
「評価方法」
(1)接着剤層の基材シート(支持体)との密着性
接着剤層を指で擦り、基材シートとの密着性を目視評価した。
◎:接着剤層が全く剥がれない。
○:接着剤層が一部のみ剥がれるが概ね良好。
△:接着剤層が若干剥がれるが、実用上問題ないレベルである。
×:接着剤層が剥がれてしまい、実用上問題となるレベルである。
【0060】
(2)印字の耐水性評価
インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを再剥離面に印字し、水中に2分間浸けた際のインキのにじみを目視で評価した。
◎:にじみがなく優れている。
○:にじみが殆どなし。
△:若干にじみが認められるが、実用上問題なし。
×:にじみがあり、実用上問題がある。
××:にじみが顕著
【0061】
(3)印字濃度評価
インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてブラックを再剥離面に印字し、マクベス濃度計(RD−914)にて評価した。
【0062】
(4)接触角評価
水に対する接触角は、ASTM D5725に準拠して23℃、50%RH雰囲気下で接着剤層に水(4μl)を滴下後10秒で測定した。接触角測定装置は、FIBRO system ab社製ダイナミックコンタクトアングル・アブソープションテスター FIBRO DAT 1100を用いた。
【0063】
(5)接着力経時変化
本発明の感圧接着シートにキセノンロングライフサンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いて紫外線を100時間照射した。
ドライシーラー(トッパンフォームズ社製)を用い、得られた紫外線照射前試料と照射後試料を適切な大きさに断裁し、再剥離面同士が対向するようにZ折りして、23℃、65%の温湿度条件で24時間調湿した後、ロール間隙を200μmに設定したプレスロールを通過させて圧着し、親展葉書を作製した。得られた親展葉書をT型剥離で接着力を評価し、接着力の変動を下記基準で評価した。
◎:接着力の変動が少ない。
○:若干接着力の変動があるが、実用上問題ないレベル。
×:接着力の変動が著しく、実用上問題となるレベル。
【0064】
(6)インクジェット適性評価
インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを網点印字し、実体顕微鏡でドットの形状を観察しインキのにじみを目視で評価した。
◎:ドットの形状に崩れはなく、全く問題はなし。
○:ドットの形状に若干崩れはあるが、実用上問題なし。
×:ドットが崩れ、実用上問題がある。
××:ドットの崩れが著しい
【0065】
(8)オフセット印刷適性
ビジネスフォーム印刷機(ミヤコシ製MVF−18型)を用いて、オフセット印刷を行い、ブランケットの汚染状態、ブランケットへの塗工層の堆積状態を目視で評価した。
◎:ブランケット汚染や塗工層の剥がれもなく、全く問題なし。
○:若干ブランケット汚染や塗工層剥がれがあるが、実用上問題ない。
×:ブランケット汚染や塗工層剥がれがあり、実用上問題がある。
【0066】
(7)総合評価
親展葉書用紙としての総合評価を行った。
◎:親展葉書用紙として非常に優れている。
○:親展葉書用紙として優れている。
△:親展葉書用紙として若干問題があるが、実用上問題ないレベルである。
×:親展葉書用紙として問題があり、実用出来ないレベルである。
【0067】
【表2】
【0068】
表2が明らかに示しているように、本発明に係る感圧接着シートは、印字の耐水性、印字濃度が高くインクジェット適性に優れ、しかもオフセット印刷適性、接着適性に優れている(実施例1〜5)。特に接着剤層表面の接触角を制御することにより、印字濃度の高いインクジェット用途に最適な親展葉書用紙が得られることを見出した(実施例6、7)。
しかし、接着剤層表面の接触角が高いと印字濃度が非常に低く、インクジェット用途には不適な親展葉書用紙になる(比較例4)。接着剤層に部分けん化型ポリビニルアルコールを配合すると印字濃度は若干改善されるものの、印字の耐水性が劣り、接着力の経時変化も大きい(比較例5)。接着剤層にアクリル系接着剤、カチオン樹脂、デンプン、シリカを使用するとインクジェット適性は改善されるものの、接着剤層の表面強度が弱く、オフセット印刷適性に劣るものである(比較例1)。
【0069】
【発明の効果】
本発明による基材シートと少なくとも一方の面に接着剤層を備えた感圧接着シートにおいて、接着剤層が天然ゴム誘導体系樹脂を含有する接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する塗工層からなり、該接着剤層の水滴下10秒後の接触角が100°以下とすることにより、インクジェットプリンター適性、特に印字濃度が高く、印字の耐水性に優れ、かつ親展葉書用紙とした場合の接着、再剥離性を満足する感圧接着シートが得られる。
また、本発明の接着剤は、各種カチオン性化合物を配合した塗料の安定性に優れており、また得られる感圧接着シートの記録は耐光性、耐水性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、三つ折りもしくは二つ折り葉書やカード等の各種システムに用いられる感圧接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、郵便法の改正に伴い必要情報を記録したシートを二つ折り、または三つ折りに折り畳み、親展性を持つ葉書システムが実用化され普及している。このような親展性を持つ葉書の基材シートに設けられた接着剤層は常温、常圧では接着性がなく、接着剤層同士を対向させた状態で500Kg/cm2程度に加圧することにより接着性を示し、且つ接着後は再剥離することが可能な接着剤層を有する感圧接着シート(以下、代表的な例である親展葉書用紙ともいう)が使用される。
【0003】
親展葉書用紙は特開平7−276858号公報、特開平9−71758号公報に記載されているように接着剤層面に葉書として定形事項を印刷した後、同層に宛名や個人情報等の秘密にしたい情報をレーザープリンターで印字し、秘密情報が外部から見えないように接着剤層同士が対向するように折り畳み、ドライシーラーで加圧積層して親展葉書となる。親展葉書は受取人が該接着剤層を元のように剥離することにより情報を見ることができ、一旦剥離すると常温、常圧では該接着剤層面は接着性がないので剥離前の状態にはならない葉書である。このような親展葉書用紙には接着剤として自己接着性に優れる天然ゴムあるいはその変性物が使用されてきたが、酸素、紫外線を含む光、オゾン、熱等によりゴム成分の二重結合の破壊が進行し、接着力等の経時的な低下が著しく、使用期限が設定されている等、使用し難いものであった。
そこで、特開2001−277414号公報には、親展葉書用紙の印刷適性、フォーム加工適性、接着力安定性を改善するため、ゴムラテックスにガラス転移温度0〜90℃の有機高分子化合物を配合することが提案されているが、塗工層の表面強度は向上するものの、接着力の経時的な低下を抑制する効果は不十分なものであった。また、特開2002−20711号公報には、親展葉書用紙を製造する際に使用する再剥離性接着剤の機械安定性、塗工適性を改善するため、天然ゴム誘導体、充填剤に部分ケン化型ポリビニルアルコールを配合することが提案されているが、バインダー成分としてポリビニルアルコールが単独で使用されており、塗工層のウェット強度が十分ではなく、圧着時の接着剤層剥がれやオフセット印刷適性に劣るものであった。
【0004】
当初、上記のような親展葉書用紙の加工は、親展葉書用紙にオフセット印刷機で定形印刷、レーザープリンターで印字、ドライシーラーで圧着し、発送されていたが、近年では、印字方式がレーザープリンター方式から高速で大量に処理することの出来る乾燥設備を備えたインクジェットプリンター方式に変化しつつある。
【0005】
インクジェット方式は、種々の方式によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像、文字等の記録を行うものである。通常、記録シートには印字ドットの濃度が高いこと、色調が明るく鮮やかであること、色の沈みがないこと、インクの吸収が早くて印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりせず、横方向への拡散の少ないことが要求されている。
【0006】
インクジェットプリンターは一般にアニオン系染料インクを使用しているため、通常の親展葉書用紙に印字すると印字の耐水性、インクの乾燥性が悪く、水により流れ落ちてしまったり、地汚れを起したりしていた。また、印字面を接着した後、剥離する際に、反対面に印字が転写してしまうという転写性の問題もあった。
【0007】
そのため親展葉書用紙をインクジェット印字対応用紙にするため、基材シートと接着剤層の間にカチオン性の化合物の下塗り層を設けたり、接着剤層に、カチオン性コロイダルシリカ、又はカチオン性の化合物を含有せしめる等の改良が検討されているが、接着剤層の機能を保ちつつ、インクジェット記録適性を付与することは困難であった。
【0008】
また、特開平9−39378号公報には、感圧接着剤層に4級アンモニウム塩あるいは3級アミノ基を有するカチオン性化合物を配合した感圧接着シートが提案されているが、配合するカチオン性化合物によって接着剤中に含まれる感圧接着剤が不安定となり、加圧時に十分な接着力、或いは再剥離性が得られない等の不都合が生じていた。さらに、特開平9−71758号公報には、疑似接着剤に弱カチオン性のポリアミド系樹脂を配合した感圧接着シートが提案されているが、インクジェットインクの定着能力が低く、インクジェット記録画像の十分な耐水性が得られない。
また、印字の耐水性、非転写性、オフセット印刷時のオフセット版汚染を改善するため、変性天然ゴムに両性高分子を配合した再剥離性接着剤が提案されているが、接着剤層の表面強度が十分ではなく、オフセット印刷時にブランケットパイリングを起したり、印字の耐水性も不十分なものであった。
【0009】
上記課題はインクジェット記録用のインクを耐水性のある顔料系インクに変更することで解決したと思われていたが、顔料系インクは高速印字を行うとインクの流動性が悪く、染料系インクに比べて比較的乾燥しやすいため、ノズル詰まりが頻繁に発生する等の問題があり、その対策としてライン速度を染料系インクと比較して1/3〜1/4程度で印字しており、高速インクジェットプリンターの性能が充分発揮されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インクジェットプリンター適性(印字のにじみがなく、印字の耐水性、非転写性、インク乾燥性に優れ)、オフセット印刷適性に優れ(ブランケットパイリングがないこと)、かつ親展葉書用紙等としての接着性、再剥離性(感圧接着面同士を強圧で接着でき、手で一度剥離した後には接着面同士を圧着しても接着しない特性)を満足する感圧接着シートを安価に提供することにある。
【0011】
【発明が解決しようとする手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、天然ゴム誘導体系樹脂である接着剤に、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有せしめ、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角を100°以下に調整することにより、インクジェット適性と親展葉書用紙としての接着適性を両立させた感圧接着シートを得ることが出来た。
【0012】
本発明は下記の態様を含む。
[1]基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有し、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、その接着剤層同士は剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する層であり、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることを特徴とする感圧接着シート。
[2]天然ゴム誘導体系樹脂が、天然ゴムにメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種の不飽和モノマーをグラフト重合した樹脂である[1]に記載された感圧接着シート。
【0013】
[3]インク定着剤が1分子中にカチオン基とアニオン基を含有する両性化合物である[1]と[2]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
[4]接着力コントロール剤が、平均粒子径6μm以上、比表面積300m2/g以上、細孔容積1ml/g以上のゲル法によって製造された非晶質シリカである[1]〜[3]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
【0014】
[5]接着剤層が、さらにポリビニルアルコールを含有する[1]〜[4]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
[6]ポリビニルアルコールが、けん化度90モル%以下、重合度1000以下である[5]に記載された感圧接着シート。
[7]接着剤層が、さらにアクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂から選択される少なくとも1種を含有する[1]〜[6]のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
[8]接着剤層が、インクジェット記録層である[1]〜[7]のいずれかに記載の感圧接着シート。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる感圧接着シートは、基材シートの少なくとも一方の面に設けられた接着剤層が、加圧する前の常温、常圧では接着性を示さず、且つ、接着剤層同士を対向させた状態で、500Kg/cm2程度に加圧処理をすることにより接着でき、その接着面は手で剥離可能である接着剤層(この面を再剥離面とも言う)を有する。一度剥離すると接着剤層同士を重ねて手で圧着しても接着しない。即ち、▲1▼基材シートの片面にのみ、再剥離性を有する接着剤層表面(以下、再剥離面とも称する)を形成する構成、▲2▼基材シートの両面に再剥離性を有する接着剤層(再剥離面)を形成する構成、▲3▼基材シートの片面に再剥離性の接着剤層(再剥離面)を設け、他の面に再剥離性のない面(以下、永久接着面とも称する)とする構成等が含まれる。
【0016】
なお、再剥離面、永久接着面ともに、常温、常圧では接着性を示さず、ドライシーラー等で500Kg/cm2程度(300Kg/cm2〜700Kg/cm2)に加圧積層することにより接着するが、このような接着剤層は、接着剤と接着力コントロール剤の配合量などで接着力を調節する。例えば、再剥離面に、秘密を必要とする情報を設けた後、その情報が隠れるようにシートを折り畳み、或いは別のシートを重ね合わせ、再剥離性の接着剤層同士が対向するようにして加圧処理することにより、内部に情報を持つ積層シート(例えば親展葉書、くじ等)となる。
【0017】
本発明は、接着剤層中に天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含み、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることに大きな特徴がある。
【0018】
上記接着剤層を塗工した本発明の感圧接着シートは、接着剤層表面に水(4μl)を滴下し、10秒後の接触角(ASTM D 5725)が100°以下であることが非常に重要である。因みに、接触角が100°を越えると、インクジェットプリンターで使用されるインクの濡れが悪くなり、インクドットがあまり広がらず、印字濃度が低下したり、インクの乾燥性が低下してしまう。接触角は好ましくは95°以下、より好ましくは90°以下で、下限は特にないが10°以上が好ましい。この接触角を調節する方法としては、接着剤(圧着した葉書等の剥離力を付与する材料)、インク定着剤、接着力コントロール剤等の種類、配合量、塗布量、乾燥条件、表面平滑性を適切な範囲に適宜調節することになる。特に、接着剤層への親水性高分子を配合することもでき、例えば、ポリビニルアルコール、インク定着剤の配合量を増加させると、接触角が低下し、印字濃度を高くすることができるので好ましい。
【0019】
本発明に用いる接着剤は、天然ゴム誘導体系樹脂であれば特に限定されないが、天然ゴムにメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種以上の不飽和モノマーをグラフト重合した樹脂が好ましい。特に、天然ゴムの固形分100質量部にメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種以上の不飽和モノマーを10〜40質量部グラフト重合した天然ゴム誘導体が、接着力の安定性や耐ブロッキング性に優れるため好ましい。
【0020】
次に、再剥離面の接着剤層中の接着剤配合量は、好ましくは固形分質量が5〜40質量%程度である。5質量%未満の場合、接着剤層の接着強度が弱くなる恐れがあり、40質量%を越えると、接着剤層中の接着力コントロール剤の1種である顔料を被覆してしまいインク吸収性が低下し、インクジェット適性が低下する恐れがある。
一方、永久接着面の接着剤配合量は、好ましくは固形分質量で30〜60質量%程度である。因みに30質量%未満では再剥離性を示してしまう恐れがあり、60質量%を越えるとブロッキングが生じ易くなる恐れがある。
【0021】
本発明に用いるインク定着剤としては、インクジェットプリンターで使用されているアニオン性のインクを定着する機能を有する化合物であれば特に限定されず、カチオン基および/またはカチオン基と成り得る官能基を有する化合物(即ち、カチオン性化合物)や1分子中にカチオン基および/またはカチオン基と成りうる官能基とアニオン基および/またはアニオン基と成り得る官能基の両方を含有する両性化合物が挙げられる。特に、カチオン性化合物としては1級アミノ基またはその付加塩類、2級アミノ基またはその付加塩類、3級アミノ基またはその付加塩類、4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸エステルの1級アミン類およびその付加塩類、ジアリルアミン、ジアリルアミン付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの2級アミン類およびその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの
3級アミン類およびその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステル類およびそのピリジニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステルのN−置換ピリジニウム塩類、ビニルピリジン類およびそのピリジニウム塩類等が挙げられる。また、両性化合物のアニオン基および/またはアニオン基と成り得る官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩などであり、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、マレイン酸のハーフエステルなどのカルボキシル基とエチレン性二重結合を有するモノマー類およびその塩類、スチレンスルホン酸などのスルホ基とエチレン性二重結合を有するモノマー類およびその塩類、(メタ)アクリル酸オキシエチルアミドフォスフェートなどを例示することができる。なお、塩類の対カチオンはアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン類などが好ましく、特にアンモニウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオンが好ましい。
これらを表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
なかでも、両性化合物が好ましく、両性ポリマーがより好ましい。本発明において両性ポリマーとは、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーを必須成分として含むモノマー重合物であって、他の共重合可能なモノマーを含んで成ってもよいモノマー混合物を共重合することによって得られる両性ポリマーをいい、アニオン基及びカチオン基を同時に含有するポリマーである。
【0024】
インク定着剤をポリマーとして使用する場合、該ポリマー中に占めるカチオン基および/またはカチオン基と成り得る官能基を有するモノマーの割合は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。上限は特になく100質量%に限りなく近くてもよい(カチオン性化合物)。重合反応は上記カチオン基および/またはカチオン基と成り得る官能基を有する化合物を含む水溶液に共重合可能なその他のモノマー(以後その他のモノマー(*1)とも称する)を連続的に添加することによって行われる。添加速度は等速でも非等速でも良く、添加時間は通常3〜20時間の範囲である。重合反応にあたっては、濃度が1〜80質量%となるようにするのが好ましく、5〜50質量%となるようにするのがより好ましい。
【0025】
ここで、インク定着剤を構成するその他のモノマー(*1)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレン、プロピレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0026】
なお、重合の際には重合開始剤を用いるのが好ましく、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、2,2’−ジアミジノ−2,2’−アゾプロパンジ塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物が例示できる。
また、公知のレドックス系開始剤、例えば過硫酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムまたは3級アミンとの組合せ等を用いることもできる。重合開始剤はカチオン性モノマーを含む水溶液に予め添加しておいてもよいし、その他のモノマー(*1)と同時に、連続的に系中へ添加していってもよい。
【0027】
重合は、通常10〜100℃、好ましくは40〜90℃で、3〜20時間程度行われる。この重合反応は窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気中で行うのが好ましい。本発明では、このような重合反応を行うにあたって、反応系に次亜リン酸またはその塩を重合度調整剤として存在させることが好ましい。次亜リン酸はHPH2O2で表される一塩基酸であり、遊離酸のほか、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等が使用できる。また水和物であっても差し支えない。これらの次亜リン酸およびその塩は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上組合せて用いることもできる。
【0028】
次亜リン酸またはその塩の使用量は、使用するモノマーの合計モル数を基準として、0.01〜3モル%の範囲が好ましく、さらには0.02〜2モル%の範囲がより好ましい。次亜リン酸またはその塩を添加するにあたっては、重合開始剤と同様にカチオン性化合物を含む水溶液に予め添加しておいてもよいし、その他のモノマー(*1)と同時に、連続的に系中へ添加していってもよい。
【0029】
さらに本発明の重合反応においては、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸等、あるいはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩を必要に応じて用いることができる。すなわち、金属イオン、特に遷移金属イオンが、重合系内に共存あるいは混入するような場合、これらのイオンは、得られる水溶性共重合体の好ましからざる粘度低下を引き起こすため、こういう阻害因子を除く目的で、キレート剤を重合系内に添加するのも有効である。
【0030】
キレート剤を用いる場合、その使用量は特に限定されないが、その効果を有効に発揮させるためには、使用する全モノマー質量を基準として、50ppm以上用いるのが好ましい。キレート剤の量の上限は任意であり、悪影響の出ない範囲で相当量用いることができるが、経済性等を考慮すると、使用する全モノマー質量を基準として、5000ppm程度までで充分である。
【0031】
キレート剤を用いる場合も、重合開始剤や次亜リン酸またはその塩と同様に、カチオン性化合物を含む水溶液に予め添加しておいてもよいし、その他のモノマー(*1)と同時に、連続的に系中へ添加していってもよい。
好ましいインク定着剤の形態は、有機溶媒溶液や水性エマルションであってもよいが、通常、水溶液の形態である。
インク定着剤の水性エマルションは、乳化重合により得ることができる。乳化重合では、通常、重合安定性を付与するために界面活性剤が使用されるが、該界面活性剤は接着力を低下させる原因となるため、必要最小限の使用が好ましい。また、接着力を低下させないため、界面活性剤を用いない方法によりインク定着剤の水性エマルションを製造することもできる。このような方法としては、例えば、有機溶媒中でモノマーを重合した後、水を必要量投入し、その後重合に使用した有機溶媒を例えば減圧留去等により除去し、水性エマルションを得る転相乳化法が挙げられる。
【0032】
本発明に用いるインク定着剤の配合量は、接着剤層固形分に対して1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。因みに、配合量が1質量%未満であると、接着力が強くなり過ぎ、インクジェット印字した後、圧着し、再剥離すると非印字面に印字が転写したり、耐水性およびインク吸収性が十分でなくなる恐れがあり、配合量が70質量%を越えると、加圧処理の際の接着力が低下し、感圧接着シートとしての機能が損なわれる恐れがあり、また印字の密着性や印字の耐水性も劣る傾向になる。
【0033】
接着力コントロール剤としては、無機及び有機顔料等が使用できる。例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミニウム、小麦デンプン(糊化していないもの)、シリカ、アルミナ、γ−アルミナ、コロイダルシリカ、プラスチックピグメント、またポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。その中でも、小麦デンプン、シリカ等が接着力やインクジエット適性のコントロールに適しており、好適に用いられる。
【0034】
本発明に用いるシリカは、特に限定されないが、珪酸ソーダを原料としてその水溶液を中和してシリカを析出させる、いわゆる「湿式法」のうち酸性領域(好ましくはpH3〜4)で反応を行う「ゲル法」によって製造されたものが好ましい。その中でも、コールターカウンター法で測定される平均粒子径6μm以上、JIS K 5101に準じて測定される比表面積300m2/g以上、細孔容積1ml/g以上のものが特に好ましい。上限は特にないが2.0ml/g程度である。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸、塩酸などの鉱酸を接触させて中和し、シリカのヒドロゲルを生成させ、30分以上放置してゲルに転化させて得られる。比表面積が大きく、密な凝集構造をとり、インクジェット記録におけるインク乾燥性が優れる。
シリカはその一次粒子が集まって、連続的に網目のような微細孔を形成するが、この微細孔の内側に各種物質を吸着するとともに、本発明では接着力コントロール剤としての役目も担う。該接着剤層のインク吸収性はシリカの微細孔によるインクの吸着に影響されるため、比表面積の大きなシリカを用いることが好ましい。シリカの好ましい比表面積は300m2/g以上であり、上限は特にないが例えば1000m2/gである。より好ましくは300〜500m2/gである。比表面積300m2/g未満ではインクとの接触面積が小さくなるために、シリカ内部への吸収速度が遅くなり、インク吸収性が低下する恐れがある。
また、シリカの平均粒子径は塗工層の表面強度をアップするため、6μm以上であることが好ましい。平均粒子径が6μm未満であると、塗工層の表面強度が不足し、オフセット印刷時にブランケットパイリングが発生する恐れがある。上限は特にないが25μm程度でよい。
【0035】
また、小麦デンプンはブロッキング防止の目的でスペーサー的に使われる。シリカはインク受容性に優れるので、印刷適性、インクジェット記録適性を改善するので好ましい。フッ素系樹脂はインクの滲みを防止する効果が高い。
さらに酸化チタンは隠蔽効果が高く、シリカと混合することにより隠蔽効果が高くなる。接着力コントロール剤は、このような無機又は有機顔料を併用することが好ましい。なお、無機又は有機顔料の粒径としては1〜50μm程度のものが好ましい。接着力コントロール剤には加圧下で接着剤層面が接着し、一度剥離した後には接着しないように調整する効果がある。
【0036】
基材シートと接着剤層との密着性を向上させるためにバインダー樹脂(印刷の際の表面強度を付与する材料)を配合することもできる。ここで、バインダー樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酸化デンプン等のデンプン類(糊化したもの)等、特に限定されないが、塗工層の表面強度を向上させるため、スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂が好ましい。
【0037】
なお、三つ折りに折り畳むタイプの葉書(以下、三つ折り葉書ともいう)の場合、永久接着面の接着剤層も葉書の表面を形成することがあるので、その接着剤層中にもインク定着剤を含有させ、インクジェット記録適性を付与することが好ましい。
【0038】
更に、接着剤層には、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、デンプン(糊化したもの)、変性デンプン(糊化したもの)、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル系共重合体、ウレタン系共重合体等の親水性高分子を配合すると、接着剤層と基材との密着性やカチオン性化合物との混和性が改善されるので好ましい。特に、ポリビニルアルコールは、インクジェットインクの非転写性が良好となるため、好ましい。なかでも、けん化度90モル%以下、重合度1000以下であるポリビニルアルコールが特に好ましい。けん化度が90モル%を越えるとインクジェットインクの非転写性が悪化したり、オフセット印刷時のブランケットへの用紙の貼付きが酷くなる恐れがある。また、重合度が1000を越えると、カラーの粘度が上昇し過ぎたり、接着力が低下し過ぎる恐れがある。
【0039】
親水性高分子を配合する場合、接着剤層固形分の20質量%以下にすることが好ましい。20質量%を超えての配合は、塗液の粘度上昇および接着性が低下する恐れがある。
【0040】
なお、接着剤層には、添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、カチオン性、ノニオン性または両性の界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、特開平5−295335号公報(接着性、再剥離性、耐ブロッキング性、印刷適性、水性インキ受理性、表面の風合い等の特性を兼ね備えたコールドシール接着剤組成物を提供する。ゴムラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとを混合してなる接着剤ベースか、アクリル変性ゴムラテックスからなる接着剤ベースと、充填剤とを主成分とし、上記接着剤ベース100質量部に対し上記充填剤が5〜90質量部含有されているコールドシール接着剤組成物。保護コロイド系接着剤を用いる理由は、▲1▼保護コロイドによる親水基の導入によって得られる組成物の紙面へのアンカーリング性が向上する、▲2▼保護コロイドのガラス転移温度が高いので表面硬度が硬くなって耐ブロッキング性が向上する、▲3▼塗膜表面が乾燥時に造膜不良を起こしてフィルム化せず、インキ受理性や印刷適性が向上するものであり、上記保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンは、モノマー組成を調整することにより、その最低造膜温度が90℃以上となるように設定することが好適であると記載されている)に記載の最低造膜温度90℃以上の樹脂などが適量配合できる。
【0041】
本発明に用いる基材シートについては特に限定するものではないが、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙等の紙類、合成紙、合成樹脂フィルム、金属箔、不織布等を用いられることがあり、これらは積層されたり、表面処理されたりしたものを用いてもよい。その中でも、紙類が安価なため好ましく使用される。勿論、紙類には古紙パルプを含んでいても良く、抄紙方法等も特に限定するものではない。
【0042】
また、接着剤層塗工後の巻き取りにおいて、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.37−81法に規定される巻硬さの偏差が5Kgf・m以下であることが好ましい。巻硬さの偏差の最大値が5Kgf・mを超えると、接着剤層を塗工した際、不必要な紙の変形が起こり、左右で紙の寸法が異なり、このような巻き取りを、フォーム印刷機を使って高速印刷すると、シワが発生したり、見当ズレが発生する等トラブルの原因となることがある。
【0043】
基材シートの表面に塗布する場合、塗工方法としては特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。その中でも、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター等が好ましい。塗工量としては2〜30g/m2の範囲であるが、好ましくは3〜15g/m2の範囲である。
【0044】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は特に明示のない限り質量部及び質量%である。
【0045】
【実施例】
実施例1
〔再剥離性接着剤層の形成〕
上質紙104.7g/m2(OKH90,王子製紙社製)の片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり10g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。
【0046】
〔永久接着性接着剤層の形成〕
上記再剥離面用塗料を塗工した上質紙の反対面に、以下の配合の永久接着面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり10g/m2塗工し、熱風乾燥機で100℃の温度にて1分間乾燥し感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0047】
実施例2
再剥離面用塗料組成でカチオン性化合物をジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体に代えて、1級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるポリアリルアミン・塩酸塩(PAA−HCl−10L,日東紡績社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0048】
実施例3
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0049】
実施例4
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0050】
実施例5
実施例1で調製した再剥離面用塗料を用いて、上質紙の両面に塗工した以外は、実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0051】
実施例6
両性高分子を下記のようにして重合した。4質量部のアクリル酸、96質量部のメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを900質量部の蒸留水に加え、攪拌しつつ1質量部の2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリドを添加した後、80℃に加熱して3時間反応させた。
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0052】
実施例7
両性高分子を下記のようにして重合した。7質量部のアクリル酸、88質量部のメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、5質量部のアクリルアミドを900質量部の蒸留水に加え、攪拌しつつ1質量部の2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリドを添加した後、80℃に加熱して3時間反応させた。
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例6と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0053】
比較例1(特開平9−39378の実施例1に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0054】
比較例2(特開平9−58118の実施例1に相当)
長網抄紙機で抄造した坪量115g/m2の支持体にカチオン性樹脂としてジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物(ポリフィクス601,昭和高分子社製)を乾燥付着量で0.8g/m2、燐酸エステル化澱粉(MS#4600,日本食品化工社製)を乾燥付着量で1.2g/m2となるようオンマシンのサイズプレス装置を用いて表裏に付着させ、マシンカレンダー処理を行って支持体を作成した。
その支持体の一面に下記配合の感圧接着剤をエアーナイフコーターを用いて10g/m2の割合で塗布、乾燥し感圧接着シートを得た。
【0055】
比較例3
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0056】
比較例4(特開2001−277414の実施例1に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0057】
比較例5(特開2002−20711に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0058】
比較例6(特開2001−49213に相当)
再剥離面用塗料を下記の配合にした以外は実施例5と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0059】
「評価方法」
(1)接着剤層の基材シート(支持体)との密着性
接着剤層を指で擦り、基材シートとの密着性を目視評価した。
◎:接着剤層が全く剥がれない。
○:接着剤層が一部のみ剥がれるが概ね良好。
△:接着剤層が若干剥がれるが、実用上問題ないレベルである。
×:接着剤層が剥がれてしまい、実用上問題となるレベルである。
【0060】
(2)印字の耐水性評価
インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを再剥離面に印字し、水中に2分間浸けた際のインキのにじみを目視で評価した。
◎:にじみがなく優れている。
○:にじみが殆どなし。
△:若干にじみが認められるが、実用上問題なし。
×:にじみがあり、実用上問題がある。
××:にじみが顕著
【0061】
(3)印字濃度評価
インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてブラックを再剥離面に印字し、マクベス濃度計(RD−914)にて評価した。
【0062】
(4)接触角評価
水に対する接触角は、ASTM D5725に準拠して23℃、50%RH雰囲気下で接着剤層に水(4μl)を滴下後10秒で測定した。接触角測定装置は、FIBRO system ab社製ダイナミックコンタクトアングル・アブソープションテスター FIBRO DAT 1100を用いた。
【0063】
(5)接着力経時変化
本発明の感圧接着シートにキセノンロングライフサンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いて紫外線を100時間照射した。
ドライシーラー(トッパンフォームズ社製)を用い、得られた紫外線照射前試料と照射後試料を適切な大きさに断裁し、再剥離面同士が対向するようにZ折りして、23℃、65%の温湿度条件で24時間調湿した後、ロール間隙を200μmに設定したプレスロールを通過させて圧着し、親展葉書を作製した。得られた親展葉書をT型剥離で接着力を評価し、接着力の変動を下記基準で評価した。
◎:接着力の変動が少ない。
○:若干接着力の変動があるが、実用上問題ないレベル。
×:接着力の変動が著しく、実用上問題となるレベル。
【0064】
(6)インクジェット適性評価
インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを網点印字し、実体顕微鏡でドットの形状を観察しインキのにじみを目視で評価した。
◎:ドットの形状に崩れはなく、全く問題はなし。
○:ドットの形状に若干崩れはあるが、実用上問題なし。
×:ドットが崩れ、実用上問題がある。
××:ドットの崩れが著しい
【0065】
(8)オフセット印刷適性
ビジネスフォーム印刷機(ミヤコシ製MVF−18型)を用いて、オフセット印刷を行い、ブランケットの汚染状態、ブランケットへの塗工層の堆積状態を目視で評価した。
◎:ブランケット汚染や塗工層の剥がれもなく、全く問題なし。
○:若干ブランケット汚染や塗工層剥がれがあるが、実用上問題ない。
×:ブランケット汚染や塗工層剥がれがあり、実用上問題がある。
【0066】
(7)総合評価
親展葉書用紙としての総合評価を行った。
◎:親展葉書用紙として非常に優れている。
○:親展葉書用紙として優れている。
△:親展葉書用紙として若干問題があるが、実用上問題ないレベルである。
×:親展葉書用紙として問題があり、実用出来ないレベルである。
【0067】
【表2】
【0068】
表2が明らかに示しているように、本発明に係る感圧接着シートは、印字の耐水性、印字濃度が高くインクジェット適性に優れ、しかもオフセット印刷適性、接着適性に優れている(実施例1〜5)。特に接着剤層表面の接触角を制御することにより、印字濃度の高いインクジェット用途に最適な親展葉書用紙が得られることを見出した(実施例6、7)。
しかし、接着剤層表面の接触角が高いと印字濃度が非常に低く、インクジェット用途には不適な親展葉書用紙になる(比較例4)。接着剤層に部分けん化型ポリビニルアルコールを配合すると印字濃度は若干改善されるものの、印字の耐水性が劣り、接着力の経時変化も大きい(比較例5)。接着剤層にアクリル系接着剤、カチオン樹脂、デンプン、シリカを使用するとインクジェット適性は改善されるものの、接着剤層の表面強度が弱く、オフセット印刷適性に劣るものである(比較例1)。
【0069】
【発明の効果】
本発明による基材シートと少なくとも一方の面に接着剤層を備えた感圧接着シートにおいて、接着剤層が天然ゴム誘導体系樹脂を含有する接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する塗工層からなり、該接着剤層の水滴下10秒後の接触角が100°以下とすることにより、インクジェットプリンター適性、特に印字濃度が高く、印字の耐水性に優れ、かつ親展葉書用紙とした場合の接着、再剥離性を満足する感圧接着シートが得られる。
また、本発明の接着剤は、各種カチオン性化合物を配合した塗料の安定性に優れており、また得られる感圧接着シートの記録は耐光性、耐水性に優れている。
Claims (8)
- 基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有し、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、その接着剤層同士は剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、天然ゴム誘導体系樹脂を構成成分として含む接着剤、インク定着剤、接着力コントロール剤を含有する層であり、接着剤層表面の水滴下10秒後の接触角が100°以下であることを特徴とする感圧接着シート。
- 天然ゴム誘導体系樹脂が、天然ゴムにメタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルから選択される少なくとも1種の不飽和モノマーをグラフト重合した樹脂である請求項1に記載された感圧接着シート。
- インク定着剤が、1分子中にカチオン基とアニオン基を含有する両性化合物である請求項1と2のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
- 接着力コントロール剤が、平均粒子径6μm以上、比表面積300m2/g以上、細孔容積1ml/g以上のゲル法によって製造された非晶質シリカである請求項1〜3のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
- 接着剤層が、さらにポリビニルアルコールを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
- ポリビニルアルコールが、けん化度90モル%以下、重合度1000以下である請求項5に記載された感圧接着シート。
- 接着剤層が、さらにアクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載された感圧接着シート。
- 接着剤層が、インクジェット記録層である請求項1〜7のいずれかに記載の感圧接着シート。
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